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刑事訴訟法 他の機会における自白 最大判昭和25年7月12日
概要
旧刑訴の適用を受ける事件について、第2審の裁判所が、その被告人の第1審公判調書中の供述記載(自白)と司法警察官訊問調書中の供述記載(自白)とを証拠として有罪の認定をすることは、憲法第38条第3項及び刑訴応急措置法第10条第3項に違反する。
判例
事案:第2審は、第1審における被告人の自白と、司法警察官作成供述調書中の被告人の自白のみをもって被告人を有罪とした事案において、同一被告人の異なる時点の自白が補強証拠となるか否かが問題となった。
判旨:「原判決は、判示第1の事実を認定するに当り、(1)第1審公判調書中の被告人の供述記載と(2)被告人に対する司法警察官の尋問調書中の供述記載を証拠として採っている。当該判決裁判所の公判廷における被告人の自白は、憲法38条3項にいわゆる『本人の自白』に含まれないことは判例の示すとおりである(昭和23年(れ)168号、同年7月29日大法廷、判例集2巻9号1014頁)。しかしながら、第1審の公判廷における被告人の供述は、これと異り前記『本人の自白』に含まれるから、独立して完全な証拠能力を有しないので、有罪を認定するには他の補強証拠を必要とするのである。しかるに、本件においてはこれと司法警察官に対する被告人の供述記載(これも補強証拠を要する)とによって有罪を認定している。かように、互に補強証拠を要する同一被告人の供述を幾ら集めてみたところで所詮有罪を認定するわけにはいかない道理である。」
判旨:「原判決は、判示第1の事実を認定するに当り、(1)第1審公判調書中の被告人の供述記載と(2)被告人に対する司法警察官の尋問調書中の供述記載を証拠として採っている。当該判決裁判所の公判廷における被告人の自白は、憲法38条3項にいわゆる『本人の自白』に含まれないことは判例の示すとおりである(昭和23年(れ)168号、同年7月29日大法廷、判例集2巻9号1014頁)。しかしながら、第1審の公判廷における被告人の供述は、これと異り前記『本人の自白』に含まれるから、独立して完全な証拠能力を有しないので、有罪を認定するには他の補強証拠を必要とするのである。しかるに、本件においてはこれと司法警察官に対する被告人の供述記載(これも補強証拠を要する)とによって有罪を認定している。かように、互に補強証拠を要する同一被告人の供述を幾ら集めてみたところで所詮有罪を認定するわけにはいかない道理である。」
過去問・解説
(H24 司法 第32問 ウ)
【事例】
甲は、平成23年4月3日、H警察署を訪れ、同署司法警察員Xに対し、「乙と一緒にV1を殺害する計画を立てた。その計画は、乙がV1をH市内の岸壁に呼び出し、私が普通乗用自動車を運転してV1を跳ね飛ばして殺害し、V1の死体を海に捨てるというものであった。実際、私は、この計画どおり、平成23年2月3日午後9時頃、前記岸壁において、普通乗用自動車を運転し、乙が呼び出したV1を跳ね飛ばして殺害し、乙と一緒にV1の死体を海に捨てた。ちなみに、私は、これまで、一度も運転免許を取得したことがない。また、私は、平成22年12月8日、H市内にあるアパートの一室に侵入して現金10万円と時計1個を盗んだ。その後に確認したところ、私が盗みに入ったアパートの住人はV2だと分かった。」などと、道路交通法違反(無免許運転)、殺人、死体遺棄、住居侵入、窃盗の罪を自白した。そこで、司法警察員Xは、この自白を内容とする供述調書を作成した。その後、甲は、平成23年4月5日、司法警察員Xに述べたことと同じ内容を記載した知人A宛ての手紙を作成した上、これをAに郵送した。
甲を殺人、死体遺棄の罪で有罪とするためには、Aに郵送された手紙以外の補強証拠が必要不可欠であり、甲の供述調書及びAに郵送された手紙以外の証拠がない場合には、甲を殺人、死体遺棄の罪で有罪とする余地はない。
【事例】
甲は、平成23年4月3日、H警察署を訪れ、同署司法警察員Xに対し、「乙と一緒にV1を殺害する計画を立てた。その計画は、乙がV1をH市内の岸壁に呼び出し、私が普通乗用自動車を運転してV1を跳ね飛ばして殺害し、V1の死体を海に捨てるというものであった。実際、私は、この計画どおり、平成23年2月3日午後9時頃、前記岸壁において、普通乗用自動車を運転し、乙が呼び出したV1を跳ね飛ばして殺害し、乙と一緒にV1の死体を海に捨てた。ちなみに、私は、これまで、一度も運転免許を取得したことがない。また、私は、平成22年12月8日、H市内にあるアパートの一室に侵入して現金10万円と時計1個を盗んだ。その後に確認したところ、私が盗みに入ったアパートの住人はV2だと分かった。」などと、道路交通法違反(無免許運転)、殺人、死体遺棄、住居侵入、窃盗の罪を自白した。そこで、司法警察員Xは、この自白を内容とする供述調書を作成した。その後、甲は、平成23年4月5日、司法警察員Xに述べたことと同じ内容を記載した知人A宛ての手紙を作成した上、これをAに郵送した。
甲を殺人、死体遺棄の罪で有罪とするためには、Aに郵送された手紙以外の補強証拠が必要不可欠であり、甲の供述調書及びAに郵送された手紙以外の証拠がない場合には、甲を殺人、死体遺棄の罪で有罪とする余地はない。
(正答)〇
(解説)
判例(最大判昭25.7.12)は、「互に補強証拠を要する同一被告人の供述を幾ら集めてみたところで所詮有罪を認定するわけにはいかない道理である。」として、同一人の供述は、他の機会になされたその者の供述の補強証拠とならないことを示している。
本肢におけるAに郵送された手紙、甲の供述調書は、共に甲の自白を内容としているため、共に補強証拠を要する。
したがって、甲の供述調書及びAに郵送された手紙以外の証拠がない場合には、甲を殺人、死体遺棄の罪で有罪とする余地はない。
判例(最大判昭25.7.12)は、「互に補強証拠を要する同一被告人の供述を幾ら集めてみたところで所詮有罪を認定するわけにはいかない道理である。」として、同一人の供述は、他の機会になされたその者の供述の補強証拠とならないことを示している。
本肢におけるAに郵送された手紙、甲の供述調書は、共に甲の自白を内容としているため、共に補強証拠を要する。
したがって、甲の供述調書及びAに郵送された手紙以外の証拠がない場合には、甲を殺人、死体遺棄の罪で有罪とする余地はない。