現在お使いのブラウザのバージョンでは、本サービスの機能をご利用いただけない可能性があります
バージョンアップを試すか、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの最新ブラウザをお試しください
取締役
代表取締役の権限濫用の行為と民法第93条 最一小判昭和38年9月5日
概要
株式会社の代表取締役が、自己の利益のため表面上会社の代表者として法律行為をなした場合において、相手方が代表取締役の真意を知り又は知り得べきものであったときは、民法93条1項ただし書の類推適用により、上記の法律行為は無効である。
判例
事案:平成29年改正前民法下の事案において、株式会社の代表取締役が、自己の利益のため表面上会社の代表者として売買契約を締結した場合に、この契約が有効であるかが問題となった。
判旨:「株式会社の代表取締役が、自己の利益のため表面上会社の代表者として法律行為をなした場合において、相手方が右代表取締役の真意を知りまたは知り得べきものであったときは、民法93条但書(現:民法93条1項ただし書)の規定を類推し、右の法律行為はその効力を生じないものと解するのが相当である。」
判旨:「株式会社の代表取締役が、自己の利益のため表面上会社の代表者として法律行為をなした場合において、相手方が右代表取締役の真意を知りまたは知り得べきものであったときは、民法93条但書(現:民法93条1項ただし書)の規定を類推し、右の法律行為はその効力を生じないものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H25 司法 第44問 オ)
代表取締役Iが、自己の個人的利益を図る目的で、会社を代表してJから金銭を借り入れた場合において、JがIの真意を知り得べきであったときは、その借入れの効力は、会社には及ばない。
代表取締役Iが、自己の個人的利益を図る目的で、会社を代表してJから金銭を借り入れた場合において、JがIの真意を知り得べきであったときは、その借入れの効力は、会社には及ばない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭38.9.5)は、「株式会社の代表取締役が、自己の利益のため表面上会社の代表者として法律行為をなした場合において、相手方が右代表取締役の真意を知りまたは知り得べきものであったときは、民法93条但書(現:民法93条1項但書)の規定を類推し、右の法律行為はその効力を生じない…。」としている。したがって、JがIの真意を知り得べきであったときは、民法93条1項但書の類推適用により、その借入れの効力は、会社には及ばない。
なお、平成29年改正民法下では、代表取締役の代表権濫用行為にも、「 代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」と規定する上記判例法理を明文化した民法107条が適用されることとなる。
判例(最判昭38.9.5)は、「株式会社の代表取締役が、自己の利益のため表面上会社の代表者として法律行為をなした場合において、相手方が右代表取締役の真意を知りまたは知り得べきものであったときは、民法93条但書(現:民法93条1項但書)の規定を類推し、右の法律行為はその効力を生じない…。」としている。したがって、JがIの真意を知り得べきであったときは、民法93条1項但書の類推適用により、その借入れの効力は、会社には及ばない。
なお、平成29年改正民法下では、代表取締役の代表権濫用行為にも、「 代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす。」と規定する上記判例法理を明文化した民法107条が適用されることとなる。
総合メモ
取締役会の無効な決議により選任された代表取締役がした行為への会社法354条の規定の類推適用 最二小判昭和56年4月24日
概要
取締役会の無効な決議により選任された代表取締役が会社の代表としてした行為については、会社は、354条の類推適用により、善意の第三者に対して責任を負う。
判例
事案:取締役会の無効な決議により選任された代表取締役が会社の代表としてした行為について、会社が第三者に対して責任を負うかが問題となった。
判旨:「代表取締役に通知しないで招集された取締役会において代表取締役に選任された取締役が、この選任決議に基づき、代表取締役としてその職務を行ったときは、右選任が有効な取締役会の代表取締役選任決議として認められず、無効である場合であっても、会社は、商法262条(現:会社法354条)の規定の類推適用により、代表取締役としてした取締役の行為について、善意の第三者に対してその責に任ずべきものと解するのが相当である。」
判旨:「代表取締役に通知しないで招集された取締役会において代表取締役に選任された取締役が、この選任決議に基づき、代表取締役としてその職務を行ったときは、右選任が有効な取締役会の代表取締役選任決議として認められず、無効である場合であっても、会社は、商法262条(現:会社法354条)の規定の類推適用により、代表取締役としてした取締役の行為について、善意の第三者に対してその責に任ずべきものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H25 司法 第44問 ア)
取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)の取締役が行った取引に関し、取締役Aが会社の代表取締役としてBと取引を行った場合において、Aを代表取締役に選定した取締役会の決議が無効であったときは、Aが代表権を有しないことをBが知らなかったとしても、その取引の効力は、会社には及ばない。
取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)の取締役が行った取引に関し、取締役Aが会社の代表取締役としてBと取引を行った場合において、Aを代表取締役に選定した取締役会の決議が無効であったときは、Aが代表権を有しないことをBが知らなかったとしても、その取引の効力は、会社には及ばない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭56.4.24)は、「取締役会において代表取締役に選任された取締役が、この選任決議に基づき、代表取締役としてその職務を行ったときは、右選任が有効な取締役会の代表取締役選任決議として認められず、無効である場合であっても、会社は、商法262条(現:会社法354条)の規定の類推適用により、代表取締役としてした取締役の行為について、善意の第三者に対してその責に任ずべき…。」としている。
したがって、Aを代表取締役に選定した取締役会の決議が無効であったとしても、Aが代表権を有しないことをBが知らなければ、354条の類推適用により、取引の効力が会社に及ぶ。
判例(最判昭56.4.24)は、「取締役会において代表取締役に選任された取締役が、この選任決議に基づき、代表取締役としてその職務を行ったときは、右選任が有効な取締役会の代表取締役選任決議として認められず、無効である場合であっても、会社は、商法262条(現:会社法354条)の規定の類推適用により、代表取締役としてした取締役の行為について、善意の第三者に対してその責に任ずべき…。」としている。
したがって、Aを代表取締役に選定した取締役会の決議が無効であったとしても、Aが代表権を有しないことをBが知らなければ、354条の類推適用により、取引の効力が会社に及ぶ。
(H26 予備 第20問 2)
表見代表取締役についての会社法第354条に関し、代表取締役に通知しないで招集された取締役会において代表取締役に選定された取締役が代表取締役として取引をした場合には、その選定が無効であるときであっても、会社は、その取引について、善意の第三者に対して責任を負う。
表見代表取締役についての会社法第354条に関し、代表取締役に通知しないで招集された取締役会において代表取締役に選定された取締役が代表取締役として取引をした場合には、その選定が無効であるときであっても、会社は、その取引について、善意の第三者に対して責任を負う。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭56.4.24)は、「代表取締役に通知しないで招集された取締役会において代表取締役に選任された取締役が、この選任決議に基づき、代表取締役としてその職務を行ったときは、右選任が有効な取締役会の代表取締役選任決議として認められず、無効である場合であっても、会社は、商法262条(現:会社法354条)の規定の類推適用により、代表取締役としてした取締役の行為について、善意の第三者に対してその責に任ずべき…。」としている。
判例(最判昭56.4.24)は、「代表取締役に通知しないで招集された取締役会において代表取締役に選任された取締役が、この選任決議に基づき、代表取締役としてその職務を行ったときは、右選任が有効な取締役会の代表取締役選任決議として認められず、無効である場合であっても、会社は、商法262条(現:会社法354条)の規定の類推適用により、代表取締役としてした取締役の行為について、善意の第三者に対してその責に任ずべき…。」としている。
総合メモ
会社の使用人が代表取締役の承認のもとに常務取締役の名称を使用してなした行為への会社法354条の類推適用 最二小判昭和35年10月14日
概要
354条は、会社の使用人が代表取締役の承認のもとに常務取締役の名称を使用してなした行為につき、類推適用される。
判例
事案:会社の使用人が代表取締役の承認のもとに常務取締役の名称を使用してなした行為に、354条が類推適用されるかが問題となった。
判旨:「上告会社の使用人で、平素から、同会社が他から金員借入の交渉をなすに際し同会社の代表取締役…の諒解を得て、上告会社常務取締役の名称を使用…していたものであるが、本件消費貸借についても…承認の下に、同会社常務取締役の名称を使用したというのである。かくのごとき場合においては、上告会社は商法262条(現:会社法354条)の規定の類推解釈により、…善意の第三者に対してその責を負うものと解するのが相当であ…る…。」
判旨:「上告会社の使用人で、平素から、同会社が他から金員借入の交渉をなすに際し同会社の代表取締役…の諒解を得て、上告会社常務取締役の名称を使用…していたものであるが、本件消費貸借についても…承認の下に、同会社常務取締役の名称を使用したというのである。かくのごとき場合においては、上告会社は商法262条(現:会社法354条)の規定の類推解釈により、…善意の第三者に対してその責を負うものと解するのが相当であ…る…。」
総合メモ
会社を訴訟上代表する権限を有する者を定めるにあたっての会社法354条の適用の可否 最三小判昭和45年12月15日
概要
354条は、会社を訴訟上代表する権限を有する者を定めるに当たっては、適用されない。
判例
事案:会社を訴訟上代表する権限を有する者を定めるにあたって、354条が適用されるかが問題となった。
判旨:「民法109条(現:民法109条1項)および商法262条(現:会社法354条)の規定は、いずれも取引の相手方を保護し、取引の安全を図るために設けられた規定であるから、取引行為と異なる訴訟手続において会社を代表する権限を有する者を定めるにあたっては適用されないものと解するを相当とする。この理は、同様に取引の相手方保護を図った規定である商法42条1項(現:商法24条)が、その本文において表見支配人のした取引行為について一定の効果を認めながらも、その但書において表見支配人のした訴訟上の行為について右本文の規定の適用を除外していることから考えても明らかである。したがって、本訴において、…被上告会社の代表者としての資格はなく、…被告たる被上告会社の代表者として提起された本件訴は不適法である…。」
判旨:「民法109条(現:民法109条1項)および商法262条(現:会社法354条)の規定は、いずれも取引の相手方を保護し、取引の安全を図るために設けられた規定であるから、取引行為と異なる訴訟手続において会社を代表する権限を有する者を定めるにあたっては適用されないものと解するを相当とする。この理は、同様に取引の相手方保護を図った規定である商法42条1項(現:商法24条)が、その本文において表見支配人のした取引行為について一定の効果を認めながらも、その但書において表見支配人のした訴訟上の行為について右本文の規定の適用を除外していることから考えても明らかである。したがって、本訴において、…被上告会社の代表者としての資格はなく、…被告たる被上告会社の代表者として提起された本件訴は不適法である…。」
