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不当利得
不当利得者の主張・立証責任及び不当利得の範囲 最三小判平成3年11月19日
概要
①金銭の交付によって生じた不当利得の利益が存しないことについては、不当利得返還請求権の消滅を主張する者が主張・立証すべきである。
②不当利得をした者が利得に法律上の原因がないことを認識した後の利益の消滅は、返還義務の範囲を減少させる理由とはならない。
②不当利得をした者が利得に法律上の原因がないことを認識した後の利益の消滅は、返還義務の範囲を減少させる理由とはならない。
判例
事案:①金銭の交付によって生じた不当利得の利益が存しないことについての主張・立証責任が、誰に帰属するかが問題となった。
②不当利得者が利得に法律上の原因がないことを認識した後に利益が消滅した場合において、不当利得者の返還義務の範囲が減少するかが問題となった。
判旨:①「本件約束手形は不渡りとなりその取立金相当額の普通預金口座への寄託はなかったのであるから、右取立金に相当する金額の払戻しを受けたことにより、AはBの損失において法律上の原因なしに同額の利得をしたものである。そして、金銭の交付によって生じた不当利得につきその利益が存しないことについては、不当利得返還請求権の消滅を主張する者において主張・立証すべきところ、本件においては、Aが利得した本件払戻金をCに交付したとの事実は認めることができず、他にAが利得した利益を喪失した旨の事実の主張はないのである。そうすると、右利益はAに現に帰属していることになるのであるから、原審の認定した諸事情を考慮しても、Aが現に保持する利益の返還義務を軽減する理由はないと解すべきである。」
②「善意で不当利得をした者の返還義務の範囲が利益の存する限度に減縮されるのは、利得に法律上の原因があると信じて利益を失った者に不当利得がなかった場合以上の不利益を与えるべきでないとする趣旨に出たものであるから、利得者が利得に法律上の原因がないことを認識した後の利益の消滅は、返還義務の範囲を減少させる理由とはならない…。」
②不当利得者が利得に法律上の原因がないことを認識した後に利益が消滅した場合において、不当利得者の返還義務の範囲が減少するかが問題となった。
判旨:①「本件約束手形は不渡りとなりその取立金相当額の普通預金口座への寄託はなかったのであるから、右取立金に相当する金額の払戻しを受けたことにより、AはBの損失において法律上の原因なしに同額の利得をしたものである。そして、金銭の交付によって生じた不当利得につきその利益が存しないことについては、不当利得返還請求権の消滅を主張する者において主張・立証すべきところ、本件においては、Aが利得した本件払戻金をCに交付したとの事実は認めることができず、他にAが利得した利益を喪失した旨の事実の主張はないのである。そうすると、右利益はAに現に帰属していることになるのであるから、原審の認定した諸事情を考慮しても、Aが現に保持する利益の返還義務を軽減する理由はないと解すべきである。」
②「善意で不当利得をした者の返還義務の範囲が利益の存する限度に減縮されるのは、利得に法律上の原因があると信じて利益を失った者に不当利得がなかった場合以上の不利益を与えるべきでないとする趣旨に出たものであるから、利得者が利得に法律上の原因がないことを認識した後の利益の消滅は、返還義務の範囲を減少させる理由とはならない…。」
過去問・解説
(H19 司法 第27問 イ)
金銭の交付によって生じた不当利得の利益が現存しないことについては、不当利得返還請求権の消滅を主張する者が主張立証しなければならない。
金銭の交付によって生じた不当利得の利益が現存しないことについては、不当利得返還請求権の消滅を主張する者が主張立証しなければならない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平3.11.19)は、「金銭の交付によって生じた不当利得につきその利益が存しないことについては、不当利得返還請求権の消滅を主張する者において主張・立証すべき」と判示している。
判例(最判平3.11.19)は、「金銭の交付によって生じた不当利得につきその利益が存しないことについては、不当利得返還請求権の消滅を主張する者において主張・立証すべき」と判示している。
(R5 司法 第29問 イ)
善意の受益者がその利得に法律上の原因がないことを認識した後にその利益が消滅したときは、その受益者は、現に利益が存しないことを理由として不当利得に基づく返還請求を拒むことができない。
善意の受益者がその利得に法律上の原因がないことを認識した後にその利益が消滅したときは、その受益者は、現に利益が存しないことを理由として不当利得に基づく返還請求を拒むことができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平3.11.19)は、「利得者が利得に法律上の原因がないことを認識した後の利益の消滅は、返還義務の範囲を減少させる理由とはならない…。」と判示している。したがって、善意の受益者がその利得に法律上の原因がないことを認識した後にその利益が消滅したときは、その受益者は、現に利益が存しないことを理由として不当利得に基づく返還請求を拒むことができない。
判例(最判平3.11.19)は、「利得者が利得に法律上の原因がないことを認識した後の利益の消滅は、返還義務の範囲を減少させる理由とはならない…。」と判示している。したがって、善意の受益者がその利得に法律上の原因がないことを認識した後にその利益が消滅したときは、その受益者は、現に利益が存しないことを理由として不当利得に基づく返還請求を拒むことができない。
(H28 司法 第28問 エ)
金銭の交付によって生じた不当利得の利益が存しないことについては、不当利得返還請求権の消滅を主張する者が主張・立証責任を負う。
金銭の交付によって生じた不当利得の利益が存しないことについては、不当利得返還請求権の消滅を主張する者が主張・立証責任を負う。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平3.11.19)は、「金銭の交付によって生じた不当利得につきその利益が存しないことについては、不当利得返還請求権の消滅を主張する者において主張・立証すべき」と判示している。
判例(最判平3.11.19)は、「金銭の交付によって生じた不当利得につきその利益が存しないことについては、不当利得返還請求権の消滅を主張する者において主張・立証すべき」と判示している。
総合メモ
不当利得返還請求権の主張立証責任 大判明治32年6月14日
総合メモ
騙取又は横領した金銭により債務の弁済を受けた者の悪意又は重過失と不当利得における法律上の原因 最一小判昭和49年9月26日
概要
Aが、社会通念上Bから騙取又は横領した金銭でCの利益をはかったと認められるだけの連結がある場合には、不当利得の成立に必要な因果関係があるといえ、また、CがAから当該金銭を受領するにつき悪意又は重大な過失がある場合には、Cの当該金銭の取得は、被騙取者又は被横領者たるBに対する関係においては、法律上の原因がなく、不当利得となる。
判例
事案:他人から騙取した金銭で自己の債務を弁済した者がある場合において、金銭を騙取された当該他人が、騙取者が弁済した債務の債権者に対して、不当利得返還請求により騙取金の返還を求めることができるかが問題となった。
判旨:「およそ不当利得の制度は、ある人の財産的利得が法律上の原因ないし正当な理由を欠く場合に、法律が、公平の観念に基づいて、利得者にその利得の返還義務を負担させるものであるが、いまAが、Bから金銭を騙取又は横領して、その金銭で自己の債権者Cに対する債務を弁済した場合に、BのCに対する不当利得返還請求が認められるかどうかについて考えるに、騙取又は横領された金銭の所有権がCに移転するまでの間そのままBの手中にとどまる場合にだけ、Bの損失とCの利得との間に因果関係があるとなすべきではなく、Aが騙取又は横領した金銭をそのままCの利益に使用しようと、あるいはこれを自己の金銭と混同させ又は両替し、あるいは銀行に預入れ、あるいはその一部を他の目的のため費消した後その費消した分を別途工面した金銭によつて補填する等してから、Cのために使用しようと、社会通念上Bの金銭でCの利益をはかつたと認められるだけの連結がある場合には、なお不当利得の成立に必要な因果関係があるものと解すべきであり、また、CがAから右の金銭を受領するにつき悪意又は重大な過失がある場合には、Cの右金銭の取得は、被騙取者又は被横領者たるBに対する関係においては、法律上の原因がなく、不当利得となるものと解するのが相当である。」
判旨:「およそ不当利得の制度は、ある人の財産的利得が法律上の原因ないし正当な理由を欠く場合に、法律が、公平の観念に基づいて、利得者にその利得の返還義務を負担させるものであるが、いまAが、Bから金銭を騙取又は横領して、その金銭で自己の債権者Cに対する債務を弁済した場合に、BのCに対する不当利得返還請求が認められるかどうかについて考えるに、騙取又は横領された金銭の所有権がCに移転するまでの間そのままBの手中にとどまる場合にだけ、Bの損失とCの利得との間に因果関係があるとなすべきではなく、Aが騙取又は横領した金銭をそのままCの利益に使用しようと、あるいはこれを自己の金銭と混同させ又は両替し、あるいは銀行に預入れ、あるいはその一部を他の目的のため費消した後その費消した分を別途工面した金銭によつて補填する等してから、Cのために使用しようと、社会通念上Bの金銭でCの利益をはかつたと認められるだけの連結がある場合には、なお不当利得の成立に必要な因果関係があるものと解すべきであり、また、CがAから右の金銭を受領するにつき悪意又は重大な過失がある場合には、Cの右金銭の取得は、被騙取者又は被横領者たるBに対する関係においては、法律上の原因がなく、不当利得となるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H19 司法 第27問 エ)
AがBから騙取した金銭によりAの債権者Cに対して債務を弁済した場合、Cが騙取の事実を知っていたかどうかにかかわらず、Cの金銭の取得には法律上の原因がある。
AがBから騙取した金銭によりAの債権者Cに対して債務を弁済した場合、Cが騙取の事実を知っていたかどうかにかかわらず、Cの金銭の取得には法律上の原因がある。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭49.9.26)は、本肢と同種の事案において、「CがAから右の金銭を受領するにつき悪意又は重大な過失がある場合には、Cの右金銭の取得は、被騙取者…たるBに対する関係においては、法律上の原因がなく、不当利得となるものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、AがBから騙取した金銭によりAの債権者Cに対して債務を弁済した場合は、Cが騙取の事実について善意無重過失の場合に限って、Cの金銭の取得に法律上の原因があるといえる。
判例(最判昭49.9.26)は、本肢と同種の事案において、「CがAから右の金銭を受領するにつき悪意又は重大な過失がある場合には、Cの右金銭の取得は、被騙取者…たるBに対する関係においては、法律上の原因がなく、不当利得となるものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、AがBから騙取した金銭によりAの債権者Cに対して債務を弁済した場合は、Cが騙取の事実について善意無重過失の場合に限って、Cの金銭の取得に法律上の原因があるといえる。
(H23 司法 第29問 1)
AがBからだまし取った金銭で自己の債権者Cに弁済した場合、Cがこの事実を知らなかったことにつき重大な過失があったとしても、Cが受けた弁済による利益は、Bとの関係で不当利得にはならない。
AがBからだまし取った金銭で自己の債権者Cに弁済した場合、Cがこの事実を知らなかったことにつき重大な過失があったとしても、Cが受けた弁済による利益は、Bとの関係で不当利得にはならない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭49.9.26)は、本肢と同種の事案において、「CがAから右の金銭を受領するにつき悪意又は重大な過失がある場合には、Cの右金銭の取得は、被騙取者…たるBに対する関係においては、法律上の原因がなく、不当利得となるものと解するのが相当である。」と判示している。
