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吸収合併等の手続

第782条

条文
第782条(吸収合併契約等に関する書面等の備置き及び閲覧等)
① 次の各号に掲げる株式会社(以下この目において「消滅株式会社等」という。)は、吸収合併契約等備置開始日から吸収合併、吸収分割又は株式交換(以下この節において「吸収合併等」という。)がその効力を生ずる日(以下この節において「効力発生日」という。)後6箇月を経過する日(吸収合併消滅株式会社にあっては、効力発生日)までの間、当該各号に定めるもの(以下この節において「吸収合併契約等」という。)の内容その他法務省令で定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。        
 一 吸収合併消滅株式会社 吸収合併契約
 二 吸収分割株式会社 吸収分割契約
 三 株式交換完全子会社 株式交換契約
② 前項に規定する「吸収合併契約等備置開始日」とは、次に掲げる日のいずれか早い日をいう。        
 一 吸収合併契約等について株主総会(種類株主総会を含む。)の決議によってその承認を受けなければならないときは、当該株主総会の日の2週間前の日(第319条第1項の場合にあっては、同項の提案があった日)
 二 第785条第3項の規定による通知を受けるべき株主があるときは、同項の規定による通知の日又は同条第4項の公告の日のいずれか早い日
 三 第787条第3項の規定による通知を受けるべき新株予約権者があるときは、同項の規定による通知の日又は同条第4項の公告の日のいずれか早い日
 四 第789条の規定による手続をしなければならないときは、同条第2項の規定による公告の日又は同項の規定による催告の日のいずれか早い日
 五 前各号に規定する場合以外の場合には、吸収分割契約又は株式交換契約の締結の日から2週間を経過した日
③ 消滅株式会社等の株主及び債権者(株式交換完全子会社にあっては、株主及び新株予約権者)は、消滅株式会社等に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第2号又は第4号に掲げる請求をするには、当該消滅株式会社等の定めた費用を支払わなければならない。        
 一 第1項の書面の閲覧の請求
 二 第1項の書面の謄本又は抄本の交付の請求
 三 第1項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
 四 第1項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって消滅株式会社等の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求
過去問・解説
(H28 予備 第25問 イ)
吸収合併等の各当事会社は、いずれも、吸収合併契約等備置開始日から、吸収合併契約等の内容等を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない、という規定は、株主保護を直接の目的とするものではない。

(正答)

(解説)
吸収合併等の各当事会社は、いずれも、吸収合併契約等備置開始日から、吸収合併契約等の内容等を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない、という規定は、株主が合併契約の公正等を判断し、また、会社債権者が合併に対し異議を述べるべきか否かを判断するための資料を提供する趣旨である(江頭憲治郎「株式会社法」第9版912頁)。
したがって、本肢の規定は、株主及び会社債権者の保護を目的とする規定である。
総合メモ

第783条

条文
第783条(吸収合併契約等の承認等)
① 消滅株式会社等は、効力発生日の前日までに、株主総会の決議によって、吸収合併契約等の承認を受けなければならない。
② 前項の規定にかかわらず、吸収合併消滅株式会社又は株式交換完全子会社が種類株式発行会社でない場合において、吸収合併消滅株式会社又は株式交換完全子会社の株主に対して交付する金銭等(以下この条及び次条第1項において「合併対価等」という。)の全部又は一部が持分等(持分会社の持分その他これに準ずるものとして法務省令で定めるものをいう。以下この条において同じ。)であるときは、吸収合併契約又は株式交換契約について吸収合併消滅株式会社又は株式交換完全子会社の総株主の同意を得なければならない。
③ 吸収合併消滅株式会社又は株式交換完全子会社が種類株式発行会社である場合において、合併対価等の全部又は一部が譲渡制限株式等(譲渡制限株式その他これに準ずるものとして法務省令で定めるものをいう。以下この章において同じ。)であるときは、吸収合併又は株式交換は、当該譲渡制限株式等の割当てを受ける種類の株式(譲渡制限株式を除く。)の種類株主を構成員とする種類株主総会(当該種類株主に係る株式の種類が2以上ある場合にあっては、当該2以上の株式の種類別に区分された種類株主を構成員とする各種類株主総会)の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる株主が存しない場合は、この限りでない。
④ 吸収合併消滅株式会社又は株式交換完全子会社が種類株式発行会社である場合において、合併対価等の全部又は一部が持分等であるときは、吸収合併又は株式交換は、当該持分等の割当てを受ける種類の株主の全員の同意がなければ、その効力を生じない。
⑤ 消滅株式会社等は、効力発生日の20日前までに、その登録株式質権者(次条第2項に規定する場合における登録株式質権者を除く。)及び第787条第3項各号に定める新株予約権の登録新株予約権質権者に対し、吸収合併等をする旨を通知しなければならない。
⑥ 前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。
過去問・解説
(H28 予備 第25問 ア)
吸収合併等の各当事会社は、いずれも、原則として、株主総会の特別決議によって、吸収合併契約等の承認を受けなければならない、という規定は、株主保護を直接の目的とするものではない。

(正答)

(解説)
吸収合併等の各当事会社が、株主総会の特別決議によって吸収合併等の承認を受けなければならないのは、吸収合併等の組織再編行為が、株主の重大の利害にかかわるためである(江頭憲治郎「株式会社法」第9版871頁)。
したがって、本肢の規定は、株主保護を直接の目的とするものである。
総合メモ

第784条

条文
第784条(吸収合併契約等の承認を要しない場合)
① 前条第1項の規定は、吸収合併存続会社、吸収分割承継会社又は株式交換完全親会社(以下この目において「存続会社等」という。)が消滅株式会社等の特別支配会社である場合には、適用しない。ただし、吸収合併又は株式交換における合併対価等の全部又は一部が譲渡制限株式等である場合であって、消滅株式会社等が公開会社であり、かつ、種類株式発行会社でないときは、この限りでない。
② 前条の規定は、吸収分割により吸収分割承継会社に承継させる資産の帳簿価額の合計額が吸収分割株式会社の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の5分の1(これを下回る割合を吸収分割株式会社の定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えない場合には、適用しない。
過去問・解説
(H19 司法 第47問 5)
株式会社を存続会社及び消滅会社とする吸収合併に関し、合併当事者の一方が特別支配会社であるいわゆる略式合併において、合併についての株主総会決議が不要とされる会社の株主の一定数が異議を申し出た場合には、株主総会決議を不要とすることはできない。

(正答)

(解説)
784条1項は、吸収合併には株主総会の特別決議が必要であるとの規定について、「吸収合併存続会社、…が消滅株式会社等の特別支配会社である場合には、適用しない。」と規定している。
そして、いわゆる略式合併において、一定数が異議を申し出た場合には、株主総会決議を不要とすることはできない旨の規定は存在しない。
したがって、略式合併において、合併についての株主総会決議が不要とされる会社の株主の一定数が異議を申し出た場合であっても、株主総会決議は不要である。

(R1 予備 第25問 1)
吸収分割承継株式会社が吸収分割株式会社の特別支配会社である場合であっても、一定数の株式を有する当該吸収分割株式会社の株主が吸収分割に反対する旨を当該吸収分割株式会社に対し通知したときは、当該吸収分割株式会社は、株主総会の決議によって、吸収分割契約の承認を受けなければならない。

(正答)

(解説)
784条1項は、吸収分割には株主総会の特別決議が必要であるとの規定について、「吸収分割承継会社…が消滅株式会社等の特別支配会社である場合には、適用しない。」と規定している。
そして、略式の吸収分割において、一定数が反対する旨を通知したときは、株主総会決議が必要であるとの規定は存在しない。
したがって、収分割承継株式会社が吸収分割株式会社の特別支配会社である場合、一定数の株式を有する当該吸収分割株式会社の株主が吸収分割に反対する旨を当該吸収分割株式会社に対し通知したとしても、当該吸収分割株式会社において、株主総会の決議は必要ない。

