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短答判例

犯罪の主観的部分と補強証拠 最一小判昭和24年4月7日

概要
自白以外の補強証拠によって犯罪の客観的事実が認められ得る場合には、犯意や知情といった犯罪の主観的部分について、補強証拠は不要である。
判例
事案:被告人が贓物故買罪で起訴され、贓物であることを知っていたという知情の事実については被告人の自白のみが直接の証拠であったという事案において、犯罪の主観的部分についても自白以外の補強証拠が必要かが問題となった。

判旨:「論旨は、原判決では被告人が盗品であることを知つていたこと、すなわち贓物である情を知つていたことを認定するについて、被告人に対する司法警察官代理の尋問調書中の供述記載及び被告人に対する検事の聴取書中の供述記載のみを証拠としているから、これは憲法第38条第3項に違反し、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合に有罪とされたと主張するのである。しかしながら、原判決は、決して論旨主張のような認定の仕方をしているのではない。原判決が被告人の犯罪事実を認定するについては、原判決に列挙している諸々の証拠を総合して認め得るとしたのである。本件で問題となつている贓物故買罪の犯罪構成要件たる事実は、(一)取引の目的物が贓物であること、(二)贓物である情を知つて取引すること、(三)有償取引によつて取得することである。そして、各具体的の事件においては、被告人の自白と補強証拠と相待つて、犯罪構成要件たる事実を総体的に認定することができれば、それで十分事足るのである。犯罪構成要件たる各事実毎に、被告人の自白の外にその裏付として常に補強証拠を要するというものではない。そもそも、被告人の自白の外に補強証拠を要するとされる主なる趣旨は、ただ被告人の主観的な自白だけによつて、客観的には架空な、空中楼閣的な事実が犯罪としてでつち上けられる危険ー例えば、客観的にはどこにも殺人がなかつたのに被告人の自白だけで殺人犯が作られるたぐいーを防止するにあると考える。だから、自白以外の補強証拠によつて、すでに犯罪の客観的事実が認められ得る場合においては、なかんずく犯意とか知情とかいう犯罪の主観的部面については、自白が唯一の証拠であつても差支えないものと言い得るのである。それ故に,原判決の事実認定には、何等の違法もなく、論旨は採用することができない。」
過去問・解説
全体の正答率 : 100%

(R8 予備 第22問 ウ 改題)
甲は、警察署での取調べにおいて、「Vを殺した」と自白し、甲の自白を内容とする供述調書(以下「本件調書」という。)が作成された。その後、甲は、殺人罪の共同正犯で起訴された。
甲を殺人罪で有罪とするには、甲の実行行為のみならず、甲の故意についても、補強証拠が必要不可欠である。

(正答)✕

(解説)
判例(最判昭24.4.7)は、「犯罪構成要件たる各事実毎に、被告人の自白の外にその裏付として常に補強証拠を要するというものではない。」とした上で、「自白以外の補強証拠によつて、すでに犯罪の客観的事実が認められ得る場合においては、なかんずく犯意とか知情とかいう犯罪の主観的部面については、自白が唯一の証拠であつても差支えないものと言い得る…。」としている。
したがって、甲を殺人罪で有罪とするには、甲の故意についてまで補強証拠が必要不可欠であるとはいえない。

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