判例(最判昭49.9.26)は、本肢と同種の事案において、「CがAから右の金銭を受領するにつき悪意又は重大な過失がある場合には、Cの右金銭の取得は、被騙取者…たるBに対する関係においては、法律上の原因がなく、不当利得となるものと解するのが相当である。」と判示している。
(H26 司法 第28問 エ)
債務者Aが、第三者Bから横領した金銭を自己の金銭と識別することができない状態にした上、その金銭で自己の債権者Cに対する債務の弁済に充てた場合であっても、社会通念上、Bの金銭でCの利益を図ったと認めるに足りる連結があり、CがAの横領を知り、又は知らなかったことについて重大な過失があるときは、Bは、Cに対し、不当利得の返還を請求することができる。
債務者Aが、第三者Bから横領した金銭を自己の金銭と識別することができない状態にした上、その金銭で自己の債権者Cに対する債務の弁済に充てた場合であっても、社会通念上、Bの金銭でCの利益を図ったと認めるに足りる連結があり、CがAの横領を知り、又は知らなかったことについて重大な過失があるときは、Bは、Cに対し、不当利得の返還を請求することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭49.9.26)は、本肢と同種の事案において、「Aが…横領した金銭を…自己の金銭と混同させ又は両替し、あるいは銀行に預入れ、あるいはその一部を他の目的のため費消した後その費消した分を別途工面した金銭によつて補填する等してから、Cのために使用しようと、社会通念上Bの金銭でCの利益をはかつたと認められるだけの連結がある場合には、なお不当利得の成立に必要な因果関係があるものと解すべきであり、また、CがAから右の金銭を受領するにつき悪意又は重大な過失がある場合には、Cの右金銭の取得は、…被横領者たるBに対する関係においては、法律上の原因がなく、不当利得となるものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、本肢においても、社会通念上、Bの金銭でCの利益を図ったと認めるに足りる連結があり、CがAの横領を知り、又は知らなかったことについて重大な過失があるときは、Bは、Cに対し、不当利得の返還を請求することができる。
判例(最判昭49.9.26)は、本肢と同種の事案において、「Aが…横領した金銭を…自己の金銭と混同させ又は両替し、あるいは銀行に預入れ、あるいはその一部を他の目的のため費消した後その費消した分を別途工面した金銭によつて補填する等してから、Cのために使用しようと、社会通念上Bの金銭でCの利益をはかつたと認められるだけの連結がある場合には、なお不当利得の成立に必要な因果関係があるものと解すべきであり、また、CがAから右の金銭を受領するにつき悪意又は重大な過失がある場合には、Cの右金銭の取得は、…被横領者たるBに対する関係においては、法律上の原因がなく、不当利得となるものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、本肢においても、社会通念上、Bの金銭でCの利益を図ったと認めるに足りる連結があり、CがAの横領を知り、又は知らなかったことについて重大な過失があるときは、Bは、Cに対し、不当利得の返還を請求することができる。
(R2 司法 第28問 イ)
第三者からだまし取った金銭を用いて債務が弁済された場合において、第三者からだまし取った金銭を用いて債務者が弁済をしたことを知らなかったことについて債権者に過失があるときは、債権者は、当該第三者に対して不当利得返還義務を負う。
第三者からだまし取った金銭を用いて債務が弁済された場合において、第三者からだまし取った金銭を用いて債務者が弁済をしたことを知らなかったことについて債権者に過失があるときは、債権者は、当該第三者に対して不当利得返還義務を負う。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭49.9.26)は、本肢と同種の事案において、「CがAから右の金銭を受領するにつき悪意又は重大な過失がある場合には、Cの右金銭の取得は、被騙取者又は被横領者たるBに対する関係においては、法律上の原因がなく、不当利得となるものと解するのが相当である。」と判示している。本肢においては、第三者からだまし取った金銭を用いて債務者が弁済をしたことを知らなかったことについて債権者に過失があるに過ぎず、重大な過失がないから、債権者は、当該第三者に対して不当利得返還義務を負わない。
判例(最判昭49.9.26)は、本肢と同種の事案において、「CがAから右の金銭を受領するにつき悪意又は重大な過失がある場合には、Cの右金銭の取得は、被騙取者又は被横領者たるBに対する関係においては、法律上の原因がなく、不当利得となるものと解するのが相当である。」と判示している。本肢においては、第三者からだまし取った金銭を用いて債務者が弁済をしたことを知らなかったことについて債権者に過失があるに過ぎず、重大な過失がないから、債権者は、当該第三者に対して不当利得返還義務を負わない。
総合メモ
建物賃借人の無資力と不当利得の返還請求 最三小判平成7年9月19日
概要
請負人が建物賃借人との間の請負契約に基づき建物の修繕工事をしたところ、その後建物賃借人が無資力になったため、請負人の建物賃借人に対する請負代金債権の全部又は一部が無価値である場合において、同建物の所有者が法律上の原因なくして当該修繕工事に要した財産及び労務の提供に相当する利益を受けたということができるのは、建物所有者と建物賃借人との間の賃貸借契約を全体としてみて、建物所有者が対価関係なしに利益を受けたときに限られる。
判例
事案:請負人が建物賃借人との間の請負契約に基づき建物の修繕工事をしたところ、その後建物賃借人が無資力になったため、請負人の建物賃借人に対する請負代金債権の全部又は一部が無価値である場合において、請負人が建物所有者に対して不当利得返還請求をすることができるかが問題となった。
判旨:「Bが建物賃借人Aとの間の請負契約に基づき右建物の修繕工事をしたところ、その後Aが無資力になったため、BのAに対する請負代金債権の全部又は一部が無価値である場合において、右建物の所有者Cが法律上の原因なくして右修繕工事に要した財産及び労務の提供に相当する利益を受けたということができるのは、CとAとの間の賃貸借契約を全体としてみて、Cが対価関係なしに右利益を受けたときに限られるものと解するのが相当である。けだし、CがAとの間の賃貸借契約において何らかの形で右利益に相応する出捐ないし負担をしたときは、Cの受けた右利益は法律上の原因に基づくものというべきであり、BがCに対して右利益につき不当利得としてその返還を請求することができるとするのは、Cに二重の負担を強いる結果となるからである。」
判旨:「Bが建物賃借人Aとの間の請負契約に基づき右建物の修繕工事をしたところ、その後Aが無資力になったため、BのAに対する請負代金債権の全部又は一部が無価値である場合において、右建物の所有者Cが法律上の原因なくして右修繕工事に要した財産及び労務の提供に相当する利益を受けたということができるのは、CとAとの間の賃貸借契約を全体としてみて、Cが対価関係なしに右利益を受けたときに限られるものと解するのが相当である。けだし、CがAとの間の賃貸借契約において何らかの形で右利益に相応する出捐ないし負担をしたときは、Cの受けた右利益は法律上の原因に基づくものというべきであり、BがCに対して右利益につき不当利得としてその返還を請求することができるとするのは、Cに二重の負担を強いる結果となるからである。」
過去問・解説
(H19 司法 第27問 ウ)
建物賃借人Aとの間の請負契約に基づき、請負人Bが建物の修繕工事をした場合において、Aが請負代金を支払わないまま無資力になったときは、建物の所有者Cは、法律上の原因なくして利益を受けたことになる。
建物賃借人Aとの間の請負契約に基づき、請負人Bが建物の修繕工事をした場合において、Aが請負代金を支払わないまま無資力になったときは、建物の所有者Cは、法律上の原因なくして利益を受けたことになる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平7.9.19)は、本肢と同種の事案において、「Bが建物賃借人Aとの間の請負契約に基づき右建物の修繕工事をしたところ、その後Aが無資力になったため、BのAに対する請負代金債権の全部又は一部が無価値である場合において、右建物の所有者Cが法律上の原因なくして右修繕工事に要した財産及び労務の提供に相当する利益を受けたということができるのは、CとAとの間の賃貸借契約を全体としてみて、Cが対価関係なしに右利益を受けたときに限られるものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、建物賃借人Aとの間の請負契約に基づき、請負人Bが建物の修繕工事をした場合において、Aが請負代金を支払わないまま無資力になったときは、建物の所有者Cは、CとAとの間の賃貸借契約を全体としてみて、Cが対価関係なしに利益を受けたといえる場合に限って、法律上の原因なくして利益を受けたことになる。
判例(最判平7.9.19)は、本肢と同種の事案において、「Bが建物賃借人Aとの間の請負契約に基づき右建物の修繕工事をしたところ、その後Aが無資力になったため、BのAに対する請負代金債権の全部又は一部が無価値である場合において、右建物の所有者Cが法律上の原因なくして右修繕工事に要した財産及び労務の提供に相当する利益を受けたということができるのは、CとAとの間の賃貸借契約を全体としてみて、Cが対価関係なしに右利益を受けたときに限られるものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、建物賃借人Aとの間の請負契約に基づき、請負人Bが建物の修繕工事をした場合において、Aが請負代金を支払わないまま無資力になったときは、建物の所有者Cは、CとAとの間の賃貸借契約を全体としてみて、Cが対価関係なしに利益を受けたといえる場合に限って、法律上の原因なくして利益を受けたことになる。
(H28 司法 第28問 ウ)
建物賃借人との間の請負契約に基づき、請負人が建物の修繕工事をしたが、建物賃借人が請負代金を支払わないまま無資力となった場合において、建物賃貸借契約に建物の修繕工事の費用は建物賃借人が負担するとの特約があるときは、建物賃貸人である建物所有者が対価関係なしにその工事に要した財産及び労務の提供に相当する利益を受けたかどうかにかかわらず、建物所有者は、法律上の原因なくしてその利益を受けたことになる。
建物賃借人との間の請負契約に基づき、請負人が建物の修繕工事をしたが、建物賃借人が請負代金を支払わないまま無資力となった場合において、建物賃貸借契約に建物の修繕工事の費用は建物賃借人が負担するとの特約があるときは、建物賃貸人である建物所有者が対価関係なしにその工事に要した財産及び労務の提供に相当する利益を受けたかどうかにかかわらず、建物所有者は、法律上の原因なくしてその利益を受けたことになる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平7.9.19)は、本肢と同種の事案において、「Bが建物賃借人Aとの間の請負契約に基づき右建物の修繕工事をしたところ、その後Aが無資力になったため、BのAに対する請負代金債権の全部又は一部が無価値である場合において、右建物の所有者Cが法律上の原因なくして右修繕工事に要した財産及び労務の提供に相当する利益を受けたということができるのは、CとAとの間の賃貸借契約を全体としてみて、Cが対価関係なしに右利益を受けたときに限られるものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、建物賃貸借契約に建物の修繕工事の費用は建物賃借人が負担するとの特約があったとしても、建物賃貸人である建物所有者が対価関係なしにその工事に要した財産及び労務の提供に相当する利益を受けたといえる場合でなければ、建物所有者は、法律上の原因なくしてその利益を受けたことにはならない。
判例(最判平7.9.19)は、本肢と同種の事案において、「Bが建物賃借人Aとの間の請負契約に基づき右建物の修繕工事をしたところ、その後Aが無資力になったため、BのAに対する請負代金債権の全部又は一部が無価値である場合において、右建物の所有者Cが法律上の原因なくして右修繕工事に要した財産及び労務の提供に相当する利益を受けたということができるのは、CとAとの間の賃貸借契約を全体としてみて、Cが対価関係なしに右利益を受けたときに限られるものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、建物賃貸借契約に建物の修繕工事の費用は建物賃借人が負担するとの特約があったとしても、建物賃貸人である建物所有者が対価関係なしにその工事に要した財産及び労務の提供に相当する利益を受けたといえる場合でなければ、建物所有者は、法律上の原因なくしてその利益を受けたことにはならない。