過去問・解説
(H26 予備 第20問 5)
表見代表取締役についての会社法第354条に関し、会社の代表者としての資格を有しない者につき代表取締役の就任の登記がされた場合において、その者を被告である当該会社の代表者として提起された訴えは、不適法である。
表見代表取締役についての会社法第354条に関し、会社の代表者としての資格を有しない者につき代表取締役の就任の登記がされた場合において、その者を被告である当該会社の代表者として提起された訴えは、不適法である。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭45.12.15)は、「商法262条(現:会社法354条)の規定は、いずれも取引の相手方を保護し、取引の安全を図るために設けられた規定であるから、取引行為と異なる訴訟手続において会社を代表する権限を有する者を定めるにあたっては適用されない…。」とした上で、「本訴において、…被上告会社の代表者としての資格はなく、…被告たる被上告会社の代表者として提起された本件訴は不適法である…。」としている。
したがって、会社の代表者としての資格を有しない者を、被告である当該会社の代表者として提起された訴えは、不適法である。
判例(最判昭45.12.15)は、「商法262条(現:会社法354条)の規定は、いずれも取引の相手方を保護し、取引の安全を図るために設けられた規定であるから、取引行為と異なる訴訟手続において会社を代表する権限を有する者を定めるにあたっては適用されない…。」とした上で、「本訴において、…被上告会社の代表者としての資格はなく、…被告たる被上告会社の代表者として提起された本件訴は不適法である…。」としている。
したがって、会社の代表者としての資格を有しない者を、被告である当該会社の代表者として提起された訴えは、不適法である。
総合メモ
代表権の欠缺を知らないことにつき第三者に重大な過失がある場合における会社法354条の適用の可否 最二小判昭和52年10月14日
概要
会社は、354条所定の表見代表取締役の行為につき、重大な過失によりその代表権の欠缺を知らない第三者に対しては、責任を負わない。
判例
事案:354条所定の表見代表取締役の行為につき、重大な過失によりその代表権の欠缺を知らない第三者に対して、会社が責任を負うかが問題となった。
判旨:「商法262条(現:会社法354条)に基づく会社の責任は、善意の第三者に対するものであって、その第三者が善意である限り、たとえ過失がある場合においても、会社は同条の責任を免れえないものであるが…、同条は第三者の正当な信頼を保護しようとするものであるから、代表権の欠缺を知らないことにつき第三者に重大な過失があるときは、悪意の場合と同視し、会社はその責任を免れるものと解するのが相当である。」
判旨:「商法262条(現:会社法354条)に基づく会社の責任は、善意の第三者に対するものであって、その第三者が善意である限り、たとえ過失がある場合においても、会社は同条の責任を免れえないものであるが…、同条は第三者の正当な信頼を保護しようとするものであるから、代表権の欠缺を知らないことにつき第三者に重大な過失があるときは、悪意の場合と同視し、会社はその責任を免れるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H25 司法 第44問 イ)
取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)の取締役が行った取引に関し、会社から副社長の名称を付された代表権を有しない取締役Cが副社長の名称を使用してDと取引を行った場合において、Cが代表権を有しないことを知らなかったことについてDに重大な過失があるときは、その取引の効力は、会社には及ばない。
取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)の取締役が行った取引に関し、会社から副社長の名称を付された代表権を有しない取締役Cが副社長の名称を使用してDと取引を行った場合において、Cが代表権を有しないことを知らなかったことについてDに重大な過失があるときは、その取引の効力は、会社には及ばない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭52.10.14)は、「商法262条(現:会社法354条)…は第三者の正当な信頼を保護しようとするものであるから、代表権の欠缺を知らないことにつき第三者に重大な過失があるときは、悪意の場合と同視し、会社はその責任を免れる…。」としている。
したがって、Cが代表権を有しないことを知らなかったことについてDに重大な過失があるときは、その取引の効力は、会社には及ばない。
判例(最判昭52.10.14)は、「商法262条(現:会社法354条)…は第三者の正当な信頼を保護しようとするものであるから、代表権の欠缺を知らないことにつき第三者に重大な過失があるときは、悪意の場合と同視し、会社はその責任を免れる…。」としている。
したがって、Cが代表権を有しないことを知らなかったことについてDに重大な過失があるときは、その取引の効力は、会社には及ばない。
(H26 予備 第20問 3)
表見代表取締役についての会社法第354条に関し、会社が代表取締役以外の取締役に会社を代表する権限を有するものと認められる名称を付し、その取締役がその名称を使用して取引をした場合であっても、その取締役が会社を代表する権限を有しないことを知らないことにつきその取引の相手方に重大な過失があるときは、会社は、その取引について責任を負わない。
表見代表取締役についての会社法第354条に関し、会社が代表取締役以外の取締役に会社を代表する権限を有するものと認められる名称を付し、その取締役がその名称を使用して取引をした場合であっても、その取締役が会社を代表する権限を有しないことを知らないことにつきその取引の相手方に重大な過失があるときは、会社は、その取引について責任を負わない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭52.10.14)は、「商法262条(現:会社法354条)…は第三者の正当な信頼を保護しようとするものであるから、代表権の欠缺を知らないことにつき第三者に重大な過失があるときは、悪意の場合と同視し、会社はその責任を免れる…。」としている。
したがって、取締役が会社を代表する権限を有しないことを知らないことにつきその取引の相手方に重大な過失があるときは、会社は、その取引について責任を負わない。
判例(最判昭52.10.14)は、「商法262条(現:会社法354条)…は第三者の正当な信頼を保護しようとするものであるから、代表権の欠缺を知らないことにつき第三者に重大な過失があるときは、悪意の場合と同視し、会社はその責任を免れる…。」としている。
したがって、取締役が会社を代表する権限を有しないことを知らないことにつきその取引の相手方に重大な過失があるときは、会社は、その取引について責任を負わない。
総合メモ
会社法354条で「善意の第三者」として保護される範囲 最一小判昭和59年3月29日
総合メモ
競業取引該当性 東京地判昭和56年3月26日
概要
①取締役が競業他社の代表取締役でなくても、その会社の株式の大部分を取得し事実上の主宰者として経営を支配した場合には、競業取引となる。
②会社が現に行っていない事業であっても、会社が進出を考え調査等を行っていた地域における同一商品の販売は、競業取引となる。
②会社が現に行っていない事業であっても、会社が進出を考え調査等を行っていた地域における同一商品の販売は、競業取引となる。
判例
事案:①X社の代表取締役Yが、競業他社であるA社の株式の大部分を取得し、A社の経営を意のままにしてきたという事案において、Yが競業取引を行ったといえるか、②関東地区で事業を行うX社が関西地区への進出を考え調査等を行っていたところ、X社の代表取締役YがB社を設立し、B社の代表取締役として関西地区でX社の競業を行ったという事案において、Yが競業取引を行ったといえるかが問題となった。
判旨:①「Yが…A社の事実上の主宰者として、これを経営してきた…。Yの…行為は、第三者であるA社のために、X社の営業の部類に属する取引をしてきたことに外ならず、このことは、…X社に対する競業避止義務に違反することは明らかである。」 ②「YがXの代表取締役でありながら、B社…の代表取締役として、…これらの会社を経営したことは、第三者であるこれらの会社のために、X社の営業の部類に属する取引をしてきたことに外ならず、X社に対する競業避止義務に違反することは明らかである。」
判旨:①「Yが…A社の事実上の主宰者として、これを経営してきた…。Yの…行為は、第三者であるA社のために、X社の営業の部類に属する取引をしてきたことに外ならず、このことは、…X社に対する競業避止義務に違反することは明らかである。」 ②「YがXの代表取締役でありながら、B社…の代表取締役として、…これらの会社を経営したことは、第三者であるこれらの会社のために、X社の営業の部類に属する取引をしてきたことに外ならず、X社に対する競業避止義務に違反することは明らかである。」
過去問・解説
(H29 予備 第22問 ウ)
取締役会設置会社であるA株式会社(以下「A社」という。)は、事業として甲県内においてトラックによる陸上貨物運送を行っている。A社の取締役であるBの行為に関し、A社が、その事業計画及び市場調査に基づき、甲県に隣接する乙県内においてトラックによる陸上貨物運送を開始することを取締役会の決議によって決定し、乙県内においてトラックターミナル用の不動産を取得した後、Bが、営業として乙県内においてトラックによる陸上貨物運送を行おうとする場合には、A社が乙県内においてトラックによる陸上貨物運送をいまだ開始していないときであっても、Bは、A社の取締役会において、当該運送に係る取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
取締役会設置会社であるA株式会社(以下「A社」という。)は、事業として甲県内においてトラックによる陸上貨物運送を行っている。A社の取締役であるBの行為に関し、A社が、その事業計画及び市場調査に基づき、甲県に隣接する乙県内においてトラックによる陸上貨物運送を開始することを取締役会の決議によって決定し、乙県内においてトラックターミナル用の不動産を取得した後、Bが、営業として乙県内においてトラックによる陸上貨物運送を行おうとする場合には、A社が乙県内においてトラックによる陸上貨物運送をいまだ開始していないときであっても、Bは、A社の取締役会において、当該運送に係る取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
(正答)〇
(解説)
裁判例(東京地判昭56.3.26)は、本肢と同種の事案において、「YがXの代表取締役でありながら、B社…の代表取締役として、…これらの会社を経営したことは、第三者であるこれらの会社のために、X社の営業の部類に属する取引をしてきたことに外ならず、X社に対する競業避止義務に違反することは明らかである。」として、会社がいまだ開始していない事業についても、会社が当該事業について進出を考え調査等を行っていたという事情から、競業性を肯定している。
したがって、Bは、A社の取締役会において、当該運送に係る取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない(356条1項1号、365条1項)。
裁判例(東京地判昭56.3.26)は、本肢と同種の事案において、「YがXの代表取締役でありながら、B社…の代表取締役として、…これらの会社を経営したことは、第三者であるこれらの会社のために、X社の営業の部類に属する取引をしてきたことに外ならず、X社に対する競業避止義務に違反することは明らかである。」として、会社がいまだ開始していない事業についても、会社が当該事業について進出を考え調査等を行っていたという事情から、競業性を肯定している。
