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刑事補償
刑事補償請求訴訟 最大決昭和31年12月24日
概要
憲法40条にいう「抑留又は拘禁」中には、無罪となった公訴事実に基く抑留または拘禁だけでなく、不起訴となつた事実に基く抑留または拘禁のうち実質上は無罪となつた事実についての抑留又は拘禁であると認められる部分も含まれる。
判例
事案:不起訴になった事実に基づく抑留又は拘禁も憲法40条の「抑留又は拘禁」に含まれるかが問題となった。
判旨:「論旨は、刑事補償法1条の補償は逮捕状または勾留状に記載された事実について無罪の裁判があつた場合にのみ適用があるとの原審決定の解釈は憲法40条に違反する。憲法同条は広く抑留または拘禁中に取り調べられた事実が無罪となつた場合に補償するとの意味である。原決定の如く解するときは基本的人権の享有が妨げられ憲法11条に違反する。と、いうのである。
おもうに、憲法40条は「…抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたとき…」と規定しているから、抑留または拘禁された被疑事実が不起訴となつた場合は同条の補償の問題を生じないことは明らかである。しかし、或る被疑事実により逮捕または勾留中、その逮捕状または勾留状に記載されていない他の被疑事実につき取り調べ、前者の事実は不起訴となつたが、後者の事実につき公訴が提起され後無罪の裁判を受けた場合において、その無罪となつた事実についての取調が、右不起訴となつた事実に対する逮捕勾留を利用してなされたものと認められる場合においては、これを実質的に考察するときは、各事実につき各別に逮捕勾留して取り調べた場合と何ら区別すべき理由がないものといわなければならない。
そうだとすると、憲法40条にいう「抑留又は拘禁」中には、無罪となつた公訴事実に基く抑留または拘禁はもとより、たとえ不起訴となつた事実に基く抑留または拘禁であつても、そのうちに実質上は、無罪となつた事実についての抑留または拘禁であると認められるものがあるときは、その部分の抑留及び拘禁もまたこれを包含するものと解するを相当とする。そして刑事補償法は右憲法の規定に基き、補償に関する細則並びに手続を定めた法律であつて、その第1条の「未決の抑留又は拘禁」とは、右憲法40条の「抑留又は拘禁」と全く同一意義のものと解すべきものである。」
判旨:「論旨は、刑事補償法1条の補償は逮捕状または勾留状に記載された事実について無罪の裁判があつた場合にのみ適用があるとの原審決定の解釈は憲法40条に違反する。憲法同条は広く抑留または拘禁中に取り調べられた事実が無罪となつた場合に補償するとの意味である。原決定の如く解するときは基本的人権の享有が妨げられ憲法11条に違反する。と、いうのである。
おもうに、憲法40条は「…抑留又は拘禁された後、無罪の裁判を受けたとき…」と規定しているから、抑留または拘禁された被疑事実が不起訴となつた場合は同条の補償の問題を生じないことは明らかである。しかし、或る被疑事実により逮捕または勾留中、その逮捕状または勾留状に記載されていない他の被疑事実につき取り調べ、前者の事実は不起訴となつたが、後者の事実につき公訴が提起され後無罪の裁判を受けた場合において、その無罪となつた事実についての取調が、右不起訴となつた事実に対する逮捕勾留を利用してなされたものと認められる場合においては、これを実質的に考察するときは、各事実につき各別に逮捕勾留して取り調べた場合と何ら区別すべき理由がないものといわなければならない。
そうだとすると、憲法40条にいう「抑留又は拘禁」中には、無罪となつた公訴事実に基く抑留または拘禁はもとより、たとえ不起訴となつた事実に基く抑留または拘禁であつても、そのうちに実質上は、無罪となつた事実についての抑留または拘禁であると認められるものがあるときは、その部分の抑留及び拘禁もまたこれを包含するものと解するを相当とする。そして刑事補償法は右憲法の規定に基き、補償に関する細則並びに手続を定めた法律であつて、その第1条の「未決の抑留又は拘禁」とは、右憲法40条の「抑留又は拘禁」と全く同一意義のものと解すべきものである。」
過去問・解説
(H20 司法 第10問 イ)