総合メモ
不動産の共有者の不当利得返還請求及び損害賠償請求 最二小判平成12年4月7日
概要
不動産の共有者は、当該不動産を単独で占有することができる権原がないにもかかわらず、当該不動産を単独で占有している他の共有者に対し、自己の持分割合に応じて、占有部分にかかる地代相当額の不当利得返還請求をすることができる。
判例
事案:不動産の共有者の1人が、当該不動産を単独で占有することができる権限がないのに当該不動産を単独で占有している他の共有者に対して、不当利得返還請求をすることができるかが問題となった。
判旨:「B1及びB2が共有物である本件各土地の各一部を単独で占有することができる権原につき特段の主張、立証のない本件においては、Aは、右占有によりAの持分に応じた使用が妨げられているとして、右両名に対して、持分割合に応じて占有部分に係る地代相当額の不当利得金ないし損害賠償金の支払を請求することはできるものと解すべきである。」
判旨:「B1及びB2が共有物である本件各土地の各一部を単独で占有することができる権原につき特段の主張、立証のない本件においては、Aは、右占有によりAの持分に応じた使用が妨げられているとして、右両名に対して、持分割合に応じて占有部分に係る地代相当額の不当利得金ないし損害賠償金の支払を請求することはできるものと解すべきである。」
過去問・解説
(H19 司法 第27問 オ)
不動産の共有者は、当該不動産を単独で占有することができる権原がないのに単独で占有している他の共有者に対し、持分割合に応じて賃料相当額の不当利得返還請求をすることができる。
不動産の共有者は、当該不動産を単独で占有することができる権原がないのに単独で占有している他の共有者に対し、持分割合に応じて賃料相当額の不当利得返還請求をすることができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平12.4.7)は、不動産の共有者は、当該不動産を単独で占有することができる権原がないにもかかわらず、当該不動産を単独で占有している他の共有者に対し、自己の持分割合に応じて、占有部分にかかる地代相当額の不当利得返還請求をすることができる旨判示している。
判例(最判平12.4.7)は、不動産の共有者は、当該不動産を単独で占有することができる権原がないにもかかわらず、当該不動産を単独で占有している他の共有者に対し、自己の持分割合に応じて、占有部分にかかる地代相当額の不当利得返還請求をすることができる旨判示している。
(H24 共通 第35問 2)
甲建物を所有していたAが死亡し、Aには子B、C及びDがいるが、遺産分割は未了である。BがAの死亡後新たに甲建物で居住を開始し、C及びDに甲建物を使用させない場合、C及びDは、甲建物に現実に居住する意思がないときでも、Bに対し、持分の割合に応じた使用料相当額を不当利得として返還請求することができる。
甲建物を所有していたAが死亡し、Aには子B、C及びDがいるが、遺産分割は未了である。BがAの死亡後新たに甲建物で居住を開始し、C及びDに甲建物を使用させない場合、C及びDは、甲建物に現実に居住する意思がないときでも、Bに対し、持分の割合に応じた使用料相当額を不当利得として返還請求することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平12.4.7)は、本肢と同種の事案において、不動産の共有者は、当該不動産を単独で占有することができる権原がないにもかかわらず、当該不動産を単独で占有している他の共有者に対し、自己の持分割合に応じて、占有部分にかかる地代相当額の不当利得返還請求をすることができる旨判示している。本肢においては、甲建物を所有していたAが死亡し、Aには子B、C及びDがいるが、遺産分割は未了であるという場合、B、C及びDは、甲建物をそれぞれ3分の1の持分割合で共有しているといえる(900条4号、898条1項、249条以下参照)。そうすると、BがAの死亡後新たに甲建物で居住を開始し、C及びDに甲建物を使用させない場合、C及びDは、Bに対し、持分の割合に応じた使用料相当額を不当利得として返還請求することができる。なお、Bが単独で甲建物に居住をしている時点で、C及びDに「損失」(703条)が生じるから、C及びDに、甲建物に現実に居住する意思がないことは、不当利得返還請求の可否に影響を及ぼさない。
判例(最判平12.4.7)は、本肢と同種の事案において、不動産の共有者は、当該不動産を単独で占有することができる権原がないにもかかわらず、当該不動産を単独で占有している他の共有者に対し、自己の持分割合に応じて、占有部分にかかる地代相当額の不当利得返還請求をすることができる旨判示している。本肢においては、甲建物を所有していたAが死亡し、Aには子B、C及びDがいるが、遺産分割は未了であるという場合、B、C及びDは、甲建物をそれぞれ3分の1の持分割合で共有しているといえる(900条4号、898条1項、249条以下参照)。そうすると、BがAの死亡後新たに甲建物で居住を開始し、C及びDに甲建物を使用させない場合、C及びDは、Bに対し、持分の割合に応じた使用料相当額を不当利得として返還請求することができる。なお、Bが単独で甲建物に居住をしている時点で、C及びDに「損失」(703条)が生じるから、C及びDに、甲建物に現実に居住する意思がないことは、不当利得返還請求の可否に影響を及ぼさない。
(H27 司法 第9問 ウ)
Aが3分の1、Bが3分の2の持分で甲土地を共有している。Aに無断でBが甲土地上に乙建物を建て、甲土地全体を単独で使用している場合、Aは、Bに対し、自己の持分割合に応じ、甲土地の地代相当額の支払を請求することができる。
Aが3分の1、Bが3分の2の持分で甲土地を共有している。Aに無断でBが甲土地上に乙建物を建て、甲土地全体を単独で使用している場合、Aは、Bに対し、自己の持分割合に応じ、甲土地の地代相当額の支払を請求することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平12.4.7)は、不動産の共有者は、当該不動産を単独で占有することができる権原がないにもかかわらず、当該不動産を単独で占有している他の共有者に対し、自己の持分割合に応じて、占有部分にかかる地代相当額の不当利得返還請求をすることができる旨判示している。したがって、Aに無断でBが甲土地上に乙建物を建て、甲土地全体を単独で使用している場合、Aは、Bに対し、自己の持分割合に応じ、甲土地の地代相当額の支払を請求することができる。
判例(最判平12.4.7)は、不動産の共有者は、当該不動産を単独で占有することができる権原がないにもかかわらず、当該不動産を単独で占有している他の共有者に対し、自己の持分割合に応じて、占有部分にかかる地代相当額の不当利得返還請求をすることができる旨判示している。したがって、Aに無断でBが甲土地上に乙建物を建て、甲土地全体を単独で使用している場合、Aは、Bに対し、自己の持分割合に応じ、甲土地の地代相当額の支払を請求することができる。
総合メモ
第三者所有の不動産に設定された抵当権が不存在であるにもかかわらず当該抵当権の実行により債権者に対してされた弁済金の交付と不当利得の成否 最二小判昭和63年7月1日
概要
債権者が第三者所有の不動産の上に設定を受けた抵当権が不存在であるにもかかわらず、抵当権の実行により第三者が不動産の所有権を喪失したときは、当該第三者は、売却代金から弁済金の交付を受けた債権者に対し、703条の規定に基づいて不当利得返還請求権を有する。
判例
事案:第三者所有の不動産に設定された抵当権が不存在であるにもかかわらず、抵当権の実行により弁済金の交付を受けた債権者がある場合において、当該第三者が当該債権者に対して不当利得返還請求をすることができるかが問題となった。
判旨:「債権者が第三者所有の不動産のうえに設定を受けた根抵当権が不存在であるにもかかわらず、その根抵当権の実行による競売の結果、買受人の代金納付により右第三者が不動産の所有権を喪失したときは、その第三者は、売却代金から弁済金の交付を受けた債権者に対し民法703条の規定に基づく不当利得返還請求権を有するものと解するのが相当である。けだし、右債権者は、競売の基礎である根抵当権が存在せず、根抵当権の実行による売却代金からの弁済金の交付を受けうる実体上の権利がないにもかかわらず、その交付を受けたことになり、すなわち、その者は、法律上の原因なくして第三者に属する財産から利益を受け、そのために第三者に損失を及ぼしたものというべきだからである。」
判旨:「債権者が第三者所有の不動産のうえに設定を受けた根抵当権が不存在であるにもかかわらず、その根抵当権の実行による競売の結果、買受人の代金納付により右第三者が不動産の所有権を喪失したときは、その第三者は、売却代金から弁済金の交付を受けた債権者に対し民法703条の規定に基づく不当利得返還請求権を有するものと解するのが相当である。けだし、右債権者は、競売の基礎である根抵当権が存在せず、根抵当権の実行による売却代金からの弁済金の交付を受けうる実体上の権利がないにもかかわらず、その交付を受けたことになり、すなわち、その者は、法律上の原因なくして第三者に属する財産から利益を受け、そのために第三者に損失を及ぼしたものというべきだからである。」
過去問・解説
(H26 司法 第28問 ウ)
債権者Aが債務者Bに対する債権を被担保債権としてC所有の不動産の上に抵当権の設定を受けたが、当該抵当権は、Bが権限なくCを代理して設定したものであった場合、その抵当権の実行により不動産の所有権を喪失したCは、抵当権の実行手続において配当を受けたAに対し、不当利得の返還を請求することはできない。
債権者Aが債務者Bに対する債権を被担保債権としてC所有の不動産の上に抵当権の設定を受けたが、当該抵当権は、Bが権限なくCを代理して設定したものであった場合、その抵当権の実行により不動産の所有権を喪失したCは、抵当権の実行手続において配当を受けたAに対し、不当利得の返還を請求することはできない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭63.7.1)は、「債権者が第三者所有の不動産のうえに設定を受けた根抵当権が不存在であるにもかかわらず、その根抵当権の実行による競売の結果、買受人の代金納付により右第三者が不動産の所有権を喪失したときは、その第三者は、売却代金から弁済金の交付を受けた債権者に対し民法703条の規定に基づく不当利得返還請求権を有するものと解するのが相当である。」と判示している。本肢においては、債権者Aが債務者Bに対する債権を被担保債権としてC所有の不動産の上に抵当権の設定を受けたが、当該抵当権は、Bが権限なくCを代理して設定したものであるから、当該抵当権は無権代理行為により設定されたものといえ、Cに効果帰属せず(113条1項)、当該抵当権は不存在であるといえる。したがって、その抵当権の実行により不動産の所有権を喪失したCは、抵当権の実行手続において配当を受けたAに対し、不当利得の返還を請求することができる。
判例(最判昭63.7.1)は、「債権者が第三者所有の不動産のうえに設定を受けた根抵当権が不存在であるにもかかわらず、その根抵当権の実行による競売の結果、買受人の代金納付により右第三者が不動産の所有権を喪失したときは、その第三者は、売却代金から弁済金の交付を受けた債権者に対し民法703条の規定に基づく不当利得返還請求権を有するものと解するのが相当である。」と判示している。本肢においては、債権者Aが債務者Bに対する債権を被担保債権としてC所有の不動産の上に抵当権の設定を受けたが、当該抵当権は、Bが権限なくCを代理して設定したものであるから、当該抵当権は無権代理行為により設定されたものといえ、Cに効果帰属せず(113条1項)、当該抵当権は不存在であるといえる。したがって、その抵当権の実行により不動産の所有権を喪失したCは、抵当権の実行手続において配当を受けたAに対し、不当利得の返還を請求することができる。
総合メモ
銀行が相続財産である預金債権の全額を共同相続人の一部に払い戻した場合についての「損失」(703条) 最二小判平成17年7月11日
概要
