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手形法 第16条
条文
第16条(裏書の資格授与的効力)
① 為替手形ノ占有者ガ裏書ノ連続ニ依リ其ノ権利ヲ証明スルトキハ之ヲ適法ノ所持人ト看做ス最後ノ裏書ガ白地式ナル場合ト雖モ亦同ジ抹消シタル裏書ハ此ノ関係ニ於テハ之ヲ記載セザルモノト看做ス白地式裏書ニ次デ他ノ裏書アルトキハ其ノ裏書ヲ為シタル者ハ白地式裏書ニ因リテ手形ヲ取得シタルモノト看做ス
② 事由ノ何タルヲ問ハズ為替手形ノ占有ヲ失ヒタル者アル場合ニ於テ所持人ガ前項ノ規定ニ依リ其ノ権利ヲ証明スルトキハ手形ヲ返還スル義務ヲ負フコトナシ但シ所持人ガ悪意又ハ重大ナル過失ニ因リ之ヲ取得シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
① 為替手形ノ占有者ガ裏書ノ連続ニ依リ其ノ権利ヲ証明スルトキハ之ヲ適法ノ所持人ト看做ス最後ノ裏書ガ白地式ナル場合ト雖モ亦同ジ抹消シタル裏書ハ此ノ関係ニ於テハ之ヲ記載セザルモノト看做ス白地式裏書ニ次デ他ノ裏書アルトキハ其ノ裏書ヲ為シタル者ハ白地式裏書ニ因リテ手形ヲ取得シタルモノト看做ス
② 事由ノ何タルヲ問ハズ為替手形ノ占有ヲ失ヒタル者アル場合ニ於テ所持人ガ前項ノ規定ニ依リ其ノ権利ヲ証明スルトキハ手形ヲ返還スル義務ヲ負フコトナシ但シ所持人ガ悪意又ハ重大ナル過失ニ因リ之ヲ取得シタルトキハ此ノ限ニ在ラズ
過去問・解説
(H18 司法 第53問 2)
裏書の連続がある場合には、最終の所持人は手形の適法な所持人と推定される。
裏書の連続がある場合には、最終の所持人は手形の適法な所持人と推定される。
(正答) 〇
(解説)
裏書の連続がある場合には、最終の所持人は手形の適法な所持人と推定される(手形法16条1項、同法77条1項1号・16条1項)。裏書の連続した手形の所持人が権利者として推定されるのは、個々の裏書の有する資格授与的効力の集積の結果である。
裏書の連続がある場合には、最終の所持人は手形の適法な所持人と推定される(手形法16条1項、同法77条1項1号・16条1項)。裏書の連続した手形の所持人が権利者として推定されるのは、個々の裏書の有する資格授与的効力の集積の結果である。
(H24 司法 第55問 ア)
AがBを受取人として振り出した約束手形を、Bは、白地式裏書によってCに譲渡し、Cは、この手形をそのままの状態で金庫で保管していた。Cの金庫からこの手形を盗み出したDは、記名式裏書によってこれをEに譲渡した。Eは、この手形を取得する際、Dが権利者であると重過失なく信じていた。Eは、この手形を記名式裏書によってFに譲渡した。現在の所持人は、Fである。この手形には、裏書の連続が認められる。
AがBを受取人として振り出した約束手形を、Bは、白地式裏書によってCに譲渡し、Cは、この手形をそのままの状態で金庫で保管していた。Cの金庫からこの手形を盗み出したDは、記名式裏書によってこれをEに譲渡した。Eは、この手形を取得する際、Dが権利者であると重過失なく信じていた。Eは、この手形を記名式裏書によってFに譲渡した。現在の所持人は、Fである。この手形には、裏書の連続が認められる。
(正答) 〇
(解説)
手形法16条1項は、「為替手形ノ占有者ガ裏書ノ連続ニ依リ其ノ権利ヲ証明スルトキハ之ヲ適法ノ所持人ト看做ス」と規定した上で、「最後ノ裏書ガ白地式ナル場合ト雖モ亦同ジ」と規定している。そして、同条は約束手形にも準用される(同法77条1項1号)。
したがって、本肢の事例においても、Fが所持する約束手形には、裏書の連続が認められる。
手形法16条1項は、「為替手形ノ占有者ガ裏書ノ連続ニ依リ其ノ権利ヲ証明スルトキハ之ヲ適法ノ所持人ト看做ス」と規定した上で、「最後ノ裏書ガ白地式ナル場合ト雖モ亦同ジ」と規定している。そして、同条は約束手形にも準用される(同法77条1項1号)。
