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証拠調べ
ビデオリンク方式によって行う証人尋問は被告人の証人尋問権を侵害するか 最一小判平成17年4月14日
概要
傷害、強姦被告事件につき、ビデオリンク方式によった上で被告人から証人の状態を認識できなくする遮へい措置が採られても、映像と音声の送受信を通じてであれ、被告人が、証人の供述を聞くことはでき、自ら尋問することもでき、弁護人による証人の供述態度等の観察は妨げられないのであるから、被告人の証人審問権は侵害されていない。
判例
事案:傷害、強姦被告事件においてビデオリンク方式による証人尋問が実施されたところ、ビデオリンク方式による証人尋問が被告人の証人審問権を侵害するかが問題となった。
判旨:「刑訴法157条の3(現:157条の5)は、証人尋問の際に、証人が被告人から見られていることによって圧迫を受け精神の平穏が著しく害される場合があることから、その負担を軽減するために、そのようなおそれがあって相当と認められるときには、裁判所が、被告人と証人との間で、一方から又は相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置を採り、同様に、傍聴人と証人との間でも、相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置を採ることができる(以下、これらの措置を『遮へい措置』という。)とするものである。また、同法157条の4(現:157条の6)は、いわゆる性犯罪の被害者等の証人尋問について、裁判官及び訴訟関係人の在席する場所において証言を求められることによって証人が受ける精神的圧迫を回避するために、同一構内の別の場所に証人を在席させ、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話することができる方法によって尋問することができる(以下、このような方法を『ビデオリンク方式』という。)とするものである。
証人尋問が公判期日において行われる場合、傍聴人と証人との間で遮へい措置が採られ、あるいはビデオリンク方式によることとされ、さらには、ビデオリンク方式によった上で傍聴人と証人との間で遮へい措置が採られても、審理が公開されていることに変わりはないから、これらの規定は、憲法82条1項、37条1項に違反するものではない。
また、証人尋問の際、被告人から証人の状態を認識できなくする遮へい措置が採られた場合、被告人は、証人の姿を見ることはできないけれども、供述を聞くことはでき、自ら尋問することもでき、さらに、この措置は、弁護人が出頭している場合に限り採ることができるのであって、弁護人による証人の供述態度等の観察は妨げられないのであるから、前記のとおりの制度の趣旨にかんがみ、被告人の証人審問権は侵害されていないというべきである。ビデオリンク方式によることとされた場合には、被告人は、映像と音声の送受信を通じてであれ、証人の姿を見ながら供述を聞き、自ら尋問することができるのであるから、被告人の証人審問権は侵害されていないというべきである。さらには、ビデオリンク方式によった上で被告人から証人の状態を認識できなくする遮へい措置が採られても、映像と音声の送受信を通じてであれ、被告人は、証人の供述を聞くことはでき、自ら尋問することもでき、弁護人による証人の供述態度等の観察は妨げられないのであるから、やはり被告人の証人審問権は侵害されていないというべきことは同様である。したがって、刑訴法157条の3、157条の4は、憲法37条2項前段に違反するものでもない。」
判旨:「刑訴法157条の3(現:157条の5)は、証人尋問の際に、証人が被告人から見られていることによって圧迫を受け精神の平穏が著しく害される場合があることから、その負担を軽減するために、そのようなおそれがあって相当と認められるときには、裁判所が、被告人と証人との間で、一方から又は相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置を採り、同様に、傍聴人と証人との間でも、相互に相手の状態を認識することができないようにするための措置を採ることができる(以下、これらの措置を『遮へい措置』という。)とするものである。また、同法157条の4(現:157条の6)は、いわゆる性犯罪の被害者等の証人尋問について、裁判官及び訴訟関係人の在席する場所において証言を求められることによって証人が受ける精神的圧迫を回避するために、同一構内の別の場所に証人を在席させ、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話することができる方法によって尋問することができる(以下、このような方法を『ビデオリンク方式』という。)とするものである。
