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法律行為(総則、意思表示)
契約の公序良俗違反 最一小判昭和39年1月23日
概要
菓子の製造販売業者が、硼砂が有毒性物質であることを知り、これを混入して製造した菓子の販売を食品衛生法が禁止していることを知りながら、あえてこれを製造の上、その販売業者に継続的に売り渡す契約は、90条に違反し無効である。
判例
事案:有毒性物質であると知りながら、硼砂を混入して製造した菓子を継続的に販売する契約を締結することが、90条に違反し無効となるかが問題となった。
判旨:「アラレの製造販売を業とする者が硼砂の有毒性物質であり、これを混入したアラレを販売することが食品衛生法の禁止しているものであることを知りながら、敢えてこれを製造の上、同じ販売業者である者の要請に応じて売り渡し、その取引を継続したという場合には、一般大衆の購買のルートに乗せたものと認められ、その結果公衆衛生を害するに至るであろうことはみやすき道理であるから、そのような取引は民法90条に抵触し無効のものと解するを相当とする。」
判旨:「アラレの製造販売を業とする者が硼砂の有毒性物質であり、これを混入したアラレを販売することが食品衛生法の禁止しているものであることを知りながら、敢えてこれを製造の上、同じ販売業者である者の要請に応じて売り渡し、その取引を継続したという場合には、一般大衆の購買のルートに乗せたものと認められ、その結果公衆衛生を害するに至るであろうことはみやすき道理であるから、そのような取引は民法90条に抵触し無効のものと解するを相当とする。」
過去問・解説
(H25 司法 第1問 2)
次の記述は、公序良俗に違反することを根拠とするか。
食品の製造業者Aが、有害性物質甲の混入した食品の販売を法令が禁止していることを知りながら、あえて甲の混入した食品を製造し、これをその混入の事実を知る販売者Bに継続的に売り渡す契約を締結した場合、この売買契約は無効であるから、BはAに対してその代金支払の義務を負わない。
次の記述は、公序良俗に違反することを根拠とするか。
食品の製造業者Aが、有害性物質甲の混入した食品の販売を法令が禁止していることを知りながら、あえて甲の混入した食品を製造し、これをその混入の事実を知る販売者Bに継続的に売り渡す契約を締結した場合、この売買契約は無効であるから、BはAに対してその代金支払の義務を負わない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭39.1.23)は、本肢と同種の事案において、「アラレの製造販売を業とする者が硼砂の有毒性物質であり、これを混入したアラレを販売することが食品衛生法の禁止しているものであることを知りながら、敢えてこれを製造の上、同じ販売業者である者の要請に応じて売り渡し、その取引を継続したという場合には、一般大衆の購買のルートに乗せたものと認められ、その結果公衆衛生を害するに至るであろうことはみやすき道理であるから、そのような取引は民法90条に抵触し無効のものと解するを相当とする。」と判示している。このように、同判例は、食品の売買契約を無効とする根拠を、公序良俗(90条)に違反することに求めている。
判例(最判昭39.1.23)は、本肢と同種の事案において、「アラレの製造販売を業とする者が硼砂の有毒性物質であり、これを混入したアラレを販売することが食品衛生法の禁止しているものであることを知りながら、敢えてこれを製造の上、同じ販売業者である者の要請に応じて売り渡し、その取引を継続したという場合には、一般大衆の購買のルートに乗せたものと認められ、その結果公衆衛生を害するに至るであろうことはみやすき道理であるから、そのような取引は民法90条に抵触し無効のものと解するを相当とする。」と判示している。このように、同判例は、食品の売買契約を無効とする根拠を、公序良俗(90条)に違反することに求めている。
総合メモ
94条2項における「第三者」の意義 大判大正4年12月17日
概要
通謀虚偽表示により目的物を譲り受けた者からその目的物について抵当権の設定を受けた者は、94条2項にいう「第三者」に該当する。
判例
事案:通謀虚偽表示により目的物を譲り受けた者からその目的物について抵当権の設定を受けた者が、94条2項にいう「第三者」に該当するかが問題となった。
判旨:「本件建物ハAノ先代Bノ所有ニ属シタル処同人ハCノ先先先代Dト通謀シテ仮装ノ売買ヲ為シ之ニ基キ所有権移転ノ登記ヲ為シ登記簿上Dノ所有名義ト為リタルヨリ其相続人即チCノ先先代Dハ家督相続ニ因リ所有権取得ノ登記ヲ為シタル後Eノ為メニ抵当権設定ノ登記ヲ為シ其後Cハ家督相続ニ因リ所有権取得ノ登記ヲ為シタルモノニシテEハ真実Cノ先先代Dヨリ抵当権ノ設定ヲ受ケ其当時右売買仮装ノ事実ヲ知ラサリシモノナリ然レハ右売買ハ其当事者間ニ在リテハ無効ナルモ其無効ハ之ヲ以テ善意ノ第三者タルEニ対抗スルコトヲ得サルヲ以テEノ取得シタル抵当権ノ登記ハ完全ニ其効力ヲ有スルモノト謂ハサルヲ得ス。」
判旨:「本件建物ハAノ先代Bノ所有ニ属シタル処同人ハCノ先先先代Dト通謀シテ仮装ノ売買ヲ為シ之ニ基キ所有権移転ノ登記ヲ為シ登記簿上Dノ所有名義ト為リタルヨリ其相続人即チCノ先先代Dハ家督相続ニ因リ所有権取得ノ登記ヲ為シタル後Eノ為メニ抵当権設定ノ登記ヲ為シ其後Cハ家督相続ニ因リ所有権取得ノ登記ヲ為シタルモノニシテEハ真実Cノ先先代Dヨリ抵当権ノ設定ヲ受ケ其当時右売買仮装ノ事実ヲ知ラサリシモノナリ然レハ右売買ハ其当事者間ニ在リテハ無効ナルモ其無効ハ之ヲ以テ善意ノ第三者タルEニ対抗スルコトヲ得サルヲ以テEノ取得シタル抵当権ノ登記ハ完全ニ其効力ヲ有スルモノト謂ハサルヲ得ス。」
総合メモ
94条2項における「第三者」の意義 大判大正5年11月17日
過去問・解説
(H21 司法 第4問 ウ)
虚偽表示に当たる法律行為がされた場合、財産の仮装譲渡を受けた者の相続人は、「相手方と通じてした虚偽の意思表示の無効を対抗することができない第三者」に該当する。
虚偽表示に当たる法律行為がされた場合、財産の仮装譲渡を受けた者の相続人は、「相手方と通じてした虚偽の意思表示の無効を対抗することができない第三者」に該当する。
(正答)✕
(解説)
判例(大判大5.11.17)は、94条2項の「第三者」とは、虚偽表示の当事者及び一般承継人以外の者であって、虚偽表示の目的について法律上利害関係を有するに至った者をいう旨判示している。財産の仮装譲渡を受けた者の相続人は、一般承継人に当たるため、「第三者」に該当しない。
判例(大判大5.11.17)は、94条2項の「第三者」とは、虚偽表示の当事者及び一般承継人以外の者であって、虚偽表示の目的について法律上利害関係を有するに至った者をいう旨判示している。財産の仮装譲渡を受けた者の相続人は、一般承継人に当たるため、「第三者」に該当しない。
(H29 司法 第4問 エ)
甲土地を所有するAがBと通謀して甲土地をBに仮装譲渡し、AからBへの所有権移転登記がされた後に、Bが死亡した場合において、Bが死亡した時にBの相続人であるCが仮装譲渡について善意であったときは、Aは、Cに対し、甲土地の所有権を主張することができない。
甲土地を所有するAがBと通謀して甲土地をBに仮装譲渡し、AからBへの所有権移転登記がされた後に、Bが死亡した場合において、Bが死亡した時にBの相続人であるCが仮装譲渡について善意であったときは、Aは、Cに対し、甲土地の所有権を主張することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(大判大5.11.17)は、94条2項の「第三者」とは、虚偽表示の当事者及び一般承継人以外の者であって、虚偽表示の目的について法律上利害関係を有するに至った者をいう旨判示している。CはBの相続人であり、一般承継人に当たるため、「第三者」に該当しない。したがって、Cは94条2項によって保護されず、AはCに対して、甲土地の所有権を主張することができる。
判例(大判大5.11.17)は、94条2項の「第三者」とは、虚偽表示の当事者及び一般承継人以外の者であって、虚偽表示の目的について法律上利害関係を有するに至った者をいう旨判示している。CはBの相続人であり、一般承継人に当たるため、「第三者」に該当しない。したがって、Cは94条2項によって保護されず、AはCに対して、甲土地の所有権を主張することができる。
総合メモ
94条における「第三者」の意義 大判大正9年7月23日
過去問・解説
(H19 司法 第1問 5)
当事者が相談の上で売買契約を偽装した場合、買主の相続人が偽装の事実を知らなかったとしても、売主はこの者に対して意思表示の無効を主張することができる。
当事者が相談の上で売買契約を偽装した場合、買主の相続人が偽装の事実を知らなかったとしても、売主はこの者に対して意思表示の無効を主張することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(大判大9.7.23)は、94条2項の「第三者」とは、虚偽の意思表示の当事者又はその一般承継人ではない者で、その表示の目的につき法律上の利害関係を有するに至った者をいう旨判示している。通謀虚偽表示の買主の相続人は、一般承継人にあたるため、「第三者」に該当えせず、同項によって保護されない。したがって、通謀虚偽表示の売主は、買主の相続人に対して意思表示の無効を主張することができる。
判例(大判大9.7.23)は、94条2項の「第三者」とは、虚偽の意思表示の当事者又はその一般承継人ではない者で、その表示の目的につき法律上の利害関係を有するに至った者をいう旨判示している。通謀虚偽表示の買主の相続人は、一般承継人にあたるため、「第三者」に該当えせず、同項によって保護されない。したがって、通謀虚偽表示の売主は、買主の相続人に対して意思表示の無効を主張することができる。
総合メモ
94条2項における「第三者」の意義 大判大正3年7月9日
概要
通謀虚偽表示により作出された法律関係を基礎として、目的物が「善意の第三者」(94条2項)に譲渡された場合において、その後、当該第三者から目的物を譲り受けた転得者は、通謀虚偽表示の事実について悪意であっても、前主の善意を援用して本人に対抗することができる。
判例
事案:通謀虚偽表示により作出された法律関係を基礎として、目的物が「善意の第三者」(94条2項)に譲渡され、さらに当該第三者が、通謀虚偽表示の事実について悪意の者に目的物を譲渡した場合において、本人が、当該転得者に対し、通謀虚偽表示の無効を対抗することができるかが問題となった。
判旨:「売買契約ノ当事者カ相通シテ為シタル虚偽ノ意思表示ニ依リ不動産所有権(又ハ持分)ノ移転登記ヲ為シ次ニ其登記名義人カ之ヲ善意ノ第三者ニ譲渡シタル後其第三者ヨリ所有権(又ハ持分権)ヲ転得シタル者転得ノ当時最初ノ契約当事者ノ為シタル売買カ虚偽ノ意思表示ナルコトヲ了知シタリトスルモ其者ハ善意ノ第三者ノ権利ヲ承継スルヲ以テ最初ノ虚偽意思表示ニ於ケル売主ハ自己ノ為シタル意思表示ノ無効ヲ転得者ニ対抗スルヲ得サルモノトス」
判旨:「売買契約ノ当事者カ相通シテ為シタル虚偽ノ意思表示ニ依リ不動産所有権(又ハ持分)ノ移転登記ヲ為シ次ニ其登記名義人カ之ヲ善意ノ第三者ニ譲渡シタル後其第三者ヨリ所有権(又ハ持分権)ヲ転得シタル者転得ノ当時最初ノ契約当事者ノ為シタル売買カ虚偽ノ意思表示ナルコトヲ了知シタリトスルモ其者ハ善意ノ第三者ノ権利ヲ承継スルヲ以テ最初ノ虚偽意思表示ニ於ケル売主ハ自己ノ為シタル意思表示ノ無効ヲ転得者ニ対抗スルヲ得サルモノトス」
過去問・解説
(H28 司法 第36問 エ)
Aは、BからBの取引上の信用のために、甲土地の所有権を仮装譲渡するように依頼を受け、Bへの所有権移転登記を了した。この場合において、Bから甲土地を仮装譲渡であることについて善意で譲り受けたCから更に甲土地を譲り受けて登記を備えたDは、仮装譲渡について悪意であったとしても甲土地の所有権を取得する。
Aは、BからBの取引上の信用のために、甲土地の所有権を仮装譲渡するように依頼を受け、Bへの所有権移転登記を了した。この場合において、Bから甲土地を仮装譲渡であることについて善意で譲り受けたCから更に甲土地を譲り受けて登記を備えたDは、仮装譲渡について悪意であったとしても甲土地の所有権を取得する。
(正答)〇
(解説)
判例(大判大3.7.9)は、通謀虚偽表示により作出された法律関係を基礎として、目的物が「善意の第三者」(94条2項)に譲渡された場合において、当該第三者から目的物を譲り受けた転得者が現れたときは、転得者の善意・悪意を問わず、虚偽表示の無効を転得者にも対抗することができない旨判示している(佐久間毅「民法の基礎1」第5版134頁)。
本肢においては、Bから甲土地を仮装譲渡であることについて善意で譲り受けたCは「善意の第三者」に当たるから、このCから更に甲土地を譲り受けて登記を備えたDは、仮装譲渡について悪意であったとしても、Cの善意を援用してAに対抗することができ、甲土地の所有権を取得する。
判例(大判大3.7.9)は、通謀虚偽表示により作出された法律関係を基礎として、目的物が「善意の第三者」(94条2項)に譲渡された場合において、当該第三者から目的物を譲り受けた転得者が現れたときは、転得者の善意・悪意を問わず、虚偽表示の無効を転得者にも対抗することができない旨判示している(佐久間毅「民法の基礎1」第5版134頁)。
本肢においては、Bから甲土地を仮装譲渡であることについて善意で譲り受けたCは「善意の第三者」に当たるから、このCから更に甲土地を譲り受けて登記を備えたDは、仮装譲渡について悪意であったとしても、Cの善意を援用してAに対抗することができ、甲土地の所有権を取得する。
総合メモ
94条2項における第三者 大判昭和12年2月9日
総合メモ
94条2項における第三者の主張立証責任 最三小判昭和35年2月2日
概要
通謀虚偽表示の第三者が94条2項により保護を受けるためには、同人において、自己が「善意」であったことを主張立証しなければならない。
判例
事案:通謀虚偽表示による契約につき第三者が存する場合において、同人の「善意」94条2項を主張・立証する責任の所在が問題となった。
判旨:「原判決添付目録…の土地は、もとAの所有であつたところ、売買を原因としてBに所有権移転登記がなされ、さらに、Cのため抵当権設定登記がなされたこと、A、B間の売買は、両名が通謀してした虚偽の意思表示であることは、いずれも原審の確定したところである。したがつて、Cが民法94条2項の保護をうけるためには、同人において、自己が善意であつたことを主張、立証しなければならないのである(昭和17年(オ)第520号、同年9月8日大審院第5民事部判決参照)。」
判旨:「原判決添付目録…の土地は、もとAの所有であつたところ、売買を原因としてBに所有権移転登記がなされ、さらに、Cのため抵当権設定登記がなされたこと、A、B間の売買は、両名が通謀してした虚偽の意思表示であることは、いずれも原審の確定したところである。したがつて、Cが民法94条2項の保護をうけるためには、同人において、自己が善意であつたことを主張、立証しなければならないのである(昭和17年(オ)第520号、同年9月8日大審院第5民事部判決参照)。」
過去問・解説
(H27 司法 第4問 3)
AがBと通謀してA所有の甲土地につきAB間で売買契約がされた旨仮装し、Bへの所有権移転登記をした後、Bが甲土地をCに売却した場合、Aは、CがAB間の売買契約が虚偽表示であることを知っていたことを立証しなければ、Cに対し、甲土地の所有権をAが有することを主張することができない。
AがBと通謀してA所有の甲土地につきAB間で売買契約がされた旨仮装し、Bへの所有権移転登記をした後、Bが甲土地をCに売却した場合、Aは、CがAB間の売買契約が虚偽表示であることを知っていたことを立証しなければ、Cに対し、甲土地の所有権をAが有することを主張することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭35.2.2)は、通謀虚偽表示の第三者が94条2項により保護を受けるためには、同人において、自己が「善意」であったことを主張立証しなければならない旨判示している。したがって、「善意」の立証責任を負うのはCである。Aは、CがAB間の売買契約が虚偽表示であることを知っていたことを立証せずとも、Cに対し、甲土地の所有権をAが有することを主張することができる。
判例(最判昭35.2.2)は、通謀虚偽表示の第三者が94条2項により保護を受けるためには、同人において、自己が「善意」であったことを主張立証しなければならない旨判示している。したがって、「善意」の立証責任を負うのはCである。Aは、CがAB間の売買契約が虚偽表示であることを知っていたことを立証せずとも、Cに対し、甲土地の所有権をAが有することを主張することができる。
総合メモ
94条2項における「善意」の判断基準時 最二小判昭和38年6月7日
概要
