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証拠能力(補強法則)
共犯者の自白 最大判昭和33年5月28日
概要
共同審理を受けていない単なる共犯者は勿論、共同審理を受けている共犯者(共同被告人)であっても、被告人本人との関係においては、被告人以外の者であって、かかる共犯者または共同被告人の犯罪事実に関する供述は、憲法第38条2項のごとき証拠能力を有しないものでない限り、独立、完全な証明力を有し、憲法第38条第3項にいわゆる「本人の自白」と同一視し、またはこれに準ずるものではない。
判例
事案:傷害致死罪等の共謀共同正犯に問われた被告人と共同被告人の裁判において、共同被告人の自白を、被告人との関係で証拠として採用した事案において、共犯者の自白に補強法則(憲法38条3項、法319条2項)が適用されるか否かが問題となった。
判旨:「憲法38条2項は、強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができないと規定して、かかる自白の証拠能力を否定しているが、然らざる自白の証拠能力を肯定しているのである。しかし、実体的真実でない架空な犯罪事実が時として被告人本人の自白のみによって認定される危険と弊害とを防止するため、特に、同条3項は、何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられないと規定して、被告人本人の自白だけを唯一の証拠として犯罪事実全部を肯認することができる場合であっても、それだけで有罪とされ又は刑罰を科せられないものとし、かかる自白の証明力(すなわち証拠価値)に対する自由心証を制限し、もって、被告人本人を処罰するには、さらに、その自白の証明力を補充し又は強化すべき他の証拠(いわゆる補強証拠)を要するものとしているのである。すなわち、憲法38条3項の規定は、被告人本人の自白の証拠能力を否定又は制限したものではなく、また、その証明力が犯罪事実全部を肯認できない場合の規定でもなく、かえって、証拠能力ある被告人本人の供述であって、しかも、本来犯罪事実全部を肯認することのできる証明力を有するもの、換言すれば、いわゆる完全な自白のあることを前提とする規定と解するを相当とし、従って、わが刑訴337条(現:318条)で採用している証拠の証明力に対する自由心証主義に対する例外規定としてこれを厳格に解釈すべきであって、共犯者の自白をいわゆる『本人の自白』と同一視し又はこれに準ずるものとすることはできない。けだし共同審理を受けていない単なる共犯者は勿論、共同審理を受けている共犯者(共同被告人)であっても、被告人本人との関係においては、被告人以外の者であって、被害者その他の純然たる証人とその本質を異にするものではないからである。されば、かかる共犯者又は共同被告人の犯罪事実に関する供述は、憲法38条2項のごとき証拠能力を有しないものでない限り、自由心証に委かさるべき独立、完全な証明力を有するものといわざるを得ない。」
判旨:「憲法38条2項は、強制、拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、これを証拠とすることができないと規定して、かかる自白の証拠能力を否定しているが、然らざる自白の証拠能力を肯定しているのである。しかし、実体的真実でない架空な犯罪事実が時として被告人本人の自白のみによって認定される危険と弊害とを防止するため、特に、同条3項は、何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられないと規定して、被告人本人の自白だけを唯一の証拠として犯罪事実全部を肯認することができる場合であっても、それだけで有罪とされ又は刑罰を科せられないものとし、かかる自白の証明力(すなわち証拠価値)に対する自由心証を制限し、もって、被告人本人を処罰するには、さらに、その自白の証明力を補充し又は強化すべき他の証拠(いわゆる補強証拠)を要するものとしているのである。すなわち、憲法38条3項の規定は、被告人本人の自白の証拠能力を否定又は制限したものではなく、また、その証明力が犯罪事実全部を肯認できない場合の規定でもなく、かえって、証拠能力ある被告人本人の供述であって、しかも、本来犯罪事実全部を肯認することのできる証明力を有するもの、換言すれば、いわゆる完全な自白のあることを前提とする規定と解するを相当とし、従って、わが刑訴337条(現:318条)で採用している証拠の証明力に対する自由心証主義に対する例外規定としてこれを厳格に解釈すべきであって、共犯者の自白をいわゆる『本人の自白』と同一視し又はこれに準ずるものとすることはできない。けだし共同審理を受けていない単なる共犯者は勿論、共同審理を受けている共犯者(共同被告人)であっても、被告人本人との関係においては、被告人以外の者であって、被害者その他の純然たる証人とその本質を異にするものではないからである。されば、かかる共犯者又は共同被告人の犯罪事実に関する供述は、憲法38条2項のごとき証拠能力を有しないものでない限り、自由心証に委かさるべき独立、完全な証明力を有するものといわざるを得ない。」
過去問・解説
(H26 共通 第30問 エ)
【事例】
被告人Aと被告人Bは、共謀の上、A方で覚せい剤を所持したとの覚せい剤取締法違反に係る公訴事実で起訴された。公判廷では、Aは、Bと共に犯行に及んだことを認める旨の供述をしているが、Bは、自己の関与を否定する旨の供述をしている。検察官は、A方から押収された覚せい剤、同覚せい剤の鑑定書、A方の捜索差押調書等の証拠調べを請求している。
Bについては、Aの公判廷における自白を根拠に有罪とされることがあるが、Aについては、Bとの共同所持の事実の補強証拠が取調べ請求されていないから、このままでは共同所持の事実で有罪とされることはない。
【事例】
被告人Aと被告人Bは、共謀の上、A方で覚せい剤を所持したとの覚せい剤取締法違反に係る公訴事実で起訴された。公判廷では、Aは、Bと共に犯行に及んだことを認める旨の供述をしているが、Bは、自己の関与を否定する旨の供述をしている。検察官は、A方から押収された覚せい剤、同覚せい剤の鑑定書、A方の捜索差押調書等の証拠調べを請求している。
Bについては、Aの公判廷における自白を根拠に有罪とされることがあるが、Aについては、Bとの共同所持の事実の補強証拠が取調べ請求されていないから、このままでは共同所持の事実で有罪とされることはない。
(正答)〇
(解説)
Aは、Bと共に犯行に及んだことを認める旨の供述をしており、これはAの自白に当たる。しかし、Aについては、Aの自白の他に補強証拠が存在しない以上、Aについては共同所持の事実で有罪とされることはない。これに対し、Bについては、Aの自白が存在する。
判例(最大判昭33.5.28)は、「共犯者の自白をいわゆる『本人の自白』と同一視し又はこれに準ずるものとすることはできない。」としており、被告人との関係で、共犯者の自白に補強証拠は不要である。
したがって、Bについては、Aの公判廷における自白を根拠に有罪とされることがある。
Aは、Bと共に犯行に及んだことを認める旨の供述をしており、これはAの自白に当たる。しかし、Aについては、Aの自白の他に補強証拠が存在しない以上、Aについては共同所持の事実で有罪とされることはない。これに対し、Bについては、Aの自白が存在する。
判例(最大判昭33.5.28)は、「共犯者の自白をいわゆる『本人の自白』と同一視し又はこれに準ずるものとすることはできない。」としており、被告人との関係で、共犯者の自白に補強証拠は不要である。
したがって、Bについては、Aの公判廷における自白を根拠に有罪とされることがある。
(R6 予備 第14問 オ)
共謀共同正犯における共謀の事実は、共謀共同正犯における「罪となるべき事実」に含まれるから、刑事訴訟法の規定により証拠能力が認められ、かつ、公判廷における適式な証拠調べを経た証拠による証明を要する。