したがって、Bは、A社の取締役会において、当該運送に係る取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない(356条1項1号、365条1項)。
(H29 予備 第22問 オ)
取締役会設置会社であるA株式会社(以下「A社」という。)は、事業として甲県内においてトラックによる陸上貨物運送を行っている。A社の取締役であるBの行為に関し、Bが、トラックによる陸上貨物運送を行うことを事業の目的とするD株式会社(以下「D社」という。)を設立し、その発行する全部の株式を保有する場合において、自らはD社の代表取締役でないときは、甲県内における陸上貨物運送に係る取引について継続的に自ら決定してD社の代表取締役に指示しているときであっても、Bは、A社の取締役会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けることを要しない。
取締役会設置会社であるA株式会社(以下「A社」という。)は、事業として甲県内においてトラックによる陸上貨物運送を行っている。A社の取締役であるBの行為に関し、Bが、トラックによる陸上貨物運送を行うことを事業の目的とするD株式会社(以下「D社」という。)を設立し、その発行する全部の株式を保有する場合において、自らはD社の代表取締役でないときは、甲県内における陸上貨物運送に係る取引について継続的に自ら決定してD社の代表取締役に指示しているときであっても、Bは、A社の取締役会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けることを要しない。
(正答)✕
(解説)
裁判例(東京地判昭56.3.26)は、「Yが…A社の事実上の主宰者として、これを経営してきた…。Yの…行為は、第三者であるA社のために、X社の営業の部類に属する取引をしてきたことに外ならず、このことは、…X社に対する競業避止義務に違反することは明らかである。」として、取締役が競業他社の代表取締役でなくても、その会社の株式の大部分を取得し事実上の主宰者として経営を支配した場合には、競業取引となることを示している。
したがって、Bは、A社の取締役会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けることを要する(356条1項1号、365条1項)。
裁判例(東京地判昭56.3.26)は、「Yが…A社の事実上の主宰者として、これを経営してきた…。Yの…行為は、第三者であるA社のために、X社の営業の部類に属する取引をしてきたことに外ならず、このことは、…X社に対する競業避止義務に違反することは明らかである。」として、取締役が競業他社の代表取締役でなくても、その会社の株式の大部分を取得し事実上の主宰者として経営を支配した場合には、競業取引となることを示している。
したがって、Bは、A社の取締役会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けることを要する(356条1項1号、365条1項)。
総合メモ
競業取引該当性 最二小判昭和24年6月4日
概要
木工品の製作及びこれに附帯する事業を目的とする会社において、取締役の競合取引該当性を判断する際には、資材原料である立木伐木等の買入先の競合も考慮される。
判例
事案:木工品の製作及びこれに附帯する事業を目的とする会社において、取締役の競合取引該当性を判断する際には、資材原料である立木伐木等の買入先の競合も考慮されるのかが問題となった。
判旨:「被上告会社において新に追加した目的は木工品の製作及びこれに附帯する事業である、そして附帯事業というのは主たる目的事業に関連のある各種の事業をいうのであって木工品の製作を主たる目的とする事業の附帯事業のうちにはその資材原料たる立木伐木等の買入をする事業をも包含するものと解するのが正当である…。」
判旨:「被上告会社において新に追加した目的は木工品の製作及びこれに附帯する事業である、そして附帯事業というのは主たる目的事業に関連のある各種の事業をいうのであって木工品の製作を主たる目的とする事業の附帯事業のうちにはその資材原料たる立木伐木等の買入をする事業をも包含するものと解するのが正当である…。」
過去問・解説
(H21 司法 第42問 イ)
判例によれば、株式会社の事業の部類に属する取引に当たるか否かを判断する場合には、株式会社が現に行っている事業との市場での競合性を基準として判断し、仕入先の競合を考慮する必要はない。
判例によれば、株式会社の事業の部類に属する取引に当たるか否かを判断する場合には、株式会社が現に行っている事業との市場での競合性を基準として判断し、仕入先の競合を考慮する必要はない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭24.6.4)は、「被上告会社において新に追加した目的は木工品の製作及びこれに附帯する事業である、そして附帯事業というのは主たる目的事業に関連のある各種の事業をいうのであって木工品の製作を主たる目的とする事業の附帯事業のうちにはその資材原料たる立木伐木等の買入をする事業をも包含するものと解するのが正当である…。」と判示し、木工品の製作及びこれに附帯する事業を目的とする会社において、取締役の競合取引該当性を判断する際に、資材原料である立木伐木等の買入先の競合も考慮している。
したがって、判例によれば、株式会社の事業の部類に属する取引に当たるか否かを判断する場合には、仕入先の競合も考慮する。
判例(最判昭24.6.4)は、「被上告会社において新に追加した目的は木工品の製作及びこれに附帯する事業である、そして附帯事業というのは主たる目的事業に関連のある各種の事業をいうのであって木工品の製作を主たる目的とする事業の附帯事業のうちにはその資材原料たる立木伐木等の買入をする事業をも包含するものと解するのが正当である…。」と判示し、木工品の製作及びこれに附帯する事業を目的とする会社において、取締役の競合取引該当性を判断する際に、資材原料である立木伐木等の買入先の競合も考慮している。
したがって、判例によれば、株式会社の事業の部類に属する取引に当たるか否かを判断する場合には、仕入先の競合も考慮する。
総合メモ
無利息無担保の金銭消費貸借の直接取引該当性 最二小判昭和38年12月6日
概要
株式会社に対しその取締役が無利息、無担保で金銭を貸し付ける行為は、356条1項2号にいう取引に当たらない。
判例
事案:株式会社に対しその取締役が無利息、無担保で金銭を貸し付ける行為が、356条1項2号にいう取引に当たるかが問題となった。
判旨:「商法265条(現:会社法356条1項2号、365条1項)が、取締役が自己又は第三者のためにその会社と取引をなすには取締役会の承認を要する旨規定するのは、会社と取締役個人との間の利害衝突から会社の利益を保護することをその目的とするものであるところ、取締役がその会社に対し無利息、無担保で金員を貸付ける行為は、特段の事情のない限り会社の利益にこそなれ不利益であるとはいえないから、取締役会の承認を要しないものと解するのを相当とする。」
判旨:「商法265条(現:会社法356条1項2号、365条1項)が、取締役が自己又は第三者のためにその会社と取引をなすには取締役会の承認を要する旨規定するのは、会社と取締役個人との間の利害衝突から会社の利益を保護することをその目的とするものであるところ、取締役がその会社に対し無利息、無担保で金員を貸付ける行為は、特段の事情のない限り会社の利益にこそなれ不利益であるとはいえないから、取締役会の承認を要しないものと解するのを相当とする。」
過去問・解説
(H25 予備 第21問 エ)
取締役会設置会社である甲株式会社(以下「甲社」という。)の代表取締役Aが、甲社を代表して、甲社の取締役Bとの間で取引(以下「本件取引」という。)を行う場合に関し、判例によれば、本件取引の内容が、Bが甲社に対して無利息かつ無担保で金銭を貸し付けるものである場合には、利益相反取引として甲社の取締役会の承認を受ける必要はない。
取締役会設置会社である甲株式会社(以下「甲社」という。)の代表取締役Aが、甲社を代表して、甲社の取締役Bとの間で取引(以下「本件取引」という。)を行う場合に関し、判例によれば、本件取引の内容が、Bが甲社に対して無利息かつ無担保で金銭を貸し付けるものである場合には、利益相反取引として甲社の取締役会の承認を受ける必要はない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭38.12.6)は、「商法265条(現:会社法356条1項2号、365条1項)が、取締役が自己又は第三者のためにその会社と取引をなすには取締役会の承認を要する旨規定するのは、会社と取締役個人との間の利害衝突から会社の利益を保護することをその目的とするものであるところ、取締役がその会社に対し無利息、無担保で金員を貸付ける行為は、…取締役会の承認を要しない…。」としている。
したがって、Bは、本件取引に当たって甲社の承認を受ける必要はない。
判例(最判昭38.12.6)は、「商法265条(現:会社法356条1項2号、365条1項)が、取締役が自己又は第三者のためにその会社と取引をなすには取締役会の承認を要する旨規定するのは、会社と取締役個人との間の利害衝突から会社の利益を保護することをその目的とするものであるところ、取締役がその会社に対し無利息、無担保で金員を貸付ける行為は、…取締役会の承認を要しない…。」としている。
したがって、Bは、本件取引に当たって甲社の承認を受ける必要はない。
総合メモ
取締役と会社との利益相反取引が株主全員の合意によってされた場合における取締役会の承認の要否 最一小判昭和49年9月26日
概要
取締役と会社との利益相反取引が株主全員の合意によってされた場合には、取締役会の承認を要しない。
判例
事案:取締役と会社との取引が株主全員の合意によってされた場合に、取締役会の承認を要するかが問題となった。
判旨:「商法265条(現:会社法356条1項2号、365条1項)が取締役と会社との取引につき取締役会の承認を要する旨を定めている趣旨は、取締役がその地位を利用して会社と取引をし、自己又は第三者の利益をはかり、会社ひいて株主に不測の損害を蒙らせることを防止することにあると解されるところ、…株主全員の合意がある以上、別に取締役会の承認を要しないことは、上述のように会社の利益保護を目的とする商法265条(現:会社法356条1項2号、365条1項)の立法趣旨に照らし当然であ…る…。」
判旨:「商法265条(現:会社法356条1項2号、365条1項)が取締役と会社との取引につき取締役会の承認を要する旨を定めている趣旨は、取締役がその地位を利用して会社と取引をし、自己又は第三者の利益をはかり、会社ひいて株主に不測の損害を蒙らせることを防止することにあると解されるところ、…株主全員の合意がある以上、別に取締役会の承認を要しないことは、上述のように会社の利益保護を目的とする商法265条(現:会社法356条1項2号、365条1項)の立法趣旨に照らし当然であ…る…。」
総合メモ
会社一任会社と一人株主である取締役との間での直接取引における取締役会の承認の要否 最一小判昭和45年8月20日
概要
会社と取締役間に356条1項2号所定の取引がなされる場合でも、取締役が会社の全株式を所有し、会社の営業が実質上取締役の個人経営にすぎないとき(一人会社と一人株主との間における利益相反取引の場合)は、取引によって両者の間に実質的に利害相反関係が生じないから、取締役会の承認は不要である。
判例
事案:会社と取締役間に356条1項2号所定の取引がなされる場合において、両者の間に実質的に利害相反関係が生じないときに、取締役会の承認が必要であるかが問題となった。
判旨:「本件売買契約締結当時には、被上告会社は株式会社の形態をとっているとはいえ、その営業は実質上、上告人…の個人経営のものにすぎないから、被上告会社の利害得失は実質的には上告人…の利害得失となるものであり、その間に利害相反する関係はない。したがって、上告人…がその所有の本件土地を被上告会社に売り渡すことについて、両者の間に実質的に利害相反の関係を生じるものではないというべきである。…商法265条(現:会社法356条、365条)が、会社と取締役との間の同条所定の取引について取締役会の承認を要するものとしている趣旨は、取締役個人と株式会社との利害相反する場合において取締役個人の利益を図り、会社に不利益な行為が行なわれることを防止するにあるのであるから、会社と取締役間に商法265条(現:会社法356条、365条)所定の取引がなされた場合でも、…実質的に会社と当該取締役との間に利害相反する関係がないときには、同条所定の取締役会の承認は必要ないものと解するのが相当である。」
