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地方自治法 - 解答モード
自治法2条
条文
① 地方公共団体は、法人とする。
② 普通地方公共団体は、地域における事務及びその他の事務で法律又はこれに基づく政令により処理することとされるものを処理する。
③ 市町村は、基礎的な地方公共団体として、第5項において都道府県が処理するものとされているものを除き、一般的に、前項の事務を処理するものとする。
④ 市町村は、前項の規定にかかわらず、次項に規定する事務のうち、その規模又は性質において一般の市町村が処理することが適当でないと認められるものについては、当該市町村の規模及び能力に応じて、これを処理することができる。
⑤ 都道府県は、市町村を包括する広域の地方公共団体として、第2項の事務で、広域にわたるもの、市町村に関する連絡調整に関するもの及びその規模又は性質において一般の市町村が処理することが適当でないと認められるものを処理するものとする。
⑥ 都道府県及び市町村は、その事務を処理するに当っては、相互に競合しないようにしなければならない。
⑦ 特別地方公共団体は、この法律の定めるところにより、その事務を処理する。
⑧ この法律において「自治事務」とは、地方公共団体が処理する事務のうち、法定受託事務以外のものをいう。
⑨ この法律において「法定受託事務」とは、次に掲げる事務をいう。
一 法律又はこれに基づく政令により都道府県、市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、国が本来果たすべき役割に係るものであって、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(以下「第1号法定受託事務」という。)
二 法律又はこれに基づく政令により市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、都道府県が本来果たすべき役割に係るものであって、都道府県においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(以下「第2号法定受託事務」という。)
⑩ この法律又はこれに基づく政令に規定するもののほか、法律に定める法定受託事務は第1号法定受託事務にあっては別表第1の上欄に掲げる法律についてそれぞれ同表の下欄に、第2号法定受託事務にあつては別表第2の上欄に掲げる法律についてそれぞれ同表の下欄に掲げるとおりであり、政令に定める法定受託事務はこの法律に基づく政令に示すとおりである。
⑪ 地方公共団体に関する法令の規定は、地方自治の本旨に基づき、かつ、国と地方公共団体との適切な役割分担を踏まえたものでなければならない。
⑫ 地方公共団体に関する法令の規定は、地方自治の本旨に基づいて、かつ、国と地方公共団体との適切な役割分担を踏まえて、これを解釈し、及び運用するようにしなければならない。この場合において、特別地方公共団体に関する法令の規定は、この法律に定める特別地方公共団体の特性にも照応するように、これを解釈し、及び運用しなければならない。
⑬ 法律又はこれに基づく政令により地方公共団体が処理することとされる事務が自治事務である場合においては、国は、地方公共団体が地域の特性に応じて当該事務を処理することができるよう特に配慮しなければならない。
⑭ 地方公共団体は、その事務を処理するに当っては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。
⑮ 地方公共団体は、常にその組織及び運営の合理化に努めるとともに、他の地方公共団体に協力を求めてその規模の適正化を図らなければならない。
⑯ 地方公共団体は、法令に違反してその事務を処理してはならない。なお、市町村及び特別区は、当該都道府県の条例に違反してその事務を処理してはならない。
⑰ 前項の規定に違反して行った地方公共団体の行為は、これを無効とする。
過去問・解説
(H23 司法 第40問 イ)
以下の①の記載を前提にして、②の記載が正しいものに〇を、誤っているものに×を選びなさい。
①国が本来果たすべき役割に係るものであって、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものについて、法律又はこれに基づく政令において第1号法定受託事務として定め、都道府県、市町村又は特別区に行わせることとする場合がある。
②この場合、都道府県等は、国の行政機関として当該事務を行うことになる。
(正答)✕
(解説)
地方自治法2条9項は、柱書において、「この法律において『法定受託事務』とは、次に掲げる事務をいう。」と規定し、1号において、「法律又はこれに基づく政令により都道府県、市町村又は特別区が処理することとされる事務のうち、国が本来果たすべき役割に係るものであって、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして法律又はこれに基づく政令に特に定めるもの(以下『第1号法定受託事務』という。)」と規定している。
もっとも、同条2項は、「普通地方公共団体は、地域における事務及びその他の事務で法律又はこれに基づく政令により処理することとされるものを処理する。」と規定している。
したがって、法定受託事務は地方公共団体の事務であり、国の事務として行うわけではない。
(H24 司法 第40問 ア)
処分の根拠となる法律が特に都道府県の自治事務とする旨を定めているときに限り、処分を行う事務は、都道府県の自治事務とされる。
(H24 司法 第40問 ウ)
処分を行うことが都道府県の自治事務である場合、及び法定受託事務である場合のいずれにおいても、私人が処分の取消しを求める訴えの被告は、都道府県である。
(H24 司法 第40問 エ)
処分を行うことが都道府県の自治事務である場合において、法律が定める処分の基準を、都道府県は条例により変更することができる旨が、地方自治法に定められている。
(R1 予備 第24問 ア)
地方公共団体の第1号法定受託事務は、国が本来果たすべき役割に係るものであって、国においてその適正な処理を特に確保する必要があるものとして、地方公共団体の長に委任された事務であるから、地方公共団体の長は、国の機関としてその事務の処理を行う。
(R4 予備 第24問 イ)
地方自治法第2条第9項第1号に規定する第1号法定受託事務は、本来国が果たすべき役割に係る事務であって、国がその事務の適正な処理を特に確保する必要があるものではあるが、当該事務を処理する都道府県等は、当該事務を所掌する国の大臣から、国の下級行政機関として指揮監督を受けるものではない。
自治法14条
条文
① 普通地方公共団体は、法令に違反しない限りにおいて第2条第2項の事務に関し、条例を制定することができる。
② 普通地方公共団体は、義務を課し、又は権利を制限するには、法令に特別の定めがある場合を除くほか、条例によらなければならない。
③ 普通地方公共団体は、法令に特別の定めがあるものを除くほか、その条例中に、条例に違反した者に対し、2年以下の懲役若しくは禁錮、100万円以下の罰金、拘留、科料若しくは没収の刑又は5万円以下の過料を科する旨の規定を設けることができる。
過去問・解説
(H25 司法 第28問 エ)
A市は、コンビニエンスストアを経営する株式会社B社との間で、住民に対する住民票の写しの交付を委託する契約(以下「本件契約」という。)を締結した。A市は、A市個人情報保護条例(以下「本件条例」という。)第10条において、「市は、個人情報の取扱いを伴う事務又は事業を委託するときは、当該契約において、個人情報の適切な取扱いについて受託者が講ずべき措置を明らかにしなければならない」旨を定めている。
A市は、本件条例第10条にいう受託者が個人情報の保護措置を適切に講じていない場合にはA市長が受託者に対し行政処分として是正命令をなし得る旨を、本件条例中に定めることができる。
自治法96条
条文
① 普通地方公共団体の議会は、次に掲げる事件を議決しなければならない。
一 条例を設け又は改廃すること。
二 予算を定めること。
三 決算を認定すること。
四 法律又はこれに基づく政令に規定するものを除くほか、地方税の賦課徴収又は分担金、使用料、加入金若しくは手数料の徴収に関すること。
五 その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める契約を締結すること。
六 条例で定める場合を除くほか、財産を交換し、出資の目的とし、若しくは支払手段として使用し、又は適正な対価なくしてこれを譲渡し、若しくは貸し付けること。
七 不動産を信託すること。
八 前2号に定めるものを除くほか、その種類及び金額について政令で定める基準に従い条例で定める財産の取得又は処分をすること。
九 負担付きの寄附又は贈与を受けること。
十 法律若しくはこれに基づく政令又は条例に特別の定めがある場合を除くほか、権利を放棄すること。
十一 条例で定める重要な公の施設につき条例で定める長期かつ独占的な利用をさせること。
十二 普通地方公共団体がその当事者である審査請求その他の不服申立て、訴えの提起(普通地方公共団体の行政庁の処分又は裁決(行政事件訴訟法第3条第2項に規定する処分又は同条第3項に規定する裁決をいう。以下この号、第105条の2、第192条及び第199条の3第3項において同じ。)に係る同法第11条第1項(同法第38条第一項(同法第43条第2項において準用する場合を含む。)又は同法第43条第1項において準用する場合を含む。)の規定による普通地方公共団体を被告とする訴訟(以下この号、第105条の2、第192条及び第199条の3第3項において「普通地方公共団体を被告とする訴訟」という。)に係るものを除く。)、和解(普通地方公共団体の行政庁の処分又は裁決に係る普通地方公共団体を被告とする訴訟に係るものを除く。)、あっせん、調停及び仲裁に関すること。