(R1 予備 第25問 2)
吸収分割により吸収分割承継株式会社に承継させる資産の帳簿価額の合計額が吸収分割株式会社の総資産額の5分の1を超えない場合であっても、一定数の株式を有する当該吸収分割株式会社の株主が当該吸収分割に反対する旨を当該吸収分割株式会社に対し通知したときは、当該吸収分割株式会社は、株主総会の決議によって、吸収分割契約の承認を受けなければならない。

(正答)

(解説)
784条2項は、吸収分割においては株主総会の特別決議が必要であるとの規定について、「吸収分割により吸収分割承継会社に承継させる資産の帳簿価額の合計額が吸収分割株式会社の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の5分の1…を超えない場合には、適用しない。」と規定している。
したがって、吸収分割により吸収分割承継株式会社に承継させる資産の帳簿価額の合計額が吸収分割株式会社の総資産額の5分の1を超えない場合は、一定数の株式を有する当該吸収分割株式会社の株主が当該吸収分割に反対する旨を当該吸収分割株式会社に対し通知したときであっても、当該吸収分割株式会社は、株主総会の決議によらず、吸収分割契約を締結することができる。

(R2 予備 第25問 イ)
吸収分割承継会社が吸収分割会社の特別支配会社である場合において、吸収分割承継会社が吸収分割に際して吸収分割会社に対して譲渡制限株式を交付するときであって、吸収分割会社が公開会社であり、かつ、種類株式発行会社でないときは、吸収分割会社は、株主総会の決議によって、吸収分割契約の承認を受けなければならない。

(正答)

(解説)
784条1項は、吸収分割においては株主総会の特別決議が必要であるとの規定について、前段において「吸収分割承継会社…が消滅株式会社等の特別支配会社である場合には、適用しない。」と規定する一方で、但書において、「吸収合併又は株式交換における合併対価等の全部又は一部が譲渡制限株式等である場合であって、消滅株式会社等が公開会社であり、かつ、種類株式発行会社でないときは、この限りでない。」と規定している。
したがって、784条1項但書の規定は吸収分割には適用されないため、本肢の場合は、株主総会の特別決議による承認が必要である。

(R4 予備 第23問 ア)
吸収合併及び事業譲渡は、いずれも、株主総会の決議によって吸収合併契約又は事業譲渡契約の承認を受けることを要しない場合がある。

(正答)

(解説)
784条は、吸収合併のうち、株主総会の決議による承認が不要な場合として、1項において、「存続会社等…が消滅株式会社等の特別支配株主である場合」を掲げ、2項において、「吸収分割により吸収分割承継会社に承継させる資産の帳簿価額の合計額が吸収分割株式会社の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の5分の1…を超えない場合」を掲げている。
また、468条1項は、事業譲渡の承認を要しない場合として「契約の相手方が当該事業譲渡等をする株式会社の特別支配会社…である場合」を掲げている。
総合メモ

第784条の2

条文
第784条の2(吸収合併等をやめることの請求)
 次に掲げる場合において、消滅株式会社等の株主が不利益を受けるおそれがあるときは、消滅株式会社等の株主は、消滅株式会社等に対し、吸収合併等をやめることを請求することができる。ただし、前条第2項に規定する場合は、この限りでない。                
 一 当該吸収合併等が法令又は定款に違反する場合        
 二 前条第1項本文に規定する場合において、第749条第1項第2号若しくは第3号、第751条第1項第3号若しくは第4号、第758条第4号、第760条第4号若しくは第5号、第768条第1項第2号若しくは第3号又は第770条第1項第3号若しくは第4号に掲げる事項が消滅株式会社等又は存続会社等の財産の状況その他の事情に照らして著しく不当であるとき。        
過去問・解説
(H22 司法 第48問 3)
吸収分割承継株式会社が吸収分割株式会社の特別支配会社であるいわゆる略式分割においては、当該略式分割が法令又は定款に違反する場合であって、吸収分割株式会社の株主が不利益を受けるおそれがあるときであっても、当該株主は、当該吸収分割株式会社に対し、当該略式分割をやめることを請求することができない。

(正答)

(解説)
784条の2第1号は、消滅株式会社等の株主が不利益を受けるおそれがある場合に、消滅株式会社等の株主が吸収合併等をやめることを請求することができる場合の1つとして、「当該吸収合併等が法令又は定款に違反する場合」を掲げている。
したがって、略式分割の場合であっても、当該略式分割が法令又は定款に違反する場合であって、吸収分割株式会社の株主が不利益を受けるおそれがあるときは、当該株主は、当該略式分割をやめることを請求することができる。

(H28 予備 第25問 エ)
吸収合併等の各当事会社の株主は、一定の場合には、自己が株式を有する会社に対し、吸収合併等をやめることを請求することができる、という規定は、株主保護を直接の目的とするものでない。

(正答)

(解説)
784条の2柱書本文は、「次に掲げる場合において、消滅株式会社等の株主が不利益を受けるおそれがあるときは、消滅株式会社等の株主は、消滅株式会社等に対し、吸収合併等をやめることを請求することができる。」と規定している。
本規定は、株主保護を直接の目的とするものであると解されている。

(R1 予備 第25問 3)
吸収分割承継株式会社が吸収分割株式会社の特別支配会社である場合であっても、吸収分割が法令又は定款に違反するときであって、当該吸収分割株式会社の株主が不利益を受けるおそれがあるときは、当該吸収分割株式会社の株主は、当該吸収分割株式会社に対し、当該吸収分割をやめることを請求することができる。

(正答)

(解説)
784条の2第1号は、消滅株式会社等の株主が不利益を受けるおそれがある場合であって、消滅株式会社等の株主が、吸収合併等をやめることを請求することができる場合の1つとして、「当該吸収合併等が法令又は定款に違反する場合」を掲げている。
したがって、吸収分割承継株式会社が吸収分割株式会社の特別支配会社である場合であっても、吸収分割が法令又は定款に違反するときであって、当該吸収分割株式会社の株主が不利益を受けるおそれがあるときは、当該吸収分割株式会社の株主は、当該吸収分割をやめることを請求することができる。 

(R3 予備 第25問 3)
吸収合併が法令又は定款に違反する場合であって、消滅会社の株主が不利益を受けるおそれがあるときは、当該消滅会社の株主は、当該消滅会社に対し、当該吸収合併をやめることを請求することができる。

(正答)

(解説)
784条の2第1号は、消滅会社の株主が不利益を受けるおそれがあるときに、当該消滅会社の株主が当該消滅会社に対して当該吸収合併をやめることを請求することができる場合の1つとして、「当該吸収合併等が法令又は定款に違反する場合」を掲げている。
したがって、吸収合併が法令又は定款に違反する場合であって、消滅会社の株主が不利益を受けるおそれがあるときは、当該消滅会社の株主は、当該消滅会社に対し、当該吸収合併をやめることを請求することができる。
総合メモ

第785条

条文
第785条(反対株主の株式買取請求)
① 吸収合併等をする場合(次に掲げる場合を除く。)には、反対株主は、消滅株式会社等に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。                
 一 第783条第2項に規定する場合        
 二 第784条第2項に規定する場合        
② 前項に規定する「反対株主」とは、次の各号に掲げる場合における当該各号に定める株主(第783条第4項に規定する場合における同項に規定する持分等の割当てを受ける株主を除く。)をいう。                
 一 吸収合併等をするために株主総会(種類株主総会を含む。)の決議を要する場合 次に掲げる株主        
  イ 当該株主総会に先立って当該吸収合併等に反対する旨を当該消滅株式会社等に対し通知し、かつ、当該株主総会において当該吸収合併等に反対した株主(当該株主総会において議決権を行使することができるものに限る。)
  ロ 当該株主総会において議決権を行使することができない株主
 二 前号に規定する場合以外の場合 全ての株主(第784条第1項本文に規定する場合における当該特別支配会社を除く。)        
③ 消滅株式会社等は、効力発生日の20日前までに、その株主(第783条第4項に規定する場合における同項に規定する持分等の割当てを受ける株主及び第784条第1項本文に規定する場合における当該特別支配会社を除く。)に対し、吸収合併等をする旨並びに存続会社等の商号及び住所を通知しなければならない。ただし、第1項各号に掲げる場合は、この限りでない。                
④ 次に掲げる場合には、前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。                
 一 消滅株式会社等が公開会社である場合        
 二 消滅株式会社等が第783条第1項の株主総会の決議によって吸収合併契約等の承認を受けた場合        
⑤ 第1項の規定による請求(以下この目において「株式買取請求」という。)は、効力発生日の20日前の日から効力発生日の前日までの間に、その株式買取請求に係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。                
⑥ 株券が発行されている株式について株式買取請求をしようとするときは、当該株式の株主は、消滅株式会社等に対し、当該株式に係る株券を提出しなければならない。ただし、当該株券について第223条の規定による請求をした者については、この限りでない。                
⑦ 株式買取請求をした株主は、消滅株式会社等の承諾を得た場合に限り、その株式買取請求を撤回することができる。                
⑧ 吸収合併等を中止したときは、株式買取請求は、その効力を失う。                
⑨ 第133条の規定は、株式買取請求に係る株式については、適用しない。                
過去問・解説
(H18 司法 第48問 5)
株式交換においては、いずれの当事会社の反対株主も、会社法所定の手続に従って、自己が株主である会社に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。