証人尋問が公判期日において行われる場合、傍聴人と証人との間で遮へい措置が採られ、あるいはビデオリンク方式によることとされ、さらには、ビデオリンク方式によった上で傍聴人と証人との間で遮へい措置が採られても、審理が公開されていることに変わりはないから、これらの規定は、憲法82条1項、37条1項に違反するものではない。
また、証人尋問の際、被告人から証人の状態を認識できなくする遮へい措置が採られた場合、被告人は、証人の姿を見ることはできないけれども、供述を聞くことはでき、自ら尋問することもでき、さらに、この措置は、弁護人が出頭している場合に限り採ることができるのであって、弁護人による証人の供述態度等の観察は妨げられないのであるから、前記のとおりの制度の趣旨にかんがみ、被告人の証人審問権は侵害されていないというべきである。ビデオリンク方式によることとされた場合には、被告人は、映像と音声の送受信を通じてであれ、証人の姿を見ながら供述を聞き、自ら尋問することができるのであるから、被告人の証人審問権は侵害されていないというべきである。さらには、ビデオリンク方式によった上で被告人から証人の状態を認識できなくする遮へい措置が採られても、映像と音声の送受信を通じてであれ、被告人は、証人の供述を聞くことはでき、自ら尋問することもでき、弁護人による証人の供述態度等の観察は妨げられないのであるから、やはり被告人の証人審問権は侵害されていないというべきことは同様である。したがって、刑訴法157条の3、157条の4は、憲法37条2項前段に違反するものでもない。」
過去問・解説
(H18 司法 第36問 エ)
犯罪被害者を証人として尋問する場合において、証人を別室に在室させていわゆるビデオリンク方式によって行う証人尋問は、最高裁判所の判例によれば、被告人が証人に面と向かって反対尋問をする権利を奪うもので、憲法第37条第2項に違反し、許されない。
犯罪被害者を証人として尋問する場合において、証人を別室に在室させていわゆるビデオリンク方式によって行う証人尋問は、最高裁判所の判例によれば、被告人が証人に面と向かって反対尋問をする権利を奪うもので、憲法第37条第2項に違反し、許されない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平17.4.14)は、「証人尋問の際、...ビデオリンク方式によることとされた場合には、被告人は、映像と音声の送受信を通じてであれ、証人の姿を見ながら供述を聞き、自ら尋問することができるのであるから、被告人の証人審問権は侵害されていないというべきである。...したがって、刑訴法157条の3、157条の4は、憲法37条2項前段に違反するものでもない。」としている。
判例(最判平17.4.14)は、「証人尋問の際、...ビデオリンク方式によることとされた場合には、被告人は、映像と音声の送受信を通じてであれ、証人の姿を見ながら供述を聞き、自ら尋問することができるのであるから、被告人の証人審問権は侵害されていないというべきである。...したがって、刑訴法157条の3、157条の4は、憲法37条2項前段に違反するものでもない。」としている。
(H23 司法 第32問 エ)
ビデオリンク方式によった上で被告人から証人の状態を認識できなくする証人の遮へい措置が採られても、映像と音声の受送信を通じてであれ、被告人は、証人の供述を聞くことはでき、自ら尋問することもでき、弁護人による証人の供述態度等の観察は妨げられないのであるから、被告人の証人審問権は侵害されていない。