通諜虚偽表示による売買契約における買主が、当該契約の目的物について第三者と売買予約を締結した場合において、予約権利者が94条2項にいう善意であるかどうかは、その売買予約成立の時ではなく、当該予約完結権の行使により売買契約が成立する時を基準として定めるべきである。
判例
事案:通謀虚偽表示による売買契約の買主との間で、当該契約の目的物について売買予約を締結した第三者が存する場合において、予約権利者の「善意」(94条2項)の判断を、どの時点を基準として行うかが問題となった。
判旨:「通謀虚偽の売買契約における買主が当該契約の目的物について第三者と売買予約を締結した場合において、その目的物の物権取得の法律関係につき、予約権利者が民法第94条第2項にいう善意であるかどうかは、その売買予約成立の時ではなく、当該予約完結権の行使により売買契約が成立する時を基準として定めるべきである…。」
判旨:「通謀虚偽の売買契約における買主が当該契約の目的物について第三者と売買予約を締結した場合において、その目的物の物権取得の法律関係につき、予約権利者が民法第94条第2項にいう善意であるかどうかは、その売買予約成立の時ではなく、当該予約完結権の行使により売買契約が成立する時を基準として定めるべきである…。」
過去問・解説
(H29 司法 第4問 イ)
甲土地を所有するAがBと通謀して甲土地をBに仮装譲渡した後に、CがBとの間で甲土地についてCを予約者とする売買予約を締結した場合、仮装譲渡についてCが予約成立の時に善意であっても、予約完結権行使の時に悪意であれば、Cは、Aに対し、甲土地の所有権を主張することができない。
甲土地を所有するAがBと通謀して甲土地をBに仮装譲渡した後に、CがBとの間で甲土地についてCを予約者とする売買予約を締結した場合、仮装譲渡についてCが予約成立の時に善意であっても、予約完結権行使の時に悪意であれば、Cは、Aに対し、甲土地の所有権を主張することができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭38.6.7)は、「通謀虚偽の売買契約における買主が当該契約の目的物について第三者と売買予約を締結した場合において、その目的物の物権取得の法律関係につき、予約権利者が民法第94条第2項にいう善意であるかどうかは、その売買予約成立の時ではなく、当該予約完結権の行使により売買契約が成立する時を基準として定めるべきである…。」と判示している。したがって、Cが予約成立の時に善意であっても、予約完結権行使の時に悪意であれば、Cは94条2項による保護を受けられず、Aに対し、甲土地の所有権を主張することができない。
判例(最判昭38.6.7)は、「通謀虚偽の売買契約における買主が当該契約の目的物について第三者と売買予約を締結した場合において、その目的物の物権取得の法律関係につき、予約権利者が民法第94条第2項にいう善意であるかどうかは、その売買予約成立の時ではなく、当該予約完結権の行使により売買契約が成立する時を基準として定めるべきである…。」と判示している。したがって、Cが予約成立の時に善意であっても、予約完結権行使の時に悪意であれば、Cは94条2項による保護を受けられず、Aに対し、甲土地の所有権を主張することができない。
総合メモ
94条2項における「第三者」の意義 最一小判昭和38年11月28日
概要
土地の賃借人が地上建物を他に仮装譲渡した場合、土地賃貸人は、当該仮装譲渡の外形を信頼して新たな法律上の利害関係に入ったものではないから、94条2項の「第三者」に当たらない。
判例
事案:土地の賃借人が、自己の所有する借地上の建物を仮装譲渡した場合において、土地賃貸人が94条2項の「第三者」に当たるかが問題となった。
判旨:最高裁は、「控訴人は第三建物の敷地の賃貸人に止まり、右仮装の譲渡行為の外形を信頼して新たな利害関係に入つた者ではないのであるから、たとえ被控訴人Y1に対し第三建物につき処分禁止の仮処分をなした事実があるとして、未だ控訴人を民法第94条第2項にいわゆる第三者と認めることはできない(参照大審院昭和14年(オ)第842号、同年12月9日判決。民集第18巻1551頁)。」とした原審の判断について、「上告人が民法94条2項にいわゆる第三者に当らないとした原審の解釈も、正当であ」ると判示している。
判旨:最高裁は、「控訴人は第三建物の敷地の賃貸人に止まり、右仮装の譲渡行為の外形を信頼して新たな利害関係に入つた者ではないのであるから、たとえ被控訴人Y1に対し第三建物につき処分禁止の仮処分をなした事実があるとして、未だ控訴人を民法第94条第2項にいわゆる第三者と認めることはできない(参照大審院昭和14年(オ)第842号、同年12月9日判決。民集第18巻1551頁)。」とした原審の判断について、「上告人が民法94条2項にいわゆる第三者に当らないとした原審の解釈も、正当であ」ると判示している。
過去問・解説
(H21 司法 第4問 イ)
土地の賃借人が所有する地上建物を他に仮装譲渡した場合の土地賃貸人は、「相手方と通じてした虚偽の意思表示の無効を対抗することができない第三者」に該当する。
土地の賃借人が所有する地上建物を他に仮装譲渡した場合の土地賃貸人は、「相手方と通じてした虚偽の意思表示の無効を対抗することができない第三者」に該当する。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭38.11.28)は、土地の賃借人が地上建物を他に仮装譲渡した場合、土地賃貸人は、当該仮装譲渡の外形を信頼して新たな法律上の利害関係に入ったものではないから、94条2項の「第三者」に当たらない旨判示している。
判例(最判昭38.11.28)は、土地の賃借人が地上建物を他に仮装譲渡した場合、土地賃貸人は、当該仮装譲渡の外形を信頼して新たな法律上の利害関係に入ったものではないから、94条2項の「第三者」に当たらない旨判示している。
(H28 司法 第36問 オ)
Dは、建物所有を目的としてAから甲土地を賃借し、甲土地上に乙建物を建築してD名義で乙建物の所有権保存登記を有している。Dは、BからBの取引上の信用のために、乙建物の所有権を仮装譲渡するように依頼を受け、Bへの所有権移転登記を了した。この場合において、仮装譲渡であることを知らなかったAは、Bに対して、賃借権の譲渡を承諾し、地代の支払を求めることができる。
Dは、建物所有を目的としてAから甲土地を賃借し、甲土地上に乙建物を建築してD名義で乙建物の所有権保存登記を有している。Dは、BからBの取引上の信用のために、乙建物の所有権を仮装譲渡するように依頼を受け、Bへの所有権移転登記を了した。この場合において、仮装譲渡であることを知らなかったAは、Bに対して、賃借権の譲渡を承諾し、地代の支払を求めることができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭38.11.28)は、土地の賃借人が地上建物を他に仮装譲渡した場合、土地賃貸人は、当該仮装譲渡の外形を信頼して新たな法律上の利害関係に入ったものではないから、94条2項の「第三者」に当たらない旨判示している。したがって、甲土地の賃貸人Aは94条2項の「第三者」に当たらず、BはAに対して、乙建物の仮装譲渡が無効であることを主張できるため、Aは、Bに対して、賃借権の譲渡を承諾し、地代の支払を求めることはできない。
判例(最判昭38.11.28)は、土地の賃借人が地上建物を他に仮装譲渡した場合、土地賃貸人は、当該仮装譲渡の外形を信頼して新たな法律上の利害関係に入ったものではないから、94条2項の「第三者」に当たらない旨判示している。したがって、甲土地の賃貸人Aは94条2項の「第三者」に当たらず、BはAに対して、乙建物の仮装譲渡が無効であることを主張できるため、Aは、Bに対して、賃借権の譲渡を承諾し、地代の支払を求めることはできない。
総合メモ
94条2項における「第三者」の意義 最一小判昭和42年6月29日
過去問・解説
(H28 司法 第36問 イ)
Aは、BからBの取引上の信用のために、甲土地の所有権を仮装譲渡するように依頼を受け、Bへの所有権移転登記を了した。この場合において、Bの死亡によりその単独相続人として所有権移転登記を了したCが、仮装譲渡について善意のときは、Aに対して甲土地の所有権を主張することができる。
Aは、BからBの取引上の信用のために、甲土地の所有権を仮装譲渡するように依頼を受け、Bへの所有権移転登記を了した。この場合において、Bの死亡によりその単独相続人として所有権移転登記を了したCが、仮装譲渡について善意のときは、Aに対して甲土地の所有権を主張することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭42.6.29)は、「民法94条2項…にいわゆる第三者とは、虚偽の意思表示の当事者またはその一般承継人以外の者であって、その表示の目的につき法律上利害関係を有するに至った者をいう…。」と判示している。本肢においては、Cは、Bの単独相続人であり、一般承継人であることから、「第三者」に該当しない。したがって、AはCに対して、甲土地の譲渡が仮装譲渡であり無効であると主張することができるため、Cは、Aに対して甲土地の所有権を主張することができない。
判例(最判昭42.6.29)は、「民法94条2項…にいわゆる第三者とは、虚偽の意思表示の当事者またはその一般承継人以外の者であって、その表示の目的につき法律上利害関係を有するに至った者をいう…。」と判示している。本肢においては、Cは、Bの単独相続人であり、一般承継人であることから、「第三者」に該当しない。したがって、AはCに対して、甲土地の譲渡が仮装譲渡であり無効であると主張することができるため、Cは、Aに対して甲土地の所有権を主張することができない。
総合メモ
仮装仮登記に基づいてほしいままにされた本登記と仮登記を許容した仮登記義務者の第三者に対する責任 最一小判昭和43年10月17日
概要
不動産について売買の予約がされていないのにかかわらず、相通じて、その予約を仮装して所有権移転請求権保全の仮登記手続をした場合において、外観上の仮登記権利者がほしいままに仮登記に基づく所有権移転の本登記手続をしたときは、外観上の仮登記義務者は、94条2項、110条の法意に照らして、その本登記の無効をもつて善意無過失の第三者に対抗することができないと解すべきである。
判例
事案:通謀虚偽表示による不動産の売買契約の予約に基づく仮登記があり、仮登記権利者が予約完結の意思なく本登記を了したという場合において、その後同人から不動産を買い受けた者が保護を受けるかが問題となった。
判旨:「思うに、不動産について売買の予約がされていないのにかかわらず、相通じて、その予約を仮装して所有権移転請求権保全の仮登記手続をした場合、外観上の仮登記権利者がこのような仮登記があるのを奇貨として、ほしいままに売買を原因とする所有権移転の本登記手続をしたとしても、この外観上の仮登記義務者は、その本登記の無効をもつて善意無過失の第三者に対抗できないと解すべきである。けだし、このような場合、仮登記の外観を仮装した者がその外観に基づいてされた本登記を信頼した善意無過失の第三者に対して、責に任ずべきことは、民法94条2項、同法110条の法意に照らし、外観尊重および取引保護の要請というべきだからである。」
判旨:「思うに、不動産について売買の予約がされていないのにかかわらず、相通じて、その予約を仮装して所有権移転請求権保全の仮登記手続をした場合、外観上の仮登記権利者がこのような仮登記があるのを奇貨として、ほしいままに売買を原因とする所有権移転の本登記手続をしたとしても、この外観上の仮登記義務者は、その本登記の無効をもつて善意無過失の第三者に対抗できないと解すべきである。けだし、このような場合、仮登記の外観を仮装した者がその外観に基づいてされた本登記を信頼した善意無過失の第三者に対して、責に任ずべきことは、民法94条2項、同法110条の法意に照らし、外観尊重および取引保護の要請というべきだからである。」
過去問・解説
(H27 司法 第4問 2)
AがBと通謀してA所有の甲土地につきAB間で売買予約がされた旨仮装し、Bへの所有権移転登記請求権保全の仮登記をした後、Bが偽造書類を用いて仮登記を本登記にした上で、善意無過失のCに甲土地を売却し、Cへの所有権移転登記をした場合、Cは、Aに対し、甲土地の所有権をCが有することを主張することができる。
AがBと通謀してA所有の甲土地につきAB間で売買予約がされた旨仮装し、Bへの所有権移転登記請求権保全の仮登記をした後、Bが偽造書類を用いて仮登記を本登記にした上で、善意無過失のCに甲土地を売却し、Cへの所有権移転登記をした場合、Cは、Aに対し、甲土地の所有権をCが有することを主張することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭43.10.17)は、本肢と同種の事案において、「思うに、不動産について売買の予約がされていないのにかかわらず、相通じて、その予約を仮装して所有権移転請求権保全の仮登記手続をした場合、外観上の仮登記権利者がこのような仮登記があるのを奇貨として、ほしいままに売買を原因とする所有権移転の本登記手続をしたとしても、この外観上の仮登記義務者は、その本登記の無効をもつて善意無過失の第三者に対抗できないと解すべきである。けだし、このような場合、仮登記の外観を仮装した者がその外観に基づいてされた本登記を信頼した善意無過失の第三者に対して、責に任ずべきことは、民法94条2項、同法110条の法意に照らし、外観尊重および取引保護の要請というべきだからである。」と判示している。したがって、外観上の仮登記義務者であるAは、本登記の無効を善意無過失のCに対抗できないため、Cは、Aに対し、甲土地の所有権をCが有することを主張することができる。
判例(最判昭43.10.17)は、本肢と同種の事案において、「思うに、不動産について売買の予約がされていないのにかかわらず、相通じて、その予約を仮装して所有権移転請求権保全の仮登記手続をした場合、外観上の仮登記権利者がこのような仮登記があるのを奇貨として、ほしいままに売買を原因とする所有権移転の本登記手続をしたとしても、この外観上の仮登記義務者は、その本登記の無効をもつて善意無過失の第三者に対抗できないと解すべきである。けだし、このような場合、仮登記の外観を仮装した者がその外観に基づいてされた本登記を信頼した善意無過失の第三者に対して、責に任ずべきことは、民法94条2項、同法110条の法意に照らし、外観尊重および取引保護の要請というべきだからである。」と判示している。したがって、外観上の仮登記義務者であるAは、本登記の無効を善意無過失のCに対抗できないため、Cは、Aに対し、甲土地の所有権をCが有することを主張することができる。
総合メモ
94条2項における「第三者」の意義 最三小判昭和44年5月27日
概要
「善意の第三者」(94条2項)は、行った取引から生ずる物権変動について対抗要件として要求される登記を備えていなかったとしても、同項により保護される。
判例
事案:通謀虚偽表示の外形を信頼して、外観上の権利者から不動産の所有権を譲り受けた第三者が、当該不動産について所有権移転登記を経ていなかった場合に、94条2項の「第三者」として保護されるかが問題となった。
判旨:「民法94条が、その1項において相手方と通じてした虚偽の意思表示を無効としながら、その2項において右無効をもつて善意の第三者に対抗することができない旨規定しているゆえんは、外形を信頼した者の権利を保護し、もつて、取引の安全をはかることにあるから、この目的のためにかような外形を作り出した仮装行為者自身が、一般の取引における当事者に比して不利益を被ることのあるのは、当然の結果といわなければならない。したがつて、いやしくも、自ら仮装行為をした者が、かような外形を除去しない間に、善意の第三者がその外形を信頼して取引関係に入つた場合においては、その取引から生ずる物権変動について、登記が第三者に対する対抗要件とされているときでも、右仮装行為者としては、右第三者の登記の欠缺を主張して、当該物権変動の効果を否定することはできないものと解すべきである。」
判旨:「民法94条が、その1項において相手方と通じてした虚偽の意思表示を無効としながら、その2項において右無効をもつて善意の第三者に対抗することができない旨規定しているゆえんは、外形を信頼した者の権利を保護し、もつて、取引の安全をはかることにあるから、この目的のためにかような外形を作り出した仮装行為者自身が、一般の取引における当事者に比して不利益を被ることのあるのは、当然の結果といわなければならない。したがつて、いやしくも、自ら仮装行為をした者が、かような外形を除去しない間に、善意の第三者がその外形を信頼して取引関係に入つた場合においては、その取引から生ずる物権変動について、登記が第三者に対する対抗要件とされているときでも、右仮装行為者としては、右第三者の登記の欠缺を主張して、当該物権変動の効果を否定することはできないものと解すべきである。」
過去問・解説
(H27 共通 第2問 1)
