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為替手形ノ振出及方式

第1条

条文
第1条(手形要件)
 為替手形ニハ左ノ事項ヲ記載スベシ        
 一 証券ノ文言中ニ其ノ証券ノ作成ニ用フル語ヲ以テ記載スル為替手形ナルコトヲ示ス文字
 二 一定ノ金額ヲ支払フベキ旨ノ単純ナル委託
 三 支払ヲ為スベキ者(支払人)ノ名称
 四 満期ノ表示
 五 支払ヲ為スベキ地ノ表示
 六 支払ヲ受ケ又ハ之ヲ受クル者ヲ指図スル者ノ名称
 七 手形ヲ振出ス日及地ノ表示
 八 手形ヲ振出ス者(振出人)ノ署名
過去問・解説
(H20 司法 第53問 ウ)
為替手形及び小切手は、他人に支払を委託する証券であり、支払人が不可欠であるが、約束手形は、自ら支払を約束する証券であるから、支払人は存在しない。

(正答)  

(解説)
手形法1条3号は、為替手形の必要的記載事項として、「支払ヲ為スベキ者(支払人)ノ名称」を挙げており、小切手法1条3号も、小切手の必要的記載事項として、「支払ヲ為スベキ者(支払人)ノ名称」を挙げている。これに対し、手形法75条は、約束手形の必要的記載事項として、支払人の名称を挙げていない。
総合メモ

第4条

条文
第4条(第三者方払の記載)
 為替手形ハ支払人ノ住所地ニ在ルト又ハ其ノ他ノ地ニ在ルトヲ問ハズ第三者ノ住所ニ於テ支払フベキモノト為スコトヲ得
過去問・解説
(H20 司法 第53問 オ)
約束手形については、第三者方払は振出人の住所地以外とすることが可能であるが、為替手形及び小切手については、第三者方払は支払人の住所地以外とすることはできない。

(正答)  

(解説)
為替手形、約束手形及び小切手のいずれについても、第三者方払いは支払人の住所地以外とすることができる(手形法4条、同法77条2項・4条、小切手法8条)。

(R3 予備 第29問 イ)
振出人が第三者の住所で支払うべき旨が記載されている約束手形も、有効である。

(正答)  

(解説)
手形法4条は、「為替手形ハ…第三者ノ住所ニ於テ支払フベキモノト為スコトヲ得」と規定しており、同法77条2項は、約束手形について同法4条を準用している。したがって、振出人が第三者の住所で支払うべき旨が記載されている約束手形も、有効である。
総合メモ

第5条

条文
第5条(利息の約定)
① 一覧払又ハ一覧後定期払ノ為替手形ニ於テハ振出人ハ手形金額ニ付利息ヲ生ズベキ旨ノ約定ヲ記載スルコトヲ得其ノ他ノ為替手形ニ於テハ此ノ約定ノ記載ハ之ヲ為サザルモノト看做ス
② 利率ハ之ヲ手形ニ表示スルコトヲ要ス其ノ表示ナキトキハ利息ノ約定ノ記載ハ之ヲ為サザルモノト看做ス
③ 利息ハ別段ノ日附ノ表示ナキトキハ手形振出ノ日ヨリ発生ス
過去問・解説
(H18 司法 第54問 3)
利息文句の付された約束手形は、無効である。

(正答)  

(解説)
一覧払手形及び一覧後定期払手形に限っては、満期まで一定利率を付す旨の利息文句の記載が許される(手形法77条2項・5条)(早川徹「基本講義 手形・小切手法」第2版97頁)。

(H23 共通 第54問 2)
確定日払の手形において、手形金額につき利息を生ずる旨の約定を記載した場合、その手形は、無効となる。

(正答)  

(解説)
一覧払手形及び一覧後定期払手形に限っては、満期まで一定利率を付す旨の利息文句の記載が許される(手形法77条2項・5条)。これに対し、確定日払手形及び日付後定期払手形については、利息文句を記載してもその記載はないものとみなされる(無益的記載事項、手形法77条2項・5条1項)。もっとも、手形が無効になるわけでない(早川徹「基本講義 手形・小切手法」第2版97頁)。
総合メモ

第6条

条文
第6条(手形金額に関する記載の差異)
① 為替手形ノ金額ヲ文字及数字ヲ以テ記載シタル場合ニ於テ其ノ金額ニ差異アルトキハ文字ヲ以テ記載シタル金額ヲ手形金額トス
② 為替手形ノ金額ヲ文字ヲ以テ又ハ数字ヲ以テ重複シテ記載シタル場合ニ於テ其ノ金額ニ差異アルトキハ最小金額ヲ手形金額トス
過去問・解説
(H23 共通 第54問 1)
手形の金額として2つの異なる金額を記載した場合、その手形は、無効となる。

