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捜査

第189条

条文
第189条(一般司法警察員と捜査)
① 警察官は、それぞれ、他の法律又は国家公安委員会若しくは都道府県公安委員会の定めるところにより、司法警察職員として職務を行う。
② 司法警察職員は、犯罪があると思料するときは、犯人及び証拠を捜査するものとする。
過去問・解説
(H19 司法 第21問 ア)
刑事訴訟法は、捜査の端緒として、現行犯逮捕、検視、告訴、告発、請求及び自首を挙げているが、捜査の端緒をこれらに制限しているわけではなく、被害者又は第三者の申告、警察官職務執行法第2条第1項の定める職務質問のほか、新聞、雑誌、投書など、いやしくも犯罪に関係ありと認められる事由がある限り、広く社会の諸事象から捜査の端緒を得ることが許される。

(正答)

(解説)
刑事訴訟法上、捜査の端緒には制限がない(酒巻匡「刑事訴訟法」第2版39頁)。
したがって、被害者又は第三者の申告、警察官職務執行法第2条第1項の定める職務質問のほか、新聞、雑誌、投書など、いやしくも犯罪に関係ありと認められる事由がある限り、広く社会の諸事象から捜査の端緒を得ることが許される。

(H23 共通 第21問 ア)
捜査機関が犯罪があると思料するに至った理由を捜査の端緒というが、捜査の端緒には何ら制限がなく、刑事訴訟法に規定されたものに限られない。

(正答)

(解説)
刑事訴訟法上、捜査の端緒には制限がない(酒巻匡「刑事訴訟法」第2版39頁)。
したがって、捜査の端緒には何ら制限がなく、刑事訴訟法に規定されたものに限られない。
総合メモ

第191条

条文
第191条(検察官・検察事務官と捜査)
① 検察官は、必要と認めるときは、自ら犯罪を捜査することができる。
② 検察事務官は、検察官の指揮を受け、捜査をしなければならない。
過去問・解説
(H22 司法 第21問 イ)
検察事務官が、検察官の指揮を受け、詐欺被疑事件の被疑者を呼び出して、その取調べを行った行為は、違法である。

(正答)

(解説)
191条2項は、「検察事務官は、検察官の指揮を受け、捜査をしなければならない。」と規定している。また、198条1項本文は、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。」と規定している。
したがって、検察事務官が、検察官の指揮を受け、詐欺被疑事件の被疑者を呼び出して、その取調べを行った行為は、適法である。

(R2 予備 第20問 D)
検察官は、公訴を提起した後も、必要と認めるときは、自らその犯罪を捜査することができる。

(正答)

(解説)
191条1項は、「検察官は、必要と認めるときは、自ら犯罪を捜査することができる。」と規定している。そして、公訴提起後についても検察官による捜査を制限する規定はない。
したがって、検察官は、公訴を提起した後も、必要と認めるときは、自らその犯罪を捜査することができる。
総合メモ

第193条

条文
第193条(検察官の司法警察職員に対する指示・指揮)
① 検察官は、その管轄区域により、司法警察職員に対し、その捜査に関し、必要な一般的指示をすることができる。この場合における指示は、捜査を適正にし、その他公訴の遂行を全うするために必要な事項に関する一般的な準則を定めることによって行うものとする。
② 検察官は、その管轄区域により、司法警察職員に対し、捜査の協力を求めるため必要な一般的指揮をすることができる。
③ 検察官は、自ら犯罪を捜査する場合において必要があるときは、司法警察職員を指揮して捜査の補助をさせることができる。
④ 前3項の場合において、司法警察職員は、検察官の指示又は指揮に従わなければならない。
過去問・解説
(H21 司法 第25問 5)
司法警察員が身体を拘束された被疑者を検察官に送致する手続をした後は、司法警察職員は、被疑者を取り調べることができないが、検察官から指示を受けたときは、この限りではない。

(正答)

(解説)
193条各項は、司法警察職員が、検察官の指揮権の下に服することを規定している。もっとも、被疑者が検察官に送致されたことをもって、警察固有の捜査権を喪失させる規定は存在しない。
したがって、司法警察員が身体を拘束された被疑者を検察官に送致する手続をした後であっても、司法警察職員は、被疑者を取り調べることができる。
総合メモ

第197条

条文
第197条(捜査に必要な取調べ)
① 捜査については、その目的を達するため必要な取調をすることができる。但し、強制の処分は、この法律に特別の定のある場合でなければ、これをすることができない。
② 捜査については、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。
③ 検察官、検察事務官又は司法警察員は、差押え又は記録命令付差押えをするため必要があるときは、電気通信を行うための設備を他人の通信の用に供する事業を営む者又は自己の業務のために不特定若しくは多数の者の通信を媒介することのできる電気通信を行うための設備を設置している者に対し、その業務上記録している電気通信の送信元、送信先、通信日時その他の通信履歴の電磁的記録のうち必要なものを特定し、30日を超えない期間を定めて、これを消去しないよう、書面で求めることができる。この場合において、当該電磁的記録について差押え又は記録命令付差押えをする必要がないと認めるに至ったときは、当該求めを取り消さなければならない。
④ 前項の規定により消去しないよう求める期間については、特に必要があるときは、30日を超えない範囲内で延長することができる。ただし、消去しないよう求める期間は、通じて60日を超えることができない。
⑤ 第2項又は第3項の規定による求めを行う場合において、必要があるときは、みだりにこれらに関する事項を漏らさないよう求めることができる。
過去問・解説
(H21 司法 第22問 カ)
司法警察員が、身の代金目的で誘拐された被害者の親の同意を得て、その親と被疑者との間の電話による通話内容を録音するときは、裁判官の発する令状を必要とする。

(正答)

(解説)
222条の2は、「通信の当事者のいずれの同意も得ないで電気通信の傍受を行う強制の処分については、別に法律で定めるところによる。」と規定している。通話の一方である身の代金目的で誘拐された被害者の親の同意を得ているため通信傍受には当たらない。そして、一方の通話者の同意を得た上で通話内容を聴取・録音することは、197条1項但書の「強制の処分」には当たらない。
したがって、司法警察員が、身の代金目的で誘拐された被害者の親の同意を得て、その親と被疑者との間の電話による通話内容を録音するときは、裁判官の発する令状は不要である。

(H22 司法 第23問 ア)
【事例】
 司法警察員Xは、被疑者甲に係る大麻取締法違反(大麻所持)被疑事件に関し、被疑者甲が一人で居住するアパートの居室を捜索すべき場所とし、大麻及び大麻吸引具を差し押さえるべき物とする捜索差押許可状に基づき、その居室を捜索した。その際、被疑者甲は、その居室にいた。司法警察員Xは、その捜索において、大麻及び大麻吸引具を発見することができなかったが、ポーチに入った覚せい剤様の白色結晶や、血液の混じったような液体が入った注射器を発見した。そのため、司法警察員Xは、(①)前記白色結晶につき、覚せい剤の予試験を実施したところ、覚せい剤であるとの試験結果が得られた。

下線部①について、被疑者甲が予試験の実施に同意をしていれば、司法警察員Xは、裁判官による令状の発付を受けなくても、覚せい剤の予試験を実施できる。

(正答)

(解説)
197条1項は、「捜査については、その目的を達するため必要な取調をすることができる。但し、強制の処分は、この法律に特別の定のある場合でなければ、これをすることができない。」と規定している。
下線部①の性質は、広義の検証であるところ、強制処分としての検証には検証許可状を要する(218条1項)が、任意処分としての実況見分には令状を要しない。
被疑者甲が予試験の実施に同意していれば、被処分者の意思に反しているとはいえず、下線部①は任意処分としての実況見分となる。
したがって、下線部①について、被疑者甲が予試験の実施に同意をしていれば、司法警察員Xは、裁判官による令状の発付を受けなくても、覚せい剤の予試験を実施できる。

(H24 司法 第23問 オ)
捜査機関は、捜索差押許可状による捜索差押えの際に、捜索差押えに付随する処分として、捜索差押許可状を立会人に示している状況や、捜索の現場で差し押さえるべき物が発見された状況を写真撮影することができる。

(正答)

(解説)
197条1項は、「捜査については、その目的を達するため必要な取調をすることができる。但し、強制の処分は、この法律に特別の定のある場合でなければ、これをすることができない。」と規定している。
判例(最決平2.6.27)の藤島補足意見は、「検証許可状を請求することなく、捜索差押手続の適法性を担保するためその執行状況を写真に撮影し、あるいは、差押物件の証拠価値を保存するため発見された場所、状態においてその物を写真に撮影することが、捜査の実務上一般的に行われている。このような撮影もまた検証と解されるべきものであるが、捜索差押に付随するため、捜索差押許可状により許容されている行為であると考えられる。」として、捜索差押許可状を執行するに当たり、それに付随する処分として捜索差押手続の適法性担保のための写真撮影、証拠物の証拠価値保全のための写真撮影を行うことは許されるとしている。
捜索差押許可状を立会人に示している状況の写真撮影は、捜索差押手続の適法性担保のための写真撮影であり、捜索の現場で差し押さえるべき物が発見された状況の写真撮影は、証拠物の証拠価値保全のための写真撮影である。
したがって、捜査機関は、捜索差押許可状による捜索差押えの際に、捜索差押えに付随する処分として、捜索差押許可状を立会人に示している状況や、捜索の現場で差し押さえるべき物が発見された状況を写真撮影することができる。

(H26 共通 第21問 ウ)
司法警察員は、被害者Vの殺害死体が発見されたことから、その捜査を開始したところ、Vの預金が、同死体の発見された前日にVのキャッシュカードを用いて銀行の現金自動預払機から払い戻されていたことを把握し、同銀行に設置された防犯カメラを解析した。その結果、Vの預金を払い戻した人物の容貌がVの知人Aの容貌と類似していることが判明し、司法警察員は、Aを被疑者として次のアからオまでの【捜査】を実施した。
Aに知られずに、Aと取引のある金融機関にAの負債内容の報告を求め、それを記録した書面の交付を受けた行為は、あらかじめ令状の発付を受けていなければ適法と評価される余地はない。

(正答)

(解説)
197条2項は、「捜査については、公務所又は公私の団体に照会して必要な事項の報告を求めることができる。」と規定している。
したがって、Aに知られずに、Aと取引のある金融機関にAの負債内容の報告を求め、それを記録した書面の交付を受けた行為は、あらかじめ令状の発付を受けていなければ適法と評価される余地はある。

(H26 共通 第21問 エ)
司法警察員は、被害者Vの殺害死体が発見されたことから、その捜査を開始したところ、Vの預金が、同死体の発見された前日にVのキャッシュカードを用いて銀行の現金自動預払機から払い戻されていたことを把握し、同銀行に設置された防犯カメラを解析した。その結果、Vの預金を払い戻した人物の容貌がVの知人Aの容貌と類似していることが判明し、司法警察員は、Aを被疑者として次のアからオまでの【捜査】を実施した。
Aの同意に基づいて採取した口腔内細胞を試料として、AのDNA型を検査した行為は、あらかじめ令状の発付を受けていなければ適法と評価される余地はない。

(正答)

(解説)
197条1項は、「捜査については、その目的を達するため必要な取調をすることができる。但し、強制の処分は、この法律に特別の定のある場合でなければ、これをすることができない。」と規定している。
Aの同意に基づいて採取した口腔内細胞を試料として、AのDNA型を検査しているので、この行為は被処分者の意思に反するものではなく、任意処分となる。
したがって、Aの同意に基づいて採取した口腔内細胞を試料として、AのDNA型を検査した行為は、あらかじめ令状の発付を受けていなくとも適法と評価される余地はある。

(H26 共通 第21問 オ)
司法警察員は、被害者Vの殺害死体が発見されたことから、その捜査を開始したところ、Vの預金が、同死体の発見された前日にVのキャッシュカードを用いて銀行の現金自動預払機から払い戻されていたことを把握し、同銀行に設置された防犯カメラを解析した。その結果、Vの預金を払い戻した人物の容貌がVの知人Aの容貌と類似していることが判明し、司法警察員は、Aを被疑者として次のアからオまでの【捜査】を実施した。
Aに対し、Aの同意に基づいてポリグラフ検査を実施した行為は、あらかじめ令状の発付を受けていなければ適法と評価される余地はない。

(正答)

(解説)
197条1項は、「捜査については、その目的を達するため必要な取調をすることができる。但し、強制の処分は、この法律に特別の定のある場合でなければ、これをすることができない。」と規定している。
Aに対し、Aの同意に基づいてポリグラフ検査を実施しているので、この行為は被処分者の意思に反するものではなく、任意処分となる。
したがって、Aに対し、Aの同意に基づいてポリグラフ検査を実施した行為は、あらかじめ令状の発付を受けていなくとも適法と評価される余地はある。

(H26 司法 第39問 イ)
外国人である被疑者を通訳を介して取り調べる場合、その供述録取書を日本語で作成しても違法ではない。

(正答)

(解説)
犯罪捜査規範130条1項は、「外国人であって日本語に通じないものに対し取調べを行い、又は第130条(司法警察員の処置)第1項に掲げる処置をとったときは、日本語の供述調書又は弁解録取書を作成するものとし、特に必要がある場合には、外国語の供述書を提出させるものとする。」と規定している。
したがって、外国人である被疑者を通訳を介して取り調べる場合、その供述録取書を日本語で作成しても違法ではない。
総合メモ

第198条

条文
第198条(被疑者の出頭要求・取調べ)
① 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。
② 前項の取調に際しては、被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。
③ 被疑者の供述は、これを調書に録取することができる。
④ 前項の調書は、これを被疑者に閲覧させ、又は読み聞かせて、誤がないかどうかを問い、被疑者が増減変更の申立をしたときは、その供述を調書に記載しなければならない。
⑤ 被疑者が、調書に誤のないことを申し立てたときは、これに署名押印することを求めることができる。但し、これを拒絶した場合は、この限りでない。
過去問・解説
(H21 司法 第25問 1)
司法警察職員は、被疑者の供述を録取した調書を被疑者に閲覧させ、又は読み聞かせて、誤りがないかどうかを問うことができるが、被疑者は、その調書に誤りのないことを申し立てたときは、これに署名押印しなければならない。

(正答)

(解説)
198条は、4項において、「前項の調書は、これを被疑者に閲覧させ、又は読み聞かせて、誤がないかどうかを問い、被疑者が増減変更の申立をしたときは、その供述を調書に記載しなければならない。」と規定し、5項において、「被疑者が、調書に誤のないことを申し立てたときは、これに署名押印することを求めることができる。但し、これを拒絶した場合は、この限りでない。」と規定している。そのため、署名押印は義務ではない。
したがって、司法警察職員は、被疑者の供述を録取した調書を被疑者に閲覧させ、又は読み聞かせて、誤りがないかどうかを問うことができる。そして、被疑者は、その調書に誤りのないことを申し立てたときは、これに署名押印する必要はない。

(H21 司法 第25問 3)
司法警察職員から出頭を求められた被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、その出頭を拒むことはできないが、出頭後、何時でも退去することができる。

(正答)

(解説)
198条1項は、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる。」と規定している。

(H30 予備 第19問 ア)
刑事訴訟法上、捜査機関による取調べにおいて、被疑者が供述を拒むことができる事項に限定はない。

(正答)

(解説)
198条2項は、捜査機関による取り調べに際して、「被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。」と規定している。そのため、自己の意思に反している場合には、いかなる供述も拒むことができる。
したがって、刑事訴訟法上、捜査機関による取調べにおいて、被疑者が供述を拒むことができる事項に限定はない。

(H30 予備 第19問 イ)
刑事訴訟法上、捜査機関は、被害者、目撃者など被疑者以外の者に対して取調べを行うに際しても、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。

(正答)

(解説)
198条2項は、捜査機関による取り調べに際して、「被疑者に対し、あらかじめ、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。」と規定している。そして、223条2項は、「第198条第1項但書及び第3項乃至第5項の規定」を第三者の取調べの場合に「準用する」ことを規定しており、198条2項を準用していない。
したがって、刑事訴訟法上、捜査機関は、被害者、目撃者など被疑者以外の者に対して取調べを行うに際しては、自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げる必要はない。

(R6 予備 第23問 ウ)
司法警察職員は、被疑者の供述録取書につき、これを被疑者に閲覧させ、又は読み聞かせて、誤りがないかどうかを問い、被疑者が増減変更の申立てをしたときは、その供述を調書に記載しなければならず、被疑者が調書に誤りのないことを申し立てたときは、これに署名押印することを求めることができる。

(正答)

(解説)
198条は、4項において、「前項の調書は、これを被疑者に閲覧させ、又は読み聞かせて、誤がないかどうかを問い、被疑者が増減変更の申立をしたときは、その供述を調書に記載しなければならない。」と規定し、5項本文において、「被疑者が、調書に誤のないことを申し立てたときは、これに署名押印することを求めることができる。」と規定している。

(R6 予備 第23問 エ)
逮捕又は勾留されていない被疑者は、司法警察職員から出頭を求められた場合、これを拒むことができるが、検察官又は検察事務官から出頭を求められた場合、これを拒むことはできない。

(正答)

(解説)
198条1項は、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者の出頭を求め、これを取り調べることができる。但し、被疑者は、逮捕又は勾留されている場合を除いては、出頭を拒み、又は出頭後、何時でも退去することができる」と規定している。
したがって、逮捕又は勾留されていない被疑者は、司法警察職員から出頭を求められた場合、これを拒むことができ、そして、検察官又は検察事務官から出頭を求められた場合であっても、これを拒むことができる。
総合メモ

第199条

条文
第199条(逮捕状による逮捕の要求)
① 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。ただし、30万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まった住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。
② 裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員(警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。次項及び第201条の2第1項において同じ。)の請求により、前項の逮捕状を発する。ただし、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでない。
③ 検察官又は司法警察員は、第1項の逮捕状を請求する場合において、同一の犯罪事実についてその被疑者に対し前に逮捕状の請求又はその発付があったときは、その旨を裁判所に通知しなければならない。
過去問・解説
(H18 司法 第23問 1)
通常逮捕の逮捕状の請求を受けた裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、常に逮捕状を発しなければならない。

(正答)

(解説)
199条2項は、「裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員(警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。次項及び第201条の2第1項において同じ。)の請求により、前項の逮捕状を発する。ただし、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでない。」と規定している。そのため、「明らかに逮捕の必要がないと認めるとき」は逮捕状の発付を拒否できる。
したがって、通常逮捕の逮捕状の請求を受けた裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときであっても、常に逮捕状を発しなければならないというわけではない。

(H18 司法 第23問 2)
司法巡査は、通常逮捕の逮捕状を請求することはできないが、逮捕状により被疑者を逮捕することはできる。

(正答)

(解説)
39条3項括弧書において、司法警察職員は司法警察員及び司法巡査をいうと定義されている。
次に、199条2項本文は、「裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員(警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。次項及び第201条の2第1項において同じ。)の請求により、前項の逮捕状を発する。」と規定し、逮捕状の請求権者を検察官と司法警察員に限定している。そして、199条1項本文は、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。」と規定し、検察官、検察事務官又は司法警察職員に逮捕状による逮捕を認めている。
したがって、司法巡査は、通常逮捕の逮捕状を請求することはできないが、逮捕状により被疑者を逮捕することはできる。

(H21 司法 第23問 1)
司法巡査は、通常逮捕の逮捕状により被疑者を逮捕することはできるが、その逮捕状を請求することはできない。

(正答)

(解説)
39条3項括弧書において、司法警察職員は司法警察員及び司法巡査をいうと定義されている。
次に、199条1項本文は、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。」と規定し、検察官、検察事務官又は司法警察職員に逮捕状による逮捕を認めている。そして、199条2項本文は、「裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員(警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。次項及び第201条の2第1項において同じ。)の請求により、前項の逮捕状を発する。」と規定し、逮捕状の請求権者を検察官と司法警察員に限定している。
したがって、司法巡査は、通常逮捕の逮捕状により被疑者を逮捕することはできるが、その逮捕状を請求することはできない。

(H22 司法 第21問 エ)
検察官が、被疑者の身体の拘束がないまま警察から送致を受けた窃盗被疑事件につき、罪証隠滅のおそれがあるとして、裁判官から逮捕状の発付を受けて被疑者を逮捕した行為は、違法である。

(正答)

(解説)
199条は、1項本文において、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。」と規定し、2項本文において、「裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員(警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。次項及び第201条の2第1項において同じ。)の請求により、前項の逮捕状を発する。」と規定している。
したがって、検察官が、被疑者の身体の拘束がないまま警察から送致を受けた窃盗被疑事件につき、罪証隠滅のおそれがあるとして、裁判官から逮捕状の発付を受けて被疑者を逮捕した行為は、適法である。

(H22 司法 第21問 オ)
司法巡査が、裁判官が発付した逮捕状により、被疑者を逮捕するのは違法である。

(正答)

(解説)
199条1項本文は、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。」と規定している。そして、39条3項括弧書において、司法警察職員は司法警察員及び司法巡査をいうと定義されている。
したがって、司法巡査が、裁判官が発付した逮捕状により、被疑者を逮捕するのは適法である。

(H22 司法 第21問 キ)
司法巡査が、裁判官に対し被疑者の逮捕状の発付を請求するのは違法である。

(正答)

(解説)
39条3項括弧書において、司法警察職員は司法警察員及び司法巡査をいうと定義されている。そして、199条2項本文は、「裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員(警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。次項及び第201条の2第1項において同じ。)の請求により、前項の逮捕状を発する。」と規定し、逮捕状の請求権者を限定している。
したがって、司法巡査が、裁判官に対し被疑者の逮捕状の発付を請求するのは違法である。

(H22 司法 第25問 イ)
H地方裁判所の裁判官に対する甲の逮捕の理由の開示請求には、法令上の根拠がない。

(正答)

(解説)
82条1項は、「勾留されている被告人は、裁判所に勾留の理由の開示を請求することができる。」と規定している。
これに対して、逮捕理由の開示を請求することができるとする規定は、存在しない。
したがって、H地方裁判所の裁判官に対する甲の逮捕の理由の開示請求には、法令上の根拠がない。

(H25 予備 第15問 エ)
H警察署司法警察員は、「平成24年3月1日午後9時、I市内にあるJ倉庫裏において、甲が乙に覚せい剤を譲り渡すという覚せい剤取引の計画がある。」旨の情報を入手した。そこで、司法警察員は、部下である司法巡査X及び司法巡査Yに対して、前記覚せい剤取引を確認した場合には甲及び乙を逮捕するように指示した。その後、司法巡査X及び司法巡査Yは、同日午後9時、前記J倉庫裏において、甲が乙にアタッシュケースを渡したのを現認したので、直ちに、甲及び乙に対する職務質問を開始した。しかし、甲は、その場から逃走し、司法巡査Xはこれを追跡したものの、見失った。これに対し、乙は、その場に留まり、司法巡査Yの求めに任意に応じて前記アタッシュケースを開披し、その中に入っていた白色粉末入りのビニール袋を司法巡査Yに渡した。そして、司法巡査Yは、乙の同意を得た上で、試薬を使用してその白色粉末が覚せい剤であることを確認したことから、同日午後9時20分、乙を覚せい剤所持の事実により現行犯逮捕した。その後、乙は、同日午後10時、司法警察員に引致された。一方、甲を捜していた司法巡査Xは、司法巡査Yから、携帯電話により、前記アタッシュケースの中には覚せい剤が入っていたことを聞いた。そして、司法巡査Xは、同日午後11時50分、I市内において、甲を発見したことから、甲を覚せい剤譲渡の事実により緊急逮捕し、司法警察員に引致した。その後、甲には、同年2月27日に同市内の宝石店において100万円相当の宝石を窃取したという窃盗の余罪があることが判明した。
甲については、覚せい剤譲渡の事実により逮捕されている間でも、前記窃盗の事実により逮捕することができる。

(正答)

(解説)
逮捕勾留の効力は、逮捕勾留の基礎となっている被疑事実にのみ及び、それ以外の事実には及ばないという事件単位の原則からすると(吉開多一ほか「刑事訴訟法Ⅰ手続理解編」初版79頁)、覚せい剤譲渡の事実と窃盗の事実は異なる被疑事実によるものであるので、覚せい剤譲渡の事実による逮捕の効力は、窃盗罪には及ばない。
したがって、甲については、覚せい剤譲渡の事実により逮捕されている間でも、前記窃盗の事実により逮捕することができる。

(H26 共通 第23問 オ)
司法巡査は、「路上で人がバットで殴られている。」旨の110番通報に基づき、事件現場に急行したところ、現場到着時に犯人が逃走していたことから、傷害を負った被害者から被害状況や犯人の服装・体格等を聴取し、犯人の探索を開始した。司法巡査は、事件発生の約30分後に事件現場から約500メートル離れた路上において、被害者が供述した犯人の服装・体格と一致する人物甲がバットを持って歩いているのを認め、甲に「ちょっと待って。」と声を掛けて停止を求めた。すると、甲が直ちに逃走を開始したため、司法巡査は甲を追跡し、甲を傷害罪の準現行犯人として逮捕した。甲は、逮捕翌日に、傷害罪により検察官に送致された。
甲を傷害罪で勾留した後、甲が「強盗目的で事件を起こした。」旨供述した場合には、傷害罪による勾留中に強盗致傷罪で逮捕しても適法である。

(正答)

(解説)
逮捕状・勾留状の請求には被疑事実が必要とされ、被疑事実を単位として逮捕・勾留の可否について裁判官が審査する事件単位の原則に基づき、同一の被疑事実につき逮捕・勾留は1回しか認められないという一罪一逮捕一勾留の原則からすると(吉開多一ほか「刑事訴訟法Ⅱ論点理解編」第2版116頁)、傷害罪での逮捕勾留と強盗致傷罪での逮捕は、同一時刻・同一被害者に対する犯行であるため、同一の被疑事実についての逮捕・勾留であるといえ、同原則に反する。
したがって、甲を傷害罪で勾留した後、甲が「強盗目的で事件を起こした。」旨供述した場合、傷害罪による勾留中に強盗致傷罪で逮捕することは違法である。

(H26 共通 第24問 オ)
逮捕状による逮捕と起訴前の勾留について、どちらも、司法警察員の請求により裁判官が令状を発付する。

(正答)

(解説)
199条2項本文は、「裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員(警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。次項及び第201条の2第1項において同じ。)の請求により、前項の逮捕状を発する。」と規定している。また、204条1項本文は、「検察官は、…留置の必要があると思料するときは…裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない」(204条1項本文)と規定し、205条1項は、「検察官は、…留置の必要があると思料するときは…裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない」(205条1項)と規定している。
したがって、逮捕状による逮捕については司法警察員に限り、起訴前の勾留については検察官に限り、令状を請求することができる。

(H27 予備 第14問 ア)
逮捕状により被疑者を逮捕することは、検察官と司法警察員のいずれもが行使できる権限である。

(正答)

(解説)
199条1項本文は、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。」と規定している。
したがって、逮捕状により被疑者を逮捕することは、検察官と司法警察員のいずれもが行使できる権限である。

(R3 予備 第15問 ウ)
窃盗の事実で逮捕した後に釈放した被疑者を同一の窃盗の事実で再び逮捕することが許される場合もある。

(正答)

