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取締役(取締役の報酬等)

取締役の退職慰労金の報酬該当性 最二小判昭和48年11月26日

概要
株式会社の取締役または監査役であった者に対して支給される退職慰労金(死亡の場合の弔慰金を含む。)は、それが在職中の職務執行の対価であるときは、361条1項にいう報酬に含まれる。
判例
事案:株式会社の取締役または監査役であった者に対して退職慰労金(死亡の場合の弔慰金を含む。)が支給された場合に、これが361条1項にいう報酬に含まれるかが問題となった。

判旨:「株式会社の取締役または監査役であった者に対して支給される退職慰労金(死亡の場合の弔慰金を含む。以下同じ。)は、それが在職中の職務執行の対価であるときは、商法269条(現:会社法361条1項)にいう報酬に含まれると解されるところ、同条の立法趣旨に照らすと、株主総会の決議により、右報酬の金額などの決定をすべて無条件に取締役会に一任することは許されないというべきであるが、これと異なり、株主総会の決議において、明示的もしくは黙示的に、その支給に関する基準を示し、具体的な金額、支払期日、支払方法などは右基準によって定めるべきものとして、その決定を取締役会に任せることは許されるものであり、このような決議をもって無効と解すべきでない…。」
過去問・解説
(H24 共通 第42問 ア)
取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)の取締役の報酬等に関し、判例によれば、取締役が死亡した場合の弔慰金の支給は、それが在職中の職務執行の対価であるときは、株主総会の決議によらなければならない。なお、定款には、報酬等に関する事項の定めがないものとする。

(正答)

(解説)
判例(最判昭48.11.26)は、「株式会社の取締役または監査役であった者に対して支給される退職慰労金(死亡の場合の弔慰金を含む。以下同じ。)は、それが在職中の職務執行の対価であるときは、商法269条(現:会社法361条1項)にいう報酬に含まれる…。」としている。
したがって、取締役が死亡した場合の弔慰金の支給が在職中の職務執行の対価であるときは、361条1項により、株主総会の決議が必要である。
総合メモ

取締役の退職慰労金支給に関し取締役会に一任する旨の株主総会決議 最二小判昭和39年12月11日

概要
取締役の退職慰労金支給に関する「金額、支給期日、支払方法を取締役会に一任する」との株主総会決議をした場合でも、上記決議は、当該会社において慣例となっている一定の支給基準によって支給すべき趣旨であるときは、361条1項の趣旨に反せず、有効である。
判例
事案:取締役の退職慰労金支給に関する「金額、支給期日、支払方法を取締役会に一任する」との株主総会決議が有効であるかが問題となった。

判旨:「株式会社の役員に対する退職慰労金は、その在職中における職務執行の対価として支給されるものである限り、商法280条、同269条(現:会社法361条1項)にいう報酬に含まれるものと解すべく、これにつき定款にその額の定めがない限り株主総会の決議をもってこれを定むべきものであり、無条件に取締役会の決定に一任することは許されない…が、…退職慰労金支給決議は、その金額、支給期日、支給方法を無条件に取締役会の決定に一任した趣旨でなく、…一定の基準に従うべき趣旨である…以上、株主総会においてその金額等に関する一定の枠が決定されたものというべきであるから、これをもって同条の趣旨に反し無効の決議であるということはできない。」

補足:最三小昭和44年10月28日も、「株式会社の取締役または監査役であった者に対して支給される退職慰労金は,それが在職中の職務執行の対価であるときは、商法269条(同法280条によって監査役に準用される。)にいう報酬に含まれるものと解されるところ、同条が、報酬は定款にその額を定めないときは株主総会の決議をもってこれを定めるべきことを要求した同条の立法趣旨に照らすと、株主総会の決議により、右報酬の金額などの決定をすべて無条件に取締役会に一任することは許されないというべきであるが、これと異なり、株主総会の決議において、明示的もしくは黙示的に、その支給に関する基準を示し、具体的な金額、支払期日、支払方法などは右基準によって定めるべきものとして、その決定を取締役会に任せることは差しつかえなく、かような決議をもって無効と解すべきではない(最高裁昭和38年(オ)第120号、同39年12月11日第二小法廷判決、民集18巻10号2143頁参照)。」と判示している。
過去問・解説
(H18 司法 第46問 1)
監査役設置会社の取締役又は監査役の報酬に関し、判例によれば、取締役の退職慰労金については、定款又は株主総会決議で取締役に対する支給額の総額を定めることを要する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭39.12.11)は、「株式会社の役員に対する退職慰労金は、その在職中における職務執行の対価として支給されるものである限り、商法280条、同269条(現:会社法361条1項)にいう報酬に含まれるものと解すべく、これにつき定款にその額の定めがない限り株主総会の決議をもってこれを定むべきものであり、無条件に取締役会の決定に一任することは許されない…が、…株主総会においてその金額等に関する一定の枠が決定されたものというべきであるから、これをもって同条の趣旨に反し無効の決議であるということはできない。」としている。
したがって、定款又は株主総会決議で退職慰労金の総額を定める必要はない。

