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時効

時効利益の放棄と相対効 大判大正5年12月25日

概要
主たる債務者が時効の利益を放棄しても、当該放棄の効力は主たる債務者及びその承継人以外の者には及ばず、主たる債務を保証した保証人に影響を及ぼさない。
判例
事案:主たる債務者が時効の利益を放棄した場合、保証人に影響が及ぶかどうかが問題となった。

判旨:「主タル債務者ニ対スル履行ノ請求其他時効ノ中断カ保証人ニ対シテモ其効力ヲ生スルハ特別ノ規定アルカ為メナリ然ルニ主タル債務者カ為シタル時効ノ利益ノ抛棄ニ付テハ保証人ニ対シ其効力ヲ生スル旨ノ規定ナキノミナラス時効ノ利益ノ抛棄ハ畢竟抗弁権ヲ抛棄スルモノニ外ナラサレハ抛棄者及ヒ其承継人以外ノ者ニ対シ其効力ヲ生スルモノト為スヲ得ス。」
過去問・解説
(H26 共通 第19問 オ)
AのBに対する金銭債務について、CがBとの間で保証契約を締結した。判例によれば、AのBに対する債務につき消滅時効が完成した場合において、Aが時効の利益を放棄したときには、Cは、もはや時効の援用をすることができない。

(正答)

(解説)
判例(大判大5.12.25)は、主たる債務者が時効の利益を放棄しても、当該放棄の効力は主たる債務者及びその承継人以外の者には及ばず、主たる債務を保証した保証人に影響を及ぼさない旨判示している。したがって、AのBに対する債務につき消滅時効が完成した場合において、Aが時効の利益を放棄したとしても、当該放棄は保証人Cに影響を及ぼさず、Cは、当該債務につき完成した消滅時効の援用をすることができる。

(H29 共通 第6問 エ)
主たる債務者がその債務について時効の利益を放棄した場合には、その保証人に対してもその効力を生ずる。

(正答)

(解説)
判例(大判大5.12.25)は、主たる債務者が時効の利益を放棄しても、当該放棄の効力は主たる債務者及びその承継人以外の者には及ばず、主たる債務を保証した保証人に影響を及ぼさない旨判示している。
総合メモ

保証人の消滅時効の援用 大判大正8年6月24日

概要
当事者が複数ある場合において、その内1人の時効の援用(145条)は、援用のない他の当事者には及ばない。
判例
事案:共同相続人が複数ある場合に、共同相続人の内1人が行った取得時効の援用(145条)は、他の共同相続人に対してもその効力を生じるかが問題となった。

判旨:「民法第145条ニ所謂当事者トハ時効ノ完成ニ依リ直接ニ利益ヲ受クヘキ者ヲ指称スルコトハ夙ニ当院ノ判例トシテ示ス所ニシテ当事者ノ数人アル場合ニ於テ其一人若クハ数人カ各自独立シテ時効ヲ援用スルコトヲ得ヘキヤ否ヤニ関シ一般ニ規定スル所ナシト雖モ其援用ノ方法ニ付キ何等之ヲ制限スル規定ノ存セサルト又我民法カ当事者ノ援用ヲ竢ツテ始メテ時効ニ依リ裁判ヲ為シ得ヘキ制度ヲ採用シタル精神ニ鑑ミルトキハ如上ノ場合ニ於テ各当事者ハ各自独立シテ時効ヲ援用スルコトヲ得ルト同時ニ裁判所ハ其援用シタル当事者ノ直接ニ受クヘキ利益ノ存スル部分ニ限リ時効ニ因リ裁判スルコトヲ得ヘク援用ナキ他ノ当事者ニ関スル部分ニ及ホスコトヲ得サルモノナリト解スルヲ妥当トス。」
過去問・解説
(R3 予備 第8問 イ)
AのBに対する1000万円の貸金債権(以下「甲債権」という。)につき、Cが保証した。Cが甲債権につき消滅時効を援用した場合でも、Bが消滅時効を援用しない限り、AはBに対して1000万円の支払を請求することができる。

(正答)

(解説)
判例(大判大8.6.24)は、当事者が複数ある場合において、その内1人の時効の援用(145条)は、援用のない他の当事者には及ばない旨判示し、時効の援用は相対効であるとしている。したがって、Cが甲債権につき消滅時効を援用した場合でも、Bが消滅時効を援用しない限り、Bとの関係では甲債権は時効により消滅しないため、AはBに対して1000万円の支払いを請求することができる。
総合メモ

時効の利益の放棄と債権者の同意 大判大正8年7月4日

概要
時効の利益の放棄は債務者の意思表示のみにより効力を生じ、債権者の同意を要しない。
判例
事案:時効の利益の放棄に当たり債権者の同意が必要かどうかが問題となった。

判旨:「時効利益ノ抛棄ハ債務者一方ノ意思表示ノミニテ効力ヲ生シ債権者ノ同意ヲ要セサレハ苟モ債務者カ時効ヲ抛棄シタル以上ハ債権ハ存在スルコトトナルカ故ニ有効ノ弁済アリ得ヘキハ当然ノ理ナリ。」
過去問・解説
(R3 司法 第5問 イ)
時効の利益の放棄は債務者の意思表示のみにより効力を生じ、債権者の同意を要しない。

(正答)

(解説)
判例(大判大8.7.4)は、時効の利益の放棄は債務者の意思表示のみにより効力を生じ、債権者の同意を要しない旨判示している。
総合メモ

時効完成後の時効の援用の可否 最大判昭和41年4月20日

概要
債務者が、自己の負担する債務について時効が完成した後に、債権者に対し債務の承認をした場合、当該時効完成の事実を知らなかったときでも、信義則上、それ以降当該債務についてその完成した消滅時効を援用することはできない。
判例
事案:債務者が、自己の負担する債務について時効が完成した後に、債権者に対し債務の承認をした場合において、債務者が当該証人の当時、時効完成の事実を知らなかったとすれば、当該債務について完成した消滅時効の援用ができるかが問題となった。

判旨:「債務者が、自己の負担する債務について時効が完成したのちに、債権者に対し債務の承認をした以上、時効完成の事実を知らなかつたときでも、爾後その債務についてその完成した消滅時効の援用をすることは許されないものと解するのが相当である。けだし、時効の完成後、債務者が債務の承認をすることは、時効による債務消滅の主張と相容れない行為であり、相手方においても債務者はもはや時効の援用をしない趣旨であると考えるであろうから、その後においては債務者に時効の援用を認めないものと解するのが、信義則に照らし、相当であるからである。また、かく解しても、永続した社会秩序の維持を目的とする時効制度の存在理由に反するものでもない。」
過去問・解説
(H18 司法 第21問 1)
AのBに対する売買代金債権について時効期間が経過した後、Bが当該代金債務を承認した場合であっても、その債務を被担保債権とする抵当権を設定した物上保証人Cは、その債務について消滅時効を援用することができる。

(正答)

(解説)
判例(最大判昭41.4.20)は、「債務者が、自己の負担する債務について時効が完成したのちに、債権者に対し債務の承認をした以上、時効完成の事実を知らなかつたときでも、爾後その債務についてその完成した消滅時効の援用をすることは許されないものと解するのが相当である。」と判示している。
もっとも、時効完成後の債務承認による時効援用権の喪失は相対効であると解されており、時効期間が経過した後、Bが自己の債務を承認したとしても、これにより生じた時効援用権の喪失の効果は、Bの債務を被担保債権とする抵当権を設定した物上保証人Cに対して、影響を及ぼさない。したがって、Cは、Bの債務について消滅時効を援用することができる。

(H18 司法 第21問 4)
時効の完成後に、そのことに気付かないで債務を弁済した債務者は、債権者に対して、弁済金を不当利得として返還請求することができる。

(正答)

(解説)
判例(最大判昭41.4.20)は、「債務者が、自己の負担する債務について時効が完成したのちに、債権者に対し債務の承認をした以上、時効完成の事実を知らなかつたときでも、爾後その債務についてその完成した消滅時効の援用をすることは許されないものと解するのが相当である。」と判示している。弁済は債務の承認に当たるため、債務者は時効援用権を喪失し、債務は時効消滅しない。したがって、債権者が得た弁済金は「法律上の原因なく」(703条)取得されたものとはいえず、弁済金を不当利得として返還請求することはできない。

(H20 司法 第7問 イ)
債務につき消滅時効が完成した後に、債務者が債務の承認をした以上、時効完成の事実を知らなかったときでも、以後その完成した消滅時効を援用することは許されない。

(正答)

(解説)
判例(最大判昭41.4.20)は、「債務者が、自己の負担する債務について時効が完成したのちに、債権者に対し債務の承認をした以上、時効完成の事実を知らなかつたときでも、爾後その債務についてその完成した消滅時効の援用をすることは許されないものと解するのが相当である。」と判示している。

(H22 司法 第15問 エ)
ある債務の消滅時効の完成後に、債務者がそのことを知らずにその債務を弁済したときは、債務者は、不当利得として弁済金相当額の返還を請求することができる。

(正答)

(解説)
判例(最大判昭41.4.20)は、「債務者が、自己の負担する債務について時効が完成したのちに、債権者に対し債務の承認をした以上、時効完成の事実を知らなかつたときでも、爾後その債務についてその完成した消滅時効の援用をすることは許されないものと解するのが相当である。」と判示している。弁済は債務の承認に当たるため、債務者は時効援用権を喪失し、債務は時効消滅しない。したがって、債権者が得た弁済金は「法律上の原因なく」(703条)取得されたものとはいえず、弁済金を不当利得として返還請求することはできない。

(H29 共通 第6問 オ)
債務者が、消滅時効完成後に債権者に対して債務を分割して支払う旨の申出をした場合には、時効完成の事実を知らなかったときでも、その後その時効を援用することは許されない。

(正答)

(解説)
判例(最大判昭41.4.20)は、「債務者が、自己の負担する債務について時効が完成したのちに、債権者に対し債務の承認をした以上、時効完成の事実を知らなかつたときでも、爾後その債務についてその完成した消滅時効の援用をすることは許されないものと解するのが相当である。」と判示している。債務者が、債権者に対して債務を分割して支払う旨の申し出をすることは、債務の承認に当たる。したがって、債務者が、消滅時効完成後に債権者に対して債務を分割して支払う旨の申出をした場合には、時効完成の事実を知らなかったときでも、その後その時効を援用することは許されない。

