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刑事訴訟法 補強の程度 最二小判昭和24年4月30日
概要
自白を補強する証拠は、必ずしも自白にかかる犯罪構成事実の全部にわたる必要はなく、自白にかかる事実の真実性を保障し得るものであれば足りる。
判例
事案:強盗傷害事件において、裁判所が、被告人の自白の他に、被告人が被害者に対して暴行を加え、傷害を負わせたという内容の供述調書しか存在しない場合に、強盗傷害罪で有罪とした事案において、補強法則により要求される補強の程度が問題となった。
判旨:「原判決は、被告人の自白のみによって所論判示事実を認定したものではなく、被告人の自白の外にAに対する司法警察官の聴取書中原判示の供述記載を補強証拠としてこれを綜合して認定したものである。そして右聴取書の記載は、被告人がAに暴行を加え因って同人に傷害を与えたという事実を証するだけであって、原判示の犯罪事実即ち強盗傷人罪の全部を証するものではない。しかし自白を補強すべき証拠は必ずしも自白にかかる犯罪構成事実の全部に亘ってもれなくこれを裏付けするものであることを要しないのであって、自白にかかる事実の真実性を保障し得るものであれば足るのである。」
判旨:「原判決は、被告人の自白のみによって所論判示事実を認定したものではなく、被告人の自白の外にAに対する司法警察官の聴取書中原判示の供述記載を補強証拠としてこれを綜合して認定したものである。そして右聴取書の記載は、被告人がAに暴行を加え因って同人に傷害を与えたという事実を証するだけであって、原判示の犯罪事実即ち強盗傷人罪の全部を証するものではない。しかし自白を補強すべき証拠は必ずしも自白にかかる犯罪構成事実の全部に亘ってもれなくこれを裏付けするものであることを要しないのであって、自白にかかる事実の真実性を保障し得るものであれば足るのである。」
過去問・解説
(H21 司法 第37問 エ)
被告人は、被害者Dに暴行を加えて金員を強取し、その際、同暴行により被害者Dに傷害を負わせた事実で強盗致傷罪により起訴された。被告人の自白の他に、被告人から暴行を受けて傷害を負った事実についての記載しかない被害者Dの供述調書しかない場合であっても、被告人を、強盗致傷罪で有罪にできる。
被告人は、被害者Dに暴行を加えて金員を強取し、その際、同暴行により被害者Dに傷害を負わせた事実で強盗致傷罪により起訴された。被告人の自白の他に、被告人から暴行を受けて傷害を負った事実についての記載しかない被害者Dの供述調書しかない場合であっても、被告人を、強盗致傷罪で有罪にできる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭24.4.30)は、本肢と同種の事案において、「自白を補強すべき証拠は必ずしも自白にかかる犯罪構成事実の全部に亘ってもれなくこれを裏付けするものであることを要しないのであって、自白にかかる事実の真実性を保障し得るものであれば足るのである。」として、被害者の供述調書は、被告人の自白にかかる事実の真実性を保障し得るものであるとしている。
したがって、Dの供述調書も、補強証拠として許容されるから、それのみで被告人を強盗致傷罪で有罪にできる。
判例(最判昭24.4.30)は、本肢と同種の事案において、「自白を補強すべき証拠は必ずしも自白にかかる犯罪構成事実の全部に亘ってもれなくこれを裏付けするものであることを要しないのであって、自白にかかる事実の真実性を保障し得るものであれば足るのである。」として、被害者の供述調書は、被告人の自白にかかる事実の真実性を保障し得るものであるとしている。
したがって、Dの供述調書も、補強証拠として許容されるから、それのみで被告人を強盗致傷罪で有罪にできる。
(H24 司法 第32問 イ)
【事例】