(解説)
199条3項は、「検察官又は司法警察員は、第1項の逮捕状を請求する場合において、同一の犯罪事実についてその被疑者に対し前に逮捕状の請求又はその発付があったときは、その旨を裁判所に通知しなければならない。」と規定している。これは同一の犯罪事実についての再逮捕があり得ることを前提とした規定である。
したがって、窃盗の事実で逮捕した後に釈放した被疑者を同一の窃盗の事実で再び逮捕することが許される場合もある。
総合メモ

第201条

条文
第201条(逮捕状による逮捕の手続)
① 逮捕状により被疑者を逮捕するには、逮捕状を被疑者に示さなければならない。
② 第73条第3項の規定は、逮捕状により被疑者を逮捕する場合にこれを準用する。
過去問・解説
(H18 司法 第23問 3)
逮捕状により被疑者を逮捕するには、逮捕の着手に先立って必ず逮捕状を被疑者に示さなければならない。

(正答)

(解説)
201条1項は、「逮捕状により被疑者を逮捕するには、逮捕状を被疑者に示さなければならない。」と規定している。しかし、これに対する例外として、201条2項が準用している73条3項は、「勾引状又は勾留状を所持しないためこれを示すことができない場合において、急速を要するときは、前2項の規定にかかわらず、被告人に対し公訴事実の要旨及び令状が発せられている旨を告げて、その執行をすることができる。但し、令状は、できる限り速やかにこれを示さなければならない。」と規定している。
したがって、逮捕状により被疑者を逮捕するには、逮捕の着手に先立って逮捕状を被疑者に示さなくてもよい場合がある。

(H26 司法 第39問 ア)
司法警察員がその所持する逮捕状により外国人である被疑者を逮捕する場合、同被疑者に逮捕状を示さなくても違法ではない。

(正答)

(解説)
201条1項は、「逮捕状により被疑者を逮捕するには、逮捕状を被疑者に示さなければならない。」と規定している。
したがって、司法警察員がその所持する逮捕状により外国人である被疑者を逮捕する場合、同被疑者に逮捕状を示さなければ違法となる。
総合メモ

第202条

条文
第202条(検察官・司法警察員への引致)
 検察事務官又は司法巡査が逮捕状により被疑者を逮捕したときは、直ちに、検察事務官はこれを検察官に、司法巡査はこれを司法警察員に引致しなければならない。
過去問・解説
(H21 司法 第23問 4)
司法巡査は、被疑者を逮捕したときは、直ちに、これを司法警察員に引致しなければならない。

(正答)

(解説)
202条は、「検察事務官又は司法巡査が逮捕状により被疑者を逮捕したときは、直ちに、検察事務官はこれを検察官に、司法巡査はこれを司法警察員に引致しなければならない。」と規定している。

(H23 予備 第15問 ア)
司法巡査は、逮捕状により被疑者を逮捕したときだけでなく、現行犯逮捕したとき、又は緊急逮捕したときも、直ちにこれを司法警察員に引致しなければならない。

(正答)

(解説)
202条は、「検察事務官又は司法巡査が逮捕状により被疑者を逮捕したときは、直ちに、検察事務官はこれを検察官に、司法巡査はこれを司法警察員に引致しなければならない。」と規定している。この規定は、216条により現行犯逮捕の場合に、211条により緊急逮捕の場合に準用されている。
したがって、司法巡査は、逮捕状により被疑者を逮捕したときだけでなく、現行犯逮捕したとき、又は緊急逮捕したときも、直ちにこれを司法警察員に引致しなければならない。

(H26 共通 第23問 ア)
司法巡査は、「路上で人がバットで殴られている。」旨の110番通報に基づき、事件現場に急行したところ、現場到着時に犯人が逃走していたことから、傷害を負った被害者から被害状況や犯人の服装・体格等を聴取し、犯人の探索を開始した。司法巡査は、事件発生の約30分後に事件現場から約500メートル離れた路上において、被害者が供述した犯人の服装・体格と一致する人物甲がバットを持って歩いているのを認め、甲に「ちょっと待って。」と声を掛けて停止を求めた。すると、甲が直ちに逃走を開始したため、司法巡査は甲を追跡し、甲を傷害罪の準現行犯人として逮捕した。甲は、逮捕翌日に、傷害罪により検察官に送致された。
司法巡査は、甲を準現行犯人として逮捕するに当たり、甲に逮捕の理由を告げなければならない。

(正答)

(解説)
216条が準用している202条は、「検察事務官又は司法巡査が逮捕状により被疑者を逮捕したときは、直ちに、検察事務官はこれを検察官に、司法巡査はこれを司法警察員に引致しなければならない。」と規定している。また、216条が準用している203条1項は、「司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者を受け取つたときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から四十八時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。」と規定している。そして、39条3項括弧書において、司法警察職員は司法警察員及び司法巡査をいうとされていることを合わせて鑑みると、司法巡査が逮捕をした場合には司法警察員に引致することが要求されているのみで、司法巡査には、逮捕の理由の告知が義務付けられていない。
したがって、司法巡査は、甲を準現行犯人として逮捕するに当たり、甲に逮捕の理由を告げる必要はない。
総合メモ

第203条

条文
第203条(司法警察員の手続、検察官送致の時間の制限)
① 司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者を受け取ったときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。
② 前項の場合において、被疑者に弁護人の有無を尋ね、弁護人があるときは、弁護人を選任することができる旨は、これを告げることを要しない。
③ 司法警察員は、第1項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たっては、被疑者に対し、弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示しなければならない。
④ 司法警察員は、第1項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たっては、被疑者に対し、引き続き勾留を請求された場合において貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは裁判官に対して弁護人の選任を請求することができる旨並びに裁判官に対して弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨及びその資力が基準額以上であるときは、あらかじめ、弁護士会(第37条の3第2項の規定により第31条の2第1項の申出をすべき弁護士会をいう。)に弁護人の選任の申出をしていなければならない旨を教示しなければならない。
⑤ 第1項の時間の制限内に送致の手続をしないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
過去問・解説
(H18 司法 第25問 オ)
警察官は、平成◯年◯月5日午後3時、被疑者に対し、警察署への任意同行を求め、その後、被疑者を逮捕した。そして、同月7日午後2時30分、被疑者を関係書類とともに検察官に送致する手続をし、検察官は、同日午後3時30分、被疑者の身柄を受理し、直ちに被疑者に弁解の機会を与えた上、同月8日午前11時、裁判官に対し、被疑者の勾留を請求し、裁判官は、同日午後4時、勾留状を発した。この場合、被疑者に対する実質的な逮捕が任意同行開始の時点になされたと考えても、被疑者の逮捕後の手続について刑事訴訟法が要求する時間的制限は遵守されている。

(正答)

(解説)
203条1項は、「司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者を受け取ったときは、…留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。」と規定している。また、205条は、1項において、「検察官は、…送致された被疑者を受け取ったときは、…留置の必要があると思料するときは被疑者を受け取った時から24時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。」と規定し、2項において、「前項の時間の制限は、被疑者が身体を拘束された時から72時間を超えることができない。」と規定している。
本肢においては、実質逮捕と認定される任意同行が5日午後3時になされており、検察官への送致の手続は7日午後2時30分になされていることから、その期間は47時間30分であり203条1項の制限には反しない。また、検察官が被疑者の身柄を受け取ったのは7日午後3時30分であり、検察官が勾留請求したのは8日午前11時であるから、その期間は19時間30分であり、205条1項の制限には反しない。そして、実質逮捕から勾留請求までの間は68時間であることから、205条2項の制限にも反しない。
したがって、本肢における被疑者に対する実質的な逮捕が任意同行開始の時点になされたと考えても、被疑者の逮捕後の手続について刑事訴訟法が要求する時間的制限は遵守されている。

(H23 予備 第15問 エ)
司法警察員は、被疑者を緊急逮捕したときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任できる旨を告げた上で弁解の機会を与えなければならないが、逮捕状により被疑者を逮捕したときは、逮捕状を被疑者に示しているから犯罪事実の要旨を告げる必要はなく、直ちに弁護人を選任することができる旨を告げた上で弁解の機会を与えれば足りる。

(正答)

(解説)
203条1項は、「司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者を受け取ったときは、直ちに犯罪事実の要旨…を告げた上、弁解の機会を与え…なければならない。」と規定している。そして、203条1項は、211条によって緊急逮捕についても準用されている。
したがって、司法警察員は、被疑者を緊急逮捕したときのみならず、逮捕状により被疑者を逮捕したときも、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任できる旨を告げた上で弁解の機会を与えなければならない。

(H23 司法 第23問 ア)
被疑者甲野太郎は、殺人を被疑事実とする逮捕状に基づいて司法警察員により逮捕された。被疑者甲野太郎の事件に関し、H警察署司法警察員Xは、被疑者の弁解を聴取して弁解録取書を作成した。

【弁解録取書の記載内容】
 本籍、住居、職業、氏名、生年月日欄(省略)
 本職は、平成23年2月3日午前10時10分ころ、H警察署において、上記の者に対し、①逮捕状記載の犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げるとともに、
   1 引き続き勾留を請求された場合において貧困等の事由により自ら弁護人を選任することができないときは、裁判官に対して弁護人を請求できる旨
   2 裁判官に対して弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨
   3 その資力が基準額以上であるときは、あらかじめ、弁護士会に弁護人の選任の申出をしていなければならない旨
を教示し、さらに、弁護人又は弁護人となろうとする弁護士と接見したいことを申し出れば、直ちにその旨をこれらの者に連絡する旨を告げた上、弁解の機会を与えたところ、任意次のとおり供述した。
 1 私がVさんを殺したことは間違いありません。
 2 弁護人をお願いできる権利があることは聞きました。お金がないので、国選でお願いします。
                     甲野太郎 指印
 以上のとおり録取して読み聞かせた上、閲覧させたところ、誤りのないことを申し立て、各葉の欄外に指印した上、末尾に署名・指印した。
  前同日
                                   司法警察員署名押印欄(省略)

①につき、刑事訴訟法の規定上、司法警察員Xは、直ちに犯罪事実の要旨を告げるように求められている。

(正答)

(解説)
203条1項は、「司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者を受け取ったときは、直ちに犯罪事実の要旨…を告げ…なければならない。」と規定している。

(H23 司法 第23問 イ)
被疑者甲野太郎は、殺人を被疑事実とする逮捕状に基づいて司法警察員により逮捕された。被疑者甲野太郎の事件に関し、H警察署司法警察員Xは、被疑者の弁解を聴取して弁解録取書を作成した。

【弁解録取書の記載内容】
 本籍、住居、職業、氏名、生年月日欄(省略)
 本職は、平成23年2月3日午前10時10分ころ、H警察署において、上記の者に対し、逮捕状記載の犯罪事実の要旨及び②弁護人を選任することができる旨を告げるとともに、
   1 引き続き勾留を請求された場合において貧困等の事由により自ら弁護人を選任することができないときは、裁判官に対して弁護人を請求できる旨
   2 裁判官に対して弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨
   3 その資力が基準額以上であるときは、あらかじめ、弁護士会に弁護人の選任の申出をしていなければならない旨
を教示し、さらに、弁護人又は弁護人となろうとする弁護士と接見したいことを申し出れば、直ちにその旨をこれらの者に連絡する旨を告げた上、弁解の機会を与えたところ、任意次のとおり供述した。
 1 私がVさんを殺したことは間違いありません。
 2 弁護人をお願いできる権利があることは聞きました。お金がないので、国選でお願いします。
                     甲野太郎 指印
 以上のとおり録取して読み聞かせた上、閲覧させたところ、誤りのないことを申し立て、各葉の欄外に指印した上、末尾に署名・指印した。
  前同日
                                   司法警察員署名押印欄(省略)

②につき、刑事訴訟法の規定上、司法警察員Xは、弁護人を選任することができる旨を告げるように求められている。

(正答)

(解説)
203条1項は、「司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者を受け取ったときは、直ちに…弁護人を選任することができる旨を告げ…なければならない。」と規定している。

(H23 司法 第23問 ウ)
被疑者甲野太郎は、殺人を被疑事実とする逮捕状に基づいて司法警察員により逮捕された。被疑者甲野太郎の事件に関し、H警察署司法警察員Xは、被疑者の弁解を聴取して弁解録取書を作成した。

【弁解録取書の記載内容】
 本籍、住居、職業、氏名、生年月日欄(省略)
 本職は、平成23年2月3日午前10時10分ころ、H警察署において、上記の者に対し、逮捕状記載の犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げるとともに、
  ③1 引き続き勾留を請求された場合において貧困等の事由により自ら弁護人を選任することができないときは、裁判官に対して弁護人を請求できる旨
   2 裁判官に対して弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨
   3 その資力が基準額以上であるときは、あらかじめ、弁護士会に弁護人の選任の申出をしていなければならない旨
を教示し、さらに、弁護人又は弁護人となろうとする弁護士と接見したいことを申し出れば、直ちにその旨をこれらの者に連絡する旨を告げた上、弁解の機会を与えたところ、任意次のとおり供述した。
 1 私がVさんを殺したことは間違いありません。
 2 弁護人をお願いできる権利があることは聞きました。お金がないので、国選でお願いします。
                     甲野太郎 指印
 以上のとおり録取して読み聞かせた上、閲覧させたところ、誤りのないことを申し立て、各葉の欄外に指印した上、末尾に署名・指印した。
  前同日
                                   司法警察員署名押印欄(省略)

③につき、刑事訴訟法の規定上、司法警察員Xは、③の1から3までの事項を教示するように求められていない。

(正答)

(解説)
203条4項は、「司法警察員は、第1項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たっては、被疑者に対し、引き続き勾留を請求された場合において貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは裁判官に対して弁護人の選任を請求することができる旨並びに裁判官に対して弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨及びその資力が基準額以上であるときは、あらかじめ、弁護士会(第37条の3第2項の規定により第31条の2第1項の申出をすべき弁護士会をいう。)に弁護人の選任の申出をしていなければならない旨を教示しなければならない。」と規定している。
したがって、刑事訴訟法の規定上、司法警察員Xは、③の1から3までの事項を教示するように求められている。

(H23 司法 第23問 エ)
被疑者甲野太郎は、殺人を被疑事実とする逮捕状に基づいて司法警察員により逮捕された。被疑者甲野太郎の事件に関し、H警察署司法警察員Xは、被疑者の弁解を聴取して弁解録取書を作成した。

【弁解録取書の記載内容】
 本籍、住居、職業、氏名、生年月日欄(省略)
 本職は、平成23年2月3日午前10時10分ころ、H警察署において、上記の者に対し、逮捕状記載の犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げるとともに、
   1 引き続き勾留を請求された場合において貧困等の事由により自ら弁護人を選任することができないときは、裁判官に対して弁護人を請求できる旨
   2 裁判官に対して弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨
   3 その資力が基準額以上であるときは、あらかじめ、弁護士会に弁護人の選任の申出をしていなければならない旨
を教示し、さらに、弁護人又は弁護人となろうとする弁護士と接見したいことを申し出れば、直ちにその旨をこれらの者に連絡する旨を告げた上、④弁解の機会を与えたところ、任意次のとおり供述した。
 1 私がVさんを殺したことは間違いありません。
 2 弁護人をお願いできる権利があることは聞きました。お金がないので、国選でお願いします。
                     甲野太郎 指印
 以上のとおり録取して読み聞かせた上、閲覧させたところ、誤りのないことを申し立て、各葉の欄外に指印した上、末尾に署名・指印した。
  前同日
                                   司法警察員署名押印欄(省略)

④につき、刑事訴訟法の規定上、司法警察員Xは、被疑者甲野太郎に、弁解の機会を与えるように求められていない。

(正答)

(解説)
203条1項は、「司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者を受け取ったときは、…弁解の機会を与え…なければならない。」と規定している。

(H23 司法 第23問 オ)
【弁解録取書の記載内容】
 本籍、住居、職業、氏名、生年月日欄(省略)
 本職は、平成23年2月3日午前10時10分ころ、H警察署において、上記の者に対し、逮捕状記載の犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げるとともに、
   1 引き続き勾留を請求された場合において貧困等の事由により自ら弁護人を選任することができないときは、裁判官に対して弁護人を請求できる旨
   2 裁判官に対して弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨
   3 その資力が基準額以上であるときは、あらかじめ、弁護士会に弁護人の選任の申出をしていなければならない旨
を教示し、さらに、弁護人又は弁護人となろうとする弁護士と接見したいことを申し出れば、直ちにその旨をこれらの者に連絡する旨を告げた上、弁解の機会を与えたところ、任意次のとおり供述した。
 1 私がVさんを殺したことは間違いありません。
 2 弁護人をお願いできる権利があることは聞きました。お金がないので、国選でお願いします。
                     甲野太郎 指印
 以上のとおり⑤録取して読み聞かせた上、閲覧させたところ、誤りのないことを申し立て、各葉の欄外に指印した上、末尾に署名・指印した。
  前同日
                                   司法警察員署名押印欄(省略)

⑤につき、刑事訴訟法の規定上、司法警察員Xは、弁解録取書を作成して、これを読み聞かせた上で、閲覧させることが求められている。

(正答)

(解説)
刑事訴訟法上、司法警察員に弁解録取書を作成して、これを読み聞かせた上で、閲覧させることを義務付けている規定は存在しない。
したがって、刑事訴訟法の規定上、司法警察員Xは、弁解録取書を作成して、これを読み聞かせた上で、閲覧させることは求められていない。

(H25 予備 第15問 イ)
H警察署司法警察員は、「平成24年3月1日午後9時、I市内にあるJ倉庫裏において、甲が乙に覚せい剤を譲り渡すという覚せい剤取引の計画がある。」旨の情報を入手した。そこで、司法警察員は、部下である司法巡査X及び司法巡査Yに対して、前記覚せい剤取引を確認した場合には甲及び乙を逮捕するように指示した。その後、司法巡査X及び司法巡査Yは、同日午後9時、前記J倉庫裏において、甲が乙にアタッシュケースを渡したのを現認したので、直ちに、甲及び乙に対する職務質問を開始した。しかし、甲は、その場から逃走し、司法巡査Xはこれを追跡したものの、見失った。これに対し、乙は、その場に留まり、司法巡査Yの求めに任意に応じて前記アタッシュケースを開披し、その中に入っていた白色粉末入りのビニール袋を司法巡査Yに渡した。そして、司法巡査Yは、乙の同意を得た上で、試薬を使用してその白色粉末が覚せい剤であることを確認したことから、同日午後9時20分、乙を覚せい剤所持の事実により現行犯逮捕した。その後、乙は、同日午後10時、司法警察員に引致された。一方、甲を捜していた司法巡査Xは、司法巡査Yから、携帯電話により、前記アタッシュケースの中には覚せい剤が入っていたことを聞いた。そして、司法巡査Xは、同日午後11時50分、I市内において、甲を発見したことから、甲を覚せい剤譲渡の事実により緊急逮捕し、司法警察員に引致した。その後、甲には、同年2月27日に同市内の宝石店において100万円相当の宝石を窃取したという窃盗の余罪があることが判明した。
甲及び乙の引致を受けた司法警察員は、緊急逮捕された甲については、弁解の機会を与える必要があるが、現行犯逮捕された乙については、弁解の機会を与える必要がない。

(正答)

(解説)
203条1項は、「司法警察員は、…逮捕状により逮捕された被疑者を受け取ったときは、…弁解の機会を与え…なければならない。」と規定している。そして、211条は、203条1項を緊急逮捕の場合に、216条は、203条1項を現行犯逮捕の場合に準用している。
したがって、甲及び乙の引致を受けた司法警察員は、緊急逮捕された甲のみならず、現行犯逮捕された乙についても、弁解の機会を与える必要がある。

(H25 予備 第15問 オ)
H警察署司法警察員は、「平成24年3月1日午後9時、I市内にあるJ倉庫裏において、甲が乙に覚せい剤を譲り渡すという覚せい剤取引の計画がある。」旨の情報を入手した。そこで、司法警察員は、部下である司法巡査X及び司法巡査Yに対して、前記覚せい剤取引を確認した場合には甲及び乙を逮捕するように指示した。その後、司法巡査X及び司法巡査Yは、同日午後9時、前記J倉庫裏において、甲が乙にアタッシュケースを渡したのを現認したので、直ちに、甲及び乙に対する職務質問を開始した。しかし、甲は、その場から逃走し、司法巡査Xはこれを追跡したものの、見失った。これに対し、乙は、その場に留まり、司法巡査Yの求めに任意に応じて前記アタッシュケースを開披し、その中に入っていた白色粉末入りのビニール袋を司法巡査Yに渡した。そして、司法巡査Yは、乙の同意を得た上で、試薬を使用してその白色粉末が覚せい剤であることを確認したことから、同日午後9時20分、乙を覚せい剤所持の事実により現行犯逮捕した。その後、乙は、同日午後10時、司法警察員に引致された。一方、甲を捜していた司法巡査Xは、司法巡査Yから、携帯電話により、前記アタッシュケースの中には覚せい剤が入っていたことを聞いた。そして、司法巡査Xは、同日午後11時50分、I市内において、甲を発見したことから、甲を覚せい剤譲渡の事実により緊急逮捕し、司法警察員に引致した。その後、甲には、同年2月27日に同市内の宝石店において100万円相当の宝石を窃取したという窃盗の余罪があることが判明した。
乙について検察官に送致する手続をする場合には、この手続を平成24年3月3日午後10時までにしなければならない。

(正答)

(解説)
216条が準用している203条1項は、「司法警察員は、…留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。」と規定している。
そして、乙が身体を拘束されたのは、平成24年3月1日午後9時20分であるところ、平成24年3月3日午後10時は、そこから48時間を超過している。
したがって、乙について検察官に送致する手続をする場合には、この手続を平成24年3月3日午後10時までにしなければならないのではなく、平成24年3月3日午後9時20分までにしなければならない。

(H26 共通 第24問 エ)
逮捕状による逮捕と起訴前の勾留について、どちらも、令状を執行した後、被疑者に対し、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与えなければならない。

(正答)

(解説)
203条1項は、「司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、…直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、…これを検察官に送致する手続をしなければならない。」と規定している。また、204条1項本文は、「検察官は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、…直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、…裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。」と規定している。そのため、逮捕状による逮捕の場合、令状を執行した後、被疑者に対し、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与えなければならない。
しかし、77条1項本文は、「被告人を勾留するには、被告人に対し、弁護人を選任することができる旨及び貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨を告げなければならない。」と規定しており、207条1項本文は77条1項本文を起訴前勾留の場合に準用している。そのため、起訴前勾留については、令状を執行した後、被疑者に対し、直ちに犯罪事実の要旨、弁解の機会を与えることは要求されていない。
したがって、逮捕状による逮捕については、令状を執行した後、被疑者に対し、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与えなければならないものの、起訴前勾留については、弁護人を選任することができる旨を告げるだけで足りる。

(H28 予備 第15問 ア)
司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕し、弁解の機会を与えた後、留置の必要がないと判断したときは、被疑者を検察官に送致することなく、直ちに釈放しなければならない。

(正答)

(解説)
203条1項は、「司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、…直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放…しなければならない。」と規定している。

(H29 予備 第15問 オ)
現行犯人の引致を受けた司法警察員は、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任できることを告げなければならない。

(正答)

(解説)
203条1項は、「司法警察員は、…逮捕状により逮捕された被疑者を受け取ったときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、…検察官に送致する手続をしなければならない。」と規定しており、216条は203条1項を現行逮捕の場合に準用している。
したがって、現行犯人の引致を受けた司法警察員は、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任できることを告げなければならない。

(H30 予備 第15問 イ)
司法警察員は、留置の必要がないと思料するときでも、緊急逮捕した被疑者を釈放することは許されず、検察官に送致する手続をしなければならない。

(正答)

(解説)
203条1項は、「司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、…留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し…なければならない。」と規定しており、211条は203条1項を緊急逮捕の場合に準用している。
したがって、司法警察員は、留置の必要がないと思料するとき、緊急逮捕した被疑者を釈放することは許される。

(H30 予備 第15問 オ)
緊急逮捕した被疑者を検察官に送致する手続は、逮捕状の発付を受けた時から48時間以内にしなければならない。

(正答)

(解説)
203条1項は、「司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者を受け取ったときは、…留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。」と規定しており、211条は203条1項を緊急逮捕の場合に準用している。
したがって、緊急逮捕した被疑者を検察官に送致する手続は、逮捕状の発付を受けた時から48時間以内にするのではなく、被疑者が身体を拘束された時から48時間以内にしなければならない。

(R2 予備 第17問 ア)
司法警察員は、司法巡査が逮捕した被疑者を受け取ったときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは、直ちにこれを釈放しなければならない。

(正答)

(解説)
203条1項は、「司法警察員は、…逮捕状により逮捕された被疑者を受け取ったときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。」と規定している。

(R2 予備 第17問 イ)
司法警察員は、司法巡査が逮捕した被疑者を受け取ったときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要があると思料するときは、被疑者を受け取った時から48時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。

(正答)

(解説)
203条1項は、「司法警察員は、…逮捕状により逮捕された被疑者を受け取ったときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、…留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。」と規定している。
したがって、司法警察員は、被疑者を受け取った時ではなく、被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。

(R3 予備 第15問 イ)
司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕した場合には、留置の必要がないと思料するときでも、これを釈放することなく、被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致しなければならない。

(正答)

(解説)
203条1項は、「司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、…留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し…なければならない。」と規定している。
したがって、司法警察員は、逮捕状により被疑者を逮捕した場合には、留置の必要がないと思料するときは、被疑者を釈放しなければならない。

(R6 予備 第19問 エ)
司法警察員は、私人から現行犯人の引渡しを受け、留置の必要があると思料する場合、逮捕された時からではなく、その者を受け取った時から、48時間以内に検察官に送致する手続をしなければならない。

(正答)

(解説)
203条1項は、「司法警察員は、…留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に書類及び証拠物とともにこれを検察官に送致する手続をしなければならない。」と規定しており、216条は203条1項を現行逮捕の場合に準用している。
したがって、司法警察員は、私人から現行犯人の引渡しを受け、留置の必要があると思料する場合、その者を受け取った時ではなく、被疑者が身体を拘束された時から、48時間以内に検察官に送致する手続をしなければならない。
総合メモ

第204条

条文
第204条(検察官の手続・勾留請求の時間の制限)
① 検察官は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者(前条の規定により送致された被疑者を除く。)を受け取ったときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。但し、その時間の制限内に公訴を提起したときは、勾留の請求をすることを要しない。
② 検察官は、前項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たっては、被疑者に対し、弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示しなければならない。
③ 検察官は、第1項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たっては、被疑者に対し、引き続き勾留を請求された場合において貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは裁判官に対して弁護人の選任を請求することができる旨並びに裁判官に対して弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨及びその資力が基準額以上であるときは、あらかじめ、弁護士会(第37条の3第2項の規定により第31条の2第1項の申出をすべき弁護士会をいう。)に弁護人の選任の申出をしていなければならない旨を教示しなければならない。
④ 第1項の時間の制限内に勾留の請求又は公訴の提起をしないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
⑤ 前条第2項の規定は、第1項の場合にこれを準用する。
過去問・解説
(H23 共通 第38問 エ)
検察官による勾留請求は、被疑者の勾留及び被告人の勾留のいずれについても刑事訴訟法上認められる。

(正答)