相続財産である預金債権について、一部の共同相続人が銀行から、他の共同相続人の法定相続分相当額の預金についてもこれを受領する権限がなかったにもかかわらず払戻しを受け、当該払戻しが478条の要件を満たす弁済に当たるという事情もない場合においては、銀行は、当該払戻しをした時点において、当該他の共同相続人の法定相続分相当額の金員について、当該払戻しを受けた相続人らに対する不当利得返還請求権を取得する。
判例
事案:相続財産である預金債権について、一部の共同相続人が銀行から、他の共同相続人の法定相続分相当額の預金についてもこれを受領する権限がなかったにもかかわらず払戻しを受け、当該払戻しが478条の要件を満たす弁済に当たるという事情もない場合において、銀行が、当該払戻しをした時点において、当該他の共同相続人の法定相続分相当額の金員について、当該払戻しを受けた相続人らに対する不当利得返還請求権を取得するかが問題となった。
判旨:「Aらは、本件預金のうちCの法定相続分相当額の預金については、これを受領する権限がなかったにもかかわらず、払戻しを受けたものであり、また、この払戻しが債権の準占有者に対する弁済に当たるということもできないというのである。そうすると、本件払戻しのうちCの法定相続分相当額の預金の払戻しは弁済としての効力がなく、Cは、本件預金債権のうち自己の法定相続分に相当する預金債権を失わないことになる。したがって、Aは、本件払戻しをしたことにより、本件預金のうちCの法定相続分に相当する金員の損失を被ったことは明らかである。そして、本件払戻しによりAらがCの法定相続分に相当する金員を利得したこと、Aらの利得については法律上の原因が存在しないこともまた明らかである。したがって、Bは、Aらに対し、本件払戻しをした時点において、本件預金のうち己の法定相続分に相当する金員について、Aらに対する不当利得返還請求権を取得したものというべきである。」
判旨:「Aらは、本件預金のうちCの法定相続分相当額の預金については、これを受領する権限がなかったにもかかわらず、払戻しを受けたものであり、また、この払戻しが債権の準占有者に対する弁済に当たるということもできないというのである。そうすると、本件払戻しのうちCの法定相続分相当額の預金の払戻しは弁済としての効力がなく、Cは、本件預金債権のうち自己の法定相続分に相当する預金債権を失わないことになる。したがって、Aは、本件払戻しをしたことにより、本件預金のうちCの法定相続分に相当する金員の損失を被ったことは明らかである。そして、本件払戻しによりAらがCの法定相続分に相当する金員を利得したこと、Aらの利得については法律上の原因が存在しないこともまた明らかである。したがって、Bは、Aらに対し、本件払戻しをした時点において、本件預金のうち己の法定相続分に相当する金員について、Aらに対する不当利得返還請求権を取得したものというべきである。」
過去問・解説
(H26 司法 第28問 イ)
A銀行は、Bに帰属している預金を誤ってC及びDに払い戻したものの、その払戻しについて過失があった場合、その預金について、Bへの払戻しをしていないときでも、C及びDに対し、支払った金員の返還を請求することができる。
A銀行は、Bに帰属している預金を誤ってC及びDに払い戻したものの、その払戻しについて過失があった場合、その預金について、Bへの払戻しをしていないときでも、C及びDに対し、支払った金員の返還を請求することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平17.7.11)は、相続財産である預金債権について、一部の共同相続人が銀行から、他の共同相続人の法定相続分相当額の預金についてもこれを受領する権限がなかったにもかかわらず払戻しを受け、当該払戻しが478条の要件を満たす弁済に当たるという事情もない場合においては、銀行は、当該払戻しをした時点において、当該他の共同相続人の法定相続分相当額の金員について、当該払戻しを受けた相続人らに対する不当利得返還請求権を取得する旨判示している。したがって、A銀行は、Bに帰属している預金を誤ってC及びDに払い戻したものの、その払戻しについて過失があった場合、C及びDは当該預金の払い戻しを受ける権限がなかったにもかかわらず払い戻しを受けており、当該払戻しが478条の要件を満たす弁済に当たるという事情もない場合に当たるから、その預金について、Bへの払戻しをしていないときでも、C及びDに対し、不当利得返還請求により、支払った金員の返還を請求することができる。
判例(最判平17.7.11)は、相続財産である預金債権について、一部の共同相続人が銀行から、他の共同相続人の法定相続分相当額の預金についてもこれを受領する権限がなかったにもかかわらず払戻しを受け、当該払戻しが478条の要件を満たす弁済に当たるという事情もない場合においては、銀行は、当該払戻しをした時点において、当該他の共同相続人の法定相続分相当額の金員について、当該払戻しを受けた相続人らに対する不当利得返還請求権を取得する旨判示している。したがって、A銀行は、Bに帰属している預金を誤ってC及びDに払い戻したものの、その払戻しについて過失があった場合、C及びDは当該預金の払い戻しを受ける権限がなかったにもかかわらず払い戻しを受けており、当該払戻しが478条の要件を満たす弁済に当たるという事情もない場合に当たるから、その預金について、Bへの払戻しをしていないときでも、C及びDに対し、不当利得返還請求により、支払った金員の返還を請求することができる。
総合メモ
704条後段の規定の趣旨 最二小判平成21年11月9日
概要
704条後段の規定は、悪意の受益者が不法行為の要件を充足する限りにおいて不法行為責任を負うことを注意的に規定したものにすぎず、悪意の受益者に対して不法行為責任とは異なる特別の責任を負わせたものではない。
判例
事案:704条後段の規定が、悪意の受益者に対して不法行為責任とは異なる特別の責任を負わせたものかが問題となった。
判旨:「不当利得制度は、ある人の財産的利得が法律上の原因ないし正当な理由を欠く場合に、法律が公平の観念に基づいて受益者にその利得の返還義務を負担させるものであり(最高裁昭和45年(オ)第540号同49年9月26日第一小法廷判決・民集28巻6号1243頁参照)、不法行為に基づく損害賠償制度が、被害者に生じた現実の損害を金銭的に評価し、加害者にこれを賠償させることにより、被害者が被った不利益を補てんして、不法行為がなかったときの状態に回復させることを目的とするものである(最高裁昭和63年(オ)第1749号平成5年3月24日大法廷判決・民集47巻4号3039頁参照)のとは、その趣旨を異にする。不当利得制度の下において受益者の受けた利益を超えて損失者の被った損害まで賠償させることは同制度の趣旨とするところとは解し難い。したがって、民法704条後段の規定は、悪意の受益者が不法行為の要件を充足する限りにおいて、不法行為責任を負うことを注意的に規定したものにすぎず、悪意の受益者に対して不法行為責任とは異なる特別の責任を負わせたものではないと解するのが相当である。」
判旨:「不当利得制度は、ある人の財産的利得が法律上の原因ないし正当な理由を欠く場合に、法律が公平の観念に基づいて受益者にその利得の返還義務を負担させるものであり(最高裁昭和45年(オ)第540号同49年9月26日第一小法廷判決・民集28巻6号1243頁参照)、不法行為に基づく損害賠償制度が、被害者に生じた現実の損害を金銭的に評価し、加害者にこれを賠償させることにより、被害者が被った不利益を補てんして、不法行為がなかったときの状態に回復させることを目的とするものである(最高裁昭和63年(オ)第1749号平成5年3月24日大法廷判決・民集47巻4号3039頁参照)のとは、その趣旨を異にする。不当利得制度の下において受益者の受けた利益を超えて損失者の被った損害まで賠償させることは同制度の趣旨とするところとは解し難い。したがって、民法704条後段の規定は、悪意の受益者が不法行為の要件を充足する限りにおいて、不法行為責任を負うことを注意的に規定したものにすぎず、悪意の受益者に対して不法行為責任とは異なる特別の責任を負わせたものではないと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H28 司法 第28問 オ)
不当利得における悪意の受益者は、損失を被った者に対してその受けた利益に利息を付して返還しなければならないが、その者になお損害があるときは、不法行為の要件を充足していないとしても、その者に対してその損害を賠償しなければならない。
不当利得における悪意の受益者は、損失を被った者に対してその受けた利益に利息を付して返還しなければならないが、その者になお損害があるときは、不法行為の要件を充足していないとしても、その者に対してその損害を賠償しなければならない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平21.11.9)は、「民法704条後段の規定は、悪意の受益者が不法行為の要件を充足する限りにおいて、不法行為責任を負うことを注意的に規定したものにすぎず、悪意の受益者に対して不法行為責任とは異なる特別の責任を負わせたものではないと解するのが相当である。」と判示している。
そして、704条は、「悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。」と規定している。そうすると、悪意の受益者が704条後段により損害賠償責任を負うのは、不法行為の要件を充足している場合に限られるといえる。
したがって、不当利得における悪意の受益者は、損失を被った者に対してその受けた利益に利息を付して返還しなければならないが、その者になお損害があるときは、当該受益者は、不法行為の要件を充足する場合に限って、704条後段により、その者に対してその損害を賠償しなければならない。
判例(最判平21.11.9)は、「民法704条後段の規定は、悪意の受益者が不法行為の要件を充足する限りにおいて、不法行為責任を負うことを注意的に規定したものにすぎず、悪意の受益者に対して不法行為責任とは異なる特別の責任を負わせたものではないと解するのが相当である。」と判示している。
そして、704条は、「悪意の受益者は、その受けた利益に利息を付して返還しなければならない。この場合において、なお損害があるときは、その賠償の責任を負う。」と規定している。そうすると、悪意の受益者が704条後段により損害賠償責任を負うのは、不法行為の要件を充足している場合に限られるといえる。
したがって、不当利得における悪意の受益者は、損失を被った者に対してその受けた利益に利息を付して返還しなければならないが、その者になお損害があるときは、当該受益者は、不法行為の要件を充足する場合に限って、704条後段により、その者に対してその損害を賠償しなければならない。
総合メモ
統制額を超える賃料債権の支払いと705条適用の成否 最二小判昭和35年5月6日
概要
705条にいう「債務の弁済」は、給付が任意になされたものであることを要するから、家屋の賃料が地代家賃統制令による統制額を超えるものであることを知りながら、将来の債務不履行による責任を問われることをおそれ、賃借人が「後日超過部分については、返還請求をなすべき」旨を特に留保して、やむをえず賃貸人の請求する金額の支払いをした場合、同条は適用されず、賃借人は、賃貸人に対して支払った金額の不当利得返還請求をすることができる。
判例
事案:家屋の賃料が地代家賃統制令による統制額を超えるものであることを知りながら、将来の債務不履行による責任を問われることをおそれ、賃借人が「後日超過部分については、返還請求をなすべき」旨を特に留保して、やむをえず約定賃料の支払いをした場合において、当該支払いが705条にいう「債務の弁済」に当たるかが問題となった。
判旨:「昭和24年10月1日から昭和25年7月31日までの賃料については、被上告人は約定賃料額の請求を拒否して来たが、昭和25年7月にいたり上告人から内容証明郵便による支払の催告をうけたので、その統制額を超えるものであることを熟知しながらも、将来の債務不履行による責を問われることあるべきをおそれ、「後日超過部分については、返還請求をなすべき」旨を特に留保して、やむをえず上告人の請求する金額を支払つた事実…関係によれば、本件においては、民法705条はその適用を見ないものと認めるのが相当である。けだし、同条にいう「債務ノ弁済」は、給付が任意になされたものであることを要するところ(大正6年12月11日大審院民事判決録23輯2075頁参照)、被上告人は後日の返還請求を留保し、やむをえず弁済をしたものであつて、右給付は任意になされたものということはできないからである。