十三 法律上その義務に属する損害賠償の額を定めること。
十四 普通地方公共団体の区域内の公共的団体等の活動の総合調整に関すること。
十五 その他法律又はこれに基づく政令(これらに基づく条例を含む。)により議会の権限に属する事項
② 前項に定めるものを除くほか、普通地方公共団体は、条例で普通地方公共団体に関する事件(法定受託事務に係るものにあつては、国の安全に関することその他の事由により議会の議決すべきものとすることが適当でないものとして政令で定めるものを除く。)につき議会の議決すべきものを定めることができる。
過去問・解説
(H26 司法 第39問 ア)
普通地方公共団体は、法律若しくはこれに基づく政令又は条例に特別の定めがない限り、権利の放棄を行う場合、議会の議決を要する。
(R6 予備 第18問 ア)
地方公共団体が債務を負担する契約を締結する場合、予算が議会で議決されていれば足り、 契約の締結自体について議会の議決が必要とされることはない。
自治法138条の4
条文
① 普通地方公共団体にその執行機関として普通地方公共団体の長の外、法律の定めるところにより、委員会又は委員を置く。
② 普通地方公共団体の委員会は、法律の定めるところにより、法令又は普通地方公共団体の条例若しくは規則に違反しない限りにおいて、その権限に属する事務に関し、規則その他の規程を定めることができる。
③ 普通地方公共団体は、法律又は条例の定めるところにより、執行機関の附属機関として自治紛争処理委員、審査会、審議会、調査会その他の調停、審査、諮問又は調査のための機関を置くことができる。ただし、政令で定める執行機関については、この限りでない。
自治法234条
条文
① 売買、貸借、請負その他の契約は、一般競争入札、指名競争入札、随意契約又はせり売りの方法により締結するものとする。
② 前項の指名競争入札、随意契約又はせり売りは、政令で定める場合に該当するときに限り、これによることができる。
③ 普通地方公共団体は、一般競争入札又は指名競争入札(以下この条において「競争入札」という。)に付する場合においては、政令の定めるところにより、契約の目的に応じ、予定価格の制限の範囲内で最高又は最低の価格をもって申込みをした者を契約の相手方とするものとする。ただし、普通地方公共団体の支出の原因となる契約については、政令の定めるところにより、予定価格の制限の範囲内の価格をもって申込みをした者のうち最低の価格をもって申込みをした者以外の者を契約の相手方とすることができる。
④ 普通地方公共団体が競争入札につき入札保証金を納付させた場合において、落札者が契約を締結しないときは、その者の納付に係る入札保証金(政令の定めるところによりその納付に代えて提供された担保を含む。)は、当該普通地方公共団体に帰属するものとする。
⑤ 普通地方公共団体が契約につき契約書又は契約内容を記録した電磁的記録を作成する場合においては、当該普通地方公共団体の長又はその委任を受けた者が契約の相手方とともに、契約書に記名押印し、又は契約内容を記録した電磁的記録に当該普通地方公共団体の長若しくはその委任を受けた者及び契約の相手方の作成に係るものであることを示すために講ずる措置であって、当該電磁的記録が改変されているかどうかを確認することができる等これらの者の作成に係るものであることを確実に示すことができるものとして総務省令で定めるものを講じなければ、当該契約は、確定しないものとする。
⑥ 競争入札に加わろうとする者に必要な資格、競争入札における公告又は指名の方法、随意契約及びせり売りの手続その他契約の締結の方法に関し必要な事項は、政令でこれを定める。
過去問・解説
(R5 予備 第16問 ア)
地方公共団体が売買や請負等の契約を締結する場合は、地方自治法上、指名競争入札、一般競争入札、随意契約及びせり売りの方法のうち、機会均等、公正性、透明性及び経済性(価格の有利性)を確保する見地から、指名競争入札の方法で行うことが原則である。
自治法242条
条文
① 普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担がある(当該行為がなされることが相当の確実さをもって予測される場合を含む。)と認めるとき、又は違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実(以下「怠る事実」という。)があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る事実によって当該普通地方公共団体の被った損害を補塡するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる。
② 前項の規定による請求は、当該行為のあった日又は終わった日から1年を経過したときは、これをすることができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。
③ 第1項の規定による請求があったときは、監査委員は、直ちに当該請求の要旨を当該普通地方公共団体の議会及び長に通知しなければならない。
④ 第1項の規定による請求があった場合において、当該行為が違法であると思料するに足りる相当な理由があり、当該行為により当該普通地方公共団体に生ずる回復の困難な損害を避けるため緊急の必要があり、かつ、当該行為を停止することによって人の生命又は身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがないと認めるときは、監査委員は、当該普通地方公共団体の長その他の執行機関又は職員に対し、理由を付して次項の手続が終了するまでの間当該行為を停止すべきことを勧告することができる。この場合において、監査委員は、当該勧告の内容を第1項の規定による請求人(以下この条において「請求人」という。)に通知するとともに、これを公表しなければならない。
⑤ 第1項の規定による請求があった場合には、監査委員は、監査を行い、当該請求に理由がないと認めるときは、理由を付してその旨を書面により請求人に通知するとともに、これを公表し、当該請求に理由があると認めるときは、当該普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関又は職員に対し期間を示して必要な措置を講ずべきことを勧告するとともに、当該勧告の内容を請求人に通知し、かつ、これを公表しなければならない。
⑥ 前項の規定による監査委員の監査及び勧告は、第一項の規定による請求があった日から60日以内に行わなければならない。
⑦ 監査委員は、第5項の規定による監査を行うに当たっては、請求人に証拠の提出及び陳述の機会を与えなければならない。
⑧ 監査委員は、前項の規定による陳述の聴取を行う場合又は関係のある当該普通地方公共団体の長その他の執行機関若しくは職員の陳述の聴取を行う場合において、必要があると認めるときは、関係のある当該普通地方公共団体の長その他の執行機関若しくは職員又は請求人を立ち会わせることができる。
⑨ 第5項の規定による監査委員の勧告があったときは、当該勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員は、当該勧告に示された期間内に必要な措置を講ずるとともに、その旨を監査委員に通知しなければならない。この場合において、監査委員は、当該通知に係る事項を請求人に通知するとともに、これを公表しなければならない。
⑩ 普通地方公共団体の議会は、第1項の規定による請求があった後に、当該請求に係る行為又は怠る事実に関する損害賠償又は不当利得返還の請求権その他の権利の放棄に関する議決をしようとするときは、あらかじめ監査委員の意見を聴かなければならない。
⑪ 第4項の規定による勧告、第五項の規定による監査及び勧告並びに前項の規定による意見についての決定は、監査委員の合議によるものとする。
過去問・解説
(H21 司法 第34問 ア)
A市の有力者Xが5年以上前から相当安い賃料でA市の市有地をA市から借りていた行為について、A市に住んでいる甲は住民監査請求をすることができる。
(正答)〇
(解説)
地方自治法242条1項は、「普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、…不当な…財産の…管理…、契約の締結…がある…と認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る事実によって当該普通地方公共団体の被った損害を補塡するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる。」と規定している。
Xが、A市から5年以上前から相当安い賃料でA市の市有地を借りていた行為は、他の者との関係で公正さを欠くものであって、不当である。
そうすると、この行為は、「不当な…財産の管理」又は「不当な…契約の締結」に該当する。
したがって、相当安い賃料という問題は、住民監査請求の対象に含まれ、A市の「住民」である甲は、当該行為について住民監査請求をすることができる。
(H21 司法 第34問 イ)
住民監査請求には期間制限がある。
(H22 司法 第34問 ア)
地方公共団体の所有する土地をAが権原なく使用していることが判明していながら長期にわたり理由なく放置されている事案において、住民が住民監査請求及び住民訴訟の制度(地方自治法第242条以下)を利用しようとするときに関する記述として次の記載は正しいか。違法又は不当に「公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実」があると認められるとして住民監査請求をしようとする場合、住民は、一定の数の他の住民とともに、これをする必要がある。