判旨:「本件売買契約締結当時には、被上告会社は株式会社の形態をとっているとはいえ、その営業は実質上、上告人…の個人経営のものにすぎないから、被上告会社の利害得失は実質的には上告人…の利害得失となるものであり、その間に利害相反する関係はない。したがって、上告人…がその所有の本件土地を被上告会社に売り渡すことについて、両者の間に実質的に利害相反の関係を生じるものではないというべきである。…商法265条(現:会社法356条、365条)が、会社と取締役との間の同条所定の取引について取締役会の承認を要するものとしている趣旨は、取締役個人と株式会社との利害相反する場合において取締役個人の利益を図り、会社に不利益な行為が行なわれることを防止するにあるのであるから、会社と取締役間に商法265条(現:会社法356条、365条)所定の取引がなされた場合でも、…実質的に会社と当該取締役との間に利害相反する関係がないときには、同条所定の取締役会の承認は必要ないものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H22 司法 第43問 4)
取締役会設置会社の取締役に対する金銭の貸付けに関し、判例によれば、株式会社の取締役が当該株式会社の全株式を所有し、当該株式会社の営業が実質上当該取締役の個人経営のものにすぎないときであっても、当該株式会社が当該取締役に対して金銭の貸付けをするためには、当該貸付けに関する取締役会の承認が必要である。
取締役会設置会社の取締役に対する金銭の貸付けに関し、判例によれば、株式会社の取締役が当該株式会社の全株式を所有し、当該株式会社の営業が実質上当該取締役の個人経営のものにすぎないときであっても、当該株式会社が当該取締役に対して金銭の貸付けをするためには、当該貸付けに関する取締役会の承認が必要である。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭45.8.20)は、「会社と取締役間に商法265条(現:会社法356条、365条)所定の取引がなされた場合でも、…実質的に会社と当該取締役との間に利害相反する関係がないときには、同条所定の取締役会の承認は必要ない…。」としている。
したがって、株式会社の取締役が当該株式会社の全株式を所有し、当該株式会社の営業が実質上当該取締役の個人経営のものにすぎないときは、実質的に会社と当該取締役との間に利害相反関係がないから、取締役会の承認は不要である。
判例(最判昭45.8.20)は、「会社と取締役間に商法265条(現:会社法356条、365条)所定の取引がなされた場合でも、…実質的に会社と当該取締役との間に利害相反する関係がないときには、同条所定の取締役会の承認は必要ない…。」としている。
したがって、株式会社の取締役が当該株式会社の全株式を所有し、当該株式会社の営業が実質上当該取締役の個人経営のものにすぎないときは、実質的に会社と当該取締役との間に利害相反関係がないから、取締役会の承認は不要である。
総合メモ
取締役会の承認を得ない利益相反取引の効力 最大判昭和43年12月25日
概要
①取締役が会社法356条1項2号又は3号に違反して、取締役会の承認を受けることなく、利益相反取引をなしたときは、本来、その取引は無効と解すべきである。
②取締役と会社との間に直接成立すべき利益相反する取引(直接取引)にあっては、会社は、当該取締役に対して、取締役会の承認を受けなかったことを理由として、その行為の無効を主張し得ることは、前述のとおり当然である(絶対的無効説)。
③会社以外の第三者と取締役が会社を代表して自己のためにした取引(間接取引)については、取引の安全の見地より、善意の第三者を保護する必要があるから、会社は、その取引について取締役会の承認を受けなかったことのほか、相手方である第三者が悪意(その旨を知っていること)であることを主張し、立証して始めて、その無効をその相手方である第三者に主張し得る(相対的無効説)。
②取締役と会社との間に直接成立すべき利益相反する取引(直接取引)にあっては、会社は、当該取締役に対して、取締役会の承認を受けなかったことを理由として、その行為の無効を主張し得ることは、前述のとおり当然である(絶対的無効説)。
③会社以外の第三者と取締役が会社を代表して自己のためにした取引(間接取引)については、取引の安全の見地より、善意の第三者を保護する必要があるから、会社は、その取引について取締役会の承認を受けなかったことのほか、相手方である第三者が悪意(その旨を知っていること)であることを主張し、立証して始めて、その無効をその相手方である第三者に主張し得る(相対的無効説)。
判例
事案:利益相反取引が行われた場合に、会社が取締役、第三者に対して無効を主張できるかが問題となった。
判旨:「商法265条(現:会社法356条1項2号、3号)は、取締役個人と株式会社との利害相反する場合において、取締役個人の利益を図り、会社に不利益な行為が濫りに行なわれることを防止しようとする法意に外ならないのであるから、同条にいわゆる取引中には、取締役と会社との間に直接成立すべき利益相反の行為のみならず、取締役個人の債務につき、その取締役が会社を代表して、債権者に対し債務引受をなすが如き、取締役個人に利益にして、会社に不利益を及ぼす行為も、取締役の自己のためにする取引として、これに包含されるものと解すべきである…。 そして、取締役が右規定に違反して、取締役会の承認を受けることなく、右の如き行為をなしたときは、本来、その行為は無効と解すべきである。このことは、同条は、取締役会の承認を受けた場合においては、民法108条の規定を適用しない旨規定している反対解釈として、その承認を受けないでした行為は、民法108条違反の場合と同様に、一種の無権代理人の行為として無効となることを予定しているものと解すべきであるからである。 取締役と会社との間に直接成立すべき利益相反する取引にあっては、会社は、当該取締役に対して、取締役会の承認を受けなかったことを理由として、その行為の無効を主張し得ることは、前述のとおり当然であるが、会社以外の第三者と取締役が会社を代表して自己のためにした取引については、取引の安全の見地より、善意の第三者を保護する必要があるから、会社は、その取引について取締役会の承認を受けなかったことのほか、相手方である第三者が悪意(その旨を知っていること)であることを主張し、立証して始めて、その無効をその相手方である第三者に主張し得るものと解するのが相当である。」
判旨:「商法265条(現:会社法356条1項2号、3号)は、取締役個人と株式会社との利害相反する場合において、取締役個人の利益を図り、会社に不利益な行為が濫りに行なわれることを防止しようとする法意に外ならないのであるから、同条にいわゆる取引中には、取締役と会社との間に直接成立すべき利益相反の行為のみならず、取締役個人の債務につき、その取締役が会社を代表して、債権者に対し債務引受をなすが如き、取締役個人に利益にして、会社に不利益を及ぼす行為も、取締役の自己のためにする取引として、これに包含されるものと解すべきである…。 そして、取締役が右規定に違反して、取締役会の承認を受けることなく、右の如き行為をなしたときは、本来、その行為は無効と解すべきである。このことは、同条は、取締役会の承認を受けた場合においては、民法108条の規定を適用しない旨規定している反対解釈として、その承認を受けないでした行為は、民法108条違反の場合と同様に、一種の無権代理人の行為として無効となることを予定しているものと解すべきであるからである。 取締役と会社との間に直接成立すべき利益相反する取引にあっては、会社は、当該取締役に対して、取締役会の承認を受けなかったことを理由として、その行為の無効を主張し得ることは、前述のとおり当然であるが、会社以外の第三者と取締役が会社を代表して自己のためにした取引については、取引の安全の見地より、善意の第三者を保護する必要があるから、会社は、その取引について取締役会の承認を受けなかったことのほか、相手方である第三者が悪意(その旨を知っていること)であることを主張し、立証して始めて、その無効をその相手方である第三者に主張し得るものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H22 司法 第43問 2)
取締役会設置会社の取締役に対する金銭の貸付けに関し、金銭の貸付けが取締役会の承認を受けずにされた場合には、株式会社は、金銭の貸付けを受けた取締役に対して、当該貸付けに係る契約の無効を主張することができる。
取締役会設置会社の取締役に対する金銭の貸付けに関し、金銭の貸付けが取締役会の承認を受けずにされた場合には、株式会社は、金銭の貸付けを受けた取締役に対して、当該貸付けに係る契約の無効を主張することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最大判昭43.12.25)は、「取締役と会社との間に直接成立すべき利益相反する取引にあっては、会社は、当該取締役に対して、取締役会の承認を受けなかったことを理由として、その行為の無効を主張し得ることは、…当然である…。」として、取締役会の承認を得ない直接取引の効力について、会社と当該取締役との間においては、絶対的無効説を採用している。
本肢の事例における利益相反取引は直接取引であるから、株式会社は、金銭の貸付けを受けた取締役に対して、当該貸付けに係る契約の無効を主張することができる。
判例(最大判昭43.12.25)は、「取締役と会社との間に直接成立すべき利益相反する取引にあっては、会社は、当該取締役に対して、取締役会の承認を受けなかったことを理由として、その行為の無効を主張し得ることは、…当然である…。」として、取締役会の承認を得ない直接取引の効力について、会社と当該取締役との間においては、絶対的無効説を採用している。
本肢の事例における利益相反取引は直接取引であるから、株式会社は、金銭の貸付けを受けた取締役に対して、当該貸付けに係る契約の無効を主張することができる。
(H25 予備 第21問 ウ)
取締役会設置会社である甲株式会社(以下「甲社」という。)の代表取締役Aが、甲社を代表して、甲社の取締役Bとの間で取引(以下「本件取引」という。)を行う場合に関し、判例によれば、本件取引が利益相反取引であるにもかかわらず、取締役会の承認を受けずにされた場合でも、Bが有効な取締役会の承認があったと信じて取引をしていたときは、甲社は、Bに対し、本件取引の無効を主張することはできない。
取締役会設置会社である甲株式会社(以下「甲社」という。)の代表取締役Aが、甲社を代表して、甲社の取締役Bとの間で取引(以下「本件取引」という。)を行う場合に関し、判例によれば、本件取引が利益相反取引であるにもかかわらず、取締役会の承認を受けずにされた場合でも、Bが有効な取締役会の承認があったと信じて取引をしていたときは、甲社は、Bに対し、本件取引の無効を主張することはできない。
(正答)✕
(解説)
判例(最大判昭43.12.25)は、「取締役と会社との間に直接成立すべき利益相反する取引にあっては、会社は、当該取締役に対して、取締役会の承認を受けなかったことを理由として、その行為の無効を主張し得ることは、…当然である…。」として、取締役会の承認を得ない直接取引の効力について、会社と当該取締役との間においては、絶対的無効説を採用している。
本肢の事例における利益相反取引は直接取引であるから、Bが有効な取締役会の承認があったと信じて取引をしていたときであっても、甲社は、Bに対し、本件取引の無効を主張することができる。
判例(最大判昭43.12.25)は、「取締役と会社との間に直接成立すべき利益相反する取引にあっては、会社は、当該取締役に対して、取締役会の承認を受けなかったことを理由として、その行為の無効を主張し得ることは、…当然である…。」として、取締役会の承認を得ない直接取引の効力について、会社と当該取締役との間においては、絶対的無効説を採用している。