(正答)

(解説)
785条1項柱書は、「吸収合併等をする場合…には、反対株主は、消滅株式会社等に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。」と規定し、株式交換において、株式交換完全子会社に対する株式の買取請求を認めている。
また、反対株主は、株式交換完全親会社に対して株式の買取請求をすることも認められている(797条)。

(H19 司法 第47問 1)
株式会社を存続会社及び消滅会社とする吸収合併に関し、反対株主として株式買取請求をした株主は、その後いつでも自由にその請求を撤回することができる。

(正答)

(解説)
785条7項は、「株式買取請求をした株主は、消滅株式会社等の承諾を得た場合に限り、その株式買取請求を撤回することができる。」と規定している。
したがって、いつでも自由にその請求を撤回することができるわけではない。

(H19 司法 第47問 2)
株式会社を存続会社及び消滅会社とする吸収合併に関し、反対株主として株式買取請求をすることができる者は、合併についての株主総会決議につき議決権を行使することができる株主に限られない。

(正答)

(解説)
785条2項2号ロは、反対株主として認められる株主の1つとして、「当該株主総会において議決権を行使することができない株主」を掲げている。 

(H21 司法 第48問 4)
吸収分割により吸収分割承継株式会社に承継させる資産の帳簿価額の合計額が法定の額を超えないものとして吸収分割株式会社の株主総会の承認を受けないで吸収分割が行われる場合には、当該吸収分割株式会社の株主には、反対株主の株式買取請求権が認められないが、当該吸収分割承継株式会社の株主には、反対株主の株式買取請求権が認められる。

(正答)

(解説)
785条1項2号は、反対株主の株式買取請求が認められない場合の1つとして、「第784条第2項に規定する場合」を掲げ、簡易分割における吸収分割株式会社の反対株主の株式買取請求を認めていない。
他方で、簡易分割における吸収分割承継会社の反対株主の株式買取請求を認めないとする規定は存在しない。

(H24 司法 第48問 イ)
株式会社が株式交換をするために株主総会の決議による承認を要しない場合には、株主は、会社に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができない。

(正答)

(解説)
785条1項2号は、反対株主が、消滅会社等に株式買取請求権を行使できない場合として、「第784条第2項に規定する場合」を掲げ、簡易組織再編における消滅会社等に対する株式買取請求を禁止している。また、存続会社に対する株式買取請求も認められていない(797条1項但書)。
他方で、略組織再編の場合には、特別支配株主の株式買取請求は認められていないが(785条2項2号括弧書、797条2項2号括弧書)、特別支配会社以外の株主は、会社に対し、株式買取請求権を行使できる。 

(H25 司法 第49問 オ)
消滅会社の反対株主は、合併対価として交付を受ける株式の価額が各当事会社の財産の状況その他の事情に照らして相当である場合でも、株式買取請求権を行使することができる。

(正答)

(解説)
785条1項柱書は、「吸収合併等をする場合…には、反対株主は、消滅株式会社等に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。」と規定し、合併対価として交付を受ける株式の価格にかかわらず、反対株主の株式買取請求を認めている。

(H26 司法 第49問 ア)
株式買取請求権は、組織再編行為に無効原因がない場合にも認められる。

(正答)

(解説)
785条1項は、「吸収合併等をする場合…には、反対株主は、消滅株式会社等に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。」と規定し、株式買取請求権が認められる場合として、組織再編行為に無効原因の有無を問題にしていない。

(H26 司法 第49問 ウ)
組織再編行為に係る契約又は計画を承認する株主総会において議決権を行使することができない株主に、株式買取請求権は認められない。

(正答)

(解説)
785条2項1号ロは、吸収合併に係る契約又は計画を承認する株主総会において反対株主株式買取請求権を行使しうる主体として「議決権を行使することができない株主」を掲げている。

(H26 司法 第49問 エ)
株式買取請求権を行使した株主は、いつでも、会社の承諾を得ることなく、その株式買取請求を撤回することができる。

(正答)

(解説)
785条7項は、「株式買取請求をした株主は、消滅株式会社等の承諾を得た場合に限り、その株式買取請求を撤回することができる。」と規定している。

(R3 予備 第25問 1)
吸収合併に反対する消滅会社の株主であって、当該吸収合併をするための決議をする株主総会において議決権を行使することができる者が、株式買取請求権を行使するには、当該株主総会に先立って当該吸収合併に反対する旨を当該消滅会社に対し通知するとともに、当該株主総会において当該吸収合併に反対しなければならない。

(正答)

(解説)
785条2項1号イは、吸収合併をするために株主総会の決議を要する場合に、反対株主として認められる場合の1つとして、「当該株主総会に先立って当該吸収合併等に反対する旨を当該消滅株式会社等に対し通知し、かつ、当該株主総会において当該吸収合併等に反対した株主(当該株主総会において議決権を行使することができるものに限る。)」を掲げている。 
総合メモ

第786条

条文
第786条(株式の価格の決定等)
① 株式買取請求があった場合において、株式の価格の決定について、株主と消滅株式会社等(吸収合併をする場合における効力発生日後にあっては、吸収合併存続会社。以下この条において同じ。)との間に協議が調ったときは、消滅株式会社等は、効力発生日から60日以内にその支払をしなければならない。
② 株式の価格の決定について、効力発生日から30日以内に協議が調わないときは、株主又は消滅株式会社等は、その期間の満了の日後30日以内に、裁判所に対し、価格の決定の申立てをすることができる。
③ 前条第7項の規定にかかわらず、前項に規定する場合において、効力発生日から60日以内に同項の申立てがないときは、その期間の満了後は、株主は、いつでも、株式買取請求を撤回することができる。
④ 消滅株式会社等は、裁判所の決定した価格に対する第1項の期間の満了の日後の法定利率による利息をも支払わなければならない。
⑤ 消滅株式会社等は、株式の価格の決定があるまでは、株主に対し、当該消滅株式会社等が公正な価格と認める額を支払うことができる。
⑥ 株式買取請求に係る株式の買取りは、効力発生日に、その効力を生ずる。
⑦ 株券発行会社は、株券が発行されている株式について株式買取請求があったときは、株券と引換えに、その株式買取請求に係る株式の代金を支払わなければならない。
過去問・解説
(H22 司法 第47問 5)
吸収合併において、吸収合併消滅株式会社の反対株主が当該吸収合併消滅株式会社に対し会社法所定の手続に従って自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求した場合、当該反対株主は、吸収合併契約に定められた吸収合併がその効力を生ずる日から30日以内に、裁判所に対し、価格の決定の申立てをすることができる。

(正答)

(解説)
786条2項によると、株式の価格の決定について、効力発生日から30日以内に協議が調わないときは、株主又は消滅株式会社等は、「その期間の満了の日後30日以内」に、裁判所に対し、価格の決定の申立てをすることができる。

(R3 予備 第26問 イ)
株式交換において反対株主による株式買取請求権が行使された場合の買取価格決定は、訴訟手続ではなく会社法上の非訟事件の手続による。

(正答)