判旨:「昭和24年10月1日から昭和25年7月31日までの賃料については、被上告人は約定賃料額の請求を拒否して来たが、昭和25年7月にいたり上告人から内容証明郵便による支払の催告をうけたので、その統制額を超えるものであることを熟知しながらも、将来の債務不履行による責を問われることあるべきをおそれ、「後日超過部分については、返還請求をなすべき」旨を特に留保して、やむをえず上告人の請求する金額を支払つた事実…関係によれば、本件においては、民法705条はその適用を見ないものと認めるのが相当である。けだし、同条にいう「債務ノ弁済」は、給付が任意になされたものであることを要するところ(大正6年12月11日大審院民事判決録23輯2075頁参照)、被上告人は後日の返還請求を留保し、やむをえず弁済をしたものであつて、右給付は任意になされたものということはできないからである。
過去問・解説
(H26 司法 第28問 ア)
Aが公正証書を債務名義としてBの財産に強制執行をしようとしている場合、Bは、その強制執行に係る債務を既に弁済したことを知りつつ、後日返還を請求する旨を留保して、強制執行を避けるためやむを得ずAに債務の弁済として金員を支払ったときは、Aに対し、その金員の返還を請求することはできない。
Aが公正証書を債務名義としてBの財産に強制執行をしようとしている場合、Bは、その強制執行に係る債務を既に弁済したことを知りつつ、後日返還を請求する旨を留保して、強制執行を避けるためやむを得ずAに債務の弁済として金員を支払ったときは、Aに対し、その金員の返還を請求することはできない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭35.5.6)は、家屋の賃料が地代家賃統制令による統制額を超えるものであることを知りながら、将来の債務不履行による責任を問われることをおそれ、賃借人が「後日超過部分については、返還請求をなすべき」旨を特に留保して、やむをえず賃貸人の請求する金額の支払いをしたという事案において、705条にいう「債務の弁済」は、給付が任意になされたものであることを要するから、同条は適用されない旨判示している。そして、同条は、「債務の弁済として給付をした者は、その時において債務の存在しないことを知っていたときは、その給付したものの返還を請求することができない。」と規定している。
本肢においても、Bは、その強制執行に係る債務を既に弁済したことを知りつつ、後日返還を請求する旨を留保して、強制執行を避けるためやむを得ずAに債務の弁済として金員を支払ったのであるから、当該支払いは任意にされたものとはいえず、705条は適用されない。よって、Bは、Aに対し、その金員の返還を請求することができる。
判例(最判昭35.5.6)は、家屋の賃料が地代家賃統制令による統制額を超えるものであることを知りながら、将来の債務不履行による責任を問われることをおそれ、賃借人が「後日超過部分については、返還請求をなすべき」旨を特に留保して、やむをえず賃貸人の請求する金額の支払いをしたという事案において、705条にいう「債務の弁済」は、給付が任意になされたものであることを要するから、同条は適用されない旨判示している。そして、同条は、「債務の弁済として給付をした者は、その時において債務の存在しないことを知っていたときは、その給付したものの返還を請求することができない。」と規定している。
本肢においても、Bは、その強制執行に係る債務を既に弁済したことを知りつつ、後日返還を請求する旨を留保して、強制執行を避けるためやむを得ずAに債務の弁済として金員を支払ったのであるから、当該支払いは任意にされたものとはいえず、705条は適用されない。よって、Bは、Aに対し、その金員の返還を請求することができる。
総合メモ
不法原因給付と不法性の認識 大判大正8年9月15日
概要
給付行為が不法な原因に基づくものであり、その不法が受益者についてのみ存する場合でなければ、当事者が当該給付の違法性を認識していなかったとしても、当該給付は不法原因給付といえる。
判例
事案:当事者が給付の不法性を認識していない場合においても、不法原因給付が成立するかが問題となった。
判旨:「民法第708条ニ於テ不法ノ原因ノ為メ給付ヲ為シタル者ハ其給付シタルモノノ返還ヲ請求スルコトヲ得ストナシタル所以ノモノハ若シ之ヲ許容スルトキハ公序良俗ニ反スル事項ヲ有効ト認ムルニ至リ為メニ法律ノ目的トスル所ニ反スルニ至レハナリ然ラハ其給付行為カ不法ノ原因ニ基ク以上ハ其不法カ受益者ニ付テノミ存スル場合ノ外ハ当事者カ其不法ナルコトヲ知ルト知ラサルトニ論ナク之カ返還ヲ請求スルコトヲ得サルモノト謂ハサルヘカラス。」
判旨:「民法第708条ニ於テ不法ノ原因ノ為メ給付ヲ為シタル者ハ其給付シタルモノノ返還ヲ請求スルコトヲ得ストナシタル所以ノモノハ若シ之ヲ許容スルトキハ公序良俗ニ反スル事項ヲ有効ト認ムルニ至リ為メニ法律ノ目的トスル所ニ反スルニ至レハナリ然ラハ其給付行為カ不法ノ原因ニ基ク以上ハ其不法カ受益者ニ付テノミ存スル場合ノ外ハ当事者カ其不法ナルコトヲ知ルト知ラサルトニ論ナク之カ返還ヲ請求スルコトヲ得サルモノト謂ハサルヘカラス。」
過去問・解説
(H19 司法 第28問 1)
不法原因給付というためには、当事者が給付の不法性を認識しているか又は認識の可能性があることが必要である。
不法原因給付というためには、当事者が給付の不法性を認識しているか又は認識の可能性があることが必要である。
(正答)✕
(解説)
判例(大判大8.9.15)は、給付行為が不法な原因に基づくものであり、その不法が受益者についてのみ存する場合でなければ、当事者が当該給付の違法性を認識していなかったとしても、当該給付は不法原因給付といえる旨判示している。したがって、給付行為が客観的に不法であれば、当事者の主観的事情にかかわらず不法原因給付は成立すると解されるため、不法原因給付というためには、当事者が給付の不法性を認識しているか又は認識の可能性があることは必要ない。
判例(大判大8.9.15)は、給付行為が不法な原因に基づくものであり、その不法が受益者についてのみ存する場合でなければ、当事者が当該給付の違法性を認識していなかったとしても、当該給付は不法原因給付といえる旨判示している。したがって、給付行為が客観的に不法であれば、当事者の主観的事情にかかわらず不法原因給付は成立すると解されるため、不法原因給付というためには、当事者が給付の不法性を認識しているか又は認識の可能性があることは必要ない。
総合メモ
不法原因給付と返還の特約 最一小判昭和28年1月22日
概要
不法原因給付に当たる給付を受けた受領者が、給付を受けた物を当該給付をした者に対して任意に返還すること、不法原因契約を合意の上解除してその給付した物を返還する特約をすることは許される。
判例
事案:不法原因給付に当たる給付を受けた受領者が、給付を受けた物を当該給付をした者に対して任意に返還すること、不法原因契約を合意の上解除してその給付した物を返還する特約をすることが許されるかが問題となった。
判旨:「元来同条(注:708条)が不法の原因のため給付をした者にその給付したものの返還を請求することを得ないものとしたのは、かかる給付者の返還請求に法律上の保護を与えないというだけであつて、受領者をしてその給付を受けたものを法律上正当の原因があつたものとして保留せしめる趣旨ではない。従つて、受領者においてその給付を受けたものをその給付を為した者に対し任意返還することは勿論、曩に給付を受けた不法原因契約を合意の上解除してその給付を返還する特約をすることは、同条の禁ずるところでないものと解するを相当とする。そして、かゝる特約が民法90条により無效であると解することのできないことも多言を要しない。」
判旨:「元来同条(注:708条)が不法の原因のため給付をした者にその給付したものの返還を請求することを得ないものとしたのは、かかる給付者の返還請求に法律上の保護を与えないというだけであつて、受領者をしてその給付を受けたものを法律上正当の原因があつたものとして保留せしめる趣旨ではない。従つて、受領者においてその給付を受けたものをその給付を為した者に対し任意返還することは勿論、曩に給付を受けた不法原因契約を合意の上解除してその給付を返還する特約をすることは、同条の禁ずるところでないものと解するを相当とする。そして、かゝる特約が民法90条により無效であると解することのできないことも多言を要しない。」
過去問・解説
(H19 司法 第28問 5)
不法な原因により給付したものを返還する合意が締結された場合でも、給付者は、受益者に対して給付したものの返還を求めることはできない。
不法な原因により給付したものを返還する合意が締結された場合でも、給付者は、受益者に対して給付したものの返還を求めることはできない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭28.1.22)は、不法原因給付(708条)の事案において、「受領者においてその給付を受けたものをその給付を為した者に対し任意返還することは勿論、曩に給付を受けた不法原因契約を合意の上解除してその給付を返還する特約をすることは、同条の禁ずるところでないものと解するを相当とする。そして、かゝる特約が民法90条により無效であると解することのできないことも多言を要しない。」と判示している。
判例(最判昭28.1.22)は、不法原因給付(708条)の事案において、「受領者においてその給付を受けたものをその給付を為した者に対し任意返還することは勿論、曩に給付を受けた不法原因契約を合意の上解除してその給付を返還する特約をすることは、同条の禁ずるところでないものと解するを相当とする。そして、かゝる特約が民法90条により無效であると解することのできないことも多言を要しない。」と判示している。
(H23 司法 第29問 4)
不法な原因のために、書面によって土地を贈与し、これを受贈者に引き渡した場合において、当事者間で当該贈与契約を解除して当該土地を贈与者に返還する旨の合意をしたときは、この合意は、無効である。
不法な原因のために、書面によって土地を贈与し、これを受贈者に引き渡した場合において、当事者間で当該贈与契約を解除して当該土地を贈与者に返還する旨の合意をしたときは、この合意は、無効である。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭28.1.22)は、不法原因給付(708条)の事案において、「受領者においてその給付を受けたものをその給付を為した者に対し任意返還することは勿論、曩に給付を受けた不法原因契約を合意の上解除してその給付を返還する特約をすることは、同条の禁ずるところでないものと解するを相当とする。そして、かゝる特約が民法90条により無效であると解することのできないことも多言を要しない。」と判示している。したがって、不法な原因のために、書面によって土地を贈与し、これを受贈者に引き渡した場合において、当事者間で当該贈与契約を解除して当該土地を贈与者に返還する旨の合意をしたときは、この合意は、有効である。
判例(最判昭28.1.22)は、不法原因給付(708条)の事案において、「受領者においてその給付を受けたものをその給付を為した者に対し任意返還することは勿論、曩に給付を受けた不法原因契約を合意の上解除してその給付を返還する特約をすることは、同条の禁ずるところでないものと解するを相当とする。そして、かゝる特約が民法90条により無效であると解することのできないことも多言を要しない。」と判示している。したがって、不法な原因のために、書面によって土地を贈与し、これを受贈者に引き渡した場合において、当事者間で当該贈与契約を解除して当該土地を贈与者に返還する旨の合意をしたときは、この合意は、有効である。
(R1 司法 第27問 エ)
不法原因給付の給付者と受領者との間において、その給付後に、その原因となった契約を合意の上解除してその給付を返還する特約をしたとしても、給付者は、その返還を請求することができない。
不法原因給付の給付者と受領者との間において、その給付後に、その原因となった契約を合意の上解除してその給付を返還する特約をしたとしても、給付者は、その返還を請求することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭28.1.22)は、不法原因給付(708条)の事案において、「受領者においてその給付を受けたものをその給付を為した者に対し任意返還することは勿論、曩に給付を受けた不法原因契約を合意の上解除してその給付を返還する特約をすることは、同条の禁ずるところでないものと解するを相当とする。そして、かゝる特約が民法90条により無效であると解することのできないことも多言を要しない。」と判示している。したがって、不法原因給付の給付者と受領者との間において、その給付後に、その原因となった契約を合意の上解除してその給付を返還する特約をした場合、当該特約は有効であり、給付者は、その返還を請求することができる。