(解説)
204条1項本文は、「検察官は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、又は逮捕状により逮捕された被疑者…を受け取ったときは…留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。」と規定している。これに対し、被告人勾留に関しては、裁判所(裁判官)の職権の発動によってのみ行うことができ、検察官は、勾留請求権を有さない(60条1項柱書参照)。
したがって、検察官による勾留請求は、被疑者の勾留については刑事訴訟法上認められているものの、被告人勾留については刑事訴訟法上認められていない。

(H23 予備 第15問 オ)
検察官は、逮捕状により被疑者を逮捕した場合において、留置の必要があると思料するときは、被疑者が身体を拘束された時から24時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求し、又は被疑者について公訴を提起しなければならず、その時間内に勾留の請求又は公訴の提起をしないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。

(正答)

(解説)
204条1項本文は、「検察官は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき…は、…留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。」と規定している。
したがって、検察官は、逮捕状により被疑者を逮捕した場合において、留置の必要があると思料するときは、被疑者が身体を拘束された時から24時間以内ではなく、48時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求し、又は被疑者について公訴を提起しなければならず、その時間内に勾留の請求又は公訴の提起をしないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。

(H25 共通 第23問 ウ)
検察官が、逮捕状に基づき逮捕された者を司法警察員から受け取った後、勾留請求せずに釈放する場合、その手続に関して裁判官の裁判が必要となる。

(正答)

(解説)
201条1項本文は、「検察官は、…逮捕状により逮捕された被疑者…を受け取ったとき…留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し…なければならない。」と規定している。
したがって、検察官が、逮捕状に基づき逮捕された者を司法警察員から受け取った後、勾留請求せずに釈放する場合、その手続に関して裁判官の裁判が不要である。

(H27 予備 第14問 イ)
被疑者の勾留を請求することは、検察官と司法警察員のいずれもが行使できる権限である。

(正答)

(解説)
被疑者の勾留の請求について定めている204条1項と205条1項は、いずれも、「検察官は…勾留を請求しなければならない。」と規定しており、主体を検察官に限定している。
したがって、被疑者の勾留を請求することは、検察官のみが行使できる権限である。

(R2 予備 第17問 エ)
検察官は、逮捕状により被疑者を逮捕したときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要があると思料するときは、被疑者が身体を拘束された時から24時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。

(正答)

(解説)
204条1項本文は、「検察官は、逮捕状により被疑者を逮捕したとき、…は、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、…留置の必要があると思料するときは被疑者が身体を拘束された時から48時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。」と規定している。
したがって、検察官は、逮捕状により被疑者を逮捕したときは、直ちに犯罪事実の要旨及び弁護人を選任することができる旨を告げた上、弁解の機会を与え、留置の必要があると思料するときは、被疑者が身体を拘束された時から24時間以内ではなく、48時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。

(R4 予備 第14問 イ)
被疑者の勾留を請求することは、検察官と司法警察員のいずれもが行使できる権限である。

(正答)

(解説)
204条1項と205条1項は、いずれも被疑者の勾留の請求について、「検察官は…勾留を請求しなければならない。」と規定しており、主体を検察官に限定している。
したがって、被疑者の勾留を請求することは、検察官のみが行使できる権限である。
総合メモ

第205条

条文
第205条(司法警察員からの送致を受けた検察官の手続・勾留請求の時間の制限)
① 検察官は、第203条の規定により送致された被疑者を受け取ったときは、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者を受け取った時から24時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。
② 前項の時間の制限は、被疑者が身体を拘束された時から72時間を超えることができない。
③ 前2項の時間の制限内に公訴を提起したときは、勾留の請求をすることを要しない。
④ 第1項及び第2項の時間の制限内に勾留の請求又は公訴の提起をしないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
過去問・解説
(H21 司法 第24問 2)
検察官は、司法警察員から送致された被疑者を受け取り、留置の必要があると思料するときは、被疑者を受け取った時から48時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。

(正答)

(解説)
205条1項は、「検察官は、第203条の規定により送致された被疑者を受け取ったときは、…留置の必要があると思料するときは被疑者を受け取った時から24時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。」と規定している。
したがって、検察官は、司法警察員から送致された被疑者を受け取り、留置の必要があると思料するときは、被疑者を受け取った時から48時間以内ではなく、24時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。

(H23 共通 第25問 ア)
甲は、平成22年4月1日午前9時50分、H県I市内において、司法警察員から職務質問を受けた際、所持品の検査に応じ、「窃盗の目的でVの邸宅に侵入するのに使用するため、ガラス切りを隠して携帯していた」旨を述べてガラス切りを所携のバッグから取り出したものの、住居については、一切答えなかった。そこで、司法警察員は、甲の住居が明らかでない上、甲に軽犯罪法違反(同法第1条第3号違反)に該当する「正当な理由がなくてガラス切りを隠して携帯していた」事実が認められたことから、同日午前10時、同事実により甲を現行犯逮捕した。その後の捜査により、甲が窃盗を行っていたことも判明したものの、依然として、甲の住居は判明しなかった。司法警察員は、同月3日午前9時30分、甲の身柄とともに軽犯罪法違反及び窃盗の両事実をH区検察庁検察官に送致する手続をした。その後、検察官は、同日午前10時30分、送致された甲を受け取った。
この場合、検察官は、甲を勾留請求する場合、これを平成22年4月4日午前10時30分までに行えば足りる。

(正答)

(解説)
216条が準用している205条は、1項において、「検察官は、…被疑者を受け取ったときは、…留置の必要があると思料するときは被疑者を受け取った時から24時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。」と規定し、2項において、「前項の時間の制限は、被疑者が身体を拘束された時から72時間を超えることができない。」と規定している。
そして、本肢における甲は、平成22年4月1日午前10時に現行犯逮捕されており、甲を勾留請求する日時が平成22年4月4日午前10時30分の場合、現行犯逮捕から72時間30分が経過していることになる。
したがって、本肢において、検察官は、甲を勾留請求する場合、これを平成22年4月4日午前10時以前に行う必要がある。

(H23 共通 第25問 エ)
甲は、平成22年4月1日午前9時50分、H県I市内において、司法警察員から職務質問を受けた際、所持品の検査に応じ、「窃盗の目的でVの邸宅に侵入するのに使用するため、ガラス切りを隠して携帯していた」旨を述べてガラス切りを所携のバッグから取り出したものの、住居については、一切答えなかった。そこで、司法警察員は、甲の住居が明らかでない上、甲に軽犯罪法違反(同法第1条第3号違反)に該当する「正当な理由がなくてガラス切りを隠して携帯していた」事実が認められたことから、同日午前10時、同事実により甲を現行犯逮捕した。その後の捜査により、甲が窃盗を行っていたことも判明したものの、依然として、甲の住居は判明しなかった。司法警察員は、同月3日午前9時30分、甲の身柄とともに軽犯罪法違反及び窃盗の両事実をH区検察庁検察官に送致する手続をした。その後、検察官は、同日午前10時30分、送致された甲を受け取った。
この場合、検察官は、平成22年4月3日、逮捕されている軽犯罪法違反の事実のみで甲を公判請求する場合、勾留状が発付されていないので甲を釈放した上で公判請求しなければならない。

(正答)

(解説)
205条3項は、逮捕から勾留までの時間制限内に「公訴を提起したときは、勾留の請求をすることを要しない。」と規定している。
したがって、本肢において、検察官は、平成22年4月3日、逮捕されている軽犯罪法違反の事実のみで甲を公判請求する場合、必ずしも勾留状の発布が要求されているわけではない。

(H27 予備 第16問 ア)
M県N警察署の司法警察員Xは、Vから、甲に宝石をだまし取られた旨の詐欺事件の被害届を受理し、甲に対する内偵捜査を行っていたところ、平成25年3月3日午後2時頃、甲がN市内のコンビニエンスストアで万引きをしたとの通報を受けたことから、同店に急行し、同日午後2時10分、同店にいた甲を窃盗罪の現行犯人として逮捕した。甲は、逮捕後の取調べの際、Xに対し、「コンビニエンスストアで万引きはしていない。」旨供述するとともに、逮捕時に所持していた宝石について、「Vから買ったものであり、だまし取ったものではない。」旨申し立てた。Xは、前記詐欺事件及び前記窃盗事件について、それぞれ関係者の取調べを行うなどした上で、同月5日午後2時に窃盗罪で甲をM地方検察庁に送致する手続をとり、同日午後2時35分、M地方検察庁検察官Yが甲を受け取った。Yは、甲に弁解の機会を与え、留置の必要があると判断すれば、平成25年3月6日午後2時35分までに裁判官に勾留を請求すれば足りる。

(正答)

(解説)
205条は、1項において、「検察官は、第203条の規定により送致された被疑者を受け取ったときは、…被疑者を受け取った時から24時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。」と規定し、2項において「前項の時間の制限は、被疑者が身体を拘束された時から72時間を超えることができない。」と規定しており、211条は205条を現行犯逮捕の場合に準用している。
本肢においては、被疑者が現行犯逮捕された時点が平成25年3月3日午後2時10分であり、勾留請求された時点が同年月日午後2時35分であるため、被疑者の身体拘束から72時間25分経過している。
したがって、Yは、甲に弁解の機会を与え、留置の必要があると判断すれば、平成25年3月6日午後2時35分までではなく、平成25年3月6日午後2時10分までに裁判官に勾留を請求しなければならない。

(R2 予備 第17問 ウ)
検察官は、司法警察員が逮捕し送致した被疑者を受け取ったときは、弁解の機会を与え、留置の必要があると思料するときは、被疑者を受け取った時から48時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。

(正答)

(解説)
205条1項は、「検察官は、第203条の規定により送致された被疑者を受け取ったときは、弁解の機会を与え、留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放し、留置の必要があると思料するときは被疑者を受け取った時から24時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。」と規定している。
したがって、検察官は、司法警察員が逮捕し送致した被疑者を受け取った場合で、弁解の機会を与え、留置の必要があると思料するときは、被疑者を受け取った時から48時間以内ではなく、24時間以内に裁判官に被疑者の勾留を請求しなければならない。
総合メモ

第207条

条文
第207条(被疑者の勾留)
① 前3条の規定による勾留の請求を受けた裁判官は、その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。但し、保釈については、この限りでない。
② 前項の裁判官は、勾留を請求された被疑者に被疑事件を告げる際に、被疑者に対し、弁護人を選任することができる旨及び貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨を告げなければならない。ただし、被疑者に弁護人があるときは、この限りでない。
③ 前項の規定により弁護人を選任することができる旨を告げるに当たっては、勾留された被疑者は弁護士、弁護士法人又は弁護士会を指定して弁護人の選任を申し出ることができる旨及びその申出先を教示しなければならない。
④ 第2項の規定により弁護人の選任を請求することができる旨を告げるに当たっては、弁護人の選任を請求するには資力申告書を提出しなければならない旨及びその資力が基準額以上であるときは、あらかじめ、弁護士会(第37条の3第2項の規定により第31条の2第1項の申出をすべき弁護士会をいう。)に弁護人の選任の申出をしていなければならない旨を教示しなければならない。
⑤ 裁判官は、第1項の勾留の請求を受けたときは、速やかに勾留状を発しなければならない。ただし、勾留の理由がないと認めるとき、及び前条第2項の規定により勾留状を発することができないときは、勾留状を発しないで、直ちに被疑者の釈放を命じなければならない。
過去問・解説
(H21 司法 第24問 3)
裁判官は、殺人被疑事件について勾留を請求された被疑者に被疑事件を告げる際に、弁護人がない被疑者に対し、弁護人を選任することができる旨及び貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨を告げなければならない。

(正答)

(解説)
207条2項は、「裁判官は、勾留を請求された被疑者に被疑事件を告げる際に、被疑者に対し、弁護人を選任することができる旨及び貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨を告げなければならない。ただし、被疑者に弁護人があるときは、この限りでない。」と規定している。

(H23 共通 第25問 イ)
甲は、平成22年4月1日午前9時50分、H県I市内において、司法警察員から職務質問を受けた際、所持品の検査に応じ、「窃盗の目的でVの邸宅に侵入するのに使用するため、ガラス切りを隠して携帯していた」旨を述べてガラス切りを所携のバッグから取り出したものの、住居については、一切答えなかった。そこで、司法警察員は、甲の住居が明らかでない上、甲に軽犯罪法違反(同法第1条第3号違反)に該当する「正当な理由がなくてガラス切りを隠して携帯していた」事実が認められたことから、同日午前10時、同事実により甲を現行犯逮捕した。その後の捜査により、甲が窃盗を行っていたことも判明したものの、依然として、甲の住居は判明しなかった。司法警察員は、同月3日午前9時30分、甲の身柄とともに軽犯罪法違反及び窃盗の両事実をH区検察庁検察官に送致する手続をした。その後、検察官は、同日午前10時30分、送致された甲を受け取った。
この場合、検察官は、軽犯罪法違反の事実のみならず窃盗の事実も併せて甲を勾留請求することができる。

(正答)

(解説)
207条1項本文は、「前3条の規定による勾留の請求を受けた裁判官は、その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。」と規定しており、逮捕前置主義を定めている。そして、被疑者を勾留するには、勾留理由となっている被疑事実と逮捕に係る被疑事実の間に同一性が認められることが原則となるが、逮捕に係る被疑事実に別の被疑事実を付加して勾留したとしても被疑者にとって不利益ではないことから、そのような勾留も許されると解されている。
したがって、本肢においては、逮捕に係る被疑事実である軽犯罪法違反の事実に加え、窃盗の事実も併せて甲を勾留請求することも許される。

(H24 司法 第27問 エ)
裁判所は、勾留されている被疑者から保釈の請求があった場合には、捜査機関からの出頭要請に応じることや被害者等との接触禁止など適当な条件を付して、保釈を許すことができる。

(正答)

(解説)
207条1項は、「前3条の規定による勾留の請求を受けた裁判官は、その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。但し、保釈については、この限りでない。」と規定している。そのため、被疑者に保釈は認められていない。
したがって、裁判所は、勾留されている被疑者から保釈の請求があった場合に、捜査機関からの出頭要請に応じることや被害者等との接触禁止など適当な条件を付して、保釈を許すことができない。

(H26 共通 第23問 ウ)
司法巡査は、「路上で人がバットで殴られている。」旨の110番通報に基づき、事件現場に急行したところ、現場到着時に犯人が逃走していたことから、傷害を負った被害者から被害状況や犯人の服装・体格等を聴取し、犯人の探索を開始した。司法巡査は、事件発生の約30分後に事件現場から約500メートル離れた路上において、被害者が供述した犯人の服装・体格と一致する人物甲がバットを持って歩いているのを認め、甲に「ちょっと待って。」と声を掛けて停止を求めた。すると、甲が直ちに逃走を開始したため、司法巡査は甲を追跡し、甲を傷害罪の準現行犯人として逮捕した。甲は、逮捕翌日に、傷害罪により検察官に送致された。
甲の逮捕後、勾留請求前の時点で本件が強盗目的で敢行されたと疑うに足りる相当な理由が生じた場合には、検察官は、強盗致傷罪で勾留を請求することが可能である。

(正答)

(解説)
207条1項本文は、「前3条の規定による勾留の請求を受けた裁判官は、その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。」と規定しており、逮捕前置主義を定めている。そして、被疑者を勾留するには、勾留理由となっている被疑事実と逮捕に係る被疑事実の間に同一性が認められることが原則であると解されている。
本肢では、傷害罪の被疑事実で甲は逮捕されており、これは、強盗致傷罪の被疑事実と同一の被害者・同一機会に実行されたものであるため、同一性が認められる。
したがって、甲の逮捕後、勾留請求前の時点で本件が強盗目的で敢行されたと疑うに足りる相当な理由が生じた場合には、検察官は、強盗致傷罪で勾留を請求することが可能である。

(H26 共通 第24問 ウ)
逮捕状による逮捕と起訴前の勾留について、どちらも、保釈は認められない。

(正答)

(解説)
逮捕について、刑事訴訟法上、保釈制度は存在しない。
また、207条1項は、「前3条の規定による勾留の請求を受けた裁判官は、その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。但し、保釈については、この限りでない。」と規定し、被疑者段階で保釈を認めていない。
したがって、逮捕状による逮捕と起訴前の勾留について、どちらも、保釈は認められない。

(H27 予備 第16問 イ)
M県N警察署の司法警察員Xは、Vから、甲に宝石をだまし取られた旨の詐欺事件の被害届を受理し、甲に対する内偵捜査を行っていたところ、平成25年3月3日午後2時頃、甲がN市内のコンビニエンスストアで万引きをしたとの通報を受けたことから、同店に急行し、同日午後2時10分、同店にいた甲を窃盗罪の現行犯人として逮捕した。甲は、逮捕後の取調べの際、Xに対し、「コンビニエンスストアで万引きはしていない。」旨供述するとともに、逮捕時に所持していた宝石について、「Vから買ったものであり、だまし取ったものではない。」旨申し立てた。Xは、前記詐欺事件及び前記窃盗事件について、それぞれ関係者の取調べを行うなどした上で、同月5日午後2時に窃盗罪で甲をM地方検察庁に送致する手続をとり、同日午後2時35分、M地方検察庁検察官Yが甲を受け取った。Yが、詐欺罪について甲を逮捕しないまま、窃盗罪の事実に詐欺罪の事実を併せて勾留請求した場合、勾留請求を受けた裁判官は、窃盗及び詐欺のいずれについても勾留の理由及び必要が認められるものと判断すれば、両罪について適法に勾留状を発することができる。

(正答)

(解説)
207条1項本文は、「前3条の規定による勾留の請求を受けた裁判官は、その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。」と規定しており、逮捕前置主義を定めている。そして、被疑者を勾留するには、勾留理由となっている被疑事実と逮捕に係る被疑事実の間に同一性が認められることが原則となるが、逮捕に係る被疑事実に別の被疑事実を付加して勾留したとしても被疑者にとって不利益ではないことから、そのような勾留も許さると解されている。
したがって、Yが、詐欺罪について甲を逮捕しないまま、窃盗罪の事実に詐欺罪の事実を併せて勾留請求した場合、勾留請求を受けた裁判官は、窃盗及び詐欺のいずれについても勾留の理由及び必要が認められるものと判断すれば、両罪について適法に勾留状を発することができる。

(H27 予備 第16問 オ)
M県N警察署の司法警察員Xは、Vから、甲に宝石をだまし取られた旨の詐欺事件の被害届を受理し、甲に対する内偵捜査を行っていたところ、平成25年3月3日午後2時頃、甲がN市内のコンビニエンスストアで万引きをしたとの通報を受けたことから、同店に急行し、同日午後2時10分、同店にいた甲を窃盗罪の現行犯人として逮捕した。甲は、逮捕後の取調べの際、Xに対し、「コンビニエンスストアで万引きはしていない。」旨供述するとともに、逮捕時に所持していた宝石について、「Vから買ったものであり、だまし取ったものではない。」旨申し立てた。Xは、前記詐欺事件及び前記窃盗事件について、それぞれ関係者の取調べを行うなどした上で、同月5日午後2時に窃盗罪で甲をM地方検察庁に送致する手続をとり、同日午後2時35分、M地方検察庁検察官Yが甲を受け取った。窃盗罪で勾留状が発せられ、これが執行された後に、窃盗罪について勾留の理由又は必要がなくなった場合、Yは、詐欺罪について捜査の必要があることを理由として甲の勾留を継続することは許されない。

(正答)

(解説)
207条1項本文は、「前3条の規定による勾留の請求を受けた裁判官は、その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。」と規定している。そして、87条は、「勾留の理由又は勾留の必要がなくなったときは、裁判所は、検察官、勾留されている被告人若しくはその弁護人、法定代理人、保佐人、配偶者、直系の親族若しくは兄弟姉妹の請求により、又は職権で、決定を以て勾留を取り消さなければならない。」と規定している。ここでいう「勾留の理由又は必要」とは、当該勾留の基礎となった被疑事実により判断される。
したがって、窃盗罪で勾留状が発せられている本肢においては、窃盗罪について勾留の理由又は必要がなくなったのであれば、Yは甲の勾留を継続することは許されない。
よって、窃盗罪で勾留状が発せられ、これが執行された後に、窃盗罪について勾留の理由又は必要がなくなった場合、Yは、詐欺罪について捜査の必要があることを理由として甲の勾留を継続することは許されない。

(H27 予備 第25問 ア)
殺人の被疑事実により勾留中の被疑者について、保釈を許可することは、法律上許される。

(正答)

(解説)
207条1項は、「前3条の規定による勾留の請求を受けた裁判官は、その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。但し、保釈については、この限りでない。」と規定している。そのため、被疑者段階での保釈は認められていない。
したがって、殺人の被疑事実により勾留中の被疑者について、保釈を許可することは、被告人についてのみ認められ、被疑者については認められない。

(H30 予備 第18問 ア)
被疑者については、保釈の請求をすることはできない。

(正答)

(解説)
207条1項は、「前3条の規定による勾留の請求を受けた裁判官は、その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。但し、保釈については、この限りでない。」と規定している。そのため、被疑者段階での保釈は認められていない。
したがって、被疑者については、保釈の請求をすることはできない。

(R1 予備 第17問 ア)
裁判官は、勾留の請求を受けた時から24時間以内に勾留の裁判をしなければならない。

(正答)

(解説)
207条5項は、「裁判官は、第1項の勾留の請求を受けたときは、速やかに勾留状を発しなければならない。ただし、勾留の理由がないと認めるとき、及び前条第2項の規定により勾留状を発することができないときは、勾留状を発しないで、直ちに被疑者の釈放を命じなければならない。」と規定している。そのため、勾留の裁判については、「速やかに」とされているのみで、具体的な時間制限はない。
したがって、裁判官は、勾留の請求を受けた時から24時間以内に勾留の裁判をしなければならないという時間制限はない。

(R1 予備 第17問 イ)
勾留の請求を受けた裁判官は、被疑者に被疑事件を告げる際、被疑者が既に弁護人を選任している場合には、弁護人選任権を告げる必要はない。

(正答)

(解説)
207条2項は、「前項の裁判官は、勾留を請求された被疑者に被疑事件を告げる際に、被疑者に対し、弁護人を選任することができる旨及び貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨を告げなければならない。ただし、被疑者に弁護人があるときは、この限りでない。」と規定している。

(R1 予備 第17問 ウ)
裁判官は、勾留の継続により被疑者が受ける健康上又は社会生活上の不利益がある場合、勾留中の被疑者を保釈することができる。

(正答)

(解説)
207条1項は、「前3条の規定による勾留の請求を受けた裁判官は、その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。但し、保釈については、この限りでない。」と規定している。そのため、被疑者段階での保釈は認められていない。
したがって、裁判官は、勾留の継続により被疑者が受ける健康上又は社会生活上の不利益がある場合であっても、勾留中の被疑者を保釈することができない。

(R3 予備 第15問 エ)
検察官は、恐喝及び傷害の事実で逮捕した被疑者につき、その逮捕中に、同一の事実が強盗致傷罪に当たると疑うに足りる相当な理由が生じた場合には、強盗致傷罪で勾留を請求することができる。

(正答)

(解説)
207条1項本文は、「前3条の規定による勾留の請求を受けた裁判官は、その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。」と規定しており、逮捕前置主義を定めている。そして、被疑者を勾留するには、勾留理由となっている被疑事実と逮捕に係る被疑事実の間に同一性が認められることが原則となると解されている。
本肢では、恐喝及び傷害の事実で逮捕した被疑者につき、その逮捕中に、同一の事実が強盗致傷罪に当たると疑うに足りる相当な理由が生じた場合であるため、同一性が認められる。
したがって、検察官は、恐喝及び傷害の事実で逮捕した被疑者につき、その逮捕中に、同一の事実が強盗致傷罪に当たると疑うに足りる相当な理由が生じた場合には、強盗致傷罪で勾留を請求することができる。

(R5 予備 第19問 エ)
勾留されている被疑者の弁護人は、裁判官に保釈の請求をすることができる。

(正答)

(解説)
207条1項は、「前3条の規定による勾留の請求を受けた裁判官は、その処分に関し裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。但し、保釈については、この限りでない。」と規定している。そのため、被疑者段階での保釈は認められていない。
したがって、勾留されている被疑者の弁護人は、裁判官に保釈の請求をすることができない。

(R6 予備 第21問 ア)
裁判官は、勾留の請求を受けて被疑者に被疑事件を告げる際、被疑者が既に弁護人を選任している場合でも、弁護人選任権を告げる必要がある。

(正答)

(解説)
207条2項は、「前項の裁判官は、勾留を請求された被疑者に被疑事件を告げる際に、被疑者に対し、弁護人を選任することができる旨及び貧困その他の事由により自ら弁護人を選任することができないときは弁護人の選任を請求することができる旨を告げなければならない。ただし、被疑者に弁護人があるときは、この限りでない。」と規定している。
したがって、裁判官は、勾留の請求を受けて被疑者に被疑事件を告げる際、被疑者が既に弁護人を選任している場合であれば、弁護人選任権を告げる必要はない。

(R6 予備 第21問 イ)
30万円以下の罰金に当たる刑法の罪に係る事件については、被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があり、かつ、逃亡すると疑うに足りる相当な理由がある場合であっても、被疑者の住居が不定でなければ被疑者を勾留することはできない。

(正答)

(解説)
207条が準用している60条3項は、「30万円…以下の罰金、…に当たる事件については、被告人が定まった住居を有しない場合に限り、第1項の規定を適用する。」と規定しており、勾留の要件に関して例外規定を設けている。
したがって、30万円以下の罰金に当たる刑法の罪に係る事件については、被疑者が罪を犯したと疑うに足りる相当な理由があり、かつ、逃亡すると疑うに足りる相当な理由がある場合であっても、被疑者の住居が不定でなければ被疑者を勾留することはできない。

(R6 予備 第21問 エ)
勾留されている被疑者について、裁判官が接見禁止の裁判をした場合、被疑者の弁護人であっても、被疑者と接見することはできない。

(正答)

(解説)
207条1項が準用している81条本文は、「裁判所は、逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは、検察官の請求により又は職権で、勾留されている被告人と第39条第1項に規定する者以外の者との接見を禁じ、又はこれと授受すべき書類その他の物を検閲し、その授受を禁じ、若しくはこれを差し押えることができる。」と規定している。そのため、39条1項に規定する者である弁護人については接見を禁じることができない。
したがって、勾留されている被疑者について、裁判官が接見禁止の裁判をした場合であっても、被疑者の弁護人であれば、被疑者と接見することができる。

(R6 予備 第21問 オ)
勾留されている被疑者に対する接見禁止の裁判は、検察官の請求がなくとも、裁判官が職権ですることができる。

(正答)

(解説)
207条1項が準用している81条本文は、「裁判所は、逃亡し又は罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときは、検察官の請求により又は職権で、勾留されている被告人と第39条第1項に規定する者以外の者との接見を禁じ、又はこれと授受すべき書類その他の物を検閲し、その授受を禁じ、若しくはこれを差し押えることができる。」と規定している。
総合メモ

第208条

条文
第208条(起訴前の勾留期間、期間の延長)
① 第207条の規定により被疑者を勾留した事件につき、勾留の請求をした日から10日以内に公訴を提起しないときは、検察官は、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
② 裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは、検察官の請求により、前項の期間を延長することができる。この期間の延長は、通じて10日を超えることができない。
過去問・解説
(H19 司法 第22問 2)
被疑者の勾留の期間は、勾留の請求をした日から10日間であるが、裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは、検察官の請求により、1回に限り、その期間を延長することができる。

(正答)