したがって、本肢の事例においても、Fが所持する約束手形には、裏書の連続が認められる。
(H24 司法 第55問 イ)
AがBを受取人として振り出した約束手形を、Bは、白地式裏書によってCに譲渡し、Cは、この手形をそのままの状態で金庫で保管していた。Cの金庫からこの手形を盗み出したDは、記名式裏書によってこれをEに譲渡した。Eは、この手形を取得する際、Dが権利者であると重過失なく信じていた。Eは、この手形を記名式裏書によってFに譲渡した。現在の所持人は、Fである。
Fが、この手形をEから取得した際、DがCから盗取したものであることを知っていた場合、Aは、Dによる盗取の事実とFの悪意を証明することにより、Fに対する手形金の支払を拒むことができる。
AがBを受取人として振り出した約束手形を、Bは、白地式裏書によってCに譲渡し、Cは、この手形をそのままの状態で金庫で保管していた。Cの金庫からこの手形を盗み出したDは、記名式裏書によってこれをEに譲渡した。Eは、この手形を取得する際、Dが権利者であると重過失なく信じていた。Eは、この手形を記名式裏書によってFに譲渡した。現在の所持人は、Fである。
Fが、この手形をEから取得した際、DがCから盗取したものであることを知っていた場合、Aは、Dによる盗取の事実とFの悪意を証明することにより、Fに対する手形金の支払を拒むことができる。
(正答) ✕
(解説)
手形法16条2項は、善意取得の要件として、「所持人ガ前項ノ規定ニ依リ其ノ権利ヲ証明スルトキ」と規定しているところ、同法16条1項は、「為替手形ノ占有者ガ裏書ノ連続ニ依リ其ノ権利ヲ証明スルトキハ之ヲ適法ノ所持人ト看做ス」と規定した上で、「最後ノ裏書ガ白地式ナル場合ト雖モ亦同ジ」と規定している。したがって、白地式裏書の場合であっても、「所持人ガ前項ノ規定ニ依リ其ノ権利ヲ証明スルトキ」を満たすから、善意取得が可能である。なお、これらの規定は、約束手形にも準用される(同法77条1項1号)。
そうすると、本肢の事例においても、「所持人ガ前項ノ規定ニ依リ其ノ権利ヲ証明スルトキ」(これは、裏書の連続している手形の所持人からの取得であることを意味する。)に当たる。また、Eは、この手形を取得する際、Dが権利者であると重過失なく信じていたのだから、「所持人ガ悪意又ハ重大ナル過失ニ因リ之ヲ取得シタルトキ」に当たらない。したがって、Eは手形を善意取得する。
そして、Fは、悪意・重過失の有無にかかわらず、Eが善意取得した権利を承継取得するから、Fが、この手形をEから取得した際、DがCから盗取したものであることを知っていた場合であっても、Aは、Dによる盗取の事実とFの悪意を証明することにより、Fに対する手形金の支払を拒むことができない。
手形法16条2項は、善意取得の要件として、「所持人ガ前項ノ規定ニ依リ其ノ権利ヲ証明スルトキ」と規定しているところ、同法16条1項は、「為替手形ノ占有者ガ裏書ノ連続ニ依リ其ノ権利ヲ証明スルトキハ之ヲ適法ノ所持人ト看做ス」と規定した上で、「最後ノ裏書ガ白地式ナル場合ト雖モ亦同ジ」と規定している。したがって、白地式裏書の場合であっても、「所持人ガ前項ノ規定ニ依リ其ノ権利ヲ証明スルトキ」を満たすから、善意取得が可能である。なお、これらの規定は、約束手形にも準用される(同法77条1項1号)。
そうすると、本肢の事例においても、「所持人ガ前項ノ規定ニ依リ其ノ権利ヲ証明スルトキ」(これは、裏書の連続している手形の所持人からの取得であることを意味する。)に当たる。また、Eは、この手形を取得する際、Dが権利者であると重過失なく信じていたのだから、「所持人ガ悪意又ハ重大ナル過失ニ因リ之ヲ取得シタルトキ」に当たらない。したがって、Eは手形を善意取得する。