(解説)
117条1項によると、原則株主と会社間の協議で決定することとされる。 協議が整わない場合、株主または会社が裁判所へ申し立てることで、裁判所が決定することになる(同条2項)が、これは非訟手続である。
総合メモ

第787条

条文
第787条(新株予約権買取請求)
① 次の各号に掲げる行為をする場合には、当該各号に定める消滅株式会社等の新株予約権の新株予約権者は、消滅株式会社等に対し、自己の有する新株予約権を公正な価格で買い取ることを請求することができる。                
 一 吸収合併 第749条第1項第4号又は第5号に掲げる事項についての定めが第236条第1項第8号の条件(同号イに関するものに限る。)に合致する新株予約権以外の新株予約権        
 二 吸収分割(吸収分割承継会社が株式会社である場合に限る。) 次に掲げる新株予約権のうち、第758条第5号又は第6号に掲げる事項についての定めが第236条第1項第8号の条件(同号ロに関するものに限る。)に合致する新株予約権以外の新株予約権        
  イ 吸収分割契約新株予約権
  ロ 吸収分割契約新株予約権以外の新株予約権であって、吸収分割をする場合において当該新株予約権の新株予約権者に吸収分割承継株式会社の新株予約権を交付することとする旨の定めがあるもの
 三 株式交換(株式交換完全親会社が株式会社である場合に限る。) 次に掲げる新株予約権のうち、第768条第1項第4号又は第5号に掲げる事項についての定めが第236条第1項第8号の条件(同号ニに関するものに限る。)に合致する新株予約権以外の新株予約権        
  イ 株式交換契約新株予約権
  ロ 株式交換契約新株予約権以外の新株予約権であって、株式交換をする場合において当該新株予約権の新株予約権者に株式交換完全親株式会社の新株予約権を交付することとする旨の定めがあるもの
② 新株予約権付社債に付された新株予約権の新株予約権者は、前項の規定による請求(以下この目において「新株予約権買取請求」という。)をするときは、併せて、新株予約権付社債についての社債を買い取ることを請求しなければならない。ただし、当該新株予約権付社債に付された新株予約権について別段の定めがある場合は、この限りでない。                
③ 次の各号に掲げる消滅株式会社等は、効力発生日の20日前までに、当該各号に定める新株予約権の新株予約権者に対し、吸収合併等をする旨並びに存続会社等の商号及び住所を通知しなければならない。                
 一 吸収合併消滅株式会社 全部の新株予約権        
 二 吸収分割承継会社が株式会社である場合における吸収分割株式会社 次に掲げる新株予約権        
  イ 吸収分割契約新株予約権
  ロ 吸収分割契約新株予約権以外の新株予約権であって、吸収分割をする場合において当該新株予約権の新株予約権者に吸収分割承継株式会社の新株予約権を交付することとする旨の定めがあるもの
 三 株式交換完全親会社が株式会社である場合における株式交換完全子会社 次に掲げる新株予約権        
  イ 株式交換契約新株予約権
  ロ 株式交換契約新株予約権以外の新株予約権であって、株式交換をする場合において当該新株予約権の新株予約権者に株式交換完全親株式会社の新株予約権を交付することとする旨の定めがあるもの
④ 前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。                
⑤ 新株予約権買取請求は、効力発生日の20日前の日から効力発生日の前日までの間に、その新株予約権買取請求に係る新株予約権の内容及び数を明らかにしてしなければならない。                
⑥ 新株予約権証券が発行されている新株予約権について新株予約権買取請求をしようとするときは、当該新株予約権の新株予約権者は、消滅株式会社等に対し、その新株予約権証券を提出しなければならない。ただし、当該新株予約権証券について非訟事件手続法第114条に規定する公示催告の申立てをした者については、この限りでない。                
⑦ 新株予約権付社債券が発行されている新株予約権付社債に付された新株予約権について新株予約権買取請求をしようとするときは、当該新株予約権の新株予約権者は、消滅株式会社等に対し、その新株予約権付社債券を提出しなければならない。ただし、当該新株予約権付社債券について非訟事件手続法第114条に規定する公示催告の申立てをした者については、この限りでない。                
⑧ 新株予約権買取請求をした新株予約権者は、消滅株式会社等の承諾を得た場合に限り、その新株予約権買取請求を撤回することができる。                
⑨ 吸収合併等を中止したときは、新株予約権買取請求は、その効力を失う。                
⑩ 第260条の規定は、新株予約権買取請求に係る新株予約権については、適用しない。                
過去問・解説
(H29 予備 第24問 ア)
事業譲渡をする場合には、譲渡会社の新株予約権者は、譲渡会社に対し、自己の有する新株予約権を買い取ることを請求することができないが、吸収分割をする場合には、吸収分割会社の新株予約権者は、吸収分割会社に対し、自己の有する新株予約権を買い取ることを請求することができることがある。

(正答)

(解説)
会社法上、事業譲渡において、譲渡会社の新株予約権者者が、譲渡会社に対し、自己の有する新株予約権を買い取ることを請求できるとする規定は存在しない。
他方で、787条1項柱書は、吸収分割をする場合において、「消滅株式会社等の新株予約権の新株予約権者は、消滅株式会社等に対し、自己の有する新株予約権を公正な価格で買い取ることを請求することができる。」と規定している。
総合メモ

第788条

条文
第788条(新株予約権の価格の決定等)
① 新株予約権買取請求があった場合において、新株予約権(当該新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合において、当該新株予約権付社債についての社債の買取りの請求があったときは、当該社債を含む。以下この条において同じ。)の価格の決定について、新株予約権者と消滅株式会社等(吸収合併をする場合における効力発生日後にあっては、吸収合併存続会社。以下この条において同じ。)との間に協議が調ったときは、消滅株式会社等は、効力発生日から60日以内にその支払をしなければならない。
② 新株予約権の価格の決定について、効力発生日から30日以内に協議が調わないときは、新株予約権者又は消滅株式会社等は、その期間の満了の日後30日以内に、裁判所に対し、価格の決定の申立てをすることができる。
③ 前条第8項の規定にかかわらず、前項に規定する場合において、効力発生日から60日以内に同項の申立てがないときは、その期間の満了後は、新株予約権者は、いつでも、新株予約権買取請求を撤回することができる。
④ 消滅株式会社等は、裁判所の決定した価格に対する第1項の期間の満了の日後の法定利率による利息をも支払わなければならない。
⑤ 消滅株式会社等は、新株予約権の価格の決定があるまでは、新株予約権者に対し、当該消滅株式会社等が公正な価格と認める額を支払うことができる。
⑥ 新株予約権買取請求に係る新株予約権の買取りは、効力発生日に、その効力を生ずる。
⑦ 消滅株式会社等は、新株予約権証券が発行されている新株予約権について新株予約権買取請求があったときは、新株予約権証券と引換えに、その新株予約権買取請求に係る新株予約権の代金を支払わなければならない。
⑧ 消滅株式会社等は、新株予約権付社債券が発行されている新株予約権付社債に付された新株予約権について新株予約権買取請求があったときは、新株予約権付社債券と引換えに、その新株予約権買取請求に係る新株予約権の代金を支払わなければならない。
過去問・解説
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総合メモ

第789条

条文
第789条(債権者の異議)
① 次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める債権者は、消滅株式会社等に対し、吸収合併等について異議を述べることができる。        
 一 吸収合併をする場合 吸収合併消滅株式会社の債権者
 二 吸収分割をする場合 吸収分割後吸収分割株式会社に対して債務の履行(当該債務の保証人として吸収分割承継会社と連帯して負担する保証債務の履行を含む。)を請求することができない吸収分割株式会社の債権者(第758条第8号又は第760条第7号に掲げる事項についての定めがある場合にあっては、吸収分割株式会社の債権者)
 三 株式交換契約新株予約権が新株予約権付社債に付された新株予約権である場合 当該新株予約権付社債についての社債権者
② 前項の規定により消滅株式会社等の債権者の全部又は一部が異議を述べることができる場合には、消滅株式会社等は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者(同項の規定により異議を述べることができるものに限る。)には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、第4号の期間は、1か月を下ることができない。        
 一 吸収合併等をする旨
 二 存続会社等の商号及び住所
 三 消滅株式会社等及び存続会社等(株式会社に限る。)の計算書類に関する事項として法務省令で定めるもの
 四 債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
③ 前項の規定にかかわらず、消滅株式会社等が同項の規定による公告を、官報のほか、第939条第1項の規定による定款の定めに従い、同項第2号又は第3号に掲げる公告方法によりするときは、前項の規定による各別の催告(吸収分割をする場合における不法行為によって生じた吸収分割株式会社の債務の債権者に対するものを除く。)は、することを要しない。        
④ 債権者が第2項第4号の期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該吸収合併等について承認をしたものとみなす。        
⑤ 債権者が第2項第4号の期間内に異議を述べたときは、消滅株式会社等は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該吸収合併等をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。        
過去問・解説
(H18 司法 第48問 4)
株式交換をする場合、株式交換完全子会社となる会社の債権者は、株式交換について異議を述べることができる。