ビデオリンク方式によった上で被告人から証人の状態を認識できなくする証人の遮へい措置が採られても、映像と音声の受送信を通じてであれ、被告人は、証人の供述を聞くことはでき、自ら尋問することもでき、弁護人による証人の供述態度等の観察は妨げられないのであるから、被告人の証人審問権は侵害されていない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平17.4.14)は、「ビデオリンク方式によった上で被告人から証人の状態を認識できなくする遮へい措置が採られても、映像と音声の送受信を通じてであれ、被告人は、証人の供述を聞くことはでき、自ら尋問することもでき、弁護人による証人の供述態度等の観察は妨げられないのであるから、やはり被告人の証人審問権は侵害されていない…。」としている。
判例(最判平17.4.14)は、「ビデオリンク方式によった上で被告人から証人の状態を認識できなくする遮へい措置が採られても、映像と音声の送受信を通じてであれ、被告人は、証人の供述を聞くことはでき、自ら尋問することもでき、弁護人による証人の供述態度等の観察は妨げられないのであるから、やはり被告人の証人審問権は侵害されていない…。」としている。
総合メモ
証人尋問における立会人の範囲 最一小決昭和28年4月25日
概要
227条の証人尋問にあたって被告人または弁護人のいずれかまたは双方、あるいは弁護人中の何名に立会を許すかは、裁判官の裁量に属する。
判例
事案:証人尋問の実施に当たって通知がなされなかった弁護人及び被告人が特別抗告をした事案において、227条の証人尋問における立会人の範囲が問題となった。
判旨:「刑訴227条の証人尋問の場合には、必ずしも被告人及び弁護人の立会を要するものとはされておらず、かかる刑訴228条2項の規定が憲法37条2項に違反しないことは、当裁判所大法廷の判例(判例集6巻6号800頁)であるから、右証人尋問に当って被告人、弁護人の何れか又はその双方或は弁護人中の何名に立会を許すかということも右証人尋問をする裁判官の裁量に属することであり、(しかも本件において被告人及び全弁護人が右各証人尋問に立ち会い反対尋問権を行使する機会を与えられている)またその通知に当りどの程度の準備の余裕を与えるかということも同様裁判官の裁量に属するものと解すべきであり、このような措置が何ら憲法37条2項に反しないことは前記判例の趣旨に徴し明らかなところである。」
判旨:「刑訴227条の証人尋問の場合には、必ずしも被告人及び弁護人の立会を要するものとはされておらず、かかる刑訴228条2項の規定が憲法37条2項に違反しないことは、当裁判所大法廷の判例(判例集6巻6号800頁)であるから、右証人尋問に当って被告人、弁護人の何れか又はその双方或は弁護人中の何名に立会を許すかということも右証人尋問をする裁判官の裁量に属することであり、(しかも本件において被告人及び全弁護人が右各証人尋問に立ち会い反対尋問権を行使する機会を与えられている)またその通知に当りどの程度の準備の余裕を与えるかということも同様裁判官の裁量に属するものと解すべきであり、このような措置が何ら憲法37条2項に反しないことは前記判例の趣旨に徴し明らかなところである。」
総合メモ
精神鑑定の結果の取扱い 最三小決昭和58年9月13日
概要
被告人の精神状態が刑法39条にいう心神喪失又は心神耗弱に該当するかどうかは法律判断であって専ら裁判所に委ねられるべき問題であり、その前提となる生物学的、心理学的要素についても、右法律判断との関係で究極的には裁判所の評価に委ねられるべき問題である。
判例
事案:被告人の精神状態に関する精神医学者の意見が鑑定等として証拠となっている場合に、心神喪失・心神耗弱該当性の判断、その判断の前提となる生物学的、心理学的要素についての判断を裁判所が行った。本件では、心神喪失又は心神耗弱の判断の性質とその判断の前提となる生物学的要素及び心理学的要素についての判断権の所在が問題となった。
判旨:「被告人の精神状態が刑法39条にいう心神喪失又は心神耗弱に該当するかどうかは法律判断であって専ら裁判所に委ねられるべき問題であることはもとより、その前提となる生物学的、心理学的要素についても、右法律判断との関係で究極的には裁判所の評価に委ねられるべき問題である...。」
判旨:「被告人の精神状態が刑法39条にいう心神喪失又は心神耗弱に該当するかどうかは法律判断であって専ら裁判所に委ねられるべき問題であることはもとより、その前提となる生物学的、心理学的要素についても、右法律判断との関係で究極的には裁判所の評価に委ねられるべき問題である...。」
総合メモ
外国人に対する判決の方法 最三小判昭和30年2月15日
概要
