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物権総則
177条の「第三者」 大判明治40年7月30日
過去問・解説
(H19 司法 第8問 ア)
被相続人Aから相続開始前に甲不動産を買い受けたXは、Aの唯一の相続人Bの債権者YがBに代位して甲につきBの相続登記をした上で甲を差し押さえた場合、登記がなくても、甲の所有権取得をYに対抗することができる。
被相続人Aから相続開始前に甲不動産を買い受けたXは、Aの唯一の相続人Bの債権者YがBに代位して甲につきBの相続登記をした上で甲を差し押さえた場合、登記がなくても、甲の所有権取得をYに対抗することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(大判明40.7.30)は、不動産の差押債権者は177条の「第三者」に当たる旨判示している。したがって、甲不動産を差し押さえた、Aの唯一の相続人Bの債権者Yは、「第三者」に当たり、被相続人Aから相続開始前に甲不動産を買い受けたXとYは、対抗関係に立つ。そうすると、Xは、登記がなければ、甲の所有権取得をYに対抗することができない。
判例(大判明40.7.30)は、不動産の差押債権者は177条の「第三者」に当たる旨判示している。したがって、甲不動産を差し押さえた、Aの唯一の相続人Bの債権者Yは、「第三者」に当たり、被相続人Aから相続開始前に甲不動産を買い受けたXとYは、対抗関係に立つ。そうすると、Xは、登記がなければ、甲の所有権取得をYに対抗することができない。
総合メモ
177条における「第三者」 大連判明治41年12月15日
概要
「第三者」(177条)とは、当事者若しくはその包括承継人以外の者であって、不動産に関する物権の得喪、変更の登記欠缺を主張する正当な利益を有する者をいう。
判例
事案:177条の「第三者」の意義が問題となった。
判旨:「本条ニ所謂第三者トハ当事者若クハ其包括承継人ニ非スシテ不動産ニ関スル物権ノ得喪及ヒ変更ノ登記欠缺ヲ主張スル正当ノ利益ヲ有スル者ヲ指称スト論定スルヲ得ヘシ即チ同一ノ不動産ニ関スル所有権抵当権等ノ物権又ハ賃借権ヲ正当ノ権原ニ因リテ取得シタル者ノ如キ又同一ノ不動産ヲ差押ヘタル債権者若クハ其差押ニ付テ配当加入ヲ申立テタル債権者ノ如キ皆均シク所謂第三者ナリ之ニ反シテ同一ノ不動産ニ関シ正当ノ権原ニ因ラスシテ権利ヲ主張シ或ハ不法行為ニ因リテ損害ヲ加ヘタル者ノ類ハ皆第三者ト称スルコトヲ得ス。」
判旨:「本条ニ所謂第三者トハ当事者若クハ其包括承継人ニ非スシテ不動産ニ関スル物権ノ得喪及ヒ変更ノ登記欠缺ヲ主張スル正当ノ利益ヲ有スル者ヲ指称スト論定スルヲ得ヘシ即チ同一ノ不動産ニ関スル所有権抵当権等ノ物権又ハ賃借権ヲ正当ノ権原ニ因リテ取得シタル者ノ如キ又同一ノ不動産ヲ差押ヘタル債権者若クハ其差押ニ付テ配当加入ヲ申立テタル債権者ノ如キ皆均シク所謂第三者ナリ之ニ反シテ同一ノ不動産ニ関シ正当ノ権原ニ因ラスシテ権利ヲ主張シ或ハ不法行為ニ因リテ損害ヲ加ヘタル者ノ類ハ皆第三者ト称スルコトヲ得ス。」
過去問・解説
(H20 司法 第8問 4)
Xは所有権に基づき占有者Yに対し土地の引渡しを請求した。XがYの代理人としてAから土地を買い受け、Yが同土地を所有し占有するようになったが、登記名義はAのままであった。その直後、Xは、Aから同土地を買い受けて移転登記を受けた。Yは同土地の引渡しを拒絶することができる。
Xは所有権に基づき占有者Yに対し土地の引渡しを請求した。XがYの代理人としてAから土地を買い受け、Yが同土地を所有し占有するようになったが、登記名義はAのままであった。その直後、Xは、Aから同土地を買い受けて移転登記を受けた。Yは同土地の引渡しを拒絶することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(大連判明41.12.15)は、177条における「第三者」について、当事者若しくはその包括承継人以外の者であって、不動産に関する物権の得喪、変更の登記欠缺を主張する正当な利益を有する者をいう旨判示している。
そして、裁判例(東京高裁昭53.6.28)は、本肢と同種の事案において、不動産登記法5条の法意にかんがみると、他人の代理人として本人のために不動産を購入しておきながら、その後自ら同不動産を買い受けた者は、本人の同不動産所有権移転登記の欠缺を主張することはできない旨判示している。
Xは、Yの代理人としてAから甲土地を購入しておきながら、その直後自らAから甲土地を購入している。そうすると、Xは登記の欠缺を主張する正当な利益を有せず、177条の「第三者」に当たらない。したがって、Yは、登記なくしてXに同土地の所有権を対抗することができるから、Yは同土地の引き渡しを拒絶することができる。
判例(大連判明41.12.15)は、177条における「第三者」について、当事者若しくはその包括承継人以外の者であって、不動産に関する物権の得喪、変更の登記欠缺を主張する正当な利益を有する者をいう旨判示している。
そして、裁判例(東京高裁昭53.6.28)は、本肢と同種の事案において、不動産登記法5条の法意にかんがみると、他人の代理人として本人のために不動産を購入しておきながら、その後自ら同不動産を買い受けた者は、本人の同不動産所有権移転登記の欠缺を主張することはできない旨判示している。
Xは、Yの代理人としてAから甲土地を購入しておきながら、その直後自らAから甲土地を購入している。そうすると、Xは登記の欠缺を主張する正当な利益を有せず、177条の「第三者」に当たらない。したがって、Yは、登記なくしてXに同土地の所有権を対抗することができるから、Yは同土地の引き渡しを拒絶することができる。
(H23 司法 第7問 4)
AがBに不動産を譲渡したが、所有権移転登記をしないままに死亡して唯一の相続人であるCが相続した場合において、Bは、Cに対し、所有権移転登記をしていない以上は、所有権を主張することができない。
AがBに不動産を譲渡したが、所有権移転登記をしないままに死亡して唯一の相続人であるCが相続した場合において、Bは、Cに対し、所有権移転登記をしていない以上は、所有権を主張することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(大連判明41.12.15)は、177条における「第三者」について、当事者若しくはその包括承継人以外の者であって、不動産に関する物権の得喪、変更の登記欠缺を主張する正当な利益を有する者をいう旨判示している。Aの相続人Cは包括承継人であるから、「第三者」には当たらない。したがって、Bは、Cに対し、所有権移転登記をしなくても、所有権を主張することができる。
判例(大連判明41.12.15)は、177条における「第三者」について、当事者若しくはその包括承継人以外の者であって、不動産に関する物権の得喪、変更の登記欠缺を主張する正当な利益を有する者をいう旨判示している。Aの相続人Cは包括承継人であるから、「第三者」には当たらない。したがって、Bは、Cに対し、所有権移転登記をしなくても、所有権を主張することができる。
(H23 共通 第8問 1)
Aがその不動産についてBのために抵当権を設定し、その後AがCに同一不動産を譲渡した場合、Bは、その抵当権設定の登記がなければその抵当権の取得をCに対抗することができない。
Aがその不動産についてBのために抵当権を設定し、その後AがCに同一不動産を譲渡した場合、Bは、その抵当権設定の登記がなければその抵当権の取得をCに対抗することができない。
(正答)〇
(解説)
判例(大連判明41.12.15)は、177条における「第三者」について、「本条ニ所謂第三者トハ当事者若クハ其包括承継人ニ非スシテ不動産ニ関スル物権ノ得喪及ヒ変更ノ登記欠缺ヲ主張スル正当ノ利益ヲ有スル者ヲ指称スト論定スルヲ得ヘシ即チ同一ノ不動産ニ関スル所有権抵当権等ノ物権又ハ賃借権ヲ正当ノ権原ニ因リテ取得シタル者ノ如キ又同一ノ不動産ヲ差押ヘタル債権者若クハ其差押ニ付テ配当加入ヲ申立テタル債権者ノ如キ皆均シク所謂第三者ナリ。」と判示しており、抵当権の設定を受けた者も「第三者」に当たるとしている。したがって、同一不動産の抵当権者Bと譲受人Cとは対抗関係に立ち、Bは、抵当権設定登記がなければその抵当権の取得をCに対抗することができない。
判例(大連判明41.12.15)は、177条における「第三者」について、「本条ニ所謂第三者トハ当事者若クハ其包括承継人ニ非スシテ不動産ニ関スル物権ノ得喪及ヒ変更ノ登記欠缺ヲ主張スル正当ノ利益ヲ有スル者ヲ指称スト論定スルヲ得ヘシ即チ同一ノ不動産ニ関スル所有権抵当権等ノ物権又ハ賃借権ヲ正当ノ権原ニ因リテ取得シタル者ノ如キ又同一ノ不動産ヲ差押ヘタル債権者若クハ其差押ニ付テ配当加入ヲ申立テタル債権者ノ如キ皆均シク所謂第三者ナリ。」と判示しており、抵当権の設定を受けた者も「第三者」に当たるとしている。したがって、同一不動産の抵当権者Bと譲受人Cとは対抗関係に立ち、Bは、抵当権設定登記がなければその抵当権の取得をCに対抗することができない。
(H23 共通 第8問 2)
Aがその不動産をBに譲渡し、その後AがCに同一不動産について地上権を設定した上でそれに基づいて引渡しをした場合において、Bへの所有権移転の登記もCの地上権設定の登記もないときは、Bは、Cに対して所有権に基づいて当該不動産の引渡しを請求することができない。
Aがその不動産をBに譲渡し、その後AがCに同一不動産について地上権を設定した上でそれに基づいて引渡しをした場合において、Bへの所有権移転の登記もCの地上権設定の登記もないときは、Bは、Cに対して所有権に基づいて当該不動産の引渡しを請求することができない。
(正答)〇
(解説)
判例(大連判明41.12.15)は、177条における「第三者」について、当事者若しくはその包括承継人以外の者であって、不動産に関する物権の得喪、変更の登記欠缺を主張する正当な利益を有する者をいう旨判示している。そうすると、Aから不動産の譲渡を受けたBと、その後Aから同一不動産について地上権の設定を受けたCとは、対抗関係に立ち、登記がなければ互いに自己の権利を主張することができない。したがって、Bへの所有権移転の登記がないときは、Bは、Cに対して所有権に基づいて当該不動産の引渡しを請求することができない。
判例(大連判明41.12.15)は、177条における「第三者」について、当事者若しくはその包括承継人以外の者であって、不動産に関する物権の得喪、変更の登記欠缺を主張する正当な利益を有する者をいう旨判示している。そうすると、Aから不動産の譲渡を受けたBと、その後Aから同一不動産について地上権の設定を受けたCとは、対抗関係に立ち、登記がなければ互いに自己の権利を主張することができない。したがって、Bへの所有権移転の登記がないときは、Bは、Cに対して所有権に基づいて当該不動産の引渡しを請求することができない。
総合メモ
土地の明渡請求と登記 大判昭和6年3月31日
概要
不動産の賃借人は、177条の「第三者」に当たる。
判例
事案:不動産の買主が、当該不動産の売主から当該不動産を賃借している賃借人に対して明渡請求を行った場合において、不動産の賃借人が177条の「第三者」に当たるかどうかが問題となった。
判旨:「民法第177条ニ所謂第三者トハ不動産物権ノ得喪及変更ニ付登記ノ欠缺ヲ主張スル正当ノ利益ヲ有スル第三者ヲ指称シ当事者若ハ包括承継人ニ非サル総テノモノヲ包含スルモノニ非サルカ故ニ(明治41年(オ)第269号同年12月15日民事聯合部判決参照)第三者ニシテ不動産物権ノ得喪及変更ニ付登記ノ欠缺ヲ主張シ其ノ物権ノ変動ヲ否認セントセハ必ス其ノ登記ノ欠缺ヲ主張スルニ付正当ノ利益ヲ有スルコトヲ要スルモノトス…本件ニ於テAハ本件家屋ハ其ノ所有者Bヨリ賃借シ内縁ノ妻タルC共ニ之ニ居住シタルモノニシテ決シテ之ヲ不法ニ占拠シタルモノニ非スト主張シDカ本件家屋ヲBヨリ買受ケタルコトヲ否認シタルコト原判決事実摘示ニ依リ明ナル所ナリトス故ニ若シAトB間ノ賃貸借ニシテDノ右家屋買受後モ尚引続キ存続シ居タリトセハA等ノ本件家屋占拠ハ賃借権ニ基キ之ヲ為スモノニ外ナラス縦令其ノ後Dニ於テ該家屋ヲ買受ケ其ノ所有権ヲ取得シタリトスルモ其ノタノ登記ヲ了セサル限リAハDノ所有権取得ニ付登記ノ欠缺セルコトヲ主張シテDノ所有権取得ヲ否認シ得ルモノ換言スレハ右登記ノ欠缺ヲ主張スル正当ノ利益ヲ有スルモノト謂ハサルヘカラス。」
判旨:「民法第177条ニ所謂第三者トハ不動産物権ノ得喪及変更ニ付登記ノ欠缺ヲ主張スル正当ノ利益ヲ有スル第三者ヲ指称シ当事者若ハ包括承継人ニ非サル総テノモノヲ包含スルモノニ非サルカ故ニ(明治41年(オ)第269号同年12月15日民事聯合部判決参照)第三者ニシテ不動産物権ノ得喪及変更ニ付登記ノ欠缺ヲ主張シ其ノ物権ノ変動ヲ否認セントセハ必ス其ノ登記ノ欠缺ヲ主張スルニ付正当ノ利益ヲ有スルコトヲ要スルモノトス…本件ニ於テAハ本件家屋ハ其ノ所有者Bヨリ賃借シ内縁ノ妻タルC共ニ之ニ居住シタルモノニシテ決シテ之ヲ不法ニ占拠シタルモノニ非スト主張シDカ本件家屋ヲBヨリ買受ケタルコトヲ否認シタルコト原判決事実摘示ニ依リ明ナル所ナリトス故ニ若シAトB間ノ賃貸借ニシテDノ右家屋買受後モ尚引続キ存続シ居タリトセハA等ノ本件家屋占拠ハ賃借権ニ基キ之ヲ為スモノニ外ナラス縦令其ノ後Dニ於テ該家屋ヲ買受ケ其ノ所有権ヲ取得シタリトスルモ其ノタノ登記ヲ了セサル限リAハDノ所有権取得ニ付登記ノ欠缺セルコトヲ主張シテDノ所有権取得ヲ否認シ得ルモノ換言スレハ右登記ノ欠缺ヲ主張スル正当ノ利益ヲ有スルモノト謂ハサルヘカラス。」
過去問・解説
(H28 共通 第6問 3)
Aがその所有する甲土地をBに賃貸し、Bが甲土地を自動車の駐車場として利用していたところ、甲土地の賃借権の登記がされない間に、AがCに対し甲土地を売却した場合において、CがAからの甲土地の所有権移転登記を経由していないときは、Bは、Cからの甲土地の明渡請求を拒むことができる。
Aがその所有する甲土地をBに賃貸し、Bが甲土地を自動車の駐車場として利用していたところ、甲土地の賃借権の登記がされない間に、AがCに対し甲土地を売却した場合において、CがAからの甲土地の所有権移転登記を経由していないときは、Bは、Cからの甲土地の明渡請求を拒むことができる。
(正答)〇
(解説)
判例(大判昭6.3.31)は、不動産の賃借人は、177条の「第三者」に当たる旨判示している。したがって、Aから甲土地を賃借しているBは「第三者」に当たり、Aから甲土地を買い受けたCとは、対抗関係となる。よって、CがAからの甲土地の所有権移転登記を経由していないときは、Cは自己の甲土地所有権取得をBに対抗することができず、Bは、Cからの甲土地の明渡請求を拒むことができる。
判例(大判昭6.3.31)は、不動産の賃借人は、177条の「第三者」に当たる旨判示している。したがって、Aから甲土地を賃借しているBは「第三者」に当たり、Aから甲土地を買い受けたCとは、対抗関係となる。よって、CがAからの甲土地の所有権移転登記を経由していないときは、Cは自己の甲土地所有権取得をBに対抗することができず、Bは、Cからの甲土地の明渡請求を拒むことができる。
総合メモ
中間者の所有権移転登記請求 大判大正5年4月1日
概要
中間者は、転売により不動産の所有権を失った後でも、前主に対して有する所有権移転登記請求権を失わない。
判例
事案:売買契約により不動産の所有権を取得した者が、その後転売により当該不動産の所有権を失った場合に、前主に対する所有権移転登記請求権を失うかが問題となった。
判旨:「売買ニ因ル所有権移転ノ登記請求権ハ売買ニ因ル所有権移転ノ事実ニ伴ヒ必ス存セサルヘカラサル義務ナレハ買主ハ縦令不動産ヲ転売シテ其所有権ヲ喪失シタリトスルモ先ツ自己ノ所有権ノ取得ノ登記ヲ為シテ其取得ヲ完全ナラシメ然ル後転得者ニ対シテ転売ニ因ル所有権移転登記ノ義務ヲ尽スヘキモノニシテ転売ニ因リ自己ノ登記請求権ヲ失フモノニアラサル…。」
判旨:「売買ニ因ル所有権移転ノ登記請求権ハ売買ニ因ル所有権移転ノ事実ニ伴ヒ必ス存セサルヘカラサル義務ナレハ買主ハ縦令不動産ヲ転売シテ其所有権ヲ喪失シタリトスルモ先ツ自己ノ所有権ノ取得ノ登記ヲ為シテ其取得ヲ完全ナラシメ然ル後転得者ニ対シテ転売ニ因ル所有権移転登記ノ義務ヲ尽スヘキモノニシテ転売ニ因リ自己ノ登記請求権ヲ失フモノニアラサル…。」
過去問・解説
(H27 司法 第8問 ア)
Aの所有する甲土地がAからB、BからCに順次譲渡された場合において、Bは、甲土地の所有権を喪失していても、Aに対し、AからBへの所有権移転登記手続を請求することができる。
Aの所有する甲土地がAからB、BからCに順次譲渡された場合において、Bは、甲土地の所有権を喪失していても、Aに対し、AからBへの所有権移転登記手続を請求することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(大判大5.4.1)は、中間者は、転売により不動産の所有権を失った後でも、前主に対して有する所有権移転登記請求権を失わない旨判示している。したがって、Bは、Cへの譲渡によって甲土地の所有権を喪失していても、前主たるAに対して有する甲土地所有権移転登記請求権を失わないから、Aに対し、AからBへの所有権移転登記手続を請求することができる。