共謀共同正犯における共謀の事実は、共謀共同正犯における「罪となるべき事実」に含まれるから、刑事訴訟法の規定により証拠能力が認められ、かつ、公判廷における適式な証拠調べを経た証拠による証明を要する。
(正答)〇
(解説)
判例(最大判昭33.5.28)は、「『共謀』または『謀議』は、共謀共同正犯における『罪となるべき事実』にほかならないから、これを認めるためには厳格な証明によらなければならないこというまでもない。」としている。
したがって、刑事訴訟法の規定により証拠能力が認められ、かつ、公判廷における適式な証拠調べを経た証拠による証明を要する。
判例(最大判昭33.5.28)は、「『共謀』または『謀議』は、共謀共同正犯における『罪となるべき事実』にほかならないから、これを認めるためには厳格な証明によらなければならないこというまでもない。」としている。
したがって、刑事訴訟法の規定により証拠能力が認められ、かつ、公判廷における適式な証拠調べを経た証拠による証明を要する。
(R6 予備 第24問 ア)
【設問】と【結論】を前提とした場合、以下の【記述】は正しいか。
【設問】
①被告人が犯行を否認している場合、被告人と共に犯行を行った旨の共犯者の自白のみで被告人を有罪とすることが許されるか。
②共犯者だけでなく、被告人も犯行を行ったことを認めている場合、共犯者の自白で被告人の自白を補強して被告人を有罪とすることが許されるか。
【結論】
Ⅰ.①及び②のいずれの場合も、被告人を有罪とすることが許されない。
Ⅱ.①の場合には、被告人を有罪とすることが許されないが、②の場合には、被告人を有罪とす ることが許される。
Ⅲ.①及び②のいずれの場合も、被告人を有罪とすることが許される。
【記述】
共犯者に対しては反対尋問が可能であり、反対尋問を経ない被告人の自白より反対尋問を経 た共犯者の自白の証明力が強いのは当然であると考えると、結論Ⅰに結び付きやすい。
【設問】と【結論】を前提とした場合、以下の【記述】は正しいか。
【設問】
①被告人が犯行を否認している場合、被告人と共に犯行を行った旨の共犯者の自白のみで被告人を有罪とすることが許されるか。
②共犯者だけでなく、被告人も犯行を行ったことを認めている場合、共犯者の自白で被告人の自白を補強して被告人を有罪とすることが許されるか。
【結論】
Ⅰ.①及び②のいずれの場合も、被告人を有罪とすることが許されない。
Ⅱ.①の場合には、被告人を有罪とすることが許されないが、②の場合には、被告人を有罪とす ることが許される。
Ⅲ.①及び②のいずれの場合も、被告人を有罪とすることが許される。
【記述】
共犯者に対しては反対尋問が可能であり、反対尋問を経ない被告人の自白より反対尋問を経 た共犯者の自白の証明力が強いのは当然であると考えると、結論Ⅰに結び付きやすい。
(正答)✕
(解説)
319条2項は、「被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。」と規定している。
これについて、判例(最大判昭33.5.28)は、「共犯者の自白をいわゆる『本人の自白』と同一視し又はこれに準ずるものとすることはできない。」として、共犯者の自白と補強証拠の要否について共犯者の自白のみで被告人を有罪とすることができるとする不要説に立っている。
不要説につき学説は、補強証拠法則は自由心象主義(318条)の例外で限定的に解釈すべき、共犯者に対しては反対尋問が可能で被告人の自白よりも証明力が強い、結局のところ犯罪の証明に至るためにはほかに補強証拠を必要とするこのになるであろうから、必ず必要とする意義は薄いことなどを理由として挙げる。
必要説につき学説は、他に補強証拠がないなら否認した被告人が有罪で自白した共犯者が無罪という非常識な結果となる、共犯者の供述は責任転嫁の危険が大きい、被告人と共犯者の自白を区別する理由に乏しいことなどなどを理由として挙げる。
【記述】アは不要説に基づいているため、結論Ⅲと結びつきやすい。
319条2項は、「被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。」と規定している。
これについて、判例(最大判昭33.5.28)は、「共犯者の自白をいわゆる『本人の自白』と同一視し又はこれに準ずるものとすることはできない。」として、共犯者の自白と補強証拠の要否について共犯者の自白のみで被告人を有罪とすることができるとする不要説に立っている。
不要説につき学説は、補強証拠法則は自由心象主義(318条)の例外で限定的に解釈すべき、共犯者に対しては反対尋問が可能で被告人の自白よりも証明力が強い、結局のところ犯罪の証明に至るためにはほかに補強証拠を必要とするこのになるであろうから、必ず必要とする意義は薄いことなどを理由として挙げる。
必要説につき学説は、他に補強証拠がないなら否認した被告人が有罪で自白した共犯者が無罪という非常識な結果となる、共犯者の供述は責任転嫁の危険が大きい、被告人と共犯者の自白を区別する理由に乏しいことなどなどを理由として挙げる。
【記述】アは不要説に基づいているため、結論Ⅲと結びつきやすい。
(R6 予備 第24問 イ)
【設問】と【結論】を前提とした場合、以下の【記述】は正しいか。
【設問】
①被告人が犯行を否認している場合、被告人と共に犯行を行った旨の共犯者の自白のみで被告人を有罪とすることが許されるか。
②共犯者だけでなく、被告人も犯行を行ったことを認めている場合、共犯者の自白で被告人の自白を補強して被告人を有罪とすることが許されるか。
【結論】
Ⅰ.①及び②のいずれの場合も、被告人を有罪とすることが許されない。
Ⅱ.①の場合には、被告人を有罪とすることが許されないが、②の場合には、被告人を有罪とす ることが許される。
Ⅲ.①及び②のいずれの場合も、被告人を有罪とすることが許される。
【記述】
刑事訴訟法第319条第2項の規定は、自由心証主義の例外であるから限定的に解すべきで あると考えると、結論Ⅰに結び付きやすい。
【設問】と【結論】を前提とした場合、以下の【記述】は正しいか。
【設問】
①被告人が犯行を否認している場合、被告人と共に犯行を行った旨の共犯者の自白のみで被告人を有罪とすることが許されるか。
②共犯者だけでなく、被告人も犯行を行ったことを認めている場合、共犯者の自白で被告人の自白を補強して被告人を有罪とすることが許されるか。
【結論】
Ⅰ.①及び②のいずれの場合も、被告人を有罪とすることが許されない。
Ⅱ.①の場合には、被告人を有罪とすることが許されないが、②の場合には、被告人を有罪とす ることが許される。
Ⅲ.①及び②のいずれの場合も、被告人を有罪とすることが許される。
【記述】
刑事訴訟法第319条第2項の規定は、自由心証主義の例外であるから限定的に解すべきで あると考えると、結論Ⅰに結び付きやすい。
(正答)✕
(解説)
319条2項は、「被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。」と規定している。
これについて、判例(最大判昭33.5.28)は、「共犯者の自白をいわゆる『本人の自白』と同一視し又はこれに準ずるものとすることはできない。」として、共犯者の自白と補強証拠の要否について共犯者の自白のみで被告人を有罪とすることができるとする不要説に立っている。
不要説につき学説は、補強証拠法則は自由心象主義(318条)の例外で限定的に解釈すべき、共犯者に対しては反対尋問が可能で被告人の自白よりも証明力が強い、結局のところ犯罪の証明に至るためにはほかに補強証拠を必要とするこのになるであろうから、必ず必要とする意義は薄いことなどを理由として挙げる。
必要説につき学説は、他に補強証拠がないなら否認した被告人が有罪で自白した共犯者が無罪という非常識な結果となる、共犯者の供述は責任転嫁の危険が大きい、被告人と共犯者の自白を区別する理由に乏しいことなどなどを理由として挙げる。