(正答)✕
(解説)
地方自治法242条1項は、「普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、…違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実…があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る事実によって当該普通地方公共団体の被った損害を補塡するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる。」と規定している。
同項は、住民監査請求をするにあたり、一定の数の住民で共同して行うことを求めておらず、住民は、それぞれ単独で同請求をすることが可能である。
(H26 司法 第34問 ア)
A市の住民であるXは、A市の職員が公金の支出の手続においてした財務会計上の行為に問題があると考え、地方自治法の規定に基づき住民監査請求をすること及び住民訴訟を提起することを検討している。
住民監査請求において、Xは、当該財務会計上の行為が違法なものであることのみを主張することができ、それが不当なものであると主張することはできない。
自治法242条の2
条文
① 普通地方公共団体の住民は、前条第1項の規定による請求をした場合において、同条第5項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第9項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第5項の規定による監査若しくは勧告を同条第6項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第9項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第1項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもって次に掲げる請求をすることができる。
一 当該執行機関又は職員に対する当該行為の全部又は一部の差止めの請求
二 行政処分たる当該行為の取消し又は無効確認の請求
三 当該執行機関又は職員に対する当該怠る事実の違法確認の請求
四 当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める請求。ただし、当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方が第243条の2の8第3項の規定による賠償の命令の対象となる者である場合には、当該賠償の命令をすることを求める請求
② 前項の規定による訴訟は、次の各号に掲げる場合の区分に応じ、当該各号に定める期間内に提起しなければならない。
一 監査委員の監査の結果又は勧告に不服がある場合 当該監査の結果又は当該勧告の内容の通知があった日から30日以内
二 監査委員の勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員の措置に不服がある場合 当該措置に係る監査委員の通知があった日から30日以内
三 監査委員が請求をした日から60日を経過しても監査又は勧告を行わない場合 当該60日を経過した日から30日以内
四 監査委員の勧告を受けた議会、長その他の執行機関又は職員が措置を講じない場合 当該勧告に示された期間を経過した日から30日以内
③ 前項の期間は、不変期間とする。
④ 第1項の規定による訴訟が係属しているときは、当該普通地方公共団体の他の住民は、別訴をもって同一の請求をすることができない。
⑤ 第1項の規定による訴訟は、当該普通地方公共団体の事務所の所在地を管轄する地方裁判所の管轄に専属する。
⑥ 第1項第1号の規定による請求に基づく差止めは、当該行為を差し止めることによって人の生命又は身体に対する重大な危害の発生の防止その他公共の福祉を著しく阻害するおそれがあるときは、することができない。
⑦ 第1項第4号の規定による訴訟が提起された場合には、当該職員又は当該行為若しくは怠る事実の相手方に対して、当該普通地方公共団体の執行機関又は職員は、遅滞なく、その訴訟の告知をしなければならない。
⑧ 前項の訴訟告知があったときは、第1項第4号の規定による訴訟が終了した日から6月を経過するまでの間は、当該訴訟に係る損害賠償又は不当利得返還の請求権の時効は、完成しない。
⑨ 民法第153条第2項の規定は、前項の規定による時効の完成猶予について準用する。
⑩ 第1項に規定する違法な行為又は怠る事実については、民事保全法(平成元年法律第91号)に規定する仮処分をすることができない。
⑪ 第2項から前項までに定めるもののほか、第1項の規定による訴訟については、行政事件訴訟法第43条の規定の適用があるものとする。
⑫ 第1項の規定による訴訟を提起した者が勝訴(一部勝訴を含む。)した場合において、弁護士、弁護士法人又は弁護士・外国法事務弁護士共同法人に報酬を支払うべきときは、当該普通地方公共団体に対し、その報酬額の範囲内で相当と認められる額の支払を請求することができる。
過去問・解説
(H19 司法 第24問 イ)
地方自治法第2条第14項は、行政活動は経済性、効率性等の見地から適切なものでなければならないとの原則を明文化したものである。しかし、この原則は行政内部にのみ妥当するものであるから、専門の機関である監査委員等のみがその統制を行うことができ、住民訴訟等において裁判所が同原則の違反を統制することは許されない。
(正答)✕
(解説)
地方自治法第2条第14項は、「地方公共団体は、その事務を処理するに当っては、住民の福祉の増進に努めるとともに、最少の経費で最大の効果を挙げるようにしなければならない。」と規定している。
しかし、同法242条1項は、住民監査請求について、「普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担がある(当該行為がなされることが相当の確実さをもって予測される場合を含む。)と認めるとき、又は違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実(以下「怠る事実」という。)があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る事実によって当該普通地方公共団体の被った損害を補塡するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる。」として、経済性や効率性の観点からも規定している。
したがって、経済性や効率性の適切さについても、住民訴訟等において裁判所が統制することを予定している。
(H20 司法 第39問 ア)
住民訴訟は、当該普通地方公共団体の住民である者に特に出訴を認めた客観訴訟であるから、原告が、口頭弁論終結時までに当該普通地方公共団体から転出したときは、訴えは不適法になる。
(正答)〇
(解説)
地方自治法242条の2第1項は、「普通地方公共団体の住民は、…裁判所に対し、同条第1項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもって次に掲げる請求をすることができる。」と規定している。
そして、裁判例(大阪高判昭59.1.25)は、「本件口頭弁論終結時以前に芦屋市の住民ではなくなっていることは、控訴人らの自認するところであるから、右控訴人3名の本件訴えは当事者適格を欠く不適法のものというべきである。したがって右控訴人3名の本件訴えはこれを却下すべきである。」として、原告適格の判断基準時は口頭弁論終結時であることを示している。
したがって、住民訴訟の原告が、口頭弁論終結時までに当該普通地方公共団体から転出したときは、訴えは不適法になる。
(H20 司法 第39問 イ)
住民訴訟は、当該普通地方公共団体の住民である者に、違法な財務会計行為を是正する権能を特に認めた客観訴訟であるから、違法な財務会計行為が行われた当時、当該普通地方公共団体の住民であったことが、訴えの適法要件になる。
(正答)✕
(解説)
地方自治法242条の2第1項は、「普通地方公共団体の住民は、前条第1項の規定による請求をした場合において、同条第5項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第9項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第5項の規定による監査若しくは勧告を同条第6項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第9項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第1項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもって次に掲げる請求をすることができる。」と規定している。
したがって、違法な財務会計行為が行われた当時に住民であることは、住民訴訟の要件とされていない。
(H21 司法 第34問 ウ)
他の住民が既に住民監査請求をしていて、監査結果が出ていた場合、別個に住民監査請求をする必要はなく、住民訴訟を起こすことができる。
(H21 司法 第34問 エ)
A市の市長が、極端に安い賃料でA市の有力者Xに市有地を貸した場合、市長個人を被告として、A市に損害賠償を支払えという訴訟を提起することができる。
(正答)✕
(解説)
