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剰余金の配当

定款において、剰余金の配当につき、効力発生日から5年を経過しても請求がないときにその支払義務を免れる旨を定めることの可否 大判昭和2年8月3日

概要
会社が、定款において、剰余金の配当につき、一定の期間内に請求しないときは期間経過とともに当然に消滅すると定めることは、公序良俗に反しない限り、可能である。
判例
事案:会社が、定款において、剰余金の配当につき、一定の期間内に請求しないときは期間経過とともに当然に消滅すると定めることができるかが問題となった。

判旨:「当事者カ特約ヲ以テ権利ノ行使期間ヲ制限シ一定ノ期間内ニ請求セサルトキハ其ノ権利ハ始ヨリ成立セサリシコトトナリ若ハ期間経過ト共ニ当然ニ消滅スヘシト定ムルコトハ苟モ其ノ権利ノ本質ニ反セス又公序良俗ニ背カサル限リ之ヲ為シ得サルモノニ非ス而シテ斯ル場合ニハ当該権利ハ特約ニ因リ如上ノ特質ヲ帯フルニ至ルモノト解シ得ヘクシテ必スシモ時効期間ノ短縮ヲ以テ目スルノ要アルコトナシ此ノ事ハ株式会社ニ於テ利益配当金支払請求権ニ付本件ノ如ク定款ヲ以テ其ノ行使期間ヲ限定シタルトキモ亦同様ニシテ株主ハ定款所定ノ制限ノ下ニ権利ヲ行使スヘキモノト解スヘキナリ尤モ定款其ノモノハ会社ト株主間ノ契約ニ非サルモ素是レ会社ト株主間ノ関係ヲモ律スル規則ニシテ利益配当金支払ノ請求権ハ配当決議ノ時ニ株主タルコトヲ前提トシテ取得スヘキモノニ係リ定款ニ於テ如上ノ定ヲ為シタルトキハ当然之ニ拘束セラルルコトハ理ノ当然ナレハナリ」
過去問・解説
(H26 司法 第47問 イ)
判例によれば、会社は、定款において、剰余金の配当につき、効力発生日から5年を経過しても請求がないときはその支払義務を免れる旨を定めることができない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭2.8.3)は、会社が、定款において、剰余金の配当につき、一定の期間内に請求しないときは期間経過とともに当然に消滅すると定めることは、公序良俗に反しない限り、可能である旨判示している。
総合メモ

剰余金配当請求権を株式から分離して譲渡できない場合 大判大正8年1月24日

概要
株主の会社に対する剰余金配当請求権は、剰余金の配当に関する事項が株主総会又は取締役会の決議によって定められる前に、株式から分離して、これを第三者に譲渡することができないが、決議があった後には、これを第三者に譲渡することができる。
判例
事案:株主の会社に対する剰余金配当請求権を株式から分離して第三者に譲渡することができるかが問題となった。

判旨:「株主カ會社ニ對シ有スル利益配當請求權ハ株主總會ノ決議ニ因リ利益配當ノ金額確定シタルトキニ於テ始メテ其金額ノ支拂ヲ目的トスル獨立ノ請求權ヲ發生スルモノニシテ其以前ニ在リテハ株主權ニ包含スル其一内容ヲ爲スモノニ過キスシテ獨立シタル一箇ノ權利ニ非ス故ニ利益配當ニ關スル株主總會ノ決議アリタル後ニ於テハ其確定シタル配當金ノ支拂ヲ請求スル權利ハ獨立シタル一箇ノ債權ニ外ナラサレハ之ヲ讓渡スルコトヲ得ルハ勿論其決議以前ニ在リテモ其決議ヲ條件トシテ發生スル利益配當金支拂ノ請求權ヲ讓渡スルコトヲ妨ケサルモ其決議以前株主權ノ包含スル一内容タル利益配當請求權其モノハ獨立シタル一箇ノ權利ニ非サルヲ以テ之ヲ株主權ヨリ分離シテ讓渡スルコトヲ得サルモノト謂ハサル可カラス」
過去問・解説
(H26 司法 第47問 ア)
判例によれば、株主の会社に対する剰余金配当請求権は、剰余金の配当に関する事項が株主総会又は取締役会の決議によって定められる前においても、株式から分離して、これを第三者に譲渡することができる。

(正答)

(解説)
判例(大判大8.1.24)は、株主総会決議以前に株主権に包含される一内容である利益配当請求権を株主権から分離して第三者に譲渡することはできない旨判示している。
総合メモ