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刑事訴訟法 第210条

条文
第210条(緊急逮捕)
① 検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期3年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したことを疑うに足りる十分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。この場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。逮捕状が発せられないときは、直ちに被疑者を釈放しなければならない。
② 第200条の規定は、前項の逮捕状についてこれを準用する。
過去問・解説
(H18 司法 第23問 4)
緊急逮捕するに当たって、被疑者に対し告げなければならないのは、被疑事実の要旨だけである。

(正答)

(解説)
210条1項第1文は、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期3年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したことを疑うに足りる十分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。」と規定している。ここでいう「その理由」とは、被疑事実の要旨のみならず、急速を要する事情にあることも含むと解されている。
したがって、緊急逮捕するに当たって、被疑者に対し告げなければならないのは、被疑事実の要旨だけではなく、急速を要する事情にあることも含む。

(H20 司法 第24問 ア)
強盗殺人罪の被疑者が警察署に自ら出頭して自首した場合、被疑者を警察署内に待たせておいてその間に通常逮捕のための逮捕状を求めることができるので、緊急逮捕が許されることはない。

(正答)

(解説)
210条1項第1文は、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期3年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したことを疑うに足りる十分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。」と規定している。
そして、強盗殺人罪は、「死刑又は無期若しくは長期3年以上の拘禁刑にあたる罪」に当たる。もっとも、被疑者を警察署内に待たせておいてその間に通常逮捕のための逮捕状を求めることができたとしても、その事実から直ちに「急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないとき」という要件が否定されることはない。
したがって、強盗殺人罪の被疑者が警察署に自ら出頭して自首した場合、被疑者を警察署内に待たせておいてその間に通常逮捕のための逮捕状を求めることができるとしても、直ちに緊急逮捕が許されないことにはならない。

(H20 司法 第24問 イ)
緊急逮捕の要件としての罪を犯したことを疑うに足りる「充分な理由」とは、通常逮捕の場合における「相当な理由」よりは一層高度な嫌疑をいい、具体的には、公訴を提起するに足りる程度の嫌疑があることをいう。

(正答)

(解説)
210条1項第1文は、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期3年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したことを疑うに足りる十分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。」と規定している。ここでいう「充分な理由」について、公訴提起できるといった確実性までは要求されないと解されている。
したがって、緊急逮捕の要件としての罪を犯したことを疑うに足りる「充分な理由」とは、通常逮捕の場合における「相当な理由」よりは一層高度な嫌疑をいうが、公訴を提起するに足りる程度の嫌疑があることまでは要求されない。

(H20 司法 第24問 ウ)
死体遺棄罪の幇助は、「死刑又は無期若しくは長期3年以上の拘禁刑にあたる罪」に該当しないので、これによる緊急逮捕は許されない。

(正答)

(解説)
210条1項第1文は、緊急逮捕の対象となる犯罪について、「死刑又は無期若しくは長期3年以上の拘禁刑にあたる罪」と規定している。この要件は、法定刑で判断するため、従犯についても減刑前の正犯の刑に基づいて判断する。そして、死体遺棄の法定刑は、3年以下の拘禁刑である(刑法190条)ため上記要件を満たす。
したがって、死体遺棄罪の幇助は、「死刑又は無期若しくは長期3年以上の拘禁刑にあたる罪」に該当するため、これによる緊急逮捕は許される。

(H20 司法 第24問 エ)
緊急逮捕状を発するには、逮捕後直ちに裁判官の逮捕状を求める手続がなされたことのほか、逮捕時における緊急逮捕の要件及び逮捕状発付時における通常逮捕の要件の双方を満たしていることが必要である。

(正答)

(解説)
210条1項第1文及び第2文は、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期三年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したことを疑うに足りる十分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。この場合には、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。」と規定している。
そして、緊急逮捕の要件の審査については、まず緊急逮捕時の事情に基づいて行われ、その後、逮捕の理由と逮捕の必要がなくなったのであれば、逮捕状発付時の事情に基づいて通常逮捕の要件を審査する(吉開多一ほか「基本刑事訴訟法Ⅰ手続理解編」初版91頁)と解されている。
したがって、緊急逮捕状を発するには、逮捕後直ちに裁判官の逮捕状を求める手続がなされたことのほか、逮捕時における緊急逮捕の要件及び逮捕状発付時における通常逮捕の要件の双方を満たしていることが必要である。

(H20 司法 第24問 オ)
緊急逮捕の要件としての罪を犯したことを疑うに足りる「充分な理由」があるか否かの判断においては、逮捕後に生じた状況を資料とすることは許されない。

(正答)

(解説)
210条が規定している緊急逮捕の要件は、緊急逮捕時の事情に基づいて行わなければならず、緊急逮捕後の事情は考慮してはならない(吉開多一ほか「基本刑事訴訟法Ⅰ手続理解編」初版91頁)と解されている。
したがって、緊急逮捕の要件としての罪を犯したことを疑うに足りる「充分な理由」があるか否かの判断においては、逮捕後に生じた状況を資料とすることは許されない。

(H23 予備 第15問 イ)
司法巡査により緊急逮捕された被疑者が、司法警察員に引致された後、逮捕状請求前に逃走してしまった場合であっても、司法警察員は、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。

(正答)

