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会計帳簿等
会計帳簿等の閲覧謄写請求の理由の立証の範囲 最一小判平成16年7月1日
概要
433条1項の規定に基づく会計帳簿等の閲覧謄写請求の理由は、具体的に記載されなければならないが、その記載された請求の理由を基礎付ける事実が存在することを立証する必要はない。
判例
事案:433条1項の規定に基づいて会計帳簿等の閲覧謄写請求をした場合に、当該請求の理由を基礎付ける事実の立証が必要であるかが問題となった。
判旨:「商法…は、株主…が会社に対し会計帳簿等の閲覧謄写を請求するための要件として、株式会社については総株主の議決権の100分の3以上…を有することのほか、理由を付した書面をもって請求をすることを要求している(商法293条の6第1項、第2項(現:会社法433条1項)…)。そして、上記の請求の理由は、具体的に記載されなければならないが、上記の請求をするための要件として、その記載された請求の理由を基礎付ける事実が客観的に存在することについての立証を要すると解すべき法的根拠はない。」
判旨:「商法…は、株主…が会社に対し会計帳簿等の閲覧謄写を請求するための要件として、株式会社については総株主の議決権の100分の3以上…を有することのほか、理由を付した書面をもって請求をすることを要求している(商法293条の6第1項、第2項(現:会社法433条1項)…)。そして、上記の請求の理由は、具体的に記載されなければならないが、上記の請求をするための要件として、その記載された請求の理由を基礎付ける事実が客観的に存在することについての立証を要すると解すべき法的根拠はない。」
過去問・解説
(H30 予備 第17問 ウ)
株式会社の会計帳簿の閲覧の請求をする株主は、当該請求の理由を明らかにし、かつ、当該請求の理由を基礎づける事実が客観的に存在することを立証しなければならない。
株式会社の会計帳簿の閲覧の請求をする株主は、当該請求の理由を明らかにし、かつ、当該請求の理由を基礎づける事実が客観的に存在することを立証しなければならない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平16.7.1)は、「請求の理由は、具体的に記載されなければならないが、…請求をするための要件として、その記載された請求の理由を基礎付ける事実が客観的に存在することについての立証を要すると解すべき法的根拠はない。」としている。
したがって、株式会社の会計帳簿の閲覧の請求をする株主は、当該請求の理由を明らかにする必要はあるものの、当該請求の理由を基礎づける事実が客観的に存在することを立証する必要はない。
判例(最判平16.7.1)は、「請求の理由は、具体的に記載されなければならないが、…請求をするための要件として、その記載された請求の理由を基礎付ける事実が客観的に存在することについての立証を要すると解すべき法的根拠はない。」としている。
したがって、株式会社の会計帳簿の閲覧の請求をする株主は、当該請求の理由を明らかにする必要はあるものの、当該請求の理由を基礎づける事実が客観的に存在することを立証する必要はない。
総合メモ
子会社の会計帳簿閲覧謄写請求の拒絶事由としての競争関係における主観的意図の要否 最一小決平成21年1月15日
概要
会社の会計帳簿等の閲覧謄写請求をした株主につき433条2項3号に規定する拒絶事由があるというためには、当該株主に会計帳簿等の閲覧謄写によって知り得る情報を自己の競業に利用するなどの主観的意図があることを要しない。
判例
事案:会社の会計帳簿等の閲覧謄写請求をした株主につき433条2項3号に規定する拒絶事由があるというために、主観的意図を要するかが問題となった。
判旨:「商法293条の7第2号(現:会社法433条2項3号)は、会計帳簿等の閲覧謄写を請求する株主が会社と競業をなす者であること、会社と競業をなす会社の社員、株主、取締役又は執行役であることなどを閲覧謄写請求に対する会社の拒絶事由として規定するところ、同号は、『会社ノ業務ノ運営若ハ株主共同ノ利益ヲ害スル為』などの主観的意図を要件とする同条1号(現:会社法433条2項2号)と異なり、文言上、会計帳簿等の閲覧謄写によって知り得る事実を自己の競業に利用するためというような主観的意図の存在を要件としていない。