現在お使いのブラウザのバージョンでは、本サービスの機能をご利用いただけない可能性があります
バージョンアップを試すか、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの最新ブラウザをお試しください

引き続き問題が発生する場合は、 お問い合わせ までご連絡ください。

会社法 取締役会の承認を得ない利益相反取引の効力 最大判昭和43年12月25日

概要
①取締役が会社法356条1項2号又は3号に違反して、取締役会の承認を受けることなく、利益相反取引をなしたときは、本来、その取引は無効と解すべきである。
②取締役と会社との間に直接成立すべき利益相反する取引(直接取引)にあっては、会社は、当該取締役に対して、取締役会の承認を受けなかったことを理由として、その行為の無効を主張し得ることは、前述のとおり当然である(絶対的無効説)。
③会社以外の第三者と取締役が会社を代表して自己のためにした取引(間接取引)については、取引の安全の見地より、善意の第三者を保護する必要があるから、会社は、その取引について取締役会の承認を受けなかったことのほか、相手方である第三者が悪意(その旨を知っていること)であることを主張し、立証して始めて、その無効をその相手方である第三者に主張し得る(相対的無効説)。
判例
事案:利益相反取引が行われた場合に、会社が取締役、第三者に対して無効を主張できるかが問題となった。

判旨:「商法265条(現:会社法356条1項2号、3号)は、取締役個人と株式会社との利害相反する場合において、取締役個人の利益を図り、会社に不利益な行為が濫りに行なわれることを防止しようとする法意に外ならないのであるから、同条にいわゆる取引中には、取締役と会社との間に直接成立すべき利益相反の行為のみならず、取締役個人の債務につき、その取締役が会社を代表して、債権者に対し債務引受をなすが如き、取締役個人に利益にして、会社に不利益を及ぼす行為も、取締役の自己のためにする取引として、これに包含されるものと解すべきである…。 そして、取締役が右規定に違反して、取締役会の承認を受けることなく、右の如き行為をなしたときは、本来、その行為は無効と解すべきである。このことは、同条は、取締役会の承認を受けた場合においては、民法108条の規定を適用しない旨規定している反対解釈として、その承認を受けないでした行為は、民法108条違反の場合と同様に、一種の無権代理人の行為として無効となることを予定しているものと解すべきであるからである。 取締役と会社との間に直接成立すべき利益相反する取引にあっては、会社は、当該取締役に対して、取締役会の承認を受けなかったことを理由として、その行為の無効を主張し得ることは、前述のとおり当然であるが、会社以外の第三者と取締役が会社を代表して自己のためにした取引については、取引の安全の見地より、善意の第三者を保護する必要があるから、会社は、その取引について取締役会の承認を受けなかったことのほか、相手方である第三者が悪意(その旨を知っていること)であることを主張し、立証して始めて、その無効をその相手方である第三者に主張し得るものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H22 司法 第43問 2)
取締役会設置会社の取締役に対する金銭の貸付けに関し、金銭の貸付けが取締役会の承認を受けずにされた場合には、株式会社は、金銭の貸付けを受けた取締役に対して、当該貸付けに係る契約の無効を主張することができる。

(正答)

(解説)
判例(最大判昭43.12.25)は、「取締役と会社との間に直接成立すべき利益相反する取引にあっては、会社は、当該取締役に対して、取締役会の承認を受けなかったことを理由として、その行為の無効を主張し得ることは、…当然である…。」として、取締役会の承認を得ない直接取引の効力について、会社と当該取締役との間においては、絶対的無効説を採用している。
本肢の事例における利益相反取引は直接取引であるから、株式会社は、金銭の貸付けを受けた取締役に対して、当該貸付けに係る契約の無効を主張することができる。

(H25 予備 第21問 ウ)
取締役会設置会社である甲株式会社(以下「甲社」という。)の代表取締役Aが、甲社を代表して、甲社の取締役Bとの間で取引(以下「本件取引」という。)を行う場合に関し、判例によれば、本件取引が利益相反取引であるにもかかわらず、取締役会の承認を受けずにされた場合でも、Bが有効な取締役会の承認があったと信じて取引をしていたときは、甲社は、Bに対し、本件取引の無効を主張することはできない。

(正答)

(解説)
判例(最大判昭43.12.25)は、「取締役と会社との間に直接成立すべき利益相反する取引にあっては、会社は、当該取締役に対して、取締役会の承認を受けなかったことを理由として、その行為の無効を主張し得ることは、…当然である…。」として、取締役会の承認を得ない直接取引の効力について、会社と当該取締役との間においては、絶対的無効説を採用している。
本肢の事例における利益相反取引は直接取引であるから、Bが有効な取締役会の承認があったと信じて取引をしていたときであっても、甲社は、Bに対し、本件取引の無効を主張することができる。

(H25 司法 第44問 エ)
取締役会設置会社(委員会設置会社を除く。)の取締役が行った取引に関し、代表取締役GがHに対して負担する債務について、Gが、会社を代表して、取締役会の承認を受けないで、その債務を引き受けた場合において、Hが取締役会の承認を受けていないことを知っていたときは、その債務引受けの効力は、会社には及ばない。

(正答)

(解説)
判例(最大判昭43.12.25)は、「会社以外の第三者と取締役が会社を代表して自己のためにした取引については、取引の安全の見地より、善意の第三者を保護する必要があるから、会社は、その取引について取締役会の承認を受けなかったことのほか、相手方である第三者が悪意(その旨を知っていること)であることを主張し、立証して始めて、その無効をその相手方である第三者に主張し得るものと解するのが相当である。」として、取締役会の承認を得ない間接取引の効力について、会社と相手方である第三者との間においては、相対的無効説を採用している。
本肢の事例における利益相反取引は間接取引であるから、Hが取締役会の承認を受けていないことを知っていたときは、その債務引受けの効力は、会社には及ばない。
総合メモ
前の判例 次の判例