(正答)  

(解説)
手形の金額として2つの異なる金額を記載した場合、その手形は、無効となるのではなく、「最小金額ヲ手形金額トス」ものとなる(手形法6条2項、同法77条2項・6条2項)。

(R3 予備 第29問 ウ)
手形の金額として2つの異なる金額を記載した場合、その手形は、無効となる。

(正答)  

(解説)
手形の金額として2つの異なる金額を記載した場合、その手形は、無効となるのではなく、「最小金額ヲ手形金額トス」ものとなる(手形法6条2項、同法77条2項・6条2項)。

(H26 司法 第55問 イ)
約束手形の金額が文字及び数字によって記載された場合において、文字によって記載された金額と数字によって記載された金額とに差異があるときは、文字によって記載された金額が手形金額となるという規律は、約束手形の流通性を高める趣旨によるものである。

(正答)  

(解説)
為替手形及び約束手形のいずれにおいても、手形の金額が文字及び数字によって記載された場合において、文字によって記載された金額と数字によって記載された金額とに差異があるときは、文字によって記載された金額が手形金額となる(手形法6条1項、同法77条2項・6条1項)。この規律の趣旨は、手形の流通性を高めることにある。
総合メモ

第7条

条文
第7条(手形行為独立の原則)
 為替手形ニ手形債務ノ負担ニ付キ行為能力ナキ者ノ署名、偽造ノ署名、仮設人ノ署名又ハ其ノ他ノ事由ニ因リ為替手形ノ署名者若ハ其ノ本人ニ義務ヲ負ハシムルコト能ハザル署名アル場合ト雖モ他ノ署名者ノ債務ハ之ガ為其ノ効力ヲ妨ゲラルルコトナシ
過去問・解説
(H26 司法 第55問 ウ)
約束手形に偽造の署名がある場合でも、他の署名者の債務は、その効力を妨げられないという規律は、約束手形の流通性を高める趣旨によるものである。

(正答)  

(解説)
手形行為独立の原則とは、同一手形上の各手形行為はそれぞれ独立して効力を生じ、論理的前提となった他の手形行為の実質的効力の有無により影響を受けないことをいう(手形法7条)。これは、手形取引の安全を保護することで手形の流通を促進するために手形法が政策的に定めた特則である(政策説)。
したがって、約束手形に偽造の署名がある場合でも、他の署名者の債務は、その効力を妨げられないという規律は、約束手形の流通性を高める趣旨によるものである。
総合メモ

第8条

条文
第8条(手形行為の代理)
 代理権ヲ有セザル者ガ代理人トシテ為替手形ニ署名シタルトキハ自ラ其ノ手形ニ因リ義務ヲ負フ其ノ者ガ支払ヲ為シタルトキハ本人ト同一ノ権利ヲ有ス権限ヲ超エタル代理人ニ付亦同ジ
過去問・解説
(H18 司法 第54問 5)
手形所持人は、手形行為の無権代理人に対して手形上の責任を追及することはできない。

(正答)  

(解説)
手形行為の無権代理人は、手形所持人の善意・無過失にかかわらず、手形所持人に対して責任を負う(手形法8条)。
なお、判例(最判昭49.6.28)は、手形法8条による無権代理人の責任について、「手形法8条による無権代理人の責任は、責任負担のための署名による責任ではなく、名義人本人が手形上の責任を負うかのように表示したことに対する担保責任である…。」と解している。
総合メモ

第9条

条文
第9条(振出しの効力)
① 振出人ハ引受及支払ヲ担保ス
② 振出人ハ引受ヲ担保セザル旨ヲ記載スルコトヲ得支払ヲ担保セザル旨ノ一切ノ文言ハ之ヲ記載セザルモノト看做ス
過去問・解説
(R2 予備 第30問 ア)
為替手形の振出人及び小切手の振出人は、いずれも、第一次的な支払義務者ではなく、遡求義務者である。

(正答)  

(解説)
手形法は、為替手形について、9条1項において「振出人ハ引受及支払ヲ担保ス」と規定した上で、43条柱書において「満期ニ於テ支払ナキトキハ所持人ハ裏書人、振出人其ノ他ノ債務者ニ対シ其ノ遡求権ヲ行フコトヲ得」と規定している。
小切手法条も、小切手について、12条において「振出人ハ支払ヲ担保ス」と規定した上で、39条において「適法ノ時期ニ呈示シタル小切手ノ支払ナキ場合ニ於テ…所持人ハ裏書人、振出人其ノ他ノ債務者ニ対シ其ノ遡求権ヲ行フコトヲ得」と規定している。
したがって、為替手形の振出人及び小切手の振出人は、いずれも、第一次的な支払義務者ではなく、遡求義務者である。
総合メモ