(解説)
208条は、1項において、「被疑者を勾留した事件につき、勾留の請求をした日から10日以内に公訴を提起しないときは、検察官は、直ちに被疑者を釈放しなければならない」と規定し、2項において、「裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは、検察官の請求により、前項の期間を延長することができる。この期間の延長は、通じて10日を超えることができない。」と規定している。そのため、通じて10日を超えない限り何回でも延長することができる。
したがって、被疑者の勾留の期間は、勾留の請求をした日から10日間であり、裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは、検察官の請求により、通じて10日を超えない限り、1回に限らず、その期間を延長することができる。

(H21 司法 第24問 4)
被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、被疑者が定まった住居を有するときには、被疑者が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があり、かつ、被疑者が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるときに限り、被疑者を勾留することができる。

(正答)

(解説)
60条1項柱書は、「被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる」と規定している。そして、60条1項柱書は、207条によって被疑者の勾留についても準用されているため、60条1項各号のうちいずれかが認められれば勾留が可能となる。
そのため、本肢においては、被疑者が定まった住居を有する以上、同項1号該当性が否定されるものの、「被疑者が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由」(2号)又は「被疑者が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由」(3号)が認められた場合においては、60条1項各号に該当することとなる。
したがって、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、被疑者が定まった住居を有するときであっても、被疑者が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるときか、被疑者が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるときは、被疑者を勾留することができる。

(H24 共通 第22問 ア)
裁判官は、被疑者の勾留期間の延長をする旨の裁判をする際、被疑者に対し被疑事件を告げこれに関する陳述を聴く手続を行わなければならない。

(正答)

(解説)
61条本文は、「被告人の勾留は、被告人に対し被告事件を告げこれに関する陳述を聴いた後でなければ、これをすることができない。」と規定しており、207条は、被疑者段階においても本規定を準用している。
他方、勾留期間の延長の裁判に際しては、このような手続は規定されていない。
したがって、裁判官は、被疑者の勾留期間の延長をする旨の裁判をする際、被疑者に対し被疑事件を告げこれに関する陳述を聴く手続を行う必要はない。

(H24 共通 第22問 イ)
裁判官が、検察官から勾留の請求があった翌日に、被疑者を勾留する旨の裁判をした場合でも、検察官は、勾留の請求をした日から10日以内に公訴を提起しないときは、勾留期間の延長が認められた場合を除き、直ちに被疑者を釈放しなければならない。

(正答)

(解説)
208条1項は、「被疑者を勾留した事件につき、勾留の請求をした日から10日以内に公訴を提起しないときは、検察官は、直ちに被疑者を釈放しなければならない。」と規定している。

(H24 共通 第22問 ウ)
裁判官は、検察官から勾留期間を10日間延長する請求があった場合でも、その延長期間を5日間とする裁判をすることができる。

(正答)

(解説)
208条2項は、「裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは、検察官の請求により、前項の期間を延長することができる。この期間の延長は、通じて10日を超えることができない。」と規定しており、検察官の請求をそのまま認めなければならないというわけではない。
したがって、裁判官は、検察官から勾留期間を10日間延長する請求があった場合でも、その延長期間を5日間とする裁判をすることができる。

(H26 共通 第23問 エ)
【事例】
 司法巡査は、「路上で人がバットで殴られている。」旨の110番通報に基づき、事件現場に急行したところ、現場到着時に犯人が逃走していたことから、傷害を負った被害者から被害状況や犯人の服装・体格等を聴取し、犯人の探索を開始した。司法巡査は、事件発生の約30分後に事件現場から約500メートル離れた路上において、被害者が供述した犯人の服装・体格と一致する人物甲がバットを持って歩いているのを認め、甲に「ちょっと待って。」と声を掛けて停止を求めた。すると、甲が直ちに逃走を開始したため、司法巡査は甲を追跡し、甲を傷害罪の準現行犯人として逮捕した。甲は、逮捕翌日に、傷害罪により検察官に送致された。

甲を傷害罪で勾留した後、本件が強盗目的で敢行された疑いが生じた場合であっても、強盗目的であったことの捜査のために勾留期間を延長することは許されない。

(正答)

(解説)
208条2項前段は、「裁判官は、やむを得ない事由があると認めるときは、検察官の請求により、前項の期間を延長することができる。」と規定している。ここでいう「やむを得ない事由」とは、事案が複雑で捜査に時間がかかることも理由となる(吉開多一ほか「基本刑事訴訟法Ⅰ手続理解編」初版105頁)と解されている。
そのため、本肢で強盗目的で敢行された疑いが生じた場合には、事案が複雑で捜査に時間がかかるといえ、「やむを得ない事由」に当たる。
したがって、甲を傷害罪で勾留した後、本件が強盗目的で敢行された疑いが生じた場合、強盗目的であったことの捜査のために勾留期間を延長することは許される。

(R2 予備 第17問 オ)
検察官は、被疑者が勾留された事件について、被疑者が身体を拘束された日から10日以内に公訴を提起しないときは、勾留の期間が延長された場合を除き、直ちに被疑者を釈放しなければならない。

(正答)

(解説)
208条1項は、「被疑者を勾留した事件につき、勾留の請求をした日から10日以内に公訴を提起しないときは、検察官は、直ちに被疑者を釈放しなければならない。」と規定している。
したがって、検察官は、被疑者が勾留された事件について、被疑者が身体を拘束された日ではなく、勾留の請求をした日から10日以内に公訴を提起しないときは、勾留の期間が延長された場合を除き、直ちに被疑者を釈放しなければならない。

(R4 予備 第15問 イ)
裁判官は、検察官から勾留期間の延長の請求を受けた被疑者について勾留期間の延長の裁判をするに当たり、被疑者が逃亡した場合を除き、被疑者に対し被疑事件を告げこれに関する陳述を聴く手続を行わなければならない。

(正答)

(解説)
61条は、「被告人の勾留は、被告人に対し被告事件を告げこれに関する陳述を聴いた後でなければ、これをすることができない。但し、被告人が逃亡した場合は、この限りでない。」と規定しており、207条は、被疑者段階においても本規定を準用している。
他方、勾留期間の延長の裁判に際しては、このような手続は規定されていない。
したがって、裁判官は、検察官から勾留期間の延長の請求を受けた被疑者について勾留期間の延長の裁判をするに当たり、被疑者に対し被疑事件を告げこれに関する陳述を聴く手続を行う必要はない。

(R6 予備 第21問 ウ)
検察官から勾留の請求があった翌日に裁判官が被疑者を勾留する旨の裁判をした場合、その勾留期間は、同裁判があった日から起算する。

(正答)

(解説)
208条1項は、「第207条の規定により被疑者を勾留した事件につき、勾留の請求をした日から10日以内に公訴を提起しないときは、検察官は、直ちに被疑者を釈放しなければならない。」と規定している。
したがって、検察官から勾留の請求があった翌日に裁判官が被疑者を勾留する旨の裁判をした場合、その勾留期間は、同裁判があった日ではなく、勾留の請求をした日から起算される。
総合メモ

第210条

条文
第210条(緊急逮捕)
① 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期3年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したことを疑うに足りる十分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。この場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。逮捕状が発せられないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
② 第200条の規定は、前項の逮捕状についてこれを準用する。
過去問・解説
(H18 司法 第23問 4)
緊急逮捕するに当たって、被疑者に対し告げなければならないのは、被疑事実の要旨だけである。

(正答)

(解説)
210条1項第1文は、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期3年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したことを疑うに足りる十分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。」と規定している。ここでいう「その理由」とは、被疑事実の要旨のみならず、急速を要する事情にあることも含むと解されている。
したがって、緊急逮捕するに当たって、被疑者に対し告げなければならないのは、被疑事実の要旨だけではなく、急速を要する事情にあることも含む。

(H20 司法 第24問 ア)
強盗殺人罪の被疑者が警察署に自ら出頭して自首した場合、被疑者を警察署内に待たせておいてその間に通常逮捕のための逮捕状を求めることができるので、緊急逮捕が許されることはない。

(正答)

(解説)
210条1項第1文は、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期3年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したことを疑うに足りる十分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。」と規定している。
そして、強盗殺人罪は、「死刑又は無期若しくは長期3年以上の拘禁刑にあたる罪」に当たる。もっとも、被疑者を警察署内に待たせておいてその間に通常逮捕のための逮捕状を求めることができたとしても、その事実から直ちに「急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないとき」という要件が否定されることはない。
したがって、強盗殺人罪の被疑者が警察署に自ら出頭して自首した場合、被疑者を警察署内に待たせておいてその間に通常逮捕のための逮捕状を求めることができるとしても、直ちに緊急逮捕が許されないことにはならない。

(H20 司法 第24問 イ)
緊急逮捕の要件としての罪を犯したことを疑うに足りる「充分な理由」とは、通常逮捕の場合における「相当な理由」よりは一層高度な嫌疑をいい、具体的には、公訴を提起するに足りる程度の嫌疑があることをいう。

(正答)

(解説)
210条1項第1文は、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期3年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したことを疑うに足りる十分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。」と規定している。ここでいう「充分な理由」について、公訴提起できるといった確実性までは要求されないと解されている。
したがって、緊急逮捕の要件としての罪を犯したことを疑うに足りる「充分な理由」とは、通常逮捕の場合における「相当な理由」よりは一層高度な嫌疑をいうが、公訴を提起するに足りる程度の嫌疑があることまでは要求されない。

(H20 司法 第24問 ウ)
死体遺棄罪の幇助は、「死刑又は無期若しくは長期3年以上の拘禁刑にあたる罪」に該当しないので、これによる緊急逮捕は許されない。

(正答)

(解説)
210条1項第1文は、緊急逮捕の対象となる犯罪について、「死刑又は無期若しくは長期3年以上の拘禁刑にあたる罪」と規定している。この要件は、法定刑で判断するため、従犯についても減刑前の正犯の刑に基づいて判断する。そして、死体遺棄の法定刑は、3年以下の拘禁刑である(刑法190条)ため上記要件を満たす。
したがって、死体遺棄罪の幇助は、「死刑又は無期若しくは長期3年以上の拘禁刑にあたる罪」に該当するため、これによる緊急逮捕は許される。

(H20 司法 第24問 エ)
緊急逮捕状を発するには、逮捕後直ちに裁判官の逮捕状を求める手続がなされたことのほか、逮捕時における緊急逮捕の要件及び逮捕状発付時における通常逮捕の要件の双方を満たしていることが必要である。

(正答)

(解説)
210条1項第1文及び第2文は、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期三年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したことを疑うに足りる十分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。この場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。」と規定している。
そして、緊急逮捕の要件の審査については、まず緊急逮捕時の事情に基づいて行われ、その後、逮捕の理由と逮捕の必要がなくなったのであれば、逮捕状発付時の事情に基づいて通常逮捕の要件を審査する(吉開多一ほか「基本刑事訴訟法Ⅰ手続理解編」初版91頁)と解されている。
したがって、緊急逮捕状を発するには、逮捕後直ちに裁判官の逮捕状を求める手続がなされたことのほか、逮捕時における緊急逮捕の要件及び逮捕状発付時における通常逮捕の要件の双方を満たしていることが必要である。

(H20 司法 第24問 オ)
緊急逮捕の要件としての罪を犯したことを疑うに足りる「充分な理由」があるか否かの判断においては、逮捕後に生じた状況を資料とすることは許されない。

(正答)

(解説)
210条が規定している緊急逮捕の要件は、緊急逮捕時の事情に基づいて行わなければならず、緊急逮捕後の事情は考慮してはならない(吉開多一ほか「基本刑事訴訟法Ⅰ手続理解編」初版91頁)と解されている。
したがって、緊急逮捕の要件としての罪を犯したことを疑うに足りる「充分な理由」があるか否かの判断においては、逮捕後に生じた状況を資料とすることは許されない。

(H23 予備 第15問 イ)
司法巡査により緊急逮捕された被疑者が、司法警察員に引致された後、逮捕状請求前に逃走してしまった場合であっても、司法警察員は、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。

(正答)

(解説)
210条1項第2文は、緊急逮捕した場合、「直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。」と規定している。そして、緊急逮捕後に被疑者が逃走した場合も逮捕状を請求しなければならない(吉開多一ほか「基本刑事訴訟法Ⅰ手続理解編」初版91頁)と解されている。
したがって、司法巡査により緊急逮捕された被疑者が、司法警察員に引致された後、逮捕状請求前に逃走してしまった場合であっても、司法警察員は、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。

(H25 共通 第23問 イ)
司法警察員が、殺人を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある者を緊急逮捕する場合、その手続に関して裁判官の裁判が必要となる。

(正答)

(解説)
210条1項第2文は、緊急逮捕をする際の手続として、「直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。」と規定している。
したがって、司法警察員が、殺人を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある者を緊急逮捕する場合、その手続に関して裁判官の裁判が必要となる。

(H25 予備 第15問 ウ)
H警察署司法警察員は、「平成24年3月1日午後9時、I市内にあるJ倉庫裏において、甲が乙に覚せい剤を譲り渡すという覚せい剤取引の計画がある。」旨の情報を入手した。そこで、司法警察員は、部下である司法巡査X及び司法巡査Yに対して、前記覚せい剤取引を確認した場合には甲及び乙を逮捕するように指示した。その後、司法巡査X及び司法巡査Yは、同日午後9時、前記J倉庫裏において、甲が乙にアタッシュケースを渡したのを現認したので、直ちに、甲及び乙に対する職務質問を開始した。しかし、甲は、その場から逃走し、司法巡査Xはこれを追跡したものの、見失った。これに対し、乙は、その場に留まり、司法巡査Yの求めに任意に応じて前記アタッシュケースを開披し、その中に入っていた白色粉末入りのビニール袋を司法巡査Yに渡した。そして、司法巡査Yは、乙の同意を得た上で、試薬を使用してその白色粉末が覚せい剤であることを確認したことから、同日午後9時20分、乙を覚せい剤所持の事実により現行犯逮捕した。その後、乙は、同日午後10時、司法警察員に引致された。一方、甲を捜していた司法巡査Xは、司法巡査Yから、携帯電話により、前記アタッシュケースの中には覚せい剤が入っていたことを聞いた。そして、司法巡査Xは、同日午後11時50分、I市内において、甲を発見したことから、甲を覚せい剤譲渡の事実により緊急逮捕し、司法警察員に引致した。その後、甲には、同年2月27日に同市内の宝石店において100万円相当の宝石を窃取したという窃盗の余罪があることが判明した。
甲については、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならないが、司法巡査Xもこの手続をすることができる。

(正答)

(解説)
210条1項第1文及び第2文は、緊急逮捕をする際の手続として、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、…直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。」と規定している。そして、39条3項本文は、「司法警察職員(司法警察員及び司法巡査をいう。以下同じ。)」と規定している。そのため、逮捕状を請求する主体から、司法巡査は除かれていない。
したがって、本肢において、甲は、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならないが、司法巡査Xもこの手続をすることができる。

(H30 予備 第15問 ア)
司法巡査が緊急逮捕することは許されない。

(正答)

(解説)
210条1項第1文は、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期三年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したことを疑うに足りる十分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。」と規定している。そして、39条3項本文は、「司法警察職員(司法警察員及び司法巡査をいう。以下同じ。)」と規定している。そのため、緊急逮捕をする主体から、司法巡査は除かれていない。
したがって、司法巡査が緊急逮捕することも許される。

(H30 予備 第15問 ウ)
緊急逮捕における逮捕の理由の告知は、被疑者に逮捕状を示す際にすれば足りる。

(正答)

(解説)
210条1項第1文は、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期三年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したことを疑うに足りる十分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。」と規定している。
したがって、緊急逮捕における逮捕の理由の告知は、被疑者に逮捕状を示す際にするのでは足りず、緊急逮捕する際に必要である。

(H30 予備 第15問 エ)
緊急逮捕状の請求は、警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限り、これを行うことができる。

(正答)

(解説)
210条1項第1文及び第2文は、緊急逮捕をする際の手続として、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、…直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。」と規定している。そして、39条3項本文は、「司法警察職員(司法警察員及び司法巡査をいう。以下同じ。)」と規定している。
したがって、緊急逮捕状の請求は、警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者だけでなく、司法巡査もこれを行うことができる。

(R3 予備 第20問 ア)
緊急逮捕の可否は、刑事訴訟法上、法定刑の軽重により異ならない。

(正答)

(解説)
210条1項第1文は、緊急逮捕が許される場合について、「死刑又は無期若しくは長期三年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したことを疑うに足りる十分な理由がある場合」と規定おり、法定刑の軽重で可否が分かれるとしている。
したがって、緊急逮捕の可否は、刑事訴訟法上、法定刑の軽重により異なる。

(R4 予備 第14問 ア)
緊急逮捕後の逮捕状の請求は、司法警察員と検察官のいずれもがなし得る。

(正答)

(解説)
210条1項第1文及び第2文は、緊急逮捕をする際の手続として、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、…直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。」と規定している。そして、39条3項本文は、「司法警察職員(司法警察員及び司法巡査をいう。以下同じ。)」と規定している。
したがって、緊急逮捕後の逮捕状の請求は、司法警察員と検察官のいずれもがなし得る。
総合メモ

第212条

条文
第212条(現行犯人)
① 現に罪を行い、又は現に罪を行い終った者を現行犯人とする。        
② 左の各号の1にあたる者が、罪を行い終ってから間がないと明らかに認められるときは、これを現行犯人とみなす。
 一 犯人として追呼されているとき。
 二 贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。
 三 身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき。
 四 誰何されて逃走しようとするとき。
過去問・解説
(H21 司法 第21問 ア)
窃盗事件の犯人として追呼されている者が、罪を行い終わってから間がないと明らかに認められるときは、検察官、検察事務官又は司法警察職員以外の者であっても、逮捕状なくしてその者を逮捕することができる。

(正答)

(解説)
212条2項柱書は、「左の各号の一にあたる者が、罪を行い終ってから間がないと明らかに認められるときは、これを現行犯人とみなす。」と規定し、同項1号は、「犯人として追呼されているとき。」を掲げている。そして、213条は、「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。」と規定している。
したがって、窃盗事件の犯人として追呼されている者が、罪を行い終わってから間がないと明らかに認められるときは、検察官、検察事務官又は司法警察職員以外の者であっても、逮捕状なくしてその者を逮捕することができる。

(H22 司法 第23問 イ)
司法警察員Xは、被疑者甲に係る大麻取締法違反(大麻所持)被疑事件に関し、被疑者甲が1人で居住するアパートの居室を捜索すべき場所とし、大麻及び大麻吸引具を差し押さえるべき物とする捜索差押許可状に基づき、その居室を捜索した。その際、被疑者甲は、その居室にいた。司法警察員Xは、その捜索において、大麻及び大麻吸引具を発見することができなかったが、ポーチに入った覚せい剤様の白色結晶や、血液の混じったような液体が入った注射器を発見した。そのため、司法警察員Xは、前記白色結晶につき、覚せい剤の予試験を実施したところ、覚せい剤であるとの試験結果が得られた。そこで、司法警察員Xは、被疑者甲を覚せい剤取締法違反の被疑事実で逮捕した。
被疑者を逮捕するに当たり、司法警察員Xは、裁判官による令状の発付を受ける必要がない。

(正答)

(解説)
212条1項は、「現に罪を行い、又は現に罪を行い終った者を現行犯人とする。」と規定する。
甲は、予試験により覚醒剤であると判明した白色結晶を所持していたため、覚醒剤所持の「現行犯人」に当たる。
そして、213条は「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。」と規定している。
したがって、被疑者を逮捕するに当たり、司法警察員Xは、裁判官による令状の発付を受ける必要がない。

(H26 共通 第23問 イ)
司法巡査は、「路上で人がバットで殴られている。」旨の110番通報に基づき、事件現場に急行したところ、現場到着時に犯人が逃走していたことから、傷害を負った被害者から被害状況や犯人の服装・体格等を聴取し、犯人の探索を開始した。司法巡査は、事件発生の約30分後に事件現場から約500メートル離れた路上において、被害者が供述した犯人の服装・体格と一致する人物甲がバットを持って歩いているのを認め、甲に「ちょっと待って。」と声を掛けて停止を求めた。すると、甲が直ちに逃走を開始したため、司法巡査は甲を追跡し、甲を傷害罪の準現行犯人として逮捕した。甲は、逮捕翌日に、傷害罪により検察官に送致された。
甲が司法巡査から「ちょっと待って。」と声を掛けられて直ちに逃走を開始したことは、「誰何されて逃走しようとするとき。」(刑事訴訟法第212条第2項第4号)に該当する。

(正答)

(解説)
212条2項4号は、準現行犯に該当する場合として、「誰何されて逃走しようとするとき。」を掲げている。
ここでいう「誰何」とは、相手がだれかを確認することであり、声をかけられたら逃げ出すような場合も含む(吉開多一ほか「基本刑事訴訟法Ⅰ手続理解編」初版87頁)と解されている。
そのため、司法巡査が「ちょっと待って。」と声をかけることは「誰何」に当たり、本肢における甲は、直ちに逃走を開始していることから、「逃走しようとするとき」に当たる。
したがって、甲が司法巡査から「ちょっと待って。」と声を掛けられて直ちに逃走を開始したことは、「誰何されて逃走しようとするとき。」(刑事訴訟法第212条第2項第4号)に該当する。

(H28 予備 第15問 ウ)
現行犯人である「現に罪を行い終った者」というためには、犯罪の実行行為の全部を完了していることが必要である。

(正答)

(解説)
212条1項は、「現に罪を行い、又は現に罪を行い終った者を現行犯人とする。」と規定している。
ここでいう「現に罪を行い」とは、実行行為を行いつつある場合、すなわち未遂犯も含む。
したがって、現行犯人である「現に罪を行い終った者」というためには、犯罪の実行行為の全部を完了している必要はなく、実行の着手があれば足りる。

(H28 予備 第15問 エ)
現行犯逮捕が許されるためには、逮捕者が、少なくとも犯行の一部を現認していることが必要である。

(正答)

(解説)
213条は「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。」と規定している。
現行犯逮捕が認められるためには、逮捕者にとっての犯罪と犯人の明白性が必要であると解されている。
もっとも、逮捕者が犯行自体の一部を現認していなくても、逮捕者にとって犯罪とその犯人が明白である場合はあり得る。
したがって、現行犯逮捕が許されるためには、逮捕者が、少なくとも犯行の一部を現認していることは、必ずしも必要ではない。

(H29 予備 第15問 イ)
罪を行い終わってから間がないと認められないときでも、罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由があり、急速を要する場合には、現行犯逮捕することができる。

(正答)

(解説)
213条は、「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。」と規定されている。
そして、212条は、1項において、「現に罪を行い、又は現に罪を行い終った者を現行犯人とする。」と規定し、2項柱書において、「左の各号の1にあたる者が、罪を行い終ってから間がないと明らかに認められるときは、これを現行犯人とみなす。」と規定している。
したがって、罪を犯したことを疑うに足りる充分な理由があり、急速を要する場合であっても、212条1項又は2項の要件に当たらない限り、現行犯逮捕することはできない。

(H29 予備 第15問 ウ)
未遂犯の処罰規定のある犯罪の実行に着手した者については、その犯罪が既遂に達していなくとも、現行犯逮捕することができる。

(正答)

(解説)
212条1項は、「現に罪を行い、又は現に罪を行い終った者を現行犯人とする。」と規定している。
ここでいう「現に罪を行い」とは、実行行為を行いつつある場合、すなわち未遂犯も含む。
したがって、未遂犯の処罰規定のある犯罪の実行に着手した者については、その犯罪が既遂に達していなくとも、現行犯逮捕することができる。

(R1 予備 第16問 イ)
現行犯人である「現に罪を行い終った者」というためには、犯罪が既遂に達していることが必要である。

(正答)

(解説)
212条1項は、「現に罪を行い、又は現に罪を行い終った者を現行犯人とする。」と規定している。
ここでいう「現に罪を行い」とは、実行行為を行いつつある場合、すなわち未遂犯も含むと解されている。
したがって、現行犯人である「現に罪を行い終った者」というためには、犯罪が既遂に達していることまで必要ではなく、実行の着手があれば足りる。
総合メモ

第213条

条文
第213条(現行犯逮捕)
 現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。
過去問・解説
(H25 共通 第23問 ア)
私人が、窃盗行為に及んだ者を現行犯逮捕する場合、その手続に関して裁判官の裁判が必要となる。

(正答)

(解説)
213条は、「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。」と規定している。
したがって、私人が、窃盗行為に及んだ者を現行犯逮捕する場合であっても、その手続に関して裁判官の裁判は必要ではない。

(H28 予備 第15問 オ)
司法警察員は、私人から現行犯人の引渡しを受けた場合、直ちに逮捕状を求める手続をしなければならず、逮捕状が発せられないときは、直ちに釈放しなければならない。

(正答)

(解説)
213条は、「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。」と規定している。
したがって、現行逮捕の場合、逮捕状を求める手続は不要である。

(H29 予備 第15問 エ)
私人でも、現行犯逮捕することができる。

(正答)

(解説)
213条は、「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。」と規定している。
したがって、私人であっても、現行犯逮捕することができる。

(R6 予備 第19問 ア)
私人は、急速を要する場合に限り、その理由を告げた上で現行犯人を逮捕することができる。

(正答)

(解説)
213条は、「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。」と規定している。
したがって、私人が現行犯逮捕のに急速を要するというような要件はなく、犯罪があれば現行犯逮捕することができる。
総合メモ

第214条

条文
第214条(私人による現行犯逮捕と被逮捕者の引渡し)
 検察官、検察事務官及び司法警察職員以外の者は、現行犯人を逮捕したときは、直ちにこれを地方検察庁若しくは区検察庁の検察官又は司法警察職員に引き渡さなければならない。
過去問・解説
(H23 予備 第15問 ウ)
私人が現行犯人を逮捕したときは、直ちにこれを地方検察庁若しくは区検察庁の検察官又は司法警察職員に引き渡さなければならない。

(正答)

(解説)
214条は、「検察官、検察事務官及び司法警察職員以外の者は、現行犯人を逮捕したときは、直ちにこれを地方検察庁若しくは区検察庁の検察官又は司法警察職員に引き渡さなければならない。」と規定している。

(H27 予備 第14問 エ)
私人から、同人が逮捕した現行犯人の引渡しを受けることは、検察官と司法警察員のいずれもが行使できる権限である。

(正答)

(解説)
214条は、「検察官、検察事務官及び司法警察職員以外の者は、現行犯人を逮捕したときは、直ちにこれを地方検察庁若しくは区検察庁の検察官又は司法警察職員に引き渡さなければならない。」と規定している。
司法警察員は司法警察職員に包含される(39条3項かっこ書き参照)から、私人から、同人が逮捕した現行犯人の引渡しを受けることは、検察官と司法警察員のいずれもが行使できる権限である。

(R1 予備 第16問 エ)
私人が現行犯人を逮捕したときは、直ちにこれを地方検察庁若しくは区検察庁の検察官又は司法警察職員に引き渡さなければならない。

(正答)

(解説)
214条は、「検察官、検察事務官及び司法警察職員以外の者は、現行犯人を逮捕したときは、直ちにこれを地方検察庁若しくは区検察庁の検察官又は司法警察職員に引き渡さなければならない。」と規定している。

(R6 予備 第19問 イ)
司法警察員は、私人から現行犯人の引渡しを受けた場合、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。

(正答)

