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民事訴訟法 第90条
条文
第90条(訴訟手続に関する異議権の喪失)
当事者が訴訟手続に関する規定の違反を知り、又は知ることができた場合において、遅滞なく異議を述べないときは、これを述べる権利を失う。ただし、放棄することができないものについては、この限りでない。
当事者が訴訟手続に関する規定の違反を知り、又は知ることができた場合において、遅滞なく異議を述べないときは、これを述べる権利を失う。ただし、放棄することができないものについては、この限りでない。
過去問・解説
(H18 司法 第69問 4)
Aは、Bに対して、貸金の返還を求める訴えを提起していたが、訴訟が第一審に係属している間に死亡した。Aの相続人は、同人の子であるC及びDの2人である。C及びDが訴訟手続の適法な受継の申立てをした場合、訴訟手続の中断中に裁判所がした訴訟行為について、中断解消後にC、D及びBが責問権を放棄したときは、その訴訟行為は有効となる。
Aは、Bに対して、貸金の返還を求める訴えを提起していたが、訴訟が第一審に係属している間に死亡した。Aの相続人は、同人の子であるC及びDの2人である。C及びDが訴訟手続の適法な受継の申立てをした場合、訴訟手続の中断中に裁判所がした訴訟行為について、中断解消後にC、D及びBが責問権を放棄したときは、その訴訟行為は有効となる。
(正答)〇
(解説)
90条は、本文において、「当事者が訴訟手続に関する規定の違反を知り、又は知ることができた場合において、遅滞なく異議を述べないときは、これを述べる権利を失う。」と規定する一方で、但書において、「放棄することができないものについては、この限りでない。」と規定している。
そして、同条但書にいう「放棄することができないもの」とは、公益性が強い強行規定を指すところ、訴訟手続の中断に関する規定はこれに当たらない。
したがって、当事者が責問権を放棄することにより、訴訟手続の中断中に裁判所がした訴訟行為の瑕疵は治癒される。
よって、Aの相続人であるC及びDが訴訟手続の適法な受継の申立てをした場合、訴訟手続の中断中に裁判所がした訴訟行為について、中断解消後にC、D及びBが責問権を放棄したときは、その訴訟行為は有効となる。
90条は、本文において、「当事者が訴訟手続に関する規定の違反を知り、又は知ることができた場合において、遅滞なく異議を述べないときは、これを述べる権利を失う。」と規定する一方で、但書において、「放棄することができないものについては、この限りでない。」と規定している。
そして、同条但書にいう「放棄することができないもの」とは、公益性が強い強行規定を指すところ、訴訟手続の中断に関する規定はこれに当たらない。
したがって、当事者が責問権を放棄することにより、訴訟手続の中断中に裁判所がした訴訟行為の瑕疵は治癒される。
よって、Aの相続人であるC及びDが訴訟手続の適法な受継の申立てをした場合、訴訟手続の中断中に裁判所がした訴訟行為について、中断解消後にC、D及びBが責問権を放棄したときは、その訴訟行為は有効となる。
(H19 司法 第56問 ア)
裁判官が代わった場合において、従前の口頭弁論の結果が陳述されなかったときでも、当事者が遅滞なく異議を述べないときは、責問権を喪失する。
裁判官が代わった場合において、従前の口頭弁論の結果が陳述されなかったときでも、当事者が遅滞なく異議を述べないときは、責問権を喪失する。
(正答)✕
(解説)
90条は、本文において、「当事者が訴訟手続に関する規定の違反を知り、又は知ることができた場合において、遅滞なく異議を述べないときは、これを述べる権利を失う。」と規定する一方で、但書において、「放棄することができないものについては、この限りでない。」と規定している。
そして、同条但書にいう「放棄することができないもの」とは、公益性が強い強行規定を指すところ、裁判官が代わった場合における従前の口頭弁論の結果の陳述に関する規定はこれに当たる。
したがって、裁判官が代わった場合において従前の口頭弁論の結果が陳述されなかったときの当事者の責問権の喪失について、遅滞なく異議を述べないときであっても喪失しない。
90条は、本文において、「当事者が訴訟手続に関する規定の違反を知り、又は知ることができた場合において、遅滞なく異議を述べないときは、これを述べる権利を失う。」と規定する一方で、但書において、「放棄することができないものについては、この限りでない。」と規定している。
そして、同条但書にいう「放棄することができないもの」とは、公益性が強い強行規定を指すところ、裁判官が代わった場合における従前の口頭弁論の結果の陳述に関する規定はこれに当たる。
したがって、裁判官が代わった場合において従前の口頭弁論の結果が陳述されなかったときの当事者の責問権の喪失について、遅滞なく異議を述べないときであっても喪失しない。
(H19 司法 第56問 オ)
人事訴訟において、対審の公開停止のための要件がないにもかかわらず、公開を停止した場合、その違反は、当事者の責問権の喪失によって治癒されるものではない。
人事訴訟において、対審の公開停止のための要件がないにもかかわらず、公開を停止した場合、その違反は、当事者の責問権の喪失によって治癒されるものではない。
(正答)〇
(解説)