【記述】イは不要説に基づいているため、結論Ⅲと結びつきやすい。
319条2項は、「被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。」と規定している。
これについて、判例(最大判昭33.5.28)は、「共犯者の自白をいわゆる『本人の自白』と同一視し又はこれに準ずるものとすることはできない。」として、共犯者の自白と補強証拠の要否について共犯者の自白のみで被告人を有罪とすることができるとする不要説に立っている。
不要説につき学説は、補強証拠法則は自由心象主義(318条)の例外で限定的に解釈すべき、共犯者に対しては反対尋問が可能で被告人の自白よりも証明力が強い、結局のところ犯罪の証明に至るためにはほかに補強証拠を必要とするこのになるであろうから、必ず必要とする意義は薄いことなどを理由として挙げる。
必要説につき学説は、他に補強証拠がないなら否認した被告人が有罪で自白した共犯者が無罪という非常識な結果となる、共犯者の供述は責任転嫁の危険が大きい、被告人と共犯者の自白を区別する理由に乏しいことなどなどを理由として挙げる。
【記述】イは不要説に基づいているため、結論Ⅲと結びつきやすい。
(R6 予備 第24問 ウ)
【設問】と【結論】を前提とした場合、以下の【記述】は正しいか。
【設問】
①被告人が犯行を否認している場合、被告人と共に犯行を行った旨の共犯者の自白のみで被告人を有罪とすることが許されるか。
②共犯者だけでなく、被告人も犯行を行ったことを認めている場合、共犯者の自白で被告人の自白を補強して被告人を有罪とすることが許されるか。
【結論】
Ⅰ.①及び②のいずれの場合も、被告人を有罪とすることが許されない。
Ⅱ.①の場合には、被告人を有罪とすることが許されないが、②の場合には、被告人を有罪とす ることが許される。
Ⅲ.①及び②のいずれの場合も、被告人を有罪とすることが許される。
【記述】
結論Ⅱとする立場は、憲法第38条第3項の「本人の自白」に共犯者の自白も含まれるのは、被告人が否認し、共犯者が自白している場合に限られると考えることになる。
【設問】と【結論】を前提とした場合、以下の【記述】は正しいか。
【設問】
①被告人が犯行を否認している場合、被告人と共に犯行を行った旨の共犯者の自白のみで被告人を有罪とすることが許されるか。
②共犯者だけでなく、被告人も犯行を行ったことを認めている場合、共犯者の自白で被告人の自白を補強して被告人を有罪とすることが許されるか。
【結論】
Ⅰ.①及び②のいずれの場合も、被告人を有罪とすることが許されない。
Ⅱ.①の場合には、被告人を有罪とすることが許されないが、②の場合には、被告人を有罪とす ることが許される。
Ⅲ.①及び②のいずれの場合も、被告人を有罪とすることが許される。
【記述】
結論Ⅱとする立場は、憲法第38条第3項の「本人の自白」に共犯者の自白も含まれるのは、被告人が否認し、共犯者が自白している場合に限られると考えることになる。
(正答)〇
(解説)
319条2項は、「被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。」と規定している。
これについて、判例(最大判昭33.5.28)は、「共犯者の自白をいわゆる『本人の自白』と同一視し又はこれに準ずるものとすることはできない。」として、共犯者の自白と補強証拠の要否について共犯者の自白のみで被告人を有罪とすることができるとする不要説に立っている。
不要説につき学説は、補強証拠法則は自由心象主義(318条)の例外で限定的に解釈すべき、共犯者に対しては反対尋問が可能で被告人の自白よりも証明力が強い、結局のところ犯罪の証明に至るためにはほかに補強証拠を必要とするこのになるであろうから、必ず必要とする意義は薄いことなどを理由として挙げる。
必要説につき学説は、他に補強証拠がないなら否認した被告人が有罪で自白した共犯者が無罪という非常識な結果となる、共犯者の供述は責任転嫁の危険が大きい、被告人と共犯者の自白を区別する理由に乏しいことなどなどを理由として挙げる。
また、憲法38条3項は、「何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。」と規定している。
憲法第38条第3項の「本人の自白」に共犯者の自白も含まれるのは、 被告人が否認し、共犯者が自白している場合に限られると考えると、被告人が否認している設問①は被告人を有罪とできないが、被告人が自白している設問②は被告人を有罪とすることが許されることとなる。
319条2項は、「被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。」と規定している。
これについて、判例(最大判昭33.5.28)は、「共犯者の自白をいわゆる『本人の自白』と同一視し又はこれに準ずるものとすることはできない。」として、共犯者の自白と補強証拠の要否について共犯者の自白のみで被告人を有罪とすることができるとする不要説に立っている。
不要説につき学説は、補強証拠法則は自由心象主義(318条)の例外で限定的に解釈すべき、共犯者に対しては反対尋問が可能で被告人の自白よりも証明力が強い、結局のところ犯罪の証明に至るためにはほかに補強証拠を必要とするこのになるであろうから、必ず必要とする意義は薄いことなどを理由として挙げる。
必要説につき学説は、他に補強証拠がないなら否認した被告人が有罪で自白した共犯者が無罪という非常識な結果となる、共犯者の供述は責任転嫁の危険が大きい、被告人と共犯者の自白を区別する理由に乏しいことなどなどを理由として挙げる。
また、憲法38条3項は、「何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、有罪とされ、又は刑罰を科せられない。」と規定している。
憲法第38条第3項の「本人の自白」に共犯者の自白も含まれるのは、 被告人が否認し、共犯者が自白している場合に限られると考えると、被告人が否認している設問①は被告人を有罪とできないが、被告人が自白している設問②は被告人を有罪とすることが許されることとなる。
(R6 予備 第24問 エ)
【設問】と【結論】を前提とした場合、以下の【記述】は正しいか。
【設問】
①被告人が犯行を否認している場合、被告人と共に犯行を行った旨の共犯者の自白のみで被告人を有罪とすることが許されるか。
②共犯者だけでなく、被告人も犯行を行ったことを認めている場合、共犯者の自白で被告人の自白を補強して被告人を有罪とすることが許されるか。
【結論】
Ⅰ.①及び②のいずれの場合も、被告人を有罪とすることが許されない。
Ⅱ.①の場合には、被告人を有罪とすることが許されないが、②の場合には、被告人を有罪とす ることが許される。
Ⅲ.①及び②のいずれの場合も、被告人を有罪とすることが許される。
【記述】
自白の証明力の過大評価を防止するという刑事訴訟法第319条第2項の規定の趣旨からすれば、被告人の自白と共犯者の自白を区別する理由がないと考えると、結論Ⅲに結び付きやすい。
【設問】と【結論】を前提とした場合、以下の【記述】は正しいか。
【設問】
①被告人が犯行を否認している場合、被告人と共に犯行を行った旨の共犯者の自白のみで被告人を有罪とすることが許されるか。
②共犯者だけでなく、被告人も犯行を行ったことを認めている場合、共犯者の自白で被告人の自白を補強して被告人を有罪とすることが許されるか。
【結論】
Ⅰ.①及び②のいずれの場合も、被告人を有罪とすることが許されない。
Ⅱ.①の場合には、被告人を有罪とすることが許されないが、②の場合には、被告人を有罪とす ることが許される。
Ⅲ.①及び②のいずれの場合も、被告人を有罪とすることが許される。
【記述】
自白の証明力の過大評価を防止するという刑事訴訟法第319条第2項の規定の趣旨からすれば、被告人の自白と共犯者の自白を区別する理由がないと考えると、結論Ⅲに結び付きやすい。
(正答)✕