(解説)
214条は、「検察官、検察事務官及び司法警察職員以外の者は、現行犯人を逮捕したときは、直ちにこれを地方検察庁若しくは区検察庁の検察官又は司法警察職員に引き渡さなければならない。」と規定しているが、その後に裁判官の逮捕状を求める手続きをとることを要求する規定は存在しない。
総合メモ

第215条

条文
第215条(現行犯人を受け取った司法巡査の手続)
① 司法巡査は、現行犯人を受け取ったときは、速やかにこれを司法警察員に引致しなければならない。
② 司法巡査は、犯人を受け取った場合には、逮捕者の氏名、住居及び逮捕の事由を聴き取らなければならない。必要があるときは、逮捕者に対しともに官公署に行くことを求めることができる。
過去問・解説
(H22 司法 第21問 ア)
司法巡査が、器物損壊被疑事件の被疑者を現行犯人として逮捕した後、留置の必要がないと考え、すぐに釈放した行為は、違法である。

(正答)

(解説)
215条1項は、「司法巡査は、現行犯人を受け取ったときは、速やかにこれを司法警察員に引致しなければならない。」と規定している。そして、216条が準用している203条は、「司法警察員は、…留置の必要がないと思料するときは直ちにこれを釈放…しなければならない。」と規定している。そのため、逮捕された被疑者を釈放する権限を有するのは、司法巡査ではなく司法警察官である。
したがって、司法巡査が、器物損壊被疑事件の被疑者を現行犯人として逮捕した後、留置の必要がないと考え、すぐに釈放した行為は、違法である。
総合メモ

第217条

条文
第217条(軽微事件と現行犯逮捕)
 30万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪の現行犯については、犯人の住居若しくは氏名が明らかでない場合又は犯人が逃亡するおそれがある場合に限り、第213条から前条までの規定を適用する。
過去問・解説
(H24 共通 第39問 ア)
現行犯人を逮捕することができる要件は、刑事訴訟法の規定上、対象となっている事件の法定刑の軽重による差異が設けられていない。

(正答)

(解説)
213条は、「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。」と規定しているが、217条は、「30万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪の現行犯については、犯人の住居若しくは氏名が明らかでない場合又は犯人が逃亡するおそれがある場合に限り、第213条から前条までの規定を適用する。」と規定している。
したがって、現行犯人を逮捕することができる要件は、刑事訴訟法の規定上、対象となっている事件の法定刑の軽重による差異が設けられている。

(H29 予備 第15問 ア)
30万円以下の罰金に当たる罪については、犯人の住居又は氏名が明らかでない場合に限り、現行犯逮捕することができる。

(正答)

(解説)
217条は、「30万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪の現行犯については、犯人の住居若しくは氏名が明らかでない場合又は犯人が逃亡するおそれがある場合に限り、第213条から前条までの規定を適用する。」と規定している。
したがって、30万円以下の罰金に当たる罪については、犯人の住居又は氏名が明らかでない場合だけでなく犯人が逃亡するおそれがある場合にも、現行犯逮捕することができる。

(R1 予備 第16問 ア)
現行犯人を逮捕することができる要件については、犯罪の法定刑の軽重による差異はない。

(正答)

(解説)
213条は、「現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。」と規定しているが、217条は、「30万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、2万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪の現行犯については、犯人の住居若しくは氏名が明らかでない場合又は犯人が逃亡するおそれがある場合に限り、第213条から前条までの規定を適用する。」と規定している。
したがって、現行犯人を逮捕することができる要件については、犯罪の法定刑の軽重による差異が設けられている。
総合メモ

第218条

条文
第218条(令状による差押え・記録命令付差押え・捜索・検証)
① 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証をすることができる。この場合において、身体の検査は、身体検査令状によらなければならない。
② 差し押さえるべき物が電子計算機であるときは、当該電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であって、当該電子計算機で作成若しくは変更をした電磁的記録又は当該電子計算機で変更若しくは消去をすることができることとされている電磁的記録を保管するために使用されていると認めるに足りる状況にあるものから、その電磁的記録を当該電子計算機又は他の記録媒体に複写した上、当該電子計算機又は当該他の記録媒体を差し押さえることができる。
③ 身体の拘束を受けている被疑者の指紋若しくは足型を採取し、身長若しくは体重を測定し、又は写真を撮影するには、被疑者を裸にしない限り、第1項の令状によることを要しない。
④ 第1項の令状は、検察官、検察事務官又は司法警察員の請求により、これを発する。
⑤ 検察官、検察事務官又は司法警察員は、身体検査令状の請求をするには、身体の検査を必要とする理由及び身体の検査を受ける者の性別、健康状態その他裁判所の規則で定める事項を示さなければならない。
⑥ 裁判官は、身体の検査に関し、適当と認める条件を附することができる。
過去問・解説
(H18 司法 第25問 ウ)
被疑者に対する鑑定及び身体検査は、直接強制を許容する規定を欠くため、被疑者の身体に直接強制を加えて血液を採取することは許されない。

(正答)

(解説)
強制採血は、身体検査令状(218条1項後段)と鑑定処分許可状(225条、168条1項)の併用によるべきであると理解されている。そして、身体検査令状は直接強制が可能である(222条1項、139条)。
したがって、被疑者の身体に直接強制を加えて血液を採取することは許される。

(H19 司法 第39問 3)
刑事訴訟法では、令状により、差押え、捜索又は検証をすることができる要件として「犯罪の捜査をするについて必要があるとき」と定められているが、通信傍受法では、傍受令状により、通信の傍受をすることができる要件の1つとして「他の方法によっては、犯人を特定し、又は犯行の状況若しくは内容を明らかにすることが著しく困難であるとき」と定められている。

(正答)

(解説)
218条1項前段は、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証をすることができる。」と規定している。これに対して、通信傍受法3条1項柱書は、「検察官又は司法警察員は、…他の方法によっては、犯人を特定し、又は犯行の状況若しくは内容を明らかにすることが著しく困難であるときは、…犯罪関連通信の傍受をすることができる。」と規定している。

(H20 司法 第27問 ア)
身体検査令状により身体の検査をすることができる対象は、被疑者に限られており、被疑者以外の者の身体の検査をすることはできない。

(正答)

(解説)
218条1項は、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、…検証をすることができる。この場合において、身体の検査は、身体検査令状によらなければならない。」と規定しており、身体検査の被検査主体に限定はない。
したがって、身体検査令状により身体の検査をすることができる対象は、被疑者に限られていない。

(H20 司法 第27問 イ)
身体の拘束を受けている被疑者の指紋又は足型を採取するには、被疑者を裸にしない場合であっても、身体検査令状によらなければならない。

(正答)

(解説)
218条は、1項において、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証をすることができる。この場合において、身体の検査は、身体検査令状によらなければならない。」と規定し、3項において、「身体の拘束を受けている被疑者の指紋若しくは足型を採取…するには、被疑者を裸にしない限り、第1項の令状によることを要しない。」と規定している。
したがって、身体の拘束を受けている被疑者の指紋又は足型を採取するには、被疑者を裸にしない場合であれば、身体検査令状による必要はない。

(H21 司法 第22問 イ)
司法警察員が、逮捕された被疑者の指紋を採取するときは、裁判官の発する令状を必要とする。

(正答)

(解説)
218条は、1項において、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証をすることができる。この場合において、身体の検査は、身体検査令状によらなければならない。」と規定し、3項において、「身体の拘束を受けている被疑者の指紋…を採取…するには、被疑者を裸にしない限り、第1項の令状によることを要しない。」と規定している。
したがって、司法警察員が、逮捕された被疑者の指紋を採取するときは、被疑者を裸にしない限り、裁判官の発する令状を必要としない。

(H22 司法 第21問 カ)
検察事務官が、裁判官が発付した捜索差押許可状により、被疑者の居宅を捜索した行為は、違法である。

(正答)

(解説)
218条1項前段は、「検察事務官…は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、…捜索…をすることができる。」と規定している。

(H24 司法 第23問 イ)
身体の拘束を受けている被疑者は、既に身体の拘束という強制処分を受けている以上、ある程度の処分は別個の令状なくして許されるから、身体検査令状の発付を受けることなく、被疑者を全裸にしてその身体を写真撮影することができる。

(正答)

(解説)
218条は、1項において、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証をすることができる。この場合において、身体の検査は、身体検査令状によらなければならない。」と規定し、3項において、「身体の拘束を受けている被疑者の…写真を撮影するには、被疑者を裸にしない限り、第1項の令状によることを要しない。」と規定している。
したがって、身体の拘束を受けている被疑者の身体を写真撮影する際、被疑者を全裸にする場合には、令状の発付を受ける必要がある。

(H25 共通 第21問 3)
検察官は、司法警察員から送致を受けた事件であっても、捜査の必要があると思料するときは、自ら、捜索差押許可状の発付を受けて、捜索差押えを行うことができる。

(正答)

(解説)
281条1項前段は、「検察官…は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押え、…捜索…をすることができる。」と規定している。

(H27 予備 第14問 ウ)
捜索差押許可状により捜索することは、検察官と司法警察員のいずれもが行使できる権限である。

(正答)

(解説)
218条1項は、「検察官、…又は司法警察職員は、…裁判官の発する令状により、…捜索又…をすることができる。」と規定している。

(H28 予備 第16問 オ)
平成27年2月1日、H県I警察署所属の司法警察員Xは、私人から「H県営J公園で、女性が血を流して死んでいる。」との通報を受け、同公園に向かい、その女性の死体を確認した。Xから変死体を発見した旨の連絡を受けたH地方検察庁検察官Yは、自ら検視を実施した。検視の結果、所持品等から、前記死体がH県内に住むVであることが判明し、胸部にはナイフで刺されたような傷痕が認められた。そこで、Vを被害者とする殺人事件の捜査が開始された。
 Xは、同日、J公園の草むらで、血痕が付着したナイフを発見し、その場でこれを領置した。また、Yは、前記検視の結果を踏まえ、Vの死体については捜査の必要から解剖を実施することとし、同月2日、Z医師による同死体の解剖が行われた。その結果、Vの死因は、胸部刺創による失血死であることが判明した。
 その後、J公園に設置された防犯カメラに、甲がVの胸付近を刃物で刺す場面が撮影されていることが明らかとなり、Xは、同月4日、甲を被疑者とする逮捕状の発付を受けた。Xは、同日、甲方に向かったところ、ちょうど甲がボストンバッグ1個を持って甲方から出てきた。そこで、Xは、甲方前路上において、甲に前記逮捕状を示した上で、これを逮捕し、その際、甲が持っていたボストンバッグのチャックを開け、その中の物を取り出したところ、血の付いたシャツを認めたことから、同シャツをその場で差し押さえた。その後、Xは、I警察署において、逮捕された甲の指紋を採取し、甲の正面及び左右の顔写真を撮影した。
Xが甲の指紋を採取し、甲の顔写真を撮影するには、身体検査令状の発付を受ける必要がある。

(正答)

(解説)
218条は、1項において、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証をすることができる。この場合において、身体の検査は、身体検査令状によらなければならない。」と規定し、3項において、「身体の拘束を受けている被疑者の指紋…を採取し、…又は写真を撮影するには、被疑者を裸にしない限り、第1項の令状によることを要しない。」と規定している。
したがって、甲を裸にしない以上、Xが甲の指紋を採取し、甲の顔写真を撮影するには、身体検査令状の発付を受ける必要はない。

(H29 予備 第17問 イ)
捜査機関が身体の拘束を受けている被疑者の顔写真を撮影するには、身体検査令状による必要はない。

(正答)

(解説)
218条は、1項において、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証をすることができる。この場合において、身体の検査は、身体検査令状によらなければならない。」と規定し、3項において、「身体の拘束を受けている被疑者の…写真を撮影するには、被疑者を裸にしない限り、第1項の令状によることを要しない。」と規定している。

(R4 予備 第14問 オ)
捜索差押許可状の請求は、司法警察員と検察官のいずれもがなし得る。

(正答)

(解説)
218条は、1項において、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証をすることができる。この場合において、身体の検査は、身体検査令状によらなければならない。」と規定し、4項において、「第1項の令状は、検察官、検察事務官又は司法警察員の請求により、これを発する。」と規定している。

(R5 予備 第18問 イ)
身体の拘束を受けている被疑者を写真撮影する場合、必ず身体検査令状によらなければならない。

(正答)

(解説)
218条は、1項において、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証をすることができる。この場合において、身体の検査は、身体検査令状によらなければならない。」と規定し、3項において、「身体の拘束を受けている被疑者の…写真を撮影するには、被疑者を裸にしない限り、第1項の令状によることを要しない。」と規定している。

(R5 予備 第18問 ウ)
捜査機関が人の着用しているズボンのポケットの中を捜索して物を差し押さえるためには、捜索差押許可状のほかに、身体検査令状の発付を受ける必要がある。

(正答)

(解説)
218条は、1項において、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、裁判官の発する令状により、差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証をすることができる。この場合において、身体の検査は、身体検査令状によらなければならない。」と規定している。
ズボンのポケットの中を捜索して物を差し押さえる行為は、検証としての身体検査ではなく、身体の捜索である。
したがって、捜査機関が人の着用しているズボンのポケットの中を捜索して物を差し押さえるためには、捜索差押許可状のみで足りる。
総合メモ

第219条

条文
第219条(差押え等の令状の方式)
① 前条の令状には、被疑者若しくは被告人の氏名、罪名、差し押さえるべき物、記録させ若しくは印刷させるべき電磁的記録及びこれを記録させ若しくは印刷させるべき者、捜索すべき場所、身体若しくは物、検証すべき場所若しくは物又は検査すべき身体及び身体の検査に関する条件、有効期間及びその期間経過後は差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証に着手することができず令状はこれを返還しなければならない旨並びに発付の年月日その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判官が、これに記名押印しなければならない。
② 前条第2項の場合には、同条の令状に、前項に規定する事項のほか、差し押さえるべき電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であって、その電磁的記録を複写すべきものの範囲を記載しなければならない。
③ 第64条第2項の規定は、前条の令状についてこれを準用する。
過去問・解説
(H19 司法 第39問 1)
刑事訴訟法では、令状により、差押え、捜索又は検証をすることができる対象犯罪を限定していないが、通信傍受法では、傍受令状で通信の傍受をすることができる対象犯罪を死刑又は無期若しくは短期1年以上の拘禁刑に当たる刑法上の犯罪に限定している。

(正答)

(解説)
219条1項は、「前条の令状には、被疑者若しくは被告人の氏名、罪名、差し押さえるべき物、記録させ若しくは印刷させるべき電磁的記録及びこれを記録させ若しくは印刷させるべき者、捜索すべき場所、身体若しくは物、検証すべき場所若しくは物又は検査すべき身体及び身体の検査に関する条件、有効期間及びその期間経過後は差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証に着手することができず令状はこれを返還しなければならない旨並びに発付の年月日その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判官が、これに記名押印しなければならない。」と規定しており、令状により、差押え、捜索又は検証をすることができる対象犯罪を限定していない。
また、通信傍受法3条1項は、各号において、通信傍受令状で通信傍受ができる犯罪を列挙しているが、「死刑又は無期若しくは短期1年以上の拘禁刑に当たる刑法上の犯罪」という形では規定していない。

(H19 司法 第39問 2)
差押え、捜索又は検証のための令状には、犯罪事実の要旨及び罰条の記載を要しないが、通信傍受法の傍受令状には、被疑事実の要旨及び罰条を記載しなければならない。

(正答)

(解説)
219条1項は、「前条の令状には、被疑者若しくは被告人の氏名、罪名、差し押さえるべき物、記録させ若しくは印刷させるべき電磁的記録及びこれを記録させ若しくは印刷させるべき者、捜索すべき場所、身体若しくは物、検証すべき場所若しくは物又は検査すべき身体及び身体の検査に関する条件、有効期間及びその期間経過後は差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証に着手することができず令状はこれを返還しなければならない旨並びに発付の年月日その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判官が、これに記名押印しなければならない。」と規定しており、捜索又は検証のための令状に犯罪事実の要旨及び罰条の記載を要求していない。一方、通信傍受法6条1項本文は、「傍受令状には、…被疑事実の要旨、…罰条…を記載し…なければならない。」と規定している。
したがって、差押え、捜索又は検証のための令状には、犯罪事実の要旨及び罰条の記載を要しないが、通信傍受法の傍受令状には、被疑事実の要旨及び罰条を記載しなければならない。

(H20 司法 第28問 ウ)
捜索差押許可状には、犯罪事実の要旨を記載しなければならない。

(正答)

(解説)
219条1項は、「前条の令状には、被疑者若しくは被告人の氏名、罪名、差し押さえるべき物、記録させ若しくは印刷させるべき電磁的記録及びこれを記録させ若しくは印刷させるべき者、捜索すべき場所、身体若しくは物、検証すべき場所若しくは物又は検査すべき身体及び身体の検査に関する条件、有効期間及びその期間経過後は差押え、記録命令付差押え、捜索又は検証に着手することができず令状はこれを返還しなければならない旨並びに発付の年月日その他裁判所の規則で定める事項を記載し、裁判官が、これに記名押印しなければならない。」と規定している。ここに、犯罪事実の要旨は含まれていない。
したがって、捜索差押許可状には、犯罪事実の要旨を記載する必要はない。

(H21 司法 第26問 イ)
被疑者甲がスーパーマーケットに農薬入りの食品を置いて同スーパーマーケットの経営者から金員を恐喝した事件で甲方を捜索中、司法警察員が、甲方の敷地内に甲所有の自動車があったので、その車内を捜索することは、差し押さえるべき物を農薬とする甲方に対する捜索差押許可状で行い得る。

(正答)

(解説)
219条1項は、「令状には、…捜索すべき場所…を記載し…なければならない。」と規定している。そして、捜索差押許可状の効力は、この「捜索すべき場所」の管理権が及ぶ範囲に及ぶと解されている。
本肢では、「捜索すべき場所」として、甲方が記載されていると考えられるところ、甲方の敷地内にある甲所有の自動車は、この「捜索すべき場所」の管理権に包含されている。
したがって、被疑者甲がスーパーマーケットに農薬入りの食品を置いて同スーパーマーケットの経営者から金員を恐喝した事件で甲方を捜索中、司法警察員が、甲方の敷地内に甲所有の自動車があったので、その車内を捜索することは、差し押さえるべき物を農薬とする甲方に対する捜索差押許可状で行い得る。

(H23 予備 第16問 オ)
司法警察員は、捜索すべき場所を会社事務所とする捜索差押許可状により同事務所を捜索するときは、同事務所にある金庫内を捜索することはできない。

(正答)

(解説)
219条1項は、「令状には、…捜索すべき場所…を記載し…なければならない。」と規定している。
そして、捜索差押許可状の効力は、この「捜索すべき場所」の管理権が及ぶ範囲に及ぶと解されている。
本肢では、「捜索すべき場所」として、会社事務所が記載されているところ、会社事務所に所在する金庫は、この「捜索すべき場所」の管理権に包含されている。
したがって、司法警察員は、捜索すべき場所を会社事務所とする捜索差押許可状により同事務所を捜索するときは、同事務所にある金庫内を捜索することはできる。

(H23 司法 第24問 エ)
捜索差押許可状には、被疑者の氏名、罪名、差し押さえるべき物、捜索すべき場所、身体若しくは物、有効期間等を記載しなければならないが、特別法違反の罪については、被疑事件を特定するため、罪名のほか、その罰条又は犯罪事実を記載しなければならない。

(正答)

(解説)
219条1項は、「前条の令状には、被疑者…の氏名、罪名、差し押さえるべき物、…捜索すべき場所、身体若しくは物、…有効期間…を記載し…なければならない。」と規定している。そして、特別法違反の場合についても同様であり、被疑事件を特定するため、罪名のほか、その罰条又は犯罪事実を記載しなければならないという規定は存在しない。
したがって、特別法違反の罪についても、その罰条又は犯罪事実を記載する必要はない。

(H26 司法 第25問 ア)
電磁的記録を保管する者その他の電磁的記録を利用する権限を有する者に命じて必要とする電磁的記録を記録媒体に記録させ、又は印刷させた上、当該記録媒体を差し押さえる場合、裁判官の発する令状に、記録させ若しくは印刷させるべき電磁的記録及びこれを記録させ若しくは印刷させるべき者の記載がなされる必要がある。

(正答)

(解説)
219条1項は、「前条の令状には、…記録させ若しくは印刷させるべき電磁的記録及びこれを記録させ若しくは印刷させるべき者…を記載し…なければならない。」と規定している。

(H26 司法 第25問 イ)
差し押さえるべき物が電子計算機である場合、当該電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であって、当該電子計算機で作成若しくは変更した電磁的記録又は当該電子計算機で変更若しくは消去することができることとされている電磁的記録を保管するために使用されていると認めるに足りる状況にあるものから、その電磁的記録を当該電子計算機又は他の記録媒体に複写した上、当該電子計算機又は当該他の記録媒体を差し押さえるときには、裁判官の発する令状に、差し押さえるべき物の記載とは別に、その複写すべきものの範囲の記載がなされる必要はない。

(正答)

(解説)
219条2項は、「前条第2項の場合には、同条の令状に、前項に規定する事項のほか、差し押さえるべき電子計算機に電気通信回線で接続している記録媒体であって、その電磁的記録を複写すべきものの範囲を記載しなければならない。」と規定している。

(R2 予備 第16問 イ)
裁判官は、被疑者が特定できていない段階でも、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、捜索差押許可状を発付することができる。

(正答)

(解説)
219条1項は、「前条の令状には、被疑者若しくは被告人の氏名、…を記載し、裁判官が、これに記名押印しなければならない。」と規定している。
もっとも、被疑事実の存在と証拠物の存在の蓋然性は明確であっても、被疑者が不明であることはあり得る。このような場合でも憲法35条1項の「正当な理由」を認めることができれば、捜索差押許可状を発付することはできる(酒巻匡「刑事訴訟法」第2版114頁)。
したがって、裁判官は、被疑者が特定できていない段階でも、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、捜索差押許可状を発付することができる。
総合メモ

第220条

条文
第220条(令状によらない差押え・捜索・検証)
① 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、第199条の規定により被疑者を逮捕する場合又は現行犯人を逮捕する場合において必要があるときは、左の処分をすることができる。第210条の規定により被疑者を逮捕する場合において必要があるときも、同様である。
 一 人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入り被疑者の捜索をすること。
 二 逮捕の現場で差押、捜索又は検証をすること。
② 前項後段の場合において逮捕状が得られなかったときは、差押物は、直ちにこれを還付しなければならない。第123条第3項の規定は、この場合についてこれを準用する。        
③ 第1項の処分をするには、令状は、これを必要としない。        
④ 第1項第2号及び前項の規定は、検察事務官又は司法警察職員が勾引状又は勾留状を執行する場合にこれを準用する。被疑者に対して発せられた勾引状又は勾留状を執行する場合には、第1項第1号の規定をも準用する。        
過去問・解説
(H18 司法 第23問 5)
現行犯人を逮捕した私人は、逮捕の現場で令状によらずに差押えをすることができる。

(正答)

(解説)
220条1項柱書前段は、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、第199条の規定により被疑者を逮捕する場合又は現行犯人を逮捕する場合において必要があるときは、左の処分をすることができる。」と規定している。
したがって、現行犯人を逮捕した私人に、差押えの権限は認められていない。

(H21 司法 第22問 ア)
司法警察員が、被疑者を逮捕する場合において必要があるときに、被疑者の知人の住居に入り被疑者の捜索をするときは、裁判官の発する令状を必要とする。

(正答)

(解説)
220条1項は、柱書前段において、「司法警察職員は、第199条の規定により被疑者を逮捕する場合…において必要があるときは、左の処分をすることができる。」と規定し、1号において、「人の住居…に入り被疑者の捜索をすること。」を掲げている。そして、3項において、「第1項の処分をするには、令状は、これを必要としない。」と規定している。
したがって、司法警察員が、被疑者を逮捕する場合において必要があるときに、被疑者の知人の住居に入り被疑者の捜索をするときは、裁判官の発する令状を必要としない。

(H21 司法 第23問 5)
司法警察員は、被疑者を緊急逮捕した現場で差押えをした場合において逮捕状が得られなかったときは、直ちに差押物を還付しなければならない。

(正答)

(解説)
220条は、1項において、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、第199条の規定により被疑者を逮捕する場合又は現行犯人を逮捕する場合において必要があるときは、左の処分をすることができる。第210条の規定により被疑者を逮捕する場合において必要があるときも、同様である。」と規定し、2項前段において、「前項後段の場合において逮捕状が得られなかったときは、差押物は、直ちにこれを還付しなければならない。」と規定している。

(H22 司法 第23問 ウ)
司法警察員Xは、被疑者甲に係る大麻取締法違反(大麻所持)被疑事件に関し、被疑者甲が1人で居住するアパートの居室を捜索すべき場所とし、大麻及び大麻吸引具を差し押さえるべき物とする捜索差押許可状に基づき、その居室を捜索した。その際、被疑者甲は、その居室にいた。司法警察員Xは、その捜索において、大麻及び大麻吸引具を発見することができなかったが、ポーチに入った覚せい剤様の白色結晶や、血液の混じったような液体が入った注射器を発見した。そのため、司法警察員Xは、前記白色結晶につき、覚せい剤の予試験を実施したところ、覚せい剤であるとの試験結果が得られた。そこで、司法警察員Xは、被疑者甲を覚せい剤取締法違反の被疑事実で逮捕し、前記白色結晶を押収した。白色結晶を押収するに当たり、司法警察員Xは、裁判官による令状の発付を受ける必要がない。

(正答)

(解説)
220条1項は、柱書前段において、「司法警察職員は、第199条の規定により被疑者を逮捕する場合…において必要があるときは、左の処分をすることができる。」と規定し、2号において、「逮捕の現場で差押…をすること。」を掲げている。そして、3項において、「第1項の処分をするには、令状は、これを必要としない。」と規定している。
本肢では、甲は、予試験により覚醒剤であると判明した白色結晶を所持していた以上、覚せい剤取締法違反の「罪」を行なっており、「現行犯人」に当たる(212条1項、213条)。
また、この場合における「差押」の対象物は、一般的探索的差押を避ける趣旨から、逮捕被疑事実に関連する証拠物に限られるところ、上記白色結晶は逮捕被疑事実に関連する物である。そのため、Xは現行犯逮捕に伴い、白色結晶を差押えをすることができる。
したがって、白色結晶を押収するに当たり、司法警察員Xは、裁判官による令状の発付を受ける必要がない。

(H22 司法 第23問 エ)
【事例】
 司法警察員Xは、被疑者甲に係る大麻取締法違反(大麻所持)被疑事件に関し、被疑者甲が1人で居住するアパートの居室を捜索すべき場所とし、大麻及び大麻吸引具を差し押さえるべき物とする捜索差押許可状に基づき、その居室を捜索した。その際、被疑者甲は、その居室にいた。司法警察員Xは、その捜索において、大麻及び大麻吸引具を発見することができなかったが、ポーチに入った覚せい剤様の白色結晶や、血液の混じったような液体が入った注射器を発見した。そのため、司法警察員Xは、前記白色結晶につき、覚せい剤の予試験を実施したところ、覚せい剤であるとの試験結果が得られた。そこで、司法警察員Xは、被疑者甲を覚せい剤取締法違反の被疑事実で逮捕し、前記白色結晶を押収するとともに、(④)前記ポーチ及び前記注射器を押収した。

