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告訴

告訴前における親告罪の捜査 大判昭和7年10月31日

概要
司法警察官は、親告罪につき、告訴前においても捜査をすることができる。
判例
事案:刑法改正前の姦通罪の事案である。当時の姦通罪は姦通した妻のみが処罰され、夫の告訴が必要であった。夫の告訴がなされる前に司法警察医官が捜査をしていた事案において、告訴前の親告罪についての捜査の可否が問題となった。

判旨:「告訴は、親告罪の構成要件ではなく単に当該犯罪に対する訴追条件にすぎないのと同時に、司法警察官は犯罪があると思料した時は、捜査をなす職務権限を有することから、親告罪につき告訴前においても捜査をすることができる。」
過去問・解説
(H23 共通 第21問 ウ)
親告罪については、有効な告訴の存在が起訴又は訴訟の条件となっているから、司法警察職員は、告訴がない間は捜査をすることができない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭7.10.31)は、「告訴は、親告罪の構成要件ではなく単に当該犯罪に対する訴追条件にすぎないのと同時に、司法警察官は犯罪があると思料した時は、捜査をなす職務権限を有することから、親告罪につき告訴前においても捜査をすることができる。」としている。
総合メモ

被告訴人を誤った場合の告訴の効力 大判昭和12年6月5日

概要
告訴は、犯罪事実を申告し犯人の処罰を求める意思を明示すれば足り、また犯人を特定し得ない場合は、常に犯人を指定しなければならないものではない。
判例
事案:新聞による名誉毀損の事案において、被害者は、新聞社の社長のみを被告訴人としたが、真犯人は別の人物であった事案において、かかる告訴の効力の有無が問題となった。

判旨:「告訴は犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める意思を明示すればたり、また、犯人を特定し得る以上、常に必ずしも犯人を指定しなければならないわけではない。したがって、告訴状に犯人を指定せず、または誤って他人を犯人であると指定した場合においても、告訴の趣旨に照らし、被告訴人が誰であるかを特定し得る以上、告訴の効力は、その真犯人に及び、また、共犯者ある場合には共犯者全員に対しその効力が及ぶと解するべきである。」
過去問・解説
(H20 司法 第23問 ア)
Vは、自己の所有する自転車が損壊されたとして、甲を器物損壊の罪で告訴した。捜査の結果、真犯人は乙であり、甲は事件と無関係であることが判明した。この場合、Vの告訴の効力は乙に対して及ぶ。

(正答)

(解説)
判例(大判昭12.6.5)は、本肢と同種の事案において、「告訴状に犯人を指定せず、または誤って他人を犯人であると指定した場合においても、告訴の趣旨に照らし、被告訴人が誰であるかを特定し得る以上、告訴の効力は、その真犯人に及…ぶ…。」としている。
したがって、Vの告訴の効力は、真犯人である乙にも及ぶ。
総合メモ

「犯人を知った」の意義 最三小決昭和39年11月10日

概要
235条1項にいう「犯人を知った」とは、犯人が誰であるかを知ることをいい、告訴権者において、犯人の住所氏名などの詳細を知る必要はないけれども、少くとも犯人の何人たるかを特定し得る程度に認識することを要するものと解すべきである。
判例
事案:刑法改正前の強制わいせつの被害者が、別件で逮捕されていた被告人に面通しされたことから、被告人が強姦事件の犯人であると特定し、告訴した事案において、告訴に関する刑訴法235条1項にいう「犯人を知った」の意義が問題となった。

判旨:「刑訴235条1項にいわゆる『犯人を知った』とは、犯人が誰であるかを知ることをいい、告訴権者において、犯人の住所氏名などの詳細を知る必要はないけれども、少くとも犯人の何人たるかを特定し得る程度に認識することを要するものと解すべきである。」
過去問・解説
(H25 司法 第22問 イ)
親告罪の告訴期間を起算する基準となる「犯人を知った」とは、犯人が誰であるかを知ることをいい、告訴権者において、犯人の住所氏名などの詳細を知る必要はないが、少なくとも犯人の何人たるかを特定し得る程度に認識することを要する。