(R3 司法 第5問 エ)
消滅時効が完成した後に債務者が債務の承認をした場合において、その承認が時効完成の事実を知らずにされたものであるときは、債務者は、承認を撤回して時効を援用することができる。

(正答)

(解説)
判例(最大判昭41.4.20)は、「債務者が、自己の負担する債務について時効が完成したのちに、債権者に対し債務の承認をした以上、時効完成の事実を知らなかったときでも、爾後その債務についてその完成した消滅時効の援用をすることは許されないものと解するのが相当である。」と判示している。
総合メモ

債権者代位権と消滅時効の援用 最一小判昭和43年9月26日

概要
金銭債権の債権者は、自己の債権を保全するに必要な限度で、423条1項本文の規定により、債務者に代位して、債務者が有する他の債権者に対する債務の消滅時効を援用することができる。
判例
事案:金銭債権の債権者が、その債務者に代位して、他の債権者に対する債務の消滅時効を援用することができるかが問題となった。

判旨:「金銭債権の債権者は、その債務者が、他の債権者に対して負担する債務、または前記のように他人の債務のために物上保証人となつている場合にその被担保債権について、その消滅時効を援用しうる地位にあるのにこれを援用しないときは、債務者の資力が自己の債権の弁済を受けるについて十分でない事情にあるかぎり、その債権を保全するに必要な限度で、民法423条1項本文の規定により、債務者に代位して他の債権者に対する債務の消滅時効を援用することが許されるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H23 司法 第6問 5)
金銭債権の債権者は、債務者が無資力のときは、他の債権者が当該債務者に対して有する債権について、その消滅時効を、債権者代位権に基づいて援用することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭43.9.26)は、「金銭債権の債権者は、その債務者が、他の債権者に対して負担する債務…について、その消滅時効を援用しうる地位にあるのにこれを援用しないときは、債務者の資力が自己の債権の弁済を受けるについて十分でない事情にあるかぎり、その債権を保全するに必要な限度で、民法423条1項本文の規定により、債務者に代位して他の債権者に対する債務の消滅時効を援用することが許されるものと解するのが相当である。」と判示している。

(H27 司法 第16問 4)
債権者は、債務者が第三者に対して負う債務について、債務者に代わってその消滅時効を援用することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭43.9.26)は、「金銭債権の債権者は、その債務者が、他の債権者に対して負担する債務…について、その消滅時効を援用しうる地位にあるのにこれを援用しないときは、債務者の資力が自己の債権の弁済を受けるについて十分でない事情にあるかぎり、その債権を保全するに必要な限度で、民法423条1項本文の規定により、債務者に代位して他の債権者に対する債務の消滅時効を援用することが許されるものと解するのが相当である。」と判示している。

(R3 共通 第17問 エ)
債権者は、債務者が第三者に対して負う債務に係る消滅時効の援用権を代位行使することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭43.9.26)は、「金銭債権の債権者は、その債務者が、他の債権者に対して負担する債務…について、その消滅時効を援用しうる地位にあるのにこれを援用しないときは、債務者の資力が自己の債権の弁済を受けるについて十分でない事情にあるかぎり、その債権を保全するに必要な限度で、民法423条1項本文の規定により、債務者に代位して他の債権者に対する債務の消滅時効を援用することが許されるものと解するのが相当である。」と判示している。
総合メモ

賃借人の消滅自己時効の援用 最三小判昭和44年7月15日

概要
建物賃借人は、建物賃貸人による敷地所有権の時効取得の完成によって直接利益を受けるものではないから、建物賃貸人による敷地所有権の取得時効を援用することはできない。
判例
事案:建物賃貸人が、当該建物が存する敷地所有権の取得時効を援用することができる地位にある場合において、建物賃借人が当該取得時効を援用することができるかが問題となった。

判旨:「民法145条は、時効の援用権者は当事者である旨を規定している。しかるに、本件についてみるに、上告人らの主張によれば、上告人らは、本件係争土地の所有権を時効取得すべき者またはその承継人から、右土地上に同人らが所有する本件建物を賃借しているにすぎない、というのである。されば、上告人らは、右土地の取得時効の完成によつて直接利益を受ける者ではないから、右土地の所有権の取得時効を援用することはできない。」
過去問・解説
(H28 共通 第5問 オ)
建物の敷地所有権の帰属につき争いがある場合において、その敷地上の建物の賃借人は、建物の賃貸人が敷地所有権を時効取得しなければ建物賃借権を失うときは、建物の賃貸人による敷地所有権の取得時効を援用することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭44.7.15)は、建物賃借人は、建物賃貸人による敷地所有権の時効取得の完成によって直接利益を受けるものではないから、建物賃貸人による敷地所有権の取得時効を援用することはできない旨判示している。したがって、建物の賃借人は、建物の賃貸人が敷地所有権を時効取得しなければ建物賃借権を失うとしても、建物の賃貸人による敷地所有権の取得時効を援用することができない。

(R4 司法 第5問 イ)
Aから甲土地上の建物を賃借しているBは、Aが取得時効に必要な期間、甲土地を占有している場合であっても、甲土地のAの取得時効を援用することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭44.7.15)は、建物賃借人は、建物賃貸人による敷地所有権の時効取得の完成によって直接利益を受けるものではないから、建物賃貸人による敷地所有権の取得時効を援用することはできない旨判示している。したがって、Aから甲土地上の建物を賃借しているBは、甲土地のAの取得時効を援用することができない。
総合メモ

詐害行為の受益者と消滅時効の援用 最二小判平成10年6月22日

概要
詐害行為の受益者は、詐害行為取消権を行使する債権者の債権について、その消滅時効を援用することができる。
判例
事案:詐害行為の受益者が、詐害行為取消権を行使する債権者の債権の消滅時効を援用することができるかが問題となった。

判旨:「民法145条所定の当事者として消滅時効を援用し得る者は、権利の消滅により直接利益を受ける者に限定されるところ(最高裁平成2年(オ)第742号同4年3月19日第一小法廷判決・民集46巻3号222頁参照)、詐害行為の受益者は、詐害行為取消権行使の直接の相手方とされている上、これが行使されると債権者との間で詐害行為が取り消され、同行為によって得ていた利益を失う関係にあり、その反面、詐害行為取消権を行使する債権者の債権が消滅すれば右の利益喪失を免れることができる地位にあるから、右債権者の債権の消滅によって直接利益を受ける者に当たり、右債権について消滅時効を援用することができるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H23 司法 第6問 3)
詐害行為の受益者は、詐害行為取消権を行使する債権者の債権について、その消滅時効を援用することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判平10.6.22)は、詐害行為の受益者は、詐害行為取消権を行使する債権者の債権について、その消滅時効を援用することができる旨判示している。

(H28 共通 第5問 ウ)
詐害行為の受益者は、詐害行為取消権を行使している債権者の被保全債権について、その消滅時効を援用することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判平10.6.22)は、詐害行為の受益者は、詐害行為取消権を行使する債権者の債権について、その消滅時効を援用することができる旨判示している。

(R4 司法 第5問 エ)
詐害行為取消権を行使された受益者は、取消債権者の被保全債権の消滅時効を援用することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平10.6.22)は、詐害行為の受益者は、詐害行為取消権を行使する債権者の債権について、その消滅時効を援用することができる旨判示している。
総合メモ

清算金支払請求権の消滅時効の援用 最二小判平成11年2月26日

概要
譲渡担保権者から被担保債権の弁済期後に目的不動産を譲り受けた第三者は、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権として目的不動産について留置権を有する譲渡担保権設定者に対し、清算金支払請求権の消滅時効を援用することができる。
判例
事案:譲渡担保権者から被担保債権の弁済期後に目的不動産を譲り受けた第三者が、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権として目的不動産について留置権を有する譲渡担保権設定者に対し、清算金支払請求権の消滅時効を援用することができるかが問題となった。

判旨:「譲渡担保権者から被担保債権の弁済期後に譲渡担保権の目的物を譲り受けた第三者は、譲渡担保権設定者が譲渡担保権者に対して有する清算金支払請求権につき、消滅時効を援用することができるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H28 共通 第5問 エ)
譲渡担保権者が被担保債権の弁済期後に譲渡担保の目的物を第三者に譲渡したときは、その第三者は譲渡担保権設定者が譲渡担保権者に対し有する清算金支払請求権の消滅時効を援用することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平11.2.26)は、「譲渡担保権者から被担保債権の弁済期後に譲渡担保権の目的物を譲り受けた第三者は、譲渡担保権設定者が譲渡担保権者に対して有する清算金支払請求権につき、消滅時効を援用することができるものと解するのが相当である。」と判示している。
総合メモ

後順位抵当権者と消滅時効の援用 最一小判平成11年10月21日

概要
後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができない。
判例
事案:後順位抵当権者が、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができるかが問題となった。

判旨:「民法145条所定の当事者として消滅時効を援用し得る者は、権利の消滅により直接利益を受ける者に限定されると解すべきである(最高裁昭和45年(オ)第719号同48年12月14日第二小法廷判決・民集27巻11号1586頁参照)。後順位抵当権者は、目的不動産の価格から先順位抵当権によって担保される債権額を控除した価額についてのみ優先して弁済を受ける地位を有するものである。もっとも、先順位抵当権の被担保債権が消滅すると、後順位抵当権者の抵当権の順位が上昇し、これによって被担保債権に対する配当額が増加することがあり得るが、この配当額の増加に対する期待は、抵当権の順位の上昇によってもたらされる反射的な利益にすぎないというべきである。そうすると、後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅により直接利益を受ける者に該当するものではなく、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができないものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H23 司法 第6問 4)
後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権について、その消滅時効を援用することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平11.10.21)は、「後順位抵当権者は…、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができないものと解するのが相当である。」と判示している。