最高裁判所の判例によれば、抑留又は拘禁の理由となった被疑事実が不起訴となった場合には、憲法第40条の補償問題は生じないが、実質上は無罪となった事実についての抑留又は拘禁と認められるものがあるときは、その部分は刑事補償の対象となり得る。
最高裁判所の判例によれば、抑留又は拘禁の理由となった被疑事実が不起訴となった場合には、憲法第40条の補償問題は生じないが、実質上は無罪となった事実についての抑留又は拘禁と認められるものがあるときは、その部分は刑事補償の対象となり得る。
(正答) 〇
(解説)
刑事補償請求訴訟決定(最大決昭31.12.24)は、「憲法40条にいう「抑留又は拘禁」中には、無罪となつた公訴事実に基く抑留または拘禁はもとより、たとえ不起訴となつた事実に基く抑留または拘禁であつても、そのうちに実質上は、無罪となつた事実についての抑留または拘禁であると認められるものがあるときは、その部分の抑留及び拘禁もまたこれを包含するものと解するを相当とする。」としている。
刑事補償請求訴訟決定(最大決昭31.12.24)は、「憲法40条にいう「抑留又は拘禁」中には、無罪となつた公訴事実に基く抑留または拘禁はもとより、たとえ不起訴となつた事実に基く抑留または拘禁であつても、そのうちに実質上は、無罪となつた事実についての抑留または拘禁であると認められるものがあるときは、その部分の抑留及び拘禁もまたこれを包含するものと解するを相当とする。」としている。
(H29 司法 第11問 エ)
不起訴となった事実Aに基づく抑留又は拘禁であっても、そのうちに実質上は無罪となった事実Bについての抑留又は拘禁であると認められるものがあるときは、その部分の抑留又は拘禁も憲法第40条の『抑留又は拘禁』に包含されるとした最高裁判所の判例があった。
不起訴となった事実Aに基づく抑留又は拘禁であっても、そのうちに実質上は無罪となった事実Bについての抑留又は拘禁であると認められるものがあるときは、その部分の抑留又は拘禁も憲法第40条の『抑留又は拘禁』に包含されるとした最高裁判所の判例があった。
(正答) 〇
(解説)
刑事補償請求訴訟決定(最大決昭31.12.24)は、「憲法40条にいう「抑留又は拘禁」中には、無罪となつた公訴事実に基く抑留または拘禁はもとより、たとえ不起訴となつた事実に基く抑留または拘禁であつても、そのうちに実質上は、無罪となつた事実についての抑留または拘禁であると認められるものがあるときは、その部分の抑留及び拘禁もまたこれを包含するものと解するを相当とする。」としている。
刑事補償請求訴訟決定(最大決昭31.12.24)は、「憲法40条にいう「抑留又は拘禁」中には、無罪となつた公訴事実に基く抑留または拘禁はもとより、たとえ不起訴となつた事実に基く抑留または拘禁であつても、そのうちに実質上は、無罪となつた事実についての抑留または拘禁であると認められるものがあるときは、その部分の抑留及び拘禁もまたこれを包含するものと解するを相当とする。」としている。
(R3 司法 第10問 イ)
判例は、不起訴になった事実に関する抑留又は拘禁であっても、そのうちに実質上は、無罪となった事実についての抑留又は拘禁と認められるものがあるときは、その部分の抑留又は拘禁も、憲法第40条にいう「抑留又は拘禁」に包含されると解している。
判例は、不起訴になった事実に関する抑留又は拘禁であっても、そのうちに実質上は、無罪となった事実についての抑留又は拘禁と認められるものがあるときは、その部分の抑留又は拘禁も、憲法第40条にいう「抑留又は拘禁」に包含されると解している。
(正答) 〇
(解説)
刑事補償請求訴訟決定(最大決昭31.12.24)は、「憲法40条にいう「抑留又は拘禁」中には、無罪となつた公訴事実に基く抑留または拘禁はもとより、たとえ不起訴となつた事実に基く抑留または拘禁であつても、そのうちに実質上は、無罪となつた事実についての抑留または拘禁であると認められるものがあるときは、その部分の抑留及び拘禁もまたこれを包含するものと解するを相当とする。」としている。
刑事補償請求訴訟決定(最大決昭31.12.24)は、「憲法40条にいう「抑留又は拘禁」中には、無罪となつた公訴事実に基く抑留または拘禁はもとより、たとえ不起訴となつた事実に基く抑留または拘禁であつても、そのうちに実質上は、無罪となつた事実についての抑留または拘禁であると認められるものがあるときは、その部分の抑留及び拘禁もまたこれを包含するものと解するを相当とする。」としている。
(R6 司法 第10問 ウ)