(R1 予備 第21問 2)
監査役会設置会社の取締役の報酬等に関し、判例の趣旨によれば、退任する取締役の退職慰労金については、株主総会の決議により、明示的又は黙示的に、その支給に関する基準を示し、具体的な金額等は当該基準によって定めるべきものとして、その決定を取締役会の決定に委任することができる。なお、定款には、報酬等に関する事項の定めがないものとする。

(正答)

(解説)
判例(最判昭39.12.11)は、「株式会社の役員に対する退職慰労金は、その在職中における職務執行の対価として支給されるものである限り、商法280条、同269条(現:会社法361条1項)にいう報酬に含まれるものと解すべく、これにつき定款にその額の定めがない限り株主総会の決議をもってこれを定むべきものであり、無条件に取締役会の決定に一任することは許されない…が、…株主総会においてその金額等に関する一定の枠が決定されたものというべきであるから、これをもって同条の趣旨に反し無効の決議であるということはできない。」としている。

(R1 予備 第21問 3)
監査役会設置会社の取締役の報酬等に関し、退任する取締役の退職慰労金に係る株主総会の決議においては、確定した額を定めるのではなく、具体的な算定方法を定めることはできない。なお、定款には、報酬等に関する事項の定めがないものとする。

(正答)

(解説)
判例(最判昭39.12.11)は、「株式会社の役員に対する退職慰労金は、その在職中における職務執行の対価として支給されるものである限り、商法280条、同269条(現:会社法361条1項)にいう報酬に含まれる…。」としている。
そして、報酬等のうち額が確定していないものについては、その具体的な算定方法を株主総会の決議によって定めることができる(361条1項2号)。
総合メモ

取締役の退職慰労年金に関する内規の廃止 最三小判平成22年3月16日

概要
①株式会社の取締役に対する退職慰労年金は、取締役の職務執行の対価として支給される趣旨を含むものと解されるから、会社法361条1項にいう報酬等に当たる。
②会社の内規に従って決定された退職慰労年金が支給される場合であっても、取締役が退任により当然に本件内規に基づき退職慰労年金債権を取得することはなく、株主総会決議による個別の判断を経て初めて、株式会社と退任取締役との間で退職慰労年金の支給についての契約が成立し、当該退任取締役が具体的な退職慰労年金債権を取得するに至る。
判例
事案:株式会社の取締役を退任した者が、株主総会決議等によって定められたところに従い、当時の同社の役員退職慰労金規程(以下「本件内規」という。)に基づき算出された額の退職慰労年金を受給していたところ、その後の取締役会決議で本件内規が廃止されたとして同年金の支給が打ち切られたため、同社に対し、未支給の退職慰労年金の支払等を求める事案において、退任取締役が退職慰労年金債権を取得することとなる時期(株主総会決議による個別の判断を経ることの要否)が問題となった。