下線部④について、ポーチ及び注射器を押収するに当たり、司法警察員Xは、裁判官による令状の発付を受ける必要がある。

(正答)

(解説)
220条1項は、柱書前段において、「司法警察職員は、…現行犯人を逮捕する場合において必要があるときは、左の処分をすることができる。」と規定し、2号において、「逮捕の現場で差押、…すること。」を掲げている。そして、3項において、「第1項の処分をするには、令状は、これを必要としない。」と規定している。
本肢では、甲は、予試験により覚醒剤であると判明した白色結晶を所持していた以上、覚せい剤取締法違反の「罪」を行なっており、「現行犯人」に当たる(212条1項、213条)。
また、この場合における「差押」の対象物は、一般的探索的差押を避ける趣旨から、逮捕被疑事実に関連する証拠物に限られるところ、前記ポーチ及び前記注射器は逮捕被疑事実に関連する物である。そのため、Xは現行犯逮捕に伴い、前記ポーチ及び前記注射器を差押えをすることができる。
したがって、下線部④について、ポーチ及び注射器を押収するに当たり、司法警察員Xは、裁判官による令状の発付を受ける必要はない。

(H25 予備 第15問 ア)
H警察署司法警察員は、「平成24年3月1日午後9時、I市内にあるJ倉庫裏において、甲が乙に覚せい剤を譲り渡すという覚せい剤取引の計画がある。」旨の情報を入手した。そこで、司法警察員は、部下である司法巡査X及び司法巡査Yに対して、前記覚せい剤取引を確認した場合には甲及び乙を逮捕するように指示した。その後、司法巡査X及び司法巡査Yは、同日午後9時、前記J倉庫裏において、甲が乙にアタッシュケースを渡したのを現認したので、直ちに、甲及び乙に対する職務質問を開始した。しかし、甲は、その場から逃走し、司法巡査Xはこれを追跡したものの、見失った。これに対し、乙は、その場に留まり、司法巡査Yの求めに任意に応じて前記アタッシュケースを開披し、その中に入っていた白色粉末入りのビニール袋を司法巡査Yに渡した。そして、司法巡査Yは、乙の同意を得た上で、試薬を使用してその白色粉末が覚せい剤であることを確認したことから、同日午後9時20分、乙を覚せい剤所持の事実により現行犯逮捕した。その後、乙は、同日午後10時、司法警察員に引致された。一方、甲を捜していた司法巡査Xは、司法巡査Yから、携帯電話により、前記アタッシュケースの中には覚せい剤が入っていたことを聞いた。そして、司法巡査Xは、同日午後11時50分、I市内において、甲を発見したことから、甲を覚せい剤譲渡の事実により緊急逮捕し、司法警察員に引致した。その後、甲には、同年2月27日に同市内の宝石店において100万円相当の宝石を窃取したという窃盗の余罪があることが判明した。
乙が所持していた覚せい剤を押収するには、差押許可状の発付を受ける必要がある。

(正答)

(解説)
220条1項は、柱書前段において、「司法警察職員は、…現行犯人を逮捕する場合において必要があるときは、左の処分をすることができる。」と規定し、2号において、「逮捕の現場で差押、…すること。」を掲げている。そして、3項において、「第1項の処分をするには、令状は、これを必要としない。」と規定している。
本肢では、甲は、試薬により覚醒剤であると判明した白色粉末を所持していた以上、覚せい剤取締法違反の「罪」を行なっており、「現行犯人」に当たる(212条1項、213条)。
また、この場合における「差押」の対象物は、一般的探索的差押を避ける趣旨から、逮捕被疑事実に関連する証拠物に限られるところ、覚せい剤は逮捕被疑事実に関連する物である。そのため、Xは現行犯逮捕に伴い、覚せい剤を差押えをすることができる。
したがって、乙が所持していた覚せい剤を押収するには、差押許可状の発付を受ける必要はない。

(H25 司法 第24問 エ)
司法警察員は、甲が自宅において覚せい剤を密売しているとの被疑事実により、甲の逮捕状及び甲宅に対する捜索差押許可状の発付を得て、甲宅に赴いた。甲宅には、甲の妻Aのみが在宅していたことから、司法警察員は、Aに前記捜索差押許可状を呈示した上で、甲宅に立ち入り、Aを立会人として捜索を実施し、覚せい剤や電子計量器などを差し押さえた。更に捜索を進めたところ、甲宅リビングルームのテーブル上に、甲が野球賭博を開張していたことを示すノートが発見されたことから、司法警察員はAにノートの提出を求めた。ノートは甲の所有物であったが、Aは司法警察員にノートを任意に提出し、司法警察員がこれを領置した。捜索終了後、その日のうちに、司法警察員は甲が帰宅した旨の情報を得たことから、直ちに甲宅に赴き、③玄関から甲宅に立ち入り、在宅していた甲に逮捕状を示して通常逮捕した。
下線部③につき、既に甲宅に対する捜索が終わった後であるから、甲宅に立ち入るためには、甲又はAの了解が必要である。

(正答)

(解説)
220条1項は、柱書前段において、「司法警察職員は、第199条の規定により被疑者を逮捕する場合…において必要があるときは、左の処分をすることができる。」と規定し、1号において、「人の住居…に入り被疑者の捜索をすること。」を掲げている。

(H27 予備 第17問 ア)
捜査機関が捜索差押えを行うには、必ず捜索差押許可状が発付されていなければならない。

(正答)

(解説)
220条1項は、柱書において、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、第199条の規定により被疑者を逮捕する場合又は現行犯人を逮捕する場合において必要があるときは、左の処分をすることができる。第210条の規定により被疑者を逮捕する場合において必要があるときも、同様である。」と規定し、2号において、「逮捕の現場で差押、捜索…をすること。」を掲げている。そして、3項において、「第1項の処分をするには、令状は、これを必要としない。」と規定している。
したがって、逮捕に伴って捜索差押えをする場合には、捜索差押許可状の発付は不要である。

(H28 予備 第16問 エ)
平成27年2月1日、H県I警察署所属の司法警察員Xは、私人から「H県営J公園で、女性が血を流して死んでいる。」との通報を受け、同公園に向かい、その女性の死体を確認した。Xから変死体を発見した旨の連絡を受けたH地方検察庁検察官Yは、自ら検視を実施した。検視の結果、所持品等から、前記死体がH県内に住むVであることが判明し、胸部にはナイフで刺されたような傷痕が認められた。そこで、Vを被害者とする殺人事件の捜査が開始された。
 Xは、同日、J公園の草むらで、血痕が付着したナイフを発見し、その場でこれを領置した。また、Yは、前記検視の結果を踏まえ、Vの死体については捜査の必要から解剖を実施することとし、同月2日、Z医師による同死体の解剖が行われた。その結果、Vの死因は、胸部刺創による失血死であることが判明した。
 その後、J公園に設置された防犯カメラに、甲がVの胸付近を刃物で刺す場面が撮影されていることが明らかとなり、Xは、同月4日、甲を被疑者とする逮捕状の発付を受けた。Xは、同日、甲方に向かったところ、ちょうど甲がボストンバッグ1個を持って甲方から出てきた。そこで、Xは、甲方前路上において、甲に前記逮捕状を示した上で、これを逮捕し、その際、甲が持っていたボストンバッグのチャックを開け、その中の物を取り出したところ、血の付いたシャツを認めたことから、同シャツをその場で差し押さえた。その後、Xは、I警察署において、逮捕された甲の指紋を採取し、甲の正面及び左右の顔写真を撮影した。
 Xがボストンバッグのチャックを開けて中の物を取り出し、シャツを差し押さえるには、捜索差押許可状の発付を受ける必要がない。

(正答)

(解説)
220条1項は、柱書前段において、「司法警察職員は、第199条の規定により被疑者を逮捕する場合…において必要があるときは、左の処分をすることができる。」と規定し、2号において、「逮捕の現場で差押、…すること。」を掲げている。そして、3項において、「第1項の処分をするには、令状は、これを必要としない。」と規定している。
この場合における「差押」の対象物は、一般的探索的差押を避ける趣旨から、逮捕被疑事実に関連する証拠物に限られるところ、差し押さえられたシャツには血が付いており、逮捕被疑事実であるところのVを被害者とする殺人事件との関連性が認められる。
そのため、Xは現行犯逮捕に伴い、シャツを差押えをすることができる。
したがって、 Xがボストンバッグのチャックを開けて中の物を取り出し、シャツを差し押さえるには、捜索差押許可状の発付を受ける必要がない。

(H30 予備 第17問 ア)
被疑者を逮捕状により逮捕する場合には、逮捕に伴う令状によらない捜索差押えをすることはできない。

(正答)

(解説)
220条1項は、柱書前段において、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、第199条の規定により被疑者を逮捕する場合…において必要があるときは、左の処分をすることができる。」と規定し、2号において、「逮捕の現場で差押、捜索、…すること。」を掲げている。そして、3項において、「第1項の処分をするには、令状は、これを必要としない。」と規定している。
したがって、被疑者を逮捕状により逮捕する場合には、逮捕に伴う令状によらない捜索差押えをすることができる。

(H30 予備 第17問 ウ)
警察官は、現行犯人を逮捕する場合において必要があるときは、人の住居に入り被疑者の捜索をすることができる。

(正答)

(解説)
220条1項は、柱書前段において、「司法警察職員は、…現行犯人を逮捕する場合において必要があるときは、左の処分をすることができる。」と規定し、1号において、「人の住居…に入り被疑者の捜索をすること。」を掲げている。
したがって、警察官は、現行犯人を逮捕する場合において必要があるときは、人の住居に入り被疑者の捜索をすることができる。

(H30 予備 第17問 オ)
被疑者を緊急逮捕し、逮捕に伴う令状によらない捜索差押えをしたが、逮捕状が発付されなかった場合には、差押物は直ちにこれを還付しなければならない。

(正答)

(解説)
220条は、1項において、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、第199条の規定により被疑者を逮捕する場合又は現行犯人を逮捕する場合において必要があるときは、左の処分をすることができる。第210条の規定により被疑者を逮捕する場合において必要があるときも、同様である。」と規定し、2項前段において、「前項後段の場合において逮捕状が得られなかったときは、差押物は、直ちにこれを還付しなければならない。」と規定している。

(R1 予備 第15問 ア)
捜査機関は、逮捕状により被疑者を逮捕する場合において、被疑者を捜索するため人の住居に入る必要があるときは、住居を対象とする捜索許可状がなくても、その住居に入ることができる。

(正答)

(解説)
220条1項は、柱書前段において、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、第199条の規定により被疑者を逮捕する場合…において必要があるときは、左の処分をすることができる。」と規定し、1号において、「人の住居…に入り被疑者の捜索をすること。」を掲げている。そして、3項において、「第1項の処分をするには、令状は、これを必要としない。」と規定している。
したがって、捜査機関は、逮捕状により被疑者を逮捕する場合において、被疑者を捜索するため人の住居に入る必要があるときは、住居を対象とする捜索許可状がなくても、その住居に入ることができる。

(R1 予備 第16問 オ)
現行犯人を逮捕した私人は、逮捕の現場で令状によらずに、証拠物の捜索差押えをすることができる。

(正答)

(解説)
220条1項柱書前段は、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、第199条の規定により被疑者を逮捕する場合又は現行犯人を逮捕する場合において必要があるときは、左の処分をすることができる。」と規定し、主体を限定している。
したがって、現行犯人を逮捕した私人は、逮捕の現場で令状によらずに、証拠物の捜索差押えをすることはできない。

(R2 予備 第14問 オ)
警察官が、職務質問の際、承諾を得て所持品検査をし、覚醒剤を発見したが、任意提出を拒まれた場合、差押許可状を取得しない限り、同覚醒剤を差し押さえることはできない。

(正答)

(解説)
220条1項は、柱書前段において、「司法警察職員は、…現行犯人を逮捕する場合において必要があるときは、左の処分をすることができる。」と規定し、2号において、「逮捕の現場で差押、…すること。」を掲げている。そして、3項において、「第1項の処分をするには、令状は、これを必要としない。」と規定している。
したがって、警察官が、覚醒剤所持で現行犯逮捕を行えば、無令状で覚醒剤を差押えすることができる。

(R6 予備 第19問 オ)
現行犯人を逮捕した私人は、逮捕の現場で令状によらずに捜索差押えをすることができる。

(正答)

(解説)
220条1項柱書前段は、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、第199条の規定により被疑者を逮捕する場合又は現行犯人を逮捕する場合において必要があるときは、左の処分をすることができる。」と規定し、主体を限定している。
したがって、現行犯人を逮捕した私人は、逮捕の現場で令状によらずに捜索差押えをすることができない。
総合メモ

第221条

条文
第221条(領置)
 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者その他の者が遺留した物又は所有者、所持者若しくは保管者が任意に提出した物は、これを領置することができる。
過去問・解説
(H20 司法 第28問 エ)
殺人事件の犯人が公道上の犯行現場に遺留した凶器を押収するには、差押許可状が必要である。

(正答)

(解説)
221条は、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者…が遺留した物…は、これを領置することができる。」と規定している。そして、領置は、占有の取得の過程に強制の要素がないため、その実施に当たって令状は不要である。
殺人事件の犯人が公道上の犯行現場に遺留した凶器は「被疑者…が遺留した物」に当たる。
したがって、殺人事件の犯人が公道上の犯行現場に遺留した凶器を押収するには、差押許可状は不要である。

(H20 司法 第28問 オ)
捜査機関に対し、証拠物を任意に提出することができる者は、当該証拠物の所有者に限られる。

(正答)

(解説)
221条は、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、…所有者、所持者若しくは保管者が任意に提出した物は、これを領置することができる。」と規定している。
したがって、拠物を任意に提出することができる者は、当該証拠物の所有者に限られない。

(H21 司法 第22問 オ)
司法警察員が、覚せい剤を注射して使用した被疑者により公道上に投棄された注射器を領置するときは、裁判官の発する令状を必要とする。

(正答)

(解説)
221条は、「司法警察職員は、被疑者…が遺留した物…を領置することができる。」と規定している。そして、領置は、占有の取得の過程に強制の要素がないため、その実施に当たって令状は不要である。
覚せい剤を注射して使用した被疑者により公道上に投棄された注射器は「被疑者…が遺留した物」に当たる。
したがって、司法警察員が、覚せい剤を注射して使用した被疑者により公道上に投棄された注射器を領置するときは、裁判官の発する令状は不要である。

(H25 司法 第24問 ウ)
司法警察員は、甲が自宅において覚せい剤を密売しているとの被疑事実により、甲の逮捕状及び甲宅に対する捜索差押許可状の発付を得て、甲宅に赴いた。甲宅には、甲の妻Aのみが在宅していたことから、司法警察員は、Aに前記捜索差押許可状を呈示した上で、甲宅に立ち入り、Aを立会人として捜索を実施し、覚せい剤や電子計量器などを差し押さえた。更に捜索を進めたところ、甲宅リビングルームのテーブル上に、甲が野球賭博を開張していたことを示すノートが発見されたことから、司法警察員はAにノートの提出を求めた。ノートは甲の所有物であったが、②Aは司法警察員にノートを任意に提出し、司法警察員がこれを領置した。
下線部②につき、任意提出を行うことができる者は、所有者又は所持者に限られるところ、所持者とは自己のために当該物件を占有する者であるから、司法警察員がAからノートを領置したことは違法である。

(正答)

(解説)
221条は、「司法警察職員は、…所有者、所持者若しくは保管者が任意に提出した物は、これを領置することができる」と規定しており、任意提出を行うことができる者は、所有者又は所持者に限られない。
したがって、司法警察員がAからノートを領置したことは適法である。

(H25 司法 第24問 オ)
司法警察員は、甲が自宅において覚せい剤を密売しているとの被疑事実により、甲の逮捕状及び甲宅に対する捜索差押許可状の発付を得て、甲宅に赴いた。甲宅には、甲の妻Aのみが在宅していたことから、司法警察員は、Aに前記捜索差押許可状を呈示した上で、甲宅に立ち入り、Aを立会人として捜索を実施し、覚せい剤や電子計量器などを差し押さえた。更に捜索を進めたところ、甲宅リビングルームのテーブル上に、甲が野球賭博を開張していたことを示すノートが発見されたことから、司法警察員はAにノートの提出を求めた。ノートは甲の所有物であったが、Aは司法警察員にノートを任意に提出し、司法警察員がこれを領置した。捜索終了後、その日のうちに、司法警察員は甲が帰宅した旨の情報を得たことから、直ちに甲宅に赴き、玄関から甲宅に立ち入り、在宅していた甲に逮捕状を示して通常逮捕した。翌日、Aは、甲の了解を得ずに前記ノートを提出したことを後悔し、④司法警察員に対してノートの還付を請求した。
下線部④につき、任意提出物を領置した場合には、提出者から還付を請求されると直ちに還付する必要がある。

(正答)

(解説)
221条は、「司法警察職員は、…所有者、所持者若しくは保管者が任意に提出した物は、これを領置することができる」と規定している。
そして、領置は、対象物の占有取得の際は任意であるが、対象物の占有取得後の効果は差押えと同じであり、その占有は強制的に維持される(酒巻匡「刑事訴訟法」第2版103頁)。
したがって、任意提出物を領置した場合には、提出者から還付を請求されたとしても、領置された物が証拠物や没収すべき物でないことが明らかにならない限り、還付する必要はない。

(H28 予備 第16問 イ)
平成27年2月1日、H県I警察署所属の司法警察員Xは、私人から「H県営J公園で、女性が血を流して死んでいる。」との通報を受け、同公園に向かい、その女性の死体を確認した。Xから変死体を発見した旨の連絡を受けたH地方検察庁検察官Yは、自ら検視を実施した。検視の結果、所持品等から、前記死体がH県内に住むVであることが判明し、胸部にはナイフで刺されたような傷痕が認められた。そこで、Vを被害者とする殺人事件の捜査が開始された。
 Xは、同日、J公園の草むらで、血痕が付着したナイフを発見し、その場でこれを領置した。また、Yは、前記検視の結果を踏まえ、Vの死体については捜査の必要から解剖を実施することとし、同月2日、Z医師による同死体の解剖が行われた。その結果、Vの死因は、胸部刺創による失血死であることが判明した。
 その後、J公園に設置された防犯カメラに、甲がVの胸付近を刃物で刺す場面が撮影されていることが明らかとなり、Xは、同月4日、甲を被疑者とする逮捕状の発付を受けた。Xは、同日、甲方に向かったところ、ちょうど甲がボストンバッグ1個を持って甲方から出てきた。そこで、Xは、甲方前路上において、甲に前記逮捕状を示した上で、これを逮捕し、その際、甲が持っていたボストンバッグのチャックを開け、その中の物を取り出したところ、血の付いたシャツを認めたことから、同シャツをその場で差し押さえた。その後、Xは、I警察署において、逮捕された甲の指紋を採取し、甲の正面及び左右の顔写真を撮影した。
 Xがナイフを領置するには、差押許可状の発付を受ける必要がない。

(正答)

(解説)
221条は「司法警察職員は、被疑者その他の者が遺留した物…は、これを領置することができる。」と規定している。
そして、領置は、占有の取得の過程に強制の要素がないため、その実施に当たって令状は不要である。
本肢のナイフはJ公園の草むらに放置されていたものであるから、「被疑者その他の者が遺留した物」に当たる。
したがって、Xがナイフを領置するには、差押許可状の発付を受ける必要がない。

(R2 予備 第16問 オ)
司法警察職員が領置することができる物は、所有者、所持者又は保管者が任意に提出した物に限られる。

(正答)

(解説)
221条は、「司法警察職員は、被疑者その他の者が遺留した物又は所有者、所持者若しくは保管者が任意に提出した物は、これを領置することができる。」と規定している。
したがって、任意に提出された物だけでなく、遺留物も領置することができる。
総合メモ

第222条

条文
第222条(押収・捜索・検証に関する準用規定、検証の時刻の制限、被疑者の立会い、身体検査を拒否した者に対する制裁)
① 第99条第1項、第100条、第102条から第105条まで、第110条から第112条まで、第114条、第115条及び第118条から第124条までの規定は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が第218条、第220条及び前条の規定によってする押収又は捜索について、第110条、第111条の2、第112条、第114条、第118条、第129条、第131条及び第137条から第140条までの規定は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が第218条又は第220条の規定によってする検証についてこれを準用する。ただし、司法巡査は、第122条から第124条までに規定する処分をすることができない。
② 第220条の規定により被疑者を捜索する場合において急速を要するときは、第114条第2項の規定によることを要しない。
③ 第116条及び第117条の規定は、検察官、検察事務官又は司法警察職員が第218条の規定によってする差押え、記録命令付差押え又は捜索について、これを準用する。
④ 日出前、日没後には、令状に夜間でも検証をすることができる旨の記載がなければ、検察官、検察事務官又は司法警察職員は、第218条の規定によってする検証のため、人の住居又は人の看守する邸宅、建造物若しくは船舶内に入ることができない。但し、第117条に規定する場所については、この限りでない。
⑤ 日没前検証に着手したときは、日没後でもその処分を継続することができる。
⑥ 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、第218条の規定により差押、捜索又は検証をするについて必要があるときは、被疑者をこれに立ち会わせることができる。
⑦ 第1項の規定により、身体の検査を拒んだ者を過料に処し、又はこれに賠償を命ずべきときは、裁判所にその処分を請求しなければならない。
過去問・解説
(R1 予備 第18問 ア)
警察官が捜索許可状に基づき被疑者方を捜索する場合、弁護人は、当該捜索許可状の執行に立ち会う権利がある。

(正答)

(解説)
113条1項本文は、「弁護人は、差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行に立ち会うことができる。」と規定している。しかし、捜査機関による捜査についての準用規定である222条1項は、113条1項を準用していない。
したがって、警察官が捜索許可状に基づき被疑者方を捜索する場合、弁護人には、捜査機関による捜索許可状の執行に立ち会う権利は認められていない。

(R5 予備 第19問 イ)
弁護人は、司法警察職員が捜索差押許可状に基づき被疑者方を捜索する場合、当該捜索差押許可状の執行に立ち会う権利がある。

(正答)

(解説)
113条1項本文は、「弁護人は、差押状、記録命令付差押状又は捜索状の執行に立ち会うことができる。」と規定している。しかし、捜査機関による捜査についての準用規定である222条1項は、113条1項を準用していない。
したがって、司法警察職員が捜索差押許可状に基づき被疑者方を捜索する場合、弁護人には当該捜索差押許可状の執行に立ち会う権利は認められていない。
総合メモ

第223条

条文
第223条(第三者の任意出頭・取調べ・鑑定等の嘱託)
① 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者以外の者の出頭を求め、これを取り調べ、又はこれに鑑定、通訳若しくは翻訳を嘱託することができる。
② 第198条第1項但書及び第3項乃至第5項の規定は、前項の場合にこれを準用する。
過去問・解説
(H21 司法 第22問 ウ)
司法警察員が、私文書偽造被疑事件につき、偽造文書に記載された文字の筆跡と被疑者の筆跡の同一性を確認するため、科学捜査研究所に筆跡の鑑定を嘱託するときは、裁判官の発する令状を必要とする。

(正答)

(解説)
223条1項は、「司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者以外の者…に鑑定…を嘱託することができる。」と規定しており、これには令状を必要としない。

(H21 司法 第25問 2)
司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者以外の者の出頭を求め、これを取り調べることができるが、その取調べに際しては、その者に対し、あらかじめ、自己又は自己の配偶者等が刑事訴追を受けるおそれのある供述を拒むことができる旨を告げなければならない。

(正答)

(解説)
223条1項は、「司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者以外の者の出頭を求め、これを取り調べ…ることができる。」と規定している。
もっとも、その者に対し、あらかじめ、自己又は自己の配偶者等が刑事訴追を受けるおそれのある供述を拒むことができる旨を告げなければならないという規定は存在しない。

(H25 共通 第21問 5)
司法巡査は、犯罪の捜査について必要があるときは、犯罪の被害者の出頭を求め、これを取り調べることができる。

(正答)

(解説)
223条1項は、「司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者以外の者の出頭を求め、これを取り調べ…ることができる。」と規定している。

(R4 予備 第18問 ウ)
捜査機関は、犯罪の被害者を参考人として取り調べるに当たり、あらかじめ自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならない。

(正答)

(解説)
223条1項は、「司法警察職員は、犯罪の捜査をするについて必要があるときは、被疑者以外の者の出頭を求め、これを取り調べ…ることができる。」と規定している。
もっとも、その者に対し、あらかじめ自己の意思に反して供述をする必要がない旨を告げなければならないという規定は存在しない。
総合メモ

第225条

条文
第225条(鑑定受託者と必要な処分、許可状)
① 第223条第1項の規定による鑑定の嘱託を受けた者は、裁判官の許可を受けて、第168条第1項に規定する処分をすることができる。
② 前項の許可の請求は、検察官、検察事務官又は司法警察員からこれをしなければならない。
③ 裁判官は、前項の請求を相当と認めるときは、許可状を発しなければならない。
④ 第168条第2項乃至第4項及び第6項の規定は、前項の許可状についてこれを準用する。
過去問・解説
(H28 予備 第16問 ウ)
平成27年2月1日、H県I警察署所属の司法警察員Xは、私人から「H県営J公園で、女性が血を流して死んでいる。」との通報を受け、同公園に向かい、その女性の死体を確認した。Xから変死体を発見した旨の連絡を受けたH地方検察庁検察官Yは、自ら検視を実施した。検視の結果、所持品等から、前記死体がH県内に住むVであることが判明し、胸部にはナイフで刺されたような傷痕が認められた。そこで、Vを被害者とする殺人事件の捜査が開始された。
 Xは、同日、J公園の草むらで、血痕が付着したナイフを発見し、その場でこれを領置した。また、Yは、前記検視の結果を踏まえ、Vの死体については捜査の必要から解剖を実施することとし、同月2日、Z医師による同死体の解剖が行われた。その結果、Vの死因は、胸部刺創による失血死であることが判明した。
 その後、J公園に設置された防犯カメラに、甲がVの胸付近を刃物で刺す場面が撮影されていることが明らかとなり、Xは、同月4日、甲を被疑者とする逮捕状の発付を受けた。Xは、同日、甲方に向かったところ、ちょうど甲がボストンバッグ1個を持って甲方から出てきた。そこで、Xは、甲方前路上において、甲に前記逮捕状を示した上で、これを逮捕し、その際、甲が持っていたボストンバッグのチャックを開け、その中の物を取り出したところ、血の付いたシャツを認めたことから、同シャツをその場で差し押さえた。その後、Xは、I警察署において、逮捕された甲の指紋を採取し、甲の正面及び左右の顔写真を撮影した。
ZがVの死体を解剖するには、鑑定処分許可状の発付を受ける必要がある。

(正答)

(解説)
225条1項は、「第223条第1項の規定による鑑定の嘱託を受けた者は、裁判官の許可を受けて、第168条第1項に規定する処分をすることができる。」と規定している。
そして、Vの死体の解剖は、「死体を解剖し」という168条1項に規定する処分に当たる。そのため、その実施にあたっては「裁判官の許可」、すなわち鑑定処分許可状が必要となる。
したがって、ZがVの死体を解剖するには、鑑定処分許可状の発付を受ける必要がある。

(H29 予備 第17問 ア)
捜査機関から鑑定の嘱託を受けた者は、鑑定処分許可状に基づき、身体検査を拒否する者に対して、直接強制として身体検査を行うことができる。