判例(最判昭28.1.22)は、不法原因給付(708条)の事案において、「受領者においてその給付を受けたものをその給付を為した者に対し任意返還することは勿論、曩に給付を受けた不法原因契約を合意の上解除してその給付を返還する特約をすることは、同条の禁ずるところでないものと解するを相当とする。そして、かゝる特約が民法90条により無效であると解することのできないことも多言を要しない。」と判示している。したがって、不法原因給付の給付者と受領者との間において、その給付後に、その原因となった契約を合意の上解除してその給付を返還する特約をした場合、当該特約は有効であり、給付者は、その返還を請求することができる。
総合メモ
給付者及び受益者双方に不法な原因がある場合 最三小判昭和29年8月31日
概要
消費貸借契約の締結において、貸主の側に多少の不法があったとしても、当該不法が微弱なものであり、借主の側の不法に比べれば問題とならない程度のものであるならば、既に交付された物の返還請求に関して708条は適用されず、貸主は貸金の返還を請求することができる。
判例
事案:消費貸借契約の締結において貸主の側に多少の不法があった場合において、当該違法が借主の側の不法に比べれば問題にならない程度のものであったとしても、既に交付された物の返還請求に関して708条が適用されるのかが問題となった。
判旨:「上告人が本件貸金を為すに至つた経路において多少の不法的分子があつたとしても、その不法的分子は甚だ微弱なもので、これを被上告人の不法に比すれば問題にならぬ程度のものである。殆ど不法は被上告人の一方にあるといつてもよい程のものであつて、かかる場合は既に交付された物の返還請求に関する限り民法第90条も第708条もその適用なきものと解するを相当とする。」
判旨:「上告人が本件貸金を為すに至つた経路において多少の不法的分子があつたとしても、その不法的分子は甚だ微弱なもので、これを被上告人の不法に比すれば問題にならぬ程度のものである。殆ど不法は被上告人の一方にあるといつてもよい程のものであつて、かかる場合は既に交付された物の返還請求に関する限り民法第90条も第708条もその適用なきものと解するを相当とする。」
過去問・解説
(H19 司法 第28問 3)
給付者に不法な原因がある場合には、受益者により大きい不法な原因があるときでも、給付者から受益者に対する給付物返還請求が認められることはない。
給付者に不法な原因がある場合には、受益者により大きい不法な原因があるときでも、給付者から受益者に対する給付物返還請求が認められることはない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭29.8.31)は、「上告人が本件貸金を為すに至つた経路において多少の不法的分子があつたとしても、その不法的分子は甚だ微弱なもので、これを被上告人の不法に比すれば問題にならぬ程度のものである。殆ど不法は被上告人の一方にあるといつてもよい程のものであつて、かかる場合は既に交付された物の返還請求に関する限り民法第90条も第708条もその適用なきものと解するを相当とする。」と判示している。したがって、給付者に不法な原因がある場合においても、受益者により大きい不法な原因があるときは、給付者から受益者に対する給付物返還請求が認められることがありうる。
判例(最判昭29.8.31)は、「上告人が本件貸金を為すに至つた経路において多少の不法的分子があつたとしても、その不法的分子は甚だ微弱なもので、これを被上告人の不法に比すれば問題にならぬ程度のものである。殆ど不法は被上告人の一方にあるといつてもよい程のものであつて、かかる場合は既に交付された物の返還請求に関する限り民法第90条も第708条もその適用なきものと解するを相当とする。」と判示している。したがって、給付者に不法な原因がある場合においても、受益者により大きい不法な原因があるときは、給付者から受益者に対する給付物返還請求が認められることがありうる。
(R1 司法 第27問 オ)
消費貸借が、その成立の経緯において、貸主の側に少しでも不法があったときは、借主の側に多大の不法があったとしても、貸主は貸金の返還を請求することができない。
消費貸借が、その成立の経緯において、貸主の側に少しでも不法があったときは、借主の側に多大の不法があったとしても、貸主は貸金の返還を請求することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭29.8.31)は、「上告人が本件貸金を為すに至つた経路において多少の不法的分子があつたとしても、その不法的分子は甚だ微弱なもので、これを被上告人の不法に比すれば問題にならぬ程度のものである。殆ど不法は被上告人の一方にあるといつてもよい程のものであつて、かかる場合は既に交付された物の返還請求に関する限り民法第90条も第708条もその適用なきものと解するを相当とする。」と判示している。したがって、消費貸借が、その成立の経緯において、貸主の側に少しの不法があるにすぎず、借主の側に多大の不法があったときには、708条が適用されず、貸主が貸金の返還を請求することができる場合がある。
判例(最判昭29.8.31)は、「上告人が本件貸金を為すに至つた経路において多少の不法的分子があつたとしても、その不法的分子は甚だ微弱なもので、これを被上告人の不法に比すれば問題にならぬ程度のものである。殆ど不法は被上告人の一方にあるといつてもよい程のものであつて、かかる場合は既に交付された物の返還請求に関する限り民法第90条も第708条もその適用なきものと解するを相当とする。」と判示している。したがって、消費貸借が、その成立の経緯において、貸主の側に少しの不法があるにすぎず、借主の側に多大の不法があったときには、708条が適用されず、貸主が貸金の返還を請求することができる場合がある。
総合メモ
不法原因給付の意義 最一小判昭和37年3月8日
概要
強行法規に違反してされた給付は、必ずしも不法原因給付(708条)に当たるとはいえない。
判例
事案:強行法規に違反してされた給付が、当然に不法原因給付(708条)に当たるかが問題となった。
判旨:「民法708条にいう不法の原因のための給付とは、その原因となる行為が、強行法規に違反した不適法なものであるのみならず、更にそれが、その社会において要求せられる倫理、道徳を無視した醜悪なものであることを必要とし、そして、その行為が不法原因給付に当るかどうかは、その行為の実質に即し、当時の社会生活および社会感情に照らし、真に倫理、道徳に反する醜悪なものと認められるか否かによつて決せらるべきものといわなければならない。」
判旨:「民法708条にいう不法の原因のための給付とは、その原因となる行為が、強行法規に違反した不適法なものであるのみならず、更にそれが、その社会において要求せられる倫理、道徳を無視した醜悪なものであることを必要とし、そして、その行為が不法原因給付に当るかどうかは、その行為の実質に即し、当時の社会生活および社会感情に照らし、真に倫理、道徳に反する醜悪なものと認められるか否かによつて決せらるべきものといわなければならない。」
過去問・解説
(H19 司法 第28問 2)
強行法規に違反してされた給付は、不法原因給付である。
強行法規に違反してされた給付は、不法原因給付である。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭37.3.8)は、「民法708条にいう不法の原因のための給付とは、その原因となる行為が、強行法規に違反した不適法なものであるのみならず、更にそれが、その社会において要求せられる倫理、道徳を無視した醜悪なものであることを必要とし、そして、その行為が不法原因給付に当るかどうかは、その行為の実質に即し、当時の社会生活および社会感情に照らし、真に倫理、道徳に反する醜悪なものと認められるか否かによつて決せらるべきものといわなければならない。」と判示している。したがって、強行法規に違反してされた給付は、必ずしも不法原因給付であるとはいえない。
判例(最判昭37.3.8)は、「民法708条にいう不法の原因のための給付とは、その原因となる行為が、強行法規に違反した不適法なものであるのみならず、更にそれが、その社会において要求せられる倫理、道徳を無視した醜悪なものであることを必要とし、そして、その行為が不法原因給付に当るかどうかは、その行為の実質に即し、当時の社会生活および社会感情に照らし、真に倫理、道徳に反する醜悪なものと認められるか否かによつて決せらるべきものといわなければならない。」と判示している。したがって、強行法規に違反してされた給付は、必ずしも不法原因給付であるとはいえない。
(H22 司法 第28問 5)
判例によれば、強行法規に違反する給付は、不法な原因のために給付をしたものとして、返還を請求することができない。
判例によれば、強行法規に違反する給付は、不法な原因のために給付をしたものとして、返還を請求することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭37.3.8)は、「民法708条にいう不法の原因のための給付とは、その原因となる行為が、強行法規に違反した不適法なものであるのみならず、更にそれが、その社会において要求せられる倫理、道徳を無視した醜悪なものであることを必要とし、そして、その行為が不法原因給付に当るかどうかは、その行為の実質に即し、当時の社会生活および社会感情に照らし、真に倫理、道徳に反する醜悪なものと認められるか否かによつて決せらるべきものといわなければならない。」と判示している。したがって、強行法規に違反する給付であっても、必ずしも不法な原因のために給付をしたものといえるわけではないから、708条が適用されず、返還を請求することができる場合がある。
判例(最判昭37.3.8)は、「民法708条にいう不法の原因のための給付とは、その原因となる行為が、強行法規に違反した不適法なものであるのみならず、更にそれが、その社会において要求せられる倫理、道徳を無視した醜悪なものであることを必要とし、そして、その行為が不法原因給付に当るかどうかは、その行為の実質に即し、当時の社会生活および社会感情に照らし、真に倫理、道徳に反する醜悪なものと認められるか否かによつて決せらるべきものといわなければならない。」と判示している。したがって、強行法規に違反する給付であっても、必ずしも不法な原因のために給付をしたものといえるわけではないから、708条が適用されず、返還を請求することができる場合がある。
(R1 司法 第27問 ア)
強行法規に違反してされた給付であっても、不法原因給付に該当しないことがある。
強行法規に違反してされた給付であっても、不法原因給付に該当しないことがある。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭37.3.8)は、「民法708条にいう不法の原因のための給付とは、その原因となる行為が、強行法規に違反した不適法なものであるのみならず、更にそれが、その社会において要求せられる倫理、道徳を無視した醜悪なものであることを必要とし、そして、その行為が不法原因給付に当るかどうかは、その行為の実質に即し、当時の社会生活および社会感情に照らし、真に倫理、道徳に反する醜悪なものと認められるか否かによつて決せらるべきものといわなければならない。」と判示している。したがって、強行法規に違反してされた給付であっても、不法原因給付に該当しないことがある。
判例(最判昭37.3.8)は、「民法708条にいう不法の原因のための給付とは、その原因となる行為が、強行法規に違反した不適法なものであるのみならず、更にそれが、その社会において要求せられる倫理、道徳を無視した醜悪なものであることを必要とし、そして、その行為が不法原因給付に当るかどうかは、その行為の実質に即し、当時の社会生活および社会感情に照らし、真に倫理、道徳に反する醜悪なものと認められるか否かによつて決せらるべきものといわなければならない。」と判示している。したがって、強行法規に違反してされた給付であっても、不法原因給付に該当しないことがある。
総合メモ
不法原因給付と未登記建物の贈与 最大判昭和45年10月21日
概要
①不法な原因による贈与の目的物が未登記建物である場合においては、その引渡しにより贈与者の債務は履行を完了したといえるから、引渡しをもって708条本文にいう「給付」に当たるといえる。