本肢の事例における利益相反取引は直接取引であるから、Bが有効な取締役会の承認があったと信じて取引をしていたときであっても、甲社は、Bに対し、本件取引の無効を主張することができる。
(H25 司法 第44問 エ)
取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)の取締役が行った取引に関し、代表取締役GがHに対して負担する債務について、Gが、会社を代表して、取締役会の承認を受けないで、その債務を引き受けた場合において、Hが取締役会の承認を受けていないことを知っていたときは、その債務引受けの効力は、会社には及ばない。
取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)の取締役が行った取引に関し、代表取締役GがHに対して負担する債務について、Gが、会社を代表して、取締役会の承認を受けないで、その債務を引き受けた場合において、Hが取締役会の承認を受けていないことを知っていたときは、その債務引受けの効力は、会社には及ばない。
(正答)〇
(解説)
判例(最大判昭43.12.25)は、「会社以外の第三者と取締役が会社を代表して自己のためにした取引については、取引の安全の見地より、善意の第三者を保護する必要があるから、会社は、その取引について取締役会の承認を受けなかったことのほか、相手方である第三者が悪意(その旨を知っていること)であることを主張し、立証して始めて、その無効をその相手方である第三者に主張し得るものと解するのが相当である。」として、取締役会の承認を得ない間接取引の効力について、会社と相手方である第三者との間においては、相対的無効説を採用している。
本肢の事例における利益相反取引は間接取引であるから、Hが取締役会の承認を受けていないことを知っていたときは、その債務引受けの効力は、会社には及ばない。
判例(最大判昭43.12.25)は、「会社以外の第三者と取締役が会社を代表して自己のためにした取引については、取引の安全の見地より、善意の第三者を保護する必要があるから、会社は、その取引について取締役会の承認を受けなかったことのほか、相手方である第三者が悪意(その旨を知っていること)であることを主張し、立証して始めて、その無効をその相手方である第三者に主張し得るものと解するのが相当である。」として、取締役会の承認を得ない間接取引の効力について、会社と相手方である第三者との間においては、相対的無効説を採用している。
本肢の事例における利益相反取引は間接取引であるから、Hが取締役会の承認を受けていないことを知っていたときは、その債務引受けの効力は、会社には及ばない。
総合メモ
取締役の退職慰労金の報酬該当性 最二小判昭和48年11月26日
概要
株式会社の取締役または監査役であった者に対して支給される退職慰労金(死亡の場合の弔慰金を含む。)は、それが在職中の職務執行の対価であるときは、361条1項にいう報酬に含まれる。
判例
事案:株式会社の取締役または監査役であった者に対して退職慰労金(死亡の場合の弔慰金を含む。)が支給された場合に、これが361条1項にいう報酬に含まれるかが問題となった。
判旨:「株式会社の取締役または監査役であった者に対して支給される退職慰労金(死亡の場合の弔慰金を含む。以下同じ。)は、それが在職中の職務執行の対価であるときは、商法269条(現:会社法361条1項)にいう報酬に含まれると解されるところ、同条の立法趣旨に照らすと、株主総会の決議により、右報酬の金額などの決定をすべて無条件に取締役会に一任することは許されないというべきであるが、これと異なり、株主総会の決議において、明示的もしくは黙示的に、その支給に関する基準を示し、具体的な金額、支払期日、支払方法などは右基準によって定めるべきものとして、その決定を取締役会に任せることは許されるものであり、このような決議をもって無効と解すべきでない…。」
判旨:「株式会社の取締役または監査役であった者に対して支給される退職慰労金(死亡の場合の弔慰金を含む。以下同じ。)は、それが在職中の職務執行の対価であるときは、商法269条(現:会社法361条1項)にいう報酬に含まれると解されるところ、同条の立法趣旨に照らすと、株主総会の決議により、右報酬の金額などの決定をすべて無条件に取締役会に一任することは許されないというべきであるが、これと異なり、株主総会の決議において、明示的もしくは黙示的に、その支給に関する基準を示し、具体的な金額、支払期日、支払方法などは右基準によって定めるべきものとして、その決定を取締役会に任せることは許されるものであり、このような決議をもって無効と解すべきでない…。」
過去問・解説
(H24 共通 第42問 ア)
取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)の取締役の報酬等に関し、判例によれば、取締役が死亡した場合の弔慰金の支給は、それが在職中の職務執行の対価であるときは、株主総会の決議によらなければならない。なお、定款には、報酬等に関する事項の定めがないものとする。
取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)の取締役の報酬等に関し、判例によれば、取締役が死亡した場合の弔慰金の支給は、それが在職中の職務執行の対価であるときは、株主総会の決議によらなければならない。なお、定款には、報酬等に関する事項の定めがないものとする。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭48.11.26)は、「株式会社の取締役または監査役であった者に対して支給される退職慰労金(死亡の場合の弔慰金を含む。以下同じ。)は、それが在職中の職務執行の対価であるときは、商法269条(現:会社法361条1項)にいう報酬に含まれる…。」としている。
したがって、取締役が死亡した場合の弔慰金の支給が在職中の職務執行の対価であるときは、361条1項により、株主総会の決議が必要である。
判例(最判昭48.11.26)は、「株式会社の取締役または監査役であった者に対して支給される退職慰労金(死亡の場合の弔慰金を含む。以下同じ。)は、それが在職中の職務執行の対価であるときは、商法269条(現:会社法361条1項)にいう報酬に含まれる…。」としている。
したがって、取締役が死亡した場合の弔慰金の支給が在職中の職務執行の対価であるときは、361条1項により、株主総会の決議が必要である。
総合メモ
取締役の退職慰労金支給に関し取締役会に一任する旨の株主総会決議 最二小判昭和39年12月11日
概要
取締役の退職慰労金支給に関する「金額、支給期日、支払方法を取締役会に一任する」との株主総会決議をした場合でも、上記決議は、当該会社において慣例となっている一定の支給基準によって支給すべき趣旨であるときは、361条1項の趣旨に反せず、有効である。
判例
事案:取締役の退職慰労金支給に関する「金額、支給期日、支払方法を取締役会に一任する」との株主総会決議が有効であるかが問題となった。
判旨:「株式会社の役員に対する退職慰労金は、その在職中における職務執行の対価として支給されるものである限り、商法280条、同269条(現:会社法361条1項)にいう報酬に含まれるものと解すべく、これにつき定款にその額の定めがない限り株主総会の決議をもってこれを定むべきものであり、無条件に取締役会の決定に一任することは許されない…が、…退職慰労金支給決議は、その金額、支給期日、支給方法を無条件に取締役会の決定に一任した趣旨でなく、…一定の基準に従うべき趣旨である…以上、株主総会においてその金額等に関する一定の枠が決定されたものというべきであるから、これをもって同条の趣旨に反し無効の決議であるということはできない。」
補足:最三小昭和44年10月28日も、「株式会社の取締役または監査役であった者に対して支給される退職慰労金は,それが在職中の職務執行の対価であるときは、商法269条(同法280条によって監査役に準用される。)にいう報酬に含まれるものと解されるところ、同条が、報酬は定款にその額を定めないときは株主総会の決議をもってこれを定めるべきことを要求した同条の立法趣旨に照らすと、株主総会の決議により、右報酬の金額などの決定をすべて無条件に取締役会に一任することは許されないというべきであるが、これと異なり、株主総会の決議において、明示的もしくは黙示的に、その支給に関する基準を示し、具体的な金額、支払期日、支払方法などは右基準によって定めるべきものとして、その決定を取締役会に任せることは差しつかえなく、かような決議をもって無効と解すべきではない(最高裁昭和38年(オ)第120号、同39年12月11日第二小法廷判決、民集18巻10号2143頁参照)。」と判示している。
判旨:「株式会社の役員に対する退職慰労金は、その在職中における職務執行の対価として支給されるものである限り、商法280条、同269条(現:会社法361条1項)にいう報酬に含まれるものと解すべく、これにつき定款にその額の定めがない限り株主総会の決議をもってこれを定むべきものであり、無条件に取締役会の決定に一任することは許されない…が、…退職慰労金支給決議は、その金額、支給期日、支給方法を無条件に取締役会の決定に一任した趣旨でなく、…一定の基準に従うべき趣旨である…以上、株主総会においてその金額等に関する一定の枠が決定されたものというべきであるから、これをもって同条の趣旨に反し無効の決議であるということはできない。」
補足:最三小昭和44年10月28日も、「株式会社の取締役または監査役であった者に対して支給される退職慰労金は,それが在職中の職務執行の対価であるときは、商法269条(同法280条によって監査役に準用される。)にいう報酬に含まれるものと解されるところ、同条が、報酬は定款にその額を定めないときは株主総会の決議をもってこれを定めるべきことを要求した同条の立法趣旨に照らすと、株主総会の決議により、右報酬の金額などの決定をすべて無条件に取締役会に一任することは許されないというべきであるが、これと異なり、株主総会の決議において、明示的もしくは黙示的に、その支給に関する基準を示し、具体的な金額、支払期日、支払方法などは右基準によって定めるべきものとして、その決定を取締役会に任せることは差しつかえなく、かような決議をもって無効と解すべきではない(最高裁昭和38年(オ)第120号、同39年12月11日第二小法廷判決、民集18巻10号2143頁参照)。」と判示している。
過去問・解説
(H18 司法 第46問 1)
監査役設置会社の取締役又は監査役の報酬に関し、判例によれば、取締役の退職慰労金については、定款又は株主総会決議で取締役に対する支給額の総額を定めることを要する。
監査役設置会社の取締役又は監査役の報酬に関し、判例によれば、取締役の退職慰労金については、定款又は株主総会決議で取締役に対する支給額の総額を定めることを要する。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭39.12.11)は、「株式会社の役員に対する退職慰労金は、その在職中における職務執行の対価として支給されるものである限り、商法280条、同269条(現:会社法361条1項)にいう報酬に含まれるものと解すべく、これにつき定款にその額の定めがない限り株主総会の決議をもってこれを定むべきものであり、無条件に取締役会の決定に一任することは許されない…が、…株主総会においてその金額等に関する一定の枠が決定されたものというべきであるから、これをもって同条の趣旨に反し無効の決議であるということはできない。」としている。
したがって、定款又は株主総会決議で退職慰労金の総額を定める必要はない。
判例(最判昭39.12.11)は、「株式会社の役員に対する退職慰労金は、その在職中における職務執行の対価として支給されるものである限り、商法280条、同269条(現:会社法361条1項)にいう報酬に含まれるものと解すべく、これにつき定款にその額の定めがない限り株主総会の決議をもってこれを定むべきものであり、無条件に取締役会の決定に一任することは許されない…が、…株主総会においてその金額等に関する一定の枠が決定されたものというべきであるから、これをもって同条の趣旨に反し無効の決議であるということはできない。」としている。
したがって、定款又は株主総会決議で退職慰労金の総額を定める必要はない。