(H28 共通 第5問 イ)
先順位抵当権の被担保債権の消滅により後順位抵当権者に対する配当額が増加する場合、当該後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平11.10.21)は、「先順位抵当権の被担保債権が消滅すると、後順位抵当権者の抵当権の順位が上昇し、これによって被担保債権に対する配当額が増加することがあり得るが、この配当額の増加に対する期待は、抵当権の順位の上昇によってもたらされる反射的な利益にすぎないというべきである。」と判示した上で、「後順位抵当権者は…、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができないものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、先順位抵当権の被担保債権の消滅により後順位抵当権者に対する配当額が増加する場合でも、当該後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができない。

(R4 司法 第5問 ア)
後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平11.10.21)は、「後順位抵当権者は…、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができないものと解するのが相当である。」と判示している。
総合メモ

消滅時効の完成猶予 大判大正10年3月4日

概要
時効期間が経過する前に、債務者が債権者の代理人に対し債務の存在を認めて支払猶予の申入れをした場合、債権者本人に到達しなくても、その債権の消滅時効は中断する。
判例
事案:時効期間が経過する前に、債務者が債権者の代理人に対し債務の存在を認めて支払猶予の申入れをした場合において、当該申入れが債権者本人に到達しなくても、その債権の消滅時効が中断されるかが問題となった。

判旨:「債務ノ存在ヲ認ムルハ即チ債務ノ承認ニシテ正当ノ意義ニ於ケル法律行為ナリト謂ウヲ得サルヘシト雖モ性質ノ許ス限リ法律行為ニ関スル規定ヲ之ニ準用スヘク従テ民法第99条第2項ノ規定モ債権者ノ代理人ニ対スル債務ノ承認ニ準用スヘキモノト解スルヲ相当トス然レハ則チAノ債権者ノ代理人Bニ対シテ為シタル債務ノ承認ハ債権者本人ニ到達スルコトヲ要セスシテ直ニ時効中断ノ効力ヲ生スルモノト謂ウヘシ。」
過去問・解説
(H27 共通 第6問 3)
時効期間が経過する前に、債務者が債権者の代理人に対し支払猶予の申入れをした場合、その債権の消滅時効は更新する。

(正答)

(解説)
判例(大判大10.3.4)は、時効期間が経過する前に、債務者が債権者の代理人に対し債務の存在を認めて支払猶予の申入れをした場合、その債権の消滅時効は中断する旨判示しており、改正民法下における時効の更新についても同様に解されている。
総合メモ

明示的一部請求訴訟の提起と消滅時効中断の範囲 最二小判昭和34年2月20日

概要
1個の債権の数量的な一部についてのみ判決を求める旨明示して訴えの提起があった場合、消滅時効中断の効力は、その一部の範囲においてのみ生じ、残部には及ばない。
判例
事案:1個の債権の数量的な一部についてのみ判決を求める旨明示して訴えの提起があった場合において、消滅時効中断の効力が当該債権の残部にも及ぶかが問題となった。

判旨:「債権の一部についてのみ判決を求める旨明示した訴の提起があつた場合、訴提起による消滅時効中断の効力は、その一部の範囲においてのみ生じ、その後時効完成前残部につき請求を拡張すれば、残部についての時効は、拡張の書面を裁判所に提出したとき中断するものと解すべきである。」
過去問・解説
(H30 司法 第6問 ウ)
1個の債権の数量的な一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴えの提起があった場合、裁判上の請求による時効完成猶予の効力は、その一部の範囲においてのみ生じ、残部に及ばない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭34.2.20)は、「債権の一部についてのみ判決を求める旨明示した訴の提起があつた場合、訴提起による消滅時効中断の効力は、その一部の範囲においてのみ生じ」ると判示しており、改正民法下における時効完成猶予についても同様に解されている。したがって、1個の債権の数量的な一部についてのみ判決を求める旨を明示して訴えの提起があった場合、裁判上の請求による時効完成猶予の効力は、その一部の範囲においてのみ生じ、残部に及ばない。
総合メモ

裁判上の請求による時効完成猶予 最大判昭和38年10月30日

概要
留置権の抗弁は、被担保債権の債務者が原告である訴訟において提出された場合には、当該債権について裁判上の催告(147条1項柱書かっこ書)としての消滅時効中断の効力が、当該訴訟係属中継続して生じる。
判例
事案:留置権の抗弁が、被担保債権の債務者が原告である訴訟において提出された場合において、当該債権について消滅時効中断の効力が生じるかが問題となった。

判旨:「訴訟上の留置権の抗弁は、これを撤回しない限り、当該訴訟の係属中継続して目的物の引渡を拒否する効力を有するものであり、従つて、該訴訟が被担保債権の債務者を相手方とするものである場合においては、右抗弁における被担保債権についての権利主張も継続してなされているものといい得べく、時効中断の効力も訴訟係属中存続するものと解すべきである。そして、当該訴訟の終結後6か月内に他の強力な中断事由に訴えれば、時効中断の効力は維持されるものと解する。然らば、本件留置権の主張は裁判上の請求としての時効中断の効力は有しないが、訴訟係属中継続して時効中断の効力を有するものである。」
過去問・解説
(H30 司法 第6問 オ)
目的物の引渡請求訴訟において留置権の抗弁を主張したときは、その被担保債権について裁判上の請求による時効完成猶予の効力を生ずる。

(正答)

(解説)
判例(最大判昭38.10.30)は、留置権の抗弁は、被担保債権の債務者が原告である訴訟において提出された場合には、当該債権について裁判上の催告(147条1項柱書かっこ書)としての消滅時効中断の効力が当該訴訟係属中継続して生じる旨判示しており、改正民法下における時効完成猶予についても同様に解されている。したがって、裁判上の請求(同項1号)による時効完成猶予の効力は生じない。
総合メモ

相続と時効 最三小判平成13年7月10日

概要
被相続人の占有により取得時効が完成した場合において、その共同相続人の1人は、自己の相続分の限度においてのみ取得時効を援用することができる。
判例
事案:被相続人の占有により取得時効が完成した場合において、共同相続人の1人が取得時効を援用することができる範囲が問題となった。

判旨:「時効の完成により利益を受ける者は自己が直接に受けるべき利益の存する限度で時効を援用することができるものと解すべきであって、被相続人の占有により取得時効が完成した場合において、その共同相続人の1人は、自己の相続分の限度においてのみ取得時効を援用することができるにすぎないと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H23 司法 第6問 1)
被相続人の占有により取得時効が完成した場合において、その共同相続人の1人は、自己の相続分の限度においてのみ、取得時効を援用することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平13.7.10)は、「被相続人の占有により取得時効が完成した場合において、その共同相続人の1人は、自己の相続分の限度においてのみ取得時効を援用することができるにすぎないと解するのが相当である。」と判示している。

(R1 司法 第5問 ウ)
被相続人の占有により不動産の取得時効が完成した場合、その共同相続人の1人は、自己の相続分の限度においてのみ取得時効を援用することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平13.7.10)は、「被相続人の占有により取得時効が完成した場合において、その共同相続人の1人は、自己の相続分の限度においてのみ取得時効を援用することができるにすぎないと解するのが相当である。」と判示している。
総合メモ

消滅時効の完成猶予事由 最一小判昭和44年11月27日

概要
債務者兼抵当権設定者が債務の不存在を理由として提起した抵当権設定登記抹消登記手続請求訴訟において、債権者兼抵当権者が請求棄却の判決を求め被担保債権の存在を主張したときは、当該主張は、裁判上の請求に準ずるものとして、被担保債権につき消滅時効中断の効力を生ずる。
判例
事案:債務者兼抵当権設定者が債務の不存在を理由として提起した抵当権設定登記抹消登記手続請求訴訟において、債権者兼抵当権者が請求棄却の判決を求め被担保債権の存在を主張したときに、被担保債権につき消滅時効中断の効力を生ずるかが問題となった。

判旨:「上告人は、債務負担の事実がないことを主張して、本件根抵当権設定登記および同移転登記の各抹消登記手続を求める本訴を提起し、これに対し被上告人は第1審第1回口頭弁論期日における答弁書の陳述をもつて、請求棄却の判決を求めるとともに、確定債権50万円の取得およびこれに基づく右各登記の有効なことを主張したのであつて、これによつて被上告人の本件売掛代金債権についての権利行使がされたものと認められないことはない。このような場合においては、被上告人の前示答弁書に基づく主張は、裁判上の請求に準じるものとして、本件売掛代金債権につき消滅時効中断の効力を生じるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H20 司法 第7問 オ)
債務者兼抵当権設定者である原告が債務の不存在を理由として提起した抵当権設定登記の抹消登記手続請求訴訟において、債権者兼抵当権者である被告が請求棄却の判決を求め、被担保債権の存在を主張したとしても、その債権につき裁判上の請求に準ずる消滅時効の完成猶予の効力は生じない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭44.11.27)は、債務者兼抵当権設定者が債務の不存在を理由として提起した抵当権設定登記抹消登記手続請求訴訟において、債権者兼抵当権者が請求棄却の判決を求め被担保債権の存在を主張したときは、当該主張は、裁判上の請求に準ずるものとして、被担保債権につき消滅時効中断の効力を生ずる旨判示しており、改正民法下における時効完成猶予についても同様に解されている。
総合メモ

債権の届出と消滅時効の完成猶予事由 最二小判平成元年10月13日

概要
不動産強制競売手続において催告を受けた抵当権者がする債権の届出は、その届出に係る債権に関する裁判上の請求、破産手続参加又はこれらに準ずる時効中断事由に該当しない。
判例
事案:不動産強制競売手続において催告を受けた抵当権者がする債権の届出が、その届出に係る債権に関する裁判上の請求、破産手続参加又はこれらに準ずる時効中断事由に該当するかが問題となった。

判旨:「不動産に対する強制競売手続において催告を受けた抵当権者がする債権の届出…は、その届出に係る債権に関する「裁判上の請求」又は「破産手続参加」に該当せず、また、これらに準ずる時効中断事由にも該当しないと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H22 司法 第6問 エ)
強制競売の手続において催告を受けた抵当権者がする債権の届出は、破産手続参加に準ずるものとして、その届出に係る債権につき時効完成猶予の効力を生ずる。

(正答)