(正答)

(解説)
会社法上、株式交換における株式交換完全子会社の債権者が、株式交換について異議を述べることができるとする規定は存在しない。

(H18 司法 第48問 3)
吸収分割後吸収分割株式会社に対して債務の履行の請求ができない吸収分割株式会社の債権者は、吸収分割株式会社に対し、吸収分割について異議を述べることができる。

(正答)

(解説)
789条1項2号は、吸収分割をする場合に、吸収分割株式会社に異議を述べることができる者として、「吸収分割後吸収分割株式会社に対して債務の履行…を請求することができない吸収分割株式会社の債権者」を掲げている。

(H21 司法 第48問 2)
吸収分割後吸収分割株式会社に対して債務の履行を請求することができる吸収分割株式会社の債権者は、分割対価である株式(これに準ずるものを含む。)を吸収分割株式会社の株主に全部取得条項付種類株式の取得対価又は剰余金の配当として分配する場合でない限り、その吸収分割について異議を述べることができない。

(正答)

(解説)
789条1項2号は、吸収分割をする場合に、吸収分割株式会社に異議を述べることができる者として、「吸収分割後吸収分割株式会社に対して債務の履行…を請求することができない吸収分割株式会社の債権者」を掲げている。
したがって、吸収分割後吸収分割株式会社に対して履行を請求することができる吸収分割株式会社の債権者は、吸収分割につき異議を述べることができない。

(H22 司法 第50問 ウ)
吸収合併において、吸収合併消滅株式会社が吸収合併の公告を、官報のほか、定款の定めに従い電子公告によりするときは、知れている債権者に対する各別の催告は、することを要しない。

(正答)

(解説)
789条3項は、「消滅株式会社等が…公告を、官報のほか、…第989条第1項の規定による定款の定めに従い、同項第2号又は第3号に掲げる公告方法によりするときは、各別の催告…は、することを要しない。」と規定し、公告を官報のほか電子公告によりするときは、各別の催告を不要としている。

(H29 予備 第24問 ウ)
事業譲渡については、債権者異議手続をすることを要しないが、吸収分割については、債権者異議手続をしなければならないことがある。

(正答)

(解説)
会社法上、事業譲渡について、債権者異議手続を認める規定は存在しない。
他方で、789条1項柱書は、「次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める債権者は、消滅株式会社等に対し、吸収合併等について異議を述べることができる。」と規定し、吸収分割における債権者異議手続を保障している。

(H29 予備 第26問 4)
公告方法が電子公告である吸収合併消滅株式会社は、吸収合併の債権者異議手続においてしなければならない公告を、官報のほか、電子公告によってするときは、知れている債権者に対する各別の催告をすることを要しない。

(正答)

(解説)
789条3項は、「消滅株式会社等が…公告を、官報のほか、…第989条第1項の規定による定款の定めに従い、同項第2号又は第3号に掲げる公告方法によりするときは、各別の催告…は、することを要しない。」と規定し、公告を官報のほか電子公告によりするときは、各別の催告を不要としている。

(H30 予備 第25問 ウ)
吸収分割をする株式会社が株主総会の決議によって吸収分割契約の承認を受けなければならない場合において、当該株式会社の債権者が当該株式会社に対し吸収分割について異議を述べることができるときは、当該債権者が異議を述べることができる期間の初日は、当該承認があった日後の日でなければならない。

(正答)

(解説)
会社法上、吸収分割における債権者異議手続について期間に関する規定は存在せず、本肢のような制限はない。

(R1 予備 第25問 5)
吸収分割により吸収分割承継株式会社に承継させる資産の帳簿価額の合計額が吸収分割株式会社の総資産額の5分の1を超えない場合には、当該吸収分割後当該吸収分割株式会社に対して債務の履行を請求することができない当該吸収分割株式会社の債権者であっても、当該吸収分割株式会社に対し、当該吸収分割について異議を述べることができない。

(正答)

(解説)
789条1項柱書は、「当該各号に定める債権者は、消滅株式会社等に対し、吸収合併等について異議を述べることができる。」と規定している。
そして、簡易分割について、債権者異議手続を認めないとする規定は存在しない。
したがって、簡易分割についても、債権者は異議を述べることができる。

(R5 予備 第24問 オ)
株式交換完全子会社の新株予約権付社債についての社債権者は、株式交換に際して株式交換完全親会社の新株予約権の交付を受ける場合には、当該株式交換について異議を述べることはできない。

(正答)

(解説)
789条1項3号は、株式交換完全子会社の新株予約権付社債についての社債権者が株式交換について異議を述べることはできる場合として、「株式交換契約新株予約権が新株予約権付社債に付された新株予約権である場合」を掲げている。
総合メモ

第790条

条文
第790条(吸収合併等の効力発生日の変更)
① 消滅株式会社等は、存続会社等との合意により、効力発生日を変更することができる。
② 前項の場合には、消滅株式会社等は、変更前の効力発生日(変更後の効力発生日が変更前の効力発生日前の日である場合にあっては、当該変更後の効力発生日)の前日までに、変更後の効力発生日を公告しなければならない。
③ 第1項の規定により効力発生日を変更したときは、変更後の効力発生日を効力発生日とみなして、この節並びに第750条、第752条、第759条、第761条、第769条及び第771条の規定を適用する。
過去問・解説
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総合メモ

第791条

条文
第791条(吸収分割又は株式交換に関する書面等の備置き及び閲覧等)
① 吸収分割株式会社又は株式交換完全子会社は、効力発生日後遅滞なく、吸収分割承継会社又は株式交換完全親会社と共同して、次の各号に掲げる区分に応じ、当該各号に定めるものを作成しなければならない。        
 一 吸収分割株式会社 吸収分割により吸収分割承継会社が承継した吸収分割株式会社の権利義務その他の吸収分割に関する事項として法務省令で定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録
 二 株式交換完全子会社 株式交換により株式交換完全親会社が取得した株式交換完全子会社の株式の数その他の株式交換に関する事項として法務省令で定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録
② 吸収分割株式会社又は株式交換完全子会社は、効力発生日から6箇月間、前項各号の書面又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。        
③ 吸収分割株式会社の株主、債権者その他の利害関係人は、吸収分割株式会社に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第2号又は第4号に掲げる請求をするには、当該吸収分割株式会社の定めた費用を支払わなければならない。        
 一 前項の書面の閲覧の請求
 二 前項の書面の謄本又は抄本の交付の請求
 三 前項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
 四 前項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって吸収分割株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求
④ 前項の規定は、株式交換完全子会社について準用する。この場合において、同項中「吸収分割株式会社の株主、債権者その他の利害関係人」とあるのは、「効力発生日に株式交換完全子会社の株主又は新株予約権者であった者」と読み替えるものとする。        
過去問・解説
(R6 予備 第23問 オ)
甲株式会社(以下「甲社」という。)が乙株式会社(以下「乙社」という。)に対してその事業の一部を吸収分割又は事業譲渡の方法により承継させたいと考えている。甲社及び乙社が、効力発生日後遅滞なく、共同して当該承継に関する会社法所定の書面又は電磁的記録を作成しなければならないのは、吸収分割の方法による場合のみである。

(正答)