Aは、その所有する甲土地についてBと仮装の売買契約を締結し、その旨の所有権移転登記をした。その後、Bがこの事情を知らないCに甲土地を売却した場合、BからCへの所有権移転登記がされていないときでも、Aは、Cに対し、AB間の売買契約の無効を主張することができない。
Aは、その所有する甲土地についてBと仮装の売買契約を締結し、その旨の所有権移転登記をした。その後、Bがこの事情を知らないCに甲土地を売却した場合、BからCへの所有権移転登記がされていないときでも、Aは、Cに対し、AB間の売買契約の無効を主張することができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭44.5.27)は、「いやしくも、自ら仮装行為をした者が、かような外形を除去しない間に、善意の第三者がその外形を信頼して取引関係に入つた場合においては、その取引から生ずる物権変動について、登記が第三者に対する対抗要件とされているときでも、右仮装行為者としては、右第三者の登記の欠缺を主張して、当該物権変動の効果を否定することはできないものと解すべきである。」と判示している。したがって、Cは、甲土地につき所有権移転登記を具備していなくとも、「善意の第三者」(94条2項)として保護され、Aは、Cに対して、AB間の売買契約の無効を主張することができない。
判例(最判昭44.5.27)は、「いやしくも、自ら仮装行為をした者が、かような外形を除去しない間に、善意の第三者がその外形を信頼して取引関係に入つた場合においては、その取引から生ずる物権変動について、登記が第三者に対する対抗要件とされているときでも、右仮装行為者としては、右第三者の登記の欠缺を主張して、当該物権変動の効果を否定することはできないものと解すべきである。」と判示している。したがって、Cは、甲土地につき所有権移転登記を具備していなくとも、「善意の第三者」(94条2項)として保護され、Aは、Cに対して、AB間の売買契約の無効を主張することができない。
(H28 司法 第36問 ア)
Aは、BからBの取引上の信用のために、甲土地の所有権を仮装譲渡するように依頼を受け、Bへの所有権移転登記を了した。この場合において、Bから甲土地を譲り受けたCが、仮装譲渡について善意のときは、登記を備えていなくてもAに対して甲土地の所有権取得を主張することができる。
Aは、BからBの取引上の信用のために、甲土地の所有権を仮装譲渡するように依頼を受け、Bへの所有権移転登記を了した。この場合において、Bから甲土地を譲り受けたCが、仮装譲渡について善意のときは、登記を備えていなくてもAに対して甲土地の所有権取得を主張することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭44.5.27)は、「いやしくも、自ら仮装行為をした者が、かような外形を除去しない間に、善意の第三者がその外形を信頼して取引関係に入つた場合においては、その取引から生ずる物権変動について、登記が第三者に対する対抗要件とされているときでも、右仮装行為者としては、右第三者の登記の欠缺を主張して、当該物権変動の効果を否定することはできないものと解すべきである。」と判示している。したがって、Cは、登記を備えていなくても、「善意の第三者」(94条2項)として保護され、Aに対して甲土地の所有権取得を主張することができる。
判例(最判昭44.5.27)は、「いやしくも、自ら仮装行為をした者が、かような外形を除去しない間に、善意の第三者がその外形を信頼して取引関係に入つた場合においては、その取引から生ずる物権変動について、登記が第三者に対する対抗要件とされているときでも、右仮装行為者としては、右第三者の登記の欠缺を主張して、当該物権変動の効果を否定することはできないものと解すべきである。」と判示している。したがって、Cは、登記を備えていなくても、「善意の第三者」(94条2項)として保護され、Aに対して甲土地の所有権取得を主張することができる。
総合メモ
94条2項の類推適用と同項における「第三者」の意義 最二小判昭和45年7月24日
概要
94条2項にいう「第三者」とは、虚偽表示の当事者又はその一般承継人以外の者であって、その表示の目的につき法律上利害関係を有するに至った者をいい、その者からの転得者も「第三者」に当たる。虚偽表示の相手方との間でその表示の目的につき直接取引関係に立った第三者が悪意の場合でも、当該第三者からの転得者が善意であるときは、当該転得者は同項にいう「善意の第三者」に当たる。
判例
事案:94条2項にいう「善意の第三者」から所有権を譲り受けた転得者が存する場合において、当該転得者も同項にいう「善意の第三者」に含まれるかが問題となった。
判旨:「民法94条2項にいう第三者とは、虚偽の意思表示の当事者またはその一般承継人以外の者であつて、その表示の目的につき法律上利害関係を有するに至つた者をいい(最高裁昭和41年(オ)第1231号・第1232号同42年6月29日第1小法廷判決、裁判集民事87号1397頁参照)、虚偽表示の相手方との間で右表示の目的につき直接取引関係に立つた者のみならず、その者からの転得者もまた右条項にいう第三者にあたるものと解するのが相当である。そして、同条項を類推適用する場合においても、これと解釈を異にすべき理由はなく、これを本件についていえば、上告人Aは、その主張するとおり上告人Bとの間で有効に売買契約を締結したものであれば、それによつて上告人Aが所有権を取得しうるか否かは、一に、被上告人Cにおいて、本件不動産の所有権が自己に属し、登記簿上のDの所有名義は実体上の権利関係に合致しないものであることを、同上告人Aに対して主張しうるか否かにのみかかるところであるから、同上告人Aは、右売買契約の解除前においては、ここにいう第三者にあたり、自己の前々主たるDが本件不動産の所有権を有しない不実の登記名義人であることを知らなかつたものであるかぎり、同条項の類推適用による保護を受けえたものというべきであり、右時点での同上告人Aに対する関係における所有権帰属の判断は、上告人Aが悪意であつたことによつては左右されないものと解すべきである。」
判旨:「民法94条2項にいう第三者とは、虚偽の意思表示の当事者またはその一般承継人以外の者であつて、その表示の目的につき法律上利害関係を有するに至つた者をいい(最高裁昭和41年(オ)第1231号・第1232号同42年6月29日第1小法廷判決、裁判集民事87号1397頁参照)、虚偽表示の相手方との間で右表示の目的につき直接取引関係に立つた者のみならず、その者からの転得者もまた右条項にいう第三者にあたるものと解するのが相当である。そして、同条項を類推適用する場合においても、これと解釈を異にすべき理由はなく、これを本件についていえば、上告人Aは、その主張するとおり上告人Bとの間で有効に売買契約を締結したものであれば、それによつて上告人Aが所有権を取得しうるか否かは、一に、被上告人Cにおいて、本件不動産の所有権が自己に属し、登記簿上のDの所有名義は実体上の権利関係に合致しないものであることを、同上告人Aに対して主張しうるか否かにのみかかるところであるから、同上告人Aは、右売買契約の解除前においては、ここにいう第三者にあたり、自己の前々主たるDが本件不動産の所有権を有しない不実の登記名義人であることを知らなかつたものであるかぎり、同条項の類推適用による保護を受けえたものというべきであり、右時点での同上告人Aに対する関係における所有権帰属の判断は、上告人Aが悪意であつたことによつては左右されないものと解すべきである。」
過去問・解説
(H29 司法 第4問 オ)
甲土地を所有するAがBと通謀して甲土地をBに仮装譲渡し、AからBへの所有権移転登記がされた後に、BがCに甲土地を譲渡し、さらに、CがDに甲土地を譲渡した場合において、Cが仮装譲渡について悪意であったときは、Dが仮装譲渡について善意であったとしても、Aは、Dに対し、甲土地の所有権を主張することができる。
甲土地を所有するAがBと通謀して甲土地をBに仮装譲渡し、AからBへの所有権移転登記がされた後に、BがCに甲土地を譲渡し、さらに、CがDに甲土地を譲渡した場合において、Cが仮装譲渡について悪意であったときは、Dが仮装譲渡について善意であったとしても、Aは、Dに対し、甲土地の所有権を主張することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭45.7.24)は、「虚偽表示の相手方との間で右表示の目的につき直接取引関係に立つた者のみならず、その者からの転得者もまた右条項にいう第三者にあたる」と判示した上で、通謀虚偽表示の買主からの譲受人が、虚偽表示の事実について悪意であったとしても、転得者が当該事実について善意であれば、同転得者は94条2項の「第三者」に該当し、その保護を受ける旨判示している。したがって、CがAB間の仮装の事実について悪意であったとしても、Dが仮装の事実について善意であったときには、Dは「善意の第三者」に該当するため、Aは、Dに対し、AB間の売買の意思表示の無効を主張することができず、甲土地の所有権を主張することができない。
判例(最判昭45.7.24)は、「虚偽表示の相手方との間で右表示の目的につき直接取引関係に立つた者のみならず、その者からの転得者もまた右条項にいう第三者にあたる」と判示した上で、通謀虚偽表示の買主からの譲受人が、虚偽表示の事実について悪意であったとしても、転得者が当該事実について善意であれば、同転得者は94条2項の「第三者」に該当し、その保護を受ける旨判示している。したがって、CがAB間の仮装の事実について悪意であったとしても、Dが仮装の事実について善意であったときには、Dは「善意の第三者」に該当するため、Aは、Dに対し、AB間の売買の意思表示の無効を主張することができず、甲土地の所有権を主張することができない。
(R5 司法 第5問 エ)
AとBとが通謀してA所有の甲土地をBに売買する旨を仮装し、Bへの所有権移転登記がされた後、Bが甲土地をCに売却し、更にCが甲土地をDに売却した場合において、CがAB間の仮装を知っていたときは、DがAB間の仮装を知らなかったとしても、Aは、Dに対し、AB間の売買の意思表示の無効を対抗することができる。
AとBとが通謀してA所有の甲土地をBに売買する旨を仮装し、Bへの所有権移転登記がされた後、Bが甲土地をCに売却し、更にCが甲土地をDに売却した場合において、CがAB間の仮装を知っていたときは、DがAB間の仮装を知らなかったとしても、Aは、Dに対し、AB間の売買の意思表示の無効を対抗することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭45.7.24)は、「虚偽表示の相手方との間で右表示の目的につき直接取引関係に立つた者のみならず、その者からの転得者もまた右条項にいう第三者にあたる」と判示した上で、通謀虚偽表示の買主からの譲受人が、虚偽表示の事実について悪意であったとしても、転得者が当該事実について善意であれば、同転得者は94条2項の「第三者」に該当し、その保護を受ける旨判示している。したがって、CがAB間の仮装の事実について悪意であったとしても、Dが仮装の事実について善意であったときには、Dは「善意の第三者」に該当するため、Aは、Dに対し、AB間の売買の意思表示の無効を対抗することができない。
判例(最判昭45.7.24)は、「虚偽表示の相手方との間で右表示の目的につき直接取引関係に立つた者のみならず、その者からの転得者もまた右条項にいう第三者にあたる」と判示した上で、通謀虚偽表示の買主からの譲受人が、虚偽表示の事実について悪意であったとしても、転得者が当該事実について善意であれば、同転得者は94条2項の「第三者」に該当し、その保護を受ける旨判示している。したがって、CがAB間の仮装の事実について悪意であったとしても、Dが仮装の事実について善意であったときには、Dは「善意の第三者」に該当するため、Aは、Dに対し、AB間の売買の意思表示の無効を対抗することができない。
総合メモ
94条2項の類推適用と同項における「第三者」の意義 最一小判昭和48年6月28日
概要
虚偽の意思表示により譲り受けた目的物を差し押さえた仮装譲受人の一般債権者は、「第三者」(94条2項)に当たるところ、未登記建物の所有者は、その建物が固定資産課税台帳上他人の所有名義で登録されていることを知りながら、これを明示又は黙示に承認していた場合には、94条2項の類推適用により、当該名義人が所有権を有しないことを、善意で当該建物を差し押さえた第三者に対抗することができない。
判例
事案:未登記建物の所有者においてその建物が固定資産課税台帳上他人の所有名義で登録されていることを承認していた場合において、当該建物を善意で差し押さえた、登記名義人に対して債権を有する債権者が、94条2項の類推適用により保護されるかが問題となった。
判旨:「未登記建物の所有者が旧家屋台帳法(昭和22年法律第31号)による家屋台帳にその建物が他人の所有名義で登録されていることを知りながら、これを明示または黙示に承認していた場合には、民法94条2項の類推適用により、所有者は、右台帳上の名義人から権利の設定を受けた善意の第三者に対し、右名義人が所有権を有しないことをもつて対抗することができないと解すべきことは、当裁判所の判例とするところである(最高裁昭和42年(オ)第1209、1210号同45年4月16日第1小法廷判決・民集24巻4号266頁)。そして固定資産課税台帳は、本来課税のために作成されるものではあるが、未登記建物についての同台帳上の所有名義は、建物の所有権帰属の外形を表示するものとなつているのであるから、この外形を信頼した善意の第三者は右と同様の法理によつて保護されるべきものと解するのが相当である。」
判旨:「未登記建物の所有者が旧家屋台帳法(昭和22年法律第31号)による家屋台帳にその建物が他人の所有名義で登録されていることを知りながら、これを明示または黙示に承認していた場合には、民法94条2項の類推適用により、所有者は、右台帳上の名義人から権利の設定を受けた善意の第三者に対し、右名義人が所有権を有しないことをもつて対抗することができないと解すべきことは、当裁判所の判例とするところである(最高裁昭和42年(オ)第1209、1210号同45年4月16日第1小法廷判決・民集24巻4号266頁)。そして固定資産課税台帳は、本来課税のために作成されるものではあるが、未登記建物についての同台帳上の所有名義は、建物の所有権帰属の外形を表示するものとなつているのであるから、この外形を信頼した善意の第三者は右と同様の法理によつて保護されるべきものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H21 司法 第4問 エ)
虚偽の意思表示により譲り受けた目的物を差し押さえた仮装譲受人の一般債権者は、「相手方と通じてした虚偽の意思表示の無効を対抗することができない第三者」に該当する。
虚偽の意思表示により譲り受けた目的物を差し押さえた仮装譲受人の一般債権者は、「相手方と通じてした虚偽の意思表示の無効を対抗することができない第三者」に該当する。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭48.6.28)は、虚偽の意思表示により譲り受けた目的物を差し押さえた仮装譲受人の一般債権者は、「第三者」(94条2項)に当たる旨判示している。
判例(最判昭48.6.28)は、虚偽の意思表示により譲り受けた目的物を差し押さえた仮装譲受人の一般債権者は、「第三者」(94条2項)に当たる旨判示している。
(H27 共通 第2問 2)
Aは、その所有する甲土地についてBと仮装の売買契約を締結し、その旨の所有権移転登記をした。その後、Bがこの事情を知らないCから500万円を借り入れたが、その返済を怠ったことから、Cが甲土地を差し押さえた場合、甲土地の差押えの前にCがこの事情を知ったとしても、Aは、Cに対し、AB間の売買契約の無効を主張することができない。
Aは、その所有する甲土地についてBと仮装の売買契約を締結し、その旨の所有権移転登記をした。その後、Bがこの事情を知らないCから500万円を借り入れたが、その返済を怠ったことから、Cが甲土地を差し押さえた場合、甲土地の差押えの前にCがこの事情を知ったとしても、Aは、Cに対し、AB間の売買契約の無効を主張することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭48.6.28)は、虚偽の意思表示により譲り受けた目的物を差し押さえた仮装譲受人の一般債権者は、「第三者」(94条2項)に当たる旨判示している。Cは仮装譲渡の譲受人であるBの一般債権者であり、甲土地を差し押さえているため、「第三者」に当たる。
もっとも、判例(最判昭.55.9.11)は、94条2項所定の第三者の善意の存否は、同条項の適用の対象となるべき法律関係ごとに当該法律関係につき第三者が利害関係を有するに至った時期を基準として決すべきである旨判示している。Cは甲土地の差押えの前に仮装譲渡の事情を知っているため、「善意」といえない。したがって、Aは、Cに対し、AB間の売買契約の無効を主張することができる。