地方自治法242条の2第1項は、柱書において、「普通地方公共団体の住民は、前条第1項の規定による請求をした場合において、同条第5項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第9項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第5項の規定による監査若しくは勧告を同条第6項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第9項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第1項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもって次に掲げる請求をすることができる。」と規定し、4号本文において、「当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める請求。」を掲げている。
したがって、市長個人を被告として、A市に損害賠償を支払えという訴訟を提起することはできない。
(H22 司法 第34問 イ)
地方公共団体の所有する土地をAが権原なく使用していることが判明していながら長期にわたり理由なく放置されている事案において、住民が住民監査請求及び住民訴訟の制度(地方自治法第242条以下)を利用しようとするときに関する記述として、次の記述は正しいか。
地方自治法には、違法又は不当に「公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実」があると認められるとして適法な住民監査請求がされた場合については、住民訴訟を提起することができる期間に関する規定はない。
(H22 司法 第34問 ウ)
地方公共団体の所有する土地をAが権原なく使用していることが判明していながら長期にわたり理由なく放置されている事案において、住民が住民監査請求及び住民訴訟の制度(地方自治法第242条以下)を利用しようとするときに関する記述として、次の記述は正しいか。
地方公共団体の長又は関係する権限を有する職員について違法又は不当に「公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実」があると認められるとして適法な住民監査請求がされた場合、これをした住民は、長又は当該職員を被告として、当該怠る事実の違法確認の請求をする住民訴訟を提起することができる。
(正答)〇
(解説)
地方自治法242条の2第1項は、柱書において、「普通地方公共団体の住民は、前条第1項の規定による請求をした場合において、同条第5項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第9項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第5項の規定による監査若しくは勧告を同条第6項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第9項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第1項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもって次に掲げる請求をすることができる。 」と規定し、3号において、「当該執行機関又は職員に対する当該怠る事実の違法確認の請求」を掲げている。
したがって、本肢における住民は、3号の請求として住民訴訟を提起することができる。
(H23 司法 第33問 ア)
普通地方公共団体であるA市においては、公金の支出を内容とする特定の処分をする権限が、市長から総務部長に委任されていた。このような場合において、A市の住民Xが地方自治法(以下「法」という。)第242条の2第1項の規定に基づいて提起する住民訴訟における被告とすべき者(他の訴訟要件については問題はないものとする。)に関する次の記述について、正しい場合には〇を、誤っている場合には×を選びなさい。
問題とされる処分がされることが相当の確実さをもって予測される事例において、Xは、総務部長Bを被告として、法第242条の2第1項第1号の規定に基づき処分の差止めを求める住民訴訟を適法に提起することができる。
(正答)〇
(解説)
地方自治法242条の2第1項は、柱書において、「普通地方公共団体の住民は、前条第1項の規定による請求をした場合において、同条第5項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第9項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第5項の規定による監査若しくは勧告を同条第6項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第9項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第1項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもって次に掲げる請求をすることができる。 」と規定し、1号において、「当該執行機関又は職員に対する当該行為の全部又は一部の差止めの請求」を掲げている。
公金の支出を内容とする特定の処分の権限は、市長から総務部長Bに委任されている。委任は、権限の委譲であるため、被告となる「当該行為の主体」は、Bである。
したがって、Xは、総務部長Bを被告として、法第242条の2第1項第1号の規定に基づき処分の差止めを求める住民訴訟を適法に提起することができる。
(H23 司法 第33問 ウ)
普通地方公共団体であるA市においては、公金の支出を内容とする特定の処分をする権限が、市長から総務部長に委任されていた。このような場合において、A市の住民Xが地方自治法(以下「法」という。)第242条の2第1項の規定に基づいて提起する住民訴訟における被告とすべき者(他の訴訟要件については問題はないものとする。)に関する次の記述について、正しい場合には〇を、誤っている場合には×を選びなさい。
問題とされる処分が総務部長Bにより既にされた事例において、Xは、市長Cを被告として、法第242条の2第1項第4号本文の規定に基づきBに損害賠償の請求をすることを求める住民訴訟を適法に提起することができる。
(正答)〇
(解説)
地方自治法242条の2第1項は、柱書において、「普通地方公共団体の住民は、前条第1項の規定による請求をした場合において、同条第5項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第9項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第5項の規定による監査若しくは勧告を同条第6項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第9項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第1項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもって次に掲げる請求をすることができる。 」と規定し、4号本文において、「当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める請求。」を掲げている。
したがって、Xは、「当該普通地方公共団体の執行機関」に当たるC市長を被告として、Bに対して損害賠償の請求をすることを求める住民訴訟を適法に提起することができる。
(H23 司法 第33問 エ)
普通地方公共団体であるA市においては、公金の支出を内容とする特定の処分をする権限が、市長から総務部長に委任されていた。このような場合において、A市の住民Xが地方自治法(以下「法」という。)第242条の2第1項の規定に基づいて提起する住民訴訟における被告とすべき者(他の訴訟要件については問題はないものとする。)に関する次の記述について、正しい場合には〇を、誤っている場合には×を選びなさい。
問題とされる処分が総務部長Bにより既にされた事例において、Xは、市長CのBに対する指揮監督上の過失を理由に法第242条の2第1項第4号本文の規定に基づきCに損害賠償の請求をすることを求める住民訴訟を提起するときは、市長以外の職員を被告としなければならない。
(正答)✕
(解説)
地方自治法242条の2第1項は、柱書において、「普通地方公共団体の住民は、前条第1項の規定による請求をした場合において、同条第5項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第9項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第5項の規定による監査若しくは勧告を同条第6項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第9項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第1項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもって次に掲げる請求をすることができる。 」と規定し、4号本文において、「当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める請求。」を掲げている。
したがって、Xは、「当該普通地方公共団体の執行機関又は職員」に当たるCを被告として、Cに対して損害賠償請求をすることを求める住民訴訟を適法に提起することができる。