そして、一般に、上記のような主観的意図の立証は困難であること、株主が閲覧謄写請求をした時点において上記のような意図を有していなかったとしても、同条2号の規定が前提とする競業関係が存在する以上、閲覧謄写によって得られた情報が将来において競業に利用される危険性は否定できないことなども勘案すれば、同号は、会社の会計帳簿等の閲覧謄写を請求する株主が当該会社と競業をなす者であるなどの客観的事実が認められれば、会社は当該株主の具体的な意図を問わず一律にその閲覧謄写請求を拒絶できるとすることにより、会社に損害が及ぶ抽象的な危険を未然に防止しようとする趣旨の規定と解される。 したがって、会社の会計帳簿等の閲覧謄写請求をした株主につき同号に規定する拒絶事由があるというためには、当該株主が当該会社と競業をなす者であるなどの客観的事実が認められれば足り、当該株主に会計帳簿等の閲覧謄写によって知り得る情報を自己の競業に利用するなどの主観的意図があることを要しないと解するのが相当であ…る。」
判旨:「商法293条の7第2号(現:会社法433条2項3号)は、会計帳簿等の閲覧謄写を請求する株主が会社と競業をなす者であること、会社と競業をなす会社の社員、株主、取締役又は執行役であることなどを閲覧謄写請求に対する会社の拒絶事由として規定するところ、同号は、『会社ノ業務ノ運営若ハ株主共同ノ利益ヲ害スル為』などの主観的意図を要件とする同条1号(現:会社法433条2項2号)と異なり、文言上、会計帳簿等の閲覧謄写によって知り得る事実を自己の競業に利用するためというような主観的意図の存在を要件としていない。そして、一般に、上記のような主観的意図の立証は困難であること、株主が閲覧謄写請求をした時点において上記のような意図を有していなかったとしても、同条2号の規定が前提とする競業関係が存在する以上、閲覧謄写によって得られた情報が将来において競業に利用される危険性は否定できないことなども勘案すれば、同号は、会社の会計帳簿等の閲覧謄写を請求する株主が当該会社と競業をなす者であるなどの客観的事実が認められれば、会社は当該株主の具体的な意図を問わず一律にその閲覧謄写請求を拒絶できるとすることにより、会社に損害が及ぶ抽象的な危険を未然に防止しようとする趣旨の規定と解される。 したがって、会社の会計帳簿等の閲覧謄写請求をした株主につき同号に規定する拒絶事由があるというためには、当該株主が当該会社と競業をなす者であるなどの客観的事実が認められれば足り、当該株主に会計帳簿等の閲覧謄写によって知り得る情報を自己の競業に利用するなどの主観的意図があることを要しないと解するのが相当であ…る。」
過去問・解説
(H30 予備 第17問 エ)
株式会社の会計帳簿の閲覧の請求をした株主が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営む場合には、当該株式会社は、当該株主に会計帳簿の閲覧によって知り得る情報を自己の事業に利用するなどの主観的意図がないときであっても、当該請求を拒むことができる。
株式会社の会計帳簿の閲覧の請求をした株主が当該株式会社の業務と実質的に競争関係にある事業を営む場合には、当該株式会社は、当該株主に会計帳簿の閲覧によって知り得る情報を自己の事業に利用するなどの主観的意図がないときであっても、当該請求を拒むことができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最決平21.1.15)は、「会社の会計帳簿等の閲覧謄写請求をした株主につき…(現:会社法433条2項3号)に規定する拒絶事由があるというためには、当該株主が当該会社と競業をなす者であるなどの客観的事実が認められれば足り、当該株主に会計帳簿等の閲覧謄写によって知り得る情報を自己の競業に利用するなどの主観的意図があることを要しない…。」としている。
したがって、本肢のような場合、当該株主に会計帳簿の閲覧によって知り得る情報を自己の事業に利用するなどの主観的意図がないときであっても、請求を拒むことができる。
判例(最決平21.1.15)は、「会社の会計帳簿等の閲覧謄写請求をした株主につき…(現:会社法433条2項3号)に規定する拒絶事由があるというためには、当該株主が当該会社と競業をなす者であるなどの客観的事実が認められれば足り、当該株主に会計帳簿等の閲覧謄写によって知り得る情報を自己の競業に利用するなどの主観的意図があることを要しない…。」としている。
したがって、本肢のような場合、当該株主に会計帳簿の閲覧によって知り得る情報を自己の事業に利用するなどの主観的意図がないときであっても、請求を拒むことができる。