②贈与契約に基づき物を引き渡した行為が不法原因給付に当たる場合には、贈与者において給付した目的物の返還を請求できないことの反射的効果として、当該目的物の所有権は、受贈者に帰属するから、贈与者は、当該目的物の所有権が自己にあることを理由として、当該目的物の返還を請求することはできない。
②贈与契約に基づき物を引き渡した行為が不法原因給付に当たる場合には、贈与者において給付した目的物の返還を請求できないことの反射的効果として、当該目的物の所有権は、受贈者に帰属するから、贈与者は、当該目的物の所有権が自己にあることを理由として、当該目的物の返還を請求することはできない。
判例
事案:①不法な原因による贈与の目的物が未登記建物である場合において、いかなる行為がされれば、708条本文にいう「給付」に当たるといえるかが問題となった。
②贈与契約に基づき物を引き渡した行為が法原因給付に当たる場合において、贈与者が、目的物の所有権が自己にあることを理由として、当該目的物の返還を請求することができるかが問題となった。
判旨:①「原判決によれば、原審は、Aは、別紙目録記載の建物(以下、本件建物という。)を新築してその所有権を取得した後、昭和29年8月これをBに贈与し、当時未登記であつた右建物を同人に引き渡したが、右贈与は、Aがその妾であるBとの間に原判決判示のような不倫の関係を継続する目的でBに住居を与えその希望する理髪業を営ませるために行なつたもので、BもAのかような意図を察知しながらその贈与を受けたものであるとの事実を認定し、右贈与は公の秩序または善良の風俗に反するものとして無効であり、また、Aが、右贈与の履行行為として、本件建物をBに引き渡したことは、いわゆる不法原因給付に当たると判断しているのである。原審の右事実認定は、原判決の挙示する証拠関係に照らし、首肯できないものではなく、原審の認定した右事実関係のもとにおいては、右贈与は公序良俗に反し無効であり、また、右建物の引渡しは不法の原因に基づくものというのを相当とするのみならず、本件贈与の目的である建物は未登記のものであつて、その引渡しにより贈与者の債務は履行を完了したものと解されるから、右引渡しが民法708条本文にいわゆる給付に当たる旨の原審の前示判断も、正当として是認することができる。」
②「しかしながら、前述のように右贈与が無効であり、したがつて、右贈与による所有権の移転は認められない場合であつても、Aがした該贈与に基づく履行行為が民法708条本文にいわゆる不法原因給付に当たるときは、本件建物の所有権はBに帰属するにいたつたものと解するのが相当である。けだし、同条は、みずから反社会的な行為をした者に対しては、その行為の結果の復旧を訴求することを許さない趣旨を規定したものと認められるから、給付者は、不当利得に基づく返還請求をすることが許されないばかりでなく、目的物の所有権が自己にあることを理由として、給付した物の返還を請求することも許されない筋合であるというべきである。かように、贈与者において給付した物の返還を請求できなくなつたときは、その反射的効果として、目的物の所有権は贈与者の手を離れて受贈者に帰属するにいたつたものと解するのが、最も事柄の実質に適合し、かつ、法律関係を明確ならしめる所以と考えられるからである。」
②贈与契約に基づき物を引き渡した行為が法原因給付に当たる場合において、贈与者が、目的物の所有権が自己にあることを理由として、当該目的物の返還を請求することができるかが問題となった。
判旨:①「原判決によれば、原審は、Aは、別紙目録記載の建物(以下、本件建物という。)を新築してその所有権を取得した後、昭和29年8月これをBに贈与し、当時未登記であつた右建物を同人に引き渡したが、右贈与は、Aがその妾であるBとの間に原判決判示のような不倫の関係を継続する目的でBに住居を与えその希望する理髪業を営ませるために行なつたもので、BもAのかような意図を察知しながらその贈与を受けたものであるとの事実を認定し、右贈与は公の秩序または善良の風俗に反するものとして無効であり、また、Aが、右贈与の履行行為として、本件建物をBに引き渡したことは、いわゆる不法原因給付に当たると判断しているのである。原審の右事実認定は、原判決の挙示する証拠関係に照らし、首肯できないものではなく、原審の認定した右事実関係のもとにおいては、右贈与は公序良俗に反し無効であり、また、右建物の引渡しは不法の原因に基づくものというのを相当とするのみならず、本件贈与の目的である建物は未登記のものであつて、その引渡しにより贈与者の債務は履行を完了したものと解されるから、右引渡しが民法708条本文にいわゆる給付に当たる旨の原審の前示判断も、正当として是認することができる。」
②「しかしながら、前述のように右贈与が無効であり、したがつて、右贈与による所有権の移転は認められない場合であつても、Aがした該贈与に基づく履行行為が民法708条本文にいわゆる不法原因給付に当たるときは、本件建物の所有権はBに帰属するにいたつたものと解するのが相当である。けだし、同条は、みずから反社会的な行為をした者に対しては、その行為の結果の復旧を訴求することを許さない趣旨を規定したものと認められるから、給付者は、不当利得に基づく返還請求をすることが許されないばかりでなく、目的物の所有権が自己にあることを理由として、給付した物の返還を請求することも許されない筋合であるというべきである。かように、贈与者において給付した物の返還を請求できなくなつたときは、その反射的効果として、目的物の所有権は贈与者の手を離れて受贈者に帰属するにいたつたものと解するのが、最も事柄の実質に適合し、かつ、法律関係を明確ならしめる所以と考えられるからである。」
過去問・解説
(H26 司法 第28問 オ)
AがBに不法な原因のために土地を譲渡し、所有権移転登記をした場合、Aは、Bに対し、不当利得に基づきその返還を請求することができないときであっても、土地の所有権に基づき、所有権移転登記の抹消を請求することができる。
AがBに不法な原因のために土地を譲渡し、所有権移転登記をした場合、Aは、Bに対し、不当利得に基づきその返還を請求することができないときであっても、土地の所有権に基づき、所有権移転登記の抹消を請求することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最大判昭45.10.21)は、贈与契約に基づき物を引き渡した行為が不法原因給付に当たる場合には、贈与者において給付した目的物の返還を請求できないことの反射的効果として、当該目的物の所有権は、受贈者に帰属するから、贈与者は、当該目的物の所有権が自己にあることを理由として、当該目的物の返還を請求することはできない旨判示している。したがって、AがBに不法な原因のために土地を譲渡し、所有権移転登記をした場合において、Aが、Bに対し、不当利得に基づきその返還を請求することができないときは、当該土地の所有権は、その反射的効果としてBに帰属するから、Aは、土地の所有権に基づき、所有権移転登記の抹消を請求することができない。
判例(最大判昭45.10.21)は、贈与契約に基づき物を引き渡した行為が不法原因給付に当たる場合には、贈与者において給付した目的物の返還を請求できないことの反射的効果として、当該目的物の所有権は、受贈者に帰属するから、贈与者は、当該目的物の所有権が自己にあることを理由として、当該目的物の返還を請求することはできない旨判示している。したがって、AがBに不法な原因のために土地を譲渡し、所有権移転登記をした場合において、Aが、Bに対し、不当利得に基づきその返還を請求することができないときは、当該土地の所有権は、その反射的効果としてBに帰属するから、Aは、土地の所有権に基づき、所有権移転登記の抹消を請求することができない。
(R1 司法 第27問 ウ)
贈与に基づく動産の引渡しが不法原因給付に該当し、不当利得に基づく動産の返還請求をすることができない場合、贈与者は、受贈者に対し、所有権に基づく動産の返還請求をすることができない。
贈与に基づく動産の引渡しが不法原因給付に該当し、不当利得に基づく動産の返還請求をすることができない場合、贈与者は、受贈者に対し、所有権に基づく動産の返還請求をすることができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最大判昭45.10.21)は、贈与契約に基づき物を引き渡した行為が不法原因給付に当たる場合には、贈与者において給付した目的物の返還を請求できないことの反射的効果として、当該目的物の所有権は、受贈者に帰属するから、贈与者は、当該目的物の所有権が自己にあることを理由として、当該目的物の返還を請求することはできない旨判示している。
判例(最大判昭45.10.21)は、贈与契約に基づき物を引き渡した行為が不法原因給付に当たる場合には、贈与者において給付した目的物の返還を請求できないことの反射的効果として、当該目的物の所有権は、受贈者に帰属するから、贈与者は、当該目的物の所有権が自己にあることを理由として、当該目的物の返還を請求することはできない旨判示している。
(R5 司法 第29問 ウ)
未登記の建物が不倫関係の維持を目的として贈与され、その建物の引渡しがされたときは、贈与者は、受贈者に対し、不当利得に基づいてその建物の返還を請求することができない。
未登記の建物が不倫関係の維持を目的として贈与され、その建物の引渡しがされたときは、贈与者は、受贈者に対し、不当利得に基づいてその建物の返還を請求することができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最大判昭45.10.21)は、本肢と同種の事案において、不法な原因による贈与の目的物が未登記建物である場合においては、その引渡しにより贈与者の債務は履行を完了したといえるから、引渡しをもって708条本文にいう「給付」に当たるといえる旨判示している。そして、同条本文は、「不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。」と規定している。
したがって、未登記の建物が不倫関係の維持を目的として贈与され、その建物の引渡しがされたときは、同本文にいう「給付」がなされたといえ、同本文が適用されるから、贈与者は、受贈者に対し、不当利得に基づいてその建物の返還を請求することができない。
判例(最大判昭45.10.21)は、本肢と同種の事案において、不法な原因による贈与の目的物が未登記建物である場合においては、その引渡しにより贈与者の債務は履行を完了したといえるから、引渡しをもって708条本文にいう「給付」に当たるといえる旨判示している。そして、同条本文は、「不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。」と規定している。
したがって、未登記の建物が不倫関係の維持を目的として贈与され、その建物の引渡しがされたときは、同本文にいう「給付」がなされたといえ、同本文が適用されるから、贈与者は、受贈者に対し、不当利得に基づいてその建物の返還を請求することができない。
(R5 司法 第29問 オ)
Aがその所有する動産をBに贈与し、その引渡しをしたことが不法原因給付に該当し、不当利得に基づく動産の返還請求をすることができないときは、Aは、Bに対し、所有権に基づく動産の返還請求をすることもできない。
Aがその所有する動産をBに贈与し、その引渡しをしたことが不法原因給付に該当し、不当利得に基づく動産の返還請求をすることができないときは、Aは、Bに対し、所有権に基づく動産の返還請求をすることもできない。
(正答)〇
(解説)
判例(最大判昭45.10.21)は、贈与契約に基づき物を引き渡した行為が不法原因給付に当たる場合には、贈与者において給付した目的物の返還を請求できないことの反射的効果として、当該目的物の所有権は、受贈者に帰属するから、贈与者は、当該目的物の所有権が自己にあることを理由として、当該目的物の返還を請求することはできない旨判示している。したがって、Aがその所有する動産をBに贈与し、その引渡しをしたことが不法原因給付に該当し、不当利得に基づく動産の返還請求をすることができないときは、Aは、Bに対し、所有権に基づく動産の返還請求をすることもできない。
判例(最大判昭45.10.21)は、贈与契約に基づき物を引き渡した行為が不法原因給付に当たる場合には、贈与者において給付した目的物の返還を請求できないことの反射的効果として、当該目的物の所有権は、受贈者に帰属するから、贈与者は、当該目的物の所有権が自己にあることを理由として、当該目的物の返還を請求することはできない旨判示している。したがって、Aがその所有する動産をBに贈与し、その引渡しをしたことが不法原因給付に該当し、不当利得に基づく動産の返還請求をすることができないときは、Aは、Bに対し、所有権に基づく動産の返還請求をすることもできない。