甲は、平成23年4月3日、H警察署を訪れ、同署司法警察員Xに対し、「乙と一緒にV1を殺害する計画を立てた。その計画は、乙がV1をH市内の岸壁に呼び出し、私が普通乗用自動車を運転してV1を跳ね飛ばして殺害し、V1の死体を海に捨てるというものであった。実際、私は、この計画どおり、平成23年2月3日午後9時頃、前記岸壁において、普通乗用自動車を運転し、乙が呼び出したV1を跳ね飛ばして殺害し、乙と一緒にV1の死体を海に捨てた。ちなみに、私は、これまで、一度も運転免許を取得したことがない。また、私は、平成22年12月8日、H市内にあるアパートの一室に侵入して現金10万円と時計1個を盗んだ。その後に確認したところ、私が盗みに入ったアパートの住人はV2だと分かった。」などと、道路交通法違反(無免許運転)、殺人、死体遺棄、住居侵入、窃盗の罪を自白した。そこで、司法警察員Xは、この自白を内容とする供述調書を作成した。その後、甲は、平成23年4月5日、司法警察員Xに述べたことと同じ内容を記載した知人A宛ての手紙を作成した上、これをAに郵送した。
甲を殺人、死体遺棄の罪で有罪とするには、V1の死体を写真撮影した写真撮影報告書等V1の死体の発見を前提とする補強証拠が必要不可欠であり、V1の死体を発見できなかった場合には、甲を殺人、死体遺棄の罪で有罪とする余地はない。
【事例】
甲は、平成23年4月3日、H警察署を訪れ、同署司法警察員Xに対し、「乙と一緒にV1を殺害する計画を立てた。その計画は、乙がV1をH市内の岸壁に呼び出し、私が普通乗用自動車を運転してV1を跳ね飛ばして殺害し、V1の死体を海に捨てるというものであった。実際、私は、この計画どおり、平成23年2月3日午後9時頃、前記岸壁において、普通乗用自動車を運転し、乙が呼び出したV1を跳ね飛ばして殺害し、乙と一緒にV1の死体を海に捨てた。ちなみに、私は、これまで、一度も運転免許を取得したことがない。また、私は、平成22年12月8日、H市内にあるアパートの一室に侵入して現金10万円と時計1個を盗んだ。その後に確認したところ、私が盗みに入ったアパートの住人はV2だと分かった。」などと、道路交通法違反(無免許運転)、殺人、死体遺棄、住居侵入、窃盗の罪を自白した。そこで、司法警察員Xは、この自白を内容とする供述調書を作成した。その後、甲は、平成23年4月5日、司法警察員Xに述べたことと同じ内容を記載した知人A宛ての手紙を作成した上、これをAに郵送した。
甲を殺人、死体遺棄の罪で有罪とするには、V1の死体を写真撮影した写真撮影報告書等V1の死体の発見を前提とする補強証拠が必要不可欠であり、V1の死体を発見できなかった場合には、甲を殺人、死体遺棄の罪で有罪とする余地はない。
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(解説)
判例(最判昭24.4.30)は、本肢と同種の事案において、「自白を補強すべき証拠は必ずしも自白にかかる犯罪構成事実の全部に亘ってもれなくこれを裏付けするものであることを要しないのであって、自白にかかる事実の真実性を保障し得るものであれば足るのである。」としている。
したがって、甲の自白を裏付ける証拠であるV1の死体の発見を前提とする補強証拠が必要不可欠であるというわけではなく、甲の自白にかかる事実の真実性を保障しうる補強証拠があれば足りる。
判例(最判昭24.4.30)は、本肢と同種の事案において、「自白を補強すべき証拠は必ずしも自白にかかる犯罪構成事実の全部に亘ってもれなくこれを裏付けするものであることを要しないのであって、自白にかかる事実の真実性を保障し得るものであれば足るのである。」としている。
したがって、甲の自白を裏付ける証拠であるV1の死体の発見を前提とする補強証拠が必要不可欠であるというわけではなく、甲の自白にかかる事実の真実性を保障しうる補強証拠があれば足りる。