(解説)
319条2項は、「被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。」と規定している。
これについて、判例(最大判昭33.5.28)は、「共犯者の自白をいわゆる『本人の自白』と同一視し又はこれに準ずるものとすることはできない。」として、共犯者の自白と補強証拠の要否について共犯者の自白のみで被告人を有罪とすることができるとする不要説に立っている。
不要説につき学説は、補強証拠法則は自由心象主義(318条)の例外で限定的に解釈すべき、共犯者に対しては反対尋問が可能で被告人の自白よりも証明力が強い、結局のところ犯罪の証明に至るためにはほかに補強証拠を必要とするこのになるであろうから、必ず必要とする意義は薄いことなどを理由として挙げる。
必要説につき学説は、他に補強証拠がないなら否認した被告人が有罪で自白した共犯者が無罪という非常識な結果となる、共犯者の供述は責任転嫁の危険が大きい、被告人と共犯者の自白を区別する理由に乏しいことなどなどを理由として挙げる。
【記述】エは必要説に基づいているため、結論Ⅰ又はⅡと結びつきやすい。
319条2項は、「被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。」と規定している。
これについて、判例(最大判昭33.5.28)は、「共犯者の自白をいわゆる『本人の自白』と同一視し又はこれに準ずるものとすることはできない。」として、共犯者の自白と補強証拠の要否について共犯者の自白のみで被告人を有罪とすることができるとする不要説に立っている。
不要説につき学説は、補強証拠法則は自由心象主義(318条)の例外で限定的に解釈すべき、共犯者に対しては反対尋問が可能で被告人の自白よりも証明力が強い、結局のところ犯罪の証明に至るためにはほかに補強証拠を必要とするこのになるであろうから、必ず必要とする意義は薄いことなどを理由として挙げる。
必要説につき学説は、他に補強証拠がないなら否認した被告人が有罪で自白した共犯者が無罪という非常識な結果となる、共犯者の供述は責任転嫁の危険が大きい、被告人と共犯者の自白を区別する理由に乏しいことなどなどを理由として挙げる。
【記述】エは必要説に基づいているため、結論Ⅰ又はⅡと結びつきやすい。
(R6 予備 第24問 オ)
【設問】と【結論】を前提とした場合、以下の【記述】は正しいか。
【設問】
①被告人が犯行を否認している場合、被告人と共に犯行を行った旨の共犯者の自白のみで被告人を有罪とすることが許されるか。
②共犯者だけでなく、被告人も犯行を行ったことを認めている場合、共犯者の自白で被告人の自白を補強して被告人を有罪とすることが許されるか。
【結論】
Ⅰ.①及び②のいずれの場合も、被告人を有罪とすることが許されない。
Ⅱ.①の場合には、被告人を有罪とすることが許されないが、②の場合には、被告人を有罪とす ることが許される。
Ⅲ.①及び②のいずれの場合も、被告人を有罪とすることが許される。
【記述】
結論Ⅲとする立場に対しては、ほかに補強証拠がない限り、否認した被告人が有罪、自白した共犯者が無罪になるという非常識な結論が生じかねないとの批判がある。
【設問】と【結論】を前提とした場合、以下の【記述】は正しいか。
【設問】
①被告人が犯行を否認している場合、被告人と共に犯行を行った旨の共犯者の自白のみで被告人を有罪とすることが許されるか。
②共犯者だけでなく、被告人も犯行を行ったことを認めている場合、共犯者の自白で被告人の自白を補強して被告人を有罪とすることが許されるか。
【結論】
Ⅰ.①及び②のいずれの場合も、被告人を有罪とすることが許されない。
Ⅱ.①の場合には、被告人を有罪とすることが許されないが、②の場合には、被告人を有罪とす ることが許される。
Ⅲ.①及び②のいずれの場合も、被告人を有罪とすることが許される。
【記述】
結論Ⅲとする立場に対しては、ほかに補強証拠がない限り、否認した被告人が有罪、自白した共犯者が無罪になるという非常識な結論が生じかねないとの批判がある。
(正答)〇
(解説)
319条2項は、「被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。」と規定している。
これについて、判例(最大判昭33.5.28)は、「共犯者の自白をいわゆる『本人の自白』と同一視し又はこれに準ずるものとすることはできない。」として、共犯者の自白と補強証拠の要否について共犯者の自白のみで被告人を有罪とすることができるとする不要説に立っている。
不要説につき学説は、補強証拠法則は自由心象主義(318条)の例外で限定的に解釈すべき、共犯者に対しては反対尋問が可能で被告人の自白よりも証明力が強い、結局のところ犯罪の証明に至るためにはほかに補強証拠を必要とするこのになるであろうから、必ず必要とする意義は薄いことなどを理由として挙げる。
必要説につき学説は、他に補強証拠がないなら否認した被告人が有罪で自白した共犯者が無罪という非常識な結果となる、共犯者の供述は責任転嫁の危険が大きい、被告人と共犯者の自白を区別する理由に乏しいことなどなどを理由として挙げる。
【記述】エは必要説に基づいているため、結論Ⅲに対する批判になりうる。
319条2項は、「被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。」と規定している。
これについて、判例(最大判昭33.5.28)は、「共犯者の自白をいわゆる『本人の自白』と同一視し又はこれに準ずるものとすることはできない。」として、共犯者の自白と補強証拠の要否について共犯者の自白のみで被告人を有罪とすることができるとする不要説に立っている。
不要説につき学説は、補強証拠法則は自由心象主義(318条)の例外で限定的に解釈すべき、共犯者に対しては反対尋問が可能で被告人の自白よりも証明力が強い、結局のところ犯罪の証明に至るためにはほかに補強証拠を必要とするこのになるであろうから、必ず必要とする意義は薄いことなどを理由として挙げる。
必要説につき学説は、他に補強証拠がないなら否認した被告人が有罪で自白した共犯者が無罪という非常識な結果となる、共犯者の供述は責任転嫁の危険が大きい、被告人と共犯者の自白を区別する理由に乏しいことなどなどを理由として挙げる。
【記述】エは必要説に基づいているため、結論Ⅲに対する批判になりうる。
総合メモ
盗難に気づいてから作成された被害顛末書 最一小判昭和32年5月23日
過去問・解説
(H24 司法 第32問 エ)
【事例】
甲は、平成23年4月3日、H警察署を訪れ、同署司法警察員Xに対し、「乙と一緒にV1を殺害する計画を立てた。その計画は、乙がV1をH市内の岸壁に呼び出し、私が普通乗用自動車を運転してV1を跳ね飛ばして殺害し、V1の死体を海に捨てるというものであった。実際、私は、この計画どおり、平成23年2月3日午後9時頃、前記岸壁において、普通乗用自動車を運転し、乙が呼び出したV1を跳ね飛ばして殺害し、乙と一緒にV1の死体を海に捨てた。ちなみに、私は、これまで、一度も運転免許を取得したことがない。また、私は、平成22年12月8日、H市内にあるアパートの一室に侵入して現金10万円と時計1個を盗んだ。その後に確認したところ、私が盗みに入ったアパートの住人はV2だと分かった。」などと、道路交通法違反(無免許運転)、殺人、死体遺棄、住居侵入、窃盗の罪を自白した。そこで、司法警察員Xは、この自白を内容とする供述調書を作成した。その後、甲は、平成23年4月5日、司法警察員Xに述べたことと同じ内容を記載した知人A宛ての手紙を作成した上、これをAに郵送した。
甲を住居侵入、窃盗の罪で有罪とするには、平成23年4月3日より前にV2が前記被害を届けていることについての補強証拠が必要不可欠であり、前記甲の自白を端緒に捜査を開始した結果、V2が前記被害に気付いて被害を届けた場合、甲を住居侵入、窃盗の罪で有罪とする余地はない。
【事例】