最高裁判所は、抑留又は拘禁された後、起訴されずに釈放された者は刑事補償の対象とならないが、不起訴となった事実に基づく抑留又は拘禁であっても、そのうちに実質上は無罪となった事実についての抑留又は拘禁であると認められるものがあるときは、その部分の抑留及び拘禁は刑事補償の対象となると解している。
最高裁判所は、抑留又は拘禁された後、起訴されずに釈放された者は刑事補償の対象とならないが、不起訴となった事実に基づく抑留又は拘禁であっても、そのうちに実質上は無罪となった事実についての抑留又は拘禁であると認められるものがあるときは、その部分の抑留及び拘禁は刑事補償の対象となると解している。
(正答) 〇
(解説)
刑事補償請求訴訟決定(最大決昭31.12.24)は、「憲法40条にいう「抑留又は拘禁」中には、無罪となつた公訴事実に基く抑留または拘禁はもとより、たとえ不起訴となつた事実に基く抑留または拘禁であつても、そのうちに実質上は、無罪となつた事実についての抑留または拘禁であると認められるものがあるときは、その部分の抑留及び拘禁もまたこれを包含するものと解するを相当とする。」としている。
刑事補償請求訴訟決定(最大決昭31.12.24)は、「憲法40条にいう「抑留又は拘禁」中には、無罪となつた公訴事実に基く抑留または拘禁はもとより、たとえ不起訴となつた事実に基く抑留または拘禁であつても、そのうちに実質上は、無罪となつた事実についての抑留または拘禁であると認められるものがあるときは、その部分の抑留及び拘禁もまたこれを包含するものと解するを相当とする。」としている。
総合メモ
少年審判手続における不処分決定と刑事補償 最三小決平成3年3月29日
概要
少年法23条2項による不処分決定は、非行事実が認められないことを理由とするものであっても、刑事補償法1条1項にいう「無罪の裁判」でも刑訴法188条の2第1項にいう「無罪の判決」にも当たらない。
判例
事案:Xは、7日間身体を拘束された後、非行事実が認められないとの理由から、少年法23条2項による保護処分に付さない旨の決定を受けたため、本決定は刑事補償法1条1項にいう「無罪の裁判」及び刑訴法188条の2第1項にいう「無罪の判決」に含まれると解すべきであり、そのように解さなければ、憲法40条及び14条に違反すると主張した。
判旨:「しかしながら、刑事補償法1条1項にいう「無罪の裁判」とは、同項及び関係の諸規定から明らかなとおり、刑訴法上の手続における無罪の確定裁判をいうところ、不処分決定は、刑訴法上の手続とは性質を異にする少年審判の手続における決定である上、右決定を経た事件について、刑事訴追をし、又は家庭裁判所の審判に付することを妨げる効力を有しないから、非行事実が認められないことを理由とするものであっても、刑事補償法1条1項にいう「無罪の裁判」には当たらないと解すべきであり、このように解しても憲法40条及び14条に違反しないことは、当裁判所大法廷の判例…の趣旨に徴して明らかである…。また、不処分決定は、非行事実が認められないことを理由とするものであっても、刑訴法188条の2第1項にいう「無罪の判決」に当たらないと解すべきであり、このように解しても憲法40条及び14条に違反しないことは、前示のとおりである。」
判旨:「しかしながら、刑事補償法1条1項にいう「無罪の裁判」とは、同項及び関係の諸規定から明らかなとおり、刑訴法上の手続における無罪の確定裁判をいうところ、不処分決定は、刑訴法上の手続とは性質を異にする少年審判の手続における決定である上、右決定を経た事件について、刑事訴追をし、又は家庭裁判所の審判に付することを妨げる効力を有しないから、非行事実が認められないことを理由とするものであっても、刑事補償法1条1項にいう「無罪の裁判」には当たらないと解すべきであり、このように解しても憲法40条及び14条に違反しないことは、当裁判所大法廷の判例…の趣旨に徴して明らかである…。また、不処分決定は、非行事実が認められないことを理由とするものであっても、刑訴法188条の2第1項にいう「無罪の判決」に当たらないと解すべきであり、このように解しても憲法40条及び14条に違反しないことは、前示のとおりである。」
過去問・解説
(H20 司法 第10問 ウ)
最高裁判所の判例によれば、刑事訴訟法上の手続における無罪の確定裁判に限らず、少年審判手続における不処分決定事件でも、非行事実が認められないことを理由とする不処分決定である場合には、憲法第40条の「無罪の裁判」に含まれる。
