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行政法 一時利用地指定処分の取消しの訴えが換地処分の取消しの訴えに変更された場合と出訴期間の遵守 最二小判昭和61年2月24日

概要
一時利用地が従前の土地に照応していないことを理由とする換地予定地的な一時利用地の指定処分の取消しの訴えが出訴期間内に提起され、その係属中に右の一時利用地をそのまま換地として指定する旨の換地処分があり、訴えが換地処分の取消しの訴えに交換的に変更された場合には、換地処分の取消しの訴えは、訴えの変更が右訴えの出訴期間経過後にされたときであっても、出訴期間の遵守に欠けるところがないものと解すべきである。
判例
事案: 一時利用地指定処分の取消しの訴えが換地処分の取消しの訴えに変更された事案において、訴え変更時には換地処分の取消しの訴えについて出訴期間を経過していた場合における訴えの適法性が問題となった。

判旨:「訴えの変更は、変更後の新請求については新たな訴えの提起にほかならないから、右訴えにつき出訴期間の制限がある場合には、先に述べた行政事件訴訟法20条のような特別の規定のない限り、右出訴期間の遵守の有無は、変更前後の請求の間に訴訟物の同一性が認められるとき、又は両者の間に存する関係から、変更後の新請求に係る訴えを当初の訴えの提起の時に提起されたものと同視し、出訴期間の遵守において欠けるところがないと解すべき特段の事情があるときを除き、右訴えの変更の時を基準としてこれを決しなければならないところ、上告人が本件換地処分の取消請求に訴えを変更したのは、本件換地処分の日から1年以上を経過した後であり、また、本件一時利用地指定処分の取消請求と本件換地処分の取消請求との間に訴訟物の同一性を認めることもできないから、本件換地処分の取消しの訴えにつき出訴期間の遵守があったというためには、右の特段の事情の存在が肯定されなければならない。
 …土地改良事業における一時利用地指定処分は、純粋に工事のための必要に基づくもので当該一時利用地を将来換地とすることを予定しないで指定するものと、当該一時利用地を換地の予定地として指定するものとに大別することができる。土地改良事業は、工事着手から換地処分に至るまでに長時間を要するのが通例であるから、関係権利者の地位を安定させるため、換地処分前であっても、換地処分によって確定されるべき権利関係をあらかじめ想定し得るに至った段階において、実質上換地処分がなされたと同様の使用収益関係を設定するという必要性が存する。また、換地処分は、従前の土地に存する権利関係を換地に移転させる処分であって、その性質上、当該換地計画に係る土地の全部につき一挙に行うことが必要であるところ、従前の土地について存する現実の使用収益の状態を換地処分と同時に一斉に換地に移転させることは困難であるから、換地処分前において従前の土地についての使用収益権限を順次将来換地となるべき土地に移転しておくという必要性が存する。一時利用地指定処分は右に述べたような必要性に基づいても行われるのであり、その場合の一時利用地指定処分は、当該一時利用地を換地予定地として指定し、換地処分前において実質それに相当する使用収益関係を当該一時利用地の上に設定する処分であるということができる。それは、土地改良事業の円滑な遂行のために必要な措置として土地改良法が当然に予定しているものなのである。そして、右の一時利用地指定処分は、右に指摘したように、換地処分で予定された法的効果を仮に実現するという性格を有するから、右の一時利用地指定処分に対する関係権利者の不服が一時利用地として指定された土地の照応の原則違反を理由に取消訴訟という形で表明された場合には、その土地を換地として将来行われるべき換地処分に対する不服が訴えの形で既に表明されたものともみることができるのである。もとより、右の一時利用地指定処分も換地処分の公告の日までに限り法的効果を有する処分であることに変わりはなく、また、換地処分を行うための法律上の前提要件として右の一時利用地指定処分が必要であるとか、当該一時利用地を必ず換地として指定しなければならないというものではないが、そのことと、いったんなされた右の一時利用地指定処分が換地処分で予定された法的効果を仮に実現するという性格を有していることとは何ら矛盾するものではない。右の一時利用地指定処分に引き続き行われた換地処分において、当該一時利用地が換地として指定された場合、それを一時利用地指定処分とは無縁のものと称することはできず、一時利用地指定処分において表明された土地改良事業施行者の意図の確定的な実現の結果というべきである。 本件一時利用地指定処分も、正規の換地計画決定前のものではあるが、前記のとおり、純然たる工事のための処分ではなく、右に述べた換地予定地的な一時利用地の指定処分であって、本件土地を将来本件従前地の換地とすることを予定し、実質上本件換地処分がなされたと同様の使用収益関係を本件土地上に設定した処分である。そうすると、土地改良事業の施行者である被上告人を相手方として本件土地が照応の原則に違反することを理由に提起された本件一時利用地指定処分の取消しの訴えは、単に本件一時利用地指定処分自体に対する不服の表明にとどまるものではなく、本件土地を換地として将来行われるべき本件換地処分に対する不服の表明としての性格をも有するものといわざるを得ないから、本件換地処分取消しの訴えは、出訴期間の関係においては、本件一時利用地指定処分の取消しの訴えの提起の時から既に提起されていたものと同様に取り扱うのが相当であり、出訴期間の遵守に欠けるところがないものと解すべきである。」
過去問・解説
(H29 予備 第20問 エ)
訴えの変更がされた場合における出訴期間の遵守の有無は、特別の規定のない限り、変更前後の請求の間に訴訟物の同一性が認められるとき、又は両者の間に存する関係から、変更後の新請求に係る訴えを当初の訴えの提起の時に提起されたものと同視し、出訴期間の遵守において欠けるところがないと解すべき特段の事情があるときを除き、訴えの変更の時を基準として判断される。

(正答)

(解説)
判例(最判昭61.2.24)は、「出訴期間の遵守の有無は、変更前後の請求の間に訴訟物の同一性が認められるとき、又は両者の間に存する関係から、変更後の新請求に係る訴えを当初の訴えの提起の時に提起されたものと同視し、出訴期間の遵守において欠けるところがないと解すべき特段の事情があるときを除き、右訴えの変更の時を基準としてこれを決しなければならない…。」としている。
総合メモ
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