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刑事訴訟法 訴因の概括的記載 最一小決平成14年7月18日
概要
傷害致死罪の訴因につき、暴行態様、傷害の内容、死因等の表示が概括的であっても、検察官において、当時の証拠に基づき、できる限り日時、場所、方法等をもって罪となるべき事実を特定して訴因を明示したものである以上、訴因の特定に欠けるところはない。
判例
事案:傷害致死の訴因について、暴行態様、傷害の内容、死因等の表示が概括的に記載された事案において、かかる記載が訴因の特定を欠くかが問題となった。
判旨:「第1次予備的訴因は、『被告人は、単独又はA及びBと共謀の上、平成9年9月30日午後8時30分ころ、福岡市中央区所在のビジネス旅館あさひ2階7号室において、被害者に対し、その頭部等に手段不明の暴行を加え、頭蓋冠、頭蓋底骨折等の傷害を負わせ、よって、そのころ、同所において、頭蓋冠、頭蓋底骨折に基づく外傷性脳障害又は何らかの傷害により死亡させた。』という傷害致死の訴因であり、単独犯と共同正犯のいずれであるかという点については、択一的に訴因変更請求がされたと解されるものである。
原判決によれば、第1次予備的訴因が追加された当時の証拠関係に照らすと、被害者に致死的な暴行が加えられたことは明らかであるものの、暴行態様や傷害の内容、死因等については十分な供述等が得られず、不明瞭な領域が残っていたというのである。そうすると、第1次予備的訴因は、暴行態様、傷害の内容、死因等の表示が概括的なものであるにとどまるが、検察官において、当時の証拠に基づき、できる限り日時、場所、方法等をもって傷害致死の罪となるべき事実を特定して訴因を明示したものと認められるから、訴因の特定に欠けるところはないというべきである。」
判旨:「第1次予備的訴因は、『被告人は、単独又はA及びBと共謀の上、平成9年9月30日午後8時30分ころ、福岡市中央区所在のビジネス旅館あさひ2階7号室において、被害者に対し、その頭部等に手段不明の暴行を加え、頭蓋冠、頭蓋底骨折等の傷害を負わせ、よって、そのころ、同所において、頭蓋冠、頭蓋底骨折に基づく外傷性脳障害又は何らかの傷害により死亡させた。』という傷害致死の訴因であり、単独犯と共同正犯のいずれであるかという点については、択一的に訴因変更請求がされたと解されるものである。
原判決によれば、第1次予備的訴因が追加された当時の証拠関係に照らすと、被害者に致死的な暴行が加えられたことは明らかであるものの、暴行態様や傷害の内容、死因等については十分な供述等が得られず、不明瞭な領域が残っていたというのである。そうすると、第1次予備的訴因は、暴行態様、傷害の内容、死因等の表示が概括的なものであるにとどまるが、検察官において、当時の証拠に基づき、できる限り日時、場所、方法等をもって傷害致死の罪となるべき事実を特定して訴因を明示したものと認められるから、訴因の特定に欠けるところはないというべきである。」
過去問・解説
(H23 共通 第29問 ウ)
傷害致死の罪について、「被告人は、平成22年5月9日午後9時ころ、H市I区所在のJホテル7号室において、Vに対し、その頭部等に手段不明の暴行を加え、頭蓋冠、頭蓋底骨折等の傷害を負わせ、よって、そのころ、同所において、頭蓋冠、頭蓋底骨折に基づく外傷性脳障害又は何らかの傷害により死亡させた。」という訴因とすることは、暴行態様、傷害の内容及び死因の表示が概括的なものにとどまるから、検察官において、当時の証拠に基づき、できる限り日時、場所、方法等をもって傷害致死の罪となるべき事実を特定して訴因を明示したものであっても、訴因の特定に欠ける。
傷害致死の罪について、「被告人は、平成22年5月9日午後9時ころ、H市I区所在のJホテル7号室において、Vに対し、その頭部等に手段不明の暴行を加え、頭蓋冠、頭蓋底骨折等の傷害を負わせ、よって、そのころ、同所において、頭蓋冠、頭蓋底骨折に基づく外傷性脳障害又は何らかの傷害により死亡させた。」という訴因とすることは、暴行態様、傷害の内容及び死因の表示が概括的なものにとどまるから、検察官において、当時の証拠に基づき、できる限り日時、場所、方法等をもって傷害致死の罪となるべき事実を特定して訴因を明示したものであっても、訴因の特定に欠ける。
(正答)✕
(解説)
判例(最決平14.7.18)は、本肢と同種の事案において、「暴行態様、傷害の内容、死因等の表示が概括的なものであるにとどまるが、検察官において、当時の証拠に基づき、できる限り日時、場所、方法等をもって傷害致死の罪となるべき事実を特定して訴因を明示したものと認められるから、訴因の特定に欠けるところはないというべきである。」としている。
したがって、本肢のような訴因も、検察官において、当時の証拠に基づき、できる限り日時、場所、方法等をもって傷害致死の罪となるべき事実を特定して訴因を明示したものであれば、訴因の特定に欠けるところはない。
判例(最決平14.7.18)は、本肢と同種の事案において、「暴行態様、傷害の内容、死因等の表示が概括的なものであるにとどまるが、検察官において、当時の証拠に基づき、できる限り日時、場所、方法等をもって傷害致死の罪となるべき事実を特定して訴因を明示したものと認められるから、訴因の特定に欠けるところはないというべきである。」としている。
したがって、本肢のような訴因も、検察官において、当時の証拠に基づき、できる限り日時、場所、方法等をもって傷害致死の罪となるべき事実を特定して訴因を明示したものであれば、訴因の特定に欠けるところはない。