判例(最判昭48.6.28)は、虚偽の意思表示により譲り受けた目的物を差し押さえた仮装譲受人の一般債権者は、「第三者」(94条2項)に当たる旨判示している。Cは仮装譲渡の譲受人であるBの一般債権者であり、甲土地を差し押さえているため、「第三者」に当たる。
もっとも、判例(最判昭.55.9.11)は、94条2項所定の第三者の善意の存否は、同条項の適用の対象となるべき法律関係ごとに当該法律関係につき第三者が利害関係を有するに至った時期を基準として決すべきである旨判示している。Cは甲土地の差押えの前に仮装譲渡の事情を知っているため、「善意」といえない。したがって、Aは、Cに対し、AB間の売買契約の無効を主張することができる。
(H29 司法 第4問 ア)
甲土地を所有するAがBと通謀して甲土地をBに仮装譲渡し、AからBへの所有権移転登記がされた後、Bの債権者Cが甲土地を差し押さえた場合において、その差押えの時にCが仮装譲渡について善意であったときは、Aは、Cに対し、Bへの譲渡が無効であることを主張することができない。
甲土地を所有するAがBと通謀して甲土地をBに仮装譲渡し、AからBへの所有権移転登記がされた後、Bの債権者Cが甲土地を差し押さえた場合において、その差押えの時にCが仮装譲渡について善意であったときは、Aは、Cに対し、Bへの譲渡が無効であることを主張することができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭48.6.28)は、虚偽の意思表示により譲り受けた目的物を差し押さえた仮装譲受人の一般債権者は、「第三者」(94条2項)に当たる旨判示している。また、判例(最判昭55.9.11)は、94条2項所定の第三者の善意の存否は、同条項の適用の対象となるべき法律関係ごとに当該法律関係につき第三者が利害関係を有するに至った時期を基準として決すべきである旨判示している。したがって、Bの債権者Cが甲土地を差し押さえた場合において、その差押えの時にCが仮装譲渡について善意であったときは、Cは「善意の第三者」に当たるため、Aは、Cに対して、Bへの譲渡が無効であることを主張することができない。
判例(最判昭48.6.28)は、虚偽の意思表示により譲り受けた目的物を差し押さえた仮装譲受人の一般債権者は、「第三者」(94条2項)に当たる旨判示している。また、判例(最判昭55.9.11)は、94条2項所定の第三者の善意の存否は、同条項の適用の対象となるべき法律関係ごとに当該法律関係につき第三者が利害関係を有するに至った時期を基準として決すべきである旨判示している。したがって、Bの債権者Cが甲土地を差し押さえた場合において、その差押えの時にCが仮装譲渡について善意であったときは、Cは「善意の第三者」に当たるため、Aは、Cに対して、Bへの譲渡が無効であることを主張することができない。
総合メモ
94条2項における「第三者」の意義 最一小判昭和55年9月11日
概要
①原抵当権が虚偽であることにつき善意で転抵当権の設定を受け登記を経由した者は、抵当権につき377条1項の対抗要件を具備していなくとも、94条2項の「第三者」に当たるため、原抵当権設定者は原抵当権が虚偽表示により無効であることを対抗できない。
②94条2項所定の「第三者」の善意の存否は、同条項の適用の対象となるべき法律関係ごとに当該法律関係につき第三者が利害関係を有するに至った時期を基準として決すべきである。
②94条2項所定の「第三者」の善意の存否は、同条項の適用の対象となるべき法律関係ごとに当該法律関係につき第三者が利害関係を有するに至った時期を基準として決すべきである。
判例
事案:①抵当権を設定したように仮装した原抵当権設定登記に基づいて転抵当権が設定され、抵当目的不動産の所有者が転抵当権者に対して、転抵当権の抹消登記手続等を求めた場合において、原抵当権が虚偽のものであることにつき善意で転抵当権の設定を受けた者は、377条1項所定の要件を満たしていなくても、民法94条2項の「善意の第三者」に該当し、同項によって保護されるかが問題となった。
②94条2項の「善意」を判断する時期の基準が問題となった。
判旨:①「原抵当権が虚偽仮装のものであることにつき善意で転抵当権の設定を受けた者は、たとえ右転抵当権の取得につき民法376条1項所定の要件を未だ具備しておらず、したがつて、右権利そのものを行使し、又は権利取得の効果を原抵当権設定者に主張することができない場合であっても、民法94条2項の関係では、すでに有効な転抵当権設定契約に基づき一定の法律上の地位を取得した者として同条項にいう善意の第三者に該当するものということを妨げないと解すべきであるから、原抵当権設定者は、これに対する関係では、右原抵当権が虚偽仮装のものであることを主張することができないというべきである。」
②「思うに、民法94条2項所定の第三者の善意・悪意は、同条項の適用の対象となるべき法律関係ごとに当該法律関係につき第三者が利害関係を有するに至った時期を基準として決すべきものと解するのが相当である…。」
②94条2項の「善意」を判断する時期の基準が問題となった。
判旨:①「原抵当権が虚偽仮装のものであることにつき善意で転抵当権の設定を受けた者は、たとえ右転抵当権の取得につき民法376条1項所定の要件を未だ具備しておらず、したがつて、右権利そのものを行使し、又は権利取得の効果を原抵当権設定者に主張することができない場合であっても、民法94条2項の関係では、すでに有効な転抵当権設定契約に基づき一定の法律上の地位を取得した者として同条項にいう善意の第三者に該当するものということを妨げないと解すべきであるから、原抵当権設定者は、これに対する関係では、右原抵当権が虚偽仮装のものであることを主張することができないというべきである。」
②「思うに、民法94条2項所定の第三者の善意・悪意は、同条項の適用の対象となるべき法律関係ごとに当該法律関係につき第三者が利害関係を有するに至った時期を基準として決すべきものと解するのが相当である…。」
過去問・解説
(H29 司法 第4問 ウ)
甲土地を所有するAがBと通謀して甲土地にBのための抵当権設定を仮装した後、その抵当権設定が仮装であることについて善意のCがBから転抵当権の設定を受け、その旨の登記がされた場合には、Aは、Cに対し、原抵当権の設定が無効であることを主張することができない。
甲土地を所有するAがBと通謀して甲土地にBのための抵当権設定を仮装した後、その抵当権設定が仮装であることについて善意のCがBから転抵当権の設定を受け、その旨の登記がされた場合には、Aは、Cに対し、原抵当権の設定が無効であることを主張することができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭55.9.11)は、原抵当権が虚偽であることにつき善意で転抵当権の設定を受け登記を経由した者は、抵当権につき377条1項の対抗要件を具備していなくとも、94条2項の「第三者」に当たるため、原抵当権設定者は原抵当権が虚偽表示により無効であることを対抗できない旨判示している。本肢においては、CはAB間の甲土地への抵当権設定が仮装であることについて善意で転抵当権の設定を受けていることから、94条2項の「善意の第三者」に当たる。したがって、Aは、Cに対し、原抵当権の設定が無効であることを主張することができない。
判例(最判昭55.9.11)は、原抵当権が虚偽であることにつき善意で転抵当権の設定を受け登記を経由した者は、抵当権につき377条1項の対抗要件を具備していなくとも、94条2項の「第三者」に当たるため、原抵当権設定者は原抵当権が虚偽表示により無効であることを対抗できない旨判示している。本肢においては、CはAB間の甲土地への抵当権設定が仮装であることについて善意で転抵当権の設定を受けていることから、94条2項の「善意の第三者」に当たる。したがって、Aは、Cに対し、原抵当権の設定が無効であることを主張することができない。
(R3 司法 第2問 ウ)
相手方と通じてした虚偽の意思表示の無効は、第三者がその表示の目的につき法律上の利害関係を有するに至った時に善意であれば、その後悪意になったとしても、その第三者に対抗することができない。
相手方と通じてした虚偽の意思表示の無効は、第三者がその表示の目的につき法律上の利害関係を有するに至った時に善意であれば、その後悪意になったとしても、その第三者に対抗することができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭55.9.11)は、94条2項所定の「第三者」の善意の存否は、同条項の適用の対象となるべき法律関係ごとに当該法律関係につき第三者が利害関係を有するに至った時期を基準として決すべきである旨判示している。したがって、相手方と通じてした虚偽の意思表示の無効は、第三者がその表示の目的につき法律上の利害関係を有するに至った時に善意であれば、この時点で「善意の第三者」に該当するため、その後悪意になったとしても、その「第三者」に対抗することができない。
判例(最判昭55.9.11)は、94条2項所定の「第三者」の善意の存否は、同条項の適用の対象となるべき法律関係ごとに当該法律関係につき第三者が利害関係を有するに至った時期を基準として決すべきである旨判示している。したがって、相手方と通じてした虚偽の意思表示の無効は、第三者がその表示の目的につき法律上の利害関係を有するに至った時に善意であれば、この時点で「善意の第三者」に該当するため、その後悪意になったとしても、その「第三者」に対抗することができない。
総合メモ
94条2項における「第三者」 最三小判昭和57年6月8日
概要
土地の仮装譲受人が当該土地上に建物を建築してこれを他人に賃貸した場合、当該建物賃借人は、仮装譲渡された土地については法律上の利害関係を有するものとは認められないから、その建物賃借人は、94条2項の「第三者」に当たらない。
判例
事案:土地の仮装譲受人が当該土地上に建物を建築してこれを他人に賃貸した場合において、当該建物賃借人が94条2項の「第三者」に当たるかが問題となった。
要旨:「土地の仮装譲受人が右土地上に建物を建築してこれを他人に賃貸した場合、右建物賃借人は、仮装譲渡された土地については法律上の利害関係を有するものとは認められないから、民法94条2項所定の第三者にはあたらないと解するのが相当である。」
要旨:「土地の仮装譲受人が右土地上に建物を建築してこれを他人に賃貸した場合、右建物賃借人は、仮装譲渡された土地については法律上の利害関係を有するものとは認められないから、民法94条2項所定の第三者にはあたらないと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H21 司法 第4問 オ)
虚偽表示に当たる法律行為がされた場合、「相手方と通じてした虚偽の意思表示の無効を対抗することができない第三者」に該当するか。
土地の仮装譲受人から当該土地上の建物を賃借した者
虚偽表示に当たる法律行為がされた場合、「相手方と通じてした虚偽の意思表示の無効を対抗することができない第三者」に該当するか。
土地の仮装譲受人から当該土地上の建物を賃借した者
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭57.6.8)は、土地の仮装譲受人が当該土地上に建物を建築してこれを他人に賃貸した場合、当該建物賃借人は、仮装譲渡された土地については法律上の利害関係を有するものとは認められないから、その建物賃借人は、94条2項の「第三者」に当たらない旨判示している。
判例(最判昭57.6.8)は、土地の仮装譲受人が当該土地上に建物を建築してこれを他人に賃貸した場合、当該建物賃借人は、仮装譲渡された土地については法律上の利害関係を有するものとは認められないから、その建物賃借人は、94条2項の「第三者」に当たらない旨判示している。
(H30 司法 第3問 ア)
土地の仮装譲受人が当該土地上に建物を建築してこれを他人に賃貸した場合、その建物賃借人は、民法第94条第2項の「第三者」に当たらない。
土地の仮装譲受人が当該土地上に建物を建築してこれを他人に賃貸した場合、その建物賃借人は、民法第94条第2項の「第三者」に当たらない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭57.6.8)は、土地の仮装譲受人が当該土地上に建物を建築してこれを他人に賃貸した場合、当該建物賃借人は、仮装譲渡された土地については法律上の利害関係を有するものとは認められないから、その建物賃借人は、94条2項の「第三者」に当たらない旨判示している。
判例(最判昭57.6.8)は、土地の仮装譲受人が当該土地上に建物を建築してこれを他人に賃貸した場合、当該建物賃借人は、仮装譲渡された土地については法律上の利害関係を有するものとは認められないから、その建物賃借人は、94条2項の「第三者」に当たらない旨判示している。
総合メモ
虚偽の外観作出の帰責性による94条2項、110条類推適用の可否 最一小判平成18年2月23日
概要
不動産の所有者は、他者により当該不動産に不実の所有権移転登記がなされた場合、登記がされたことについて自らこれに積極的に関与した場合やこれを知りながらあえて放置した場合と同視し得るほど重い帰責性があるときは、94条2項、110条の類推適用により、他者から当該不動産を買い受けた善意無過失の譲受人に対し、他者が当該不動産の所有権を取得していないことを主張することができない。
判例
事案:不実の所有権移転登記がされたことにつき、不動産の所有者に、自らこれに積極的に関与した場合やこれを知りながらあえて放置した場合と同視し得るほど重い帰責性がある場合において、不動産の所有者が譲受人に対して、不実の登記名義人が当該不動産の所有権を取得していないことを主張できるかが問題となった。
判旨:「Aが本件不動産の登記済証、Xの印鑑登録証明書及びXを申請者とする登記申請書を用いて本件登記手続をすることができたのは、上記のようなXの余りにも不注意な行為によるものであり、Aによって虚偽の外観(不実の登記)が作出されたことについてのXの帰責性の程度は、自ら外観の作出に積極的に関与した場合やこれを知りながらあえて放置した場合と同視し得るほど重いものというべきである。そして、前記確定事実によれば、Yは、Aが所有者であるとの外観を信じ、また、そのように信ずることについて過失がなかったというのであるから、民法94条2項、110条の類推適用により、Xは、Aが本件不動産の所有権を取得していないことをYに対し主張することができないものと解するのが相当である。」
判旨:「Aが本件不動産の登記済証、Xの印鑑登録証明書及びXを申請者とする登記申請書を用いて本件登記手続をすることができたのは、上記のようなXの余りにも不注意な行為によるものであり、Aによって虚偽の外観(不実の登記)が作出されたことについてのXの帰責性の程度は、自ら外観の作出に積極的に関与した場合やこれを知りながらあえて放置した場合と同視し得るほど重いものというべきである。そして、前記確定事実によれば、Yは、Aが所有者であるとの外観を信じ、また、そのように信ずることについて過失がなかったというのであるから、民法94条2項、110条の類推適用により、Xは、Aが本件不動産の所有権を取得していないことをYに対し主張することができないものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H27 司法 第4問 4)
AがBに対しA所有の甲土地を売却する代理権を与えていないのに、Bが甲土地につきAからBへの所有権移転登記をした上で、その事情について善意無過失のCに甲土地を売却した場合、Aが甲土地の登記済証及びAの印鑑登録証明書をBに預けたままにし、Aの面前でBがAの実印を登記申請書に押捺するのを漫然と見ていたなど、Aの帰責性の程度が自ら外観の作出に積極的に関与した場合やこれを知りながらあえて放置した場合と同視し得るほど重いときは、Cは、Aに対し、甲土地の所有権をCが有することを主張することができる。
AがBに対しA所有の甲土地を売却する代理権を与えていないのに、Bが甲土地につきAからBへの所有権移転登記をした上で、その事情について善意無過失のCに甲土地を売却した場合、Aが甲土地の登記済証及びAの印鑑登録証明書をBに預けたままにし、Aの面前でBがAの実印を登記申請書に押捺するのを漫然と見ていたなど、Aの帰責性の程度が自ら外観の作出に積極的に関与した場合やこれを知りながらあえて放置した場合と同視し得るほど重いときは、Cは、Aに対し、甲土地の所有権をCが有することを主張することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平18.2.23)は、本肢と同種の事案において、不動産の所有者は、他者により当該不動産に不実の所有権移転登記がなされた場合、登記がされたことについて自らこれに積極的に関与した場合やこれを知りながらあえて放置した場合と同視し得るほど重い帰責性があるときは、94条2項、110条の類推適用により、他者から当該不動産を買い受けた善意無過失の譲受人に対し、他者が当該不動産の所有権を取得していないことを主張することができない旨判示している。そうすると、本肢においても、Aの帰責性の程度が自ら外観の作出に積極的に関与した場合やこれを知りながらあえて放置した場合と同視し得るほど重いことから、94条2項、110条の類推適用により、Bから甲土地を善意無過失で譲り受けたCは、Aに対し、甲土地の所有権をCが有することを主張することができる。