(正答)

(解説)
判例(最決昭39.11.10)は、「刑訴235条1項にいわゆる『犯人を知った』とは、犯人が誰であるかを知ることをいい、告訴権者において、犯人の住所氏名などの詳細を知る必要はないけれども、少くとも犯人の何人たるかを特定し得る程度に認識することを要する…。」としている。
総合メモ

供述調書の告訴調書としての効力の有無 最一小決昭和34年5月14日

概要
犯罪の被害者またはその法定代理人の検察官または司法警察員に対する「供述調書」であっても、右被害者らが検察官または司法警察員に対し犯罪事実を申告し犯人の処罰を求める旨の意思表示を録取したものであれば241条2項の告訴調書として有効である。
判例
事案:被告人が、改正前刑法の強姦の被害者である娘及び、その法定代理人である実母が司法警察員に対してした供述調書をもとに、当時親告罪であった強姦罪で起訴された事案において、かかる供述調書の告訴調書としての効力の有無が問題となった。

判旨:「犯罪の被害者またはその法定代理人が、司法警察員または検察官に対し、犯罪事実を申告して、犯人に対する処罰を求める意思を表示したときは、これ明らかに告訴ありたるものというに妨げないのであるから、それが口頭によってなされたものに、その旨を録取した書面が『供述調書』の形式をとったものであっても、当然に、それは241条2項にいう調書というべきである。本件事犯の被害者V子の法定代理人である実母Dの司法警察員Eに対する供述調書(昭和32年8月25日付)の内容を見るに、そこには本件事犯につき犯人に対する処罰を求める旨の意思が表示されていることが明らかであるのであるから、該調書はまさに告訴権者Dの告訴を録取した有効な告訴調書といわなくてはならないし、また、被害者V子の検察官に対する供述調書(同年9月13日付)においても、明らかに右と同様の趣旨を観取し得られるのであるから、本件事犯につき告訴のあったことは、一点疑うの余地はない。」(東京高判昭33.11.12)とした「原判決の判示は正当であ...る。」
過去問・解説
(H18 司法 第22問 イ)
告訴は、必ず告訴状を提出して行わなければならないので、検察官が、強姦の被害者から、その被害事実に加えて犯人を厳重に処罰してほしい旨録取した供述調書を作成しただけでは、告訴としての効力は認められない。

(正答)

(解説)
241条は、1項において、「告訴...は、書面又は口頭で...しなければならない。」と規定しており、必ずしも告訴状を提出して告訴を行う必要はない。そして、2項において、「検察官又は司法警察員は、口頭による告訴...を受けたときは調書を作らなければならない。」と規定している。
そして、供述調書が、かかる「調書」たりうるかについて、判例(最決昭34.5.14)は、「犯罪の被害者またはその法定代理人が、司法警察員または検察官に対し、犯罪事実を申告して、犯人に対する処罰を求める意思を表示したときは、これ明らかに告訴ありたるものというに妨げないのであるから、それが口頭によってなされたものに、その旨を録取した書面が『供述調書』の形式をとったものであっても、当然に、それは241条2項にいう調書というべきである。」とした原審(東京高判昭33.11.12)の判断を正当としている。
したがって、本肢における供述調書は、「調書」ということができるため、告訴としての効力は認められる。

(H25 司法 第22問 エ)
被害者の司法警察員に対する供述調書であっても、犯罪事実を申告し、犯人の処罰を求める旨の意思の表示がされていれば、告訴調書として有効である。

(正答)

(解説)
判例(最決昭34.5.14)は、「犯罪の被害者またはその法定代理人が、司法警察員または検察官に対し、犯罪事実を申告して、犯人に対する処罰を求める意思を表示したときは、これ明らかに告訴ありたるものというに妨げないのであるから、それが口頭によってなされたものに、その旨を録取した書面が『供述調書』の形式をとったものであっても、当然に、それは241条2項にいう調書というべきである。」とした原判決(東京高判昭33.11.12)の判断を正当としている。
総合メモ