(H24 司法 第35問 ア)
普通地方公共団体であるA市においては、観光の振興のために、宗教法人Bの主宰により長年にわたり行われている行事と提携する事業が企画されたが、A市の住民であるXは、この事業の内容については政教分離の原則等との関係で慎重に検討すべき問題があると考えている。A市の市長Cが宗教法人Bの主宰する行事に特定の日時に出席することが予定されている事例において、Xは、当該出席行為に伴う公金の支出その他の法の定める財務会計上の行為について、法第242条の2第1項第1号の規定に基づき、その差止めを求める住民訴訟を、適法に提起することができる。
(正答)〇
(解説)
地方自治法242条の2第1項は、柱書において、「普通地方公共団体の住民は、前条第1項の規定による請求をした場合において、同条第5項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第9項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第5項の規定による監査若しくは勧告を同条第6項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第9項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第1項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもって次に掲げる請求をすることができる。 」と規定し、1号において、「当該執行機関又は職員に対する当該行為の全部又は一部の差止めの請求」を掲げている。
本肢における宗教法人Bの主宰する行事へのCの出席行為に伴う公金の支出その他の法の定める財務会計上の行為は、憲法20条1項後段、89条前段に違反する「違法…な公金の支出」(地方自治法242条1項)に当たり、A市の市長Cが、宗教法人Bの主宰する行事に特定の日時に出席することが予定されているため、「当該行為がなされることが相当の確実さをもって予測される場合」(同項括弧書)といえる。
したがって、A市の住民であるXは、同242条の2第1項1号の規定に基づき、その差止めを求める住民訴訟を、適法に提起することができる。
(H24 司法 第35問 イ)
普通地方公共団体であるA市においては、観光の振興のために、宗教法人Bの主宰により長年にわたり行われている行事と提携する事業が企画されたが、A市の住民であるXは、この事業の内容については政教分離の原則等との関係で慎重に検討すべき問題があると考えている。問題とされる事業に関して公金の支出を内容とする処分がされた事例において、Xは、当該処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に当たるか否かにかかわらず、法第242条の2第1項第2号の規定に基づき、その取消しを求める住民訴訟を、適法に提起することができる。
(正答)〇
(解説)
地方自治法242条の2第1項は、柱書において、「普通地方公共団体の住民は、前条第1項の規定による請求をした場合において、同条第5項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第9項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第5項の規定による監査若しくは勧告を同条第6項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第9項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第1項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもって次に掲げる請求をすることができる。 」と規定し、2号において、「行政処分たる当該行為の取消し又は無効確認の請求」を掲げている。
本肢における問題とされる事業に関する公金の支出を内容とする処分は、普通地方公共団体の長等が行う「違法…な公金の支出」(地方自治法242条1項)に当たり、当該行為は既に行われた「行政処分」であるため、住民訴訟の類型として当該行為の取消しの請求を選択できる。
そして、住民訴訟は客観訴訟であるから、当該処分を行った普通地方公共団体の「住民」であれば、請求につき法律上の利益を有する者に当たるか否かにかかわらず(行訴法43条1項)、地方自治法242条1項の規定する請求を経た上で、住民訴訟を提起することができる。
したがって、A市の住民であるXは、当該処分の取消しを求めるにつき法律上の利益を有する者に当たるか否かにかかわらず、同法242条1項の規定する請求を経た上で、同法242条の2第1項2号の規定に基づき、当該処分の取消しを求める住民訴訟を適法に提起することができる。
(H24 司法 第35問 ウ)
普通地方公共団体であるA市においては、観光の振興のために、宗教法人Bの主宰により長年にわたり行われている行事と提携する事業が企画されたが、A市の住民であるXは、この事業の内容については政教分離の原則等との関係で慎重に検討すべき問題があると考えている。市から町内会Dが貸付けを受けていた土地の上に宗教法人B の礼拝の施設が存在する事例において、Xは、法第242条の2第1項第3号の規定に基づき、市長Cが町内会Dに上記の施設が存在する状態の解消を求めること等の当該土地の管理を怠る事実の違法確認を求める住民訴訟を、適法に提起することができる。
(正答)〇
(解説)
地方自治法242条の2第1項は、柱書において、「普通地方公共団体の住民は、前条第1項の規定による請求をした場合において、同条第5項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第9項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第5項の規定による監査若しくは勧告を同条第6項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第9項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第1項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもって次に掲げる請求をすることができる。 」と規定し、3号において、「当該執行機関又は職員に対する当該怠る事実の違法確認の請求」を掲げている。
A市が町内会Dに貸し付けている土地上に宗教法人Bの礼拝の施設が存在しているところ、これが政教分離の原則(憲法20条1項後段、89条前段)に反するとすれば、市長Cには、当該土地の貸付けに係る契約を解除し当該施設の撤去及び土地明渡しを請求するといった、施設が存在する状態の解消を求めること等の措置を採る義務が生じ得る(地方財政法8条、地方自治法238条1項1号、138条の2)。
そして、市長Cがこのような措置を採っていない場合は、「違法…に…財産の管理を怠る事実」(同法242条1項)に当たるため、A市の住民であるXは、同法242条の2第1項3号の規定に基づき、当該土地の管理を怠る事実の違法確認を求める住民訴訟を、適法に提起することができる。
(H24 司法 第35問 エ)
普通地方公共団体であるA市においては、観光の振興のために、宗教法人Bの主宰により長年にわたり行われている行事と提携する事業が企画されたが、A市の住民であるXは、この事業の内容については政教分離の原則等との関係で慎重に検討すべき問題があると考えている。町内会DがA市から貸付けを受けていた土地の貸付料の支払を滞っていた事例において、Xは、法第242条の2第1項第4号本文の規定に基づき、市長Cが町内会Dに契約による債務の履行としての貸付料の支払を請求することを求める住民訴訟を、適法に提起することができる。
(正答)✕
(解説)
地方自治法242条の2第1項は、柱書において、「普通地方公共団体の住民は、前条第1項の規定による請求をした場合において、同条第5項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第9項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第5項の規定による監査若しくは勧告を同条第6項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第9項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第1項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもって次に掲げる請求をすることができる。 」と規定し、4号本文において、「当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める請求。」を掲げている。
A市の住民であるXが提起しようとしている住民訴訟に係る請求は、契約による債務の履行としてのものである。もっとも、同号本文が対象としているのは、「損害賠償又は不当利得返還の請求」であり、契約による債務の履行請求はこれに含まれない。
したがって、Xは、同号本文の規定に基づき、市長Cが町内会Dに契約による債務の履行としての貸付料の支払を請求することを求める住民訴訟を、適法に提起することはできない。
(H25 司法 第35問 ア)
普通地方公共団体であるA市の住民であるXが地方自治法(以下「法」という。)第242条の2第1項の規定に基づいて提起する住民訴訟に係る各事例に関する記述として、次の記述は正しいか。