90条は、本文において、「当事者が訴訟手続に関する規定の違反を知り、又は知ることができた場合において、遅滞なく異議を述べないときは、これを述べる権利を失う。」と規定する一方で、但書において、「放棄することができないものについては、この限りでない。」と規定している。
そして、同条但書にいう「放棄することができないもの」とは、公益性が強い強行規定を指すところ、公開主義に関する規定はこれに当たる。
したがって、人事訴訟において、対審の公開停止のための要件がないにもかかわらず、公開を停止した場合、その違反は、当事者の異議権(責問権)の喪失によって治癒されるものではない。
90条は、本文において、「当事者が訴訟手続に関する規定の違反を知り、又は知ることができた場合において、遅滞なく異議を述べないときは、これを述べる権利を失う。」と規定する一方で、但書において、「放棄することができないものについては、この限りでない。」と規定している。
そして、同条但書にいう「放棄することができないもの」とは、公益性が強い強行規定を指すところ、公開主義に関する規定はこれに当たる。
したがって、人事訴訟において、対審の公開停止のための要件がないにもかかわらず、公開を停止した場合、その違反は、当事者の異議権(責問権)の喪失によって治癒されるものではない。
(H28 予備 第33問 ア)
当事者は、訴訟手続に関する規定の違反についての異議を述べる権利を放棄しようとするときは、その旨を書面に記載し、これを裁判所に提出しなければならない。
当事者は、訴訟手続に関する規定の違反についての異議を述べる権利を放棄しようとするときは、その旨を書面に記載し、これを裁判所に提出しなければならない。
(正答)✕
(解説)
90条は、本文において、「当事者が訴訟手続に関する規定の違反を知り、又は知ることができた場合において、遅滞なく異議を述べないときは、これを述べる権利を失う。」と規定する一方で、但書において、「ただし、放棄することができないものについては、この限りでない。」と規定している。
したがって、同条は、当事者が訴訟手続に関する規定の違反についての異議を述べる権利を明示的に放棄する場合において、その旨を書面に記載して裁判所に提出することまでは要求していない。
よって、当事者が異議を述べる権利を放棄しようとするときの方式について、その旨を書面に記載しこれを裁判所に提出しなければならないのではなく、書面によらずに口頭ですることもできる。
90条は、本文において、「当事者が訴訟手続に関する規定の違反を知り、又は知ることができた場合において、遅滞なく異議を述べないときは、これを述べる権利を失う。」と規定する一方で、但書において、「ただし、放棄することができないものについては、この限りでない。」と規定している。
したがって、同条は、当事者が訴訟手続に関する規定の違反についての異議を述べる権利を明示的に放棄する場合において、その旨を書面に記載して裁判所に提出することまでは要求していない。
よって、当事者が異議を述べる権利を放棄しようとするときの方式について、その旨を書面に記載しこれを裁判所に提出しなければならないのではなく、書面によらずに口頭ですることもできる。
(H28 予備 第33問 イ)
当事者は、訴訟手続に関する規定の違反についての異議を述べる権利につき、具体的な違反が実際に生じるより前にあらかじめその放棄をすることができる。
当事者は、訴訟手続に関する規定の違反についての異議を述べる権利につき、具体的な違反が実際に生じるより前にあらかじめその放棄をすることができる。
(正答)✕
(解説)
90条本文は、「当事者が訴訟手続に関する規定の違反を知り、又は知ることができた場合において、遅滞なく異議を述べないときは、これを述べる権利を失う。」と規定している。そのため、現実に生じた規定の違反を対象としている。
したがって、当事者は、具体的な違反が実際に生じるより前に、異議を述べる権利をあらかじめ放棄することができない。
90条本文は、「当事者が訴訟手続に関する規定の違反を知り、又は知ることができた場合において、遅滞なく異議を述べないときは、これを述べる権利を失う。」と規定している。そのため、現実に生じた規定の違反を対象としている。
したがって、当事者は、具体的な違反が実際に生じるより前に、異議を述べる権利をあらかじめ放棄することができない。
(H28 予備 第33問 ウ)
判決の言渡しが公開の法廷で行われなかった場合、当事者は、そのことを知りながら、遅滞なく異議を述べないときであっても、異議を述べる権利を失わない。
判決の言渡しが公開の法廷で行われなかった場合、当事者は、そのことを知りながら、遅滞なく異議を述べないときであっても、異議を述べる権利を失わない。
(正答)〇
(解説)
90条は、本文において、「当事者が訴訟手続に関する規定の違反を知り、又は知ることができた場合において、遅滞なく異議を述べないときは、これを述べる権利を失う。」と規定する一方で、但書において、「放棄することができないものについては、この限りでない。」と規定している。
そして、同条但書にいう「放棄することができないもの」とは、裁判所や訴訟制度の信頼や効率性に関わる公益性が強い強行規定をいうところ、判決の言渡しに関する公開主義の規定はこれに当たる。
したがって、判決の言渡しが公開の法廷で行われなかった場合、当事者は、そのことを知りながら、遅滞なく異議を述べないときであっても、異議を述べる権利を失わない。