判例(大判大5.4.1)は、中間者は、転売により不動産の所有権を失った後でも、前主に対して有する所有権移転登記請求権を失わない旨判示している。したがって、Bは、Cへの譲渡によって甲土地の所有権を喪失していても、前主たるAに対して有する甲土地所有権移転登記請求権を失わないから、Aに対し、AからBへの所有権移転登記手続を請求することができる。
(R5 司法 第8問 エ)
Aの所有する甲土地を購入したBが、甲土地をCに売却してその所有権を失った場合には、Bは、Aに対し、AからBへの所有権移転登記手続を請求することができない。
Aの所有する甲土地を購入したBが、甲土地をCに売却してその所有権を失った場合には、Bは、Aに対し、AからBへの所有権移転登記手続を請求することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(大判大5.4.1)は、中間者は、転売により不動産の所有権を失った後でも、前主に対して有する所有権移転登記請求権を失わない旨判示している。したがって、Aの所有する甲土地を購入したBが、甲土地をCに売却してその所有権を失った場合においても、Bは、Aに対して有する甲土地所有権移転登記請求権を失わないから、Bは、Aに対し、AからBへの所有権移転登記手続を請求することができる。
判例(大判大5.4.1)は、中間者は、転売により不動産の所有権を失った後でも、前主に対して有する所有権移転登記請求権を失わない旨判示している。したがって、Aの所有する甲土地を購入したBが、甲土地をCに売却してその所有権を失った場合においても、Bは、Aに対して有する甲土地所有権移転登記請求権を失わないから、Bは、Aに対し、AからBへの所有権移転登記手続を請求することができる。
総合メモ
不動産の二重譲渡 大判昭和9年5月1日
過去問・解説
(H19 司法 第11問 3)
AがBの所有する未登記建物を買い受け、その後その建物についてB名義の所有権保存登記がなされた後、BがCにこれを売却しその旨の登記をした場合、Aは、Cに対しその所有権を取得したことを対抗することができない。
AがBの所有する未登記建物を買い受け、その後その建物についてB名義の所有権保存登記がなされた後、BがCにこれを売却しその旨の登記をした場合、Aは、Cに対しその所有権を取得したことを対抗することができない。
(正答)〇
(解説)
判例(大判昭9.5.1)は、不動産の二重譲渡があった場合における第2譲受人は、177条の「第三者」に当たる旨判示しており、この判例の理解は、未登記建物についての譲渡にも妥当すると解されている。したがって、AがBの所有する未登記建物を買い受け、その後その建物についてB名義の所有権保存登記がなされた後、BがCにこれを売却しその旨の登記をした場合、Cは「第三者」に当たるから、Aが、Cに対しその所有権を取得するためには、登記を備えなければならない。よって、Aは、Cに対しその所有権を取得したことを対抗することができない。
判例(大判昭9.5.1)は、不動産の二重譲渡があった場合における第2譲受人は、177条の「第三者」に当たる旨判示しており、この判例の理解は、未登記建物についての譲渡にも妥当すると解されている。したがって、AがBの所有する未登記建物を買い受け、その後その建物についてB名義の所有権保存登記がなされた後、BがCにこれを売却しその旨の登記をした場合、Cは「第三者」に当たるから、Aが、Cに対しその所有権を取得するためには、登記を備えなければならない。よって、Aは、Cに対しその所有権を取得したことを対抗することができない。
総合メモ
177条「第三者」の意義 最三小判昭和25年12月19日
過去問・解説
(H20 司法 第9問 ア)
Aが所有する甲土地の上に権原なく乙建物を所有しているBに対し、Aから甲土地を譲り受けたCは、AからCへの所有権移転登記をしなければ、甲土地の所有権を主張して乙建物の収去を請求することができない。
Aが所有する甲土地の上に権原なく乙建物を所有しているBに対し、Aから甲土地を譲り受けたCは、AからCへの所有権移転登記をしなければ、甲土地の所有権を主張して乙建物の収去を請求することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭25.12.19)は、「不法占有者は民法第177条にいう「第三者」に該当せず、これに対しては登記がなくても所有権の取得を対抗し得るものである…。」と判示している。したがって、甲土地の上に権原なく乙建物を所有しているBは、甲土地について「第三者」に当たらないから、Cは、AからCへの所有権移転登記をしなくても、Bに対し、甲土地の所有権を主張して乙建物の収去を請求することができる。
判例(最判昭25.12.19)は、「不法占有者は民法第177条にいう「第三者」に該当せず、これに対しては登記がなくても所有権の取得を対抗し得るものである…。」と判示している。したがって、甲土地の上に権原なく乙建物を所有しているBは、甲土地について「第三者」に当たらないから、Cは、AからCへの所有権移転登記をしなくても、Bに対し、甲土地の所有権を主張して乙建物の収去を請求することができる。
(H21 司法 第7問 3)
土地の所有権を有するが、その所有権の取得を第三者に対抗することができない者は、その土地を権原なく占有する者に対して、所有権に基づく物権的請求権を行使することができない。
土地の所有権を有するが、その所有権の取得を第三者に対抗することができない者は、その土地を権原なく占有する者に対して、所有権に基づく物権的請求権を行使することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭25.12.19)は、「不法占有者は民法第177条にいう「第三者」に該当せず、これに対しては登記がなくても所有権の取得を対抗し得るものである…。」と判示している。したがって、土地を権原なく占有する者は「第三者」に当たらないから、土地の所有権を有するが、その所有権の取得を第三者に対抗することができない者も、その土地を権原なく占有する者に対して、所有権に基づく物権的請求権を行使することができる。
判例(最判昭25.12.19)は、「不法占有者は民法第177条にいう「第三者」に該当せず、これに対しては登記がなくても所有権の取得を対抗し得るものである…。」と判示している。したがって、土地を権原なく占有する者は「第三者」に当たらないから、土地の所有権を有するが、その所有権の取得を第三者に対抗することができない者も、その土地を権原なく占有する者に対して、所有権に基づく物権的請求権を行使することができる。
(H26 予備 第4問 イ)
Aが、A所有の甲建物をBとCに二重に売却し、AからBへの所有権移転登記も、AからCへの所有権移転登記もされていない時に、Dが甲建物を勝手に占拠した場合、Bは、AからBへの所有権移転登記をするまでは、Dに対し、所有権に基づき甲建物の明渡しを請求することはできない。
Aが、A所有の甲建物をBとCに二重に売却し、AからBへの所有権移転登記も、AからCへの所有権移転登記もされていない時に、Dが甲建物を勝手に占拠した場合、Bは、AからBへの所有権移転登記をするまでは、Dに対し、所有権に基づき甲建物の明渡しを請求することはできない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭25.12.19)は、「不法占有者は民法第177条にいう「第三者」に該当せず、これに対しては登記がなくても所有権の取得を対抗し得るものである…。」と判示している。したがって、甲建物を勝手に占拠しているDは「第三者」に当たらないから、Bは、甲建物の登記がなくても、Dに対して甲土地所有権を対抗することができる。よって、Bは、AからBへの所有権移転登記をしなくても、Dに対し、所有権に基づき甲建物の明渡しを請求することができる。
判例(最判昭25.12.19)は、「不法占有者は民法第177条にいう「第三者」に該当せず、これに対しては登記がなくても所有権の取得を対抗し得るものである…。」と判示している。したがって、甲建物を勝手に占拠しているDは「第三者」に当たらないから、Bは、甲建物の登記がなくても、Dに対して甲土地所有権を対抗することができる。よって、Bは、AからBへの所有権移転登記をしなくても、Dに対し、所有権に基づき甲建物の明渡しを請求することができる。
(R1 司法 第6問 オ)
Aが新築して所有する未登記の甲建物をBが不法に占有している場合、Aは、Bに対し、登記をしなければ甲建物の所有権の取得を対抗することができない。
Aが新築して所有する未登記の甲建物をBが不法に占有している場合、Aは、Bに対し、登記をしなければ甲建物の所有権の取得を対抗することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭25.12.19)は、「不法占有者は民法第177条にいう「第三者」に該当せず、これに対しては登記がなくても所有権の取得を対抗し得るものである…。」と判示している。したがって、Aが新築して所有する未登記の甲建物を不法に占有しているBは、「第三者」に当たらないから、甲建物を所有するAは、Bに対し、登記をしなくても甲建物の所有権の取得を対抗することができる。
判例(最判昭25.12.19)は、「不法占有者は民法第177条にいう「第三者」に該当せず、これに対しては登記がなくても所有権の取得を対抗し得るものである…。」と判示している。したがって、Aが新築して所有する未登記の甲建物を不法に占有しているBは、「第三者」に当たらないから、甲建物を所有するAは、Bに対し、登記をしなくても甲建物の所有権の取得を対抗することができる。
総合メモ
登記引取請求権 最二小判昭和36年11月24日
概要
真実の権利関係に合致しない登記がある場合、当該登記の当事者は他の当事者に対し、当該登記を真実に合致させることを内容とする登記請求権を有する。
判例
事案:真実の権利関係に合致しない登記がある場合において、当該登記の当事者が他の当事者に対し、当該登記を真実に合致させることを内容とする登記請求権を有するかが問題となった。
判旨:「真実の権利関係に合致しない登記があるときは、その登記の当事者の一方は他の当事者に対し、いずれも登記をして真実に合致せしめることを内容とする登記請求権を有するとともに、他の当事者は右登記請求に応じて登記を真実に合致せしめることに協力する義務を負うものというべきである。」
判旨:「真実の権利関係に合致しない登記があるときは、その登記の当事者の一方は他の当事者に対し、いずれも登記をして真実に合致せしめることを内容とする登記請求権を有するとともに、他の当事者は右登記請求に応じて登記を真実に合致せしめることに協力する義務を負うものというべきである。」
過去問・解説
(H26 司法 第8問 ウ)
AがBの所有する土地に第1順位の抵当権を有し、その抵当権の設定登記がされた後に、その抵当権の被担保債権が弁済により消滅した場合、第2順位の抵当権者であるCは、Aに対し、抵当権設定登記の抹消登記手続を請求することはできない。
AがBの所有する土地に第1順位の抵当権を有し、その抵当権の設定登記がされた後に、その抵当権の被担保債権が弁済により消滅した場合、第2順位の抵当権者であるCは、Aに対し、抵当権設定登記の抹消登記手続を請求することはできない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭36.11.24)は、「真実の権利関係に合致しない登記があるときは、その登記の当事者の一方は他の当事者に対し、いずれも登記をして真実に合致せしめることを内容とする登記請求権を有する…。」と判示している。第1順位の抵当権の被担保債権が弁済により消滅した場合、当該抵当権もその付従性により消滅するから、当該抵当権の設定登記は真実の権利関係に合致しない登記であるといえる。したがって、第2順位の抵当権者であるCは、Aに対し、物権的請求権に基づいて、抵当権設定登記の抹消登記手続を請求することができる。
判例(最判昭36.11.24)は、「真実の権利関係に合致しない登記があるときは、その登記の当事者の一方は他の当事者に対し、いずれも登記をして真実に合致せしめることを内容とする登記請求権を有する…。」と判示している。第1順位の抵当権の被担保債権が弁済により消滅した場合、当該抵当権もその付従性により消滅するから、当該抵当権の設定登記は真実の権利関係に合致しない登記であるといえる。したがって、第2順位の抵当権者であるCは、Aに対し、物権的請求権に基づいて、抵当権設定登記の抹消登記手続を請求することができる。
(R5 司法 第8問 ウ)
甲がその所有する甲土地を乙に売却したにもかかわらず、甲から乙への所有権移転登記手続に乙が協力しないときは、甲は、乙に対し、その所有権移転登記手続を請求することができる。
甲がその所有する甲土地を乙に売却したにもかかわらず、甲から乙への所有権移転登記手続に乙が協力しないときは、甲は、乙に対し、その所有権移転登記手続を請求することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭36.11.24)は、「真実の権利関係に合致しない登記があるときは、その登記の当事者の一方は他の当事者に対し、いずれも登記をして真実に合致せしめることを内容とする登記請求権を有するとともに、他の当事者は右登記請求に応じて登記を真実に合致せしめることに協力する義務を負うものというべきである。」と判示している。したがって、甲は、乙に対し、その所有権移転登記手続を請求することができる。
判例(最判昭36.11.24)は、「真実の権利関係に合致しない登記があるときは、その登記の当事者の一方は他の当事者に対し、いずれも登記をして真実に合致せしめることを内容とする登記請求権を有するとともに、他の当事者は右登記請求に応じて登記を真実に合致せしめることに協力する義務を負うものというべきである。」と判示している。したがって、甲は、乙に対し、その所有権移転登記手続を請求することができる。
総合メモ
時効完成後の第三者 最一小判昭和33年8月28日
概要
時効により不動産の所有権を取得しても、その登記がないときは、時効完成後旧所有者から当該不動産の所有権を取得し登記を経た第三者に対し、その善意であると否とを問わず、所有権の取得を対抗できない。
判例
事案:時効完成後旧所有者から不動産の所有権を取得した者がいる場合において、当該不動産の所有権を時効により取得した者が、登記なくしてその所有権の取得を対抗することができるかが問題となった。
判旨:「取得時効による不動産の所有権の取得についても、登記なくしては、時効完成後当該不動産につき旧所有者から所有権を取得し登記を経た第三者に対して、その善意たると否とを問わず、時効による所有権の取得を対抗し得ないと解するを相当とする…。」
判旨:「取得時効による不動産の所有権の取得についても、登記なくしては、時効完成後当該不動産につき旧所有者から所有権を取得し登記を経た第三者に対して、その善意たると否とを問わず、時効による所有権の取得を対抗し得ないと解するを相当とする…。」
過去問・解説
(H26 共通 第5問 エ)
Aが所有する不動産についてBが占有を継続したことにより取得時効が完成しても、Bは、その登記をしなければ、その後にAからその不動産を取得したCに対しては、時効による権利の取得を対抗することができない。
Aが所有する不動産についてBが占有を継続したことにより取得時効が完成しても、Bは、その登記をしなければ、その後にAからその不動産を取得したCに対しては、時効による権利の取得を対抗することができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭33.8.28)は、「取得時効による不動産の所有権の取得についても、登記なくしては、時効完成後当該不動産につき旧所有者から所有権を取得し登記を経た第三者に対して、…時効による所有権の取得を対抗し得ない」と判示している。したがって、Bは、登記をしなければ、Bの取得時効が完成した後にAから不動産を取得したCに対しては、時効による権利の取得を対抗することができない。
判例(最判昭33.8.28)は、「取得時効による不動産の所有権の取得についても、登記なくしては、時効完成後当該不動産につき旧所有者から所有権を取得し登記を経た第三者に対して、…時効による所有権の取得を対抗し得ない」と判示している。したがって、Bは、登記をしなければ、Bの取得時効が完成した後にAから不動産を取得したCに対しては、時効による権利の取得を対抗することができない。
(R1 司法 第5問 イ)
