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行政法 所得税法234条1項の質問検査におけるその理由及び必要性を相手方に告知することの要否 最三小判昭和48年7月10日

概要
所得税法234条1項の質問検査は、諸般の具体的事情に鑑み、質問検査の客観的な必要性があると判断される場合に認められるものであって、この場合の法律上特段の定めがない実施の細目については、質問検査の必要があり、かつ、これと相手方の私的利益との衡量において社会通念上相当な限度にとどまる限り、権限ある職員の合理的な選択に委ねられている。
判例
事案:国税局員が確定申告調査のため、被告人に質問するとともに帳簿書類の呈示を求めたが、被告人が拒絶したことを理由に処罰された事案において、所得税法234条1項の質問検査において、質問検査がいかなる場合に認められるか問題となった。

判旨:「所得税の終局的な賦課徴収にいたる過程においては、原判示の更正、決定の場合のみではなく、ほかにも予定納税額減額申請(所得税法113条1項)または青色申告承認申請(同法145条)の承認、却下の場合、純損失の繰戻による還付(同法142条2項)の場合、延納申請の許否(同法133条2項)の場合、繰上保全差押(国税通則法38条3項)の場合等、税務署その他の税務官署による一定の処分のなされるべきことが法令上規定され、そのための事実認定と判断が要求される事項があり、これらの事項については、その認定判断に必要な範囲内で職権による調査が行なわれることは法の当然に許容するところと解すべきものであるところ、所得税法234条1項の規定は、国税庁、国税局または税務署の調査権限を有する職員において、当該調査の目的、調査すべき事項、申請、申告の体裁内容、帳簿等の記入保存状況、相手方の事業の形態等諸般の具体的事情にかんがみ、客観的な必要性があると判断される場合には、前記職権調査の一方法として、同条1項各号規定の者に対し質問し、またはその事業に関する帳簿、書類その他当該調査事項に関連性を有する物件の検査を行なう権限を認めた趣旨であって、この場合の質問検査の範囲、程度、時期、場所等実定法上特段の定めのない実施の細目については、右にいう質問検査の必要があり、かつ、これと相手方の私的利益との衡量において社会通念上相当な限度にとどまるかぎり、権限ある税務職員の合理的な選択に委ねられているものと解すべく、また、暦年終了前または確定申告期間経過前といえども質問検査が法律上許されないものではなく、実施の日時場所の事前通知、調査の理由および必要性の個別的、具体的な告知のごときも、質問検査を行なううえの法律上一律の要件とされているものではない。そして、質問検査制度の目的が適正公平な課税の実現を図ることにあり、かつ、前記法令上の職権調査事項には当然に確定申告期間または暦年の終了の以前において調査の行なわれるべきものも含まれていることを考慮し、なお所得税法5条においては、将来において課税要件の充足があるならばそれによって納税義務を現実に負担することとなるべき範囲の者を広く『所得税を納める義務がある』との概念で規定していることにかんがみれば、同法234条1項にいう『納税義務がある者』とは、以上の趣意を承けるべく、既に法定の課税要件が充たされて客観的に所得税の納税義務が成立し、いまだ最終的に適正な税額の納付を終了していない者のほか、当該課税年が開始して課税の基礎となるべき収入の発生があり、これによって将来終局的に納税義務を負担するにいたるべき者をもいい、『納税義務があると認められる者』とは、前記の権限ある税務職員の判断によって、右の意味での納税義務がある者に該当すると合理的に推認される者をいうと解すべきものである。」
過去問・解説
(R4 予備 第16問 ア)
国税通則法第74条の2第1項に基づく質問検査は、諸般の具体的事情に鑑み、質問検査の客観的な必要性があると判断される場合に認められるものであって、この場合の質問検査の範囲、程度、時期、場所等法律上特段の定めのない実施の細目については、上記のような質問検査の必要があり、かつ、これと相手方の私的利益との衡量において社会通念上相当な限度にとどまる限り、権限ある職員の合理的な選択に委ねられている。

【参照条文】国税通則法
(当該職員の所得税等に関する調査に係る質問検査権)
第74条の2 国税庁、国税局若しくは税務署(中略)又は税関の当該職員(中略)は、所得税、法人税、地方法人税又は消費税に関する調査について必要があるときは、次の各号に掲げる調査の区分に応じ、当該各号に定める者に質問し、その者の事業に関する帳簿書類その他の物件(中略)を検査し、又は当該物件(中略)の提示若しくは提出を求めることができる。
1~4 (略)
2~5 (略)

(正答)

(解説)
判例(最判昭48.7.10)は、本肢と同種の事案において、「所得税法234条1項の規定は、…諸般の具体的事情にかんがみ、客観的な必要性があると判断される場合には、前記職権調査の一方法として、同条1項各号規定の者に対し質問し、またはその事業に関する帳簿、書類その他当該調査事項に関連性を有する物件の検査を行なう権限を認めた趣旨であって、この場合の質問検査の範囲、程度、時期、場所等実定法上特段の定めのない実施の細目については、右にいう質問検査の必要があり、かつ、これと相手方の私的利益との衡量において社会通念上相当な限度にとどまるかぎり、権限ある税務職員の合理的な選択に委ねられている…。」としている。
総合メモ
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