判旨:「被上告人の取締役に対する退職慰労年金は、取締役の職務執行の対価として支給される趣旨を含むものと解されるから、会社法361条1項にいう報酬等に当たる。本件内規に従って決定された退職慰労年金が支給される場合であっても、取締役が退任により当然に本件内規に基づき退職慰労年金債権を取得することはなく、被上告人の株主総会決議による個別の判断を経て初めて、被上告人と退任取締役との間で退職慰労年金の支給についての契約が成立し、当該退任取締役が具体的な退職慰労年金債権を取得するに至るものである。被上告人が、内規により退任役員に対して支給すべき退職慰労金の算定基準等を定めているからといって、異なる時期に退任する取締役相互間についてまで画一的に退職慰労年金の支給の可否、金額等を決定することが予定されているものではなく、退職慰労年金の支給につき、退任取締役相互間の公平を図るために、いったん成立した契約の効力を否定してまで集団的、画一的な処理を図ることが制度上要請されているとみることはできない。退任取締役が被上告人の株主総会決議による個別の判断を経て具体的な退職慰労年金債権を取得したものである以上、その支給期間が長期にわたり、その間に社会経済情勢等が変化し得ることや、その後の本件内規の改廃により将来退任する取締役との間に不公平が生ずるおそれがあることなどを勘案しても、退職慰労年金については、上記のような集団的、画一的処理が制度上要請されているという理由のみから、本件内規の廃止の効力を既に退任した取締役に及ぼすことは許されず、その同意なく上記退職慰労年金債権を失わせることはできないと解するのが相当である。」
過去問・解説
(R1 予備 第21問 5)
監査役会設置会社の取締役の報酬等に関し、判例の趣旨によれば、退任した取締役が株主総会の決議を経て株式会社の内規に従い具体的な退職慰労年金債権を取得した場合には、その後、取締役会の決議によって当該内規が廃止されたときであっても、退任取締役相互間の公平を図るため集団的、画一的な処理が制度上要請されているという理由のみから、当該内規の廃止の効力を既に退任した取締役に及ぼし、その同意なく未支給の退職慰労年金債権を失わせることはできない。なお、定款には、報酬等に関する事項の定めがないものとする。

(正答)

(解説)
判例(最判平22.3.16)は、「被上告人が、内規により退任役員に対して支給すべき退職慰労金の算定基準等を定めているからといって、異なる時期に退任する取締役相互間についてまで画一的に退職慰労年金の支給の可否,金額等を決定することが予定されているものではなく、退職慰労年金の支給につき、退任取締役相互間の公平を図るために、いったん成立した契約の効力を否定してまで集団的、画一的な処理を図ることが制度上要請されているとみることはできない。」とした上で、「退任取締役が被上告人の株主総会決議による個別の判断を経て具体的な退職慰労年金債権を取得したものである以上、その支給期間が長期にわたり、その間に社会経済情勢等が変化し得ることや、その後の本件内規の改廃により将来退任する取締役との間に不公平が生ずるおそれがあることなどを勘案しても、退職慰労年金については、上記のような集団的、画一的処理が制度上要請されているという理由のみから、本件内規の廃止の効力を既に退任した取締役に及ぼすことは許されず、その同意なく上記退職慰労年金債権を失わせることはできない…。」としている。
総合メモ

取締役の報酬額には使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれない旨を明示してされた取締役の報酬額改訂の株主総会決議の適法性 最三小判昭和60年3月26日

概要
取締役の報酬額には使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれない旨を明示して取締役全員の報酬総額を改訂する株主総会決議がされた場合において、少なくとも使用人として受ける給与の体系が明確に確立されており、かつ、使用人として受ける給与がそれにより支給されている限り、上記株主総会決議は、361条1項に違反せず、また、同条の脱法行為に当たらない。
判例
事案:取締役の報酬額には使用人兼務取締役の使用人分給与は含まれない旨を明示してされた取締役の報酬額改定の株主総会決議が適法であるかが問題となった。

判旨:「(1)商法269条(現:会社法361条1項)の規定の趣旨は取締役の報酬額について取締役ないし取締役会によるいわゆるお手盛りの弊害を防止する点にあるから、株主総会の決議で取締役全員の報酬の総額を定め、その具体的な配分は取締役会の決定に委ねることができ、株主総会の決議で各取締役の報酬額を個別に定めることまでは必要ではなく、この理は、使用人兼務取締役が取締役として受ける報酬額の決定についても、…使用人として受ける給与の体系が明確に確立されており、かつ、使用人として受ける給与がそれによって支給されている限り、同様であるということができる、(2)右のように使用人として受ける給与の体系が明確に確立されている場合においては、使用人兼務取締役について、別に使用人として給与を受けることを予定しつつ、取締役として受ける報酬額のみを株主総会で決議することとしても、取締役としての実質的な意味における報酬が過多でないかどうかについて株主総会がその監視機能を十分に果たせなくなるとは考えられないから、右のような内容の本件株主総会決議が商法269条(現:会社法361条1項)の脱法行為にあたるとはいえない…。」
過去問・解説
(H18 司法 第46問 2)
監査役設置会社の取締役又は監査役の報酬に関し、判例によれば、使用人兼務取締役については、取締役として受ける報酬に関する事項のみを株主総会で決議するのでは足りず、使用人分給与についても株主総会で決議することを要する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭60.3.26)は、「使用人として受ける給与の体系が明確に確立されている場合においては、使用人兼務取締役について、別に使用人として給与を受けることを予定しつつ、取締役として受ける報酬額のみを株主総会で決議することとしても、取締役としての実質的な意味における報酬が過多でないかどうかについて株主総会がその監視機能を十分に果たせなくなるとは考えられないから、右のような内容の本件株主総会決議が商法269条(現:会社法361条1項)の脱法行為にあたるとはいえない…。」としている。