不動産の所有権を時効により取得した者は、時効完成後にその不動産を譲り受けた者に対し、登記をしなくてもその所有権の取得を対抗することができる。
不動産の所有権を時効により取得した者は、時効完成後にその不動産を譲り受けた者に対し、登記をしなくてもその所有権の取得を対抗することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭33.8.28)は、「取得時効による不動産の所有権の取得についても、登記なくしては、時効完成後当該不動産につき旧所有者から所有権を取得し登記を経た第三者に対して、…時効による所有権の取得を対抗し得ない」と判示している。
判例(最判昭33.8.28)は、「取得時効による不動産の所有権の取得についても、登記なくしては、時効完成後当該不動産につき旧所有者から所有権を取得し登記を経た第三者に対して、…時効による所有権の取得を対抗し得ない」と判示している。
(R5 共通 第9問 ア)
竹木所有のための地上権を時効取得した者は、登記をしなくても、その後にその地上権の目的土地を購入しその旨の登記をした者に地上権の取得を対抗することができる。
竹木所有のための地上権を時効取得した者は、登記をしなくても、その後にその地上権の目的土地を購入しその旨の登記をした者に地上権の取得を対抗することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭33.8.28)は、「取得時効による不動産の所有権の取得についても、登記なくしては、時効完成後当該不動産につき旧所有者から所有権を取得し登記を経た第三者に対して、…時効による所有権の取得を対抗し得ない」と判示しており、この判例の理解は、竹木所有のための地上権を時効取得した者についても妥当すると解される。したがって、竹木所有のための地上権を時効取得した者は、登記をしなければ、その後にその地上権の目的土地を購入しその旨の登記をした者に地上権の取得を対抗することができない。
判例(最判昭33.8.28)は、「取得時効による不動産の所有権の取得についても、登記なくしては、時効完成後当該不動産につき旧所有者から所有権を取得し登記を経た第三者に対して、…時効による所有権の取得を対抗し得ない」と判示しており、この判例の理解は、竹木所有のための地上権を時効取得した者についても妥当すると解される。したがって、竹木所有のための地上権を時効取得した者は、登記をしなければ、その後にその地上権の目的土地を購入しその旨の登記をした者に地上権の取得を対抗することができない。
総合メモ
真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続請求 最一小判昭和34年2月12日
概要
真正なる不動産の所有者は、不動産につき実質上所有権を有せず、登記簿上所有者として表示されているにすぎない者に対して、所有権に基いて所有権移転登記手続請求をすることができる。
判例
事案:不動産につき実質上所有権を有せず、登記簿上所有者として表示されているにすぎない者がある場合において、真正なる不動産の所有者が、登記簿上の所有名義人に対して、所有権に基づいて所有権移転登記手続請求をすることができるかが問題となった。
判旨:「不動産の登記簿上の所有名義人は、真正の所有者に対し、その所有権の公示に協力すべき義務を有するものであるから、真正の所有者は、所有権に基き所有名義人に対し所有権移転登記の請求をなしうる…。」
判旨:「不動産の登記簿上の所有名義人は、真正の所有者に対し、その所有権の公示に協力すべき義務を有するものであるから、真正の所有者は、所有権に基き所有名義人に対し所有権移転登記の請求をなしうる…。」
過去問・解説
(H27 司法 第8問 ウ)
Aの所有する甲土地についてAからB、BからCへの所有権移転登記がされている場合、それぞれの所有権移転登記に対応する権利変動がないときは、Aは、Cに対し、直接自己への所有権移転登記手続を請求することはできない。
Aの所有する甲土地についてAからB、BからCへの所有権移転登記がされている場合、それぞれの所有権移転登記に対応する権利変動がないときは、Aは、Cに対し、直接自己への所有権移転登記手続を請求することはできない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭34.2.12)は、「不動産の登記簿上の所有名義人は、真正の所有者に対し、その所有権の公示に協力すべき義務を有するものであるから、真正の所有者は、所有権に基き所有名義人に対し所有権移転登記の請求をなしうる…。」と判示している。したがって、Aは、Cに対し、直接自己への所有権移転登記手続を請求することができる。
判例(最判昭34.2.12)は、「不動産の登記簿上の所有名義人は、真正の所有者に対し、その所有権の公示に協力すべき義務を有するものであるから、真正の所有者は、所有権に基き所有名義人に対し所有権移転登記の請求をなしうる…。」と判示している。したがって、Aは、Cに対し、直接自己への所有権移転登記手続を請求することができる。
総合メモ
解除後の第三者 最三小判昭和35年11月29日
概要
不動産売買契約が解除され、その所有権が売主に復帰した場合、売主はその旨の登記を経由しなければ、契約解除後に買主から不動産を取得した第三者に対し、所有権の取得を対抗できない。
判例
事案:不動産の売買契約が解除された後、当該契約の買主から不動産を取得した第三者が存する場合において、解除された契約の売主が第三者に対して、当該解除により所有権が復帰したことを対抗するためには、登記を備えることが必要かが問題となった。
判旨:「不動産を目的とする売買契約に基き買主のため所有権移転登記があつた後、右売買契約が解除せられ、不動産の所有権が買主に復帰した場合でも、売主は、その所有権取得の登記を了しなければ、右契約解除後において買主から不動産を取得した第三者に対し、所有権の復帰を以つて対抗し得ないのであつて、その場合、第三者が善意であると否と、右不動産につき予告登記がなされて居たと否とに拘らない…。」
判旨:「不動産を目的とする売買契約に基き買主のため所有権移転登記があつた後、右売買契約が解除せられ、不動産の所有権が買主に復帰した場合でも、売主は、その所有権取得の登記を了しなければ、右契約解除後において買主から不動産を取得した第三者に対し、所有権の復帰を以つて対抗し得ないのであつて、その場合、第三者が善意であると否と、右不動産につき予告登記がなされて居たと否とに拘らない…。」
過去問・解説
(H21 司法 第11問 ウ)
AがBに甲不動産を売り渡した後、Bの債務不履行を理由に当該売買契約を解除して甲不動産の所有権がAに復帰した場合、Aは、その旨の登記をしなければ、当該解除後にBから甲不動産を取得したCに対し、所有権の復帰を対抗することができない。
AがBに甲不動産を売り渡した後、Bの債務不履行を理由に当該売買契約を解除して甲不動産の所有権がAに復帰した場合、Aは、その旨の登記をしなければ、当該解除後にBから甲不動産を取得したCに対し、所有権の復帰を対抗することができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭35.11.29)は、不動産売買契約が解除され、その所有権が売主に復帰した場合、売主はその旨の登記を経由しなければ、契約解除後に買主から不動産を取得した第三者に対し、所有権の取得を対抗できない旨判示している。本肢において、Cは解除後の第三者に当たるため、Aは、甲不動産の所有権が解除によってAに復帰した旨の登記をしなければ、Cに対し、所有権の復帰を対抗することができない。
判例(最判昭35.11.29)は、不動産売買契約が解除され、その所有権が売主に復帰した場合、売主はその旨の登記を経由しなければ、契約解除後に買主から不動産を取得した第三者に対し、所有権の取得を対抗できない旨判示している。本肢において、Cは解除後の第三者に当たるため、Aは、甲不動産の所有権が解除によってAに復帰した旨の登記をしなければ、Cに対し、所有権の復帰を対抗することができない。
(H25 司法 第10問 ア)
AがBに甲土地を売却し、所有権移転登記がされた後、Aは、Bの代金不払を理由に売買契約を解除した。その後BがCに甲土地を売却し、所有権移転登記がされた場合、Aは、Cに対し、甲土地の所有権を主張することができない。
AがBに甲土地を売却し、所有権移転登記がされた後、Aは、Bの代金不払を理由に売買契約を解除した。その後BがCに甲土地を売却し、所有権移転登記がされた場合、Aは、Cに対し、甲土地の所有権を主張することができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭35.11.29)は、不動産売買契約が解除され、その所有権が売主に復帰した場合、売主はその旨の登記を経由しなければ、契約解除後に買主から不動産を取得した第三者に対し、所有権の取得を対抗できない旨判示している。本肢において、Cは解除後の第三者に当たるため、Aは、甲土地の所有権が解除によってAに復帰した旨の登記をしなければ、Cに対し、所有権の復帰を対抗することができない。しかし、Cが甲土地所有権移転登記を備えているため、Aは、Cに対し、甲土地の所有権を主張することができない。
判例(最判昭35.11.29)は、不動産売買契約が解除され、その所有権が売主に復帰した場合、売主はその旨の登記を経由しなければ、契約解除後に買主から不動産を取得した第三者に対し、所有権の取得を対抗できない旨判示している。本肢において、Cは解除後の第三者に当たるため、Aは、甲土地の所有権が解除によってAに復帰した旨の登記をしなければ、Cに対し、所有権の復帰を対抗することができない。しかし、Cが甲土地所有権移転登記を備えているため、Aは、Cに対し、甲土地の所有権を主張することができない。
(H26 司法 第9問 ア)
AがBから売買によってB所有の甲土地を取得し、BからAへの所有権移転登記がされた後に、AB間の売買契約が解除され、その後、AからCへ甲土地が譲渡され、AからCへの所有権移転登記がされた場合、Bは、Cに対し、AからCへの所有権移転登記の抹消登記手続を請求することができる。
AがBから売買によってB所有の甲土地を取得し、BからAへの所有権移転登記がされた後に、AB間の売買契約が解除され、その後、AからCへ甲土地が譲渡され、AからCへの所有権移転登記がされた場合、Bは、Cに対し、AからCへの所有権移転登記の抹消登記手続を請求することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭35.11.29)は、不動産売買契約が解除され、その所有権が売主に復帰した場合、売主はその旨の登記を経由しなければ、契約解除後に買主から不動産を取得した第三者に対し、所有権の取得を対抗できない旨判示している。本肢において、Cは解除後の第三者に当たるため、Bは、甲土地の所有権が解除によってBに復帰した旨の登記をしなければ、Cに対し、所有権の復帰を対抗することができない。しかし、Cが甲土地所有権移転登記を備えているため、Bは、Cに対し、甲土地の所有権を主張することができない。
判例(最判昭35.11.29)は、不動産売買契約が解除され、その所有権が売主に復帰した場合、売主はその旨の登記を経由しなければ、契約解除後に買主から不動産を取得した第三者に対し、所有権の取得を対抗できない旨判示している。本肢において、Cは解除後の第三者に当たるため、Bは、甲土地の所有権が解除によってBに復帰した旨の登記をしなければ、Cに対し、所有権の復帰を対抗することができない。しかし、Cが甲土地所有権移転登記を備えているため、Bは、Cに対し、甲土地の所有権を主張することができない。
(R1 司法 第6問 エ)
A所有の甲土地をAからBが買い受けた後、Bの代金未払を理由にAB間の売買契約が解除された場合において、その後にBがCに甲土地を売却しその旨の登記がされたときは、Aは、Cに対し、解除による甲土地の所有権の復帰を対抗することができない。
A所有の甲土地をAからBが買い受けた後、Bの代金未払を理由にAB間の売買契約が解除された場合において、その後にBがCに甲土地を売却しその旨の登記がされたときは、Aは、Cに対し、解除による甲土地の所有権の復帰を対抗することができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭35.11.29)は、不動産売買契約が解除され、その所有権が売主に復帰した場合、売主はその旨の登記を経由しなければ、契約解除後に買主から不動産を取得した第三者に対し、所有権の取得を対抗できない旨判示している。本肢において、Cは解除後の第三者に当たるため、Aは、甲土地の所有権移転登記を備えているCに対し、解除による甲土地の所有権の復帰を対抗することができない。
判例(最判昭35.11.29)は、不動産売買契約が解除され、その所有権が売主に復帰した場合、売主はその旨の登記を経由しなければ、契約解除後に買主から不動産を取得した第三者に対し、所有権の取得を対抗できない旨判示している。本肢において、Cは解除後の第三者に当たるため、Aは、甲土地の所有権移転登記を備えているCに対し、解除による甲土地の所有権の復帰を対抗することができない。
総合メモ
共同相続と登記 最二小判昭和38年2月22日
概要
共同相続人が共同相続した不動産につき、共同相続人のうち1人が勝手に単独所有権取得の登記をし、さらに当該共同相続人から相続不動産の譲渡を受け、その移転登記を受けた第三取得者がある場合、他の共同相続人は当該第三取得者に対し自己の持分を登記なくして対抗できる。この場合、当該他の共同相続人が請求できるのは、同人の持分についてのみの一部抹消(更正)登記手続であって、各登記の全部抹消を求めることは許されない。
判例
事案:相続財産に属する不動産につき共同相続人の1人が単独所有権移転の登記をして、当該不動産を第三者に譲渡した場合、他の共同相続人が第三取得者に対して自己の持分を対抗するためには、登記を要するか、また、当該共同相続人がその共有権に対する妨害排除として請求できる範囲が問題となった。
判旨:「相続財産に属する不動産につき単独所有権移転の登記をした共同相続人中のBならびにBから単独所有権移転の登記をうけた第三取得者Cに対し、他の共同相続人Aは自己の持分を登記なくして対抗しうるものと解すべきである。けだしBの登記は甲の持分に関する限り無権利の登記であり、登記に公信力なき結果CもAの持分に関する限りその権利を取得するに由ないからである(大正8年11月3日大審院判決、民録25輯1944頁参照)。そして、この場合にAがその共有権に対する妨害排除として登記を実体的権利に合致させるためB、Cに対し請求できるのは、各所有権取得登記の全部抹消登記手続ではなくして、Aの持分についてのみの一部抹消(更正)登記手続でなければならない(大正10年10月27日大審院判決、民録27輯2040頁、昭和37年5月24日最高裁判所第一小法廷判決、裁判集60巻767頁参照)。けだし右各移転登記はBの持分に関する限り実体関係に符合しており、またAは自己の持分についてのみ妨害排除の請求権を有するに過ぎないからである。」
判旨:「相続財産に属する不動産につき単独所有権移転の登記をした共同相続人中のBならびにBから単独所有権移転の登記をうけた第三取得者Cに対し、他の共同相続人Aは自己の持分を登記なくして対抗しうるものと解すべきである。けだしBの登記は甲の持分に関する限り無権利の登記であり、登記に公信力なき結果CもAの持分に関する限りその権利を取得するに由ないからである(大正8年11月3日大審院判決、民録25輯1944頁参照)。そして、この場合にAがその共有権に対する妨害排除として登記を実体的権利に合致させるためB、Cに対し請求できるのは、各所有権取得登記の全部抹消登記手続ではなくして、Aの持分についてのみの一部抹消(更正)登記手続でなければならない(大正10年10月27日大審院判決、民録27輯2040頁、昭和37年5月24日最高裁判所第一小法廷判決、裁判集60巻767頁参照)。けだし右各移転登記はBの持分に関する限り実体関係に符合しており、またAは自己の持分についてのみ妨害排除の請求権を有するに過ぎないからである。」
過去問・解説
(H19 司法 第8問 エ)
被相続人Aから甲不動産をBと共に共同相続したXは、Bが甲を単独相続した旨の登記をした上でYに売却し、Yが所有権移転登記を備えた場合、Yに対し、この所有権移転登記の全部抹消を求めることができる。