(正答)

(解説)
225条1項は、「第223条第1項の規定による鑑定の嘱託を受けた者は、裁判官の許可を受けて、第168条第1項に規定する処分をすることができる。」と規定しており、鑑定受託者は168条1項に規定する「身体を検査」という処分をすることができる。もっとも、裁判所からの許可については225条4項が168条6項を準用しているが、168条6項は身体検査の直接強制を認める規定である139条を準用していない。また、225条4項は、鑑定人の身体検査における裁判官による直接強制を認める規定である172条も準用していない。
したがって、鑑定受託者による身体検査については、直接強制を認める規定がない。

(R1 予備 第15問 エ)
捜査機関の嘱託により鑑定を行う者が、鑑定のため人の住居に入る必要があるときは、自ら裁判官に令状を請求し、その発付を受けて、その住居に入ることができる。

(正答)

(解説)
225条は、1項において、「第223条第1項の規定による鑑定の嘱託を受けた者は、裁判官の許可を受けて、第168条第1項に規定する処分をすることができる。」と規定し、2項において、「前項の許可の請求は、検察官、検察事務官又は司法警察員からこれをしなければならない。」と規定している。そのため、鑑定処分許可状を請求するのは検察官、検察事務官及び司法警察員である。
したがって、捜査機関の嘱託により鑑定を行う者は、自ら裁判官に令状を請求することができない。

(R4 予備 第14問 エ)
鑑定処分許可の請求は、司法警察員と検察官のいずれもがなし得る。

(正答)

(解説)
225条は、1項において、「第223条第1項の規定による鑑定の嘱託を受けた者は、裁判官の許可を受けて、第168条第1項に規定する処分をすることができる。」と規定し、2項において、「前項の許可の請求は、検察官、検察事務官又は司法警察員からこれをしなければならない。」と規定している。

(R5 予備 第18問 エ)
捜査機関から鑑定の嘱託を受けた者は、鑑定処分許可状に基づき行う身体検査を拒否する者に対して、直接強制として身体検査を行うことができる。

(正答)

(解説)
225条1項は、「第223条第1項の規定による鑑定の嘱託を受けた者は、裁判官の許可を受けて、第168条第1項に規定する処分をすることができる。」と規定しており、鑑定受託者は168条1項に規定する「身体を検査」という処分をすることができる。
もっとも、裁判所からの許可については225条4項が168条6項を準用しているが、168条6項は身体検査の直接強制を認める規定である139条を準用していない。また、225条4項は、鑑定人の身体検査における裁判官による直接強制を認める規定である172条も準用していない。
したがって、鑑定受託者による身体検査については、直接強制を認める規定がない。
総合メモ

第226条

条文
第226条(証人尋問の請求)
 犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が、第223条第1項の規定による取調に対して、出頭又は供述を拒んだ場合には、第1回の公判期日前に限り、検察官は、裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。
過去問・解説
(H20 司法 第29問 2)
犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる被疑者以外の者が、取調べに対して、出頭又は供述を拒んだ場合には、第1回の公判期日前に限り、検察官は、裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。

(正答)

(解説)
226条は、「犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が、…取調に対して、出頭又は供述を拒んだ場合には、第1回の公判期日前に限り、検察官は、裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。」と規定している。

(H23 共通 第37問 ア)
検察官は、犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が、取調べに対して出頭又は供述を拒んだ場合には、その者が当該犯罪の被害者であったとしても、第1回の公判期日前に限り、裁判官に証人の尋問を請求することができる。

(正答)

(解説)
226条は、「犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が、…取調に対して、出頭又は供述を拒んだ場合には、第1回の公判期日前に限り、検察官は、裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。」と規定している。そして、犯罪の被害者に場合に、この規定の適用が排除される規定は刑事訴訟法には存在しない。
したがって、検察官は、犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が、取調べに対して出頭又は供述を拒んだ場合には、その者が当該犯罪の被害者であったとしても、第1回の公判期日前に限り、裁判官に証人の尋問を請求することができる。

(H26 司法 第27問 ア)
犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が取調べに対して供述を拒んだため、検察官が刑事訴訟法第226条に基づき証人尋問を請求する場合において、検察官は、第1回公判期日後には証人尋問を請求することができない。

(正答)

(解説)
226条は、「犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が、…取調に対して、出頭又は供述を拒んだ場合には、第1回の公判期日前に限り、検察官は、裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。」と規定している。

(H26 司法 第27問 イ)
犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が取調べに対して供述を拒んだため、検察官が刑事訴訟法第226条に基づき証人尋問を請求する場合において、検察官が起訴後に証人尋問を請求する場合でも、請求先は裁判所ではなく裁判官である。

(正答)

(解説)
226条は、「犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が、…取調に対して、出頭又は供述を拒んだ場合には、…検察官は、裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。」と規定している。

(H27 予備 第14問 オ)
第1回公判期日前に、裁判官に対し、証人の尋問を請求することは、検察官と司法警察員のいずれもが行使できる権限である。

(正答)

(解説)
第1回公判期日前の証人尋問の請求については、226条及び227条に定められている。その主体について、226条と227条1項のいずれも「検察官は…裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。」と規定している。
したがって、第1回公判期日前に、裁判官に対し、証人の尋問を請求することは、検察官のみが行使できる権限である。

(R3 予備 第20問 エ)
検察案による第1回公判期日前の証人尋問請求の可否については、刑事訴訟法上、法定刑の軽重により差異はない。

(正答)

(解説)
。226条は、「犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が、第223条第1項の規定による取調に対して、出頭又は供述を拒んだ場合には、第1回の公判期日前に限り、検察官は、裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。」と規定し、227条1項は「第223条第1項の規定による検察官、検察事務官又は司法警察職員の取調べに際して任意の供述をした者が、公判期日においては前にした供述と異なる供述をするおそれがあり、かつ、その者の供述が犯罪の証明に欠くことができないと認められる場合には、第一回の公判期日前に限り、検察官は、裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。」と規定している。
したがって、検察案による第1回公判期日前の証人尋問請求の可否については、刑事訴訟法上、法定刑の軽重により差異はない。

(R4 予備 第14問 ウ)
第1回公判期日前に、裁判官に対し、証人の尋問を請求することは、検察官と司法警察員のいずれもが行使できる権限である。

(正答)

(解説)
第1回公判期日前の証人尋問の請求については、226条及び227条に定められている。その主体について、226条と227条1項のいずれも「検察官は…裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。」と規定している。
したがって、第1回公判期日前に、裁判官に対し、証人の尋問を請求することは、検察官のみが行使できる権限である。

(R6 予備 第23問 イ)
検察官は、被疑者以外の者が取調べに対して出頭を拒否した場合、その者が犯罪の捜査にどの程度関連した知識を有しているか明らかでなくとも、第1回の公判期日前であれば、その者の証人尋問を裁判官に請求することができる。

(正答)

(解説)
226条は、「犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が、第223条第1項の規定による取調に対して、出頭又は供述を拒んだ場合には、第一回の公判期日前に限り、検察官は、裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。」と規定している。
したがって、証人尋問の請求を受ける者は犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者でなければならない。
総合メモ

第227条

条文
第227条(証人尋問の請求)
① 第223条第1項の規定による検察官、検察事務官又は司法警察職員の取調べに際して任意の供述をした者が、公判期日においては前にした供述と異なる供述をするおそれがあり、かつ、その者の供述が犯罪の証明に欠くことができないと認められる場合には、第1回の公判期日前に限り、検察官は、裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。
② 前項の請求をするには、検察官は、証人尋問を必要とする理由及びそれが犯罪の証明に欠くことができないものであることを疎明しなければならない。
過去問・解説
(H21 司法 第25問 4)
司法警察職員の取調べに際して任意の供述をした被疑者以外の者が、公判期日においては前にした供述と異なる供述をするおそれがあり、かつ、その者の供述が犯罪の証明に欠くことができないと認められる場合には、第1回の公判期日前に限り、検察官は、裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。

(正答)

(解説)
227条1項は、「第223条第1項の規定による検察官、検察事務官又は司法警察職員の取調べに際して任意の供述をした者が、公判期日においては前にした供述と異なる供述をするおそれがあり、かつ、その者の供述が犯罪の証明に欠くことができないと認められる場合には、第1回の公判期日前に限り、検察官は、裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。」と規定している。

(H23 共通 第37問 ウ)
検察官は、司法警察員の取調べに対して任意の供述をした犯罪の目撃者が、その供述が犯罪の証明に欠くことができないと認められる場合において、圧迫を受けて公判期日においては前にした供述と異なる供述をするおそれがある場合に限り、第1回の公判期日前に、裁判官に証人の尋問を請求することができる。

(正答)

(解説)
227条1項は、「第223条第1項の規定による検察官、検察事務官又は司法警察職員の取調べに際して任意の供述をした者が、公判期日においては前にした供述と異なる供述をするおそれがあり、かつ、その者の供述が犯罪の証明に欠くことができないと認められる場合には、第1回の公判期日前に限り、検察官は、裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。」と規定している。
したがって、「圧迫を受けて」公判期日においては前にした供述と異なる供述をするおそれがある場合とは限定されていない。

(H25 共通 第21問 1)
検察官は、司法警察員の取調べに際して任意の供述をした犯行の目撃者が、公判期日においては前にした供述と異なる供述をするおそれがあり、かつ、その者の供述が犯罪の証明に欠くことができないと認められる場合には、第1回公判期日前に限り、裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。

(正答)

(解説)
227条1項は、「第223条第1項の規定による検察官、検察事務官又は司法警察職員の取調べに際して任意の供述をした者が、公判期日においては前にした供述と異なる供述をするおそれがあり、かつ、その者の供述が犯罪の証明に欠くことができないと認められる場合には、第1回の公判期日前に限り、検察官は、裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。」と規定している。

(R5 予備 第23問 イ)
取調べに際して任意の供述をした者が、公判期日においては前にした供述と異なる供述をするおそれがあり、かつ、その者の供述が犯罪の証明に欠くことができないと認められるため、検察官が刑事訴訟法第227条に基づき証人尋問を請求する場合、第1回公判期日後には証人尋問を請求することができない。

(正答)

(解説)
227条1項は、「第223条第1項の規定による検察官、検察事務官又は司法警察職員の取調べに際して任意の供述をした者が、公判期日においては前にした供述と異なる供述をするおそれがあり、かつ、その者の供述が犯罪の証明に欠くことができないと認められる場合には、第1回の公判期日前に限り、検察官は、裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。」と規定している。

(R5 予備 第23問 ウ)
取調べに際して任意の供述をした者が、公判期日においては前にした供述と異なる供述をするおそれがあり、かつ、その者の供述が犯罪の証明に欠くことができないと認められるため、検察官が刑事訴訟法第227条に基づき証人尋問を請求する場合について、「異なる供述」とは、供述が、被疑者、被告人に有利に変更される場合だけでなく、不利に変更される場合も含む。

(正答)

(解説)
227条1項は、「第223条第1項の規定による検察官、検察事務官又は司法警察職員の取調べに際して任意の供述をした者が、公判期日においては前にした供述と異なる供述をするおそれがあり、かつ、その者の供述が犯罪の証明に欠くことができないと認められる場合には、第1回の公判期日前に限り、検察官は、裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。」と規定している。
そして、ここにいう、「異なる供述」には、供述が、被疑者、被告人に有利に変更される場合だけでなく、不利に変更される場合も含む。

(R5 予備 第23問 オ)
取調べに際して任意の供述をした者が、公判期日においては前にした供述と異なる供述をするおそれがあり、かつ、その者の供述が犯罪の証明に欠くことができないと認められるため、検察官が刑事訴訟法第227条に基づき証人尋問を請求する場合、公訴提起後に証人尋問を請求するときは、請求先は裁判官ではなく裁判所である。

(正答)

(解説)
227条1項は、「第223条第1項の規定による検察官、検察事務官又は司法警察職員の取調べに際して任意の供述をした者が、公判期日においては前にした供述と異なる供述をするおそれがあり、かつ、その者の供述が犯罪の証明に欠くことができないと認められる場合には、第1回の公判期日前に限り、検察官は、裁判官にその者の証人尋問を請求することができる。」と規定している。
したがって、この証人尋問の請求先は裁判官である。
総合メモ

第228条

条文
第228条(証人尋問)
① 前2条の請求を受けた裁判官は、証人の尋問に関し、裁判所又は裁判長と同一の権限を有する。
② 裁判官は、捜査に支障を生ずる虞がないと認めるときは、被告人、被疑者又は弁護人を前項の尋問に立ち会わせることができる。
過去問・解説
(H20 司法 第29問 5)
裁判官は、検察官の請求による第1回の公判期日前の証人尋問を行う際、被告人、被疑者又は弁護人をその尋問に立ち会わせなければならない。

(正答)

(解説)
228条2項は、「裁判官は、捜査に支障を生ずる虞がないと認めるときは、被告人、被疑者又は弁護人を前項の尋問に立ち会わせることができる。」と規定している。
したがって、被告人、被疑者又は弁護人の立ち合いは必要的なものではない。

(H22 司法 第39問 イ)
第1回の公判期日前に、検察官の請求により、犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者の証人尋問を行う場合、裁判官は、被疑者又は被告人に弁護人が選任されているときは、当該弁護人を証人尋問に立ち会わせなければならない。

(正答)

(解説)
228条2項は、「裁判官は、捜査に支障を生ずる虞がないと認めるときは、被告人、被疑者又は弁護人を前項の尋問に立ち会わせることができる。」と規定している。
したがって、弁護人の立ち合いは必要的なものではない。

(H23 共通 第37問 エ)
裁判官は、検察官の請求による第1回の公判期日前の証人尋問を行う際、被告人、被疑者又は弁護人をその尋問に立ち会わせなければならない。

(正答)

(解説)
228条2項は、「裁判官は、捜査に支障を生ずる虞がないと認めるときは、被告人、被疑者又は弁護人を前項の尋問に立ち会わせることができる。」と規定している。
したがって、被告人、被疑者又は弁護人の立ち合いは必要的なものではない。

(H25 共通 第27問 エ)
裁判官が、刑事訴訟法第226条に基づいて、検察官の請求により、犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者につき、第1回公判期日前に証人尋問を行う場合、刑事訴訟法の規定上、被疑者の弁護人又は被告人の弁護人が立会いを求めることができる。

(正答)

(解説)
228条2項は、「裁判官は、捜査に支障を生ずる虞がないと認めるときは、被告人、被疑者又は弁護人を前項の尋問に立ち会わせることができる。」と規定している。そして、この規定は、立会いを裁判官の裁量にゆだねており、被告人、被疑者又は弁護人の立会権を認めたものではない。
したがって、裁判官が、刑事訴訟法第226条に基づいて、検察官の請求により、犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者につき、第1回公判期日前に証人尋問を行う場合、刑事訴訟法の規定上、被疑者の弁護人又は被告人の弁護人が立会いを求めることができない。

(H26 予備 第25問 エ)
被疑者の弁護人は、検察官の請求による第1回公判期日前の証人尋問に立ち会う権利を有しない。

(正答)

(解説)
228条2項は、「裁判官は、捜査に支障を生ずる虞がないと認めるときは、被告人、被疑者又は弁護人を前項の尋問に立ち会わせることができる。」と規定している。そして、この規定は、立会いを裁判官の裁量にゆだねており、被告人、被疑者又は弁護人の立会権を認めたものではない。
したがって、被疑者の弁護人は、検察官の請求による第1回公判期日前の証人尋問に立ち会う権利を有しない。

(H26 司法 第27問 ウ)
犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が取調べに対して供述を拒んだため、検察官が刑事訴訟法第226条に基づき証人尋問を請求する場合において、被告人、被疑者及び弁護人は、必ず証人尋問に立ち会う権利を有する。

(正答)

(解説)
228条2項は、「裁判官は、捜査に支障を生ずる虞がないと認めるときは、被告人、被疑者又は弁護人を前項の尋問に立ち会わせることができる。」と規定している。
したがって、犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が取調べに対して供述を拒んだため、検察官が刑事訴訟法第226条に基づき証人尋問を請求する場合において、被告人、被疑者及び弁護人は、必ず証人尋問に立ち会う権利を有するのではなく、裁判官が、捜査に支障を生ずる虞がないと認めるときに証人尋問に立ち会うことができるにすぎない。

(H26 司法 第27問 オ)
犯罪の捜査に欠くことのできない知識を有すると明らかに認められる者が取調べに対して供述を拒んだため、検察官が刑事訴訟法第226条に基づき証人尋問を請求する場合において、証人は、召喚に応じなくとも、勾引されることがない。

(正答)

(解説)
228条1項が準用している152条は、「裁判所は、証人が、正当な理由がなく、召喚に応じないとき、又は応じないおそれがあるときは、その証人を勾引することができる。」と規定している。
したがって、検察官が刑事訴訟法第226条に基づき証人尋問を請求する場合において、証人は、召喚に応じなかった場合、勾引されることがある。

(H30 予備 第24問 エ)
裁判官は、検察官の請求により第1回公判期日前に証人尋問を実施する場合は、被告人、被疑者又は弁護人をその尋問に立ち会わせなければならない。

(正答)

(解説)
228条2項は、「裁判官は、捜査に支障を生ずる虞がないと認めるときは、被告人、被疑者又は弁護人を前項の尋問に立ち会わせることができる。」と規定している。
したがって、被告人、被疑者又は弁護人の立ち合いは必要的なものではない。

(R5 予備 第23問 エ)
取調べに際して任意の供述をした者が、公判期日においては前にした供述と異なる供述をするおそれがあり、かつ、その者の供述が犯罪の証明に欠くことができないと認められるため、検察官が刑事訴訟法第227条に基づき証人尋問を請求する場合、弁護人は、証人尋問が行われる際、その尋問に立ち会う権利を有する。

(正答)

(解説)
228条2項は、「裁判官は、捜査に支障を生ずる虞がないと認めるときは、被告人、被疑者又は弁護人を前項の尋問に立ち会わせることができる。」と規定している。そして、この規定は、立会いを裁判官の裁量にゆだねており、被告人、被疑者又は弁護人の立会権を認めたものではない。
したがって、取調べに際して任意の供述をした者が、公判期日においては前にした供述と異なる供述をするおそれがあり、かつ、その者の供述が犯罪の証明に欠くことができないと認められるため、検察官が刑事訴訟法第227条に基づき証人尋問を請求する場合、弁護人は、証人尋問が行われる際、その尋問に立ち会う権利を有しない。
総合メモ

第229条

条文
第229条(検視)
① 変死者又は変死の疑のある死体があるときは、その所在地を管轄する地方検察庁又は区検察庁の検察官は、検視をしなければならない。
② 検察官は、検察事務官又は司法警察員に前項の処分をさせることができる。
過去問・解説
(H21 司法 第22問 エ)
検察官が、公道上で発見された変死の疑いのある死体を検視するときは、裁判官の発する令状を必要とする。

(正答)

(解説)
229条1項は、「変死の疑のある死体があるときは、その所在地を管轄する地方検察庁又は区検察庁の検察官は、検視をしなければならない。」と規定している。
したがって、検視は、捜査そのものではなく、令状は不要である。

(H22 司法 第21問 ウ)
司法警察員が、変死の疑いのある死体につき、検察官から命じられて検視を行うことは違法である。

(正答)

(解説)
229条は、1項において、「変死の疑のある死体があるときは、その所在地を管轄する地方検察庁又は区検察庁の検察官は、検視をしなければならない。」と規定し、2項において「検察官は、検察事務官又は司法警察員に前項の処分をさせることができる。」と規定している。
したがって、司法警察員が、変死の疑いのある死体につき、検察官から命じられて検視を行うことは適法である。

(H23 共通 第21問 イ)
検視は、検察官にのみ認められた権限であるが、検察官は、検察事務官又は司法警察員に検視の処分をさせることができる。

(正答)

(解説)
229条は、1項において、「変死の疑のある死体があるときは、その所在地を管轄する地方検察庁又は区検察庁の検察官は、検視をしなければならない。」と規定し、2項において「検察官は、検察事務官又は司法警察員に前項の処分をさせることができる。」と規定している。

(H28 予備 第16問 ア)
平成27年2月1日、H県I警察署所属の司法警察員Xは、私人から「H県営J公園で、女性が血を流して死んでいる。」との通報を受け、同公園に向かい、その女性の死体を確認した。Xから変死体を発見した旨の連絡を受けたH地方検察庁検察官Yは、自ら検視を実施した。検視の結果、所持品等から、前記死体がH県内に住むVであることが判明し、胸部にはナイフで刺されたような傷痕が認められた。そこで、Vを被害者とする殺人事件の捜査が開始された。
 Xは、同日、J公園の草むらで、血痕が付着したナイフを発見し、その場でこれを領置した。また、Yは、前記検視の結果を踏まえ、Vの死体については捜査の必要から解剖を実施することとし、同月2日、Z医師による同死体の解剖が行われた。その結果、Vの死因は、胸部刺創による失血死であることが判明した。
 その後、J公園に設置された防犯カメラに、甲がVの胸付近を刃物で刺す場面が撮影されていることが明らかとなり、Xは、同月4日、甲を被疑者とする逮捕状の発付を受けた。Xは、同日、甲方に向かったところ、ちょうど甲がボストンバッグ1個を持って甲方から出てきた。そこで、Xは、甲方前路上において、甲に前記逮捕状を示した上で、これを逮捕し、その際、甲が持っていたボストンバッグのチャックを開け、その中の物を取り出したところ、血の付いたシャツを認めたことから、同シャツをその場で差し押さえた。その後、Xは、I警察署において、逮捕された甲の指紋を採取し、甲の正面及び左右の顔写真を撮影した。
Yが検視を実施するには、検証許可状の発付を受ける必要がある。

(正答)

(解説)
229条1項は「変死者又は変死の疑のある死体があるときは、その所在地を管轄する地方検察庁又は区検察庁の検察官は、検視をしなければならない。」と規定している。そして、検視は、捜査そのものではなく、令状は不要である。したがって、Yが検視を実施するには、検証許可状の発付を受ける必要はない。

(H30 予備 第14問 ア)
検視を行うに当たっては、死因の確認のために、令状なくして、対象となる死体から注射器を用いて血液を採取したり、腹部を切開したりすることができる。

(正答)

(解説)
229条1項は、「変死者又は変死の疑のある死体があるときは、その所在地を管轄する地方検察庁又は区検察庁の検察官は、検視をしなければならない。」と規定している。
検視は捜査そのものではなく、捜査の端緒であり、その実施にあたって令状は要しない。
しかし、検視はあくまでも外表検査の範囲で認められるものである(酒巻匡「刑事訴訟法」第2版53頁)。
したがって、検視を行うに当たっては、死因の確認のために、令状なくして、対象となる死体から注射器を用いて血液を採取したり、腹部を切開したりすることはできない。

(R5 予備 第14問 イ)
検視においては、死因の確認のために必要があるときには、死体の腹部を切開することができる。

(正答)

(解説)
229条1項は、「変死者又は変死の疑のある死体があるときは、その所在地を管轄する地方検察庁又は区検察庁の検察官は、検視をしなければならない。」と規定している。
検視はあくまでも外表検査の範囲で認められるものである(酒巻匡「刑事訴訟法」第2版53頁)。
したがって、検視においては、死因の確認のために必要があるときには、死体の腹部を切開することができない。
総合メモ

第230条

条文
第230条(告訴権者)
 犯罪により害を被った者は、告訴をすることができる。
過去問・解説
(H20 司法 第33問 イ)
V1は、月刊誌に自己の名誉を毀損する記事が掲載されたとして、同月刊誌の編集責任者甲を名誉毀損の罪で告訴した。捜査の結果、甲に、前記記事によるV1及びその愛人V2に対する名誉毀損の事実が認められた場合、V1の告訴の効力は、甲のV2に対する名誉毀損の事実にも及ぶ。

(正答)

(解説)
230条は、「犯罪により害を被った者は、告訴をすることができる。」と規定している。
単一の犯罪の一部分についてした告訴は、残りの部分に対しても効力を生ずる(告訴客観的不可分の原則)。
もっとも、科刑上一罪の犯罪事実で、かつ、被害者を異にする場合には被害者意思の尊重という観点から、例外的に一方の告訴の効力が他方に及ばない。
甲は、1つの月刊誌の記事でV1とV2の名誉を毀損していることから、「1個の行為が2個以上の罪名に触れ」ているため、科刑上一罪であり(刑法54条1項前段)、かつ、被害者は異なっている。
したがって、V1の告訴の効力は、甲のV2に対する名誉毀損の事実にも及ばない。

(H20 司法 第33問 ウ)
Vは、甲から住居侵入及びこれと科刑上一罪の関係にある不同意わいせつの被害を受けたが、甲を住居侵入の罪に限定して告訴した。この場合、Vの告訴の効力は、不同意わいせつの事実には及ばない。

(正答)

(解説)
230条は、「犯罪により害を被った者は、告訴をすることができる。」と規定している。
単一の犯罪の一部分についてした告訴は、残りの部分に対しても効力を生ずる(告訴客観的不可分の原則)。
したがって、Vの告訴の効力は、不同意わいせつの事実には及ぶ。

(H24 共通 第39問 ウ)
告訴をすることができる者の範囲は、刑事訴訟法の規定上、対象となっている事件の法定刑の軽重による差異が設けられていない。

(正答)

(解説)
230条は、「犯罪により害を被った者は、告訴をすることができる。」と規定している。
しかし、告訴をすることができる者の範囲について、対象となっている事件の法定刑の軽重による差異を設けた規定を置いていない。

(H24 司法 第24問 ア)
弟甲から宝石を盗まれたとして同居していない姉Aが告訴した。捜査の結果、甲が宝石と一緒に現金を盗んでいたことが判明したが、Aは追加の告訴をしなかった。この場合、検察官が宝石と現金を窃取した事実で甲を起訴しても、親告罪について告訴のない事実を起訴したことにならない。

(正答)

(解説)
230条は、「犯罪により害を被った者は、告訴をすることができる。」と規定している。
単一の犯罪の一部分についてした告訴は、残りの部分に対しても効力を生ずる(告訴客観的不可分の原則)。
そして、包括一罪の場合においては、犯罪行為全体について包括的に評価することから、上記の原則が妥当することとなる。
本肢における、宝石と現金を窃取した行為は、窃盗罪(刑法235条)で包括一罪となる。
したがって、検察官が宝石と現金を窃取した事実で甲を起訴しても、親告罪について告訴のない事実を起訴したことにならない。

(H24 司法 第24問 ウ)
弟甲から宝石を盗まれたとして同居していない姉Aが告訴した。捜査の結果、甲が宝石と一緒にAと同居している妹Bからも現金を盗んでいたことが判明したが、Bは告訴しなかった。この場合、検察官が宝石と現金を窃取した事実で甲を起訴しても、親告罪について告訴のない事実を起訴したことにならない。

(正答)

(解説)
230条は、「犯罪により害を被った者は、告訴をすることができる。」と規定している。
単一の犯罪の一部分についてした告訴は、残りの部分に対しても効力を生ずる(告訴客観的不可分の原則)。
もっとも、科刑上一罪を構成する各罪が親告罪で、かつ、被害者を異にする場合には被害者意思の尊重という観点から、例外的に一方の告訴の効力が他方に及ばない。
甲は、1つの行為でAとBの財産権を侵害していることから、「1個の行為が2個以上の罪名に触れ」ているため、科刑上一罪であり(刑法54条1項前段)、A、Bは共に甲と同居していないことから、244条2項が適用され、甲の現金・宝石の窃盗はいずれも親告罪となる。そして、被害者は別である。
したがって、Bの告訴がなければ現金の窃取については告訴があったことにはならない。