Xが違法であると主張する公金の支出がされるであろうことが確実となった事例において、Xは、対象とする行為が処分に当たる場合に限り、法第242条の2第1項第1号の規定に基づき、その差止めを求める住民訴訟を、適法に提起することができる。
(正答)✕
(解説)
地方自治法242条の2第1項柱書は、「普通地方公共団体の住民は、前条第1項の規定による請求をした場合において、同条第5項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第9項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第5項の規定による監査若しくは勧告を同条第6項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第9項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第1項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもって次に掲げる請求をすることができる。 」と規定し、1号において、「当該執行機関又は職員に対する当該行為の全部又は一部の差止めの請求」を掲げている。
同242条1項は、住民訴訟の前提となる住民監査請求の対象事項について、「普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担がある(当該行為がなされることが相当の確実さをもって予測される場合を含む。)と認めるとき…。」と規定している。
したがって、Xは、対象とする行為が処分に当たらなくても、同法第242条の2第1項第1号の規定に基づき、その差止めを求める住民訴訟を、適法に提起することができる。
(H25 司法 第35問 イ)
普通地方公共団体であるA市の住民であるXが地方自治法(以下「法」という。)第242条の2第1項の規定に基づいて提起する住民訴訟に係る各事例に関する記述として、次の記述は正しいか。
Xが違法であると主張する公金の支出を内容とする処分がされたが実際の金銭の支払は未了である事例において、Xは、法第242条の2第1項第2号の規定に基づき当該処分の取消しを求める住民訴訟を適法に提起した場合には、当該処分に係る金銭の支払について、行政事件訴訟法第25条の規定の適用により、それが当該処分の相手方にされることによりXの経営する事業が受ける重大な損害を避けるため、執行停止の申立てを、適法にすることができる。
(正答)✕
(解説)
地方自治法242条の2第11項は、「第2項から前項までに定めるもののほか、第1項の規定による訴訟については、行政事件訴訟法第43条の規定の適用があるものとする。」と規定している。
したがって、住民訴訟において、執行停止の申立てをすることは可能である(行訴法43条)。
もっとも、住民訴訟に準用される場合には、「重大な損害」(行訴法25条2項)は、公共の利益に関わる損害が主張されるべきとされている。
よって、Xは、自身の経営する事業が受ける重大な損害しか主張していないことから、「重大な損害」の要件を満たしておらず、執行停止の申立てを、適法に提起することができない。
(H25 司法 第35問 ウ)
普通地方公共団体であるA市の住民であるXが地方自治法(以下「法」という。)第242条の2第1項の規定に基づいて提起する住民訴訟に係る各事例に関する記述として、次の記述は正しいか。
A市の住民であるBがその企画する事業についてした法令に基づく許可の申請に対するA市の応答が遅れていることをXが違法であると主張している事例において、上記の不作為がA市の財務会計上の行為に関するものではない場合には、Xは、法第242条の2第1項第3号の規定に基づき、それが違法であることの確認を求める住民訴訟を、適法に提起することはできない。
(正答)〇
(解説)
地方自治法242条の2第1項は、柱書において、「普通地方公共団体の住民は、前条第1項の規定による請求をした場合において、同条第5項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第9項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第5項の規定による監査若しくは勧告を同条第6項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第9項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第1項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもって次に掲げる請求をすることができる。 」と規定し、3号において、「当該執行機関又は職員に対する当該怠る事実の違法確認の請求」を掲げている。
次に、同法242条1項は、住民訴訟の前提となる住民監査請求の対象事項について、「普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担がある(当該行為がなされることが相当の確実さをもって予測される場合を含む。)と認めるとき…。」と規定している。
したがって、A市の不作為がA市の財務会計上の行為に関するものではない場合には、Xは、同法第242条の2第1項第3号の規定に基づき、それが違法であることの確認を求める住民訴訟を、適法に提起することはできない。
(H26 司法 第34問 イ)
Xは、事案の重要性その他の事情によっては、住民監査請求をすることなく、適法に住民訴訟を提起することができる。
(H26 司法 第34問 ウ)
A市の住民であるXは、A市の職員が公金の支出の手続においてした財務会計上の行為に問題があると考え、地方自治法の規定に基づき住民監査請求をすること及び住民訴訟を提起することを検討している。このような事例に関する次の記述について、それぞれ正しい場合には〇を、誤っている場合には×を選びなさい。
Xは、住民監査請求をし監査の結果の通知を受けた場合において、一定の期間内でなければ、適法に住民訴訟を提起することができない。
(H26 司法 第34問 エ)
A市の住民であるXは、A市の職員が公金の支出の手続においてした財務会計上の行為に問題があると考え、地方自治法の規定に基づき住民監査請求をすること及び住民訴訟を提起することを検討している。このような事例に関する次のアからエまでの各記述について、それぞれ正しい場合には〇を、誤っている場合には×を選びなさい。
住民訴訟において、Xは、当該財務会計上の行為が違法なものであることのみを主張することができ、それが不当なものであると主張することはできない。
(正答)〇
(解説)
地方自治法242条1項は、「普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担がある(当該行為がなされることが相当の確実さをもって予測される場合を含む。)と認めるとき、又は違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実(以下「怠る事実」という。)があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る事実によつて当該普通地方公共団体の被つた損害を補塡するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる。」と規定しており、242条の2第1項は、「普通地方公共団体の住民は、前条第1項の規定による請求をした場合において、同条第5項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第9項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第5項の規定による監査若しくは勧告を同条第6項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第9項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第1項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもって次に掲げる請求をすることができる。 」と規定している。
住民監査請求(地方自治法242条1項)と異なり、住民訴訟(地方自治法242条の2第1項)においては、財務会計上の行為の違法性のみを主張することができ、不当性について主張することができない。
(H27 予備 第22問 ア)
市の住民であるXは、市の所有地上に産業廃棄物の処理施設を設置、操業して違法に有害な物質を排出している産業廃棄物処理業者を被告として、当該施設の操業の差止めを求める住民訴訟を適法に提起することができる。
(正答)✕
(解説)
地方自治法242条1項は、住民監査請求について、「普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、違法若しくは不当な公金の支出、財産の取得、管理若しくは処分、契約の締結若しくは履行若しくは債務その他の義務の負担がある(当該行為がなされることが相当の確実さをもって予測される場合を含む。)と認めるとき、又は違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実(以下「怠る事実」という。)があると認めるときは、これらを証する書面を添え、監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る事実によつて当該普通地方公共団体の被つた損害を補塡するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる。」と規定している。