被相続人Aから甲不動産をBと共に共同相続したXは、Bが甲を単独相続した旨の登記をした上でYに売却し、Yが所有権移転登記を備えた場合、Yに対し、この所有権移転登記の全部抹消を求めることができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭38.2.22)は、共同相続人が共同相続した不動産につき、共同相続人のうち1人が勝手に単独所有権取得の登記をし、さらに当該共同相続人から相続不動産の譲渡を受け、その移転登記を受けた第三取得者がある場合、他の共同相続人は当該第三取得者に対し自己の持分を登記なくして対抗できる旨判示した上で、この場合、当該他の共同相続人が請求できるのは、同人の持分についてのみの一部抹消(更正)登記手続であって、各登記の全部抹消を求めることは許されない旨判示している。したがって、XがYに対し求めることができるのは、X自身の持分についてのみの一部抹消登記手続に限定され、Yに対し、所有権移転登記の全部抹消を求めることはできない。
判例(最判昭38.2.22)は、共同相続人が共同相続した不動産につき、共同相続人のうち1人が勝手に単独所有権取得の登記をし、さらに当該共同相続人から相続不動産の譲渡を受け、その移転登記を受けた第三取得者がある場合、他の共同相続人は当該第三取得者に対し自己の持分を登記なくして対抗できる旨判示した上で、この場合、当該他の共同相続人が請求できるのは、同人の持分についてのみの一部抹消(更正)登記手続であって、各登記の全部抹消を求めることは許されない旨判示している。したがって、XがYに対し求めることができるのは、X自身の持分についてのみの一部抹消登記手続に限定され、Yに対し、所有権移転登記の全部抹消を求めることはできない。
(H19 司法 第34問 4)
遺産である不動産につき、各相続人は自己の持分を処分することはできない。
遺産である不動産につき、各相続人は自己の持分を処分することはできない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭38.2.22)は、共同相続人が共同相続した不動産につき、共同相続人のうち1人が勝手に単独所有権取得の登記をし、さらに当該共同相続人から相続不動産の譲渡を受け、その移転登記を受けた第三取得者がある場合、他の共同相続人は当該第三取得者に対し自己の持分を登記なくして対抗できる旨判示した上で、この場合、当該他の共同相続人が請求できるのは、同人の持分についてのみの一部抹消(更正)登記手続であって、各登記の全部抹消を求めることは許されない旨判示している。後段部分は、遺産である不動産につき、各相続人は他の相続人の持分を自由に処分することはできないが、自己の持分は自由に処分することができるという理解を前提としている。
判例(最判昭38.2.22)は、共同相続人が共同相続した不動産につき、共同相続人のうち1人が勝手に単独所有権取得の登記をし、さらに当該共同相続人から相続不動産の譲渡を受け、その移転登記を受けた第三取得者がある場合、他の共同相続人は当該第三取得者に対し自己の持分を登記なくして対抗できる旨判示した上で、この場合、当該他の共同相続人が請求できるのは、同人の持分についてのみの一部抹消(更正)登記手続であって、各登記の全部抹消を求めることは許されない旨判示している。後段部分は、遺産である不動産につき、各相続人は他の相続人の持分を自由に処分することはできないが、自己の持分は自由に処分することができるという理解を前提としている。
(H20 司法 第9問 オ)
甲土地を所有するAが遺言をしないで死亡したことによりAの配偶者と子HがAの相続人となった場合において、Aの配偶者から甲土地を買ったIに対し、Hは、相続登記をしなくても、甲土地について有する法定相続分に応じた持分の帰属を主張することができる。
甲土地を所有するAが遺言をしないで死亡したことによりAの配偶者と子HがAの相続人となった場合において、Aの配偶者から甲土地を買ったIに対し、Hは、相続登記をしなくても、甲土地について有する法定相続分に応じた持分の帰属を主張することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭38.2.22)は、「相続財産に属する不動産につき単独所有権移転の登記をした共同相続人…から単独所有権移転の登記をうけた第三取得者…に対し、他の共同相続人…は自己の持分を登記なくして対抗しうるものと解すべきである。」と判示している。本肢においては、甲土地を所有するAが遺言をしないで死亡をしているから、Aの共同相続人Hは、甲土地について法定相続分に従った持分を有する。したがって、Aの共同相続人であるAの配偶者から甲土地を買ったIに対し、Hは、相続登記をしなくても、甲土地について有する法定相続分に応じた持分の帰属を主張することができる。
判例(最判昭38.2.22)は、「相続財産に属する不動産につき単独所有権移転の登記をした共同相続人…から単独所有権移転の登記をうけた第三取得者…に対し、他の共同相続人…は自己の持分を登記なくして対抗しうるものと解すべきである。」と判示している。本肢においては、甲土地を所有するAが遺言をしないで死亡をしているから、Aの共同相続人Hは、甲土地について法定相続分に従った持分を有する。したがって、Aの共同相続人であるAの配偶者から甲土地を買ったIに対し、Hは、相続登記をしなくても、甲土地について有する法定相続分に応じた持分の帰属を主張することができる。
(H24 共通 第35問 1)
甲建物を所有していたAが死亡し、Aには子B、C及びDがいるが、遺産分割は未了である場合において、BがC及びDに無断で甲建物についてBへの所有権移転登記をした上でこれを第三者Eに売り、Eへの所有権移転登記をした場合、C及びDは、Eに対し、それぞれの持分権を対抗することができない。
甲建物を所有していたAが死亡し、Aには子B、C及びDがいるが、遺産分割は未了である場合において、BがC及びDに無断で甲建物についてBへの所有権移転登記をした上でこれを第三者Eに売り、Eへの所有権移転登記をした場合、C及びDは、Eに対し、それぞれの持分権を対抗することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭38.2.22)は、共同相続人が共同相続した不動産につき、共同相続人のうち1人が勝手に単独所有権取得の登記をし、さらに当該共同相続人から相続不動産の譲渡を受け、その移転登記を受けた第三取得者がある場合、他の共同相続人は当該第三取得者に対し自己の持分を登記なくして対抗できる旨判示している。したがって、C及びDは、Eに対し、それぞれの持分権を対抗することができる。
判例(最判昭38.2.22)は、共同相続人が共同相続した不動産につき、共同相続人のうち1人が勝手に単独所有権取得の登記をし、さらに当該共同相続人から相続不動産の譲渡を受け、その移転登記を受けた第三取得者がある場合、他の共同相続人は当該第三取得者に対し自己の持分を登記なくして対抗できる旨判示している。したがって、C及びDは、Eに対し、それぞれの持分権を対抗することができる。
(H25 予備 第5問 エ)
被相続人AからBCが共同相続した不動産について、Cが単独で相続した旨の不実の登記をし、Dに売却して所有権移転登記をした場合、Bは、Dに対し、登記をしなければ自己の持分の取得を対抗することができない。
被相続人AからBCが共同相続した不動産について、Cが単独で相続した旨の不実の登記をし、Dに売却して所有権移転登記をした場合、Bは、Dに対し、登記をしなければ自己の持分の取得を対抗することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭38.2.22)は、「相続財産に属する不動産につき単独所有権移転の登記をした共同相続人…から単独所有権移転の登記をうけた第三取得者…に対し、他の共同相続人…は自己の持分を登記なくして対抗しうるものと解すべきである。」と判示している。したがって、Bは、Dに対し、登記をしなくても自己の持分の取得を対抗することができる。
判例(最判昭38.2.22)は、「相続財産に属する不動産につき単独所有権移転の登記をした共同相続人…から単独所有権移転の登記をうけた第三取得者…に対し、他の共同相続人…は自己の持分を登記なくして対抗しうるものと解すべきである。」と判示している。したがって、Bは、Dに対し、登記をしなくても自己の持分の取得を対抗することができる。
(H26 司法 第9問 エ)
AとBは、被相続人Cが所有していた甲土地を共同相続したが、Bは、甲土地についてAに無断で相続を原因としてCからBへの所有権移転登記をし、さらに、Dへ甲土地を譲渡した場合、Aの持分について、AがDに対して自己の権利を主張するためには登記が必要である。
AとBは、被相続人Cが所有していた甲土地を共同相続したが、Bは、甲土地についてAに無断で相続を原因としてCからBへの所有権移転登記をし、さらに、Dへ甲土地を譲渡した場合、Aの持分について、AがDに対して自己の権利を主張するためには登記が必要である。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭38.2.22)は、「相続財産に属する不動産につき単独所有権移転の登記をした共同相続人…から単独所有権移転の登記をうけた第三取得者…に対し、他の共同相続人…は自己の持分を登記なくして対抗しうるものと解すべきである。」と判示している。本肢においても、共同相続人であるBが、甲土地についてAに無断で相続を原因として被相続人CからBへの所有権移転登記をし、さらに、Dへ甲土地を譲渡しているから、Aの持分について、Aが第三取得者Dの対して自己の権利を主張するためには登記は必要ない。
判例(最判昭38.2.22)は、「相続財産に属する不動産につき単独所有権移転の登記をした共同相続人…から単独所有権移転の登記をうけた第三取得者…に対し、他の共同相続人…は自己の持分を登記なくして対抗しうるものと解すべきである。」と判示している。本肢においても、共同相続人であるBが、甲土地についてAに無断で相続を原因として被相続人CからBへの所有権移転登記をし、さらに、Dへ甲土地を譲渡しているから、Aの持分について、Aが第三取得者Dの対して自己の権利を主張するためには登記は必要ない。
(H26 予備 第4問 オ)
Aは、A所有の甲土地をBに売却したが、AからBへの所有権移転登記をする前に死亡した。Aの法定相続人は、子C及び子Dの2人であり、その相続分は各2分の1であったが、遺産分割協議が調う前に、Cが勝手に甲土地について単独で相続した旨のAからCへの所有権移転登記をした上、甲土地をEに売却し、CからEへの所有権移転登記をした場合、Bは、Eに対し、2分の1の限度で甲土地の共有持分の取得を主張することができる。
Aは、A所有の甲土地をBに売却したが、AからBへの所有権移転登記をする前に死亡した。Aの法定相続人は、子C及び子Dの2人であり、その相続分は各2分の1であったが、遺産分割協議が調う前に、Cが勝手に甲土地について単独で相続した旨のAからCへの所有権移転登記をした上、甲土地をEに売却し、CからEへの所有権移転登記をした場合、Bは、Eに対し、2分の1の限度で甲土地の共有持分の取得を主張することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭38.2.22)は、共同相続人が共同相続した不動産につき、共同相続人のうち1人が勝手に単独所有権取得の登記をし、さらに当該共同相続人から相続不動産の譲渡を受け、その移転登記を受けた第三取得者がある場合、他の共同相続人は当該第三取得者に対し自己の持分を登記なくして対抗できる旨判示したうえで、この場合、当該他の共同相続人が請求できるのは、同人の持分についてのみの一部抹消(更正)登記手続であって、各登記の全部抹消を求めることは許されない旨判示している。後段部分は、遺産である不動産につき、各相続人は他の相続人の持分を自由に処分することはできないが、自己の持分は自由に処分することができるという理解を前提としている。
本肢について、まず、Cの持分については、Cは自由に処分することができる。そうすると、甲土地の内Cの持分に当たる2分の1の限度については、Aから売買契約によって取得したBと、Aの相続人Cから売買契約によって取得したEとは、対抗関係(177条)に立つ。したがって、当該持分について所有権移転登記を備えていないBは、Eに対して、同持分についての甲土地の共有持分の取得を主張することができない。
次に、Dの持分については、Cは自由に処分することができないため、当該持分をCから売買契約により取得したEは、当該持分について全くの無権利者といえる。そうすると、甲土地の内Dの持分に当たる2分の1の限度については、BとEは対抗関係に立たない。したがって、Bは、甲土地について所有権移転登記を備えていなくても、Eに対し、当該2分の1の限度で甲土地の共有持分の取得を主張することができる。
判例(最判昭38.2.22)は、共同相続人が共同相続した不動産につき、共同相続人のうち1人が勝手に単独所有権取得の登記をし、さらに当該共同相続人から相続不動産の譲渡を受け、その移転登記を受けた第三取得者がある場合、他の共同相続人は当該第三取得者に対し自己の持分を登記なくして対抗できる旨判示したうえで、この場合、当該他の共同相続人が請求できるのは、同人の持分についてのみの一部抹消(更正)登記手続であって、各登記の全部抹消を求めることは許されない旨判示している。後段部分は、遺産である不動産につき、各相続人は他の相続人の持分を自由に処分することはできないが、自己の持分は自由に処分することができるという理解を前提としている。
本肢について、まず、Cの持分については、Cは自由に処分することができる。そうすると、甲土地の内Cの持分に当たる2分の1の限度については、Aから売買契約によって取得したBと、Aの相続人Cから売買契約によって取得したEとは、対抗関係(177条)に立つ。したがって、当該持分について所有権移転登記を備えていないBは、Eに対して、同持分についての甲土地の共有持分の取得を主張することができない。
次に、Dの持分については、Cは自由に処分することができないため、当該持分をCから売買契約により取得したEは、当該持分について全くの無権利者といえる。そうすると、甲土地の内Dの持分に当たる2分の1の限度については、BとEは対抗関係に立たない。したがって、Bは、甲土地について所有権移転登記を備えていなくても、Eに対し、当該2分の1の限度で甲土地の共有持分の取得を主張することができる。
(H28 司法 第8問 オ)
甲土地を所有するAには、その妻Bとの間に子C及びDがいる。この場合において、Aが死亡し、Dが甲土地を単独で相続した旨の不実の登記をした上で、甲土地をEに売却し、DからEへの所有権移転登記を経由した場合、Bは、Eに対し、甲土地について2分の1の持分の取得を主張することができない。
甲土地を所有するAには、その妻Bとの間に子C及びDがいる。この場合において、Aが死亡し、Dが甲土地を単独で相続した旨の不実の登記をした上で、甲土地をEに売却し、DからEへの所有権移転登記を経由した場合、Bは、Eに対し、甲土地について2分の1の持分の取得を主張することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭38.2.22)は、「相続財産に属する不動産につき単独所有権移転の登記をした共同相続人…から単独所有権移転の登記をうけた第三取得者…に対し、他の共同相続人…は自己の持分を登記なくして対抗しうるものと解すべきである。」と判示している。したがって、Bは、Eに対し、自己の持分である2分の1の限度で甲土地の持分の取得を主張することができる。
判例(最判昭38.2.22)は、「相続財産に属する不動産につき単独所有権移転の登記をした共同相続人…から単独所有権移転の登記をうけた第三取得者…に対し、他の共同相続人…は自己の持分を登記なくして対抗しうるものと解すべきである。」と判示している。したがって、Bは、Eに対し、自己の持分である2分の1の限度で甲土地の持分の取得を主張することができる。
(H29 共通 第10問 イ)
A、B及びCの3名が各3分の1の割合による持分を有する土地につき、Aがその所有者をAのみとする登記をした場合、Bは、Aに対し、A、B及びCの3名の持分を各3分の1とする更正登記手続を求めることができる。
A、B及びCの3名が各3分の1の割合による持分を有する土地につき、Aがその所有者をAのみとする登記をした場合、Bは、Aに対し、A、B及びCの3名の持分を各3分の1とする更正登記手続を求めることができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭38.2.22)は、共同相続人が共同相続した不動産につき、共同相続人のうち1人が勝手に単独所有権取得の登記をし、さらに当該共同相続人から相続不動産の譲渡を受け、その移転登記を受けた第三取得者がある場合、他の共同相続人は当該第三取得者に対し自己の持分を登記なくして対抗できる旨判示した上で、この場合、当該他の共同相続人が請求できるのは、同人の持分についてのみの一部抹消(更正)登記手続であって、各登記の全部抹消を求めることは許されない旨判示している。したがって、共同相続人Bが請求できるのは、Bの持分についてのみの一部更正登記手続に限定される。よって、この範囲を超えて、Aに対し、A、B及びCの3名の持分を各3分の1とする更正登記手続を求めることはできない。