判例(最判平18.2.23)は、本肢と同種の事案において、不動産の所有者は、他者により当該不動産に不実の所有権移転登記がなされた場合、登記がされたことについて自らこれに積極的に関与した場合やこれを知りながらあえて放置した場合と同視し得るほど重い帰責性があるときは、94条2項、110条の類推適用により、他者から当該不動産を買い受けた善意無過失の譲受人に対し、他者が当該不動産の所有権を取得していないことを主張することができない旨判示している。そうすると、本肢においても、Aの帰責性の程度が自ら外観の作出に積極的に関与した場合やこれを知りながらあえて放置した場合と同視し得るほど重いことから、94条2項、110条の類推適用により、Bから甲土地を善意無過失で譲り受けたCは、Aに対し、甲土地の所有権をCが有することを主張することができる。
総合メモ
他に連帯保証人がある旨の債務者の言を誤信して連帯保証をした場合は要素の錯誤か 最一小判昭和32年12月19日
概要
他に連帯保証人がある旨の債務者の言葉を誤信した結果、連帯保証をした場合は、保証人が債権者に対して、他にも連帯保証人があることを特に連帯保証契約の内容としたという事情がない限り、当然に錯誤取消しができるわけではない。
判例
事案:他に連帯保証人がある旨の債務者の言葉を誤信した結果、連帯保証をした場合において、当然に錯誤取消しができるかどうかが問題となった。
判旨:「保証契約は、保証人と債権者との間に成立する契約であつて、他に連帯保証人があるかどうかは、通常は保証契約をなす単なる縁由にすぎず、当然にはその保証契約の内容となるものではない。されば、原判決説示のごとくAにおいてBも連帯保証人となることが特に本件保証契約の内容とした旨の主張、立証のない本件においては、原判決の判断は正当であ」る。
判旨:「保証契約は、保証人と債権者との間に成立する契約であつて、他に連帯保証人があるかどうかは、通常は保証契約をなす単なる縁由にすぎず、当然にはその保証契約の内容となるものではない。されば、原判決説示のごとくAにおいてBも連帯保証人となることが特に本件保証契約の内容とした旨の主張、立証のない本件においては、原判決の判断は正当であ」る。
過去問・解説
(H28 司法 第2問 エ)
他にも連帯保証人となる者がいるとの債務者の説明を信じて連帯保証人となった者は、特にその旨が表示され連帯保証契約の内容とされていたとしても、連帯保証契約について錯誤による取消しを主張することができない。
他にも連帯保証人となる者がいるとの債務者の説明を信じて連帯保証人となった者は、特にその旨が表示され連帯保証契約の内容とされていたとしても、連帯保証契約について錯誤による取消しを主張することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭32.12.19)は、「保証契約は、保証人と債権者との間に成立する契約であって、他に連帯保証人があるかどうかは、通常は保証契約をなす単なる縁由にすぎず、当然にはその保証契約の内容となるものではない。」と判示しつつ、「されば、原判決説示のごとくAにおいてBも連帯保証人となることが特に本件保証契約の内容とした旨の主張、立証のない本件においては、原判決の判断は正当であ」ると判示し、錯誤取消しが認められない旨判示している。そうすると、保証契約において他に連帯保証人となる者がいるかどうかは、動機の錯誤(95条1項2号)に当たるところ、判例の事案とは異なり、特にその旨が表示され連帯保証契約の内容とされていた場合(95条2項)には、当該錯誤は「法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものである」(95条1項柱書)といえるため、連帯保証契約について錯誤による取消しを主張することができる。
判例(最判昭32.12.19)は、「保証契約は、保証人と債権者との間に成立する契約であって、他に連帯保証人があるかどうかは、通常は保証契約をなす単なる縁由にすぎず、当然にはその保証契約の内容となるものではない。」と判示しつつ、「されば、原判決説示のごとくAにおいてBも連帯保証人となることが特に本件保証契約の内容とした旨の主張、立証のない本件においては、原判決の判断は正当であ」ると判示し、錯誤取消しが認められない旨判示している。そうすると、保証契約において他に連帯保証人となる者がいるかどうかは、動機の錯誤(95条1項2号)に当たるところ、判例の事案とは異なり、特にその旨が表示され連帯保証契約の内容とされていた場合(95条2項)には、当該錯誤は「法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものである」(95条1項柱書)といえるため、連帯保証契約について錯誤による取消しを主張することができる。
総合メモ
黙示の表示と錯誤取り消し 最一小判平成元年9月14日
概要
協議離婚に伴い夫が自己の不動産全部を妻に譲渡する旨の財産分与契約をし、後日夫に譲渡所得税が課されることが判明した場合において、契約の当時、妻のみに課税されるものと誤解した夫が心配してこれを気遣う発言をし、妻も自己に課税されるものと理解していたなどの事実関係の下においては、他に特段の事情がない限り、夫の課税負担の錯誤に係る動機は、妻に黙示的に表示されて意思表示の内容をなしている。
判例
事案:協議離婚に伴う財産分与契約において、分与者が自己に課税されないと錯誤に陥っており、かつその旨を明言はしていなかった場合においても、当該錯誤にかかる動機が意思表示の内容になるかが問題となった。
判旨:「所得税法33条1項にいう「資産の譲渡」とは、有償無償を問わず資産を移転させる一切の行為をいうものであり、夫婦の一方の特有財産である資産を財産分与として他方に譲渡することが右「資産の譲渡」に当たり、 譲渡所得を生ずるものであることは、当裁判所の判例(最高裁昭和47年(行ツ)第4号同50年5月27日第三小法廷判決・民集29巻5号641頁、昭和51年(行ツ)第27号同53年2月16日第一小法廷判決・裁判集民事123号七71頁)とするところであり、離婚に伴う財産分与として夫婦の一方がその特有財産である不動産を他方に譲渡した場合には、分与者に譲渡所得を生じたものとして課税されることとなる。…本件財産分与契約の際、少なくとも上告人において右の点を誤解していたものというほかはないが、上告人は、その際、財産分与を受ける被上告人に課税されることを心配してこれを気遣う発言をしたというのであり、記録によれば、被上告人も、自己に課税されるものと理解していたことが窺われる。そうとすれば、上告人において、右財産分与に伴う課税の点を重視していたのみならず、他に特段の事情がない限り、自己に課税されないことを当然の前提とし、かつ、その旨を黙示的には表示していたものといわざるをえない。」
判旨:「所得税法33条1項にいう「資産の譲渡」とは、有償無償を問わず資産を移転させる一切の行為をいうものであり、夫婦の一方の特有財産である資産を財産分与として他方に譲渡することが右「資産の譲渡」に当たり、 譲渡所得を生ずるものであることは、当裁判所の判例(最高裁昭和47年(行ツ)第4号同50年5月27日第三小法廷判決・民集29巻5号641頁、昭和51年(行ツ)第27号同53年2月16日第一小法廷判決・裁判集民事123号七71頁)とするところであり、離婚に伴う財産分与として夫婦の一方がその特有財産である不動産を他方に譲渡した場合には、分与者に譲渡所得を生じたものとして課税されることとなる。…本件財産分与契約の際、少なくとも上告人において右の点を誤解していたものというほかはないが、上告人は、その際、財産分与を受ける被上告人に課税されることを心配してこれを気遣う発言をしたというのであり、記録によれば、被上告人も、自己に課税されるものと理解していたことが窺われる。そうとすれば、上告人において、右財産分与に伴う課税の点を重視していたのみならず、他に特段の事情がない限り、自己に課税されないことを当然の前提とし、かつ、その旨を黙示的には表示していたものといわざるをえない。」
過去問・解説
(H20 司法 第5問 エ)
協議離婚に伴う財産分与契約において、分与者は、自己に譲渡所得税が課されることを知らず、課税されないとの理解を当然の前提とし、かつ、その旨を黙示的に表示していた場合であっても、財産分与契約の取消しを主張することはできない。
協議離婚に伴う財産分与契約において、分与者は、自己に譲渡所得税が課されることを知らず、課税されないとの理解を当然の前提とし、かつ、その旨を黙示的に表示していた場合であっても、財産分与契約の取消しを主張することはできない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平元.9.14)は、協議離婚に伴う財産分与契約において、分与者が、自己に譲渡所得税が課されることを知らず、課税されないとの理解を当然の前提とし、かつ、その旨を黙示的に表示していた場合には、課税負担の錯誤にかかる動機は、意思表示の内容を内容をなす旨判示している。この判例の理解は現行法にも妥当し、動機が黙示的に表示されていた場合であっても、95条2項の「表示されていたとき」に当たる。
そうすると、協議離婚に伴う財産分与契約において、分与者の、自己に譲渡所得税が課されることを知らず、課税されないとの理解は、動機の錯誤(95条1項2号)に当たり、当該錯誤は「法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要」(95条1項柱書)であり、「表示されていたとき」(95条2項)に当たる。したがって、分与者は財産分与契約の取消しを主張することができる。
判例(最判平元.9.14)は、協議離婚に伴う財産分与契約において、分与者が、自己に譲渡所得税が課されることを知らず、課税されないとの理解を当然の前提とし、かつ、その旨を黙示的に表示していた場合には、課税負担の錯誤にかかる動機は、意思表示の内容を内容をなす旨判示している。この判例の理解は現行法にも妥当し、動機が黙示的に表示されていた場合であっても、95条2項の「表示されていたとき」に当たる。
そうすると、協議離婚に伴う財産分与契約において、分与者の、自己に譲渡所得税が課されることを知らず、課税されないとの理解は、動機の錯誤(95条1項2号)に当たり、当該錯誤は「法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要」(95条1項柱書)であり、「表示されていたとき」(95条2項)に当たる。したがって、分与者は財産分与契約の取消しを主張することができる。
(H30 司法 第3問 エ)
協議離婚に伴う財産分与契約において、分与者は、自己に譲渡所得税が課されることを知らず、課税されないとの理解を当然の前提とし、かつ、その旨を黙示的に表示していた場合であっても、財産分与契約について錯誤による無効を主張することはできない。
協議離婚に伴う財産分与契約において、分与者は、自己に譲渡所得税が課されることを知らず、課税されないとの理解を当然の前提とし、かつ、その旨を黙示的に表示していた場合であっても、財産分与契約について錯誤による無効を主張することはできない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平元.9.14)は、協議離婚に伴う財産分与契約において、分与者が、自己に譲渡所得税が課されることを知らず、課税されないとの理解を当然の前提とし、かつ、その旨を黙示的に表示していた場合には、課税負担の錯誤にかかる動機は、意思表示の内容を内容をなす旨判示している。この判例の理解は現行法にも妥当し、動機が黙示的に表示されていた場合であっても、95条2項の「表示されていたとき」に当たる。
そうすると、協議離婚に伴う財産分与契約において、分与者の、自己に譲渡所得税が課されることを知らず、課税されないとの理解は、動機の錯誤(95条1項2号)に当たり、当該錯誤は「法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要」(95条1項柱書)であり、「表示されていたとき」(95条2項)に当たる。したがって、分与者は財産分与契約の錯誤による取消しを主張することができ、取消しにより生ずる無効(121条)を主張することができる。
判例(最判平元.9.14)は、協議離婚に伴う財産分与契約において、分与者が、自己に譲渡所得税が課されることを知らず、課税されないとの理解を当然の前提とし、かつ、その旨を黙示的に表示していた場合には、課税負担の錯誤にかかる動機は、意思表示の内容を内容をなす旨判示している。この判例の理解は現行法にも妥当し、動機が黙示的に表示されていた場合であっても、95条2項の「表示されていたとき」に当たる。
そうすると、協議離婚に伴う財産分与契約において、分与者の、自己に譲渡所得税が課されることを知らず、課税されないとの理解は、動機の錯誤(95条1項2号)に当たり、当該錯誤は「法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要」(95条1項柱書)であり、「表示されていたとき」(95条2項)に当たる。したがって、分与者は財産分与契約の錯誤による取消しを主張することができ、取消しにより生ずる無効(121条)を主張することができる。
総合メモ
錯誤取消しの可否 最一小判平成14年7月11日
概要
特定の商品の代金について立替払契約が締結され、同契約に基づく債務について連帯保証契約が締結された場合において、立替払契約は商品の売買契約が存在しないいわゆる空クレジット契約であって、保証人は、保証契約を締結した際、そのことを知らなかったなどの事実関係の下においては、保証人の意思表示には法律行為の要素に錯誤がある。
判例
事案:商品代金の立替払契約に基づく債務の保証人の意思表示の際に、主債務にかかる契約が空クレジット契約であった場合、要素の錯誤が認められるかが問題となった。
判旨:「保証契約は、特定の主債務を保証する契約であるから、主債務がいかなるものであるかは、保証契約の重要な内容である。そして、主債務が、商品を購入する者がその代金の立替払を依頼しその立替金を分割して支払う立替払契約上の債務である場合には、商品の売買契約の成立が立替払契約の前提となるから、商品売買契約の成否は、原則として、保証契約の重要な内容であると解するのが相当である。」
「(1)本件立替払契約は、Aにおいて、CがDから購入する本件機械の代金をDに立替払し、Cは、Aに対し、立替金及び手数料の合計額を分割して支払う、という形態のものであり、本件保証契約は本件立替払契約に基づきCがAに対して負担する債務について連帯して保証するものであるところ、(2)本件立替払契約はいわゆる空クレジット契約であって、本件機械の売買契約は存在せず、(3)Bは、本件保証契約を締結した際、そのことを知らなかった、というのであるから、本件保証契約におけるBの意思表示は法律行為の要素に錯誤があったものというべきである。
本件立替払契約のようなクレジット契約が、その経済的な実質は金融上の便宜を供与するにある…。しかし、主たる債務が実体のある正規のクレジット契約によるものである場合と、空クレジットを利用することによって不正常な形で金融の便益を得るものである場合とで、主債務者の信用に実際上差があることは否定できず、保証人にとって、主債務がどちらの態様のものであるかにより、その負うべきリスクが異なってくるはずであり、看過し得ない重要な相違があるといわざるをえない。まして、前記のように、1通の本件契約書上に本件立替払契約と本件保証契約が併せ記載されている本件においては、 連帯保証人であるBは、主債務者であるCが本件機械を買い受けてAに対し分割金を支払う態様の正規の立替払契約であることを当然の前提とし、これを本件保証契約の内容として意思表示をしたものであることは、一層明確であるといわなければならない。」
判旨:「保証契約は、特定の主債務を保証する契約であるから、主債務がいかなるものであるかは、保証契約の重要な内容である。そして、主債務が、商品を購入する者がその代金の立替払を依頼しその立替金を分割して支払う立替払契約上の債務である場合には、商品の売買契約の成立が立替払契約の前提となるから、商品売買契約の成否は、原則として、保証契約の重要な内容であると解するのが相当である。」