総合メモ
不法原因給付と抵当権設定登記の抹消請求 最二小判昭和40年12月17日
概要
賭博行為によって生じた金銭債権の担保のために、債務者所有の不動産に抵当権が設定され、その登記がされた場合において、債務者が当該抵当権設定登記の抹消を請求する行為には、708条は適用されない。
判例
事案:不法な契約によって生じた債権のために抵当権が設定され、その登記がされた場合において、抵当権設定者が当該抵当権設定登記の抹消を請求したとき、当該請求に708条が適用されるかが問題となった。
判旨:「按ずるに、このような事実関係のもとにおいては、被上告人が右抵当権設定登記の抹消を求めることは、一見民法708条の適用を受けて許されないようであるが、他面、上告人が右抵当権を実行しようとすれば、被上告人において賭博行為が民法90条に違反することを理由としてその行為の無効、したがつて被担保債権の不存在を主張し、その実行を阻止できるものというべきであり、被担保債権の存在しない抵当権の存続は法律上許されないのであるから、このような場合には、結局、民法708条の適用はなく、被上告人において右抵当権設定登記の抹消を上告人に対して請求できるものと解するのが相当である。」
判旨:「按ずるに、このような事実関係のもとにおいては、被上告人が右抵当権設定登記の抹消を求めることは、一見民法708条の適用を受けて許されないようであるが、他面、上告人が右抵当権を実行しようとすれば、被上告人において賭博行為が民法90条に違反することを理由としてその行為の無効、したがつて被担保債権の不存在を主張し、その実行を阻止できるものというべきであり、被担保債権の存在しない抵当権の存続は法律上許されないのであるから、このような場合には、結局、民法708条の適用はなく、被上告人において右抵当権設定登記の抹消を上告人に対して請求できるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H19 司法 第15問 ウ)
金銭消費貸借契約に基づく貸金債権について抵当権の設定登記がなされたが、その金銭消費貸借契約が公序良俗に違反するとともに、貸金の交付が不法原因給付に当たる場合、抵当権設定者は、抵当権者に対して、抵当権設定登記の抹消を求めることができる。
金銭消費貸借契約に基づく貸金債権について抵当権の設定登記がなされたが、その金銭消費貸借契約が公序良俗に違反するとともに、貸金の交付が不法原因給付に当たる場合、抵当権設定者は、抵当権者に対して、抵当権設定登記の抹消を求めることができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭40.12.17)は、賭博行為によって生じた金銭債権の担保のために、債務者所有の不動産に抵当権が設定され、その登記がされた場合において、債務者が当該抵当権設定登記の抹消を請求する行為には、708条は適用されない旨判示している。したがって、金銭消費貸借契約に基づく貸金債権について抵当権の設定登記がなされたが、その金銭消費貸借契約が公序良俗に違反するとともに、貸金の交付が不法原因給付に当たる場合においては、抵当権設定者が抵当権者に対して抵当権設定登記の抹消を請求する行為について、708条は適用されないため、抵当権設定者は、抵当権者に対して、抵当権設定登記の抹消を求めることができる。
判例(最判昭40.12.17)は、賭博行為によって生じた金銭債権の担保のために、債務者所有の不動産に抵当権が設定され、その登記がされた場合において、債務者が当該抵当権設定登記の抹消を請求する行為には、708条は適用されない旨判示している。したがって、金銭消費貸借契約に基づく貸金債権について抵当権の設定登記がなされたが、その金銭消費貸借契約が公序良俗に違反するとともに、貸金の交付が不法原因給付に当たる場合においては、抵当権設定者が抵当権者に対して抵当権設定登記の抹消を請求する行為について、708条は適用されないため、抵当権設定者は、抵当権者に対して、抵当権設定登記の抹消を求めることができる。
総合メモ
不法原因給付と既登記建物の贈与に基づく引渡 最一小判昭和46年10月28日
概要
不法の原因により贈与した物が既登記の不動産である場合に、708条本文にいう「給付」が認められるためには、その引渡により占有を移転することのみでは足りず、所有権移転登記手続が履践されていることも必要である。
判例
事案:不法の原因により贈与した物が既登記の不動産である場合において、その引渡により占有を移転すれば、所有権移転登記手続をしなくても、708条本文にいう「給付」が認められるのかが問題となった。
判旨:「贈与が有効な場合、特段の事情のないかぎり、所有権の移転のために登記を経ることを要しないことは、所論のとおりであるが、贈与が不法の原因に基づくものであり、同条にいう給付があつたとして贈与者の返還請求を拒みうるとするためには、本件のような既登記の建物にあつては、その占有の移転のみでは足りず、所有権移転登記手続が履践されていることをも要するものと解するのが妥当と認められる。」
判旨:「贈与が有効な場合、特段の事情のないかぎり、所有権の移転のために登記を経ることを要しないことは、所論のとおりであるが、贈与が不法の原因に基づくものであり、同条にいう給付があつたとして贈与者の返還請求を拒みうるとするためには、本件のような既登記の建物にあつては、その占有の移転のみでは足りず、所有権移転登記手続が履践されていることをも要するものと解するのが妥当と認められる。」
過去問・解説
(H19 司法 第28問 4)
登記された建物の所有者がその建物を不法な原因によって贈与し、引き渡した場合であっても、当該贈与契約に基づく所有権移転登記を経由していないときは、受贈者は贈与者からの当該建物の明渡請求を拒むことができない。
登記された建物の所有者がその建物を不法な原因によって贈与し、引き渡した場合であっても、当該贈与契約に基づく所有権移転登記を経由していないときは、受贈者は贈与者からの当該建物の明渡請求を拒むことができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭46.10.28)は、不法の原因により贈与した物が既登記の不動産である場合に、708条本文にいう「給付」が認められるためには、その引渡により占有を移転することのみでは足りず、所有権移転登記手続が履践されていることも必要である判示している。そして、同本文は、「不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。」と規定している。
したがって、登記された建物の所有者がその建物を不法な原因によって贈与し、引き渡した場合であっても、当該贈与契約に基づく所有権移転登記を経由していないときは、708条本文にいう「給付」があったといえないから、同本文は適用されず、受贈者は贈与者からの当該建物の明渡請求を拒むことができない。
判例(最判昭46.10.28)は、不法の原因により贈与した物が既登記の不動産である場合に、708条本文にいう「給付」が認められるためには、その引渡により占有を移転することのみでは足りず、所有権移転登記手続が履践されていることも必要である判示している。そして、同本文は、「不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。」と規定している。
したがって、登記された建物の所有者がその建物を不法な原因によって贈与し、引き渡した場合であっても、当該贈与契約に基づく所有権移転登記を経由していないときは、708条本文にいう「給付」があったといえないから、同本文は適用されず、受贈者は贈与者からの当該建物の明渡請求を拒むことができない。
(H23 司法 第29問 3)
大麻の密売人Aは、Bに対し、Aが売るための大麻をAの所有する土地でBに栽培させるために、その土地を書面によってBに贈与し、Bに引き渡したが、登記名義はAのままであった。その後、Aが大麻を売るのをやめ、Bに対して当該土地の引渡請求をした場合には、Aの請求は認められる。
大麻の密売人Aは、Bに対し、Aが売るための大麻をAの所有する土地でBに栽培させるために、その土地を書面によってBに贈与し、Bに引き渡したが、登記名義はAのままであった。その後、Aが大麻を売るのをやめ、Bに対して当該土地の引渡請求をした場合には、Aの請求は認められる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭46.10.28)は、不法の原因により贈与した物が既登記の不動産である場合に、708条本文にいう「給付」が認められるためには、その引渡により占有を移転することのみでは足りず、所有権移転登記手続が履践されていることも必要である旨判示している。そして、同本文は、「不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。」と規定している。
本肢においては、大麻の密売人Aは、Bに対し、Aが売るための大麻をAの所有する土地でBに栽培させるために、その土地を書面によってBに贈与し、Bに引き渡しているから、当該贈与には「不法な原因」があったといえる。しかし、登記名義はAのままであったのだから、「給付」があったとはいえず、同本文は適用されない。したがって、その後、Aが大麻を売るのをやめ、Bに対して当該土地の引渡請求をした場合には、Aの請求は認められる。
判例(最判昭46.10.28)は、不法の原因により贈与した物が既登記の不動産である場合に、708条本文にいう「給付」が認められるためには、その引渡により占有を移転することのみでは足りず、所有権移転登記手続が履践されていることも必要である旨判示している。そして、同本文は、「不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。」と規定している。
本肢においては、大麻の密売人Aは、Bに対し、Aが売るための大麻をAの所有する土地でBに栽培させるために、その土地を書面によってBに贈与し、Bに引き渡しているから、当該贈与には「不法な原因」があったといえる。しかし、登記名義はAのままであったのだから、「給付」があったとはいえず、同本文は適用されない。したがって、その後、Aが大麻を売るのをやめ、Bに対して当該土地の引渡請求をした場合には、Aの請求は認められる。
(R1 司法 第27問 イ)
登記された建物が不倫関係の維持を目的として贈与され、受贈者に引き渡されたが、所有権移転登記手続はされていない場合、贈与者は、受贈者に対し、建物の明渡請求をすることができない。
登記された建物が不倫関係の維持を目的として贈与され、受贈者に引き渡されたが、所有権移転登記手続はされていない場合、贈与者は、受贈者に対し、建物の明渡請求をすることができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭46.10.28)は、不法の原因により贈与した物が既登記の不動産である場合に、708条本文にいう「給付」が認められるためには、その引渡により占有を移転することのみでは足りず、所有権移転登記手続が履践されていることも必要である旨判示している。そして、同本文は、「不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。」と規定している。
本肢においては、登記された建物が不倫関係の維持を目的として贈与され、受贈者に引き渡されているから、当該贈与には「不法な原因」があったといえる。しかし、所有権移転登記手続はされていないから、「給付」があったとはいえず、同本文は適用されない。したがって、贈与者は、受贈者に対し、建物の明渡請求をすることができる。
判例(最判昭46.10.28)は、不法の原因により贈与した物が既登記の不動産である場合に、708条本文にいう「給付」が認められるためには、その引渡により占有を移転することのみでは足りず、所有権移転登記手続が履践されていることも必要である旨判示している。そして、同本文は、「不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。」と規定している。
本肢においては、登記された建物が不倫関係の維持を目的として贈与され、受贈者に引き渡されているから、当該贈与には「不法な原因」があったといえる。しかし、所有権移転登記手続はされていないから、「給付」があったとはいえず、同本文は適用されない。したがって、贈与者は、受贈者に対し、建物の明渡請求をすることができる。