甲は、平成23年4月3日、H警察署を訪れ、同署司法警察員Xに対し、「乙と一緒にV1を殺害する計画を立てた。その計画は、乙がV1をH市内の岸壁に呼び出し、私が普通乗用自動車を運転してV1を跳ね飛ばして殺害し、V1の死体を海に捨てるというものであった。実際、私は、この計画どおり、平成23年2月3日午後9時頃、前記岸壁において、普通乗用自動車を運転し、乙が呼び出したV1を跳ね飛ばして殺害し、乙と一緒にV1の死体を海に捨てた。ちなみに、私は、これまで、一度も運転免許を取得したことがない。また、私は、平成22年12月8日、H市内にあるアパートの一室に侵入して現金10万円と時計1個を盗んだ。その後に確認したところ、私が盗みに入ったアパートの住人はV2だと分かった。」などと、道路交通法違反(無免許運転)、殺人、死体遺棄、住居侵入、窃盗の罪を自白した。そこで、司法警察員Xは、この自白を内容とする供述調書を作成した。その後、甲は、平成23年4月5日、司法警察員Xに述べたことと同じ内容を記載した知人A宛ての手紙を作成した上、これをAに郵送した。
甲を住居侵入、窃盗の罪で有罪とするには、平成23年4月3日より前にV2が前記被害を届けていることについての補強証拠が必要不可欠であり、前記甲の自白を端緒に捜査を開始した結果、V2が前記被害に気付いて被害を届けた場合、甲を住居侵入、窃盗の罪で有罪とする余地はない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭32.5.23)は、「所論顛末書は、被害物件の保管場所、保管者、保管状況等を詳述し、被告人の公判廷における自白を補強するに足りるものと認められる...。」として、被告人の自白後に作成された補強証拠に証拠適格を認めている。
したがって、甲の自白を端緒に捜査が開始された結果、V2が被害に気がつき被害届を提出した場合、当該被害届に補強証拠適格が認められるため、甲を住居侵入・窃盗の罪で有罪としうる。
判例(最判昭32.5.23)は、「所論顛末書は、被害物件の保管場所、保管者、保管状況等を詳述し、被告人の公判廷における自白を補強するに足りるものと認められる...。」として、被告人の自白後に作成された補強証拠に証拠適格を認めている。
したがって、甲の自白を端緒に捜査が開始された結果、V2が被害に気がつき被害届を提出した場合、当該被害届に補強証拠適格が認められるため、甲を住居侵入・窃盗の罪で有罪としうる。
総合メモ
他の機会における自白 最大判昭和25年7月12日
概要
旧刑訴の適用を受ける事件について、第2審の裁判所が、その被告人の第1審公判調書中の供述記載(自白)と司法警察官訊問調書中の供述記載(自白)とを証拠として有罪の認定をすることは、憲法第38条第3項及び刑訴応急措置法第10条第3項に違反する。
判例
事案:第2審は、第1審における被告人の自白と、司法警察官作成供述調書中の被告人の自白のみをもって被告人を有罪とした事案において、同一被告人の異なる時点の自白が補強証拠となるか否かが問題となった。
判旨:「原判決は、判示第1の事実を認定するに当り、(1)第1審公判調書中の被告人の供述記載と(2)被告人に対する司法警察官の尋問調書中の供述記載を証拠として採っている。当該判決裁判所の公判廷における被告人の自白は、憲法38条3項にいわゆる『本人の自白』に含まれないことは判例の示すとおりである(昭和23年(れ)168号、同年7月29日大法廷、判例集2巻9号1014頁)。しかしながら、第1審の公判廷における被告人の供述は、これと異り前記『本人の自白』に含まれるから、独立して完全な証拠能力を有しないので、有罪を認定するには他の補強証拠を必要とするのである。しかるに、本件においてはこれと司法警察官に対する被告人の供述記載(これも補強証拠を要する)とによって有罪を認定している。かように、互に補強証拠を要する同一被告人の供述を幾ら集めてみたところで所詮有罪を認定するわけにはいかない道理である。」
判旨:「原判決は、判示第1の事実を認定するに当り、(1)第1審公判調書中の被告人の供述記載と(2)被告人に対する司法警察官の尋問調書中の供述記載を証拠として採っている。当該判決裁判所の公判廷における被告人の自白は、憲法38条3項にいわゆる『本人の自白』に含まれないことは判例の示すとおりである(昭和23年(れ)168号、同年7月29日大法廷、判例集2巻9号1014頁)。しかしながら、第1審の公判廷における被告人の供述は、これと異り前記『本人の自白』に含まれるから、独立して完全な証拠能力を有しないので、有罪を認定するには他の補強証拠を必要とするのである。しかるに、本件においてはこれと司法警察官に対する被告人の供述記載(これも補強証拠を要する)とによって有罪を認定している。かように、互に補強証拠を要する同一被告人の供述を幾ら集めてみたところで所詮有罪を認定するわけにはいかない道理である。」
過去問・解説
(H24 司法 第32問 ウ)
【事例】
甲は、平成23年4月3日、H警察署を訪れ、同署司法警察員Xに対し、「乙と一緒にV1を殺害する計画を立てた。その計画は、乙がV1をH市内の岸壁に呼び出し、私が普通乗用自動車を運転してV1を跳ね飛ばして殺害し、V1の死体を海に捨てるというものであった。実際、私は、この計画どおり、平成23年2月3日午後9時頃、前記岸壁において、普通乗用自動車を運転し、乙が呼び出したV1を跳ね飛ばして殺害し、乙と一緒にV1の死体を海に捨てた。ちなみに、私は、これまで、一度も運転免許を取得したことがない。また、私は、平成22年12月8日、H市内にあるアパートの一室に侵入して現金10万円と時計1個を盗んだ。その後に確認したところ、私が盗みに入ったアパートの住人はV2だと分かった。」などと、道路交通法違反(無免許運転)、殺人、死体遺棄、住居侵入、窃盗の罪を自白した。そこで、司法警察員Xは、この自白を内容とする供述調書を作成した。その後、甲は、平成23年4月5日、司法警察員Xに述べたことと同じ内容を記載した知人A宛ての手紙を作成した上、これをAに郵送した。
甲を殺人、死体遺棄の罪で有罪とするためには、Aに郵送された手紙以外の補強証拠が必要不可欠であり、甲の供述調書及びAに郵送された手紙以外の証拠がない場合には、甲を殺人、死体遺棄の罪で有罪とする余地はない。
【事例】
甲は、平成23年4月3日、H警察署を訪れ、同署司法警察員Xに対し、「乙と一緒にV1を殺害する計画を立てた。その計画は、乙がV1をH市内の岸壁に呼び出し、私が普通乗用自動車を運転してV1を跳ね飛ばして殺害し、V1の死体を海に捨てるというものであった。実際、私は、この計画どおり、平成23年2月3日午後9時頃、前記岸壁において、普通乗用自動車を運転し、乙が呼び出したV1を跳ね飛ばして殺害し、乙と一緒にV1の死体を海に捨てた。ちなみに、私は、これまで、一度も運転免許を取得したことがない。また、私は、平成22年12月8日、H市内にあるアパートの一室に侵入して現金10万円と時計1個を盗んだ。その後に確認したところ、私が盗みに入ったアパートの住人はV2だと分かった。」などと、道路交通法違反(無免許運転)、殺人、死体遺棄、住居侵入、窃盗の罪を自白した。そこで、司法警察員Xは、この自白を内容とする供述調書を作成した。その後、甲は、平成23年4月5日、司法警察員Xに述べたことと同じ内容を記載した知人A宛ての手紙を作成した上、これをAに郵送した。
甲を殺人、死体遺棄の罪で有罪とするためには、Aに郵送された手紙以外の補強証拠が必要不可欠であり、甲の供述調書及びAに郵送された手紙以外の証拠がない場合には、甲を殺人、死体遺棄の罪で有罪とする余地はない。
(正答)〇
(解説)
判例(最大判昭25.7.12)は、「互に補強証拠を要する同一被告人の供述を幾ら集めてみたところで所詮有罪を認定するわけにはいかない道理である。」として、同一人の供述は、他の機会になされたその者の供述の補強証拠とならないことを示している。