(R1 予備 第21問 2)
監査役会設置会社の取締役の報酬等に関し、判例の趣旨によれば、退任する取締役の退職慰労金については、株主総会の決議により、明示的又は黙示的に、その支給に関する基準を示し、具体的な金額等は当該基準によって定めるべきものとして、その決定を取締役会の決定に委任することができる。なお、定款には、報酬等に関する事項の定めがないものとする。
監査役会設置会社の取締役の報酬等に関し、判例の趣旨によれば、退任する取締役の退職慰労金については、株主総会の決議により、明示的又は黙示的に、その支給に関する基準を示し、具体的な金額等は当該基準によって定めるべきものとして、その決定を取締役会の決定に委任することができる。なお、定款には、報酬等に関する事項の定めがないものとする。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭39.12.11)は、「株式会社の役員に対する退職慰労金は、その在職中における職務執行の対価として支給されるものである限り、商法280条、同269条(現:会社法361条1項)にいう報酬に含まれるものと解すべく、これにつき定款にその額の定めがない限り株主総会の決議をもってこれを定むべきものであり、無条件に取締役会の決定に一任することは許されない…が、…株主総会においてその金額等に関する一定の枠が決定されたものというべきであるから、これをもって同条の趣旨に反し無効の決議であるということはできない。」としている。
判例(最判昭39.12.11)は、「株式会社の役員に対する退職慰労金は、その在職中における職務執行の対価として支給されるものである限り、商法280条、同269条(現:会社法361条1項)にいう報酬に含まれるものと解すべく、これにつき定款にその額の定めがない限り株主総会の決議をもってこれを定むべきものであり、無条件に取締役会の決定に一任することは許されない…が、…株主総会においてその金額等に関する一定の枠が決定されたものというべきであるから、これをもって同条の趣旨に反し無効の決議であるということはできない。」としている。
(R1 予備 第21問 3)
監査役会設置会社の取締役の報酬等に関し、退任する取締役の退職慰労金に係る株主総会の決議においては、確定した額を定めるのではなく、具体的な算定方法を定めることはできない。なお、定款には、報酬等に関する事項の定めがないものとする。
監査役会設置会社の取締役の報酬等に関し、退任する取締役の退職慰労金に係る株主総会の決議においては、確定した額を定めるのではなく、具体的な算定方法を定めることはできない。なお、定款には、報酬等に関する事項の定めがないものとする。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭39.12.11)は、「株式会社の役員に対する退職慰労金は、その在職中における職務執行の対価として支給されるものである限り、商法280条、同269条(現:会社法361条1項)にいう報酬に含まれる…。」としている。
そして、報酬等のうち額が確定していないものについては、その具体的な算定方法を株主総会の決議によって定めることができる(361条1項2号)。
判例(最判昭39.12.11)は、「株式会社の役員に対する退職慰労金は、その在職中における職務執行の対価として支給されるものである限り、商法280条、同269条(現:会社法361条1項)にいう報酬に含まれる…。」としている。
そして、報酬等のうち額が確定していないものについては、その具体的な算定方法を株主総会の決議によって定めることができる(361条1項2号)。
総合メモ
取締役の退職慰労年金に関する内規の廃止 最三小判平成22年3月16日
概要
①株式会社の取締役に対する退職慰労年金は、取締役の職務執行の対価として支給される趣旨を含むものと解されるから、会社法361条1項にいう報酬等に当たる。
②会社の内規に従って決定された退職慰労年金が支給される場合であっても、取締役が退任により当然に本件内規に基づき退職慰労年金債権を取得することはなく、株主総会決議による個別の判断を経て初めて、株式会社と退任取締役との間で退職慰労年金の支給についての契約が成立し、当該退任取締役が具体的な退職慰労年金債権を取得するに至る。
②会社の内規に従って決定された退職慰労年金が支給される場合であっても、取締役が退任により当然に本件内規に基づき退職慰労年金債権を取得することはなく、株主総会決議による個別の判断を経て初めて、株式会社と退任取締役との間で退職慰労年金の支給についての契約が成立し、当該退任取締役が具体的な退職慰労年金債権を取得するに至る。
判例
事案:株式会社の取締役を退任した者が、株主総会決議等によって定められたところに従い、当時の同社の役員退職慰労金規程(以下「本件内規」という。)に基づき算出された額の退職慰労年金を受給していたところ、その後の取締役会決議で本件内規が廃止されたとして同年金の支給が打ち切られたため、同社に対し、未支給の退職慰労年金の支払等を求める事案において、退任取締役が退職慰労年金債権を取得することとなる時期(株主総会決議による個別の判断を経ることの要否)が問題となった。
判旨:「被上告人の取締役に対する退職慰労年金は、取締役の職務執行の対価として支給される趣旨を含むものと解されるから、会社法361条1項にいう報酬等に当たる。本件内規に従って決定された退職慰労年金が支給される場合であっても、取締役が退任により当然に本件内規に基づき退職慰労年金債権を取得することはなく、被上告人の株主総会決議による個別の判断を経て初めて、被上告人と退任取締役との間で退職慰労年金の支給についての契約が成立し、当該退任取締役が具体的な退職慰労年金債権を取得するに至るものである。被上告人が、内規により退任役員に対して支給すべき退職慰労金の算定基準等を定めているからといって、異なる時期に退任する取締役相互間についてまで画一的に退職慰労年金の支給の可否、金額等を決定することが予定されているものではなく、退職慰労年金の支給につき、退任取締役相互間の公平を図るために、いったん成立した契約の効力を否定してまで集団的、画一的な処理を図ることが制度上要請されているとみることはできない。退任取締役が被上告人の株主総会決議による個別の判断を経て具体的な退職慰労年金債権を取得したものである以上、その支給期間が長期にわたり、その間に社会経済情勢等が変化し得ることや、その後の本件内規の改廃により将来退任する取締役との間に不公平が生ずるおそれがあることなどを勘案しても、退職慰労年金については、上記のような集団的、画一的処理が制度上要請されているという理由のみから、本件内規の廃止の効力を既に退任した取締役に及ぼすことは許されず、その同意なく上記退職慰労年金債権を失わせることはできないと解するのが相当である。」
判旨:「被上告人の取締役に対する退職慰労年金は、取締役の職務執行の対価として支給される趣旨を含むものと解されるから、会社法361条1項にいう報酬等に当たる。本件内規に従って決定された退職慰労年金が支給される場合であっても、取締役が退任により当然に本件内規に基づき退職慰労年金債権を取得することはなく、被上告人の株主総会決議による個別の判断を経て初めて、被上告人と退任取締役との間で退職慰労年金の支給についての契約が成立し、当該退任取締役が具体的な退職慰労年金債権を取得するに至るものである。被上告人が、内規により退任役員に対して支給すべき退職慰労金の算定基準等を定めているからといって、異なる時期に退任する取締役相互間についてまで画一的に退職慰労年金の支給の可否、金額等を決定することが予定されているものではなく、退職慰労年金の支給につき、退任取締役相互間の公平を図るために、いったん成立した契約の効力を否定してまで集団的、画一的な処理を図ることが制度上要請されているとみることはできない。退任取締役が被上告人の株主総会決議による個別の判断を経て具体的な退職慰労年金債権を取得したものである以上、その支給期間が長期にわたり、その間に社会経済情勢等が変化し得ることや、その後の本件内規の改廃により将来退任する取締役との間に不公平が生ずるおそれがあることなどを勘案しても、退職慰労年金については、上記のような集団的、画一的処理が制度上要請されているという理由のみから、本件内規の廃止の効力を既に退任した取締役に及ぼすことは許されず、その同意なく上記退職慰労年金債権を失わせることはできないと解するのが相当である。」
過去問・解説
(R1 予備 第21問 5)
監査役会設置会社の取締役の報酬等に関し、判例の趣旨によれば、退任した取締役が株主総会の決議を経て株式会社の内規に従い具体的な退職慰労年金債権を取得した場合には、その後、取締役会の決議によって当該内規が廃止されたときであっても、退任取締役相互間の公平を図るため集団的、画一的な処理が制度上要請されているという理由のみから、当該内規の廃止の効力を既に退任した取締役に及ぼし、その同意なく未支給の退職慰労年金債権を失わせることはできない。なお、定款には、報酬等に関する事項の定めがないものとする。
監査役会設置会社の取締役の報酬等に関し、判例の趣旨によれば、退任した取締役が株主総会の決議を経て株式会社の内規に従い具体的な退職慰労年金債権を取得した場合には、その後、取締役会の決議によって当該内規が廃止されたときであっても、退任取締役相互間の公平を図るため集団的、画一的な処理が制度上要請されているという理由のみから、当該内規の廃止の効力を既に退任した取締役に及ぼし、その同意なく未支給の退職慰労年金債権を失わせることはできない。なお、定款には、報酬等に関する事項の定めがないものとする。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平22.3.16)は、「被上告人が、内規により退任役員に対して支給すべき退職慰労金の算定基準等を定めているからといって、異なる時期に退任する取締役相互間についてまで画一的に退職慰労年金の支給の可否,金額等を決定することが予定されているものではなく、退職慰労年金の支給につき、退任取締役相互間の公平を図るために、いったん成立した契約の効力を否定してまで集団的、画一的な処理を図ることが制度上要請されているとみることはできない。」とした上で、「退任取締役が被上告人の株主総会決議による個別の判断を経て具体的な退職慰労年金債権を取得したものである以上、その支給期間が長期にわたり、その間に社会経済情勢等が変化し得ることや、その後の本件内規の改廃により将来退任する取締役との間に不公平が生ずるおそれがあることなどを勘案しても、退職慰労年金については、上記のような集団的、画一的処理が制度上要請されているという理由のみから、本件内規の廃止の効力を既に退任した取締役に及ぼすことは許されず、その同意なく上記退職慰労年金債権を失わせることはできない…。」としている。
判例(最判平22.3.16)は、「被上告人が、内規により退任役員に対して支給すべき退職慰労金の算定基準等を定めているからといって、異なる時期に退任する取締役相互間についてまで画一的に退職慰労年金の支給の可否,金額等を決定することが予定されているものではなく、退職慰労年金の支給につき、退任取締役相互間の公平を図るために、いったん成立した契約の効力を否定してまで集団的、画一的な処理を図ることが制度上要請されているとみることはできない。」とした上で、「退任取締役が被上告人の株主総会決議による個別の判断を経て具体的な退職慰労年金債権を取得したものである以上、その支給期間が長期にわたり、その間に社会経済情勢等が変化し得ることや、その後の本件内規の改廃により将来退任する取締役との間に不公平が生ずるおそれがあることなどを勘案しても、退職慰労年金については、上記のような集団的、画一的処理が制度上要請されているという理由のみから、本件内規の廃止の効力を既に退任した取締役に及ぼすことは許されず、その同意なく上記退職慰労年金債権を失わせることはできない…。」としている。
総合メモ
取締役の報酬額には使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれない旨を明示してされた取締役の報酬額改訂の株主総会決議の適法性 最三小判昭和60年3月26日
概要