判決を宣告する場合においても国語に通じない被告人に対しては通訳人を付しなければならない。
判例
事案:日本語を理解できない外国人の公判において、通訳人をつけないで判決宣告をしたところ、かかる措置が175条に反しないかが問題となった。
判旨:「刑訴175条は、国語に通じない者に陳述をさせる場合には、通訳人に通訳をさせなければならないと規定しており、公判廷で判決を宣告するには、被告人の陳述を必要とするものではないから、判決を宣告する場合には同条の適用がないかのごとき観があるけれども、同条の規定は、公判廷で被告人に供述を求め証人等を尋問する場合に適用されるほか、裁判等の趣旨を了解させるためにも通訳人を用いなければならない趣旨を含むものと解すべきであるから、いやしくも公判廷における取調に際して通訳人を必要とした被告人に対しては、その判決の宣告に際しても同条に従い通訳人を付していかなる判決の宣告があったのかを被告人に了解させなければならないものというべきである。」
判旨:「刑訴175条は、国語に通じない者に陳述をさせる場合には、通訳人に通訳をさせなければならないと規定しており、公判廷で判決を宣告するには、被告人の陳述を必要とするものではないから、判決を宣告する場合には同条の適用がないかのごとき観があるけれども、同条の規定は、公判廷で被告人に供述を求め証人等を尋問する場合に適用されるほか、裁判等の趣旨を了解させるためにも通訳人を用いなければならない趣旨を含むものと解すべきであるから、いやしくも公判廷における取調に際して通訳人を必要とした被告人に対しては、その判決の宣告に際しても同条に従い通訳人を付していかなる判決の宣告があったのかを被告人に了解させなければならないものというべきである。」
過去問・解説
(H26 司法 第39問 オ)
外国人である被告人の公判において、判決の言渡しに限っては、通訳を付さずにしても違法ではない。
外国人である被告人の公判において、判決の言渡しに限っては、通訳を付さずにしても違法ではない。
(正答)✕
(解説)
175条は、「国語に通じない者に陳述をさせる場合には、通訳人に通訳をさせなければならない。」と規定している。
これについて、判例(最判昭30.2.15)は、「いやしくも公判廷における取調に際して通訳人を必要とした被告人に対しては、その判決の宣告に際しても同条に従い通訳人を付していかなる判決の宣告があったのかを被告人に了解させなければならないものというべきである。」としている。
したがって、判決の言渡しについても、通訳を付さなければ175条に反し違法となる。
175条は、「国語に通じない者に陳述をさせる場合には、通訳人に通訳をさせなければならない。」と規定している。
これについて、判例(最判昭30.2.15)は、「いやしくも公判廷における取調に際して通訳人を必要とした被告人に対しては、その判決の宣告に際しても同条に従い通訳人を付していかなる判決の宣告があったのかを被告人に了解させなければならないものというべきである。」としている。
したがって、判決の言渡しについても、通訳を付さなければ175条に反し違法となる。
総合メモ
弁論の併合前に被告人のために取り調べた証拠は弁論の併合により当然に他の共同被告人の関係でも証拠となるか 最一小判昭和45年11月5日
概要
控訴審裁判所が 共同被告人の1人に対する1審判決判示の事実について事実誤認の有無を審査するにあたり、同被告人の関係では証拠調の手続を経ていない、他の共同被告人の関係で弁論併合前に取り調べた証拠をその資料に供することは、違法である。
判例
事案:盗品等罪の被告事件において、控訴審が第1審判決判示の事実につき事実誤認の有無を審査するにあたり、被告人との関係では証拠調べ手続きを経ていないが、弁論併合前に、共同被告人との関係で証拠調べ手続きがなされた証拠を、被告人との関係で証拠調べ手続きを経ずに事実認定の資料とした事案において、かかる措置の適法性が問題となった。
判旨:「原審が...被告人に対する第1審判決判示第1の事実について事実誤認の有無を審査するにあたり、...被告人の関係においては、証拠調手続を経ていない...証拠をその資料に供したのは違法である...。」
判旨:「原審が...被告人に対する第1審判決判示第1の事実について事実誤認の有無を審査するにあたり、...被告人の関係においては、証拠調手続を経ていない...証拠をその資料に供したのは違法である...。」