本肢におけるAに郵送された手紙、甲の供述調書は、共に甲の自白を内容としているため、共に補強証拠を要する。
したがって、甲の供述調書及びAに郵送された手紙以外の証拠がない場合には、甲を殺人、死体遺棄の罪で有罪とする余地はない。
判例(最大判昭25.7.12)は、「互に補強証拠を要する同一被告人の供述を幾ら集めてみたところで所詮有罪を認定するわけにはいかない道理である。」として、同一人の供述は、他の機会になされたその者の供述の補強証拠とならないことを示している。
本肢におけるAに郵送された手紙、甲の供述調書は、共に甲の自白を内容としているため、共に補強証拠を要する。
したがって、甲の供述調書及びAに郵送された手紙以外の証拠がない場合には、甲を殺人、死体遺棄の罪で有罪とする余地はない。
総合メモ
補強の程度 最二小判昭和24年4月30日
概要
自白を補強する証拠は、必ずしも自白にかかる犯罪構成事実の全部にわたる必要はなく、自白にかかる事実の真実性を保障し得るものであれば足りる。
判例
事案:強盗傷害事件において、裁判所が、被告人の自白の他に、被告人が被害者に対して暴行を加え、傷害を負わせたという内容の供述調書しか存在しない場合に、強盗傷害罪で有罪とした事案において、補強法則により要求される補強の程度が問題となった。
判旨:「原判決は、被告人の自白のみによって所論判示事実を認定したものではなく、被告人の自白の外にAに対する司法警察官の聴取書中原判示の供述記載を補強証拠としてこれを綜合して認定したものである。そして右聴取書の記載は、被告人がAに暴行を加え因って同人に傷害を与えたという事実を証するだけであって、原判示の犯罪事実即ち強盗傷人罪の全部を証するものではない。しかし自白を補強すべき証拠は必ずしも自白にかかる犯罪構成事実の全部に亘ってもれなくこれを裏付けするものであることを要しないのであって、自白にかかる事実の真実性を保障し得るものであれば足るのである。」
判旨:「原判決は、被告人の自白のみによって所論判示事実を認定したものではなく、被告人の自白の外にAに対する司法警察官の聴取書中原判示の供述記載を補強証拠としてこれを綜合して認定したものである。そして右聴取書の記載は、被告人がAに暴行を加え因って同人に傷害を与えたという事実を証するだけであって、原判示の犯罪事実即ち強盗傷人罪の全部を証するものではない。しかし自白を補強すべき証拠は必ずしも自白にかかる犯罪構成事実の全部に亘ってもれなくこれを裏付けするものであることを要しないのであって、自白にかかる事実の真実性を保障し得るものであれば足るのである。」
過去問・解説
(H21 司法 第37問 エ)
被告人は、被害者Dに暴行を加えて金員を強取し、その際、同暴行により被害者Dに傷害を負わせた事実で強盗致傷罪により起訴された。被告人の自白の他に、被告人から暴行を受けて傷害を負った事実についての記載しかない被害者Dの供述調書しかない場合であっても、被告人を、強盗致傷罪で有罪にできる。
被告人は、被害者Dに暴行を加えて金員を強取し、その際、同暴行により被害者Dに傷害を負わせた事実で強盗致傷罪により起訴された。被告人の自白の他に、被告人から暴行を受けて傷害を負った事実についての記載しかない被害者Dの供述調書しかない場合であっても、被告人を、強盗致傷罪で有罪にできる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭24.4.30)は、本肢と同種の事案において、「自白を補強すべき証拠は必ずしも自白にかかる犯罪構成事実の全部に亘ってもれなくこれを裏付けするものであることを要しないのであって、自白にかかる事実の真実性を保障し得るものであれば足るのである。」として、被害者の供述調書は、被告人の自白にかかる事実の真実性を保障し得るものであるとしている。
したがって、Dの供述調書も、補強証拠として許容されるから、それのみで被告人を強盗致傷罪で有罪にできる。
判例(最判昭24.4.30)は、本肢と同種の事案において、「自白を補強すべき証拠は必ずしも自白にかかる犯罪構成事実の全部に亘ってもれなくこれを裏付けするものであることを要しないのであって、自白にかかる事実の真実性を保障し得るものであれば足るのである。」として、被害者の供述調書は、被告人の自白にかかる事実の真実性を保障し得るものであるとしている。
したがって、Dの供述調書も、補強証拠として許容されるから、それのみで被告人を強盗致傷罪で有罪にできる。
(H24 司法 第32問 イ)
【事例】
甲は、平成23年4月3日、H警察署を訪れ、同署司法警察員Xに対し、「乙と一緒にV1を殺害する計画を立てた。その計画は、乙がV1をH市内の岸壁に呼び出し、私が普通乗用自動車を運転してV1を跳ね飛ばして殺害し、V1の死体を海に捨てるというものであった。実際、私は、この計画どおり、平成23年2月3日午後9時頃、前記岸壁において、普通乗用自動車を運転し、乙が呼び出したV1を跳ね飛ばして殺害し、乙と一緒にV1の死体を海に捨てた。ちなみに、私は、これまで、一度も運転免許を取得したことがない。また、私は、平成22年12月8日、H市内にあるアパートの一室に侵入して現金10万円と時計1個を盗んだ。その後に確認したところ、私が盗みに入ったアパートの住人はV2だと分かった。」などと、道路交通法違反(無免許運転)、殺人、死体遺棄、住居侵入、窃盗の罪を自白した。そこで、司法警察員Xは、この自白を内容とする供述調書を作成した。その後、甲は、平成23年4月5日、司法警察員Xに述べたことと同じ内容を記載した知人A宛ての手紙を作成した上、これをAに郵送した。
甲を殺人、死体遺棄の罪で有罪とするには、V1の死体を写真撮影した写真撮影報告書等V1の死体の発見を前提とする補強証拠が必要不可欠であり、V1の死体を発見できなかった場合には、甲を殺人、死体遺棄の罪で有罪とする余地はない。
【事例】
甲は、平成23年4月3日、H警察署を訪れ、同署司法警察員Xに対し、「乙と一緒にV1を殺害する計画を立てた。その計画は、乙がV1をH市内の岸壁に呼び出し、私が普通乗用自動車を運転してV1を跳ね飛ばして殺害し、V1の死体を海に捨てるというものであった。実際、私は、この計画どおり、平成23年2月3日午後9時頃、前記岸壁において、普通乗用自動車を運転し、乙が呼び出したV1を跳ね飛ばして殺害し、乙と一緒にV1の死体を海に捨てた。ちなみに、私は、これまで、一度も運転免許を取得したことがない。また、私は、平成22年12月8日、H市内にあるアパートの一室に侵入して現金10万円と時計1個を盗んだ。その後に確認したところ、私が盗みに入ったアパートの住人はV2だと分かった。」などと、道路交通法違反(無免許運転)、殺人、死体遺棄、住居侵入、窃盗の罪を自白した。そこで、司法警察員Xは、この自白を内容とする供述調書を作成した。その後、甲は、平成23年4月5日、司法警察員Xに述べたことと同じ内容を記載した知人A宛ての手紙を作成した上、これをAに郵送した。
甲を殺人、死体遺棄の罪で有罪とするには、V1の死体を写真撮影した写真撮影報告書等V1の死体の発見を前提とする補強証拠が必要不可欠であり、V1の死体を発見できなかった場合には、甲を殺人、死体遺棄の罪で有罪とする余地はない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭24.4.30)は、本肢と同種の事案において、「自白を補強すべき証拠は必ずしも自白にかかる犯罪構成事実の全部に亘ってもれなくこれを裏付けするものであることを要しないのであって、自白にかかる事実の真実性を保障し得るものであれば足るのである。」としている。
したがって、甲の自白を裏付ける証拠であるV1の死体の発見を前提とする補強証拠が必要不可欠であるというわけではなく、甲の自白にかかる事実の真実性を保障しうる補強証拠があれば足りる。
判例(最判昭24.4.30)は、本肢と同種の事案において、「自白を補強すべき証拠は必ずしも自白にかかる犯罪構成事実の全部に亘ってもれなくこれを裏付けするものであることを要しないのであって、自白にかかる事実の真実性を保障し得るものであれば足るのである。」としている。