(解説)
791条1項1号は、吸収分割株式会社が、効力発生日後遅滞なく、吸収分割承継会社と共同して、作成しなければならないものとして、「吸収分割により吸収分割承継会社が承継した吸収分割株式会社の権利義務その他の吸収分割に関する事項として法務省令で定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録」を掲げている。
他方で、事業譲渡について、本肢のような規定は存在しない。
総合メモ

第792条

条文
第792条(剰余金の配当等に関する特則)
第445条第4項、第458条及び第2編第5章第6節の規定は、次に掲げる行為については、適用しない。        
 一 第758条第8号イ又は第760条第7号イの株式の取得
 二 第758条第8号ロ又は第760条第7号ロの剰余金の配当
過去問・解説
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総合メモ

第793条

条文
第793条(持分会社の手続)
① 次に掲げる行為をする持分会社は、効力発生日の前日までに、吸収合併契約等について当該持分会社の総社員の同意を得なければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。        
 一 吸収合併(吸収合併により当該持分会社が消滅する場合に限る。)
 二 吸収分割(当該持分会社(合同会社に限る。)がその事業に関して有する権利義務の全部を他の会社に承継させる場合に限る。)
② 第789条(第1項第3号及び第2項第3号を除く。)及び第790条の規定は、吸収合併消滅持分会社又は合同会社である吸収分割会社(以下この節において「吸収分割合同会社」という。)について準用する。この場合において、第789条第1項第2号中「債権者(第758条第8号又は第760条第7号に掲げる事項についての定めがある場合にあっては、吸収分割株式会社の債権者)」とあるのは「債権者」と、同条第3項中「消滅株式会社等」とあるのは「吸収合併消滅持分会社(吸収合併存続会社が株式会社又は合同会社である場合にあっては、合同会社に限る。)又は吸収分割合同会社」と読み替えるものとする。        
過去問・解説
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第794条

条文
第794条(吸収合併契約等に関する書面等の備置き及び閲覧等)
① 吸収合併存続株式会社、吸収分割承継株式会社又は株式交換完全親株式会社(以下この目において「存続株式会社等」という。)は、吸収合併契約等備置開始日から効力発生日後6箇月を経過する日までの間、吸収合併契約等の内容その他法務省令で定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。        
② 前項に規定する「吸収合併契約等備置開始日」とは、次に掲げる日のいずれか早い日をいう。        
 一 吸収合併契約等について株主総会(種類株主総会を含む。)の決議によってその承認を受けなければならないときは、当該株主総会の日の2週間前の日(第319条第1項の場合にあっては、同項の提案があった日)
 二 第797条第3項の規定による通知の日又は同条第4項の公告の日のいずれか早い日
 三 第799条の規定による手続をしなければならないときは、同条第2項の規定による公告の日又は同項の規定による催告の日のいずれか早い日
③ 存続株式会社等の株主及び債権者(株式交換完全子会社の株主に対して交付する金銭等が株式交換完全親株式会社の株式その他これに準ずるものとして法務省令で定めるもののみである場合(第768条第1項第4号ハに規定する場合を除く。)にあっては、株主)は、存続株式会社等に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第2号又は第4号に掲げる請求をするには、当該存続株式会社等の定めた費用を支払わなければならない。        
 一 第1項の書面の閲覧の請求
 二 第1項の書面の謄本又は抄本の交付の請求
 三 第1項の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
 四 第1項の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって存続株式会社等の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求
過去問・解説
(R3 予備 第25問 オ)
存続会社は、吸収合併契約締結日から吸収合併の効力発生日までの間、吸収合併契約の内容を記載した書面又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならないが、吸収合併の効力発生後はこれらを備え置く必要はない。

(正答)

(解説)
794条1項は、「吸収合併存続株式会社、…は、吸収合併契約等備置開始日から効力発生日後6箇月を経過する日までの間、吸収合併契約等の内容その他法務省令で定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。」と規定している。
総合メモ

第795条

条文
第795条(吸収合併契約等の承認等)
① 存続株式会社等は、効力発生日の前日までに、株主総会の決議によって、吸収合併契約等の承認を受けなければならない。        
② 次に掲げる場合には、取締役は、前項の株主総会において、その旨を説明しなければならない。        
 一 吸収合併存続株式会社又は吸収分割承継株式会社が承継する吸収合併消滅会社又は吸収分割会社の債務の額として法務省令で定める額(次号において「承継債務額」という。)が吸収合併存続株式会社又は吸収分割承継株式会社が承継する吸収合併消滅会社又は吸収分割会社の資産の額として法務省令で定める額(同号において「承継資産額」という。)を超える場合
 二 吸収合併存続株式会社又は吸収分割承継株式会社が吸収合併消滅株式会社の株主、吸収合併消滅持分会社の社員又は吸収分割会社に対して交付する金銭等(吸収合併存続株式会社又は吸収分割承継株式会社の株式等を除く。)の帳簿価額が承継資産額から承継債務額を控除して得た額を超える場合
 三 株式交換完全親株式会社が株式交換完全子会社の株主に対して交付する金銭等(株式交換完全親株式会社の株式等を除く。)の帳簿価額が株式交換完全親株式会社が取得する株式交換完全子会社の株式の額として法務省令で定める額を超える場合
③ 承継する吸収合併消滅会社又は吸収分割会社の資産に吸収合併存続株式会社又は吸収分割承継株式会社の株式が含まれる場合には、取締役は、第1項の株主総会において、当該株式に関する事項を説明しなければならない。        
④ 存続株式会社等が種類株式発行会社である場合において、次の各号に掲げる場合には、吸収合併等は、当該各号に定める種類の株式(譲渡制限株式であって、第199条第4項の定款の定めがないものに限る。)の種類株主を構成員とする種類株主総会(当該種類株主に係る株式の種類が2以上ある場合にあっては、当該2以上の株式の種類別に区分された種類株主を構成員とする各種類株主総会)の決議がなければ、その効力を生じない。ただし、当該種類株主総会において議決権を行使することができる株主が存しない場合は、この限りでない。        
 一 吸収合併消滅株式会社の株主又は吸収合併消滅持分会社の社員に対して交付する金銭等が吸収合併存続株式会社の株式である場合 第749条第1項第2号イの種類の株式
 二 吸収分割会社に対して交付する金銭等が吸収分割承継株式会社の株式である場合 第758条第4号イの種類の株式
 三 株式交換完全子会社の株主に対して交付する金銭等が株式交換完全親株式会社の株式である場合 第768条第1項第2号イの種類の株式
過去問・解説
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第796条

条文
第796条(吸収合併契約等の承認を要しない場合等)
① 前条第1項から第3項までの規定は、吸収合併消滅会社、吸収分割会社又は株式交換完全子会社(以下この目において「消滅会社等」という。)が存続株式会社等の特別支配会社である場合には、適用しない。ただし、吸収合併消滅株式会社若しくは株式交換完全子会社の株主、吸収合併消滅持分会社の社員又は吸収分割会社に対して交付する金銭等の全部又は一部が存続株式会社等の譲渡制限株式である場合であって、存続株式会社等が公開会社でないときは、この限りでない。                
② 前条第1項から第3項までの規定は、第1号に掲げる額の第2号に掲げる額に対する割合が5分の1(これを下回る割合を存続株式会社等の定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えない場合には、適用しない。ただし、同条第2項各号に掲げる場合又は前項ただし書に規定する場合は、この限りでない。                
 一 次に掲げる額の合計額        
  イ 吸収合併消滅株式会社若しくは株式交換完全子会社の株主、吸収合併消滅持分会社の社員又は吸収分割会社(以下この号において「消滅会社等の株主等」という。)に対して交付する存続株式会社等の株式の数に1株当たり純資産額を乗じて得た額
  ロ 消滅会社等の株主等に対して交付する存続株式会社等の社債、新株予約権又は新株予約権付社債の帳簿価額の合計額
  ハ 消滅会社等の株主等に対して交付する存続株式会社等の株式等以外の財産の帳簿価額の合計額
 二 存続株式会社等の純資産額として法務省令で定める方法により算定される額        
③ 前項本文に規定する場合において、法務省令で定める数の株式(前条第1項の株主総会において議決権を行使することができるものに限る。)を有する株主が第797条第3項の規定による通知又は同条第4項の公告の日から2週間以内に吸収合併等に反対する旨を存続株式会社等に対し通知したときは、当該存続株式会社等は、効力発生日の前日までに、株主総会の決議によって、吸収合併契約等の承認を受けなければならない。                
過去問・解説
(R3 予備 第25問 2)
その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けた存続会社は、吸収合併に際して消滅会社の株主に対して当該存続会社の株式を交付する場合には、当該株式の数に一株当たり純資産額を乗じて得た額が当該存続会社の純資産額の5分の1を超えないときであっても、株主総会の決議によって、吸収合併契約の承認を受けなければならない。