判例(最判昭38.2.22)は、共同相続人が共同相続した不動産につき、共同相続人のうち1人が勝手に単独所有権取得の登記をし、さらに当該共同相続人から相続不動産の譲渡を受け、その移転登記を受けた第三取得者がある場合、他の共同相続人は当該第三取得者に対し自己の持分を登記なくして対抗できる旨判示した上で、この場合、当該他の共同相続人が請求できるのは、同人の持分についてのみの一部抹消(更正)登記手続であって、各登記の全部抹消を求めることは許されない旨判示している。したがって、共同相続人Bが請求できるのは、Bの持分についてのみの一部更正登記手続に限定される。よって、この範囲を超えて、Aに対し、A、B及びCの3名の持分を各3分の1とする更正登記手続を求めることはできない。
総合メモ
所有権移転登記手続請求 最二小判昭和36年4月28日
概要
不動産につき、A、B、Cと順次所有権の移転があったものとして順次所有権移転登記が経由された場合において、所有権移転の原因たる法律行為がすべて無効であるときは、AがB、Cに対し各所有権取得登記の抹消を求め得るほか、BもまたCに対し所有権取得登記の抹消を求めることができる。
判例
事案:不動産につき、A、B、Cと順次所有権の移転があったものとして順次所有権移転登記が経由された場合において、所有権移転の原因たる法律行為がすべて無効であるときは、BはCに対し所有権取得登記の抹消を求めることができるかが問題となった。
判旨:「わが不動産登記法は、不動産について登記簿上、現在の権利関係をあきらかにすると共に、これに先行する権利変動の過程をも、登記簿上如実に表現することを目的とするものであるから、その権利変動の当事者となつたものは、その権利変動の過程において真実と符合しない無効の登記あるときは、たとえ既にその物権を他に移転し、従つて現在においては、不動産の実質的権利者ではないとしても、その登記の是正に関して利害関係を有するかぎり、現在の実質的権利者と同じくその是正について登記名義人に協力を求めるいわゆる登記請求権を有するものと解すべきである。そして、現に権利変動の原因たる法律行為を為し登記簿上右法律行為の当事者として表示されたものは、たとえその法律行為がたまたま法律上無効であつた場合においても、右にいわゆる登記請求権を有するものと解すべきである。」
判旨:「わが不動産登記法は、不動産について登記簿上、現在の権利関係をあきらかにすると共に、これに先行する権利変動の過程をも、登記簿上如実に表現することを目的とするものであるから、その権利変動の当事者となつたものは、その権利変動の過程において真実と符合しない無効の登記あるときは、たとえ既にその物権を他に移転し、従つて現在においては、不動産の実質的権利者ではないとしても、その登記の是正に関して利害関係を有するかぎり、現在の実質的権利者と同じくその是正について登記名義人に協力を求めるいわゆる登記請求権を有するものと解すべきである。そして、現に権利変動の原因たる法律行為を為し登記簿上右法律行為の当事者として表示されたものは、たとえその法律行為がたまたま法律上無効であつた場合においても、右にいわゆる登記請求権を有するものと解すべきである。」
過去問・解説
(H27 司法 第8問 エ)
Aの所有する甲土地についてAからB、BからCへの各売買を原因とする所有権移転登記がされている場合、AからB、BからCへの各売買がいずれも無効であるときは、Aは、Cに対し、BからCへの所有権移転登記の抹消登記手続を請求することができるが、Bは、Cに対し、BからCへの所有権移転登記の抹消登記手続を請求することはできない。
Aの所有する甲土地についてAからB、BからCへの各売買を原因とする所有権移転登記がされている場合、AからB、BからCへの各売買がいずれも無効であるときは、Aは、Cに対し、BからCへの所有権移転登記の抹消登記手続を請求することができるが、Bは、Cに対し、BからCへの所有権移転登記の抹消登記手続を請求することはできない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭36.4.28)は、「権利変動の当事者となつたものは、その権利変動の過程において真実と符合しない無効の登記あるときは、たとえ既にその物権を他に移転し、従つて現在においては、不動産の実質的権利者ではないとしても、その登記の是正に関して利害関係を有するかぎり、現在の実質的権利者と同じくその是正について登記名義人に協力を求めるいわゆる登記請求権を有するものと解すべきである。そして、現に権利変動の原因たる法律行為を為し登記簿上右法律行為の当事者として表示されたものは、たとえその法律行為がたまたま法律上無効であつた場合においても、右にいわゆる登記請求権を有するものと解すべきである。」と判示している。したがって、AのみならずBも、Cに対し、BからCへの所有権移転登記の抹消登記手続を請求することができる。
判例(最判昭36.4.28)は、「権利変動の当事者となつたものは、その権利変動の過程において真実と符合しない無効の登記あるときは、たとえ既にその物権を他に移転し、従つて現在においては、不動産の実質的権利者ではないとしても、その登記の是正に関して利害関係を有するかぎり、現在の実質的権利者と同じくその是正について登記名義人に協力を求めるいわゆる登記請求権を有するものと解すべきである。そして、現に権利変動の原因たる法律行為を為し登記簿上右法律行為の当事者として表示されたものは、たとえその法律行為がたまたま法律上無効であつた場合においても、右にいわゆる登記請求権を有するものと解すべきである。」と判示している。したがって、AのみならずBも、Cに対し、BからCへの所有権移転登記の抹消登記手続を請求することができる。
(R5 司法 第8問 オ)
Aの所有する甲土地がAからB、BからCに順次売却されて、それぞれその旨の所有権移転登記がされた場合において、いずれの売買契約も無効であるときは、Bは、Cに対し、BからCへの所有権移転登記の抹消登記手続を請求することができる。
Aの所有する甲土地がAからB、BからCに順次売却されて、それぞれその旨の所有権移転登記がされた場合において、いずれの売買契約も無効であるときは、Bは、Cに対し、BからCへの所有権移転登記の抹消登記手続を請求することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭36.4.28)は、「権利変動の当事者となつたものは、その権利変動の過程において真実と符合しない無効の登記あるときは、たとえ既にその物権を他に移転し、従つて現在においては、不動産の実質的権利者ではないとしても、その登記の是正に関して利害関係を有するかぎり、現在の実質的権利者と同じくその是正について登記名義人に協力を求めるいわゆる登記請求権を有するものと解すべきである。そして、現に権利変動の原因たる法律行為を為し登記簿上右法律行為の当事者として表示されたものは、たとえその法律行為がたまたま法律上無効であつた場合においても、右にいわゆる登記請求権を有するものと解すべきである。」と判示している。したがって、Bは、Cに対し、BからCへの所有権移転登記の抹消登記手続を請求することができる。
判例(最判昭36.4.28)は、「権利変動の当事者となつたものは、その権利変動の過程において真実と符合しない無効の登記あるときは、たとえ既にその物権を他に移転し、従つて現在においては、不動産の実質的権利者ではないとしても、その登記の是正に関して利害関係を有するかぎり、現在の実質的権利者と同じくその是正について登記名義人に協力を求めるいわゆる登記請求権を有するものと解すべきである。そして、現に権利変動の原因たる法律行為を為し登記簿上右法律行為の当事者として表示されたものは、たとえその法律行為がたまたま法律上無効であつた場合においても、右にいわゆる登記請求権を有するものと解すべきである。」と判示している。したがって、Bは、Cに対し、BからCへの所有権移転登記の抹消登記手続を請求することができる。
総合メモ
不法に抹消された登記と第三者の対抗要件 最二小判昭和36年6月16日
過去問・解説
(R4 司法 第6問 エ)
Aがその所有する甲土地にBのために抵当権を設定し、その旨の登記がされた場合において、その登記をCがBの知らない間に不法に抹消したときは、Bは、再度登記がされない限り、抵当権の設定を第三者に対抗することができない。
Aがその所有する甲土地にBのために抵当権を設定し、その旨の登記がされた場合において、その登記をCがBの知らない間に不法に抹消したときは、Bは、再度登記がされない限り、抵当権の設定を第三者に対抗することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭36.6.16)は、「抵当権設定登記が抵当権者不知の間に不法に抹消された場合には、抵当権者は対抗力を喪失するものでない」と判示している。したがって、Bの抵当権設定登記を、CがBの知らない間に不法に抹消しても、Bの抵当権の対抗力は失われないため、再度登記を備えなくても、抵当権の設定を第三者に対抗することができる。
判例(最判昭36.6.16)は、「抵当権設定登記が抵当権者不知の間に不法に抹消された場合には、抵当権者は対抗力を喪失するものでない」と判示している。したがって、Bの抵当権設定登記を、CがBの知らない間に不法に抹消しても、Bの抵当権の対抗力は失われないため、再度登記を備えなくても、抵当権の設定を第三者に対抗することができる。
総合メモ
時効完成前の第三者 最一小判昭和36年7月20日
概要
不動産の取得時効が完成しても、その登記がなければ、その後に所有権取得登記を経由した第三者に対しては時効による権利の取得を対抗しえないが、第三者のその登記後に、占有者がなお引き続き時効取得に要する期間占有を継続した場合には、その第三者に対し、登記を経由しなくとも時効取得をもって対抗しうるものと解すべきである。
判例
事案:時効完成後の第三者が登記を備えた場合において、占有者が当該登記後さらに時効取得に要する期間占有を継続すれば、登記を経由しなくても時効取得を第三者に対抗することができるかが問題となった。
判旨:「時効が完成しても、その登記がなければ、その後に登記を経由した第三者に対しては時効による権利の取得を対抗しえないのに反し、第三者のなした登記後に時効が完成した場合においては、その第三者に対しては、登記を経由しなくとも時効取得をもつてこれに対抗しうる…。」
判旨:「時効が完成しても、その登記がなければ、その後に登記を経由した第三者に対しては時効による権利の取得を対抗しえないのに反し、第三者のなした登記後に時効が完成した場合においては、その第三者に対しては、登記を経由しなくとも時効取得をもつてこれに対抗しうる…。」
過去問・解説
(H19 司法 第5問 5)
A所有の不動産についてBの取得時効が完成した後、AからCに譲渡がなされCが対抗要件を備えたとしても、Bは、その後も引き続き当該不動産の占有を継続し、時効取得に必要な期間が経過すれば、新たに当該不動産を時効取得できる。
A所有の不動産についてBの取得時効が完成した後、AからCに譲渡がなされCが対抗要件を備えたとしても、Bは、その後も引き続き当該不動産の占有を継続し、時効取得に必要な期間が経過すれば、新たに当該不動産を時効取得できる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭36.7.20)は、「時効が完成しても、その登記がなければ、その後に登記を経由した第三者に対しては時効による権利の取得を対抗しえないのに反し、第三者のなした登記後に時効が完成した場合においては、その第三者に対しては、登記を経由しなくとも時効取得をもつてこれに対抗しうる…。」と判示している。したがって、Bの取得時効が完成した後、AからCに譲渡がなされCが対抗要件を備えたとしても、Bは、その後も引き続き当該不動産の占有を継続し、時効取得に必要な期間が経過すれば、新たに当該不動産を時効取得できる。
判例(最判昭36.7.20)は、「時効が完成しても、その登記がなければ、その後に登記を経由した第三者に対しては時効による権利の取得を対抗しえないのに反し、第三者のなした登記後に時効が完成した場合においては、その第三者に対しては、登記を経由しなくとも時効取得をもつてこれに対抗しうる…。」と判示している。したがって、Bの取得時効が完成した後、AからCに譲渡がなされCが対抗要件を備えたとしても、Bは、その後も引き続き当該不動産の占有を継続し、時効取得に必要な期間が経過すれば、新たに当該不動産を時効取得できる。
(H25 司法 第10問 イ)
AがB所有の甲土地を占有し、取得時効が完成した後BからAへの所有権移転登記が未了の間に、CがBから甲土地を譲り受けて登記をした場合であっても、Aがその後さらに占有を継続し、Cが登記をした時から再度取得時効の期間が経過したときは、Aは、Cに対し、所有権移転登記をしなくても時効による所有権取得を主張することができる。
AがB所有の甲土地を占有し、取得時効が完成した後BからAへの所有権移転登記が未了の間に、CがBから甲土地を譲り受けて登記をした場合であっても、Aがその後さらに占有を継続し、Cが登記をした時から再度取得時効の期間が経過したときは、Aは、Cに対し、所有権移転登記をしなくても時効による所有権取得を主張することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭36.7.20)は、「時効が完成しても、その登記がなければ、その後に登記を経由した第三者に対しては時効による権利の取得を対抗しえないのに反し、第三者のなした登記後に時効が完成した場合においては、その第三者に対しては、登記を経由しなくとも時効取得をもつてこれに対抗しうる…。」と判示している。したがって、Cが登記をした時から再度取得時効の期間が経過したときは、Aは、Cに対し、所有権移転登記をしなくても時効による所有権取得を主張することができる。
判例(最判昭36.7.20)は、「時効が完成しても、その登記がなければ、その後に登記を経由した第三者に対しては時効による権利の取得を対抗しえないのに反し、第三者のなした登記後に時効が完成した場合においては、その第三者に対しては、登記を経由しなくとも時効取得をもつてこれに対抗しうる…。」と判示している。したがって、Cが登記をした時から再度取得時効の期間が経過したときは、Aは、Cに対し、所有権移転登記をしなくても時効による所有権取得を主張することができる。
総合メモ
順次売却と177条「第三者」 最一小判昭和39年2月13日
過去問・解説
(R1 司法 第6問 ア)
AがA所有の甲建物をBに売却し、さらにBがこれをCに売却した場合、Cは、Aに対し、登記をしなくても売買による甲建物の所有権の取得を対抗することができる。
AがA所有の甲建物をBに売却し、さらにBがこれをCに売却した場合、Cは、Aに対し、登記をしなくても売買による甲建物の所有権の取得を対抗することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭39.2.13)は、「民法177条に所謂第三者たるには、係争土地に対しなんらか正当の権利を有することを要し、なんら正当の権利を有せず単に該土地を譲渡した前所有者にすぎない如きものは登記の欠缺を主張するにつき正当の利益を有するものといえない…。」と判示している。したがって、Aは、Cとの関係では、177条の「第三者」に当たらないため、Cは、Aに対し、登記をしなくても売買による甲建物の所有権の取得を対抗することができる。
判例(最判昭39.2.13)は、「民法177条に所謂第三者たるには、係争土地に対しなんらか正当の権利を有することを要し、なんら正当の権利を有せず単に該土地を譲渡した前所有者にすぎない如きものは登記の欠缺を主張するにつき正当の利益を有するものといえない…。」と判示している。したがって、Aは、Cとの関係では、177条の「第三者」に当たらないため、Cは、Aに対し、登記をしなくても売買による甲建物の所有権の取得を対抗することができる。
総合メモ
旧建物の登記の流用の可否 最三小判昭和40年5月4日
概要
滅失建物の登記をその跡地に新築された建物の所有権保存登記に流用することは、許されない。
判例
事案:滅失建物の登記を新築建物の所有権保存登記に流用することの可否が問題となった。
判旨:「建物が滅失した後、その跡地に同様の建物が新築された場合には、旧建物の登記簿は滅失登記により閉鎖され、新建物についてはその所有者から新たな所有権保存登記がなさるべきものであつて、旧建物の既存の登記を新建物の右保存登記に流用することは許されず、かかる流用された登記は、新建物の登記としては無効と解するを相当とする。けだし、旧建物が滅失した以上、その後の登記は真実に符号しないだけでなく、新建物についてその後新たな保存登記がなされて、一個の不動産に二重の登記が存在するに至るとか、その他登記簿上の権利関係の錯雑・不明確をきたす等不動産登記の公示性をみだすおそれがあり、制度の本質に反するからである。」