取締役の報酬額には使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれない旨を明示して取締役全員の報酬総額を改訂する株主総会決議がされた場合において、少なくとも使用人として受ける給与の体系が明確に確立されており、かつ、使用人として受ける給与がそれにより支給されている限り、上記株主総会決議は、361条1項に違反せず、また、同条の脱法行為に当たらない。
判例
事案:取締役の報酬額には使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれない旨を明示してされた取締役の報酬額改定の株主総会決議が適法であるかが問題となった。
判旨:「(1)商法269条(現:会社法361条1項)の規定の趣旨は取締役の報酬額について取締役ないし取締役会によるいわゆるお手盛りの弊害を防止する点にあるから、株主総会の決議で取締役全員の報酬の総額を定め、その具体的な配分は取締役会の決定に委ねることができ、株主総会の決議で各取締役の報酬額を個別に定めることまでは必要ではなく、この理は、使用人兼務取締役が取締役として受ける報酬額の決定についても、…使用人として受ける給与の体系が明確に確立されており、かつ、使用人として受ける給与がそれによって支給されている限り、同様であるということができる、(2)右のように使用人として受ける給与の体系が明確に確立されている場合においては、使用人兼務取締役について、別に使用人として給与を受けることを予定しつつ、取締役として受ける報酬額のみを株主総会で決議することとしても、取締役としての実質的な意味における報酬が過多でないかどうかについて株主総会がその監視機能を十分に果たせなくなるとは考えられないから、右のような内容の本件株主総会決議が商法269条(現:会社法361条1項)の脱法行為にあたるとはいえない…。」
判旨:「(1)商法269条(現:会社法361条1項)の規定の趣旨は取締役の報酬額について取締役ないし取締役会によるいわゆるお手盛りの弊害を防止する点にあるから、株主総会の決議で取締役全員の報酬の総額を定め、その具体的な配分は取締役会の決定に委ねることができ、株主総会の決議で各取締役の報酬額を個別に定めることまでは必要ではなく、この理は、使用人兼務取締役が取締役として受ける報酬額の決定についても、…使用人として受ける給与の体系が明確に確立されており、かつ、使用人として受ける給与がそれによって支給されている限り、同様であるということができる、(2)右のように使用人として受ける給与の体系が明確に確立されている場合においては、使用人兼務取締役について、別に使用人として給与を受けることを予定しつつ、取締役として受ける報酬額のみを株主総会で決議することとしても、取締役としての実質的な意味における報酬が過多でないかどうかについて株主総会がその監視機能を十分に果たせなくなるとは考えられないから、右のような内容の本件株主総会決議が商法269条(現:会社法361条1項)の脱法行為にあたるとはいえない…。」
過去問・解説
(H18 司法 第46問 2)
監査役設置会社の取締役又は監査役の報酬に関し、判例によれば、使用人兼務取締役については、取締役として受ける報酬に関する事項のみを株主総会で決議するのでは足りず、使用人分給与についても株主総会で決議することを要する。
監査役設置会社の取締役又は監査役の報酬に関し、判例によれば、使用人兼務取締役については、取締役として受ける報酬に関する事項のみを株主総会で決議するのでは足りず、使用人分給与についても株主総会で決議することを要する。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭60.3.26)は、「使用人として受ける給与の体系が明確に確立されている場合においては、使用人兼務取締役について、別に使用人として給与を受けることを予定しつつ、取締役として受ける報酬額のみを株主総会で決議することとしても、取締役としての実質的な意味における報酬が過多でないかどうかについて株主総会がその監視機能を十分に果たせなくなるとは考えられないから、右のような内容の本件株主総会決議が商法269条(現:会社法361条1項)の脱法行為にあたるとはいえない…。」としている。
判例(最判昭60.3.26)は、「使用人として受ける給与の体系が明確に確立されている場合においては、使用人兼務取締役について、別に使用人として給与を受けることを予定しつつ、取締役として受ける報酬額のみを株主総会で決議することとしても、取締役としての実質的な意味における報酬が過多でないかどうかについて株主総会がその監視機能を十分に果たせなくなるとは考えられないから、右のような内容の本件株主総会決議が商法269条(現:会社法361条1項)の脱法行為にあたるとはいえない…。」としている。
(H24 共通 第42問 ウ)
取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)の取締役の報酬等に関し、判例によれば、株主総会の決議で取締役全員の報酬の総額を定め、その具体的な配分は、取締役会の決定に委ねることができる。なお、定款には、報酬等に関する事項の定めがないものとする。
取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)の取締役の報酬等に関し、判例によれば、株主総会の決議で取締役全員の報酬の総額を定め、その具体的な配分は、取締役会の決定に委ねることができる。なお、定款には、報酬等に関する事項の定めがないものとする。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭60.3.26)は、取締役の報酬等について、「株主総会の決議で取締役全員の報酬の総額を定め、その具体的な配分は取締役会の決定に委ねることができ、株主総会の決議で各取締役の報酬額を個別に定めることまでは必要ではな…い…。」としている。
判例(最判昭60.3.26)は、取締役の報酬等について、「株主総会の決議で取締役全員の報酬の総額を定め、その具体的な配分は取締役会の決定に委ねることができ、株主総会の決議で各取締役の報酬額を個別に定めることまでは必要ではな…い…。」としている。
(R1 予備 第21問 1)
監査役会設置会社の取締役の報酬等に関し、判例の趣旨によれば、取締役の報酬については、株主総会の決議により、取締役全員の報酬の総額の最高限度額を定め、各取締役に対する配分の決定を取締役会の決定に委任することができ、その委任を受けた取締役会は、その決議によって、各取締役の報酬の額の決定を代表取締役に再委任することができる。なお、定款には、報酬等に関する事項の定めがないものとする。
監査役会設置会社の取締役の報酬等に関し、判例の趣旨によれば、取締役の報酬については、株主総会の決議により、取締役全員の報酬の総額の最高限度額を定め、各取締役に対する配分の決定を取締役会の決定に委任することができ、その委任を受けた取締役会は、その決議によって、各取締役の報酬の額の決定を代表取締役に再委任することができる。なお、定款には、報酬等に関する事項の定めがないものとする。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭60.3.26)は、取締役の報酬等について、「株主総会の決議で取締役全員の報酬の総額を定め、その具体的な配分は取締役会の決定に委ねることができ、株主総会の決議で各取締役の報酬額を個別に定めることまでは必要ではな…い…。」としている。
また、株主総会から委任を受けた取締役会が代表取締役に決定を再一任することも可能であると解されている。
判例(最判昭60.3.26)は、取締役の報酬等について、「株主総会の決議で取締役全員の報酬の総額を定め、その具体的な配分は取締役会の決定に委ねることができ、株主総会の決議で各取締役の報酬額を個別に定めることまでは必要ではな…い…。」としている。
また、株主総会から委任を受けた取締役会が代表取締役に決定を再一任することも可能であると解されている。
(R5 予備 第21問 5)
取締役会設置会社(指名委員会等設置会社を除く。)における代表取締役でない取締役に関し、判例の趣旨によれば、使用人として受ける給与の体系が明確に確立されている場合であっても、使用人兼務取締役について、別に使用人として給与を受けることを予定しつつ、取締役として給与を受ける報酬額のみを株主総会で決議することはできない。
取締役会設置会社(指名委員会等設置会社を除く。)における代表取締役でない取締役に関し、判例の趣旨によれば、使用人として受ける給与の体系が明確に確立されている場合であっても、使用人兼務取締役について、別に使用人として給与を受けることを予定しつつ、取締役として給与を受ける報酬額のみを株主総会で決議することはできない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭60.3.26)は、「使用人として受ける給与の体系が明確に確立されている場合においては、使用人兼務取締役について、別に使用人として給与を受けることを予定しつつ、取締役として受ける報酬額のみを株主総会で決議することとしても、取締役としての実質的な意味における報酬が過多でないかどうかについて株主総会がその監視機能を十分に果たせなくなるとは考えられないから、右のような内容の本件株主総会決議が商法269条(現:会社法361条1項)の脱法行為にあたるとはいえない…。」としている。
判例(最判昭60.3.26)は、「使用人として受ける給与の体系が明確に確立されている場合においては、使用人兼務取締役について、別に使用人として給与を受けることを予定しつつ、取締役として受ける報酬額のみを株主総会で決議することとしても、取締役としての実質的な意味における報酬が過多でないかどうかについて株主総会がその監視機能を十分に果たせなくなるとは考えられないから、右のような内容の本件株主総会決議が商法269条(現:会社法361条1項)の脱法行為にあたるとはいえない…。」としている。
総合メモ
取締役の報酬を無報酬に変更する旨の株主総会決議と報酬請求権 最二小判平成4年12月18日
概要
株主総会が取締役の報酬を無報酬に変更する旨の決議をしても、当該取締役は、この変更に同意しない限り、報酬請求権を失わない。
判例
事案:株主総会が取締役の報酬を無報酬に変更する旨の決議をした場合に、当該取締役の報酬請求権が失われるかが問題となった。
判旨:「株式会社において、定款又は株主総会の決議(株主総会において取締役報酬の総額を定め、取締役会において各取締役に対する配分を決議した場合を含む。)によって取締役の報酬額が具体的に定められた場合には、その報酬額は、会社と取締役間の契約内容となり、契約当事者である会社と取締役の双方を拘束するから、その後株主総会が当該取締役の報酬につきこれを無報酬とする旨の決議をしたとしても、当該取締役は、これに同意しない限り、右報酬の請求権を失うものではないと解するのが相当である。この理は、取締役の職務内容に著しい変更があり、それを前提に右株主総会決議がされた場合であっても異ならない。」
判旨:「株式会社において、定款又は株主総会の決議(株主総会において取締役報酬の総額を定め、取締役会において各取締役に対する配分を決議した場合を含む。)によって取締役の報酬額が具体的に定められた場合には、その報酬額は、会社と取締役間の契約内容となり、契約当事者である会社と取締役の双方を拘束するから、その後株主総会が当該取締役の報酬につきこれを無報酬とする旨の決議をしたとしても、当該取締役は、これに同意しない限り、右報酬の請求権を失うものではないと解するのが相当である。この理は、取締役の職務内容に著しい変更があり、それを前提に右株主総会決議がされた場合であっても異ならない。」
過去問・解説
(H18 司法 第46問 3)
監査役設置会社の取締役又は監査役の報酬に関し、判例によれば、各取締役の報酬額が具体的に定められた場合、株主総会決議をもってしても、当該取締役の同意なくその報酬額を減額することはできない。
監査役設置会社の取締役又は監査役の報酬に関し、判例によれば、各取締役の報酬額が具体的に定められた場合、株主総会決議をもってしても、当該取締役の同意なくその報酬額を減額することはできない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平4.12.18)は、「株式会社において、定款又は株主総会の決議…によって取締役の報酬額が具体的に定められた場合には、その報酬額は、会社と取締役間の契約内容となり、契約当事者である会社と取締役の双方を拘束するから、その後株主総会が当該取締役の報酬につきこれを無報酬とする旨の決議をしたとしても、当該取締役は、これに同意しない限り、右報酬の請求権を失うものではない…。」としている。