「(1)本件立替払契約は、Aにおいて、CがDから購入する本件機械の代金をDに立替払し、Cは、Aに対し、立替金及び手数料の合計額を分割して支払う、という形態のものであり、本件保証契約は本件立替払契約に基づきCがAに対して負担する債務について連帯して保証するものであるところ、(2)本件立替払契約はいわゆる空クレジット契約であって、本件機械の売買契約は存在せず、(3)Bは、本件保証契約を締結した際、そのことを知らなかった、というのであるから、本件保証契約におけるBの意思表示は法律行為の要素に錯誤があったものというべきである。
本件立替払契約のようなクレジット契約が、その経済的な実質は金融上の便宜を供与するにある…。しかし、主たる債務が実体のある正規のクレジット契約によるものである場合と、空クレジットを利用することによって不正常な形で金融の便益を得るものである場合とで、主債務者の信用に実際上差があることは否定できず、保証人にとって、主債務がどちらの態様のものであるかにより、その負うべきリスクが異なってくるはずであり、看過し得ない重要な相違があるといわざるをえない。まして、前記のように、1通の本件契約書上に本件立替払契約と本件保証契約が併せ記載されている本件においては、 連帯保証人であるBは、主債務者であるCが本件機械を買い受けてAに対し分割金を支払う態様の正規の立替払契約であることを当然の前提とし、これを本件保証契約の内容として意思表示をしたものであることは、一層明確であるといわなければならない。」
過去問・解説
(H28 司法 第2問 ウ)
Aを売主、Bを買主とする売買契約に基づく商品の売買代金をCが立替払する旨の契約がBC間で締結され、BのCに対する立替金償還債務をDが連帯保証した場合において、Dが、CD間の連帯保証契約締結当時、実際にはAB間の売買契約が存在しないことを知らなかったときは、Dは、CD間の連帯保証契約について錯誤による取消しを主張することができる。
Aを売主、Bを買主とする売買契約に基づく商品の売買代金をCが立替払する旨の契約がBC間で締結され、BのCに対する立替金償還債務をDが連帯保証した場合において、Dが、CD間の連帯保証契約締結当時、実際にはAB間の売買契約が存在しないことを知らなかったときは、Dは、CD間の連帯保証契約について錯誤による取消しを主張することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平14.7.11)は、「保証契約は、特定の主債務を保証する契約であるから、主債務がいかなるものであるかは、保証契約の重要な内容である。そして、主債務が、商品を購入する者がその代金の立替払を依頼しその立替金を分割して支払う立替払契約上の債務である場合には、商品の売買契約の成立が立替払契約の前提となるから、商品売買契約の成否は、原則として、保証契約の重要な内容であると解するのが相当である。」と判示し、錯誤無効を認める旨判示している。この判例の理解は、現行法下においても妥当する。したがって、Dが、CD間の連帯保証契約締結当時、実際にはAB間の売買契約が存在しないことを知らなかったときは、Dは、CD間の連帯保証契約について錯誤による取消(95条1項)を主張することができる。
判例(最判平14.7.11)は、「保証契約は、特定の主債務を保証する契約であるから、主債務がいかなるものであるかは、保証契約の重要な内容である。そして、主債務が、商品を購入する者がその代金の立替払を依頼しその立替金を分割して支払う立替払契約上の債務である場合には、商品の売買契約の成立が立替払契約の前提となるから、商品売買契約の成否は、原則として、保証契約の重要な内容であると解するのが相当である。」と判示し、錯誤無効を認める旨判示している。この判例の理解は、現行法下においても妥当する。したがって、Dが、CD間の連帯保証契約締結当時、実際にはAB間の売買契約が存在しないことを知らなかったときは、Dは、CD間の連帯保証契約について錯誤による取消(95条1項)を主張することができる。
総合メモ
96条3項の「第三者」の意義 大判昭和7年8月9日
概要
96条3項における「第三者」とは、詐欺による意思表示の後、新たに権利を有するに至った者をいい、詐欺による他人間の法律行為によって自己の債務を免れたにすぎない者は、「第三者」に当たらない。
判例
事案:詐欺による他人間の法律行為によって自己の債務を免れた者が、当該他人間の法律行為が詐欺により取り消された場合において、その自己の債務を免れた者が96条3項の「第三者」に当たり保護されるかが問題となった。
判旨:「民法第96条第3項ニ所謂善意ノ第三者トハ詐欺ノ情ヲ知ラス善意ヲ以テ新ニ権利ヲ取得シタル者ヲ謂フモノニシテ詐欺ニ因ル他人間ノ法律行為ニ因リ自然ニ自己ノ債務ヲ免レタル者ノ如キハ其ノ内ニ包含セサルモノト解スルヲ相当トス(明治32年(オ)第227号明治33年5月7日当院判決参照)。」
判旨:「民法第96条第3項ニ所謂善意ノ第三者トハ詐欺ノ情ヲ知ラス善意ヲ以テ新ニ権利ヲ取得シタル者ヲ謂フモノニシテ詐欺ニ因ル他人間ノ法律行為ニ因リ自然ニ自己ノ債務ヲ免レタル者ノ如キハ其ノ内ニ包含セサルモノト解スルヲ相当トス(明治32年(オ)第227号明治33年5月7日当院判決参照)。」
過去問・解説
(H26 共通 第2問 オ)
連帯債務者の1人であるAが代物弁済をした後、その代物弁済を詐欺を理由として取り消した場合、他の連帯債務者は、Aの代物弁済が詐欺によるものであることを過失なく知らなかったときであっても、債権者に対し、代物弁済による債務の消滅を主張することはできない。
連帯債務者の1人であるAが代物弁済をした後、その代物弁済を詐欺を理由として取り消した場合、他の連帯債務者は、Aの代物弁済が詐欺によるものであることを過失なく知らなかったときであっても、債権者に対し、代物弁済による債務の消滅を主張することはできない。
(正答)〇
(解説)
判例(大判昭7.8.9)は、96条3項における「第三者」とは、詐欺による意思表示の後、新たに権利を有するに至った者をいい、詐欺による他人間の法律行為によって自己の債務を免れたにすぎない者は、「第三者」に当たらない旨判示している。したがって、連帯債務者の1人であるAの代物弁済を詐欺を理由として取り消した場合、他の連帯債務者は、「第三者」に当たらず、債権者に対し、代物弁済による債務の消滅を主張することはできない。
判例(大判昭7.8.9)は、96条3項における「第三者」とは、詐欺による意思表示の後、新たに権利を有するに至った者をいい、詐欺による他人間の法律行為によって自己の債務を免れたにすぎない者は、「第三者」に当たらない旨判示している。したがって、連帯債務者の1人であるAの代物弁済を詐欺を理由として取り消した場合、他の連帯債務者は、「第三者」に当たらず、債権者に対し、代物弁済による債務の消滅を主張することはできない。
総合メモ
詐欺取消し後の第三者 大判昭和17年9月30日
概要
①詐欺取消後の第三者は、96条3項の「第三者」に当たらない。
②不動産の売主兼詐欺取消権者と、詐欺取消後の第三者との間の、当該不動産の所有権取得についての優劣は、177条により、登記の有無によって決する。
②不動産の売主兼詐欺取消権者と、詐欺取消後の第三者との間の、当該不動産の所有権取得についての優劣は、177条により、登記の有無によって決する。
判例
事案:①詐欺取消後の第三者が、96条3項の「第三者」に当たるか問題となった。
②不動産の売主兼詐欺取消権者が、詐欺取消後の第三者に対して当該不動産の所有権を主張するためには、登記を備える必要があるかが問題となった。
判旨:「凡ソ民法第96条第3項ニ於テ詐欺ニ因ル意思表示ノ取消ハ之ヲ以テ善意ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得サル旨規定セルハ取消ニ因リ其ノ行為カ初ヨリ無効ナリシモノト看做サルル効果即チ取消ノ遡及効ヲ制限スル趣旨ナレハ茲ニ所謂第三者トハ取消ノ遡及効ニ因リ影響ヲ受クヘキ第三者即チ取消前ヨリ既ニ其ノ行為ノ効力ニ付利害関係ヲ有セル第三者ニ限定シテ解スヘク取消以後ニ於テ始メテ利害関係ヲ有スルニ至リタル第三者ハ仮令其ノ利害関係発生当時詐欺及取消ノ事実ヲ知ラサリシトスルモ右条項ノ適用ヲ受ケサルコト洵ニ原判示ノ如クナリト雖右条項ノ適用ナキノ故ヲ以テ直ニ斯カル第三者ニ対シテハ取消ノ結果ヲ無条件ニ対抗シ得ルモノト為スヲ得ス今之ヲ本件ニ付テ観ルニ本件売買カ原判決説示ノ如ク其ノ要素ニ錯誤アルモノニアラスシテ詐欺ニ因リ取消シ得ヘキモノナリトセハ本件売買ノ取消ニ依リ土地所有権ハAニ復帰シ初ヨリBニ移転サリシモノト為ルモ此ノ物権変動ハ民法第177条ニ依リ登記ヲ為スニ非サレハ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得サルヲ本則ト為ス。」
②不動産の売主兼詐欺取消権者が、詐欺取消後の第三者に対して当該不動産の所有権を主張するためには、登記を備える必要があるかが問題となった。
判旨:「凡ソ民法第96条第3項ニ於テ詐欺ニ因ル意思表示ノ取消ハ之ヲ以テ善意ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得サル旨規定セルハ取消ニ因リ其ノ行為カ初ヨリ無効ナリシモノト看做サルル効果即チ取消ノ遡及効ヲ制限スル趣旨ナレハ茲ニ所謂第三者トハ取消ノ遡及効ニ因リ影響ヲ受クヘキ第三者即チ取消前ヨリ既ニ其ノ行為ノ効力ニ付利害関係ヲ有セル第三者ニ限定シテ解スヘク取消以後ニ於テ始メテ利害関係ヲ有スルニ至リタル第三者ハ仮令其ノ利害関係発生当時詐欺及取消ノ事実ヲ知ラサリシトスルモ右条項ノ適用ヲ受ケサルコト洵ニ原判示ノ如クナリト雖右条項ノ適用ナキノ故ヲ以テ直ニ斯カル第三者ニ対シテハ取消ノ結果ヲ無条件ニ対抗シ得ルモノト為スヲ得ス今之ヲ本件ニ付テ観ルニ本件売買カ原判決説示ノ如ク其ノ要素ニ錯誤アルモノニアラスシテ詐欺ニ因リ取消シ得ヘキモノナリトセハ本件売買ノ取消ニ依リ土地所有権ハAニ復帰シ初ヨリBニ移転サリシモノト為ルモ此ノ物権変動ハ民法第177条ニ依リ登記ヲ為スニ非サレハ之ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得サルヲ本則ト為ス。」
過去問・解説
(H19 司法 第11問 2)
Aは、Bの詐欺により、その所有する土地をBに売り渡し、所有権移転登記をした場合、Aが売買契約を取り消す意思表示をした後、BがこれをCに転売し登記を経由したとしても、Cは、Aに対し、所有権の取得を対抗することができない。
Aは、Bの詐欺により、その所有する土地をBに売り渡し、所有権移転登記をした場合、Aが売買契約を取り消す意思表示をした後、BがこれをCに転売し登記を経由したとしても、Cは、Aに対し、所有権の取得を対抗することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(大判昭17.9.30)は、取消後の第三者は、96条3項の「第三者」に該当しない旨判示した上で、売主と詐欺取消後の第三者と間での不動産の所有権の帰属は、登記の有無で決する旨判示している。Cは詐欺取消後の第三者に当たるところ、購入した土地につき所有権移転登記を経由しているから、Cは、Aに対し、所有権の取得を対抗することができる。
判例(大判昭17.9.30)は、取消後の第三者は、96条3項の「第三者」に該当しない旨判示した上で、売主と詐欺取消後の第三者と間での不動産の所有権の帰属は、登記の有無で決する旨判示している。Cは詐欺取消後の第三者に当たるところ、購入した土地につき所有権移転登記を経由しているから、Cは、Aに対し、所有権の取得を対抗することができる。
(H20 司法 第8問 3)
土地を所有し占有するYは、Aに対し、同土地を売却して移転登記を行ったが、この売買にはAによる詐欺があったので、YはAに対して取消しの意思表示をした。その直後、Aは、同土地をXに売却して移転登記を行った。Xが所有権に基づき占有者Yに対し土地の引渡しを請求した場合、Yは引渡しを拒絶することができる。
土地を所有し占有するYは、Aに対し、同土地を売却して移転登記を行ったが、この売買にはAによる詐欺があったので、YはAに対して取消しの意思表示をした。その直後、Aは、同土地をXに売却して移転登記を行った。Xが所有権に基づき占有者Yに対し土地の引渡しを請求した場合、Yは引渡しを拒絶することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(大判昭17.9.30)は、取消後の第三者は、96条3項の「第三者」に該当しない旨判示した上で、売主と詐欺取消後の第三者との間の不動産の所有権の帰属は、登記の有無で決する旨判示している。Xは取消後の第三者に当たるところ、土地の所有権移転登記を経ており、土地の所有権取得をYに対抗することができる。したがって、Yは引渡しを拒絶することができない。
判例(大判昭17.9.30)は、取消後の第三者は、96条3項の「第三者」に該当しない旨判示した上で、売主と詐欺取消後の第三者との間の不動産の所有権の帰属は、登記の有無で決する旨判示している。Xは取消後の第三者に当たるところ、土地の所有権移転登記を経ており、土地の所有権取得をYに対抗することができる。したがって、Yは引渡しを拒絶することができない。
(H21 司法 第11問 イ)
AがBの詐欺によりBに対し甲不動産を売り渡し、甲不動産の所有権移転登記がされた。その後、AはBの詐欺を理由に当該売買契約を取り消したが、Bはその取消し後に甲不動産をCに売り渡し、その所有権移転登記がされた。この場合、Aは、登記をしなくてもCに対し、所有権の復帰を対抗することができる。
AがBの詐欺によりBに対し甲不動産を売り渡し、甲不動産の所有権移転登記がされた。その後、AはBの詐欺を理由に当該売買契約を取り消したが、Bはその取消し後に甲不動産をCに売り渡し、その所有権移転登記がされた。この場合、Aは、登記をしなくてもCに対し、所有権の復帰を対抗することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(大判昭17.9.30)は、取消後の第三者は、96条3項の「第三者」に該当しない旨判示した上で、売主と詐欺取消後の第三者との間の不動産の所有権の帰属は、登記の有無で決する旨判示している。Cは取消後の第三者に当たるため、AとCとの間の甲不動産の所有権の帰属についての優劣は、登記の有無で決せられる。したがって、Aは、登記をしなければCに対し、所有権の復帰を対抗することができない。
判例(大判昭17.9.30)は、取消後の第三者は、96条3項の「第三者」に該当しない旨判示した上で、売主と詐欺取消後の第三者との間の不動産の所有権の帰属は、登記の有無で決する旨判示している。Cは取消後の第三者に当たるため、AとCとの間の甲不動産の所有権の帰属についての優劣は、登記の有無で決せられる。したがって、Aは、登記をしなければCに対し、所有権の復帰を対抗することができない。
(H27 共通 第7問 イ)
AがA所有の甲土地をBに売却し、その旨の所有権移転登記がされた後、Aは、Bの詐欺を理由としてBに対する売買の意思表示を取り消した。その後、BがCに甲土地を売却し、Cへの所有権移転登記をした場合、Aは、Cに対し、甲土地の所有権がBからAに復帰したことを主張することができない。
AがA所有の甲土地をBに売却し、その旨の所有権移転登記がされた後、Aは、Bの詐欺を理由としてBに対する売買の意思表示を取り消した。その後、BがCに甲土地を売却し、Cへの所有権移転登記をした場合、Aは、Cに対し、甲土地の所有権がBからAに復帰したことを主張することができない。
(正答)〇
(解説)
判例(大判昭17.9.30)は、取消後の第三者は、96条3項の「第三者」に該当しない旨判示した上で、売主と詐欺取消後の第三者との間の不動産の所有権の帰属は、登記の有無で決する旨判示している。Cは取消後の第三者に当たるところ、Cは甲土地の所有権移転登記を経ている。したがって、甲土地所有権の取得についてはCが優先するため、Aは、Cに対し、甲土地の所有権がBからAに復帰したことを主張することができない。
判例(大判昭17.9.30)は、取消後の第三者は、96条3項の「第三者」に該当しない旨判示した上で、売主と詐欺取消後の第三者との間の不動産の所有権の帰属は、登記の有無で決する旨判示している。Cは取消後の第三者に当たるところ、Cは甲土地の所有権移転登記を経ている。したがって、甲土地所有権の取得についてはCが優先するため、Aは、Cに対し、甲土地の所有権がBからAに復帰したことを主張することができない。
(R2 司法 第7問 イ)
A所有の甲土地をAがBに売却し、その旨の登記がされたが、AがBの詐欺を理由としてAB間の売買契約を取り消した後、この取消しについて善意無過失のCに対しBが甲土地を売却し、その旨の登記がされた場合、Aは、Cに対し、甲土地の所有権を登記がなくても主張することができる。
