現在お使いのブラウザのバージョンでは、本サービスの機能をご利用いただけない可能性があります
バージョンアップを試すか、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの最新ブラウザをお試しください
短答判例
酒酔い鑑識カードの証拠能力 最二小判昭和47年6月2日
概要
酒酔い鑑識カードのうち、司法警察員が被疑者の言語・動作・酒臭・外貌・態度等を観察し、所定の評語に印を付けて記載した部分は、321条3項の「検証の結果を記載した書面」に当たる。他方で、被疑者との問答や飲酒日時・飲酒動機を記載した部分は、検証結果ではなく、321条1項3号の書面に当たる。
判例
事案:司法警察員は、被疑者について、飲酒検知管による検査のほか、言語・動作・酒臭・外貌・態度等の外部的状態を観察し、その結果を所定の評語に印を付ける方法で酒酔い鑑識カードに記載した。また、同カードには、被疑者との問答や飲酒日時・飲酒動機も記載されていた。
そこで、①被疑者の外部的状態を観察して記載した部分が321条3項の「検証の結果を記載した書面」に当たるか、②被疑者との問答や飲酒日時・飲酒動機を記載した部分が同項の書面に当たるかが問題となった。
判旨:①「本件「鑑識カード」を見るに、まず、被疑者の氏名、年令欄に本件被告人の氏名、年令の記載があり、その下の「化学判定」欄は、赤羽警察署巡査神戸賢三が被疑者の呼気を通した飲酒検知管の着色度を観察して比色表と対照した検査結果を検知管の示度として記入したものであり、また、被疑者の外部的状態に関する記載のある欄は、同巡査が被疑者の言語、動作、酒臭、外貌、態度等の外部的状態に関する所定の項目につき観察した結果を所定の評語に印をつける方法によつて記入したものであつて、本件「鑑識カード」のうち以上の部分は、同巡査が、被疑者の酒酔いの程度を判断するための資料として、被疑者の状態につき右のような検査、観察により認識した結果を記載したものであるから、紙面下段の調査の日時の記載、同巡査の記名押印と相まつて、刑訴法321条3項にいう「検証の結果を記載した書面」にあたるものと解するのが相当である。つぎに、本件「鑑識カード」のうち「外観による判定」欄の記載も、同巡査が被疑者の外部的状態を観察した結果を記載したものであるから、右と同様に、検証の結果を記載したものと認められる(もつとも、同欄には、本来は「酒酔い」、「酒気帯び」その他の判定自体が記載されるべきものであろう。もしその趣旨における記載がなされた場合には、その証拠能力は、別に論ぜられなければならない。)。しかし、本件「鑑識カード」のうち被疑者との問答の記載のある欄は、同巡査が所定の項目につき質問をしてこれに対する被疑者の応答を簡単に記載したものであり、必ずしも検証の結果を記載したものということはできず、また、紙面最下段の「事故事件の場合」の題下の「飲酒日時」および「飲酒動機」の両欄の記載は、以上の調査の際に同巡査が聴取した事項の報告であつて、検証の結果の記載ではなく、以上の部分は、いずれも同巡査作成の捜査報告書たる性質のものとして、刑訴法321条1項3号の書面にあたるものと解するのが相当である。
以上のごとく、本件「鑑識カード」は、被疑者との問答の記載のある欄ならびに「飲酒日時」および「飲酒動機」の両欄の記述部分を除いて、刑訴法321条3項にいう「検証の結果を記載した書面」にあたるものと解するのが相当であり、また、このように解しても憲法37条2項に違反するものではないことは、当裁判所昭和23年(れ)第833号同24年5月18日大法廷判決(刑集3巻6号789頁)の趣旨に徴して明らかである(なお、当裁判所昭和35年(あ)第887号同年9月8日第一小法廷判決・刑集14巻11号1437頁参照)。それゆえ、第1審裁判所が、本件「鑑識カード」を証拠とするにつき弁護人の同意がなかつたので、検察官の請求に基づき、公判期日において作成者神戸巡査を証人として尋問し、それが真正に成立したことについての供述を得たうえ、本件「鑑識カード」を取り調べ、かつ、判決において犯罪事実認定の証拠に供し、原判決がこれを是認したことは、そのうち被疑者との問答の記載のある欄ならびに「飲酒日時」および「飲酒動機」の両欄の記載部分を除いて、その結論においては、正当といわなければならない。」
②「つぎに、本件「鑑識カード」のうち被疑者との問答の記載のある欄ならびに「飲酒日時」および「飲酒動機」の両欄の記載部分は、前示のとおり、刑訴法321条1項3号の書面にあたるものと解するのが相当であるから、第1審裁判所が同号所定の事由がないのに右部分を取り調べて証拠に掲げたのは、右部分に関するかぎり刑訴法320条1項に違反したものであり、原判決も、これを是正しなかつたものである。しかし、右部分自体は、本件の争点に直接関係のある証拠ではなく、かつ、第一審において作成者神戸巡査が証人として尋問され、もし被告人または弁護人において右記載部分について不服があれば反対尋問を行なう機会が与えられたことにかんがみれば、第一審および原審の右措置は、いまだ憲法37条2項に違反するものとは認められないこと、前示当裁判所昭和24年5月18日大法廷判決の趣旨に徴して明らかである…。」
そこで、①被疑者の外部的状態を観察して記載した部分が321条3項の「検証の結果を記載した書面」に当たるか、②被疑者との問答や飲酒日時・飲酒動機を記載した部分が同項の書面に当たるかが問題となった。