そして、Fは、悪意・重過失の有無にかかわらず、Eが善意取得した権利を承継取得するから、Fが、この手形をEから取得した際、DがCから盗取したものであることを知っていた場合であっても、Aは、Dによる盗取の事実とFの悪意を証明することにより、Fに対する手形金の支払を拒むことができない。
(H24 司法 第55問 ウ)
AがBを受取人として振り出した約束手形を、Bは、白地式裏書によってCに譲渡し、Cは、この手形をそのままの状態で金庫で保管していた。Cの金庫からこの手形を盗み出したDは、記名式裏書によってこれをEに譲渡した。Eは、この手形を取得する際、Dが権利者であると重過失なく信じていた。Eは、この手形を記名式裏書によってFに譲渡した。現在の所持人は、Fである。
Cは、盗難の時から2年間、この手形がCから盗まれたことを証明することにより、Fに対し、この手形の返還を請求することができる。
AがBを受取人として振り出した約束手形を、Bは、白地式裏書によってCに譲渡し、Cは、この手形をそのままの状態で金庫で保管していた。Cの金庫からこの手形を盗み出したDは、記名式裏書によってこれをEに譲渡した。Eは、この手形を取得する際、Dが権利者であると重過失なく信じていた。Eは、この手形を記名式裏書によってFに譲渡した。現在の所持人は、Fである。
Cは、盗難の時から2年間、この手形がCから盗まれたことを証明することにより、Fに対し、この手形の返還を請求することができる。
(正答) ✕
(解説)
本肢の事例において、Fは、「所持人ガ前項ノ規定ニ依リ其ノ権利ヲ証明スルトキ」(これは、裏書の連続している手形の所持人からの取得であることを意味する。)に当たり、かつ、この手形を取得する際、Dが権利者であると重過失なく信じていたのだから、「所持人ガ悪意又ハ重大ナル過失ニ因リ之ヲ取得シタルトキ」に当たらない。したがって、Fは、この手形を善意取得(手形法16条2項)する。
民法193条は、即時取得の客体が「盗品又は遺失物」である場合について、「前条の場合において、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から2年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。」と規定している。しかし、手形法は、善意取得された手形が「盗品又は遺失物」である場合における回復請求権について定めていない。
したがって、Cは、盗難の時から2年間、この手形がCから盗まれたことを証明することにより、Fに対し、この手形の返還を請求することができない。
本肢の事例において、Fは、「所持人ガ前項ノ規定ニ依リ其ノ権利ヲ証明スルトキ」(これは、裏書の連続している手形の所持人からの取得であることを意味する。)に当たり、かつ、この手形を取得する際、Dが権利者であると重過失なく信じていたのだから、「所持人ガ悪意又ハ重大ナル過失ニ因リ之ヲ取得シタルトキ」に当たらない。したがって、Fは、この手形を善意取得(手形法16条2項)する。
民法193条は、即時取得の客体が「盗品又は遺失物」である場合について、「前条の場合において、占有物が盗品又は遺失物であるときは、被害者又は遺失者は、盗難又は遺失の時から2年間、占有者に対してその物の回復を請求することができる。」と規定している。しかし、手形法は、善意取得された手形が「盗品又は遺失物」である場合における回復請求権について定めていない。
したがって、Cは、盗難の時から2年間、この手形がCから盗まれたことを証明することにより、Fに対し、この手形の返還を請求することができない。
(H26 司法 第55問 エ)
約束手形の取得者には手形法所定の要件の下で善意取得が認められるという規律は、約束手形の流通性を高める趣旨によるものである。
約束手形の取得者には手形法所定の要件の下で善意取得が認められるという規律は、約束手形の流通性を高める趣旨によるものである。
(正答) 〇
(解説)