最高裁判所の判例によれば、刑事訴訟法上の手続における無罪の確定裁判に限らず、少年審判手続における不処分決定事件でも、非行事実が認められないことを理由とする不処分決定である場合には、憲法第40条の「無罪の裁判」に含まれる。
(正答) ✕
(解説)
判例(最決平3.3.29)は、「不処分決定は、…非行事実が認められないことを理由とするものであっても、刑事補償法1条1項にいう「無罪の裁判」には当たらないと解すべきであ…る。」、「不処分決定は、非行事実が認められないことを理由とするものであっても、刑訴法188条の2第1項にいう「無罪の判決」に当たらないと解すべきであ…る」としている。
判例(最決平3.3.29)は、「不処分決定は、…非行事実が認められないことを理由とするものであっても、刑事補償法1条1項にいう「無罪の裁判」には当たらないと解すべきであ…る。」、「不処分決定は、非行事実が認められないことを理由とするものであっても、刑訴法188条の2第1項にいう「無罪の判決」に当たらないと解すべきであ…る」としている。
(R3 司法 第10問 ウ)
判例は、家庭裁判所における少年審判手続において非行事実がないことを理由とする不処分決定について、刑事事件において無罪の裁判を受けたことと実質的に同視できるとして、同決定を受けた者を刑事補償の対象としないことは憲法第40条に違反すると解している。
判例は、家庭裁判所における少年審判手続において非行事実がないことを理由とする不処分決定について、刑事事件において無罪の裁判を受けたことと実質的に同視できるとして、同決定を受けた者を刑事補償の対象としないことは憲法第40条に違反すると解している。
(正答) ✕
(解説)
判例(最決平3.3.29)は、「不処分決定は、…非行事実が認められないことを理由とするものであっても、刑事補償法1条1項にいう「無罪の裁判」には当たらないと解すべきであり、このように解しても憲法40条及び14条に違反しない…。」、「不処分決定は、非行事実が認められないことを理由とするものであっても、刑訴法188条の2第1項にいう「無罪の判決」に当たらないと解すべきであり、このように解しても憲法40条及び14条に違反しない…。」としている。
判例(最決平3.3.29)は、「不処分決定は、…非行事実が認められないことを理由とするものであっても、刑事補償法1条1項にいう「無罪の裁判」には当たらないと解すべきであり、このように解しても憲法40条及び14条に違反しない…。」、「不処分決定は、非行事実が認められないことを理由とするものであっても、刑訴法188条の2第1項にいう「無罪の判決」に当たらないと解すべきであり、このように解しても憲法40条及び14条に違反しない…。」としている。
(R6 司法 第10問 イ)
最高裁判所は、緊急逮捕され少年鑑別所に収容された後、非行事実が認められないという理由で不処分決定を受けた少年が行った刑事補償請求につき、不処分決定は刑事訴訟法上の手続とは性質を異にする少年審判の手続における決定であることなどを理由として刑事補償の対象となる「無罪の裁判」には当たらないと判示した。
最高裁判所は、緊急逮捕され少年鑑別所に収容された後、非行事実が認められないという理由で不処分決定を受けた少年が行った刑事補償請求につき、不処分決定は刑事訴訟法上の手続とは性質を異にする少年審判の手続における決定であることなどを理由として刑事補償の対象となる「無罪の裁判」には当たらないと判示した。
(正答) 〇
(解説)
判例(最決平3.3.29)は、「不処分決定は、…非行事実が認められないことを理由とするものであっても、刑事補償法1条1項にいう「無罪の裁判」には当たらないと解すべきであ…る。」、「不処分決定は、非行事実が認められないことを理由とするものであっても、刑訴法188条の2第1項にいう「無罪の判決」に当たらないと解すべきであ…る」としている。
判例(最決平3.3.29)は、「不処分決定は、…非行事実が認められないことを理由とするものであっても、刑事補償法1条1項にいう「無罪の裁判」には当たらないと解すべきであ…る。」、「不処分決定は、非行事実が認められないことを理由とするものであっても、刑訴法188条の2第1項にいう「無罪の判決」に当たらないと解すべきであ…る」としている。