(正答)

(解説)
796条2項は、簡易合併の際は、株主総会の決議が不要であることを規定しつつも、その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けた存続会社が、吸収合併に際して消滅会社の株主に対して当該存続会社の株式を交付する場合には、「この限りでない。」と規定している。
したがって、その発行する全部の株式の内容として譲渡による当該株式の取得について株式会社の承認を要する旨の定款の定めを設けた存続会社は、吸収合併に際して消滅会社の株主に対して当該存続会社の株式を交付する場合には、当該株式の数に一株当たり純資産額を乗じて得た額が当該存続会社の純資産額の5分の1を超えないときであっても、株主総会の決議によって、吸収合併契約の承認を受けなければならない。
総合メモ

第796条の2

条文
第796条の2(吸収合併等をやめることの請求)
 次に掲げる場合において、存続株式会社等の株主が不利益を受けるおそれがあるときは、存続株式会社等の株主は、存続株式会社等に対し、吸収合併等をやめることを請求することができる。ただし、前条第2項本文に規定する場合(第795条第2項各号に掲げる場合及び前条第1項ただし書又は第3項に規定する場合を除く。)は、この限りでない。        
 一 当該吸収合併等が法令又は定款に違反する場合
 二 前条第1項本文に規定する場合において、第749条第1項第2号若しくは第3号、第758条第4号又は第768条第1項第2号若しくは第3号に掲げる事項が存続株式会社等又は消滅会社等の財産の状況その他の事情に照らして著しく不当であるとき。
過去問・解説
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第797条

条文
第797条(反対株主の株式買取請求)
① 吸収合併等をする場合には、反対株主は、存続株式会社等に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。ただし、第796条第2項本文に規定する場合(第795条第2項各号に掲げる場合及び第796条第1項ただし書又は第3項に規定する場合を除く。)は、この限りでない。                
② 前項に規定する「反対株主」とは、次の各号に掲げる場合における当該各号に定める株主をいう。                
 一 吸収合併等をするために株主総会(種類株主総会を含む。)の決議を要する場合 次に掲げる株主        
  イ 当該株主総会に先立って当該吸収合併等に反対する旨を当該存続株式会社等に対し通知し、かつ、当該株主総会において当該吸収合併等に反対した株主(当該株主総会において議決権を行使することができるものに限る。)
  ロ 当該株主総会において議決権を行使することができない株主
 二 前号に規定する場合以外の場合 全ての株主(第796条第1項本文に規定する場合における当該特別支配会社を除く。)        
③ 存続株式会社等は、効力発生日の20日前までに、その株主(第796条第1項本文に規定する場合における当該特別支配会社を除く。)に対し、吸収合併等をする旨並びに消滅会社等の商号及び住所(第795条第3項に規定する場合にあっては、吸収合併等をする旨、消滅会社等の商号及び住所並びに同項の株式に関する事項)を通知しなければならない。                
④ 次に掲げる場合には、前項の規定による通知は、公告をもってこれに代えることができる。                
 一 存続株式会社等が公開会社である場合        
 二 存続株式会社等が第795条第1項の株主総会の決議によって吸収合併契約等の承認を受けた場合        
⑤ 第1項の規定による請求(以下この目において「株式買取請求」という。)は、効力発生日の20日前の日から効力発生日の前日までの間に、その株式買取請求に係る株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)を明らかにしてしなければならない。                
⑥ 株券が発行されている株式について株式買取請求をしようとするときは、当該株式の株主は、存続株式会社等に対し、当該株式に係る株券を提出しなければならない。ただし、当該株券について第223条の規定による請求をした者については、この限りでない。                
⑦ 株式買取請求をした株主は、存続株式会社等の承諾を得た場合に限り、その株式買取請求を撤回することができる。                
⑧ 吸収合併等を中止したときは、株式買取請求は、その効力を失う。                
⑨ 第133条の規定は、株式買取請求に係る株式については、適用しない。                
過去問・解説
(H23 予備 第25問 ア)
株式会社を各当事会社とする合併に関し、吸収合併の場合、いわゆる合併差損が生ずる合併は、することができない。

(正答)

(解説)
795条2項1号は、取締役が株主総会において説明義務を負う場合の1つとして、「吸収合併存続株式会社又は吸収分割承継株式会社が承継する吸収合併消滅会社又は吸収分割会社の債務の額として法務省令で定める額…が吸収合併存続株式会社又は吸収分割承継株式会社が承継する吸収合併消滅会社又は吸収分割会社の資産の額として法務省令で定める額…を超える場合」を掲げている。
したがって、同号は合併差損が生ずる合併ができることを前提にしている。

(R1 予備 第19問 オ)
吸収合併契約の承認を議案とする株主総会において書面又は電磁的方法による議決権の行使をすることができることとされた株主が、株主総会の日の前日までに、書面又は電磁的方法によって当該議案に反対する議決権の行使をした場合には、当該株主総会に先立って当該吸収合併に反対する旨を株式会社に対し通知したものと認められ、反対株主として株式買取請求をすることができる。

(正答)

(解説)
797条2項1号イは、株式買取請求ができる反対株主について、「株主総会に先立って当該吸収合併等に反対する旨を当該存続株式会社等に対し通知し、かつ、当該株主総会において当該吸収合併等に反対した株主」を掲げている。
そして、株主総会の前日までに行われる、書面又は電磁的方法による当該議案に反対する議決権の行使は、同号の「通知」にも当たる。

(R1 予備 第25問 4)
吸収分割により吸収分割承継株式会社に承継させる資産の帳簿価額の合計額が吸収分割株式会社の総資産額の5分の1を超えない場合であっても、当該吸収分割株式会社の反対株主は、当該吸収分割株式会社に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。

(正答)

(解説)
797条1項は、「吸収合併等をする場合には、反対株主は、存続株式会社等に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。ただし、第796条第2項本文に規定する場合…は、この限りでない。」と規定し、簡易分割の場合の株式買取請求を認めていない。 

(R6 予備 第23問 イ)
甲株式会社(以下「甲社」という。)が乙株式会社(以下「乙社」という。)に対してその事業の一部を吸収分割又は事業譲渡の方法により承継させたいと考えている。乙社の反対株主の乙社に対する株式買取請求権についての会社法の規定があるのは、事業譲渡の方法による場合のみである。

(正答)

(解説)
797条1項本文は「吸収合併等をする場合には、反対株主は、存続株式会社等に対し、自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求することができる。」と規定し、吸収分割について、株式買取請求を認めている。
また、事業譲渡についても、株式買取請求が認められている(469条1項)。
総合メモ

第798条

条文
第798条(株式の価格の決定等)
① 株式買取請求があった場合において、株式の価格の決定について、株主と存続株式会社等との間に協議が調ったときは、存続株式会社等は、効力発生日から60日以内にその支払をしなければならない。
② 株式の価格の決定について、効力発生日から30日以内に協議が調わないときは、株主又は存続株式会社等は、その期間の満了の日後30日以内に、裁判所に対し、価格の決定の申立てをすることができる。
③ 前条第7項の規定にかかわらず、前項に規定する場合において、効力発生日から60日以内に同項の申立てがないときは、その期間の満了後は、株主は、いつでも、株式買取請求を撤回することができる。
④ 存続株式会社等は、裁判所の決定した価格に対する第1項の期間の満了の日後の法定利率による利息をも支払わなければならない。
⑤ 存続株式会社等は、株式の価格の決定があるまでは、株主に対し、当該存続株式会社等が公正な価格と認める額を支払うことができる。
⑥ 株式買取請求に係る株式の買取りは、効力発生日に、その効力を生ずる。
⑦ 株券発行会社は、株券が発行されている株式について株式買取請求があったときは、株券と引換えに、その株式買取請求に係る株式の代金を支払わなければならない。
過去問・解説
(H22 司法 第47問 3)
吸収合併において、吸収合併存続株式会社の反対株主が当該吸収合併存続株式会社に対し会社法所定の手続に従って自己の有する株式を公正な価格で買い取ることを請求した場合、当該株式買取請求の意思表示が当該吸収合併存続株式会社に到達した時に、当該株式買取請求に係る株式の買取りは、その効力を生ずる。