したがって、甲の自白を裏付ける証拠であるV1の死体の発見を前提とする補強証拠が必要不可欠であるというわけではなく、甲の自白にかかる事実の真実性を保障しうる補強証拠があれば足りる。
総合メモ
盗品等関与罪 最三小決昭和29年5月4日
過去問・解説
(H21 司法 第37問 ウ)
被告人は、盗品の時計を、それが盗品であることを知りながら、有償で買い受けた事実で盗品等有償譲受けの罪により起訴された。盗難被害者C作成の当該時計についての盗難被害届の他には被告人の自白しか存在しない場合でも、被告人を、盗品等有償譲受けの罪で有罪にできる。
被告人は、盗品の時計を、それが盗品であることを知りながら、有償で買い受けた事実で盗品等有償譲受けの罪により起訴された。盗難被害者C作成の当該時計についての盗難被害届の他には被告人の自白しか存在しない場合でも、被告人を、盗品等有償譲受けの罪で有罪にできる。
(正答)〇
(解説)
319条2項は、「被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。」と規定している。
これについて、判例(最決昭29.5.4)は、「賍物故買の事実についての被告人の公判廷における自白は、被害者の盗難被害届によって、これを補強することができる...。」としている。
したがって、盗難被害者C作成の当該時計についての盗難被害届の他には被告人の自白しか存在しない場合でも、被告人を、盗品等有償譲受けの罪で有罪にできる。
319条2項は、「被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。」と規定している。
これについて、判例(最決昭29.5.4)は、「賍物故買の事実についての被告人の公判廷における自白は、被害者の盗難被害届によって、これを補強することができる...。」としている。
したがって、盗難被害者C作成の当該時計についての盗難被害届の他には被告人の自白しか存在しない場合でも、被告人を、盗品等有償譲受けの罪で有罪にできる。
総合メモ
無免許運転罪 最一小判昭和42年12月21日
過去問・解説
(H21 司法 第37問 イ)
被告人は、公安委員会による運転免許を受けないで普通乗用自動車を運転した事実で道路交通法違反の無免許運転の罪により起訴された。被告人の運転行為を目撃した旨の目撃者Bの供述調書の他には被告人の自白しか存在しない場合でも、被告人を、無免許運転の罪により有罪にできる。
被告人は、公安委員会による運転免許を受けないで普通乗用自動車を運転した事実で道路交通法違反の無免許運転の罪により起訴された。被告人の運転行為を目撃した旨の目撃者Bの供述調書の他には被告人の自白しか存在しない場合でも、被告人を、無免許運転の罪により有罪にできる。
(正答)✕
(解説)
319条2項は、「被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。」と規定している。
これについて、判例(最判昭42.12.21)は、「無免許運転の罪においては、運転行為のみならず、運転免許を受けていなかったという事実についても、被告人の自白のほかに、補強証拠の存在することを要する…。」としている。
したがって、目撃者Bの供述調書の他には被告人の自白しか存在しない場合、被告人を無免許運転の罪により有罪にできず、有罪とするには運転免許を受けていなかったことについても補強証拠が要求される。
319条2項は、「被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。」と規定している。
これについて、判例(最判昭42.12.21)は、「無免許運転の罪においては、運転行為のみならず、運転免許を受けていなかったという事実についても、被告人の自白のほかに、補強証拠の存在することを要する…。」としている。
したがって、目撃者Bの供述調書の他には被告人の自白しか存在しない場合、被告人を無免許運転の罪により有罪にできず、有罪とするには運転免許を受けていなかったことについても補強証拠が要求される。
(H24 司法 第32問 ア)
【事例】
甲は、平成23年4月3日、H警察署を訪れ、同署司法警察員Xに対し、「乙と一緒にV1を殺害する計画を立てた。その計画は、乙がV1をH市内の岸壁に呼び出し、私が普通乗用自動車を運転してV1を跳ね飛ばして殺害し、V1の死体を海に捨てるというものであった。実際、私は、この計画どおり、平成23年2月3日午後9時頃、前記岸壁において、普通乗用自動車を運転し、乙が呼び出したV1を跳ね飛ばして殺害し、乙と一緒にV1の死体を海に捨てた。ちなみに、私は、これまで、一度も運転免許を取得したことがない。また、私は、平成22年12月8日、H市内にあるアパートの一室に侵入して現金10万円と時計1個を盗んだ。その後に確認したところ、私が盗みに入ったアパートの住人はV2だと分かった。」などと、道路交通法違反(無免許運転)、殺人、死体遺棄、住居侵入、窃盗の罪を自白した。そこで、司法警察員Xは、この自白を内容とする供述調書を作成した。その後、甲は、平成23年4月5日、司法警察員Xに述べたことと同じ内容を記載した知人A宛ての手紙を作成した上、これをAに郵送した。
甲を道路交通法違反(無免許運転)の罪で有罪とするには、甲が無免許であることについての補強証拠が必要不可欠であり、この証拠がない限り、甲を道路交通法違反(無免許運転)の罪で有罪とする余地はない。
【事例】
甲は、平成23年4月3日、H警察署を訪れ、同署司法警察員Xに対し、「乙と一緒にV1を殺害する計画を立てた。その計画は、乙がV1をH市内の岸壁に呼び出し、私が普通乗用自動車を運転してV1を跳ね飛ばして殺害し、V1の死体を海に捨てるというものであった。実際、私は、この計画どおり、平成23年2月3日午後9時頃、前記岸壁において、普通乗用自動車を運転し、乙が呼び出したV1を跳ね飛ばして殺害し、乙と一緒にV1の死体を海に捨てた。ちなみに、私は、これまで、一度も運転免許を取得したことがない。また、私は、平成22年12月8日、H市内にあるアパートの一室に侵入して現金10万円と時計1個を盗んだ。その後に確認したところ、私が盗みに入ったアパートの住人はV2だと分かった。」などと、道路交通法違反(無免許運転)、殺人、死体遺棄、住居侵入、窃盗の罪を自白した。そこで、司法警察員Xは、この自白を内容とする供述調書を作成した。その後、甲は、平成23年4月5日、司法警察員Xに述べたことと同じ内容を記載した知人A宛ての手紙を作成した上、これをAに郵送した。
甲を道路交通法違反(無免許運転)の罪で有罪とするには、甲が無免許であることについての補強証拠が必要不可欠であり、この証拠がない限り、甲を道路交通法違反(無免許運転)の罪で有罪とする余地はない。
(正答)〇
(解説)
319条2項は、「被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。」と規定している。
これについて、判例(最判昭42.12.21)は、「無免許運転の罪においては、運転行為のみならず、運転免許を受けていなかったという事実についても、被告人の自白のほかに、補強証拠の存在することを要する…。」としている。
したがって、甲を道路交通法違反(無免許運転)の罪で有罪とするには、甲が無免許であることについての補強証拠が必要不可欠であり、この証拠がない限り、甲を道路交通法違反(無免許運転)の罪で有罪とする余地はない。
319条2項は、「被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。」と規定している。
これについて、判例(最判昭42.12.21)は、「無免許運転の罪においては、運転行為のみならず、運転免許を受けていなかったという事実についても、被告人の自白のほかに、補強証拠の存在することを要する…。」としている。