(解説)
判例(最判平元.10.13)は、「強制競売手続において催告を受けた抵当権者がする債権の届出…は、その届出に係る債権に関する…「破産手続参加」に該当せず、また、これらに準ずる時効中断事由にも該当しないと解するのが相当である。」と判示しており、改正民法下における時効完成猶予についても同様に解されている。
総合メモ

抵当不動産の占有と162条2項にいう善意・無過失 最三小判昭和43年12月24日

概要
162条2項にいう占有者の善意無過失とは、自己に所有権があるものと信じ、かつ、そのように信じるにつき過失がないことをいい、不動産の占有者が、当該不動産に対して抵当権が設定されており、かつその登記も経由されていることを知り、又は不注意によって知らなかった場合においても、162条2項にいう善意無過失ということを妨げない。
判例
事案:抵当権が設定されている不動産の占有者が、当該不動産に抵当権が設定されており、かつその設定登記も経由されていることを知り、又は不注意によって知らなかった場合において、162条2項の善意無過失が認められるかが問題となった。

判旨:「民法162条2項にいう占有者の善意・無過失とは、自己に所有権があるものと信じ、かつ、そのように信じるにつき過失がないことをいい、占有の目的物件に対し抵当権が設定されていること、さらには、その設定登記も経由されていることを知り、または、不注意により知らなかったような場合でも、ここにいう善意・無過失の占有というを妨げないものと解すべきである。」
過去問・解説
(R3 共通 第13問 イ)
甲土地の所有権が自己にあると過失なく信じて10年間その占有を継続した者は、甲土地上の抵当権の存在につき悪意であったときは、甲土地の所有権を時効取得することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭43.12.24)は、「民法162条2項にいう占有者の善意・無過失とは、自己に所有権があるものと信じ、かつ、そのように信じるにつき過失がないことをいい、占有の目的物件に対し抵当権が設定されていること、さらには、その設定登記も経由されていることを知り、または、不注意により知らなかったような場合でも、ここにいう善意・無過失の占有というを妨げないものと解すべきである。」と判示している。したがって、甲土地の所有権が自己にあると過失なく信じて10年間その占有を継続した者は、甲土地上の抵当権の存在につき悪意であったとしても、甲土地の所有権を時効取得することができる。
総合メモ

競売の開始と消滅時効の完成猶予事由 最二小判平成8年9月27日

概要
債権者による、主債務についての連帯保証債務の物上保証人に対する抵当権の実行は、主債務の消滅時効の中断事由に該当しない。
判例
事案:債権者が、主債務についての連帯保証債務の物上保証人に対して抵当権を実行することが、主債務の消滅時効の中断事由に該当するかが問題となった。

判旨:「債権者AがBの主債務についてのCの連帯保証債務を担保するために抵当権を設定した物上保証人Dに対する競売を申し立て、その手続が進行することは、Bの主債務の消滅時効の中断事由に該当しないと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H22 司法 第6問 ア)
AがBに対して有する債権をCが連帯保証し、Cに対するAの連帯保証債権を担保するため、Dが物上保証人になった場合において、AがDに対して担保不動産競売を申し立て、その手続が進行することは、Bの主債務の消滅時効の完成猶予事由に該当する。

(正答)

(解説)
判例(最判平8.9.27)は、本肢と同種の事案において、「債権者AがBの主債務についてのCの連帯保証債務を担保するために抵当権を設定した物上保証人Dに対する競売を申し立て、その手続が進行することは、Bの主債務の消滅時効の中断事由に該当しないと解するのが相当である。」と判示しており、改正民法下における時効完成猶予についても同様に解されている。したがって、AがDに対して担保不動産競売を申し立て、その手続が進行することは、Bの主債務の消滅時効の完成猶予事由に該当しない。
総合メモ

配当要求と消滅時効の完成猶予事由 最三小判平成11年4月27日

概要
不動産競売手続において執行力のある債務名義の正本を有する債権者がする配当要求は、差押えに準ずるものとして、配当要求に係る債権につき時効の中断の効力を生ずる。
判例
事案:不動産競売手続において執行力のある債務名義の正本を有する債権者がする配当要求がされた場合において、この配当要求が差押えに準ずるものとして、配当要求に係る債権につき時効の中断の効力が生じるかが問題となった。

判旨:「執行力のある債務名義の正本を有する債権者は、これに基づいて強制執行の実施を求めることができるのであって、他の債権者の申立てにより実施されている競売の手続を利用して配当要求をする行為も、債務名義に基づいて能動的にその権利を実現しようとする点では、強制競売の申立てと異ならないということができる。したがって、不動産競売手続において執行力のある債務名義の正本を有する債権者がする配当要求は、差押え(民法147条2号)に準ずるものとして、配当要求に係る債権につき消滅時効を中断する効力を生ずると解すべきである。」
過去問・解説
(H22 司法 第6問 ウ)
強制競売の手続において執行力のある債務名義の正本を有する債権者がする配当要求は、差押えに準ずるものとして、配当要求に係る債権につき時効完成猶予の効力を生ずる。

(正答)

(解説)
判例(最判平11.4.27)は、「不動産競売手続において執行力のある債務名義の正本を有する債権者がする配当要求は、差押え(民法147条2号)に準ずるものとして、配当要求に係る債権につき消滅時効を中断する効力を生ずると解すべきである。」と判示しており、改正民法下における時効完成猶予についても同様に解されている。
総合メモ

不動産の仮差押えによる時効の完成猶予 最判平成10年11月24日

概要
仮差押えの被保全債権につき本案の勝訴判決が確定したとしても、仮差押えによる時効中断の効力が消滅するとはいえない。
判例
事案:仮差押えの被保全債権につき本案の勝訴判決が確定した場合、仮差押えによる時効中断の効力が消滅するかが問題となった。

判旨:「民法147条が、仮差押えと裁判上の請求を別個の時効中断事由と規定しているところからすれば、仮差押えの被保全債権につき本案の勝訴判決が確定したとしても、仮差押えによる時効中断の効力がこれに吸収されて消滅するものとは解し得ない。」
過去問・解説
(H30 司法 第6問 エ)
不動産の仮差押えによる時効完成猶予の効力は、仮差押えの被保全債権について本案の勝訴判決が確定した時に消滅する。

(正答)

(解説)
判例(最判平10.11.24)は、「仮差押えの被保全債権につき本案の勝訴判決が確定したとしても、仮差押えによる時効中断の効力がこれに吸収されて消滅するものとは解し得ない。」と判示しており、改正民法下における時効完成猶予についても同様に解されている。したがって、不動産の仮差押えによる時効完成猶予の効力は、仮差押えの被保全債権について本案の勝訴判決が確定したとしても消滅しない。
総合メモ

相殺の主張が撤回された場合と消滅時効の完成猶予 最二小判昭和35年12月23日

概要
訴訟上相殺の主張がなされ、受働債権について、時効更新事由たる債務の承認がされたものと認められる場合、その後相殺の主張が撤回されても、すでに生じた承認による時効中断の効力は失われない。
判例
事案:訴訟上相殺の主張がなされ、受働債権について、時効更新事由たる債務の承認がされたものと認められる場合において、その後相殺の主張が撤回されたとき、債務の承認による時効中断の効力が失われるかが問題となった。

判旨:「訴訟上相殺の主張がなされ受働債権について、時効中断事由としての承認が存すると認められる場合において、その相殺の主張が撤回されても、既に生じた承認の効力は失われるものではない…。」
過去問・解説
(H30 司法 第6問 イ)
訴訟上相殺の主張がされ、受働債権につき債務の承認がされたものと認められる場合において、その後相殺の主張が撤回されたときは、承認による時効更新の効力は失われる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭35.12.23)は、「訴訟上相殺の主張がなされ受働債権について、時効中断事由としての承認が存すると認められる場合において、その相殺の主張が撤回されても、既に生じた承認の効力は失われるものではない…。」と判示しており、改正民法下における時効の更新についても同様に解されている。
総合メモ

担保不動産競売の開始決定と消滅時効の完成猶予 最二小判昭和50年11月21日

概要
物上保証人に対する抵当権の実行による競売開始決定が債務者に告知された場合、被担保債権についての消滅時効の中断の効力が生じる。
判例
事案:物上保証人に対する抵当権の実行による競売開始決定が債務者に告知された場合に、被担保債権についての消滅時効の中断の効力が生じるかが問題となった。

判旨:「債権者より物上保証人に対し、その被担保債権の実行として任意競売の申立がされ、競売裁判所がその競売開始決定をしたうえ、競売手続の利害関係人である債務者に対する告知方法として同決定正本を当該債務者に送達した場合には、債務者は、民法155条により、当該被担保債権の消滅時効の中断の効果を受けると解するのが相当である。」
過去問・解説
(H22 司法 第6問 イ)
物上保証人に対する担保不動産競売の申立てにより、執行裁判所が競売開始決定をし、これが債務者に送達された場合には、債権者の債務者に対する被担保債権について消滅時効は完成を猶予する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭50.11.21)は、本肢と同種の事案において、「債権者より物上保証人に対し、その被担保債権の実行として任意競売の申立がされ、競売裁判所がその競売開始決定をしたうえ、競売手続の利害関係人である債務者に対する告知方法として同決定正本を当該債務者に送達した場合には、債務者は、民法155条により、当該被担保債権の消滅時効の中断の効果を受けると解するのが相当である。」と判示しており、改正民法下における時効完成猶予についても同様に解されている。

(H24 司法 第7問 イ)
AのBに対する金銭債権を担保するためC所有の不動産に抵当権が設定された場合、その抵当権に基づく担保不動産競売の開始決定がされ、その決定正本が裁判所からBに送達されたときは、AのBに対する債権の消滅時効は完成猶予の効力を生ずる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭50.11.21)は、本肢と同種の事案において、「債権者より物上保証人に対し、その被担保債権の実行として任意競売の申立がされ、競売裁判所がその競売開始決定をしたうえ、競売手続の利害関係人である債務者に対する告知方法として同決定正本を当該債務者に送達した場合には、債務者は、民法155条により、当該被担保債権の消滅時効の中断の効果を受けると解するのが相当である。」と判示しており、改正民法下における時効完成猶予についても同様に解されている。したがって、C所有の不動産に設定された抵当権に基づく担保不動産競売の開始決定がされ、その決定正本が裁判所からBに送達されたときは、AのBに対する債権の消滅時効は完成猶予の効力を生ずる。
総合メモ