約束手形の善意取得(手形法77条1項1号・16条2項)の趣旨は、約束手形取引の安全を確保することで約束手形の流通性を高めることにある。
約束手形の善意取得(手形法77条1項1号・16条2項)の趣旨は、約束手形取引の安全を確保することで約束手形の流通性を高めることにある。
(H28 予備 第29問 イ)
善意取得は、手形の承継取得の一例である。
善意取得は、手形の承継取得の一例である。
(正答) ✕
(解説)
善意取得(手形法16条1項)は、手形の原始取得である。
善意取得(手形法16条1項)は、手形の原始取得である。
(H28 予備 第29問 エ)
無権利者から裏書の連続した手形を取得した者がその取得時に相手方の無権利につき善意でかつ重大な過失がない場合には、その後に事情を知ったときであっても、当該手形を善意取得することができる。
無権利者から裏書の連続した手形を取得した者がその取得時に相手方の無権利につき善意でかつ重大な過失がない場合には、その後に事情を知ったときであっても、当該手形を善意取得することができる。
(正答) 〇
(解説)
善意取得(手形法16条1項)の要件である手形取得者の善意・無重過失は、手形取得時を基準として判断されるから、善意・無重過失で手形を取得したものが、その後に悪意に転じたときであっても、善意取得は妨げられない(大判昭2.4.2)。
善意取得(手形法16条1項)の要件である手形取得者の善意・無重過失は、手形取得時を基準として判断されるから、善意・無重過失で手形を取得したものが、その後に悪意に転じたときであっても、善意取得は妨げられない(大判昭2.4.2)。
(H28 予備 第29問 オ)
相続による手形の取得にも、善意取得の適用がある。
相続による手形の取得にも、善意取得の適用がある。
(正答) ✕
(解説)
手形法16条1項は、裏書の連続する手形の所持人は手形上の権利者と推定される旨を定めており、同条2項本文は、手形の善意取得の要件について、「所持人ガ前項ノ規定ニ依リ其ノ権利ヲ証明スルトキハ」と定めている。したがって、善意取得のためには、原則として、裏書の連続している手形の所持人からの取得であることを要する。
よって、相続による手形の取得には、善意取得の適用がない。
手形法16条1項は、裏書の連続する手形の所持人は手形上の権利者と推定される旨を定めており、同条2項本文は、手形の善意取得の要件について、「所持人ガ前項ノ規定ニ依リ其ノ権利ヲ証明スルトキハ」と定めている。したがって、善意取得のためには、原則として、裏書の連続している手形の所持人からの取得であることを要する。
よって、相続による手形の取得には、善意取得の適用がない。
(R4 予備 第30問 ウ)
約束手形の最後の裏書が白地式裏書であり、それより前の裏書が連続している場合には、当該約束手形の所持人は権利者と推定される。
約束手形の最後の裏書が白地式裏書であり、それより前の裏書が連続している場合には、当該約束手形の所持人は権利者と推定される。
(正答) 〇
(解説)
手形法16条1項は、「為替手形ノ占有者ガ裏書ノ連続ニ依リ其ノ権利ヲ証明スルトキハ之ヲ適法ノ所持人ト看做ス」と規定した上で、「最後ノ裏書ガ白地式ナル場合ト雖モ亦同ジ」と規定している。そして、同条は約束手形にも準用される(同法77条1項1号)。
約束手形の最後の裏書が白地式裏書であり、それより前の裏書が連続している場合にも、当該約束手形の所持人は権利者と推定される。
手形法16条1項は、「為替手形ノ占有者ガ裏書ノ連続ニ依リ其ノ権利ヲ証明スルトキハ之ヲ適法ノ所持人ト看做ス」と規定した上で、「最後ノ裏書ガ白地式ナル場合ト雖モ亦同ジ」と規定している。そして、同条は約束手形にも準用される(同法77条1項1号)。
約束手形の最後の裏書が白地式裏書であり、それより前の裏書が連続している場合にも、当該約束手形の所持人は権利者と推定される。