(H24 共通 第42問 ウ)
取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)の取締役の報酬等に関し、判例によれば、株主総会の決議で取締役全員の報酬の総額を定め、その具体的な配分は、取締役会の決定に委ねることができる。なお、定款には、報酬等に関する事項の定めがないものとする。

(正答)

(解説)
判例(最判昭60.3.26)は、取締役の報酬等について、「株主総会の決議で取締役全員の報酬の総額を定め、その具体的な配分は取締役会の決定に委ねることができ、株主総会の決議で各取締役の報酬額を個別に定めることまでは必要ではな…い…。」としている。

(R1 予備 第21問 1)
監査役会設置会社の取締役の報酬等に関し、判例の趣旨によれば、取締役の報酬については、株主総会の決議により、取締役全員の報酬の総額の最高限度額を定め、各取締役に対する配分の決定を取締役会の決定に委任することができ、その委任を受けた取締役会は、その決議によって、各取締役の報酬の額の決定を代表取締役に再委任することができる。なお、定款には、報酬等に関する事項の定めがないものとする。

(正答)

(解説)
判例(最判昭60.3.26)は、取締役の報酬等について、「株主総会の決議で取締役全員の報酬の総額を定め、その具体的な配分は取締役会の決定に委ねることができ、株主総会の決議で各取締役の報酬額を個別に定めることまでは必要ではな…い…。」としている。
また、株主総会から委任を受けた取締役会が代表取締役に決定を再一任することも可能であると解されている。

(R5 予備 第21問 5)
取締役会設置会社(指名委員会等設置会社を除く。)における代表取締役でない取締役に関し、判例の趣旨によれば、使用人として受ける給与の体系が明確に確立されている場合であっても、使用人兼務取締役について、別に使用人として給与を受けることを予定しつつ、取締役として給与を受ける報酬額のみを株主総会で決議することはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭60.3.26)は、「使用人として受ける給与の体系が明確に確立されている場合においては、使用人兼務取締役について、別に使用人として給与を受けることを予定しつつ、取締役として受ける報酬額のみを株主総会で決議することとしても、取締役としての実質的な意味における報酬が過多でないかどうかについて株主総会がその監視機能を十分に果たせなくなるとは考えられないから、右のような内容の本件株主総会決議が商法269条(現:会社法361条1項)の脱法行為にあたるとはいえない…。」としている。
総合メモ

取締役の報酬を無報酬に変更する旨の株主総会決議と報酬請求権 最二小判平成4年12月18日

概要
株主総会が取締役の報酬を無報酬に変更する旨の決議をしても、当該取締役は、この変更に同意しない限り、報酬請求権を失わない。
判例
事案:株主総会が取締役の報酬を無報酬に変更する旨の決議をした場合に、当該取締役の報酬請求権が失われるかが問題となった。

判旨:「株式会社において、定款又は株主総会の決議(株主総会において取締役報酬の総額を定め、取締役会において各取締役に対する配分を決議した場合を含む。)によって取締役の報酬額が具体的に定められた場合には、その報酬額は、会社と取締役間の契約内容となり、契約当事者である会社と取締役の双方を拘束するから、その後株主総会が当該取締役の報酬につきこれを無報酬とする旨の決議をしたとしても、当該取締役は、これに同意しない限り、右報酬の請求権を失うものではないと解するのが相当である。この理は、取締役の職務内容に著しい変更があり、それを前提に右株主総会決議がされた場合であっても異ならない。」
過去問・解説
(H18 司法 第46問 3)
監査役設置会社の取締役又は監査役の報酬に関し、判例によれば、各取締役の報酬額が具体的に定められた場合、株主総会決議をもってしても、当該取締役の同意なくその報酬額を減額することはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判平4.12.18)は、「株式会社において、定款又は株主総会の決議…によって取締役の報酬額が具体的に定められた場合には、その報酬額は、会社と取締役間の契約内容となり、契約当事者である会社と取締役の双方を拘束するから、その後株主総会が当該取締役の報酬につきこれを無報酬とする旨の決議をしたとしても、当該取締役は、これに同意しない限り、右報酬の請求権を失うものではない…。」としている。