(正答)

(解説)
798条6項は、「株式買取請求に係る株式の買取りは、効力発生日に、その効力を生ずる。」と規定している。
総合メモ

第799条

条文
第799条(債権者の異議)
① 次の各号に掲げる場合には、当該各号に定める債権者は、存続株式会社等に対し、吸収合併等について異議を述べることができる。        
 一 吸収合併をする場合 吸収合併存続株式会社の債権者
 二 吸収分割をする場合 吸収分割承継株式会社の債権者
 三 株式交換をする場合において、株式交換完全子会社の株主に対して交付する金銭等が株式交換完全親株式会社の株式その他これに準ずるものとして法務省令で定めるもののみである場合以外の場合又は第768条第1項第4号ハに規定する場合 株式交換完全親株式会社の債権者
② 前項の規定により存続株式会社等の債権者が異議を述べることができる場合には、存続株式会社等は、次に掲げる事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別にこれを催告しなければならない。ただし、第4号の期間は、1か月を下ることができない。        
 一 吸収合併等をする旨
 二 消滅会社等の商号及び住所
 三 存続株式会社等及び消滅会社等(株式会社に限る。)の計算書類に関する事項として法務省令で定めるもの
 四 債権者が一定の期間内に異議を述べることができる旨
③ 前項の規定にかかわらず、存続株式会社等が同項の規定による公告を、官報のほか、第939条第1項の規定による定款の定めに従い、同項第2号又は第3号に掲げる公告方法によりするときは、前項の規定による各別の催告は、することを要しない。        
④ 債権者が第2項第4号の期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、当該吸収合併等について承認をしたものとみなす。        
⑤ 債権者が第2項第4号の期間内に異議を述べたときは、存続株式会社等は、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければならない。ただし、当該吸収合併等をしても当該債権者を害するおそれがないときは、この限りでない。        
過去問・解説
(H24 司法 第48問 ア)
株式交換完全子会社の株主に対して交付される対価が金銭のみである場合には、株式交換完全親会社の債権者は、その株式交換について異議を述べることができる。

(正答)

(解説)
799条1項3号は、株式交換完全子会社の株主に対して交付される対価が金銭のみである場合にその株式交換について異議を述べることができる主体として、「株式交換完全親株式会社の債権者」を掲げている。

(H30 予備 第25問 エ)
株式交換完全親株式会社が株式交換に際して株式交換完全子会社の株主に対して交付する対価が金銭のみである場合には、当該株式交換完全親株式会社の債権者は、当該株式交換完全親株式会社に対し、株式交換について異議を述べることができる。

(正答)

(解説)
799条1項3号は、株式交換完全子会社の株主に対して交付される対価が金銭のみである場合にその株式交換について異議を述べることができる主体として、「株式交換完全親株式会社の債権者」を掲げている。
総合メモ

第800条

条文
第800条(消滅会社等の株主等に対して交付する金銭等が存続株式会社等の親会社株式である場合の特則)
① 第135条第1項の規定にかかわらず、吸収合併消滅株式会社若しくは株式交換完全子会社の株主、吸収合併消滅持分会社の社員又は吸収分割会社(以下この項において「消滅会社等の株主等」という。)に対して交付する金銭等の全部又は一部が存続株式会社等の親会社株式(同条第1項に規定する親会社株式をいう。以下この条において同じ。)である場合には、当該存続株式会社等は、吸収合併等に際して消滅会社等の株主等に対して交付する当該親会社株式の総数を超えない範囲において当該親会社株式を取得することができる。
② 第135条第3項の規定にかかわらず、前項の存続株式会社等は、効力発生日までの間は、存続株式会社等の親会社株式を保有することができる。ただし、吸収合併等を中止したときは、この限りでない。
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第801条

条文
第801条(吸収合併等に関する書面等の備置き及び閲覧等)
① 吸収合併存続株式会社は、効力発生日後遅滞なく、吸収合併により吸収合併存続株式会社が承継した吸収合併消滅会社の権利義務その他の吸収合併に関する事項として法務省令で定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録を作成しなければならない。        
② 吸収分割承継株式会社(合同会社が吸収分割をする場合における当該吸収分割承継株式会社に限る。)は、効力発生日後遅滞なく、吸収分割合同会社と共同して、吸収分割により吸収分割承継株式会社が承継した吸収分割合同会社の権利義務その他の吸収分割に関する事項として法務省令で定める事項を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録を作成しなければならない。        
③ 次の各号に掲げる存続株式会社等は、効力発生日から6箇月間、当該各号に定めるものをその本店に備え置かなければならない。        
 一 吸収合併存続株式会社 第1項の書面又は電磁的記録
 二 吸収分割承継株式会社 前項又は第791条第1項第1号の書面又は電磁的記録
 三 株式交換完全親株式会社 第791条第1項第2号の書面又は電磁的記録
④ 吸収合併存続株式会社の株主及び債権者は、吸収合併存続株式会社に対して、その営業時間内は、いつでも、次に掲げる請求をすることができる。ただし、第2号又は第4号に掲げる請求をするには、当該吸収合併存続株式会社の定めた費用を支払わなければならない。        
 一 前項第1号の書面の閲覧の請求
 二 前項第1号の書面の謄本又は抄本の交付の請求
 三 前項第1号の電磁的記録に記録された事項を法務省令で定める方法により表示したものの閲覧の請求
 四 前項第1号の電磁的記録に記録された事項を電磁的方法であって吸収合併存続株式会社の定めたものにより提供することの請求又はその事項を記載した書面の交付の請求
⑤ 前項の規定は、吸収分割承継株式会社について準用する。この場合において、同項中「株主及び債権者」とあるのは「株主、債権者その他の利害関係人」と、同項各号中「前項第1号」とあるのは「前項第2号」と読み替えるものとする。        
⑥ 第4項の規定は、株式交換完全親株式会社について準用する。この場合において、同項中「株主及び債権者」とあるのは「株主及び債権者(株式交換完全子会社の株主に対して交付する金銭等が株式交換完全親株式会社の株式その他これに準ずるものとして法務省令で定めるもののみである場合(第768条第1項第4号ハに規定する場合を除く。)にあっては、株式交換完全親株式会社の株主)」と、同項各号中「前項第1号」とあるのは「前項第3号」と読み替えるものとする。        
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第802条

条文
第802条(吸収合併等に関する書面等の備置き及び閲覧等)
① 次の各号に掲げる行為をする持分会社(以下この条において「存続持分会社等」という。)は、当該各号に定める場合には、効力発生日の前日までに、吸収合併契約等について存続持分会社等の総社員の同意を得なければならない。ただし、定款に別段の定めがある場合は、この限りでない。        
 一 吸収合併(吸収合併により当該持分会社が存続する場合に限る。) 第751条第1項第2号に規定する場合
 二 吸収分割による他の会社がその事業に関して有する権利義務の全部又は一部の承継 第760条第4号に規定する場合
 三 株式交換による株式会社の発行済株式の全部の取得 第770条第1項第2号に規定する場合
② 第799条(第2項第3号を除く。)及び第800条の規定は、存続持分会社等について準用する。この場合において、第799条第1項第3号中「株式交換完全親株式会社の株式」とあるのは「株式交換完全親合同会社の持分」と、「場合又は第768条第1項第4号ハに規定する場合」とあるのは「場合」と読み替えるものとする。        
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