判旨:「建物が滅失した後、その跡地に同様の建物が新築された場合には、旧建物の登記簿は滅失登記により閉鎖され、新建物についてはその所有者から新たな所有権保存登記がなさるべきものであつて、旧建物の既存の登記を新建物の右保存登記に流用することは許されず、かかる流用された登記は、新建物の登記としては無効と解するを相当とする。けだし、旧建物が滅失した以上、その後の登記は真実に符号しないだけでなく、新建物についてその後新たな保存登記がなされて、一個の不動産に二重の登記が存在するに至るとか、その他登記簿上の権利関係の錯雑・不明確をきたす等不動産登記の公示性をみだすおそれがあり、制度の本質に反するからである。」
過去問・解説
(H29 司法 第7問 オ)
Aは、その所有する甲建物の滅失後に新築した乙建物について、新たな保存登記をせずに甲建物の登記を流用して、Bとの間で、停止条件付代物弁済契約に基づく所有権移転請求権保全の仮登記をし、その後、代物弁済を原因として仮登記に基づく本登記をした。この場合、その本登記は無効である。
Aは、その所有する甲建物の滅失後に新築した乙建物について、新たな保存登記をせずに甲建物の登記を流用して、Bとの間で、停止条件付代物弁済契約に基づく所有権移転請求権保全の仮登記をし、その後、代物弁済を原因として仮登記に基づく本登記をした。この場合、その本登記は無効である。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭40.5.4)は、「建物が滅失した後、その跡地に同様の建物が新築された場合には、旧建物の登記簿は滅失登記により閉鎖され、新建物についてはその所有者から新たな所有権保存登記がなさるべきものであつて、旧建物の既存の登記を新建物の右保存登記に流用することは許されず、かかる流用された登記は、新建物の登記としては無効と解するを相当とする。」と判示している。したがって、乙建物について甲建物の登記を流用してAが行った、所有権移転請求権保全の仮登記は無効であり、その後、代物弁済を原因としてなされた、同仮登記に基づく本登記も無効である。
判例(最判昭40.5.4)は、「建物が滅失した後、その跡地に同様の建物が新築された場合には、旧建物の登記簿は滅失登記により閉鎖され、新建物についてはその所有者から新たな所有権保存登記がなさるべきものであつて、旧建物の既存の登記を新建物の右保存登記に流用することは許されず、かかる流用された登記は、新建物の登記としては無効と解するを相当とする。」と判示している。したがって、乙建物について甲建物の登記を流用してAが行った、所有権移転請求権保全の仮登記は無効であり、その後、代物弁済を原因としてなされた、同仮登記に基づく本登記も無効である。
総合メモ
時効完成前の第三者 最三小判昭和41年11月22日
概要
不動産の時効取得者は、取得時効の進行中に原権利者から当該不動産の譲受を受けその旨の移転登記を経由した者に対しては、登記を経由していなくとも、時効による所有権の取得を対抗することができる。
判例
事案:不動産の時効取得者が、時効完成前に当該不動産を原権利者から取得した者に対して、時効による所有権の取得を対抗するためには、登記を経由する必要があるかが問題となった。
判旨:「時効による不動産所有権取得の有無を考察するにあたつては、単に当事者間のみならず第三者に対する関係も同時に考慮しなければならないのであつて、この関係においては、結局当該不動産についていかなる時期に何人によつて登記がなされたかが問題となるのである。そして、時効が完成しても、その登記がなければ、その後に登記を経由した第三者に対しては時効による権利の取得を対抗することができないのに反し、第三者のなした登記後に時効が完成した場合においては、その第三者に対しては、登記を経由しなくても時効取得をもつてこれに対抗することができる…。」
判旨:「時効による不動産所有権取得の有無を考察するにあたつては、単に当事者間のみならず第三者に対する関係も同時に考慮しなければならないのであつて、この関係においては、結局当該不動産についていかなる時期に何人によつて登記がなされたかが問題となるのである。そして、時効が完成しても、その登記がなければ、その後に登記を経由した第三者に対しては時効による権利の取得を対抗することができないのに反し、第三者のなした登記後に時効が完成した場合においては、その第三者に対しては、登記を経由しなくても時効取得をもつてこれに対抗することができる…。」
過去問・解説
(H21 司法 第11問 エ)
Aは時効により甲不動産の所有権を取得したが、時効完成前に、旧所有者BがCに対し甲不動産を売り渡し、その所有権移転登記がされた。この場合、Aは、Cに対し所有権の取得を対抗することができる。
Aは時効により甲不動産の所有権を取得したが、時効完成前に、旧所有者BがCに対し甲不動産を売り渡し、その所有権移転登記がされた。この場合、Aは、Cに対し所有権の取得を対抗することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭41.11.22)は、「第三者のなした登記後に時効が完成した場合においては、その第三者に対しては、登記を経由しなくても時効取得をもつてこれに対抗することができる…。」と判示している。本肢において、Cは時効完成前の第三者に当たるから、Aは、登記を経由せずとも、Cに対し所有権の取得を対抗することができる。
判例(最判昭41.11.22)は、「第三者のなした登記後に時効が完成した場合においては、その第三者に対しては、登記を経由しなくても時効取得をもつてこれに対抗することができる…。」と判示している。本肢において、Cは時効完成前の第三者に当たるから、Aは、登記を経由せずとも、Cに対し所有権の取得を対抗することができる。
(H23 司法 第7問 3)
Aが平穏かつ公然と所有の意思をもってB所有の不動産の占有を開始してから5年が経過した時点で、Bがその不動産をCに譲渡してその旨の所有権移転登記がされた場合、Aは、その後もその不動産について占有を続けて当初の占有の開始時から22年が経過したときでも、所有権移転登記を有しているCに対して、当該不動産について時効取得をしたことを主張することができない。
Aが平穏かつ公然と所有の意思をもってB所有の不動産の占有を開始してから5年が経過した時点で、Bがその不動産をCに譲渡してその旨の所有権移転登記がされた場合、Aは、その後もその不動産について占有を続けて当初の占有の開始時から22年が経過したときでも、所有権移転登記を有しているCに対して、当該不動産について時効取得をしたことを主張することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭41.11.22)は、「第三者のなした登記後に時効が完成した場合においては、その第三者に対しては、登記を経由しなくても時効取得をもつてこれに対抗することができる…。」と判示している。Cは、Aが平穏かつ公然と所有の意思をもってB所有の不動産の占有を開始してから5年しか経過していない時点で、Bか当該不動産の譲渡を受けその旨の所有権移転登記を経由しているから、時効完成前の第三者に当たる。したがって、Aは、その後もその不動産について占有を続けて当初の占有の開始時から22年が経過したときには、所有権移転登記を有しているCに対して、当該不動産について時効取得をしたことを主張することができる。
判例(最判昭41.11.22)は、「第三者のなした登記後に時効が完成した場合においては、その第三者に対しては、登記を経由しなくても時効取得をもつてこれに対抗することができる…。」と判示している。Cは、Aが平穏かつ公然と所有の意思をもってB所有の不動産の占有を開始してから5年しか経過していない時点で、Bか当該不動産の譲渡を受けその旨の所有権移転登記を経由しているから、時効完成前の第三者に当たる。したがって、Aは、その後もその不動産について占有を続けて当初の占有の開始時から22年が経過したときには、所有権移転登記を有しているCに対して、当該不動産について時効取得をしたことを主張することができる。
(H27 共通 第7問 エ)
AがB所有の乙土地を占有し、取得時効が完成した場合において、その取得時効が完成する前に、Cが乙土地をBから譲り受けると同時に乙土地の所有権移転登記をしたときは、Aは、Cに対し、乙土地の所有権を時効取得したことを主張することができる。
AがB所有の乙土地を占有し、取得時効が完成した場合において、その取得時効が完成する前に、Cが乙土地をBから譲り受けると同時に乙土地の所有権移転登記をしたときは、Aは、Cに対し、乙土地の所有権を時効取得したことを主張することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭41.11.22)は、「第三者のなした登記後に時効が完成した場合においては、その第三者に対しては、登記を経由しなくても時効取得をもつてこれに対抗することができる…。」と判示している。本肢において、Cは時効完成前の第三者に当たるから、Aは、登記を経由せずとも、Cに対し、乙土地の所有権を時効取得したことを主張することができる。
判例(最判昭41.11.22)は、「第三者のなした登記後に時効が完成した場合においては、その第三者に対しては、登記を経由しなくても時効取得をもつてこれに対抗することができる…。」と判示している。本肢において、Cは時効完成前の第三者に当たるから、Aは、登記を経由せずとも、Cに対し、乙土地の所有権を時効取得したことを主張することができる。
(R2 司法 第7問 エ)
A所有の甲土地をAがBに売却し、その旨の登記がされた場合において、その後、これより前から所有の意思をもって甲土地を占有していたCについて取得時効が完成したときは、Cは、Bに対し、甲土地の所有権を主張することができない。
A所有の甲土地をAがBに売却し、その旨の登記がされた場合において、その後、これより前から所有の意思をもって甲土地を占有していたCについて取得時効が完成したときは、Cは、Bに対し、甲土地の所有権を主張することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭41.11.22)は、「第三者のなした登記後に時効が完成した場合においては、その第三者に対しては、登記を経由しなくても時効取得をもつてこれに対抗することができる…。」と判示している。本肢において、Bは時効完成前の第三者に当たるから、Cは、登記を経由せずとも、Bに対し、甲土地の所有権を主張することができる。
判例(最判昭41.11.22)は、「第三者のなした登記後に時効が完成した場合においては、その第三者に対しては、登記を経由しなくても時効取得をもつてこれに対抗することができる…。」と判示している。本肢において、Bは時効完成前の第三者に当たるから、Cは、登記を経由せずとも、Bに対し、甲土地の所有権を主張することができる。
総合メモ
相続放棄と177条における「第三者」 最二小判昭和42年1月20日
概要
相続人は、相続の放棄をした場合には相続開始時に遡って相続開始がなかったと同じ地位に立ち、当該相続放棄の効力は、登記等の有無を問わず、何人に対してもその効力を生ずる。
判例
事案:共同相続人の一人が相続放棄をしたものの、相続不動産につき当該相続放棄をした者も含めて共同相続をした旨の登記がなされ、当該登記を前提として、当該相続放棄をした者の持分について仮差押えをした旨の登記がされた場合において、当該相続不動産を遺産分割により単独で相続した者が、当該仮差押えをした者に対して当該相続不動産の所有権を対抗するためには、登記を備えることが必要かが問題となった。
判旨:「民法939条1項(昭和37年法律第40号による改正前のもの)「放棄は、相続開始の時にさかのぼつてその効果を生ずる。」の規定は、相続放棄者に対する関係では、右改正後の現行規定「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初から相続人とならなかつたものとみなす。」と同趣旨と解すべきであり、民法が承認、放棄をなすべき期間(同法915条)を定めたのは、相続人に権利義務を無条件に承継することを強制しないこととして、相続人の利益を保護しようとしたものであり、同条所定期間内に家庭裁判所に放棄の申述をすると(同法938条)、相続人は相続開始時に遡ぼつて相続開始がなかつたと同じ地位におかれることとなり、この効力は絶対的で、何人に対しても、登記等なくしてその効力を生ずると解すべきである。」
判旨:「民法939条1項(昭和37年法律第40号による改正前のもの)「放棄は、相続開始の時にさかのぼつてその効果を生ずる。」の規定は、相続放棄者に対する関係では、右改正後の現行規定「相続の放棄をした者は、その相続に関しては、初から相続人とならなかつたものとみなす。」と同趣旨と解すべきであり、民法が承認、放棄をなすべき期間(同法915条)を定めたのは、相続人に権利義務を無条件に承継することを強制しないこととして、相続人の利益を保護しようとしたものであり、同条所定期間内に家庭裁判所に放棄の申述をすると(同法938条)、相続人は相続開始時に遡ぼつて相続開始がなかつたと同じ地位におかれることとなり、この効力は絶対的で、何人に対しても、登記等なくしてその効力を生ずると解すべきである。」
過去問・解説
(H21 司法 第11問 オ)
Aは被相続人Bの相続について相続放棄をしたが、相続財産である未登記の甲不動産について、Aの債権者Cが代位によって法定相続分に従って所有権保存登記をした上、Aの持分に対する仮差押えをし、その旨の登記がされた。この場合、Aによる相続放棄は、Cに対して効力を生じない。
Aは被相続人Bの相続について相続放棄をしたが、相続財産である未登記の甲不動産について、Aの債権者Cが代位によって法定相続分に従って所有権保存登記をした上、Aの持分に対する仮差押えをし、その旨の登記がされた。この場合、Aによる相続放棄は、Cに対して効力を生じない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭42.1.20)は、「相続人は相続開始時に遡ぼつて相続開始がなかつたと同じ地位におかれることとなり、この効力は絶対的で、何人に対しても、登記等なくしてその効力を生ずると解すべきである。」と判示している。したがって、Aによる相続放棄は、Cに対しても効力を生ずる。
判例(最判昭42.1.20)は、「相続人は相続開始時に遡ぼつて相続開始がなかつたと同じ地位におかれることとなり、この効力は絶対的で、何人に対しても、登記等なくしてその効力を生ずると解すべきである。」と判示している。したがって、Aによる相続放棄は、Cに対しても効力を生ずる。
(H25 司法 第10問 ウ)
甲土地を含む財産をABCが共同で相続し、その後Aのみが相続を放棄した場合、BCがBCのみの共有持分登記をする前に、Aの債権者DがAも共同相続したものとして代位によりAの共有持分登記をした上、Aの持分を差し押さえたときは、BCは、Dに対し、甲土地がBCのみの共有であることを主張することができない。
甲土地を含む財産をABCが共同で相続し、その後Aのみが相続を放棄した場合、BCがBCのみの共有持分登記をする前に、Aの債権者DがAも共同相続したものとして代位によりAの共有持分登記をした上、Aの持分を差し押さえたときは、BCは、Dに対し、甲土地がBCのみの共有であることを主張することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭42.1.20)は、「相続人は相続開始時に遡ぼつて相続開始がなかつたと同じ地位におかれることとなり、この効力は絶対的で、何人に対しても、登記等なくしてその効力を生ずると解すべきである。」と判示している。したがって、Aがした相続放棄は、登記なくしてAの持分を差し押さえたAの債権者Dに対しても効力を生ずる。よって、BCは、Dに対し、甲土地がBCのみの共有であることを主張することができる。
判例(最判昭42.1.20)は、「相続人は相続開始時に遡ぼつて相続開始がなかつたと同じ地位におかれることとなり、この効力は絶対的で、何人に対しても、登記等なくしてその効力を生ずると解すべきである。」と判示している。したがって、Aがした相続放棄は、登記なくしてAの持分を差し押さえたAの債権者Dに対しても効力を生ずる。よって、BCは、Dに対し、甲土地がBCのみの共有であることを主張することができる。
(H25 予備 第5問 ア)
被相続人Aの法定相続人としてBCがいる場合において、Bが相続放棄した後に、Bの債権者Dが、相続財産である未登記建物につきBも共同相続したものとして代位による所有権保存登記をした上、その建物のBの持分について差押えをしたときは、Cは、Dに対し、登記をしなくても相続による当該建物の取得を対抗することができる。