(H24 司法 第42問 イ)
判例によれば、株主総会の決議に基づいて取締役の報酬の額が具体的に定められた場合でも、その後、株主総会がその取締役の報酬を無報酬とする旨の決議をしたときは、その取締役は、これに同意しなくても報酬を請求することができなくなる。

(正答)

(解説)
判例(最判平4.12.18)は、「株式会社において、定款又は株主総会の決議…によって取締役の報酬額が具体的に定められた場合には、その報酬額は、会社と取締役間の契約内容となり、契約当事者である会社と取締役の双方を拘束するから、その後株主総会が当該取締役の報酬につきこれを無報酬とする旨の決議をしたとしても、当該取締役は、これに同意しない限り、右報酬の請求権を失うものではない…。」としている。

(H24 共通 第42問 イ)
取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)の取締役の報酬等に関し、判例によれば、株主総会の決議に基づいて取締役の報酬の額が具体的に定められた場合でも、その後、株主総会がその取締役の報酬を無報酬とする旨の決議をしたときは、その取締役は、これに同意しなくても報酬を請求することができなくなる。なお、定款には、報酬等に関する事項の定めがないものとする。

(正答)

(解説)
判例(最判平4.12.18)は、「株式会社において、定款又は株主総会の決議…によって取締役の報酬額が具体的に定められた場合には、その報酬額は、会社と取締役間の契約内容となり、契約当事者である会社と取締役の双方を拘束するから、その後株主総会が当該取締役の報酬につきこれを無報酬とする旨の決議をしたとしても、当該取締役は、これに同意しない限り、右報酬の請求権を失うものではない…。」としている。

(R4 予備 第20問 エ)
取締役会設置会社の取締役に関し、判例の趣旨によれば、取締役は、株主総会の決議によって当該取締役の報酬額が具体的に定められた場合には、その後の株主総会によってその報酬を無報酬に変更する旨の決議がされたとしても、その変更に同意しない限り、報酬請求権を失わない。

(正答)

(解説)
判例(最判平4.12.18)は、「株式会社において、定款又は株主総会の決議…によって取締役の報酬額が具体的に定められた場合には、その報酬額は、会社と取締役間の契約内容となり、契約当事者である会社と取締役の双方を拘束するから、その後株主総会が当該取締役の報酬につきこれを無報酬とする旨の決議をしたとしても、当該取締役は、これに同意しない限り、右報酬の請求権を失うものではない…。」としている。
総合メモ

株主総会の決議を経ずに支払われた役員報酬について事後に株主総会の決議を経た場合 最三小判平成17年2月15日

概要
株主総会の決議を経ずに支払われた役員報酬について事後に株主総会の決議を経た場合には、当該決議の内容等に照らして361条1項、387条1項の規定の趣旨目的を没却するような特段の事情があると認められない限り、当該役員報酬の支払いは株主総会の決議に基づく適法有効なものになる。
判例
事案:株主総会の決議を経ずに支払われた役員報酬について事後に株主総会の決議を経た場合に、当該役員報酬の支払いが有効なものになるかが問題となった。

判旨:「商法269条、279条1項(現:会社法361条1項、387条1項)が、株式会社の取締役及び監査役の報酬について、定款にその額の定めがないときは、株主総会の決議によって定めると規定している趣旨目的は、取締役の報酬にあっては、取締役ないし取締役会によるいわゆるお手盛りの弊害を防止し、監査役の報酬にあっては、監査役の独立性を保持し、さらに、双方を通じて、役員報酬の額の決定を株主の自主的な判断にゆだねるところにあると解される。そして、株主総会の決議を経ずに役員報酬が支払われた場合であっても、これについて後に株主総会の決議を経ることにより、事後的にせよ上記の規定の趣旨目的は達せられるものということができるから、当該決議の内容等に照らして上記規定の趣旨目的を没却するような特段の事情があると認められない限り、当該役員報酬の支払は株主総会の決議に基づく適法有効なものになるというべきである。」
過去問・解説
(R6 予備 第21問 エ)
定款の定めも株主総会の決議もなく支払われた取締役の報酬について事後に株主総会の決議を経たときは、特段の事情がない限り、当該報酬の支払は有効である。

(正答)

(解説)
判例(最判平17.2.15)は、「株主総会の決議を経ずに役員報酬が支払われた場合であっても、これについて後に株主総会の決議を経ることにより、…特段の事情があると認められない限り、当該役員報酬の支払は株主総会の決議に基づく適法有効なものになる…。」としている。
総合メモ