90条は、本文において、「当事者が訴訟手続に関する規定の違反を知り、又は知ることができた場合において、遅滞なく異議を述べないときは、これを述べる権利を失う。」と規定する一方で、但書において、「放棄することができないものについては、この限りでない。」と規定している。
そして、同条但書にいう「放棄することができないもの」とは、裁判所や訴訟制度の信頼や効率性に関わる公益性が強い強行規定をいうところ、判決の言渡しに関する公開主義の規定はこれに当たる。
したがって、判決の言渡しが公開の法廷で行われなかった場合、当事者は、そのことを知りながら、遅滞なく異議を述べないときであっても、異議を述べる権利を失わない。
(H28 予備 第35問 エ)
重複する訴えが提起された場合、被告が異議を述べないで本案について弁論をしたときであっても、当該訴えは適法とはならない。
重複する訴えが提起された場合、被告が異議を述べないで本案について弁論をしたときであっても、当該訴えは適法とはならない。
(正答)〇
(解説)
142条は、「裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起することができない。」と規定している。また、90条は、本文において、「当事者が訴訟手続に関する規定の違反を知り、又は知ることができた場合において、遅滞なく異議を述べないときは、これを述べる権利を失う。」と規定する一方で、但書において、「放棄することができないものについては、この限りでない。」と規定している。
そして、重複する訴えの提起を禁止する142条は公益性が強い強行規定であるため、同条違反は、90条但書にいう「放棄することができないもの」に当たる。
したがって、重複する訴えが提起された場合、被告が異議を述べないで本案について弁論をしたときであっても、当該訴えは適法とはならない。
142条は、「裁判所に係属する事件については、当事者は、更に訴えを提起することができない。」と規定している。また、90条は、本文において、「当事者が訴訟手続に関する規定の違反を知り、又は知ることができた場合において、遅滞なく異議を述べないときは、これを述べる権利を失う。」と規定する一方で、但書において、「放棄することができないものについては、この限りでない。」と規定している。
そして、重複する訴えの提起を禁止する142条は公益性が強い強行規定であるため、同条違反は、90条但書にいう「放棄することができないもの」に当たる。
したがって、重複する訴えが提起された場合、被告が異議を述べないで本案について弁論をしたときであっても、当該訴えは適法とはならない。
(R6 予備 第37問 ア)
被告に送達されるべき訴状を被告と同居する受送達権限を欠く者が受領した場合であっても、 被告が委任した訴訟代理人が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭し異議なく弁論をしたときは、その瑕疵は、異議権の喪失によって治癒される。
被告に送達されるべき訴状を被告と同居する受送達権限を欠く者が受領した場合であっても、 被告が委任した訴訟代理人が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭し異議なく弁論をしたときは、その瑕疵は、異議権の喪失によって治癒される。
(正答)〇
(解説)
90条は、本文において、「当事者が訴訟手続に関する規定の違反を知り、又は知ることができた場合において、遅滞なく異議を述べないときは、これを述べる権利を失う。」と規定する一方で、但書において、「放棄することができないものについては、この限りでない。」と規定している。
そして、判例(最判昭28.12.24)は、本肢と同種の事案において、「上告人Aに対する訴状の送達が、被上告人(原告)Bに対してなされていることは、所論のとおりである。しかし、上告人の後見人代行者Dが委任した弁護士…が、第1回口頭弁論期日に出頭し、異議なく弁論をしているので、この点に関する責問権を失い右瑕疵は治癒されたものと認むべきである…。」としている。
したがって、被告に送達されるべき訴状を被告と同居する受送達権限を欠く者が受領した場合であっても、被告が委任した訴訟代理人が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭し異議なく弁論をしたときは、その瑕疵は、異議権の喪失によって治癒される。
90条は、本文において、「当事者が訴訟手続に関する規定の違反を知り、又は知ることができた場合において、遅滞なく異議を述べないときは、これを述べる権利を失う。」と規定する一方で、但書において、「放棄することができないものについては、この限りでない。」と規定している。
そして、判例(最判昭28.12.24)は、本肢と同種の事案において、「上告人Aに対する訴状の送達が、被上告人(原告)Bに対してなされていることは、所論のとおりである。しかし、上告人の後見人代行者Dが委任した弁護士…が、第1回口頭弁論期日に出頭し、異議なく弁論をしているので、この点に関する責問権を失い右瑕疵は治癒されたものと認むべきである…。」としている。
したがって、被告に送達されるべき訴状を被告と同居する受送達権限を欠く者が受領した場合であっても、被告が委任した訴訟代理人が最初にすべき口頭弁論の期日に出頭し異議なく弁論をしたときは、その瑕疵は、異議権の喪失によって治癒される。