物上保証人と消滅時効の完成猶予事由 最二小判平成7年3月10日

概要
物上保証人は、債務者の承認により被担保債権について生じた消滅時効の中断の効力を否定することができない。
判例
事案:物上保証人が、債務者の承認により被担保債権について生じた消滅時効の中断の効力を否定することができるかが問題となった。

判旨:「他人の債務のために自己の所有物件につき根抵当権等を設定したいわゆる物上保証人が、債務者の承認により被担保債権について生じた消滅時効中断の効力を否定することは、担保権の付従性に抵触し、民法396条の趣旨にも反し、許されないものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H27 共通 第6問 4)
時効期間が経過する前に、債務者が債権者に対し債務の承認をした場合、被担保債権について生じた消滅時効更新の効力を、その債権の物上保証人が否定することは許されない。

(正答)

(解説)
判例(最判平7.3.10)は、「物上保証人が、債務者の承認により被担保債権について生じた消滅時効中断の効力を否定することは、担保権の付従性に抵触し、民法396条の趣旨にも反し、許されないものと解するのが相当である。」と判示しており、改正民法下における時効の更新についても同様に解されている。
総合メモ

取得時効における善意無過失の判断時期 大判明治44年4月7日

概要
短期取得時効(162条2項)の善意無過失は、占有開始の時のみにあればよく、その後悪意となっても、短期取得時効の成立を左右しない。
判例
事案:占有開始時には善意無過失であった者が、その後悪意となった場合において、短期取得時効(162条2項)の善意無過失が認められるかが問題となった。

判旨:「時効ニ因リ不動産ヲ取得スル場合ニ於テ占有者ノ意思ノ善悪及ヒ過失ノ有無ハ其占有ヲ為ス当時ニ在リテ之カ如何ヲ審究スヘキモノナルコトハ民法第162条第2項ニ規定スル所ニシテ此規定ハ占有者ノ承継人カ其前主ノ占有ヲ併セテ主張スル場合ニ於テモ異ナルコトナケレハA等カ其前主タルBノ占有ヲ併セテ主張シタル本件ニ於テ原院ハ同人ノ占有ヲ為ス当時ニ於ケル意思ノ善悪及ヒ過失ノ有無ノミヲ判断スレハ足ル。」
過去問・解説
(H24 司法 第8問 2)
Aが所有する不動産をBが占有する場合において、Bが、10年間の占有を継続したことを理由として、この不動産の所有権を時効により取得するためには、Bは、占有を開始した時に善意無過失であればよく、その後にBが悪意になっても、Bの時効取得の成否に影響しない。

(正答)

(解説)
判例(大判明44.4.7)は、短期取得時効(162条2項)の善意無過失は、占有開始の時のみにあればよく、その後悪意となっても、短期取得時効の成立を左右しない旨判示している。したがって、Bが、10年間の占有を継続したことを理由として、Aが所有する不動産の所有権を時効により取得するためには、Bは、占有を開始したときに善意であればよく、その後にBが悪意になっても、Bの時効取得の成否に影響しない。
総合メモ

取得時効の起算点 最一小判昭和35年7月27日

概要
取得時効援用者が任意に時効期間の起算点を選択し、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることはできない。
判例
事案:取得時効の基礎たる事実が法律に定めた時効期間以上に継続した場合において、取得時効を援用する者が任意にその起算点を選択し、時効完成の時期を早めたり遅らせたりすることができるかが問題となった。

判旨:「取得時効完成の時期を定めるにあたつては、取得時効の基礎たる事実が法律に定めた時効期間以上に継続した場合においても、必らず時効の基礎たる事実の開始した時を起算点として時効完成の時期を決定すべきものであつて、取得時効を援用する者において任意にその起算点を選択し、時効完成の時期を或いは早め或いは遅らせることはできないものと解すべきである。」
過去問・解説
(H20 司法 第7問 ウ)
取得時効を主張する時効援用権者は、占有を開始した以後の任意の時点を時効の起算点として選択することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭35.7.27)は、「取得時効を援用する者において任意にその起算点を選択し、時効完成の時期を或いは早め或いは遅らせることはできないものと解すべきである。」と判示している。
総合メモ

自己物の時効取得 最二小判昭和42年7月21日

概要
所有権に基づいて物を占有する者についても、162条が適用される。
判例
事案:所有権に基づいて不動産を占有する者についても、162条の適用があるかが問題となった。

判旨:「民法162条所定の占有者には、権利なくして占有をした者のほか、所有権に基づいて占有をした者をも包含するものと解するのを相当とする(大審院昭和8年(オ)第2301号同9年5月28日判決、民集13巻857頁参照)。すなわち、所有権に基づいて不動産を占有する者についても、民法162条の適用があるものと解すべきである。」
過去問・解説
(H18 司法 第17問 エ)
甲土地の所有権を主張するAに対し、pという時点から長い期間にわたり同土地を占有してきたBが、訴訟において20年の時効による所有権の取得を主張する場合、Bは、時効の援用の意思表示のほかに、p時点における甲土地の所有者がAであったことを主張立証しなければならない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭42.7.21)は、「所有権に基づいて不動産を占有する者についても、民法162条の適用があるものと解すべきである。」と判示している。そうすると、取得時効の対象物は自己の所有物であってもよいため、目的物が他人の所有にかかることは取得時効成立の要件とならない。したがって、Bが、訴訟において20年の時効による甲土地の所有権の取得を主張する場合、Bは、p時点における甲土地の所有者がAであったことを主張立証する必要はない。

(H19 司法 第5問 1)
他人の物を占有することが取得時効の要件であるので、所有権に基づいて不動産を占有していた場合には、取得時効は成立しない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭42.7.21)は、「所有権に基づいて不動産を占有する者についても、民法162条の適用があるものと解すべきである。」と判示している。したがって、所有権に基づいて不動産を占有していた場合においても、取得時効は成立する。

(H27 共通 第7問 オ)
AがB所有の乙土地を占有し、取得時効が完成した場合において、その取得時効が完成する前に、Cが乙土地をBから譲り受け、その取得時効の完成後にCが乙土地の所有権移転登記をしたときは、Aは、Cに対し、乙土地の所有権を時効取得したことを主張することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭42.7.21)は、本肢と同種の事案において、不動産の取得時効完成前に原所有者から所有権を取得し時効完成後に移転登記を経由した者に対し、時効取得者は、登記なくして所有権を対抗することができる旨判示している。したがって、本肢においても、Aは、Cに対し、乙土地の所有権を時効取得したことを主張することができる。

(R1 司法 第5問 エ)
自己の所有物を占有する者は、その物について取得時効を援用することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭42.7.21)は、「所有権に基づいて不動産を占有する者についても、民法162条の適用があるものと解すべきである。」と判示している。したがって、自己の所有物を占有する者は、その物について取得時効を援用することができる。
総合メモ

取得時効における無過失の立証責任 最一小判昭和46年11月11日

概要
162条2項の10年の取得時効を主張する者は、その不動産を自己の所有と信じたことにつき無過失であったことの立証責任を負う。
判例
事案:162条2項の10年の取得時効を主張する場合において、当該主張者がその不動産を自己の所有と信じたことにつき無過失であったことの立証責任を負うかが問題となった。

判旨:「民法162条2項の10年の取得時効を主張するものは、その不動産を自己の所有と信じたことにつき無過失であつたことの立証責任を負う…。」
過去問・解説
(H26 共通 第5問 ア)
10年の取得時効を援用して所有権の取得を主張する者は、占有を開始した時及びその時から10年を経過した時の2つの時点の占有を主張・立証すれば足り、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と物を占有したこと、占有の開始時に善意無過失であったことについて主張・立証する必要はない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭46.11.11)は、「民法162条2項の10年の取得時効を主張するものは、不動産を自己の所有と信じたことにつき無過失であつたことの立証責任を負う…。」と判示している。したがって、10年の取得時効を援用して所有権の取得を主張する者は、占有の開始時に善意であったことにつき無過失であることを主張・立証する必要がある。
なお、186条は、1項において「占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。」と規定しており、2項において「前後の両時点において占有をした証拠があるときは、占有は、その間継続したものと推定する。」と規定している。

(R5 司法 第7問 ウ)
10年の取得時効によって不動産の所有権を取得したと主張する者は、当該不動産を自己の所有と信じたことにつき無過失であったことの立証責任を負う。

(正答)

(解説)
判例(最判昭46.11.11)は、「民法162条2項の10年の取得時効を主張するものは、不動産を自己の所有と信じたことにつき無過失であつたことの立証責任を負う…。」と判示している。
総合メモ

取得時効における善意無過失の判断時期 最二小判昭和53年3月6日

概要
占有主体に変更があって承継された2個以上の占有が併せて主張された場合、162条2項の善意無過失の存否は、その主張にかかる最初の占有者について、その占有開始の時点において判定する。
判例
事案:占有主体に変更があって承継された2個以上の占有が併せて主張された場合において、162条2項の善意無過失の存否は、いつの時点を基準として判定するのかが問題となった。

判旨:「10年の取得時効の要件としての占有者の善意・無過失の存否については占有開始の時点においてこれを判定すべきものとする民法162条2項の規定は、時効期間を通じて占有主体に変更がなく同一人により継続された占有が主張される場合について適用されるだけではなく、占有主体に変更があつて承継された2個以上の占有が併せて主張される場合についてもまた適用されるものであり、後の場合にはその主張にかかる最初の占有者につきその占有開始の時点においてこれを判定すれば足りるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H22 司法 第7問 ア)
占有主体に変更があって承継された2個以上の占有が併せて主張された場合は、占有者の善意無過失は、最初の占有者の占有開始時に判定される。

(正答)

(解説)
判例(最判昭53.3.6)は、占有主体に変更があって承継された2個以上の占有が併せて主張された場合、162条2項の善意無過失の存否は、その主張にかかる最初の占有者について、その占有開始の時点において判定する旨判示している。