(解説)
210条1項第2文は、緊急逮捕した場合、「直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。」と規定している。そして、緊急逮捕後に被疑者が逃走した場合も逮捕状を請求しなければならない(吉開多一ほか「基本刑事訴訟法Ⅰ手続理解編」初版91頁)と解されている。
したがって、司法巡査により緊急逮捕された被疑者が、司法警察員に引致された後、逮捕状請求前に逃走してしまった場合であっても、司法警察員は、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。

(H25 共通 第23問 イ)
司法警察員が、殺人を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある者を緊急逮捕する場合、その手続に関して裁判官の裁判が必要となる。

(正答)

(解説)
210条1項第2文は、緊急逮捕をする際の手続として、「直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。」と規定している。
したがって、司法警察員が、殺人を犯したことを疑うに足りる充分な理由がある者を緊急逮捕する場合、その手続に関して裁判官の裁判が必要となる。

(H25 予備 第15問 ウ)
H警察署司法警察員は、「平成24年3月1日午後9時、I市内にあるJ倉庫裏において、甲が乙に覚せい剤を譲り渡すという覚せい剤取引の計画がある。」旨の情報を入手した。そこで、司法警察員は、部下である司法巡査X及び司法巡査Yに対して、前記覚せい剤取引を確認した場合には甲及び乙を逮捕するように指示した。その後、司法巡査X及び司法巡査Yは、同日午後9時、前記J倉庫裏において、甲が乙にアタッシュケースを渡したのを現認したので、直ちに、甲及び乙に対する職務質問を開始した。しかし、甲は、その場から逃走し、司法巡査Xはこれを追跡したものの、見失った。これに対し、乙は、その場に留まり、司法巡査Yの求めに任意に応じて前記アタッシュケースを開披し、その中に入っていた白色粉末入りのビニール袋を司法巡査Yに渡した。そして、司法巡査Yは、乙の同意を得た上で、試薬を使用してその白色粉末が覚せい剤であることを確認したことから、同日午後9時20分、乙を覚せい剤所持の事実により現行犯逮捕した。その後、乙は、同日午後10時、司法警察員に引致された。一方、甲を捜していた司法巡査Xは、司法巡査Yから、携帯電話により、前記アタッシュケースの中には覚せい剤が入っていたことを聞いた。そして、司法巡査Xは、同日午後11時50分、I市内において、甲を発見したことから、甲を覚せい剤譲渡の事実により緊急逮捕し、司法警察員に引致した。その後、甲には、同年2月27日に同市内の宝石店において100万円相当の宝石を窃取したという窃盗の余罪があることが判明した。
甲については、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならないが、司法巡査Xもこの手続をすることができる。

(正答)

(解説)
210条1項第1文及び第2文は、緊急逮捕をする際の手続として、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、…直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。」と規定している。そして、39条3項本文は、「司法警察職員(司法警察員及び司法巡査をいう。以下同じ。)」と規定している。そのため、逮捕状を請求する主体から、司法巡査は除かれていない。
したがって、本肢において、甲は、直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならないが、司法巡査Xもこの手続をすることができる。

(H30 予備 第15問 ア)
司法巡査が緊急逮捕することは許されない。

(正答)

(解説)
210条1項第1文は、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期三年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したことを疑うに足りる十分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。」と規定している。そして、39条3項本文は、「司法警察職員(司法警察員及び司法巡査をいう。以下同じ。)」と規定している。そのため、緊急逮捕をする主体から、司法巡査は除かれていない。
したがって、司法巡査が緊急逮捕することも許される。

(H30 予備 第15問 ウ)
緊急逮捕における逮捕の理由の告知は、被疑者に逮捕状を示す際にすれば足りる。

(正答)

(解説)
210条1項第1文は、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、死刑又は無期若しくは長期三年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したことを疑うに足りる十分な理由がある場合で、急速を要し、裁判官の逮捕状を求めることができないときは、その理由を告げて被疑者を逮捕することができる。」と規定している。
したがって、緊急逮捕における逮捕の理由の告知は、被疑者に逮捕状を示す際にするのでは足りず、緊急逮捕する際に必要である。

(H30 予備 第15問 エ)
緊急逮捕状の請求は、警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限り、これを行うことができる。

(正答)

(解説)
210条1項第1文及び第2文は、緊急逮捕をする際の手続として、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、…直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。」と規定している。そして、39条3項本文は、「司法警察職員(司法警察員及び司法巡査をいう。以下同じ。)」と規定している。
したがって、緊急逮捕状の請求は、警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者だけでなく、司法巡査もこれを行うことができる。

(R3 予備 第20問 ア)
緊急逮捕の可否は、刑事訴訟法上、法定刑の軽重により異ならない。

(正答)

(解説)
210条1項第1文は、緊急逮捕が許される場合について、「死刑又は無期若しくは長期三年以上の拘禁刑に当たる罪を犯したことを疑うに足りる十分な理由がある場合」と規定おり、法定刑の軽重で可否が分かれるとしている。
したがって、緊急逮捕の可否は、刑事訴訟法上、法定刑の軽重により異なる。

(R4 予備 第14問 ア)
緊急逮捕後の逮捕状の請求は、司法警察員と検察官のいずれもがなし得る。

(正答)

(解説)
210条1項第1文及び第2文は、緊急逮捕をする際の手続として、「検察官、検察事務官又は司法警察職員は、…直ちに裁判官の逮捕状を求める手続をしなければならない。」と規定している。そして、39条3項本文は、「司法警察職員(司法警察員及び司法巡査をいう。以下同じ。)」と規定している。
したがって、緊急逮捕後の逮捕状の請求は、司法警察員と検察官のいずれもがなし得る。
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