被相続人Aの法定相続人としてBCがいる場合において、Bが相続放棄した後に、Bの債権者Dが、相続財産である未登記建物につきBも共同相続したものとして代位による所有権保存登記をした上、その建物のBの持分について差押えをしたときは、Cは、Dに対し、登記をしなくても相続による当該建物の取得を対抗することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭42.1.20)は、本肢と同種の事案において、「相続人は相続開始時に遡ぼつて相続開始がなかつたと同じ地位におかれることとなり、この効力は絶対的で、何人に対しても、登記等なくしてその効力を生ずると解すべきである。」と判示している。したがって、Bの相続放棄は、相続財産である未登記建物につきBも共同相続したものとして代位による所有権保存登記をした上、その建物のBの持分について差押えをした債権者Dに対しても、登記なくして効力を生ずる。よって、Dのした差押えは無効となり、Cは、Dに対し、登記をしなくても相続による当該建物の取得を対抗することができる。
判例(最判昭42.1.20)は、本肢と同種の事案において、「相続人は相続開始時に遡ぼつて相続開始がなかつたと同じ地位におかれることとなり、この効力は絶対的で、何人に対しても、登記等なくしてその効力を生ずると解すべきである。」と判示している。したがって、Bの相続放棄は、相続財産である未登記建物につきBも共同相続したものとして代位による所有権保存登記をした上、その建物のBの持分について差押えをした債権者Dに対しても、登記なくして効力を生ずる。よって、Dのした差押えは無効となり、Cは、Dに対し、登記をしなくても相続による当該建物の取得を対抗することができる。
(H28 司法 第8問 ア)
甲土地を所有するAには、その妻Bとの間に子C及びDがいる。この場合において、Aが死亡したとする。Cが相続放棄をした後に、甲土地について法定相続分に応じた持分の割合により相続登記をした上で、甲土地の4分の1の持分をEに売却し、CからEへの持分移転登記を経由した場合、Eは、B及びDに対し、甲土地について4分の1の持分の取得を主張することができる。
甲土地を所有するAには、その妻Bとの間に子C及びDがいる。この場合において、Aが死亡したとする。Cが相続放棄をした後に、甲土地について法定相続分に応じた持分の割合により相続登記をした上で、甲土地の4分の1の持分をEに売却し、CからEへの持分移転登記を経由した場合、Eは、B及びDに対し、甲土地について4分の1の持分の取得を主張することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭42.1.20)は、「相続人は相続開始時に遡ぼつて相続開始がなかつたと同じ地位におかれることとなり、この効力は絶対的で、何人に対しても、登記等なくしてその効力を生ずると解すべきである。」と判示している。Cは相続放棄をしているから、Cから法定相続分に応じた持分に当たる甲土地の4分の1をEに売却し、CからEへの持分移転登記を経由したとしても、Eは当該持分を取得することはできず、甲土地について全くの無権利者である。したがって、Eは、B及びDに対し、甲土地について4分の1の持分を主張することができない。
判例(最判昭42.1.20)は、「相続人は相続開始時に遡ぼつて相続開始がなかつたと同じ地位におかれることとなり、この効力は絶対的で、何人に対しても、登記等なくしてその効力を生ずると解すべきである。」と判示している。Cは相続放棄をしているから、Cから法定相続分に応じた持分に当たる甲土地の4分の1をEに売却し、CからEへの持分移転登記を経由したとしても、Eは当該持分を取得することはできず、甲土地について全くの無権利者である。したがって、Eは、B及びDに対し、甲土地について4分の1の持分を主張することができない。
(R1 司法 第6問 ウ)
甲土地を所有するAが遺言をしないで死亡し、2人の子BCのうちBが相続放棄をしてCが唯一の相続人となった場合において、Bの債権者Dが甲土地についてBも共同相続したものとしてBのその持分を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、Cは、Dに対し、登記をしなくても単独相続による甲土地の所有権の取得を対抗することができる。
甲土地を所有するAが遺言をしないで死亡し、2人の子BCのうちBが相続放棄をしてCが唯一の相続人となった場合において、Bの債権者Dが甲土地についてBも共同相続したものとしてBのその持分を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、Cは、Dに対し、登記をしなくても単独相続による甲土地の所有権の取得を対抗することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭42.1.20)は、本肢と同種の事案において、「相続人は相続開始時に遡ぼつて相続開始がなかつたと同じ地位におかれることとなり、この効力は絶対的で、何人に対しても、登記等なくしてその効力を生ずると解すべきである。」と判示している。したがって、Bの相続放棄は、相続財産である甲土地についてBも共同相続した者としてBのその持分を差し押さえ、その旨の登記をしたBの債権者Dに対しても、登記なくして効力を生ずる。よって、Dのした当該差押え及びそれに基づく登記は無効となり、Cは、Dに対し、登記をしなくても単独相続による甲土地の所有権の取得を対抗することができる。
判例(最判昭42.1.20)は、本肢と同種の事案において、「相続人は相続開始時に遡ぼつて相続開始がなかつたと同じ地位におかれることとなり、この効力は絶対的で、何人に対しても、登記等なくしてその効力を生ずると解すべきである。」と判示している。したがって、Bの相続放棄は、相続財産である甲土地についてBも共同相続した者としてBのその持分を差し押さえ、その旨の登記をしたBの債権者Dに対しても、登記なくして効力を生ずる。よって、Dのした当該差押え及びそれに基づく登記は無効となり、Cは、Dに対し、登記をしなくても単独相続による甲土地の所有権の取得を対抗することができる。
総合メモ
抵当権の抹消登記の第三者対抗力 最二小判昭和42年9月1日
概要
抵当権者から委任をうけた者の過誤による申請によって抵当権設定登記が抹消された場合には、当該抵当権の第三者対抗力は消滅する。
判例
事案:抵当権者から委任を受けた者が、過誤によって抵当権設定登記を抹消してしまった場合において、当該抵当権の第三者対抗力が消滅するかが問題となった。
判旨:「登記が初めから全然ない場合と、一旦正当にされた登記がのちに抹消された場合とでは、第三者対抗力の点において区別して考うべきである(大正12年7月7日大審院判決・民集2巻448頁参照)。しかし、本件においては、登記権利者である被上告人が委任した司法書士の錯誤による申請によつて登記が抹消されたのであつて、登記官吏の過誤によつて抹消された場合や、登記権利者以外の者が擅にした申請によつて抹消された場合と同一に論じるのは相当ではない。けだし、後者の二つの場合には登記権利者に関係なく不法に抹消されたのであるが、本件においては、登記権利者がみずから委任した司法書士の申請によつて抹消されたのであるから、他の二つの場合と同視することはできないからである。そして、本件のごとく登記権利者の代理人の申請によつて登記が抹消された場合には、たとえ代理人に錯誤があつたとしても、取引の安全保護のために、第三者対抗力を喪失すると解すべきである(昭和15年6月29日大審院判決・民集19巻1118頁参照)。」
判旨:「登記が初めから全然ない場合と、一旦正当にされた登記がのちに抹消された場合とでは、第三者対抗力の点において区別して考うべきである(大正12年7月7日大審院判決・民集2巻448頁参照)。しかし、本件においては、登記権利者である被上告人が委任した司法書士の錯誤による申請によつて登記が抹消されたのであつて、登記官吏の過誤によつて抹消された場合や、登記権利者以外の者が擅にした申請によつて抹消された場合と同一に論じるのは相当ではない。けだし、後者の二つの場合には登記権利者に関係なく不法に抹消されたのであるが、本件においては、登記権利者がみずから委任した司法書士の申請によつて抹消されたのであるから、他の二つの場合と同視することはできないからである。そして、本件のごとく登記権利者の代理人の申請によつて登記が抹消された場合には、たとえ代理人に錯誤があつたとしても、取引の安全保護のために、第三者対抗力を喪失すると解すべきである(昭和15年6月29日大審院判決・民集19巻1118頁参照)。」
過去問・解説
(H29 司法 第7問 イ)
A所有の甲土地及び乙土地に抵当権を有するBは、甲土地の抵当権設定の登記の抹消をするつもりで、誤って乙土地の抵当権設定の登記の抹消を申請し、その旨の登記がされた。判例の趣旨に照らすと、この場合でも、Bは、乙土地の抵当権設定の登記の抹消後に上記事情を知らずに乙土地に抵当権の設定を受けたCに対し、Bの抵当権が優先することを主張することができる。
A所有の甲土地及び乙土地に抵当権を有するBは、甲土地の抵当権設定の登記の抹消をするつもりで、誤って乙土地の抵当権設定の登記の抹消を申請し、その旨の登記がされた。判例の趣旨に照らすと、この場合でも、Bは、乙土地の抵当権設定の登記の抹消後に上記事情を知らずに乙土地に抵当権の設定を受けたCに対し、Bの抵当権が優先することを主張することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭42.9.1)は、「登記権利者の代理人の申請によつて登記が抹消された場合には、たとえ代理人に錯誤があつたとしても、取引の安全保護のために、第三者対抗力を喪失すると解すべきである…。」と判示している。この判例の趣旨は、抵当権者自らが誤って抵当権設定の登記の抹消を申請し、その旨の登記がされた場合にも妥当する。したがって、誤って乙土地の抵当権設定の登記の抹消を申請し、その旨の登記がされたBは、その後に当該事情を知らずに乙土地に抵当権の設定を受けたCに対し、Bの抵当権が優先することを主張することはできない。
判例(最判昭42.9.1)は、「登記権利者の代理人の申請によつて登記が抹消された場合には、たとえ代理人に錯誤があつたとしても、取引の安全保護のために、第三者対抗力を喪失すると解すべきである…。」と判示している。この判例の趣旨は、抵当権者自らが誤って抵当権設定の登記の抹消を申請し、その旨の登記がされた場合にも妥当する。したがって、誤って乙土地の抵当権設定の登記の抹消を申請し、その旨の登記がされたBは、その後に当該事情を知らずに乙土地に抵当権の設定を受けたCに対し、Bの抵当権が優先することを主張することはできない。
総合メモ
構成部分の変動する集合動産と譲渡担保の目的 最一小判昭和54年2月15日
過去問・解説
(R1 司法 第16問 オ)
構成部分の変動する集合動産であっても、その種類、所在場所及び量的範囲を指定するなどの方法によって目的物の範囲が特定される場合には、1個の集合物として譲渡担保の目的とすることができる。
構成部分の変動する集合動産であっても、その種類、所在場所及び量的範囲を指定するなどの方法によって目的物の範囲が特定される場合には、1個の集合物として譲渡担保の目的とすることができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭54.2.15)は、「構成部分の変動する集合動産についても、その種類、所在場所及び量的範囲を指定するなどなんらかの方法で目的物の範囲が特定される場合には、1個の集合物として譲渡担保の目的となりうるものと解するのが相当である。」と判示している。
判例(最判昭54.2.15)は、「構成部分の変動する集合動産についても、その種類、所在場所及び量的範囲を指定するなどなんらかの方法で目的物の範囲が特定される場合には、1個の集合物として譲渡担保の目的となりうるものと解するのが相当である。」と判示している。
(R1 予備 第3問 ウ)
複数の物の上に1つの物権の効力が及ぶことはない。
複数の物の上に1つの物権の効力が及ぶことはない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭54.2.15)は、「構成部分の変動する集合動産についても、その種類、所在場所及び量的範囲を指定するなどなんらかの方法で目的物の範囲が特定される場合には、1個の集合物として譲渡担保の目的となりうるものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、複数の物の上に1つの、物権である譲渡担保権の効力が及ぶことがある。
判例(最判昭54.2.15)は、「構成部分の変動する集合動産についても、その種類、所在場所及び量的範囲を指定するなどなんらかの方法で目的物の範囲が特定される場合には、1個の集合物として譲渡担保の目的となりうるものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、複数の物の上に1つの、物権である譲渡担保権の効力が及ぶことがある。
総合メモ
譲渡担保権の設定と不法占拠者に対する動産の返還請求 最三小判昭和57年9月28日
概要
譲渡担保の設定者は、正当な権原なく目的物件を占有する者に対し、その返還を請求することができる。
判例
事案:譲渡担保の目的物件を正当な権限なく占有する者がある場合において、譲渡担保権設定者が、当該占有者に対してその返還を請求することができるかが問題となった。
判旨:「譲渡担保は、債権担保のために目的物件の所有権を移転するものであるが、右所有権移転の効力は債権担保の目的を達するのに必要な範囲内においてのみ認められるのであつて、担保権者は、債務者が被担保債務の履行を遅滞したときに目的物件を処分する権能を取得し、この権能に基づいて目的物件を適正に評価された価額で 確定的に自己の所有に帰せしめ又は第三者に売却等することによって換価処分し、 優先的に被担保債務の弁済に充てることができるにとどまり、他方、設定者は、担保権者が右の換価処分を完結するまでは、被担保債務を弁済して目的物件についての完全な所有権を回復することができるのであるから(最高裁昭和39年(オ)第440号同41年4月28日第一小法廷判決・民集20巻4号900頁、同昭和42年(オ)第1279号同46年3月26日第一小法廷判決・民集25巻2号208頁、同昭和55年(オ)第153号同57年1月22日第二小法廷判決・民集36巻1号92頁参照)、正当な権原なく目的物件を占有する者がある場合には、特段の事情のない限り、設定者は、前記のような譲渡担保の趣旨及び効力に鑑み、右占有者に対してその返還を請求することができるものと解するのが相当である。」
判旨:「譲渡担保は、債権担保のために目的物件の所有権を移転するものであるが、右所有権移転の効力は債権担保の目的を達するのに必要な範囲内においてのみ認められるのであつて、担保権者は、債務者が被担保債務の履行を遅滞したときに目的物件を処分する権能を取得し、この権能に基づいて目的物件を適正に評価された価額で 確定的に自己の所有に帰せしめ又は第三者に売却等することによって換価処分し、 優先的に被担保債務の弁済に充てることができるにとどまり、他方、設定者は、担保権者が右の換価処分を完結するまでは、被担保債務を弁済して目的物件についての完全な所有権を回復することができるのであるから(最高裁昭和39年(オ)第440号同41年4月28日第一小法廷判決・民集20巻4号900頁、同昭和42年(オ)第1279号同46年3月26日第一小法廷判決・民集25巻2号208頁、同昭和55年(オ)第153号同57年1月22日第二小法廷判決・民集36巻1号92頁参照)、正当な権原なく目的物件を占有する者がある場合には、特段の事情のない限り、設定者は、前記のような譲渡担保の趣旨及び効力に鑑み、右占有者に対してその返還を請求することができるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H29 司法 第14問 オ)
動産を目的とする譲渡担保権が設定されている場合、その設定者は、正当な権原なくその動産を占有する者に対し、その動産の返還を請求することができない。
動産を目的とする譲渡担保権が設定されている場合、その設定者は、正当な権原なくその動産を占有する者に対し、その動産の返還を請求することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭57.9.28)は、譲渡担保権「設定者は、担保権者が右の換価処分を完結するまでは、被担保債務を弁済して目的物件についての完全な所有権を回復することができるのであるから…、正当な権原なく目的物件を占有する者がある場合には、特段の事情のない限り、設定者は、…右占有者に対してその返還を請求することができるものと解するのが相当である。」と判示している。