(H24 司法 第8問 4)
判例によれば、Aが所有する不動産を7年間継続して占有したBから、この不動産を買い受けて引渡しを受けたCが更に4年間継続して占有する場合において、Cが、10年間の占有を継続したことを理由として、この不動産の所有権を時効により取得するためには、Bが占有を開始した時に善意であれば、Cの占有開始時にCが善意である必要はない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭53.3.6)は、占有主体に変更があって承継された2個以上の占有が併せて主張された場合、162条2項の善意無過失の存否は、その主張にかかる最初の占有者について、その占有開始の時点において判定する旨判示している。したがって、Cが、Aが所有する不動産の所有権を短期取得時効(同項)により取得するためには、Bが占有を開始したときに善意であれば、Cの占有開始時にCが善意である必要はない。

(R1 司法 第5問 オ)
占有主体に変更があって承継された2個以上の占有が併せて主張される場合、占有者の善意無過失は、最初の占有者の占有開始時に判定される。

(正答)

(解説)
判例(最判昭53.3.6)は、占有主体に変更があって承継された2個以上の占有が併せて主張された場合、162条2項の善意無過失の存否は、その主張にかかる最初の占有者について、その占有開始の時点において判定する旨判示している。
総合メモ

取得時効の主張立証事実 最三小判昭和54年7月31日

概要
占有者の占有が自主占有に当たらないことを理由に取得時効の成立を争う者は、その占有が他主占有に当たることについての立証責任を負う。
判例
事案:162条にいう「所有の意思」の立証責任が問題となった。

判旨:「占有者は所有の意思で占有するものと推定されるのであるから(民法186条1項)、占有者の占有が自主占有にあたらないことを理由に取得時効の成立を争う者は右占有が他主占有にあたることについての立証責任を負う…。」
過去問・解説
(H18 司法 第17問 オ)
甲土地の所有権を主張するAに対し、pという時点から長い期間にわたり同土地を占有してきたBが、訴訟において20年の時効による所有権の取得を主張する場合、時効の援用の意思表示のほかに、p時点におけるBの占有が自主占有であったことは、民法の規定及び判例を考慮してBが主張立証しなければならないといえる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭54.7.31)は、「占有者は所有の意思で占有するものと推定されるのであるから(民法186条1項)、占有者の占有が自主占有にあたらないことを理由に取得時効の成立を争う者は右占有が他主占有にあたることについての立証責任を負う…。」と判示している。したがって、p時点におけるBの占有が他主占有に当たることについて、取得時効の成立を争うAが立証責任を負う。p時点におけるBの占有が自主占有であったことは、民法の規定及び判例を考慮すると、Bが主張立証する必要はない。
総合メモ

土地賃借権の取得時効 最三小判昭和43年10月8日

概要
土地の継続的な用益という外形的事実が存在し、かつ、それが賃借の意思に基づくことが客観的に表現されているときは、163条に従い、土地賃借権を時効取得することができる。
判例
事案:土地賃借権の時効取得が可能かどうかが問題となった。

判旨:「土地賃借権の時効取得については、土地の継続的な用益という外形的事実が存在し、かつ、それが賃借の意思に基づくことが客観的に表現されているときは、民法163条に従い土地賃借権の時効取得が可能であると解するのが相当である。」
過去問・解説
(H19 司法 第5問 4)
所有権以外の財産権についても時効取得は可能であるが、財産権のうち債権に関しては占有を観念できないので、時効取得することはない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭43.10.8)は、「土地賃借権の時効取得については、土地の継続的な用益という外形的事実が存在し、かつ、それが賃借の意思に基づくことが客観的に表現されているときは、民法163条に従い土地賃借権の時効取得が可能であると解するのが相当である。」と判示している。土地賃借権は債権に当たるため、財産権のうち債権についても、時効取得することができる場合があるといえる。

(H20 司法 第7問 ア)
土地の継続的な用益という外形的事実が存在し、かつ、それが賃借の意思に基づくことが客観的に表現されているときは、土地賃借権の時効取得が可能である。

(正答)

(解説)
判例(最判昭43.10.8)は、「土地賃借権の時効取得については、土地の継続的な用益という外形的事実が存在し、かつ、それが賃借の意思に基づくことが客観的に表現されているときは、民法163条に従い土地賃借権の時効取得が可能であると解するのが相当である。」と判示している。

(H28 司法 第35問 エ)
判例によれば、土地賃借権は時効により取得できる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭43.10.8)は、「土地賃借権の時効取得については、土地の継続的な用益という外形的事実が存在し、かつ、それが賃借の意思に基づくことが客観的に表現されているときは、民法163条に従い土地賃借権の時効取得が可能であると解するのが相当である。」と判示している。
なお、判例(最判昭46.11.26)は、「およそ地上権の時効取得が成立するためには、土地の継続的な使用という外形的事実が存在するほかに、その使用が地上権行使の意思に基づくものであることが客観的に表現されていることを要すると解するのを相当とする…。」と判示している。

(R6 司法 第6問 ウ)
土地の賃借権の取得時効が成立するためには、土地の継続的用益が賃借の意思に基づくことが客観的に表現されていることが必要である。

(正答)

(解説)
判例(最判昭43.10.8)は、「土地賃借権の時効取得については、土地の継続的な用益という外形的事実が存在し、かつ、それが賃借の意思に基づくことが客観的に表現されているときは、民法163条に従い土地賃借権の時効取得が可能であると解するのが相当である。」と判示している。
総合メモ

抵当権設定登記後の賃借権の時効取得 最二小判平成23年1月21日

概要
不動産につき賃借権を有する者がその対抗要件を具備しない間に、当該不動産に抵当権が設定されてその旨の登記がされた場合には、当該賃借人が、当該抵当権設定登記後、賃借権の時効取得に必要とされる期間、当該不動産を継続的に用益したとしても、競売又は公売により当該不動産を買い受けた者に対して、賃借権を時効により取得したことを対抗することができない。
判例
事案:抵当権設定登記後に賃借権の時効取得に必要な期間抵当目的不動産を用益した者が、賃借権の時効取得を当該不動産の競売又は公売による買受人に対抗することができるかが問題となった。

判旨:「不動産につき賃借権を有する者がその対抗要件を具備しない間に、当該不動産に抵当権が設定されてその旨の登記がされた場合、上記の者は、上記登記後、賃借権の時効取得に必要とされる期間、当該不動産を継続的に用益したとしても、競売又は公売により当該不動産を買い受けた者に対し、賃借権を時効により取得したと主張して、これを対抗することはできないことは明らかである。」
過去問・解説
(R3 共通 第13問 ウ)
Aが甲土地を賃借したが、その対抗要件を具備しない間に、甲土地にBのための抵当権が設定されてその登記がされた。Aは、この登記がされた後、賃借権の時効取得に必要とされる期間、甲土地を継続的に用益したとしても、競売により甲土地を買い受けたCに対し、賃借権を時効により取得したと主張して、これを対抗することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判平23.1.21)は、本肢と同種の事案において、「不動産につき賃借権を有する者がその対抗要件を具備しない間に、当該不動産に抵当権が設定されてその旨の登記がされた場合、上記の者は、上記登記後、賃借権の時効取得に必要とされる期間、当該不動産を継続的に用益したとしても、競売又は公売により当該不動産を買い受けた者に対し、賃借権を時効により取得したと主張して、これを対抗することはできないことは明らかである。」と判示している。
総合メモ

所有権に基づく物権的請求権と消滅時効 大判大正5年6月23日

概要
所有権に基づく物権的請求権は、消滅時効により消滅することはない。
判例
事案:所有権に基づく物権的請求権が、消滅時効により消滅するかが問題となった。

判旨:「所有権ニ基ク所有物ノ返還請求権ハ其所有権ノ一作用ニシテ之ヨリ発生スル独立ノ権利ニ非サルヲ以テ所有権自体ト同シク消滅時効ニ因リテ消滅スルコトナシト云ハサルヲ得ス。」
過去問・解説
(H18 司法 第10問 2)
物権的請求権は、確定日付のある証書による通知又は承諾を対抗要件として譲渡することができる。

(正答)

(解説)
判例(大判大5.6.23)は、「所有権ニ基ク所有物ノ返還請求権ハ其所有権ノ一作用ニシテ之ヨリ発生スル独立ノ権利ニ非サル」と判示している。そうすると、物権的請求権は、所有権から独立した権利ではないといえ、所有権から独立して、物権的請求権を確定日付のある証書による通知又は承諾を対抗要件として譲渡することはできない。

(H24 共通 第11問 1)
所有権に基づく物権的請求権は、所有権から派生する権利であるから、所有権と独立に物権的請求権のみを譲渡することはできないが、所有権とは別に消滅時効にかかる場合がある。

(正答)

(解説)
判例(大判大5.6.23)は、「所有権ニ基ク所有物ノ返還請求権ハ其所有権ノ一作用ニシテ之ヨリ発生スル独立ノ権利ニ非サルヲ以テ所有権自体ト同シク消滅時効ニ因リテ消滅スルコトナシト云ハサルヲ得ス。」と判示している。したがって、所有権と独立に物権的請求権のみを譲渡することはできず、さらに、所有権とは別に消滅時効にかかることもない。

(H28 共通 第6問 4)
A所有の甲土地に隣接する乙土地の所有者であるBが乙土地を掘り下げたために、両土地の間に高低差が生じ、甲土地が崩落する危険が生じている場合において、その危険が生じた時から20年を経過した後にAがBに対し甲土地の崩落防止措置を請求したときは、Bはその請求権の消滅時効を援用することができる。

(正答)

(解説)
判例(大判大5.6.23)は、所有権に基づく物権的請求権は、消滅時効により消滅することはない旨判示している。AがBに対して有する甲土地の崩落防止措置の請求権は、A土地所有権に基づく物権的請求権であるから、消滅時効により消滅することはない。したがって、Bは当該請求権の消滅時効を援用することができない。

(R2 司法 第6問 ウ)
Aの所有する自動車がBの所有する山林に無断で放置され、20年が経過した場合において、BがAに対して所有権に基づく妨害排除請求権の行使として自動車の撤去を求めたときは、Aは、妨害排除請求権の消滅時効を援用してBの請求を拒むことができる。