判旨:①「本件「鑑識カード」を見るに、まず、被疑者の氏名、年令欄に本件被告人の氏名、年令の記載があり、その下の「化学判定」欄は、赤羽警察署巡査神戸賢三が被疑者の呼気を通した飲酒検知管の着色度を観察して比色表と対照した検査結果を検知管の示度として記入したものであり、また、被疑者の外部的状態に関する記載のある欄は、同巡査が被疑者の言語、動作、酒臭、外貌、態度等の外部的状態に関する所定の項目につき観察した結果を所定の評語に印をつける方法によつて記入したものであつて、本件「鑑識カード」のうち以上の部分は、同巡査が、被疑者の酒酔いの程度を判断するための資料として、被疑者の状態につき右のような検査、観察により認識した結果を記載したものであるから、紙面下段の調査の日時の記載、同巡査の記名押印と相まつて、刑訴法321条3項にいう「検証の結果を記載した書面」にあたるものと解するのが相当である。つぎに、本件「鑑識カード」のうち「外観による判定」欄の記載も、同巡査が被疑者の外部的状態を観察した結果を記載したものであるから、右と同様に、検証の結果を記載したものと認められる(もつとも、同欄には、本来は「酒酔い」、「酒気帯び」その他の判定自体が記載されるべきものであろう。もしその趣旨における記載がなされた場合には、その証拠能力は、別に論ぜられなければならない。)。しかし、本件「鑑識カード」のうち被疑者との問答の記載のある欄は、同巡査が所定の項目につき質問をしてこれに対する被疑者の応答を簡単に記載したものであり、必ずしも検証の結果を記載したものということはできず、また、紙面最下段の「事故事件の場合」の題下の「飲酒日時」および「飲酒動機」の両欄の記載は、以上の調査の際に同巡査が聴取した事項の報告であつて、検証の結果の記載ではなく、以上の部分は、いずれも同巡査作成の捜査報告書たる性質のものとして、刑訴法321条1項3号の書面にあたるものと解するのが相当である。
以上のごとく、本件「鑑識カード」は、被疑者との問答の記載のある欄ならびに「飲酒日時」および「飲酒動機」の両欄の記述部分を除いて、刑訴法321条3項にいう「検証の結果を記載した書面」にあたるものと解するのが相当であり、また、このように解しても憲法37条2項に違反するものではないことは、当裁判所昭和23年(れ)第833号同24年5月18日大法廷判決(刑集3巻6号789頁)の趣旨に徴して明らかである(なお、当裁判所昭和35年(あ)第887号同年9月8日第一小法廷判決・刑集14巻11号1437頁参照)。それゆえ、第1審裁判所が、本件「鑑識カード」を証拠とするにつき弁護人の同意がなかつたので、検察官の請求に基づき、公判期日において作成者神戸巡査を証人として尋問し、それが真正に成立したことについての供述を得たうえ、本件「鑑識カード」を取り調べ、かつ、判決において犯罪事実認定の証拠に供し、原判決がこれを是認したことは、そのうち被疑者との問答の記載のある欄ならびに「飲酒日時」および「飲酒動機」の両欄の記載部分を除いて、その結論においては、正当といわなければならない。」
②「つぎに、本件「鑑識カード」のうち被疑者との問答の記載のある欄ならびに「飲酒日時」および「飲酒動機」の両欄の記載部分は、前示のとおり、刑訴法321条1項3号の書面にあたるものと解するのが相当であるから、第1審裁判所が同号所定の事由がないのに右部分を取り調べて証拠に掲げたのは、右部分に関するかぎり刑訴法320条1項に違反したものであり、原判決も、これを是正しなかつたものである。しかし、右部分自体は、本件の争点に直接関係のある証拠ではなく、かつ、第一審において作成者神戸巡査が証人として尋問され、もし被告人または弁護人において右記載部分について不服があれば反対尋問を行なう機会が与えられたことにかんがみれば、第一審および原審の右措置は、いまだ憲法37条2項に違反するものとは認められないこと、前示当裁判所昭和24年5月18日大法廷判決の趣旨に徴して明らかである…。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%
(R8 予備 第15問 ウ)
司法警察員が作成した酒酔い鑑識カードのうち、被疑者の言語、動作、酒臭、外貌、態度等の外部的状態に関する所定の項目につき観察した結果を所定の評語に印をつける方法によって記入した欄は、司法警察員の主観的判断によるものであって必ずしも検証の結果を記載したものということはできないため、その記載部分が刑事訴訟法第321条第3項の書面に該当することはない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭47.6.2)は、酒酔い鑑識カードについて、「被疑者の外部的状態に関する記載のある欄は、同巡査が被疑者の言語、動作、酒臭、外貌、態度等の外部的状態に関する所定の項目につき観察した結果を所定の評語に印をつける方法によつて記入したものであつて、本件『鑑識カード』のうち以上の部分は、同巡査が、被疑者の酒酔いの程度を判断するための資料として、被疑者の状態につき右のような検査、観察により認識した結果を記載したものであるから、紙面下段の調査の日時の記載、同巡査の記名押印と相まつて、刑訴法321条3項にいう『検証の結果を記載した書面』にあたるものと解するのが相当である。」としている。
したがって、被疑者の言語、動作、酒臭、外貌、態度等の外部的状態に関する所定の項目につき観察した結果を所定の評語に印をつける方法によって記入した欄は、321条3項の「検証の結果を記載した書面」に該当する。