したがって、甲を道路交通法違反(無免許運転)の罪で有罪とするには、甲が無免許であることについての補強証拠が必要不可欠であり、この証拠がない限り、甲を道路交通法違反(無免許運転)の罪で有罪とする余地はない。
総合メモ
窃盗罪 最二小判昭和26年3月9日
概要
窃盗犯人が被告人であることの証拠は被告人の自白だけであっても、被害者の始末書に窃盗被害の日時及び被害物件等について被告人の自白にかかる事実を裏書するに足りる記載がある以上、右自白と始末書の記載を総合して被告人に窃盗の罪を認めても、違憲違法ではない。
判例
事案:被告人の自白及び被害日時・被害物件等を申告した窃盗被害者Vの窃盗被害始末書から被告人に窃盗の罪で有罪としたところ、かかる被害始末書が補強証拠たり得るかが問題となった。
判旨:「Vの被害始末書には、窃盗被害の日時及び被害物件等につき、被告人の自白にかかる原審認定事実を裏書するに足りる記載があるから、原判決は所論の如く被告人の自白だけで被告人の罪責を認めたものではない。そして、かかる場合犯人が被告人であることの証拠が自白のみであっても違憲違法でないことは当裁判所大法廷判決(昭和23年(れ)1328号、同24年11月2日言渡集3巻11号1691頁)に徴して明かである。」
判旨:「Vの被害始末書には、窃盗被害の日時及び被害物件等につき、被告人の自白にかかる原審認定事実を裏書するに足りる記載があるから、原判決は所論の如く被告人の自白だけで被告人の罪責を認めたものではない。そして、かかる場合犯人が被告人であることの証拠が自白のみであっても違憲違法でないことは当裁判所大法廷判決(昭和23年(れ)1328号、同24年11月2日言渡集3巻11号1691頁)に徴して明かである。」
過去問・解説
(H21 司法 第37問 ア)
被告人は、被害者A所有の現金50万円を窃取した事実で窃盗罪により起訴された。被告人の自白の他には、被害者A作成の現金50万円についての盗難被害届しか存在しない場合でも、被告人を窃盗罪で有罪とすることは許される。
被告人は、被害者A所有の現金50万円を窃取した事実で窃盗罪により起訴された。被告人の自白の他には、被害者A作成の現金50万円についての盗難被害届しか存在しない場合でも、被告人を窃盗罪で有罪とすることは許される。
(正答)〇
(解説)
319条2項は、「被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。」と規定している。
これについて、判例(最判昭26.3.9)は、本肢と同種の事案において、「窃盗被害始末書には、窃盗被害の日時及び被害物件等につき、被告人の自白にかかる原審認定事実を裏書するに足りる記載があるから、原判決は...被告人の自白だけで被告人の罪責を認めたものではない...。」としている。
したがって、被害者Aの被害届が出ていれば、補強証拠としては十分である。
319条2項は、「被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。」と規定している。
これについて、判例(最判昭26.3.9)は、本肢と同種の事案において、「窃盗被害始末書には、窃盗被害の日時及び被害物件等につき、被告人の自白にかかる原審認定事実を裏書するに足りる記載があるから、原判決は...被告人の自白だけで被告人の罪責を認めたものではない...。」としている。
したがって、被害者Aの被害届が出ていれば、補強証拠としては十分である。
(H24 司法 第32問 オ)
【事例】
甲は、平成23年4月3日、H警察署を訪れ、同署司法警察員Xに対し、「乙と一緒にV1を殺害する計画を立てた。その計画は、乙がV1をH市内の岸壁に呼び出し、私が普通乗用自動車を運転してV1を跳ね飛ばして殺害し、V1の死体を海に捨てるというものであった。実際、私は、この計画どおり、平成23年2月3日午後9時頃、前記岸壁において、普通乗用自動車を運転し、乙が呼び出したV1を跳ね飛ばして殺害し、乙と一緒にV1の死体を海に捨てた。ちなみに、私は、これまで、一度も運転免許を取得したことがない。また、私は、平成22年12月8日、H市内にあるアパートの一室に侵入して現金10万円と時計1個を盗んだ。その後に確認したところ、私が盗みに入ったアパートの住人はV2だと分かった。」などと、道路交通法違反(無免許運転)、殺人、死体遺棄、住居侵入、窃盗の罪を自白した。そこで、司法警察員Xは、この自白を内容とする供述調書を作成した。その後、甲は、平成23年4月5日、司法警察員Xに述べたことと同じ内容を記載した知人A宛ての手紙を作成した上、これをAに郵送した。
甲を現金10万円及び時計1個を窃取した旨の窃盗の罪で有罪とするには、V2が被害直後に現金10万円と時計1個を窃取された旨の被害を届けていた場合であっても、被害金品の所在又は使途についての補強証拠が必要不可欠であり、たとえ、甲から押収した被害に係る時計1個が証拠として存在しても、被害に係る現金10万円の使途を全て明らかにする補強証拠がない限り、甲を現金10万円及び時計1個を窃取した旨の窃盗の罪で有罪とする余地はない。
【事例】
甲は、平成23年4月3日、H警察署を訪れ、同署司法警察員Xに対し、「乙と一緒にV1を殺害する計画を立てた。その計画は、乙がV1をH市内の岸壁に呼び出し、私が普通乗用自動車を運転してV1を跳ね飛ばして殺害し、V1の死体を海に捨てるというものであった。実際、私は、この計画どおり、平成23年2月3日午後9時頃、前記岸壁において、普通乗用自動車を運転し、乙が呼び出したV1を跳ね飛ばして殺害し、乙と一緒にV1の死体を海に捨てた。ちなみに、私は、これまで、一度も運転免許を取得したことがない。また、私は、平成22年12月8日、H市内にあるアパートの一室に侵入して現金10万円と時計1個を盗んだ。その後に確認したところ、私が盗みに入ったアパートの住人はV2だと分かった。」などと、道路交通法違反(無免許運転)、殺人、死体遺棄、住居侵入、窃盗の罪を自白した。そこで、司法警察員Xは、この自白を内容とする供述調書を作成した。その後、甲は、平成23年4月5日、司法警察員Xに述べたことと同じ内容を記載した知人A宛ての手紙を作成した上、これをAに郵送した。
甲を現金10万円及び時計1個を窃取した旨の窃盗の罪で有罪とするには、V2が被害直後に現金10万円と時計1個を窃取された旨の被害を届けていた場合であっても、被害金品の所在又は使途についての補強証拠が必要不可欠であり、たとえ、甲から押収した被害に係る時計1個が証拠として存在しても、被害に係る現金10万円の使途を全て明らかにする補強証拠がない限り、甲を現金10万円及び時計1個を窃取した旨の窃盗の罪で有罪とする余地はない。
(正答)✕
(解説)
319条2項は、「被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。」と規定している。
これについて、判例(最判昭26.3.9)は、本肢と同種の事案において、「窃盗被害始末書には、窃盗被害の日時及び被害物件等につき、被告人の自白にかかる原審認定事実を裏書するに足りる記載があるから、原判決は...被告人の自白だけで被告人の罪責を認めたものではない...。」としている。
したがって、被害者V2の被害届が出ていれば、補強証拠としては十分である。
319条2項は、「被告人は、公判廷における自白であると否とを問わず、その自白が自己に不利益な唯一の証拠である場合には、有罪とされない。」と規定している。
これについて、判例(最判昭26.3.9)は、本肢と同種の事案において、「窃盗被害始末書には、窃盗被害の日時及び被害物件等につき、被告人の自白にかかる原審認定事実を裏書するに足りる記載があるから、原判決は...被告人の自白だけで被告人の罪責を認めたものではない...。」としている。
したがって、被害者V2の被害届が出ていれば、補強証拠としては十分である。