(正答)

(解説)
判例(大判大5.6.23)は、所有権に基づく物権的請求権は、消滅時効により消滅することはない旨判示している。したがって、Aは、BがAに対して有する所有権に基づく妨害排除請求権の消滅時効を援用してBの請求を拒むことができない。
総合メモ

債務不履行に基づく損害賠償の消滅時効と不当利得返還請求権の消滅時効 大判大正7年4月13日

概要
解除による原状回復請求権の消滅時効は、解除の時から進行する。
判例
事案:解除による原状回復請求権の消滅時効の起算点が問題となった。

判旨:「契約ノ解除ニ因ル原状回復ノ請求権ハ契約ノ解除ニ因リテ新ニ発生スル請求権ナルヲ以テ其時効ハ契約解除ノ時ヨリ進行スヘキモノトス。」
過去問・解説
(H29 共通 第24問 ア)
債務不履行を理由に売買契約が解除された場合において、その債務不履行の時から10年を経過したときは、解除による原状回復請求権の消滅時効が完成する。

(正答)

(解説)
判例(大判大7.4.13)は、解除による原状回復請求権の消滅時効は、解除の時から進行する旨判示している。したがって、債務不履行を理由に売買契約が解除された場合においては、その債務不履行の時からではなく、売買契約が解除された時から10年を経過したときに、解除による原状回復請求権の消滅時効が完成する。
総合メモ

質権設定者による債権存在確認の訴えの可否 大判昭和5年6月27日

概要
債権者が自己の有する債権に質権を設定した場合において、債権者兼質権設定者は、目的債権の債権存在確認訴訟を提起して、目的債権の消滅時効の中断をすることができる。
判例
事案:債権者が目的債権に質権を設定した場合において、債権者兼質権設定者が、目的債権の債権存在確認訴訟を提起して、目的債権の消滅時効の中断をすることができるかが問題となった。

判旨:「債権ヲ目的トシテ質権ヲ設定シタル場合ニ於テハ質権者ハ其ノ債権ヲ直接ニ取立ツル権利ヲ取得シ質権設定者ハ質入債権ニ付其ノ債務者ニ対シ支払ノ請求ヲ為スコトヲ得サルハ言ヲ俟タサル所ナリト雖債権質ハ債権ノ譲渡ニ非サルヲ以テ債権ノ帰属者ハ依然トシテ質権設定者ニシテ従テ質権設定者ハ債権者トシテ其ノ債権ニ付消滅時効ノ進行ヲ中断セシムルコトヲ得ルモノナリト謂ハサルヘカラス唯質権設定者ハ質権ノ存続スル間ハ債務者ニ対シ自己ニ支払ヲ為スヘキ旨ノ請求ヲ為スコトヲ得サル結果トシテ右ノ如キ請求権ノ行使ニ因リテ消滅時効ヲ中断スルコトヲ得サルヘシト雖債務者カ質権設定者ニ対シテ其ノ債務ヲ承認シタルトキハ固ヨリ質入債権ニ付時効中断ノ効力ヲ生スヘキコト疑ナク又債務者ト質権設定者トノ間ニ債権関係若ハ其ノ基本タル法律関係ノ存否ニ付争アル場合ニ於テ質権設定者カ其ノ存在ノ確定ヲ求ムル訴訟ヲ提起シタル場合ニ於テハ質入債権ニ付時効中断ノ効力ヲ生スルモノト解セサルヘカラス蓋時効中断ノ原因タル裁判上ノ請求ハ給付訴訟ノミニ限定セラルルモノニ非スシテ積極的確認訴訟ヲモ包含スルモノナルヲ以テ債権者カ債権質ノ設定ニ因リ一時債権ノ取立権ヲ有セサル場合ニ於テモ確認訴訟ニ依リテ其ノ債権ノ時効ヲ中断セシムルコトハ毫モ之ヲ妨ケサルヲ以テナリ。」
過去問・解説
(H21 司法 第14問 4)
Aは、Bのために、AがCに対して有する指名債権である金銭債権を目的として、質権を設定し、Cに対して質権の設定を通知した。Aは、目的債権の消滅時効の完成猶予及び更新のために必要があるときは、Cを被告として、債権存在確認の訴えを提起することができる。

(正答)

(解説)
判例(大判昭5.6.27)は、債権者が自己の有する債権に質権を設定した場合において、債権者兼質権設定者は、目的債権の債権存在確認訴訟を提起して、目的債権の消滅時効の中断をすることができる旨判示しており、改正民法下における時効の完成猶予及び更新についても同様に解されている。したがって、Aは、目的債権の消滅時効の完成猶予及び更新のために必要があるときは、Cを被告として、債権存在確認の訴えを提起することができる。
総合メモ

履行不能による損害賠償請求権の消滅時効の起算点 最三小判昭和35年11月1日

概要
契約解除に基づく原状回復義務の履行不能による損害賠償請求権の消滅時効は、本来の債務の履行を請求し得る時、すなわち、契約解除の時から進行する。
判例
事案:契約解除に基づく原状回復義務の履行不能による損害賠償請求権の消滅時効の起算点が問題となった。

判旨:「商事契約の解除による原状回復(本件では特定物の返還義務)は商事債務であり、その履行不能による損害賠償義務も同様商事債務と解すべきである。そして右損害賠償義務は本来の債務の物体が変更したに止まり、その債務の同一性に変りはないのであるから、商事取引関係の迅速な解決のため短期消滅時効を定めた立法の趣旨からみて、右債務の消滅時効は本来の債務の履行を請求し得る時から進行を始めるものと解すべきである。」
過去問・解説
(H26 司法 第6問 イ)
契約解除に基づく原状回復義務が履行不能になった場合において、その履行不能による損害賠償請求権の消滅時効は、原状回復義務が履行不能になった時から進行する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭35.11.1)は、契約解除に基づく原状回復義務の履行不能による損害賠償請求権の消滅時効は、本来の債務の履行を請求し得る時、すなわち、契約解除の時から進行する旨判示している。
総合メモ

消滅時効の起算点 最二小判昭和42年6月23日

概要
割賦金弁済契約において、割賦払の約定に違反したときは債務者は債権者の請求により償還期限にかかわらず直ちに残債務全額を弁済すべき旨の約定がされた場合には、1回の不履行があっても、各割賦金債務について約定弁済期の到来ごとに順次消滅時効が進行し、債権者が特に残債務全額の弁済を求める旨の意思表示をしたときに限り、その時から残債務全額について消滅時効が進行する。
判例
事案:割賦金弁済契約において、割賦金の約定に違反したときは債務者は債権者の請求により償還期限にかかわらず直ちに残債務全額を弁済すべき旨の約定がなされた場合において、割賦金債務の不履行があったときは、残債務全額について消滅時効が進行するかが問題となった。

判旨:「割賦金弁済契約において、割賦払の約定に違反したときは債務者は債権者の請求により償還期限にかかわらず直ちに残債務全額を弁済すべき旨の約定が存する場合には、1回の不履行があつても、各割賦金額につき約定弁済期の到来毎に順次消滅時効が進行し、債権者が特に残債務全額の弁済を求める旨の意思表示をした場合にかぎり、その時から右全額について消滅時効が進行するものと解ずべきである(昭和14年(オ)第625号同15年3月13日大審院民事 連合部判決・民集19巻544頁参照)。」
過去問・解説
(H19 司法 第6問 エ)
割賦払債務について、債務者が割賦金の支払を怠ったときは債権者の請求により直ちに残債務全額を弁済すべき旨の約定がある場合には、債務者が割賦金の支払を怠った時から、残債務全額についての消滅時効が進行する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭42.6.23)は、「割賦金弁済契約において、割賦払の約定に違反したときは債務者は債権者の請求により償還期限にかかわらず直ちに残債務全額を弁済すべき旨の約定が存する場合には、1回の不履行があつても、各割賦金額につき約定弁済期の到来毎に順次消滅時効が進行し、債権者が特に残債務全額の弁済を求める旨の意思表示をした場合にかぎり、その時から右全額について消滅時効が進行するものと解ずべきである…。」と判示している。

(H26 司法 第6問 オ)
10回に分割して弁済する旨の約定がある場合において、債務者が1回でも弁済を怠ったときは債権者の請求により直ちに残債務全額を弁済すべきものとする約定があるときには、残債権全額の消滅時効は、債務者が弁済を怠った時から進行する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭42.6.23)は、「割賦金弁済契約において、割賦払の約定に違反したときは債務者は債権者の請求により償還期限にかかわらず直ちに残債務全額を弁済すべき旨の約定が存する場合には、1回の不履行があつても、各割賦金額につき約定弁済期の到来毎に順次消滅時効が進行し、債権者が特に残債務全額の弁済を求める旨の意思表示をした場合にかぎり、その時から右全額について消滅時効が進行するものと解ずべきである…。」と判示している。
総合メモ

消滅時効完成後に債務承認したあとの消滅時効の援用の可否 最一小判昭和45年5月21日

概要
債務者が消滅時効の完成後に債権者に対し当該債務を承認した場合においても、再度時効は進行し、債務者は、再度完成した消滅時効を援用することができる。
判例
事案:債務者が消滅時効の完成後に債権者に対し当該債務を承認した場合において、債務者が再度完成した消滅時効を援用することができるかが問題となった。

判旨:「債務者が消滅時効の完成後に債権者に対し当該債務を承認した場合には、時効完成の事実を知らなかつたときでも、その後その時効の援用をすることが許されないことは、当裁判所の判例の示すところであるけれども(最高裁判所昭和37年(オ)第1316号同41年4月20日大法廷判決、民集20巻4号702頁参照)、右は、すでに経過した時効期間について消滅時効を援用しえないというに止まり、その承認以後再び時効期間の進行することをも否定するものではない。けだし、民法157条が時効中断後にもあらたに時効の進行することを規定し、さらに同法174条ノ2が判決確定後もあらたに時効が進行することを規定していることと対比して考えれば、時効完成後であるからといつて債務の承認後は再び時効が進行しないと解することは、彼此権衡を失するものというべきであり、また、時効完成後の債務の承認がその実質においてあらたな債務の負担行為にも比すべきものであることに鑑みれば、これにより、従前に比して債務者がより不利益となり、債権者がより利益となるような解釈をすべきものとはいえないからである。」
過去問・解説
(H25 司法 第6問 イ)
債務者が消滅時効の完成後に債権者に対して債務を承認した場合において、その後さらに消滅時効の期間が経過したときは、債務者は、その完成した消滅時効を援用することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭45.5.21)は、債務者が消滅時効の完成後に債権者に対し当該債務を承認した場合においても、再度時効は進行し、債務者は、再度完成した消滅時効を援用することができる旨判示している。
総合メモ