市の所有地上で違法に有害な物質を排出している産業廃棄物処理施設の操業の差止めは、「違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実」には当たらないから、住民訴訟の前提となる住民監査請求をすることができない。
また、242条の2第1項は、「普通地方公共団体の住民は、前条第1項の規定による請求をした場合において、同条第5項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第9項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第5項の規定による監査若しくは勧告を同条第6項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第9項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第1項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもって次に掲げる請求をすることができる。 」と規定している。
産業廃棄物処理業者は、被告として規定されている、「長その他の執行機関若しくは職員」に当たらない。
したがって、Xは、産業廃棄物処理施設を設置している産業廃棄物処理業者を被告として、当該施設の操業の差止めを求める住民訴訟を適法に提起することはできない。
(H27 予備 第22問 イ)
市の住民であるXは、市が特定の市有地を権原なく占用する者に対し占用料相当額の請求を怠ることの違法確認を求める住民訴訟を、市長を被告として適法に提起することができる。
(正答)〇
(解説)
地方自治法242条は、「普通地方公共団体の住民は、当該普通地方公共団体の長若しくは委員会若しくは委員又は当該普通地方公共団体の職員について、…違法若しくは不当に公金の賦課若しくは徴収若しくは財産の管理を怠る事実(以下「怠る事実」という。)があると認めるときは、…監査委員に対し、監査を求め、当該行為を防止し、若しくは是正し、若しくは当該怠る事実を改め、又は当該行為若しくは怠る事実によって当該普通地方公共団体の被った損害を補塡するために必要な措置を講ずべきことを請求することができる。」と規定している。
そして、「財産」(地方自治法242条1項)とは、公有財産、物品及び債権並びに基金をいい(同法237条1項)、「財産の管理」とは、当該財産の財産的価値の維持、保全又は実現を直接の目的とする執行機関又は職員の行為をいう。
したがって、公有財産が不法占拠されている場合において、執行機関等が占用料相当額の請求を怠ることも「財産の管理を怠る事実」に当たる。
法242条の2第1項柱書は、「普通地方公共団体の住民は、前条第1項の規定による請求をした場合において、同条第5項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第9項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第5項の規定による監査若しくは勧告を同条第6項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第9項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第1項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもって次に掲げる請求をすることができる。 」と規定しており、同項2号は、「行政処分たる当該行為の取消し又は無効確認の請求」を掲げている。
ここでいう、「当該執行機関又は職員」(同法242条の2第1項2号)とは、怠る事実に係る行為の権限を有する執行機関又は職員をいう。
本肢においては、市長がこれに該当する。
よって、市の住民であるXは、市長を被告として、市が特定の市有地を権限なく占用する者に対し占用料相当額の請求を怠ることの違法確認を求める住民訴訟を適法に提起することができる。
(H27 予備 第22問 ウ)
市の住民であるXは、市が廃棄物運搬業者との間で締結した委託契約に基づく委託料の支出が違法であることを理由に、支出行為をした当時の市長個人を被告として、市への損害賠償の支払を求める住民訴訟を適法に提起することができる。
(正答)✕
(解説)
地方自治法242条の2第1項は、柱書において、「普通地方公共団体の住民は、前条第1項の規定による請求をした場合において、同条第5項の規定による監査委員の監査の結果若しくは勧告若しくは同条第9項の規定による普通地方公共団体の議会、長その他の執行機関若しくは職員の措置に不服があるとき、又は監査委員が同条第5項の規定による監査若しくは勧告を同条第6項の期間内に行わないとき、若しくは議会、長その他の執行機関若しくは職員が同条第9項の規定による措置を講じないときは、裁判所に対し、同条第1項の請求に係る違法な行為又は怠る事実につき、訴えをもって次に掲げる請求をすることができる。 」と規定し、4号本文において、「当該職員又は当該行為若しくは怠る事実に係る相手方に損害賠償又は不当利得返還の請求をすることを当該普通地方公共団体の執行機関又は職員に対して求める請求。」を掲げている。
「執行機関又は職員」とは、損害賠償又は不当利得返還の請求の相手方に対し、損害賠償請求権や不当利得返還請求権を行使する権限を有する者をいう。普通地方公共団体でいうと、損害賠償請求権も不当利得返還請求権も金銭の給付を目的とする権利であり、これを管理するのは長であるから(同法240条)、あくまでも機関としての長が被告となる。
したがって、Xが、市が廃棄物運搬業者との間で締結した委託契約に基づく委託料の支出が違法であることを理由として、同法242条の2第1項4号に基づく住民訴訟を提起する場合に、被告適格を有するのは、機関としての市長であって、支出行為をした当時機関の地位にあった市長個人ではない。
自治法245条の2
条文
普通地方公共団体は、その事務の処理に関し、法律又はこれに基づく政令によらなければ、普通地方公共団体に対する国又は都道府県の関与を受け、又は要することとされることはない。
過去問・解説
(H24 司法 第40問 イ)
処分を行うことが都道府県の自治事務である場合、及び法定受託事務である場合のいずれにおいても、国が都道府県の事務処理について関与をするに際しては、法律の根拠が必要である。
自治法245条の5
条文
① 各大臣は、その担任する事務に関し、都道府県の自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該都道府県に対し、当該自治事務の処理について違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを求めることができる。
② 各大臣は、その担任する事務に関し、市町村の次の各号に掲げる事務の処理が法令の規定に違反していると認めるとき、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認めるときは、当該各号に定める都道府県の執行機関に対し、当該事務の処理について違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを当該市町村に求めるよう指示をすることができる。
一 市町村長その他の市町村の執行機関(教育委員会及び選挙管理委員会を除く。)の担任する事務(第1号法定受託事務を除く。次号及び第3号において同じ。) 都道府県知事
二 市町村教育委員会の担任する事務 都道府県教育委員会
三 市町村選挙管理委員会の担任する事務 都道府県選挙管理委員会
③ 前項の指示を受けた都道府県の執行機関は、当該市町村に対し、当該事務の処理について違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを求めなければならない。
④ 各大臣は、第2項の規定によるほか、その担任する事務に関し、市町村の事務(第1号法定受託事務を除く。)の処理が法令の規定に違反していると認める場合、又は著しく適正を欠き、かつ、明らかに公益を害していると認める場合において、緊急を要するときその他特に必要があると認めるときは、自ら当該市町村に対し、当該事務の処理について違反の是正又は改善のため必要な措置を講ずべきことを求めることができる。
⑤ 普通地方公共団体は、第1項、第3項又は前項の規定による求めを受けたときは、当該事務の処理について違反の是正又は改善のための必要な措置を講じなければならない。
過去問・解説
(H26 司法 第39問 エ)
各大臣は、担任する事務に関し、都道府県の自治事務の処理が法令の規定に違反していると認める場合、当該都道府県に対し、当該自治事務の処理について違反の是正のため必要な措置を講ずるように求めることができる。
(R1 予備 第24問 イ)
各大臣は、その担任する事務に関し、都道府県の自治事務の処理が法令の規定に違反していると認めるときは、当該都道府県に対し、その違反の是正のため必要な措置を講ずることを求めることができ、これにより、当該都道府県は、当該措置を講ずる義務を負う。
自治法245条の8
条文
① 各大臣は、その所管する法律若しくはこれに基づく政令に係る都道府県知事の法定受託事務の管理若しくは執行が法令の規定若しくは当該各大臣の処分に違反するものがある場合又は当該法定受託事務の管理若しくは執行を怠るものがある場合において、本項から第8項までに規定する措置以外の方法によってその是正を図ることが困難であり、かつ、それを放置することにより著しく公益を害することが明らかであるときは、文書により、当該都道府県知事に対して、その旨を指摘し、期限を定めて、当該違反を是正し、又は当該怠る法定受託事務の管理若しくは執行を改めるべきことを勧告することができる。
