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民事訴訟法 第17条

条文
第17条(遅滞を避ける等のための移送)
 第1審裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、当事者及び尋問を受けるべき証人の住所、使用すべき検証物の所在地その他の事情を考慮して、訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るため必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。
過去問・解説
(H21 司法 第57問 ア)
訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るための移送は、被告の申立てによることなく、裁判所が職権ですることはできない。

(正答)

(解説)
17条は、「第1審裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、…訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るため必要があると認めるときは、…職権で、訴訟の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。」と規定している。
したがって、訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るための移送は、被告の申立てによることなく、裁判所が職権ですることができる。

(H23 共通 第74問 1)
Xは、薬剤製造販売業者Yが販売した医薬品を摂取したため、健康被害が生じたと主張しているが、Yは、医薬品と健康被害との間の因果関係を争っている。そこで、Xは全国の同様の被害を主張している者に呼び掛けて被害者の会を設立したところ、その会員数は 1000 名を超えた。Xは、全国の会員らと共にYを被告として損害賠償を求める訴えを提起することにしている。
Xらは、Yの住所地にかかわらず、Xらの住所地を管轄する各地方裁判所に訴えを提起することができるが、裁判所は、訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るため必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。

(正答)

(解説)
5条9号は、不法行為に関する訴えの管轄について「不法行為があった地」を掲げている。
これについて、裁判例(東京地判昭 40.5.27)は、「不法行為地には行為のなされた地だけでなく、損害の発生した地も含まれる…。」としている。
本肢において、結果の発生した地は健康被害が生じたXらの住所地である。 そのため、Xらの住所地を管轄する各地方裁判所に訴えを提起することができる。
また、17条は、「第1審裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、…訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るため必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。」と規定している。
したがって、Xらは、Yの住所地にかかわらず、Xらの住所地を管轄する各地方裁判所に訴えを提起することができるが、裁判所は、訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るため必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。

(H29 予備 第31問 1)
大阪簡易裁判所が、事件が複雑であることから相当と認めてその管轄に属する訴訟の全部を大阪地方裁判所に移送した場合であっても、大阪地方裁判所は、証拠の偏在等の事情を考慮し当事者間の衡平を図るため必要があると認めるときは、当該訴訟の全部を更に他の管轄裁判所に移送することができる。

(正答)

(解説)
17条は、「第1審裁判所は、…当事者間の衡平を図るため必要があると認めるときは、…他の管轄裁判所に移送することができる。」と規定している。そして、22条は、1項において、「確定した移送の裁判は、移送を受けた裁判所を拘束する。」と規定し、2項において、「移送を受けた裁判所は、更に事件を他の裁判所に移送することができない。」と規定している。 もっとも、移送を受けた裁判所が、移送の理由となったものとは別の事由や決定確定後に生じた新たな事由に基づいて更に移送することはできる(三木浩一ほか「LegalQuest 民事訴訟法」第4版42頁)と解されている。
したがって、大阪簡易裁判所が、事件が複雑であることから相当と認めてその管轄に属する訴訟の全部を大阪地方裁判所に移送した場合であっても、大阪地方裁判所は、証拠の偏在等の事情を考慮し当事者間の衡平を図るため必要があると認めるときは、当該訴訟の全部を更に他の管轄裁判所に移送することができる。

(R1 予備 第45問 2)
第1回口頭弁論期日の前において、著しい遅滞を避けるための移送の申立てがあったときは、裁判所は、訴訟手続を停止しなければならない。

(正答)

(解説)
17条は、「第1審裁判所は、…訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るため必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。」と規定している。
他方、同条に基づく移送の申立てがあった場合に、訴訟手続を停止しなければならないとする規定はない。
したがって、第1回口頭弁論期日の前において、著しい遅滞を避けるための移送の申立てがあった場合でも、裁判所は、訴訟手続を停止する必要はない。
総合メモ
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