(H24 司法 第24問 エ)
胸を触られ強姦されそうになったことは許せない旨の不同意性交等未遂の告訴を被害者から受けて捜査をした結果、不同意わいせつの事実が判明した場合、被害者による不同意性交等未遂の告訴は、それより軽い不同意わいせつの事実を当然包含しているから、検察官が不同意わいせつの事実で起訴しても、親告罪について告訴のない事実を起訴したことにならない。

(正答)

(解説)
230条は、「犯罪により害を被った者は、告訴をすることができる。」と規定している。
しかし、不同意性交等未遂、不同意わいせつは共に親告罪ではない。
したがって、検察官が不同意わいせつの事実で起訴しても、親告罪について告訴のない事実を起訴したことにならない。

(H24 司法 第24問 オ)
深夜無理やり自動車に連れ込まれ強姦されそうになったことは許せない旨の強姦未遂の告訴を被害者から受けて捜査をした結果、わいせつ目的略取未遂の事実が判明した場合、不同意性交等未遂罪とわいせつ目的略取未遂罪は、観念的競合又は牽連犯の関係に立ち、一方が他方を包含する関係にないが、被害者による不同意性交未遂の告訴があれば、検察官がわいせつ目的略取未遂のみの事実で起訴しても、親告罪について告訴のない事実を起訴したことにならない。

(正答)

(解説)
230条は、「犯罪により害を被った者は、告訴をすることができる。」と規定している。
しかし、不同意性交等未遂、不同意わいせつは共に親告罪ではない。
したがって、検察官がわいせつ目的略取未遂のみの事実で起訴しても、親告罪について告訴のない事実を起訴したことにならない。

(H27 予備 第15問 ア)
Aが不同意性交された場合、Aの夫は、「犯罪により害を被った者」として告訴権を有する。

(正答)

(解説)
230条は、「犯罪により害を被った者は、告訴をすることができる。」と規定している。
Aが不同意性交された場合の「犯罪によって害を被った者」はAであり、Aの夫はこれに当たらない。
したがって、Aが不同意性交された場合、Aの夫は、「犯罪により害を被った者」として告訴権を有しない。

(H27 予備 第15問 オ)
1通の文書でA及びBの名誉が毀損された場合、Aがした告訴の効力は、Bに対する名誉毀損の事実には及ばない。

(正答)

(解説)
230条は、「犯罪により害を被った者は、告訴をすることができる。」と規定している。
単一の犯罪の一部分についてした告訴は、残りの部分に対しても効力を生ずる(告訴客観的不可分の原則)。
もっとも、科刑上一罪の犯罪事実で、かつ、被害者を異にする場合には被害者意思の尊重という観点から、例外的に一方の告訴の効力が他方に及ばない。
1つの文書でAとBの名誉を毀損していることから、「1個の行為が2個以上の罪名に触れ」ているため、科刑上一罪であり(刑法54条1項前段)、かつ、被害者は異なっている。
したがって、1通の文書でA及びBの名誉が毀損された場合、Aがした告訴の効力は、Bに対する名誉毀損の事実には及ばない。

(H28 予備 第14問 ア)
甲が、平成26年11月1日に乙に不同意性交されたとの事実により乙を告訴する場合において、司法警察員は、甲からの告訴を受けたときは、乙を逮捕しなければならない。

(正答)

(解説)
230条は、「犯罪により害を被った者は、告訴をすることができる。」と規定している。
しかし、犯人として告訴された者を逮捕しなければならないとする規定は存在しない。
総合メモ

第231条

条文
第231条(告訴権者)
① 被害者の法定代理人は、独立して告訴をすることができる。
② 被害者が死亡したときは、その配偶者、直系の親族又は兄弟姉妹は、告訴をすることができる。但し、被害者の明示した意思に反することはできない。
過去問・解説
(H18 司法 第22問 ア)
未成年者を被害者とする不同意わいせつについては、その法定代理人である親も告訴をすることができる。

(正答)

(解説)
231条1項は、「被害者の法定代理人は、独立して告訴することができる。」と規定している。
したがって、未成年者を被害者とする不同意わいせつについては、その法定代理人である親も告訴をすることができる。

(H23 司法 第22問 ア)
V(平成6年12月5日生、15歳)は、平成22年2月1日、インターネット上で名誉を毀損される被害を受け、すぐに、この被害を母親であるAに告げた。その際、Vは、Aに、この被害を捜査機関に申告する意思及び犯人の処罰を求める意思がないことを告げた。それにもかかわらず、(ア)同月2日、Aは、司法警察員Xに対し、Vが受けた被害を申告して犯人の処罰を求め、この内容を記載した告訴調書を作成してもらった。
(ア)の告訴は有効である。

(正答)

(解説)
231条は、「被害者の法定代理人は、独立して告訴をすることができる。」と規定している。
Aは、被害者Vの母親であり、Vの法定代理人である。
したがって、(ア)の告訴は有効である。

(H25 司法 第22問 ア)
被害者が死亡したときは、被害者の明示の意思に反しない限り、その兄弟姉妹が告訴をすることができる。

(正答)

(解説)
231条2項は、「被害者が死亡したときは、その…兄弟姉妹は、告訴をすることができる。但し、被害者の明示した意思に反することはできない。」と規定している。

(R5 予備 第14問 ア)
被害者の法定代理人は、被害者の意思に反して告訴をすることはできない。

(正答)

(解説)
231条1項は、「被害者の法定代理人は、独立して告訴をすることができる。」と規定している。
したがって、被害者の法定代理人は、被害者の意思に反しても告訴をすることはできる。
総合メモ

第234条

条文
第234条(告訴権者の指定)
 親告罪について告訴をすることができる者がない場合には、検察官は、利害関係人の申立により告訴をすることができる者を指定することができる。
過去問・解説
(H19 司法 第21問 オ)
被害者が死亡するなどして親告罪について告訴をすることができる者がない場合には、検察官は、利害関係人の申立てにより告訴をすることができる者を指定することができる。

(正答)

(解説)
234条は、「親告罪について告訴をすることができる者がない場合には、検察官は、利害関係人の申立により告訴をすることができる者を指定することができる。」と規定している。
総合メモ

第235条

条文
第235条(告訴期間)
 親告罪の告訴は、犯人を知った日から6箇月を経過したときは、これをすることができない。ただし、刑法第232条第2項の規定により外国の代表者が行う告訴及び日本国に派遣された外国の使節に対する同法第230条又は第231条の罪につきその使節が行う告訴については、この限りでない。
過去問・解説
(H18 司法 第22問 エ)
親告罪の告訴は、一部の例外を除き、犯人を知った日から6か月を経過したときは、これをすることができない。この例外は極めて限定されており、不同意性交等の性犯罪は含まれない。

(正答)

(解説)
235条本文は、「親告罪の告訴は、犯人を知った日から6箇月を経過したときは、これをすることができない。」と規定している。
そして、不同意性交等の性犯罪は、非親告罪であり、親告罪の告訴の期間制限の例外に含まれない。

(H21 司法 第21問 イ)
不同意性交の罪により害を被った者は、犯人を知った日から6か月を経過するまでは、告訴をすることができるが、第1回の公判期日までこれを取り消すことができる。

(正答)

(解説)
235条本文は、「親告罪の告訴は、犯人を知った日から6か月を経過したときは、これをすることができない。」と規定している。
しかし、不同意性交等罪は非親告罪である。
また、237条1項は、「告訴は、公訴の提起があるまでこれを取り消すことができる。」と規定している。
したがって、不同意性交の罪により害を被った者は、犯人を知った日から6か月を経過しても、告訴をすることができる。また、告訴は、第1回の公判期日までではなく、公訴の提起があるまで取り消すことができる。

(H23 司法 第22問 エ)
V(平成6年12月5日生、15歳)は、平成22年2月1日、インターネット上で名誉を毀損される被害を受け、すぐに、この被害を母親であるAに告げた。その際、Vは、Aに、この被害を捜査機関に申告する意思及び犯人の処罰を求める意思がないことを告げた。それにもかかわらず、同月2日、Aは、司法警察員Xに対し、Vが受けた被害を申告して犯人の処罰を求め、この内容を記載した告訴調書を作成してもらった。その後の捜査により、同月10日、犯人がAとVの知人である甲であると判明し、その日のうちに、Aも司法警察員Xから甲が犯人であることを聞いた。そして、その日のうちに、Aは、Vに、犯人が甲である旨を伝えた。その後、Aは、甲から謝罪を受けたため、同年7月20日、前記告訴を取り消した。しかし、Vは、犯人が甲であると知った後、次第に甲を処罰してもらいたいという気持ちが高まっていったことから、同年7月31日、知人の司法巡査Yに、口頭で、Vが受けた被害を申告して甲の処罰を求めた。これに対し、司法巡査Yは、Vに、H警察署長を務める司法警察員Z宛てに告訴状を提出するように求めた。その後、Vは、司法巡査Yに対して被害を申告して甲の処罰を求めたこと及び司法警察員Z宛てに告訴状を提出するように求められたことをAに伝えた。そのため、Aは、再度、考えを改め、同年8月5日、司法警察員Z宛てに、Vが受けた被害を申告して甲の処罰を求める旨の告訴状を提出した。さらに、(エ)Vも、同年8月20日、司法警察員Z宛てに、Vが受けた被害を申告して甲の処罰を求める旨の告訴状を提出した。
(エ)の告訴は、有効である。

(正答)

(解説)
235条本文は、「親告罪の告訴は、犯人を知った日から6箇月を経過したときは、これをすることができない。」と規定している。
Vは、平成22年2月10日に、名誉毀損の犯人が甲であると知ったところ、(エ)の告訴は、平成22年8月20日に行なっており、6ヶ月を過ぎている。
したがって、(エ)の告訴は、無効である。

(H28 予備 第14問 オ)
甲が、平成26年11月1日に乙に不同意性交されたとの事実により乙を告訴する場合において、甲の告訴が犯人を知った日から1年を経過した後にされたときでも、検察官は適法に公訴を提起することができる。

(正答)

(解説)
235条本文は、「親告罪の告訴は、犯人を知った日から6か月を経過したときは、これをすることができない。」と規定している。
しかし、不同意性交等罪は非親告罪である。
したがって、甲が、平成26年11月1日に乙に不同意性交されたとの事実により乙を告訴する場合において、甲の告訴が犯人を知った日から1年を経過した後にされたときでも、検察官は適法に公訴を提起することができる。
総合メモ

第236条

条文
第236条(告訴期間の独立)
 告訴をすることができる者が数人ある場合には、1人の期間の徒過は、他の者に対しその効力を及ぼさない。
過去問・解説
(H23 司法 第22問 オ)
【事例】
 V(平成6年12月5日生、15歳)は、平成22年2月1日、インターネット上で名誉を毀損される被害を受け、すぐに、この被害を母親であるAに告げた。その際、Vは、Aに、この被害を捜査機関に申告する意思及び犯人の処罰を求める意思がないことを告げた。それにもかかわらず、同月2日、Aは、司法警察員Xに対し、Vが受けた被害を申告して犯人の処罰を求め、この内容を記載した告訴調書を作成してもらった。その後の捜査により、同月10日、犯人がAとVの知人である甲であると判明し、その日のうちに、Aも司法警察員Xから甲が犯人であることを聞いた。そして、その日のうちに、Aは、Vに、犯人が甲である旨を伝えた。その後、Aは、甲から謝罪を受けたため、同年7月20日、前記告訴を取り消した。しかし、Vは、犯人が甲であると知った後、次第に甲を処罰してもらいたいという気持ちが高まっていったことから、同年7月31日、知人の司法巡査Yに、口頭で、Vが受けた被害を申告して甲の処罰を求めた。これに対し、司法巡査Yは、Vに、H警察署長を務める司法警察員Z宛てに告訴状を提出するように求めた。その後、Vは、司法巡査Yに対して被害を申告して甲の処罰を求めたこと及び司法警察員Z宛てに告訴状を提出するように求められたことをAに伝えた。そのため、Aは、再度、考えを改め、同年8月5日、司法警察員Z宛てに、Vが受けた被害を申告して甲の処罰を求める旨の告訴状を提出した。さらに、Vも、同年8月20日、司法警察員Z宛てに、Vが受けた被害を申告して甲の処罰を求める旨の告訴状を提出した。その後、Vの父親であるBは、同年9月1日に初めてVが甲から名誉毀損の被害を負わされたことを知った。そして、(オ)Bは、同月2日、司法警察員Z宛てに、Vが受けた被害を申告して甲の処罰を求める旨の告訴状を提出した。なお、甲にVを被害者とする名誉毀損罪が成立することに争いはないものとする。
(オ)の告訴は有効である。

(正答)

(解説)
231条1項は、「被害者の法定代理人は、独立して告訴をすることができる。」と規定している。
Bは、Vの「法定代理人」であるため、Bは、独立して告訴をすることができる。
そして、236条は、「告訴をすることができる者が数人ある場合には、1人の期間の徒過は、他の者に対しその効力を及ぼさない。」と規定している。
したがって、(オ)の告訴は有効である。
総合メモ

第237条

条文
第237条(告訴の取消し)
① 告訴は、公訴の提起があるまでこれを取り消すことができる。
② 告訴の取消をした者は、更に告訴をすることができない。
③ 前2項の規定は、請求を待って受理すべき事件についての請求についてこれを準用する。
過去問・解説
(H18 司法 第22問 ウ)
告訴は、公訴の提起があるまでいつでも取り消すことができる。

(正答)

(解説)
237条1項は、「告訴は、公訴の提起があるまでこれを取り消すことができる。」と規定している。

(H18 司法 第22問 オ)
親告罪の告訴を取り消した者は、更に告訴をすることができない。

(正答)

(解説)
237条2項は、「告訴の取消をした者は、更に告訴をすることができない。」と規定している。

(H23 司法 第22問 ウ)
V(平成6年12月5日生、15歳)は、平成22年2月1日、インターネット上で名誉を毀損される被害を受け、すぐに、この被害を母親であるAに告げた。その際、Vは、Aに、この被害を捜査機関に申告する意思及び犯人の処罰を求める意思がないことを告げた。それにもかかわらず、同月2日、Aは、司法警察員Xに対し、Vが受けた被害を申告して犯人の処罰を求め、この内容を記載した告訴調書を作成してもらった。その後の捜査により、同月10日、犯人がAとVの知人である甲であると判明し、その日のうちに、Aも司法警察員Xから甲が犯人であることを聞いた。そして、その日のうちに、Aは、Vに、犯人が甲である旨を伝えた。その後、Aは、甲から謝罪を受けたため、同年7月20日、前記告訴を取り消した。しかし、Vは、犯人が甲であると知った後、次第に甲を処罰してもらいたいという気持ちが高まっていったことから、同年7月31日、知人の司法巡査Yに、口頭で、Vが受けた被害を申告して甲の処罰を求めた。これに対し、司法巡査Yは、Vに、H警察署長を務める司法警察員Z宛てに告訴状を提出するように求めた。その後、Vは、司法巡査Yに対して被害を申告して甲の処罰を求めたこと及び司法警察員Z宛てに告訴状を提出するように求められたことをAに伝えた。そのため、(ウ)Aは、再度、考えを改め、同年8月5日、司法警察員Z宛てに、Vが受けた被害を申告して甲の処罰を求める旨の告訴状を提出した。
(ウ)の告訴は、有効である。

(正答)

(解説)
237条2項は、「告訴の取消をした者は、更に告訴をすることができない。」と規定している。
Aは、平成22年7月20日にVに対する告訴を取り消しており、「告訴の取消をした者」に当たる。
したがって、(ウ)の告訴は、無効である。

(H24 予備 第16問 オ)
親告罪の告訴の取消しは、刑事訴訟法上、起訴前は認められているが、起訴後は認められていない。

(正答)

(解説)
237条1項は、「告訴は、公訴の提起があるまでこれを取り消すことができる。」と規定している。
したがって、親告罪の告訴の取消しは、刑事訴訟法上、起訴前は認められているが、起訴後は認められていない。

(H24 司法 第24問 イ)
弟甲から宝石を盗まれたとして同居していない姉Aが告訴したが、後に告訴を取り消した。捜査の結果、甲が宝石と一緒に現金を盗んでいたことが判明したため、Aはこの現金を窃取した事実を告訴した。この場合、検察官が現金を窃取した事実で甲を起訴しても、親告罪について告訴のない事実を起訴したことにならない。

(正答)

(解説)
237条2項は、「告訴の取消をした者は、更に告訴をすることができない。」と規定している。
宝石と現金を窃取した行為は、窃盗罪(刑法235条)で包括一罪となるため、Aのした宝石の窃取についての告訴の取消しの効果は、現金の窃取に対して及んでいる(告訴客観的不可分の原則)。そのため、現金の窃取に関し、Aは、告訴できない。
したがって、検察官が現金を窃取した事実で甲を起訴した場合、親告罪について告訴のない事実を起訴したことになる。

(H27 予備 第15問 ウ)
告訴は、適法に受理された後はこれを取り消すことができない。

(正答)

(解説)
237条1項は、「告訴は、公訴の提起があるまでこれを取り消すことができる。」と規定している。

(H28 予備 第14問 イ)
甲が、平成26年11月1日に乙に不同意性交されたとの事実により乙を告訴する場合において、甲は、告訴を一旦取り消した後でも、再度適法に告訴をすることができる。

(正答)

(解説)
237条2項は、「告訴の取消をした者は、更に告訴をすることができない。」と規定している。
したがって、甲は、告訴を一旦取り消した後、再度適法に告訴をすることはできない。

(H28 予備 第14問 エ)
甲が、平成26年11月1日に乙に強姦されたとの事実により乙を告訴する場合において、甲は、公訴の提起があるまでは、告訴を取り消すことができる。

(正答)

(解説)
237条1項は、「告訴は、公訴の提起があるまでこれを取り消すことができる。」と規定している。
したがって、甲は、公訴の提起があるまでは、告訴を取り消すことができる。

(R2 予備 第14問 イ)
親告罪について告訴の取消しをした者は、更に告訴をすることができない。

(正答)

(解説)
237条2項は、「告訴の取消をした者は、更に告訴をすることができない。」と規定している。
総合メモ

第238条

条文
第238条(告訴の不可分)
① 親告罪について共犯の1人又は数人に対してした告訴又はその取消は、他の共犯に対しても、その効力を生ずる。
② 前項の規定は、告発又は請求を待って受理すべき事件についての告発若しくは請求又はその取消についてこれを準用する。
過去問・解説
(H20 司法 第23問 エ)
Vは、自宅から自己の所有する宝石が盗まれたとして、親族でない甲を窃盗の罪で告訴した。捜査の結果、甲がVの別居中の弟乙とともに窃盗に及んだことが判明した場合、Vの告訴の効力は、乙に対しても及ぶ。

(正答)

(解説)
238条は、「親告罪について共犯の1人又は数人に対してした告訴又はその取消は、他の共犯に対しても、その効力を生ずる。」と規定している。
もっとも、その例外として、被害者意思の尊重という観点から、相対的親告罪における非親族者に対する告訴は、親族共犯者に及ばないとされる。
別居中の弟乙が窃盗にかかわる相対的親告罪の場面(刑法244条2項、刑法235条)で、Vは親族でない甲のみを窃盗罪(刑法235条)で告訴しているため、上記例外に当たる。
したがって、Vの告訴の効力は、乙に対しても及ばない。
総合メモ

第240条

条文
第240条(告訴の代理)
 告訴は、代理人によりこれをすることができる。告訴の取消についても、同様である。
過去問・解説
(H19 司法 第21問 エ)
告訴は、被害者の訴追を求める意思表示を確認する必要があるため、被害者本人が告訴しなければならず、被害者の代理人により告訴をすることはできない。

(正答)

(解説)
240条前段は、「告訴は、代理人によりこれをすることができる。」と規定している。

(H25 司法 第22問 ウ)
告訴の取消しは、代理人によりこれをすることができない。

(正答)

(解説)
240条は、「告訴は、代理人によりこれをすることができる。告訴の取消についても、同様である。」と規定している。
総合メモ

第241条

条文
第241条(告訴・告発の方式)
① 告訴又は告発は、書面又は口頭で検察官又は司法警察員にこれをしなければならない。
② 検察官又は司法警察員は、口頭による告訴又は告発を受けたときは調書を作らなければならない。
過去問・解説
(H18 司法 第22問 イ)
告訴は、必ず告訴状を提出して行わなければならないので、検察官が、不同意性交の被害者から、その被害事実に加えて犯人を厳重に処罰してほしい旨録取した供述調書を作成しただけでは、告訴としての効力は認められない。

(正答)

(解説)
241条は、1項において、「告訴…は、書面又は口頭で検察官又は司法警察員にこれをしなければならない。」と規定しており、告訴状によることに限定されていない。そして、2項において、「検察官…は、口頭による告訴…を受けたときは調書を作らなければならない。」と規定している。
被害者が検察官に対してした供述に基づき作成された供述調書であっても、2項の調書として有効である。
したがって、告訴は、必ず告訴状を提出して行わなければならないわけではなく、口頭によることも可能。そして、検察官が、不同意性交の被害者から、その被害事実に加えて犯人を厳重に処罰してほしい旨録取した供述調書を作成しただけでも、告訴としての効力は認められる。

(H19 司法 第21問 ウ)
一定の親告罪で定められている告訴期間との関係で、その告訴がなされた日付を特定する必要があるため、口頭による告訴は認められておらず、書面でしなければならないとされている。

(正答)

(解説)
241条1項は、「告訴…は、書面又は口頭で…しなければならない。」と規定している。

(H21 司法 第21問 ウ)
罪を犯した者は、書面又は口頭で検察官又は司法警察員に自首をすることができるが、検察官又は司法警察員は、口頭による自首を受けたときは調書を作らなければならない。

(正答)

(解説)
245条が準用している241条は、1項において、「告訴又は告発は、書面又は口頭で検察官又は司法警察員にこれをしなければならない。」と規定し、2項において、「検察官又は司法警察員は、口頭による告訴又は告発を受けたときは調書を作らなければならない。」と規定している。

(H23 司法 第22問 イ)
V(平成6年12月5日生、15歳)は、平成22年2月1日、インターネット上で名誉を毀損される被害を受け、すぐに、この被害を母親であるAに告げた。その際、Vは、Aに、この被害を捜査機関に申告する意思及び犯人の処罰を求める意思がないことを告げた。それにもかかわらず、同月2日、Aは、司法警察員Xに対し、Vが受けた被害を申告して犯人の処罰を求め、この内容を記載した告訴調書を作成してもらった。その後の捜査により、同月10日、犯人がAとVの知人である甲であると判明し、その日のうちに、Aも司法警察員Xから甲が犯人であることを聞いた。そして、その日のうちに、Aは、Vに、犯人が甲である旨を伝えた。その後、Aは、甲から謝罪を受けたため、同年7月20日、前記告訴を取り消した。しかし、(イ)Vは、犯人が甲であると知った後、次第に甲を処罰してもらいたいという気持ちが高まっていったことから、同年7月31日、知人の司法巡査Yに、口頭で、Vが受けた被害を申告して甲の処罰を求めた。
(イ)の告訴は、有効である。

(正答)

(解説)
241条1項は、「告訴…は、…口頭で検察官又は司法警察員にこれをしなければならない。」と規定している。
そして、司法警察員に司法巡査は含まれない(39条3項かっこ書き参照)。
したがって、知人の司法巡査Yに口頭でした(イ)の告訴は、無効である。

(H25 司法 第22問 オ)
告訴は、書面でこれをしなければならない。

(正答)

(解説)
241条は、「告訴…は、書面又は口頭で…しなければならない。」と規定している。

(H28 予備 第14問 ウ)
甲が、平成26年11月1日に乙に不同意性交されたとの事実により乙を告訴する場合において、告訴は、必ず書面によってしなければならない。

(正答)

(解説)
241条は、「告訴…は、書面又は口頭で…しなければならない。」と規定している。
したがって、甲が、平成26年11月1日に乙に不同意性交されたとの事実により乙を告訴する場合において、告訴は、書面でなくとも、口頭でしても適法である。

(H30 予備 第14問 エ)
検察官又は司法警察員は、口頭による自首を受けたときは調書を作らなければならない。

(正答)

(解説)
245条が準用している241条2項は、「検察官又は司法警察員は、口頭による告訴又は告発を受けたときは調書を作らなければならない。」と規定している。

(R2 予備 第14問 ア)
自首は、書面又は口頭で、司法警察員にしなければならず、検察官にすることはできない。

(正答)

(解説)
245条が準用している241条1項は、「告訴又は告発は、書面又は口頭で検察官又は司法警察員にこれをしなければならない。」と規定している。

(R5 予備 第14問 エ)
司法警察員は、口頭による告発を受けたときは調書を作らなければならない。

(正答)

(解説)
241条2項は、「検察官又は司法警察員は、口頭による…告発を受けたときは調書を作らなければならない。」と規定している。
総合メモ

第242条

条文
第242条(告訴・告発を受けた司法警察員の手続)
 司法警察員は、告訴又は告発を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない。
過去問・解説
(H23 共通 第21問 オ)
司法警察員は、自首を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない。

(正答)

(解説)
245条が準用している242条は、「司法警察員は、告訴又は告発を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない。」と規定している。

(H25 共通 第21問 2)
司法警察員は、告訴を受けた事件に関する書類及び証拠物について、当該事件について犯罪の嫌疑がないものと思料するときは、検察官に送付しないことができる。

(正答)

(解説)
242条は、「司法警察員は、告訴…を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない。」と規定している。

(H30 予備 第14問 ウ)
司法警察員は、告発を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない。

(正答)

(解説)
242条は、「司法警察員は、…告発を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない。」と規定している。

(R5 予備 第14問 オ)
司法警察員は、自首を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない。

(正答)

(解説)
245条が準用している242条は、「司法警察員は、告訴又は告発を受けたときは、速やかにこれに関する書類及び証拠物を検察官に送付しなければならない。」と規定している。
総合メモ

第243条

条文
第243条(準用規定)
 前2条の規定は、告訴又は告発の取消についてこれを準用する。
過去問・解説
(H23 共通 第21問 エ)
自首した犯人は、告訴又は告発と同様、自首を取り消すことができる。

(正答)

(解説)
243条は、「前2条の規定は、告訴又は告発の取消についてこれを準用する。」と規定しているが、245条は、243条を準用していない。
したがって、自首した犯人は、自首を取り消すことができない。
総合メモ

第246条

条文
第246条(司法警察員から検察官への事件の送致)
 司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。但し、検察官が指定した事件については、この限りでない。
過去問・解説
(R3 予備 第19問 ア)
司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、例外なく、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。

(正答)

(解説)
246条は、「司法警察員は、犯罪の捜査をしたときは、この法律に特別の定のある場合を除いては、速やかに書類及び証拠物とともに事件を検察官に送致しなければならない。但し、検察官が指定した事件については、この限りでない。」と規定している。
したがって、検察官が指定した事件については、例外として、司法警察員が犯罪の捜査をしたときであっても、検察官送致は不要である。
総合メモ