② 各大臣は、都道府県知事が前項の期限までに同項の規定による勧告に係る事項を行わないときは、文書により、当該都道府県知事に対し、期限を定めて当該事項を行うべきことを指示することができる。
③ 各大臣は、都道府県知事が前項の期限までに当該事項を行わないときは、高等裁判所に対し、訴えをもって、当該事項を行うべきことを命ずる旨の裁判を請求することができる。
④ 各大臣は、高等裁判所に対し前項の規定により訴えを提起したときは、直ちに、文書により、その旨を当該都道府県知事に通告するとともに、当該高等裁判所に対し、その通告をした日時、場所及び方法を通知しなければならない。
⑤ 当該高等裁判所は、第3項の規定により訴えが提起されたときは、速やかに口頭弁論の期日を定め、当事者を呼び出さなければならない。その期日は、同項の訴えの提起があった日から15日以内の日とする。
⑥ 当該高等裁判所は、各大臣の請求に理由があると認めるときは、当該都道府県知事に対し、期限を定めて当該事項を行うべきことを命ずる旨の裁判をしなければならない。
⑦ 第3項の訴えは、当該都道府県の区域を管轄する高等裁判所の専属管轄とする。
⑧ 各大臣は、都道府県知事が第6項の裁判に従い同項の期限までに、なお、当該事項を行わないときは、当該都道府県知事に代わって当該事項を行うことができる。この場合においては、各大臣は、あらかじめ当該都道府県知事に対し、当該事項を行う日時、場所及び方法を通知しなければならない。
⑨ 第3項の訴えに係る高等裁判所の判決に対する上告の期間は、1週間とする。
⑩ 前項の上告は、執行停止の効力を有しない。
⑪ 各大臣の請求に理由がない旨の判決が確定した場合において、既に第8項の規定に基づき第2項の規定による指示に係る事項が行われているときは、都道府県知事は、当該判決の確定後3月以内にその処分を取り消し、又は原状の回復その他必要な措置を執ることができる。
⑫ 前各項の規定は、市町村長の法定受託事務の管理若しくは執行が法令の規定若しくは各大臣若しくは都道府県知事の処分に違反するものがある場合又は当該法定受託事務の管理若しくは執行を怠るものがある場合において、本項に規定する措置以外の方法によってその是正を図ることが困難であり、かつ、それを放置することにより著しく公益を害することが明らかであるときについて準用する。この場合においては、前各項の規定中「各大臣」とあるのは「都道府県知事」と、「都道府県知事」とあるのは「市町村長」と、「当該都道府県の区域」とあるのは「当該市町村の区域」と読み替えるものとする。
⑬ 各大臣は、その所管する法律又はこれに基づく政令に係る市町村長の第一号法定受託事務の管理又は執行について、都道府県知事に対し、前項において準用する第1項から第8項までの規定による措置に関し、必要な指示をすることができる。
⑭ 第3項(第12項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の訴えについては、行政事件訴訟法第43条第3項の規定にかかわらず、同法第41条第2項の規定は、準用しない。
⑮ 前各項に定めるもののほか、第3項の訴えについては、主張及び証拠の申出の時期の制限その他審理の促進に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。
過去問・解説
(R1 予備 第24問 ウ)
各大臣は、その所管する法律に係る都道府県知事の事務の管理又は執行が法令の規定に違反するものがある場合において、その事務が第1号法定受託事務であるときは、一定の要件の下で代執行をすることができる。
(正答)〇
(解説)
地方自治法245条の8は、1項において、「各大臣は、その所管する法律若しくはこれに基づく政令に係る都道府県知事の法定受託事務の管理若しくは執行が法令の規定若しくは当該各大臣の処分に違反するものがある場合…において、本項から第8項までに規定する措置以外の方法によってその是正を図ることが困難であり、かつ、それを放置することにより著しく公益を害することが明らかであるときは、文書により、当該都道府県知事に対して、その旨を指摘し、期限を定めて、当該違反を是正し、又は当該怠る法定受託事務の管理若しくは執行を改めるべきことを勧告することができる。」と規定し、8項前段において、「各大臣は、都道府県知事が第6項の裁判に従い同項の期限までに、なお、当該事項を行わないときは、当該都道府県知事に代わって当該事項を行うことができる。」と規定している。
自治法247条
条文
① 国の行政機関又は都道府県の機関は、普通地方公共団体に対し、助言、勧告その他これらに類する行為(以下本条及び第252条の17の3第2項において「助言等」という。)を書面によらないで行った場合において、当該普通地方公共団体から当該助言等の趣旨及び内容を記載した書面の交付を求められたときは、これを交付しなければならない。
② 前項の規定は、次に掲げる助言等については、適用しない。
一 普通地方公共団体に対しその場において完了する行為を求めるもの
二 既に書面により当該普通地方公共団体に通知されている事項と同一の内容であるもの
③ 国又は都道府県の職員は、普通地方公共団体が国の行政機関又は都道府県の機関が行った助言等に従わなかったことを理由として、不利益な取扱いをしてはならない。
自治法250条の13
条文
① 普通地方公共団体の長その他の執行機関は、その担任する事務に関する国の関与のうち是正の要求、許可の拒否その他の処分その他公権力の行使に当たるもの(次に掲げるものを除く。)に不服があるときは、委員会に対し、当該国の関与を行った国の行政庁を相手方として、文書で、審査の申出をすることができる。
一 第245条の8第2項及び第13項の規定による指示
二 第245条の8第8項の規定に基づき都道府県知事に代わって同条第2項の規定による指示に係る事項を行うこと。
三 第252条の17の4第2項の規定により読み替えて適用する第245条の8第12項において準用する同条第2項の規定による指示
四 第252条の17の4第2項の規定により読み替えて適用する第245条の8第12項において準用する同条第8項の規定に基づき市町村長に代わって前号の指示に係る事項を行うこと。
② 普通地方公共団体の長その他の執行機関は、その担任する事務に関する国の不作為(国の行政庁が、申請等が行われた場合において、相当の期間内に何らかの国の関与のうち許可その他の処分その他公権力の行使に当たるものをすべきにかかわらず、これをしないことをいう。以下本節において同じ。)に不服があるときは、委員会に対し、当該国の不作為に係る国の行政庁を相手方として、文書で、審査の申出をすることができる。
③ 普通地方公共団体の長その他の執行機関は、その担任する事務に関する当該普通地方公共団体の法令に基づく協議の申出が国の行政庁に対して行われた場合において、当該協議に係る当該普通地方公共団体の義務を果たしたと認めるにもかかわらず当該協議が調わないときは、委員会に対し、当該協議の相手方である国の行政庁を相手方として、文書で、審査の申出をすることができる。
④ 第1項の規定による審査の申出は、当該国の関与があった日から30日以内にしなければならない。ただし、天災その他同項の規定による審査の申出をしなかったことについてやむを得ない理由があるときは、この限りでない。
⑤ 前項ただし書の場合における第1項の規定による審査の申出は、その理由がやんだ日から1週間以内にしなければならない。
⑥ 第1項の規定による審査の申出に係る文書を郵便又は民間事業者による信書の送達に関する法律(平成14年法律第99号)第2条第6項に規定する一般信書便事業者若しくは同条第9項に規定する特定信書便事業者による同条第2項に規定する信書便(第260条の2第12項において「信書便」という。)で提出した場合における前2項の期間の計算については、送付に要した日数は、算入しない。
⑦ 普通地方公共団体の長その他の執行機関は、第1項から第3項までの規定による審査の申出(以下本款において「国の関与に関する審査の申出」という。)をしようとするときは、相手方となるべき国の行政庁に対し、その旨をあらかじめ通知しなければならない。
過去問・解説
(H22 司法 第40問 ウ)
知事が担任する法定受託事務に対し大臣が是正の指示を行った場合において、当該知事は、国地方係争処理委員会に対して審査の申出をすることができ、審査の結果に不服があるときは、裁判所に提訴することができる。
(正答)〇
(解説)
地方自治法250条の13第1項柱書は、「通地方公共団体の長その他の執行機関は、その担任する事務に関する国の関与のうち是正の要求、許可の拒否その他の処分その他公権力の行使に当たるもの…に不服があるときは、委員会に対し、当該国の関与を行った国の行政庁を相手方として、文書で、審査の申出をすることができる。」と規定している。
また、同法251条の5第1項1号は、「第250条の13第1項又は第2項の規定による審査の申出をした普通地方公共団体の長その他の執行機関は、次の各号のいずれかに該当するときは、高等裁判所に対し、当該審査の申出の相手方となった国の行政庁…を被告として、訴えをもって当該審査の申出に係る違法な国の関与の取消し又は当該審査の申出に係る国の不作為の違法の確認を求めることができる。」と規定している。
(R1 予備 第24問 エ)
地方公共団体の事務の処理について、当該地方公共団体と国との間で紛争が生じた場合、国の行政庁は、国地方係争処理委員会に対し、当該地方公共団体の執行機関を相手方として、審査の申出をすることができる。