A所有の甲土地をAがBに売却し、その旨の登記がされたが、AがBの詐欺を理由としてAB間の売買契約を取り消した後、この取消しについて善意無過失のCに対しBが甲土地を売却し、その旨の登記がされた場合、Aは、Cに対し、甲土地の所有権を登記がなくても主張することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(大判昭17.9.30)は、取消後の第三者は、96条3項の「第三者」に該当しない旨判示した上で、売主と詐欺取消後の第三者との間の不動産の所有権の帰属は、登記の有無で決する旨判示している。Cは取消後の第三者に当たるところ、Aに先立ち甲土地の所有権移転登記を具備しているため、甲土地の所有権の帰属については、Cが優先する。したがって、Aは、Cに対し、甲土地の所有権を主張することができない。
判例(大判昭17.9.30)は、取消後の第三者は、96条3項の「第三者」に該当しない旨判示した上で、売主と詐欺取消後の第三者との間の不動産の所有権の帰属は、登記の有無で決する旨判示している。Cは取消後の第三者に当たるところ、Aに先立ち甲土地の所有権移転登記を具備しているため、甲土地の所有権の帰属については、Cが優先する。したがって、Aは、Cに対し、甲土地の所有権を主張することができない。
(R6 司法 第7問 ウ)
AがA所有の甲土地をBに売却し、AからBへの所有権移転登記がされた後、Aは、詐欺を理由に甲土地の売買契約を取り消した。Bは、その取消し後に甲土地をCに売却した。この場合、Aは、甲土地の所有権がAに復帰した旨の登記を備えなければ、そのことを第三者Cに対抗することができない。
AがA所有の甲土地をBに売却し、AからBへの所有権移転登記がされた後、Aは、詐欺を理由に甲土地の売買契約を取り消した。Bは、その取消し後に甲土地をCに売却した。この場合、Aは、甲土地の所有権がAに復帰した旨の登記を備えなければ、そのことを第三者Cに対抗することができない。
(正答)〇
(解説)
判例(大判昭17.9.30)は、取消後の第三者は、96条3項の「第三者」に該当しない旨判示した上で、売主と詐欺取消後の第三者との間の不動産の所有権の帰属は、登記の有無で決する旨判示している。Cは取消後の第三者に当たるため、AとCとの間の甲土地所有権の帰属についての優劣は、登記の有無で決せられる。したがって、Aは、甲土地の所有権がAに復帰した旨の登記を備えなければ、そのことを取消後の第三者であるCに対抗することができない。
判例(大判昭17.9.30)は、取消後の第三者は、96条3項の「第三者」に該当しない旨判示した上で、売主と詐欺取消後の第三者との間の不動産の所有権の帰属は、登記の有無で決する旨判示している。Cは取消後の第三者に当たるため、AとCとの間の甲土地所有権の帰属についての優劣は、登記の有無で決せられる。したがって、Aは、甲土地の所有権がAに復帰した旨の登記を備えなければ、そのことを取消後の第三者であるCに対抗することができない。
総合メモ
96条「強迫」の意義 最三小判昭和33年7月1日
概要
「強迫による意思表示」(96条1項)が成立するためには、表意者が畏怖の結果完全に選択の自由を失ったことを要するものではない。
判例
事案:脅迫を受けた表意者に選択の自由がなお存在した場合、96条1項の「強迫による意思表示」が認められるかが問題となった。
判旨:「民法96条にいう「強迫に因る意思表示」の要件たる強迫ないし畏怖については、明示若しくは暗黙に告知せられる害悪が客観的に重大なると軽微なるとを問わず、苟くもこれにより表意者において畏怖した事実があり且右畏怖の結果意思表示をしたという関係が主観的に存すれば足りる…。所論は、強迫の結果選択の自由を失わない限り強迫に因る意思表示ありといい難いとするものであるが、完全に意思の自由を失つた場合はむしろその意思表示は当然無効であり、民法96条適用の余地はないのである。」
判旨:「民法96条にいう「強迫に因る意思表示」の要件たる強迫ないし畏怖については、明示若しくは暗黙に告知せられる害悪が客観的に重大なると軽微なるとを問わず、苟くもこれにより表意者において畏怖した事実があり且右畏怖の結果意思表示をしたという関係が主観的に存すれば足りる…。所論は、強迫の結果選択の自由を失わない限り強迫に因る意思表示ありといい難いとするものであるが、完全に意思の自由を失つた場合はむしろその意思表示は当然無効であり、民法96条適用の余地はないのである。」
過去問・解説
(H23 司法 第1問 1)
強迫が認められるためには、表意者が、畏怖を感じ、完全に意思の自由を失ったといえなければならない。
強迫が認められるためには、表意者が、畏怖を感じ、完全に意思の自由を失ったといえなければならない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭33.7.1)は、「強迫による意思表示」(96条1項)が成立するためには、表意者が畏怖の結果完全に選択の自由を失ったことを要するものではない旨判示している。
判例(最判昭33.7.1)は、「強迫による意思表示」(96条1項)が成立するためには、表意者が畏怖の結果完全に選択の自由を失ったことを要するものではない旨判示している。
(H26 司法 第1問 ウ)
強迫による意思表示の取消しが認められるためには、表意者が完全に意思の自由を失って意思表示をしたことを要する。
強迫による意思表示の取消しが認められるためには、表意者が完全に意思の自由を失って意思表示をしたことを要する。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭33.7.1)は、「強迫による意思表示」(96条1項)が成立するためには、表意者が畏怖の結果完全に選択の自由を失ったことを要するものではない旨判示している。
判例(最判昭33.7.1)は、「強迫による意思表示」(96条1項)が成立するためには、表意者が畏怖の結果完全に選択の自由を失ったことを要するものではない旨判示している。
(H30 司法 第3問 イ)
強迫による意思表示の取消しが認められるためには、表意者が、畏怖の結果、完全に意思の自由を失ったことを要する。
強迫による意思表示の取消しが認められるためには、表意者が、畏怖の結果、完全に意思の自由を失ったことを要する。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭33.7.1)は、「強迫による意思表示」(96条1項)が成立するためには、表意者が畏怖の結果完全に選択の自由を失ったことを要するものではない旨判示している。
判例(最判昭33.7.1)は、「強迫による意思表示」(96条1項)が成立するためには、表意者が畏怖の結果完全に選択の自由を失ったことを要するものではない旨判示している。
総合メモ
96条3項の「第三者」 最一小判昭和49年9月26日
概要
96条3項の「第三者」の範囲は、同条の趣旨に照らして合理的に画定されるべきであり、物権の転得者で、かつ、対抗要件を備えた者に限られず、契約から発生した法律関係について新たに利害関係を有するに至った者が「第三者」に当たる。
判例
事案:AがBとの間で締結した農地の売買契約を、詐欺により取り消したとして、Bから同農地を買い受けたCに対して、抹消登記手続等を求めた場合において、農地法5条の許可を条件とする所有権移転登記請求権保全の仮登記を経由したCが、96条3項の「第三者」に当たるかが問題となった。
判旨:「民法96条1項、3項は、詐欺による意思表示をした者に対し、その意思表示の取消権を与えることによって詐欺被害者の救済をはかるとともに、他方その取消の効果を「善意の第三者」との関係において制限することにより、当該意思表示の有効なことを信頼して新たに利害関係を有するに至った者の地位を保護しようとする趣旨の規定であるから、右の第三者の範囲は、同条のかような立法趣旨に照らして合理的に画定されるべきであって、必ずしも、所有権その他の物権の転得者で、かつ、これにつき対抗要件を備えた者に限定しなければならない理由は、見出し難い。
ところで、本件農地については、知事の許可がないかぎり所有権移転の効力を生じないが、さりとて本件売買契約はなんらの効力を有しないものではなく、特段の事情のないかぎり、売主であるAは、買主であるBのため、知事に対し所定の許可申請手続をなすべき義務を負い、もしその許可があつたときには所有権移転登記手続をなすべき義務を負うに至るのであり、これに対応して、買主は売主に対し、かような条件付の権利を取得し、かつ、この権利を所有権移転請求権保全の仮登記によって保全できると解すべきことは、当裁判所の判例の趣旨とするところである(昭和30年(オ)第995号同33年6月5日第1小法廷判決・民集12巻 9号1359頁、同33年(オ)第836号同35年10月11日第3小法廷判決・ 民集14巻12号2465頁、同39年(オ)第1397号同41年2月24日第1小法廷判決・裁判集民事82号559頁、同42年(オ)第30号同43年4月4日第1小法廷判決・裁判集民事90号887頁、同46年(オ)第213号同46年6月11日第2小法廷判決・裁判集民事103号117頁参照)。そうして、本件売渡担保契約により、Cは、Bが本件農地について取得した右の権利を譲り受け、仮登記移転の附記登記を経由したというのであり、これにつきAが承諾を与えた事実が確定されていない以上は、CがAに対し、直接、本件農地の買主としての権利主張をすることは許されないにしても(最高裁昭和29年(オ)第971号同30年9月29日第1小法廷判決・民集9巻10号1472頁、同37年(オ)第291号同38年9月3日第3小法廷判決・民集17巻8号885頁、同46年(オ)第213号同46年6月11日第2小法廷判決・ 裁判集民事103号117頁参照)、本件売渡担保契約は当事者間においては有効と解しうるのであつて、これにより、Cは、もし本件売買契約について農地法5条の許可がありBが本件農地の所有権を取得した場合には、その所有権を正当に転得することのできる地位を得たものということができる。
そうすると、Cは、以上の意味において、本件売買契約から発生した法律関係について新たに利害関係を有するに至った者というべきであって、民法96条3項の第三者にあたると解するのが相当である。」
判旨:「民法96条1項、3項は、詐欺による意思表示をした者に対し、その意思表示の取消権を与えることによって詐欺被害者の救済をはかるとともに、他方その取消の効果を「善意の第三者」との関係において制限することにより、当該意思表示の有効なことを信頼して新たに利害関係を有するに至った者の地位を保護しようとする趣旨の規定であるから、右の第三者の範囲は、同条のかような立法趣旨に照らして合理的に画定されるべきであって、必ずしも、所有権その他の物権の転得者で、かつ、これにつき対抗要件を備えた者に限定しなければならない理由は、見出し難い。
ところで、本件農地については、知事の許可がないかぎり所有権移転の効力を生じないが、さりとて本件売買契約はなんらの効力を有しないものではなく、特段の事情のないかぎり、売主であるAは、買主であるBのため、知事に対し所定の許可申請手続をなすべき義務を負い、もしその許可があつたときには所有権移転登記手続をなすべき義務を負うに至るのであり、これに対応して、買主は売主に対し、かような条件付の権利を取得し、かつ、この権利を所有権移転請求権保全の仮登記によって保全できると解すべきことは、当裁判所の判例の趣旨とするところである(昭和30年(オ)第995号同33年6月5日第1小法廷判決・民集12巻 9号1359頁、同33年(オ)第836号同35年10月11日第3小法廷判決・ 民集14巻12号2465頁、同39年(オ)第1397号同41年2月24日第1小法廷判決・裁判集民事82号559頁、同42年(オ)第30号同43年4月4日第1小法廷判決・裁判集民事90号887頁、同46年(オ)第213号同46年6月11日第2小法廷判決・裁判集民事103号117頁参照)。そうして、本件売渡担保契約により、Cは、Bが本件農地について取得した右の権利を譲り受け、仮登記移転の附記登記を経由したというのであり、これにつきAが承諾を与えた事実が確定されていない以上は、CがAに対し、直接、本件農地の買主としての権利主張をすることは許されないにしても(最高裁昭和29年(オ)第971号同30年9月29日第1小法廷判決・民集9巻10号1472頁、同37年(オ)第291号同38年9月3日第3小法廷判決・民集17巻8号885頁、同46年(オ)第213号同46年6月11日第2小法廷判決・ 裁判集民事103号117頁参照)、本件売渡担保契約は当事者間においては有効と解しうるのであつて、これにより、Cは、もし本件売買契約について農地法5条の許可がありBが本件農地の所有権を取得した場合には、その所有権を正当に転得することのできる地位を得たものということができる。
そうすると、Cは、以上の意味において、本件売買契約から発生した法律関係について新たに利害関係を有するに至った者というべきであって、民法96条3項の第三者にあたると解するのが相当である。」
過去問・解説
(H28 司法 第23問 イ)
Aは、Bとの間で、Aの所有する著名な陶芸家の銘が入った絵皿(以下「甲」という。)をBに300万円で売り、代金はBがCに支払うとの合意をした。AB間の売買契約が締結され、Cが受益の意思表示をした後、実は甲が贋作であることが判明し、BがAの詐欺を理由に売買契約を取り消した場合、CがAの詐欺について善意無過失であるときは、Bは詐欺取消しをCに対抗することができない。
Aは、Bとの間で、Aの所有する著名な陶芸家の銘が入った絵皿(以下「甲」という。)をBに300万円で売り、代金はBがCに支払うとの合意をした。AB間の売買契約が締結され、Cが受益の意思表示をした後、実は甲が贋作であることが判明し、BがAの詐欺を理由に売買契約を取り消した場合、CがAの詐欺について善意無過失であるときは、Bは詐欺取消しをCに対抗することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭49.9.26)は、96条3項の「第三者」の範囲は、同条の趣旨に照らして合理的に画定されるべきであり、物権の転得者でかつ、対抗要件を備えたものに限られず、契約から発生した法律関係について新たに利害関係を有するに至った者が「第三者」に当たる旨判示している。第三者のためにする契約から生じた受益者の受益権は、取り消される売買契約から直接発生した権利に過ぎない。したがって、第三者のためにする契約の受益者は、契約から発生した法律関係について新たに利害関係を有するに至った者とはいえず、「第三者」に当たらない。よって、Cは96条3項の「第三者」に当たらず、同項により保護されないため、Bは詐欺取消しをCに対抗することができる。
判例(最判昭49.9.26)は、96条3項の「第三者」の範囲は、同条の趣旨に照らして合理的に画定されるべきであり、物権の転得者でかつ、対抗要件を備えたものに限られず、契約から発生した法律関係について新たに利害関係を有するに至った者が「第三者」に当たる旨判示している。第三者のためにする契約から生じた受益者の受益権は、取り消される売買契約から直接発生した権利に過ぎない。したがって、第三者のためにする契約の受益者は、契約から発生した法律関係について新たに利害関係を有するに至った者とはいえず、「第三者」に当たらない。よって、Cは96条3項の「第三者」に当たらず、同項により保護されないため、Bは詐欺取消しをCに対抗することができる。
(H30 司法 第3問 ウ)
Aを欺罔してその農地を買い受けたBが、農地法上の許可を停止条件とする所有権移転の仮登記を得た上で、当該売買契約上の権利をCに譲渡して当該仮登記移転の付記登記をした場合には、Cは民法第96条第3項の「第三者」に当たる。
Aを欺罔してその農地を買い受けたBが、農地法上の許可を停止条件とする所有権移転の仮登記を得た上で、当該売買契約上の権利をCに譲渡して当該仮登記移転の付記登記をした場合には、Cは民法第96条第3項の「第三者」に当たる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭49.9.26)は、本肢と同種の事案において、「民法96条1項、3項は、詐欺による意思表示をした者に対し、その意思表示の取消権を与えることによって詐欺被害者の救済をはかるとともに、他方その取消の効果を「善意の第三者」との関係において制限することにより、当該意思表示の有効なことを信頼して新たに利害関係を有するに至った者の地位を保護しようとする趣旨の規定であるから、右の第三者の範囲は、同条のかような立法趣旨に照らして合理的に画定されるべきであって、必ずしも、所有権その他の物権の転得者で、かつ、これにつき対抗要件を備えた者に限定しなければならない理由は、見出し難い。」と判示した上で、「本件売渡担保契約は当事者間においては有効と解しうるのであつて、これにより、Cは、もし本件売買契約について農地法5条の許可がありBが本件農地の所有権を取得した場合には、その所有権を正当に転得することのできる地位を得たものということができる。…そうすると、Cは、以上の意味において、本件売買契約から発生した法律関係について新たに利害関係を有するに至った者というべきであって、民法96条3項の第三者にあたると解するのが相当である。」と判示している。したがって、本肢におけるCも、96条3項の「第三者」に当たる。