弁済者が弁済による代位により取得した原債権と求償権の消滅時効 最一小判昭和61年2月20日

概要
代位弁済者が代位取得した原債権と求償権とは、別個に消滅時効にかかる。
判例
事案:代位弁済者が代位取得した原債権と求償権とが、別個に消滅時効にかかるかが問題となった。

判旨:「代位弁済者が代位取得した原債権と求償権とは、元本額、弁済期、利息・遅延損害金の有無・割合を異にすることにより総債権額が各別に変動し、債権としての性質に差違があることにより別個に消滅時効にかかる…。」
過去問・解説
(H25 予備 第10問 5)
弁済者が弁済による代位により取得した原債権と求償権とは別個に消滅時効にかかる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭61.2.20)は、「代位弁済者が代位取得した原債権と求償権とは、…別個に消滅時効にかかる…。」と判示している。
総合メモ

無断転貸を理由とする解除権の消滅時効の起算点 最一小判昭和62年10月8日

概要
無断転貸を理由とする土地賃貸借契約の解除権の消滅時効は、転借人が転貸借契約に基づき当該土地の使用収益を開始した時から進行する。
判例
事案:無断転貸を理由とする土地賃貸借契約の解除権の消滅時効の起算点が問題となった。

判旨:「賃貸土地の無断転貸を理由とする賃貸借契約の解除権は、賃借人の無断転貸という契約義務違反事由の発生を原因として、賃借人を相手方とする賃貸人の一方的な意思表示により賃貸借契約関係を終了させることができる形成権であるから、その消滅時効については、債権に準ずるものとして、民法167条1項が適用され、その権利を行使することができる時から10年を経過したときは時効によつて消滅するものと解すべきところ、右解除権は、転借人が、賃借人(転貸人)との間で締結した転貸借契約に基づき、当該土地について使用収益を開始した時から、その権利行使が可能となつたものということができるから、その消滅時効は、右使用収益開始時から進行するものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H24 共通 第26問 オ)
無断転貸を理由とする解除権は、原賃貸借の賃貸人が転貸借契約が締結されたことを知った時から10年を経過したときは、時効によって消滅する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭62.10.8)は、無断転貸を理由とする土地賃貸借契約の解除権の消滅時効は、転借人が転貸借契約に基づき当該土地の使用収益を開始した時から進行する旨判示している。

(H26 司法 第6問 ウ)
無断転貸を理由とする土地賃貸借契約の解除権の消滅時効は、転借人が転貸借契約に基づいて当該土地の使用収益を開始した時から進行する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭62.10.8)は、無断転貸を理由とする土地賃貸借契約の解除権の消滅時効は、転借人が転貸借契約に基づき当該土地の使用収益を開始した時から進行する旨判示している。
総合メモ

雇用者の安全配慮義務違反による損害賠償請求権の消滅時効 最三小判平成6年2月22日

概要
雇用者の安全配慮義務違反による損害賠償請求権の消滅時効は、損害が発生した時から進行する。
判例
事案:雇用者の安全配慮義務違反による損害賠償請求権の消滅時効の起算点が問題となった。

判旨:「雇用契約上の付随義務としての安全配慮義務の不履行に基づく損害賠償請求権の消滅時効期間は、民法167条1項により10年と解され(最高裁昭和48年(オ)第383号同50年2月25日第三小法廷判決・民集29巻2号143頁参照)、右10年の消滅時効は、同法166条1項により、右損害賠償請求権を行使し得る時から進行するものと解される。そして、一般に、安全配慮義務違反による損害賠償請求権は、その損害が発生した時に成立し、同時にその権利を行使することが法律上可能となる…。」
過去問・解説
(H26 司法 第6問 エ)
安全配慮義務違反による損害賠償請求権の消滅時効は、損害が発生した時から進行する。

(正答)

(解説)
判例(最判平6.2.22)は、「雇用契約上の付随義務としての安全配慮義務の不履行に基づく損害賠償請求権の消滅時効期間は、民法167条1項により10年と解され…、右10年の消滅時効は、同法166条1項により、右損害賠償請求権を行使し得る時から進行するものと解される。そして、一般に、安全配慮義務違反による損害賠償請求権は、その損害が発生した時に成立し、同時にその権利を行使することが法律上可能となる…。」と判示している。したがって、安全配慮義務違反による損害賠償請求権の消滅時効は、損害が発生した時から進行する。
総合メモ

登記手続請求権と時効 最二小判平成7年6月9日

概要
不動産の所有権に基づく登記請求権は、時効によって消滅することはない。
判例
事案:不動産の所有権に基づく登記請求権が、時効によって消滅するかが問題となった。

判旨:「遺留分権利者が減殺請求により取得した不動産の所有権又は共有持分権に基づく登記手続請求権は、時効によって消滅することはないものと解すべきである。」
過去問・解説
(H26 司法 第8問 ア)
Aは、BからB所有の土地を買う旨の契約をし、その代金を支払ったが、所有権移転登記をしていなかった。この売買契約を締結した後10年が経過した場合には、Aは、Bに対し、売買契約により取得した所有権に基づき所有権移転登記手続を請求することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判平7.6.9)は、「不動産の所有権…に基づく登記手続請求権は、時効によって消滅することはないものと解すべきである。」と判示している。したがって、Aが売買契約により取得した所有権に基づく所有権移転登記手続請求権は、売買契約を締結した後10年が経過しても時効により消滅することはないため、Aは、Bに対し、売買契約により取得した所有権に基づき所有権移転登記手続を請求することができる。
総合メモ

債務不履行による損害賠償請求権の消滅時効の起算点 最二小判平成10年4月24日

概要
契約に基づく債務の履行不能による損害賠償請求権の消滅時効は、本来の債務の履行を請求し得る時から進行する。
判例
事案:契約に基づく債務の履行不能による損害賠償請求権の消滅時効の起算点が問題となった。

判旨:「契約に基づく債務について不履行があったことによる損害賠償請求権は、本来の履行請求権の拡張ないし内容の変更であって、本来の履行請求権と法的に同一性を有すると見ることができるから、債務者の責めに帰すべき債務の履行不能によって生ずる損害賠償請求権の消滅時効は、本来の債務の履行を請求し得る時からその進行を開始するものと解するのが相当である(大審院大正8年(オ)第585号同年10月29日判決・民録25輯1854頁、最高裁昭和33年(オ)第599号同35年11月1日第三小法廷判決・民集14巻13号2781頁参照)。」
過去問・解説
(H19 司法 第6問 ウ)
債務不履行による損害賠償請求権の消滅時効は、本来の債務の履行を請求することができる時から進行する。

(正答)

(解説)
判例(最判平10.4.24)は、「契約に基づく債務について不履行があったことによる損害賠償請求権は、本来の履行請求権の拡張ないし内容の変更であって、本来の履行請求権と法的に同一性を有すると見ることができるから、債務者の責めに帰すべき債務の履行不能によって生ずる損害賠償請求権の消滅時効は、本来の債務の履行を請求し得る時からその進行を開始するものと解するのが相当である…。」と判示している。
総合メモ

特定物売買の目的物に契約不適合があった場合の消滅時効 最三小判平成13年11月27日

概要
契約不適合による損害賠償請求権に対しても消滅時効の規定の適用があり、当該消滅時効は、買主が売買契約の目的物の引渡しを受けた時から進行する。
判例
事案:契約不適合による損害賠償請求権に対して、消滅時効の規定が適用されるか、適用されるとした場合、消滅時効の起算点はいつの時点を基準とするかが問題となった。

判旨:「買主の売主に対する瑕疵担保による損害賠償請求権は、売買契約に基づき法律上生ずる金銭支払請求権であって、これが民法167条1項にいう「債権」に当たることは明らかである。この損害賠償請求権については、買主が事実を知った日から1年という除斥期間の定めがあるが(同法570条、566条3項)、これは法律関係の早期安定のために買主が権利を行使すべき期間を特に限定したものであるから、この除斥期間の定めがあることをもって、瑕疵担保による損害賠償請求権につき同法167条1項の適用が排除されると解することはできない。さらに、買主が売買の目的物の引渡しを受けた後であれば、遅くとも通常の消滅時効期間の満了までの間に瑕疵を発見して損害賠償請求権を行使することを買主に期待しても不合理でないと解されるのに対し、瑕疵担保による損害賠償請求権に消滅時効の規定の適用がないとすると、買主が瑕疵に気付かない限り、買主の権利が永久に存続することになるが、これは売主に過大な負担を課するものであって、適当といえない。
 したがって、瑕疵担保による損害賠償請求権には消滅時効の規定の適用があり、この消滅時効は、買主が売買の目的物の引渡しを受けた時から進行すると解するのが相当である。」
過去問・解説
(H25 司法 第6問 ウ)
特定物売買の目的物に隠れた瑕疵があった場合に、買主が売主に対して有する損害賠償請求権は、買主が瑕疵の存在に気付かなくても、目的物が買主に引き渡された時から10年の時効消滅にかかる。

(正答)

(解説)
判例(最判平13.11.27)は、本肢と同様の事案において、「瑕疵担保による損害賠償請求権には消滅時効の規定の適用があり、この消滅時効は、買主が売買の目的物の引渡しを受けた時から進行すると解するのが相当である。」と判示している。したがって、特定物売買の目的物に隠れた瑕疵があった場合に、買主が売主に対して有する損害賠償請求権は、買主が瑕疵の存在に気付かなくても、目的物が買主に引き渡された時から10年の時効消滅にかかる。
総合メモ