判例(最判平4.12.18)は、「株式会社において、定款又は株主総会の決議…によって取締役の報酬額が具体的に定められた場合には、その報酬額は、会社と取締役間の契約内容となり、契約当事者である会社と取締役の双方を拘束するから、その後株主総会が当該取締役の報酬につきこれを無報酬とする旨の決議をしたとしても、当該取締役は、これに同意しない限り、右報酬の請求権を失うものではない…。」としている。
(H24 司法 第42問 イ)
判例によれば、株主総会の決議に基づいて取締役の報酬の額が具体的に定められた場合でも、その後、株主総会がその取締役の報酬を無報酬とする旨の決議をしたときは、その取締役は、これに同意しなくても報酬を請求することができなくなる。
判例によれば、株主総会の決議に基づいて取締役の報酬の額が具体的に定められた場合でも、その後、株主総会がその取締役の報酬を無報酬とする旨の決議をしたときは、その取締役は、これに同意しなくても報酬を請求することができなくなる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平4.12.18)は、「株式会社において、定款又は株主総会の決議…によって取締役の報酬額が具体的に定められた場合には、その報酬額は、会社と取締役間の契約内容となり、契約当事者である会社と取締役の双方を拘束するから、その後株主総会が当該取締役の報酬につきこれを無報酬とする旨の決議をしたとしても、当該取締役は、これに同意しない限り、右報酬の請求権を失うものではない…。」としている。
判例(最判平4.12.18)は、「株式会社において、定款又は株主総会の決議…によって取締役の報酬額が具体的に定められた場合には、その報酬額は、会社と取締役間の契約内容となり、契約当事者である会社と取締役の双方を拘束するから、その後株主総会が当該取締役の報酬につきこれを無報酬とする旨の決議をしたとしても、当該取締役は、これに同意しない限り、右報酬の請求権を失うものではない…。」としている。
(H24 共通 第42問 イ)
取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)の取締役の報酬等に関し、判例によれば、株主総会の決議に基づいて取締役の報酬の額が具体的に定められた場合でも、その後、株主総会がその取締役の報酬を無報酬とする旨の決議をしたときは、その取締役は、これに同意しなくても報酬を請求することができなくなる。なお、定款には、報酬等に関する事項の定めがないものとする。
取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)の取締役の報酬等に関し、判例によれば、株主総会の決議に基づいて取締役の報酬の額が具体的に定められた場合でも、その後、株主総会がその取締役の報酬を無報酬とする旨の決議をしたときは、その取締役は、これに同意しなくても報酬を請求することができなくなる。なお、定款には、報酬等に関する事項の定めがないものとする。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平4.12.18)は、「株式会社において、定款又は株主総会の決議…によって取締役の報酬額が具体的に定められた場合には、その報酬額は、会社と取締役間の契約内容となり、契約当事者である会社と取締役の双方を拘束するから、その後株主総会が当該取締役の報酬につきこれを無報酬とする旨の決議をしたとしても、当該取締役は、これに同意しない限り、右報酬の請求権を失うものではない…。」としている。
判例(最判平4.12.18)は、「株式会社において、定款又は株主総会の決議…によって取締役の報酬額が具体的に定められた場合には、その報酬額は、会社と取締役間の契約内容となり、契約当事者である会社と取締役の双方を拘束するから、その後株主総会が当該取締役の報酬につきこれを無報酬とする旨の決議をしたとしても、当該取締役は、これに同意しない限り、右報酬の請求権を失うものではない…。」としている。
(R4 予備 第20問 エ)
取締役会設置会社の取締役に関し、判例の趣旨によれば、取締役は、株主総会の決議によって当該取締役の報酬額が具体的に定められた場合には、その後の株主総会によってその報酬を無報酬に変更する旨の決議がされたとしても、その変更に同意しない限り、報酬請求権を失わない。
取締役会設置会社の取締役に関し、判例の趣旨によれば、取締役は、株主総会の決議によって当該取締役の報酬額が具体的に定められた場合には、その後の株主総会によってその報酬を無報酬に変更する旨の決議がされたとしても、その変更に同意しない限り、報酬請求権を失わない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平4.12.18)は、「株式会社において、定款又は株主総会の決議…によって取締役の報酬額が具体的に定められた場合には、その報酬額は、会社と取締役間の契約内容となり、契約当事者である会社と取締役の双方を拘束するから、その後株主総会が当該取締役の報酬につきこれを無報酬とする旨の決議をしたとしても、当該取締役は、これに同意しない限り、右報酬の請求権を失うものではない…。」としている。
判例(最判平4.12.18)は、「株式会社において、定款又は株主総会の決議…によって取締役の報酬額が具体的に定められた場合には、その報酬額は、会社と取締役間の契約内容となり、契約当事者である会社と取締役の双方を拘束するから、その後株主総会が当該取締役の報酬につきこれを無報酬とする旨の決議をしたとしても、当該取締役は、これに同意しない限り、右報酬の請求権を失うものではない…。」としている。
総合メモ
株主総会の決議を経ずに支払われた役員報酬について事後に株主総会の決議を経た場合 最三小判平成17年2月15日
概要
株主総会の決議を経ずに支払われた役員報酬について事後に株主総会の決議を経た場合には、当該決議の内容等に照らして361条1項、387条1項の規定の趣旨目的を没却するような特段の事情があると認められない限り、当該役員報酬の支払いは株主総会の決議に基づく適法有効なものになる。
判例
事案:株主総会の決議を経ずに支払われた役員報酬について事後に株主総会の決議を経た場合に、当該役員報酬の支払いが有効なものになるかが問題となった。
判旨:「商法269条、279条1項(現:会社法361条1項、387条1項)が、株式会社の取締役及び監査役の報酬について、定款にその額の定めがないときは、株主総会の決議によって定めると規定している趣旨目的は、取締役の報酬にあっては、取締役ないし取締役会によるいわゆるお手盛りの弊害を防止し、監査役の報酬にあっては、監査役の独立性を保持し、さらに、双方を通じて、役員報酬の額の決定を株主の自主的な判断にゆだねるところにあると解される。そして、株主総会の決議を経ずに役員報酬が支払われた場合であっても、これについて後に株主総会の決議を経ることにより、事後的にせよ上記の規定の趣旨目的は達せられるものということができるから、当該決議の内容等に照らして上記規定の趣旨目的を没却するような特段の事情があると認められない限り、当該役員報酬の支払は株主総会の決議に基づく適法有効なものになるというべきである。」
判旨:「商法269条、279条1項(現:会社法361条1項、387条1項)が、株式会社の取締役及び監査役の報酬について、定款にその額の定めがないときは、株主総会の決議によって定めると規定している趣旨目的は、取締役の報酬にあっては、取締役ないし取締役会によるいわゆるお手盛りの弊害を防止し、監査役の報酬にあっては、監査役の独立性を保持し、さらに、双方を通じて、役員報酬の額の決定を株主の自主的な判断にゆだねるところにあると解される。そして、株主総会の決議を経ずに役員報酬が支払われた場合であっても、これについて後に株主総会の決議を経ることにより、事後的にせよ上記の規定の趣旨目的は達せられるものということができるから、当該決議の内容等に照らして上記規定の趣旨目的を没却するような特段の事情があると認められない限り、当該役員報酬の支払は株主総会の決議に基づく適法有効なものになるというべきである。」
総合メモ
検査役選任の申請人適格の判断基準時 最一小決平成18年9月28日
概要
株式会社の株主が358条1項に基づき検査役選任の申請をした時点で総株主の議決権の100分の3以上を有していたが新株発行により総株主の議決権の100分の3未満しか有しないものとなった場合には、当該会社が当該株主の上記申請を妨害する目的で新株を発行したなどの特段の事情のない限り、上記申請は、申請人の適格を欠くものとして不適法である。
判例
事案:358条1項に基づく検査役選任の申請人適格の判断基準時が問題となった。
判旨:「株式会社の株主が商法294条1項(現:会社法358条1項)に基づき裁判所に当該会社の検査役選任の申請をした時点で、当該株主が当該会社の総株主の議決権の100分の3以上を有していたとしても、その後、当該会社が新株を発行したことにより、当該株主が当該会社の総株主の議決権の100分の3未満しか有しないものとなった場合には、当該会社が当該株主の上記申請を妨害する目的で新株を発行したなどの特段の事情のない限り、上記申請は、申請人の適格を欠くものとして不適法であり却下を免れないと解するのが相当である。」
判旨:「株式会社の株主が商法294条1項(現:会社法358条1項)に基づき裁判所に当該会社の検査役選任の申請をした時点で、当該株主が当該会社の総株主の議決権の100分の3以上を有していたとしても、その後、当該会社が新株を発行したことにより、当該株主が当該会社の総株主の議決権の100分の3未満しか有しないものとなった場合には、当該会社が当該株主の上記申請を妨害する目的で新株を発行したなどの特段の事情のない限り、上記申請は、申請人の適格を欠くものとして不適法であり却下を免れないと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H30 予備 第17問 イ)
株式会社の株主が、当該株式会社の業務及び財産の状況を調査させるため、裁判所に検査役選任の申立てをした時点で、当該申立てをするために必要な持株要件を満たしていたとしても、その後、当該株式会社が新株を発行したことにより、当該株主が当該持株要件を満たさないものとなった場合には、特段の事情のない限り、当該申立ては、申立人の適格を欠くものとして不適法となる。
株式会社の株主が、当該株式会社の業務及び財産の状況を調査させるため、裁判所に検査役選任の申立てをした時点で、当該申立てをするために必要な持株要件を満たしていたとしても、その後、当該株式会社が新株を発行したことにより、当該株主が当該持株要件を満たさないものとなった場合には、特段の事情のない限り、当該申立ては、申立人の適格を欠くものとして不適法となる。
(正答)〇
(解説)
判例(最決平18.9.28)は、「株式会社の株主が商法294条1項(現:会社法358条1項)に基づき裁判所に当該会社の検査役選任の申請をした時点で、当該株主が当該会社の総株主の議決権の100分の3以上を有していたとしても、その後、当該会社が新株を発行したことにより、当該株主が当該会社の総株主の議決権の100分の3未満しか有しないものとなった場合には、当該会社が当該株主の上記申請を妨害する目的で新株を発行したなどの特段の事情のない限り、上記申請は、申請人の適格を欠くものとして不適法であ…る。」としている。
判例(最決平18.9.28)は、「株式会社の株主が商法294条1項(現:会社法358条1項)に基づき裁判所に当該会社の検査役選任の申請をした時点で、当該株主が当該会社の総株主の議決権の100分の3以上を有していたとしても、その後、当該会社が新株を発行したことにより、当該株主が当該会社の総株主の議決権の100分の3未満しか有しないものとなった場合には、当該会社が当該株主の上記申請を妨害する目的で新株を発行したなどの特段の事情のない限り、上記申請は、申請人の適格を欠くものとして不適法であ…る。」としている。