判例(最判昭49.9.26)は、本肢と同種の事案において、「民法96条1項、3項は、詐欺による意思表示をした者に対し、その意思表示の取消権を与えることによって詐欺被害者の救済をはかるとともに、他方その取消の効果を「善意の第三者」との関係において制限することにより、当該意思表示の有効なことを信頼して新たに利害関係を有するに至った者の地位を保護しようとする趣旨の規定であるから、右の第三者の範囲は、同条のかような立法趣旨に照らして合理的に画定されるべきであって、必ずしも、所有権その他の物権の転得者で、かつ、これにつき対抗要件を備えた者に限定しなければならない理由は、見出し難い。」と判示した上で、「本件売渡担保契約は当事者間においては有効と解しうるのであつて、これにより、Cは、もし本件売買契約について農地法5条の許可がありBが本件農地の所有権を取得した場合には、その所有権を正当に転得することのできる地位を得たものということができる。…そうすると、Cは、以上の意味において、本件売買契約から発生した法律関係について新たに利害関係を有するに至った者というべきであって、民法96条3項の第三者にあたると解するのが相当である。」と判示している。したがって、本肢におけるCも、96条3項の「第三者」に当たる。
総合メモ
意思表示の到達時期 大判昭和17年11月28日
概要
夫と同居する内縁の妻が、内縁の夫の住所に配達された夫宛ての郵便物を受領した時は、当該郵便物に記載されている内容の意思表示は、夫に到達したものとしてその効力が生じる。
判例
事案:夫と同居する内縁の妻が、内縁の夫の住所に配達された夫宛ての郵便物を受領した場合、当該郵便物に記載されている内容の意思表示が夫に到達したと言えるかが問題となった。
判旨:「夫ト同居スル内縁ノ妻カ夫ノ住所ニ配達セラレタル夫宛ノ郵便物ヲ受領スルトキハ其ノ郵便物ニ記載セラレタル意思表示ハ一般取引ノ通念ニ照ラシ夫ニ於テ了知シ得ヘキ通常ノ状態ニ置カレタルモノ即チ夫ニ到達シタルモノトシテ其ノ効力ヲ生シ縦令内縁ノ妻カ該郵便物ヲ其ノ受領後ニ於テ夫不在ノ故ヲ以テ差出人ニ返還シタリトスルモ之カ為前示意思表示ノ効力ノ発生ヲ妨クルモノニ非サルコトハ洵ニ原審ノ判示セル如クニシテ右ハ郵便物ノ返還カ其ノ受領後直ニ為サレタルト其ノ後相当ノ期間ヲ置キテ為サレタルトニ因リ差異アルモノニ非ス。」
判旨:「夫ト同居スル内縁ノ妻カ夫ノ住所ニ配達セラレタル夫宛ノ郵便物ヲ受領スルトキハ其ノ郵便物ニ記載セラレタル意思表示ハ一般取引ノ通念ニ照ラシ夫ニ於テ了知シ得ヘキ通常ノ状態ニ置カレタルモノ即チ夫ニ到達シタルモノトシテ其ノ効力ヲ生シ縦令内縁ノ妻カ該郵便物ヲ其ノ受領後ニ於テ夫不在ノ故ヲ以テ差出人ニ返還シタリトスルモ之カ為前示意思表示ノ効力ノ発生ヲ妨クルモノニ非サルコトハ洵ニ原審ノ判示セル如クニシテ右ハ郵便物ノ返還カ其ノ受領後直ニ為サレタルト其ノ後相当ノ期間ヲ置キテ為サレタルトニ因リ差異アルモノニ非ス。」
過去問・解説
(H23 司法 第2問 ウ)
判例によれば、Aに対する意思表示が記載された書面がAの事務所兼自宅に発送され、その書面が配達された時にAが買物に出掛けていてたまたま不在であっても、Aと同居している内縁の妻が受領した場合、意思表示の効力は生ずる。
判例によれば、Aに対する意思表示が記載された書面がAの事務所兼自宅に発送され、その書面が配達された時にAが買物に出掛けていてたまたま不在であっても、Aと同居している内縁の妻が受領した場合、意思表示の効力は生ずる。
(正答)〇
(解説)
判例(大判昭17.11.28)は、夫と同居する内縁の妻が、内縁の夫の住所に配達された夫宛ての郵便物を受領した時は、当該郵便物に記載されている内容の意思表示は、夫に到達したものとしてその効力が生じる旨判示している。したがって、Aに対する意思表示が記載された書面がAの事務所兼自宅に発送され、Aと同居している内縁の妻が受領した場合、Aに到達したものとして、意思表示の効果は生ずる。
判例(大判昭17.11.28)は、夫と同居する内縁の妻が、内縁の夫の住所に配達された夫宛ての郵便物を受領した時は、当該郵便物に記載されている内容の意思表示は、夫に到達したものとしてその効力が生じる旨判示している。したがって、Aに対する意思表示が記載された書面がAの事務所兼自宅に発送され、Aと同居している内縁の妻が受領した場合、Aに到達したものとして、意思表示の効果は生ずる。
総合メモ
意思表示の到達時期 最一小判昭和36年4月20日
概要
会社に対する催告書が使者によって持参された時、たまたま受け取る権限のない者が居合わせ、代表取締役の机の上の印を使用して使者の持参した送達簿に捺印の上、右催告書を右机に入れておいたという場合には、同人に催告書を受領する権限がなく、また同人が社員に右の旨を告げなかったとしても、勢力範囲に入ったもの、すなわち了知可能の状態に置かれたといえ、催告書の到達があったものと解すべきである。
判例
事案:会社に対する催告書を何ら受け取る権限が無い者が受け取った場合、当該催告書による催告は到達したと認められるかが問題となった。
要旨:「思うに、隔地者間の意思表示に準ずべき右催告は民法97条によりA社に到達することによつてその効力を生ずべき筋合のものであり、ここに到達とは右会社の代表取締役であつたBないしは同人から受領の権限を付与されていた者によつて受領され或は了知されることを要するの謂ではなく、それらの者にとつて了知可能の状態におかれたことを意味するものと解すべく、換言すれば意思表示の書面がそれらの者のいわゆる勢力範囲(支配圏)内におかれることを以て足るものと解すべきところ(昭和6年2月14日、同9年11月26日、同11年2月14日、同17年11月28日の各大審院判決参照)、前示原判決の確定した事実によれば、A社の事務室においてその代表取締役であつたBの娘であるCに手交され且つ同人においてDの持参した送達簿にBの机の上に在つた同人の印を押して受取り、これを右机の抽斗に入れておいたというのであるから、この事態の推移にかんがみれば、Cはたまたま右事務室に居合わせた者で、右催告書を受領する権限もなく、その内容も知らず且つA社の社員らに何ら告げることがなかつたとしても、右催告書はBの勢力範囲に入つたもの、すなわち同人の了知可能の状態におかれたものと認めていささかも妨げなく、従つてこのような場合こそは民法97条にいう到達があつたものと解するを相当とする。」
要旨:「思うに、隔地者間の意思表示に準ずべき右催告は民法97条によりA社に到達することによつてその効力を生ずべき筋合のものであり、ここに到達とは右会社の代表取締役であつたBないしは同人から受領の権限を付与されていた者によつて受領され或は了知されることを要するの謂ではなく、それらの者にとつて了知可能の状態におかれたことを意味するものと解すべく、換言すれば意思表示の書面がそれらの者のいわゆる勢力範囲(支配圏)内におかれることを以て足るものと解すべきところ(昭和6年2月14日、同9年11月26日、同11年2月14日、同17年11月28日の各大審院判決参照)、前示原判決の確定した事実によれば、A社の事務室においてその代表取締役であつたBの娘であるCに手交され且つ同人においてDの持参した送達簿にBの机の上に在つた同人の印を押して受取り、これを右机の抽斗に入れておいたというのであるから、この事態の推移にかんがみれば、Cはたまたま右事務室に居合わせた者で、右催告書を受領する権限もなく、その内容も知らず且つA社の社員らに何ら告げることがなかつたとしても、右催告書はBの勢力範囲に入つたもの、すなわち同人の了知可能の状態におかれたものと認めていささかも妨げなく、従つてこのような場合こそは民法97条にいう到達があつたものと解するを相当とする。」
過去問・解説
(R4 司法 第3問 ア)
隔地者に対する意思表示は、相手方が了知するまでは効力を生じない。
隔地者に対する意思表示は、相手方が了知するまでは効力を生じない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭36.4.20)は、「隔地者間の意思表示に準ずべき右催告は民法97条によりA社に到達することによつてその効力を生ずべき筋合のものであり、ここに到達とは右会社の代表取締役であつたBないしは同人から受領の権限を付与されていた者によつて受領され或は了知されることを要するの謂ではなく、それらの者にとつて了知可能の状態におかれたことを意味する」と判示している。したがって、隔地者に対する意思表示は、相手方が了知しなくても、その了知可能な状態におかれるに至れば、効力を生じる。
判例(最判昭36.4.20)は、「隔地者間の意思表示に準ずべき右催告は民法97条によりA社に到達することによつてその効力を生ずべき筋合のものであり、ここに到達とは右会社の代表取締役であつたBないしは同人から受領の権限を付与されていた者によつて受領され或は了知されることを要するの謂ではなく、それらの者にとつて了知可能の状態におかれたことを意味する」と判示している。したがって、隔地者に対する意思表示は、相手方が了知しなくても、その了知可能な状態におかれるに至れば、効力を生じる。
総合メモ
意思表示の到達時期 最一小判平成10年6月11日
概要
特定の意思表示が記載された内容証明郵便が受取人不在のために配達することができず、留置期間の経過により差出人に還付された場合において、受取人がその内容を充分に推知することができ、また、受取人に受領の意思があれば、郵便物の受取方法を指定することによって、さしたる労力、困難を伴うことなく当該内容証明郵便を受領することができたなどの事情の下においては、当該意思表示は、社会通念上、受取人の了知可能な状態に置かれ、遅くとも留置期間が満了した時点で受取人に到達したものと認められる。
判例
事案:内容証明郵便を受取人が受け取らず、差出人に還付された場合において、意思表示の到達が認められるかが問題となった。
要旨:「(一)隔地者に対する意思表示は、相手方に到達することによってその効力を生ずるものであるところ(民法97条1項)、右にいう「到達」とは、意思表示を記載した書面が相手方によって直接受領され、又は了知されることを要するものではなく、これが相手方の了知可能な状態に置かれることをもって足りるものと解される(最高裁昭和33年(オ)第315号同36年4月20日第1小法廷判決・民集15巻4号774頁参照)。
(二)ところで、本件当時における郵便実務の取扱いは、(1)内容証明郵便の受取人が不在で配達できなかった場合には、不在配達通知書を作成し、郵便受箱、 郵便差入口その他適宜の箇所に差し入れる、(2)不在配達通知書には、郵便物の差出人名、配達日時、留置期限、郵便物の種類(普通、速達、現金書留、その他の書留等)等を記入する、(3)受取人としては、自ら郵便局に赴いて受領するほか、配達希望日、配達場所(自宅、近所、勤務先等)を指定するなど、郵便物の受取方法を選択し得る、(4)原則として、最初の配達の日から7日以内に配達も交付もできないものは、その期間経過後に差出人に還付する、というものであった(郵便規則74条、90条、平成6年3月14日郵郵業第19号郵務局長通達「集配郵便局郵便取扱手続の制定について」別冊・集配郵便局郵便取扱手続272条参照)。
(三)前記一の事実関係によれば、Aは、不在配達通知書の記載により、B弁護士から書留郵便(本件内容証明郵便)が送付されたことを知り(右(二)(2)参照)、その内容が本件遺産分割に関するものではないかと推測していたというのであり、さらに、この間B弁護士を訪れて遺留分減殺について説明を受けていた等の事情が存することを考慮すると、Aとしては、本件内容証明郵便の内容が遺留分減殺の意思表示又は少なくともこれを含む遺産分割協議の申入れであることを十分に推知することができたというべきである。また、Aは、本件当時、長期間の不在、その他郵便物を受領し得ない客観的状況にあったものではなく、その主張するように仕事で多忙であったとしても、受領の意思があれば、郵便物の受取方法を指定することによって(右(2)(3)参照)、さしたる労力、困難を伴うことなく本件内容証明郵便を受領することができたものということができる。そうすると、本件内容証明郵便の内容である遺留分減殺の意思表示は、社会通念上、 Aの了知可能な状態に置かれ、遅くとも留置期間が満了した時点でAに到達したものと認めるのが相当である。」
要旨:「(一)隔地者に対する意思表示は、相手方に到達することによってその効力を生ずるものであるところ(民法97条1項)、右にいう「到達」とは、意思表示を記載した書面が相手方によって直接受領され、又は了知されることを要するものではなく、これが相手方の了知可能な状態に置かれることをもって足りるものと解される(最高裁昭和33年(オ)第315号同36年4月20日第1小法廷判決・民集15巻4号774頁参照)。
(二)ところで、本件当時における郵便実務の取扱いは、(1)内容証明郵便の受取人が不在で配達できなかった場合には、不在配達通知書を作成し、郵便受箱、 郵便差入口その他適宜の箇所に差し入れる、(2)不在配達通知書には、郵便物の差出人名、配達日時、留置期限、郵便物の種類(普通、速達、現金書留、その他の書留等)等を記入する、(3)受取人としては、自ら郵便局に赴いて受領するほか、配達希望日、配達場所(自宅、近所、勤務先等)を指定するなど、郵便物の受取方法を選択し得る、(4)原則として、最初の配達の日から7日以内に配達も交付もできないものは、その期間経過後に差出人に還付する、というものであった(郵便規則74条、90条、平成6年3月14日郵郵業第19号郵務局長通達「集配郵便局郵便取扱手続の制定について」別冊・集配郵便局郵便取扱手続272条参照)。
(三)前記一の事実関係によれば、Aは、不在配達通知書の記載により、B弁護士から書留郵便(本件内容証明郵便)が送付されたことを知り(右(二)(2)参照)、その内容が本件遺産分割に関するものではないかと推測していたというのであり、さらに、この間B弁護士を訪れて遺留分減殺について説明を受けていた等の事情が存することを考慮すると、Aとしては、本件内容証明郵便の内容が遺留分減殺の意思表示又は少なくともこれを含む遺産分割協議の申入れであることを十分に推知することができたというべきである。また、Aは、本件当時、長期間の不在、その他郵便物を受領し得ない客観的状況にあったものではなく、その主張するように仕事で多忙であったとしても、受領の意思があれば、郵便物の受取方法を指定することによって(右(2)(3)参照)、さしたる労力、困難を伴うことなく本件内容証明郵便を受領することができたものということができる。そうすると、本件内容証明郵便の内容である遺留分減殺の意思表示は、社会通念上、 Aの了知可能な状態に置かれ、遅くとも留置期間が満了した時点でAに到達したものと認めるのが相当である。」
過去問・解説
(H30 司法 第3問 オ)
特定の意思表示が記載された内容証明郵便が受取人不在のために配達することができず、留置期間の経過により差出人に還付された場合、受取人がその内容を十分に推知することができ、受領も困難でなかったとしても、当該意思表示が受取人に到達したものと認められることはない。
特定の意思表示が記載された内容証明郵便が受取人不在のために配達することができず、留置期間の経過により差出人に還付された場合、受取人がその内容を十分に推知することができ、受領も困難でなかったとしても、当該意思表示が受取人に到達したものと認められることはない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平10.6.11)は、特定の意思表示が記載された内容証明郵便が受取人不在のために配達することができず、留置期間の経過により差出人に還付された場合において、受取人がその内容を充分に推知することができ、また、受取人に受領の意思があれば、郵便物の受取方法を指定することによって、さしたる労力、困難を伴うことなく当該内容証明郵便を受領することができたなどの事情の下においては、当該意思表示は、社会通念上、受取人の了知可能な状態に置かれ、遅くとも留置期間が満了した時点で受取人に到達したものと認められる旨判示している。
判例(最判平10.6.11)は、特定の意思表示が記載された内容証明郵便が受取人不在のために配達することができず、留置期間の経過により差出人に還付された場合において、受取人がその内容を充分に推知することができ、また、受取人に受領の意思があれば、郵便物の受取方法を指定することによって、さしたる労力、困難を伴うことなく当該内容証明郵便を受領することができたなどの事情の下においては、当該意思表示は、社会通念上、受取人の了知可能な状態に置かれ、遅くとも留置期間が満了した時点で受取人に到達したものと認められる旨判示している。