(H23 共通 第74問 1)
Xは、薬剤製造販売業者Yが販売した医薬品を摂取したため、健康被害が生じたと主張しているが、Yは、医薬品と健康被害との間の因果関係を争っている。そこで、Xは全国の同様の被害を主張している者に呼び掛けて被害者の会を設立したところ、その会員数は 1000 名を超えた。Xは、全国の会員らと共にYを被告として損害賠償を求める訴えを提起することにしている。
Xらは、Yの住所地にかかわらず、Xらの住所地を管轄する各地方裁判所に訴えを提起することができるが、裁判所は、訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るため必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。
(正答)〇
(解説)
5条9号は、不法行為に関する訴えの管轄について「不法行為があった地」を掲げている。
これについて、裁判例(東京地判昭 40.5.27)は、「不法行為地には行為のなされた地だけでなく、損害の発生した地も含まれる…。」としている。
本肢において、結果の発生した地は健康被害が生じたXらの住所地である。 そのため、Xらの住所地を管轄する各地方裁判所に訴えを提起することができる。
また、17条は、「第一審裁判所は、訴訟がその管轄に属する場合においても、…訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るため必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。」と規定している。
したがって、Xらは、Yの住所地にかかわらず、Xらの住所地を管轄する各地方裁判所に訴えを提起することができるが、裁判所は、訴訟の著しい遅滞を避け、又は当事者間の衡平を図るため必要があると認めるときは、申立てにより又は職権で、訴訟の全部又は一部を他の管轄裁判所に移送することができる。