判例(最判昭57.9.28)は、譲渡担保権「設定者は、担保権者が右の換価処分を完結するまでは、被担保債務を弁済して目的物件についての完全な所有権を回復することができるのであるから…、正当な権原なく目的物件を占有する者がある場合には、特段の事情のない限り、設定者は、…右占有者に対してその返還を請求することができるものと解するのが相当である。」と判示している。
(R5 共通 第16問 ウ)
設定者は、被担保債権が弁済されない限り、正当な権原なく目的物を占有する者に対し、その明渡しを請求することができない。
設定者は、被担保債権が弁済されない限り、正当な権原なく目的物を占有する者に対し、その明渡しを請求することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭57.9.28)は、譲渡担保権「設定者は、担保権者が右の換価処分を完結するまでは、被担保債務を弁済して目的物件についての完全な所有権を回復することができるのであるから…、正当な権原なく目的物件を占有する者がある場合には、特段の事情のない限り、設定者は、…右占有者に対してその返還を請求することができるものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、譲渡担保権設定者は、被担保債権が弁済されていなくとも、正当な権限なく目的物を占有する者に対し、その明渡しを請求することができる。
判例(最判昭57.9.28)は、譲渡担保権「設定者は、担保権者が右の換価処分を完結するまでは、被担保債務を弁済して目的物件についての完全な所有権を回復することができるのであるから…、正当な権原なく目的物件を占有する者がある場合には、特段の事情のない限り、設定者は、…右占有者に対してその返還を請求することができるものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、譲渡担保権設定者は、被担保債権が弁済されていなくとも、正当な権限なく目的物を占有する者に対し、その明渡しを請求することができる。
総合メモ
譲渡担保権により担保される債権の範囲 最三小判昭和61年7月15日
概要
譲渡担保権によって担保される債権の範囲は、強行法規又は公序良俗に反しない限り、その設定契約の当事者間において自由に定めることができ、第三者に対する関係においても、抵当権に関する374条又は根抵当権に関する398条の3の規定に準ずる制約を受けない。
判例
事案:譲渡担保権によって担保される債権の範囲について、抵当権に関する規定に準ずる制約を受けるかが問題となった。
判旨:「譲渡担保権によって担保されるべき債権の範囲については、強行法規又は公序良俗に反しない限り、その設定契約の当事者間において自由にこれを定めることができ、第三者に対する関係においても、抵当権に関する民法374条又は根抵当権に関する同法398条の3の規定に準ずる制約を受けないものと解すべきである…。」
判旨:「譲渡担保権によって担保されるべき債権の範囲については、強行法規又は公序良俗に反しない限り、その設定契約の当事者間において自由にこれを定めることができ、第三者に対する関係においても、抵当権に関する民法374条又は根抵当権に関する同法398条の3の規定に準ずる制約を受けないものと解すべきである…。」
過去問・解説
(H23 司法 第16問 ウ)
譲渡担保権によって担保されるべき債権の範囲は、強行法規や公序良俗に反しない限り、設定契約の当事者間において元本、利息及び遅延損害金について自由に定めることができ、抵当権の場合におけるような制限はない。
譲渡担保権によって担保されるべき債権の範囲は、強行法規や公序良俗に反しない限り、設定契約の当事者間において元本、利息及び遅延損害金について自由に定めることができ、抵当権の場合におけるような制限はない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭61.7.15)は、「譲渡担保権によって担保されるべき債権の範囲については、強行法規又は公序良俗に反しない限り、その設定契約の当事者間において自由にこれを定めることができ、第三者に対する関係においても、抵当権に関する民法374条又は根抵当権に関する同法398条の3の規定に準ずる制約を受けないものと解すべきである…。」と判示している。
判例(最判昭61.7.15)は、「譲渡担保権によって担保されるべき債権の範囲については、強行法規又は公序良俗に反しない限り、その設定契約の当事者間において自由にこれを定めることができ、第三者に対する関係においても、抵当権に関する民法374条又は根抵当権に関する同法398条の3の規定に準ずる制約を受けないものと解すべきである…。」と判示している。
(R2 共通 第14問 オ)
譲渡担保権によって担保されるべき債権の範囲は、強行法規や公序良俗に反しない限り、設定契約の当事者間において元本、利息及び遅延損害金について自由に定めることができる。
譲渡担保権によって担保されるべき債権の範囲は、強行法規や公序良俗に反しない限り、設定契約の当事者間において元本、利息及び遅延損害金について自由に定めることができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭61.7.15)は、「譲渡担保権によって担保されるべき債権の範囲については、強行法規又は公序良俗に反しない限り、その設定契約の当事者間において自由にこれを定めることができ」ると判示している。
判例(最判昭61.7.15)は、「譲渡担保権によって担保されるべき債権の範囲については、強行法規又は公序良俗に反しない限り、その設定契約の当事者間において自由にこれを定めることができ」ると判示している。
総合メモ
帰属清算型の譲渡担保における清算金の有無及び額の確定時期 最一小判昭和62年2月12日
概要
譲渡担保が帰属清算型である場合、債権者の支払うべき清算金の有無及びその額は、債権者が債務者に対し清算金の支払い若しくはその提供をした時若しくは目的不動産の適正評価額が債務額を上回らない旨の通知をした時、又は債権者において目的不動産を第三者に売却等をした時を基準として、確定される。
判例
事案:帰属清算型の譲渡担保において、清算金の有無及びその額の確定時期が問題となった。
判旨:「帰属清算型の譲渡担保においては、債務者が債務の履行を遅滞し、債権者が債務者に対し目的不動産を確定的に自己の所有に帰せしめる旨の意思表示をしても、債権者が債務者に対して清算金の支払若しくはその提供又は目的不動産の適正評価額が債務の額を上回らない旨の通知をしない限り、債務者は受戻権を有し、債務の全額を弁済して譲渡担保権を消滅させることができるのであるから、債権者が単に右の意思表示をしただけでは、未だ債務消滅の効果を生ぜず、したがって清算金の有無及びその額が確定しないため、債権者の清算義務は具体的に確定しないものというべきである。もっとも、債権者が清算金の支払若しくはその提供又は目的不動産の適正評価額が債務の額を上回らない旨の通知をせず、かつ、債務者も債務の弁済をしないうちに、債権者が目的不動産を第三者に売却等をしたときは、債務者はその時点で受戻権ひいては目的不動産の所有権を終局的に失い、同時に被担保債権消滅の効果が発生するとともに、右時点を基準時として清算金の有無及びその額が確定されるものと解するのが相当である。」
判旨:「帰属清算型の譲渡担保においては、債務者が債務の履行を遅滞し、債権者が債務者に対し目的不動産を確定的に自己の所有に帰せしめる旨の意思表示をしても、債権者が債務者に対して清算金の支払若しくはその提供又は目的不動産の適正評価額が債務の額を上回らない旨の通知をしない限り、債務者は受戻権を有し、債務の全額を弁済して譲渡担保権を消滅させることができるのであるから、債権者が単に右の意思表示をしただけでは、未だ債務消滅の効果を生ぜず、したがって清算金の有無及びその額が確定しないため、債権者の清算義務は具体的に確定しないものというべきである。もっとも、債権者が清算金の支払若しくはその提供又は目的不動産の適正評価額が債務の額を上回らない旨の通知をせず、かつ、債務者も債務の弁済をしないうちに、債権者が目的不動産を第三者に売却等をしたときは、債務者はその時点で受戻権ひいては目的不動産の所有権を終局的に失い、同時に被担保債権消滅の効果が発生するとともに、右時点を基準時として清算金の有無及びその額が確定されるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H21 司法 第16問 ウ)
Aは、その所有する不動産を目的として、Aの債権者であるBのために譲渡担保権を設定し、所有権移転登記をした。譲渡担保が帰属清算型の場合は、清算金の有無及びその額は、BがAに対し、清算金の支払若しくはその提供をした時、又は目的不動産の適正評価額が債務額を上回らない旨を通知した時を基準として確定される。
Aは、その所有する不動産を目的として、Aの債権者であるBのために譲渡担保権を設定し、所有権移転登記をした。譲渡担保が帰属清算型の場合は、清算金の有無及びその額は、BがAに対し、清算金の支払若しくはその提供をした時、又は目的不動産の適正評価額が債務額を上回らない旨を通知した時を基準として確定される。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭62.2.12)は、譲渡担保が帰属清算型である場合、債権者の支払うべき清算金の有無及びその額は、債権者が債務者に対し清算金の支払い若しくはその提供をした時若しくは目的不動産の適正評価額が債務額を上回らない旨の通知をした時、又は債権者において目的不動産を第三者に売却等をした時を基準として、確定される旨判示している。
判例(最判昭62.2.12)は、譲渡担保が帰属清算型である場合、債権者の支払うべき清算金の有無及びその額は、債権者が債務者に対し清算金の支払い若しくはその提供をした時若しくは目的不動産の適正評価額が債務額を上回らない旨の通知をした時、又は債権者において目的不動産を第三者に売却等をした時を基準として、確定される旨判示している。
総合メモ
譲渡担保権者から譲渡担保権消滅後に目的不動産を譲り受けた者と民法177条の「第三者」 最一小判昭和62年11月12日
概要
不動産が譲渡担保の目的とされ、譲渡担保権設定者から譲渡担保権者への所有権移転登記が経由された場合において、被担保債務の弁済等により譲渡担保権が消滅した後に譲渡担保権者から目的不動産を譲り受けた第三者は、背信的悪意者に当たらない限り、177条の「第三者」に当たるため、譲渡担保権設定者は、登記がない限り、その所有権を当該第三者に対抗することができない。
判例
事案:被担保債務の弁済等により譲渡担保権が消滅した後に譲渡担保権者から目的不動産を譲り受けた第三者がある場合に、譲渡担保権設定者は、譲渡担保の目的不動産の所有権を、登記なくして当該第三者に対抗することができるかが問題となった。
判旨:「不動産が譲渡担保の目的とされ、設定者から譲渡担保権者への所有権移転登記が経由された場合において、被担保債務の弁済等により譲渡担保権が消滅した後に目的不動産が譲渡担保権者から第三者に譲渡されたときは、右第三者がいわゆる背信的悪意者に当たる場合は格別、そうでない限り、譲渡担保設定者は、登記がなければ、その所有権を右第三者に対抗することができないものと解するのが相当である。」
判旨:「不動産が譲渡担保の目的とされ、設定者から譲渡担保権者への所有権移転登記が経由された場合において、被担保債務の弁済等により譲渡担保権が消滅した後に目的不動産が譲渡担保権者から第三者に譲渡されたときは、右第三者がいわゆる背信的悪意者に当たる場合は格別、そうでない限り、譲渡担保設定者は、登記がなければ、その所有権を右第三者に対抗することができないものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H21 司法 第16問 イ)
Aは、その所有する不動産を目的として、Aの債権者であるBのために譲渡担保権を設定し、所有権移転登記をした。Aが弁済期に債務を弁済し、譲渡担保権が消滅した後に、Bが目的不動産を第三者に譲渡した場合、譲受人がいわゆる背信的悪意者でない限り、Aは、登記をしなければ不動産の所有権を譲受人に対抗することができない。
Aは、その所有する不動産を目的として、Aの債権者であるBのために譲渡担保権を設定し、所有権移転登記をした。Aが弁済期に債務を弁済し、譲渡担保権が消滅した後に、Bが目的不動産を第三者に譲渡した場合、譲受人がいわゆる背信的悪意者でない限り、Aは、登記をしなければ不動産の所有権を譲受人に対抗することができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭62.11.12)は、「不動産が譲渡担保の目的とされ、設定者から譲渡担保権者への所有権移転登記が経由された場合において、被担保債務の弁済等により譲渡担保権が消滅した後に目的不動産が譲渡担保権者から第三者に譲渡されたときは、右第三者がいわゆる背信的悪意者に当たる場合は格別、そうでない限り、譲渡担保設定者は、登記がなければ、その所有権を右第三者に対抗することができないものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、Aは、登記をしなければ不動産の所有権を譲受人に対抗することができない。
判例(最判昭62.11.12)は、「不動産が譲渡担保の目的とされ、設定者から譲渡担保権者への所有権移転登記が経由された場合において、被担保債務の弁済等により譲渡担保権が消滅した後に目的不動産が譲渡担保権者から第三者に譲渡されたときは、右第三者がいわゆる背信的悪意者に当たる場合は格別、そうでない限り、譲渡担保設定者は、登記がなければ、その所有権を右第三者に対抗することができないものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、Aは、登記をしなければ不動産の所有権を譲受人に対抗することができない。
(H23 司法 第16問 オ)
被担保債権の弁済期が到来し、債務者が被担保債権を弁済した後に、譲渡担保権者が目的不動産を第三者に売却した場合には、当該第三者は、被担保債権が弁済されていることについて知らないで、かつ、知らないことに過失がないときに限り、目的不動産の所有権を取得する。
被担保債権の弁済期が到来し、債務者が被担保債権を弁済した後に、譲渡担保権者が目的不動産を第三者に売却した場合には、当該第三者は、被担保債権が弁済されていることについて知らないで、かつ、知らないことに過失がないときに限り、目的不動産の所有権を取得する。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭62.11.12)は、「不動産が譲渡担保の目的とされ、設定者から譲渡担保権者への所有権移転登記が経由された場合において、被担保債務の弁済等により譲渡担保権が消滅した後に目的不動産が譲渡担保権者から第三者に譲渡されたときは、右第三者がいわゆる背信的悪意者に当たる場合は格別、そうでない限り、譲渡担保設定者は、登記がなければ、その所有権を右第三者に対抗することができないものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、債務者が被担保債権を弁済した後に、譲渡担保権者が目的不動産を第三者に売却した場合には、当該第三者は、被担保債権が弁済されていることについて知っており、又は知らないことに過失があったとしても、背信的悪意者に当たらなければ、目的不動産の所有権を取得する。
判例(最判昭62.11.12)は、「不動産が譲渡担保の目的とされ、設定者から譲渡担保権者への所有権移転登記が経由された場合において、被担保債務の弁済等により譲渡担保権が消滅した後に目的不動産が譲渡担保権者から第三者に譲渡されたときは、右第三者がいわゆる背信的悪意者に当たる場合は格別、そうでない限り、譲渡担保設定者は、登記がなければ、その所有権を右第三者に対抗することができないものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、債務者が被担保債権を弁済した後に、譲渡担保権者が目的不動産を第三者に売却した場合には、当該第三者は、被担保債権が弁済されていることについて知っており、又は知らないことに過失があったとしても、背信的悪意者に当たらなければ、目的不動産の所有権を取得する。
(H27 司法 第14問 エ)
不動産が譲渡担保の目的とされ、譲渡担保権の設定者から譲渡担保権者への所有権移転登記がされた場合において、その譲渡担保権に係る債務の弁済により譲渡担保権が消滅した後にその不動産が譲渡担保権者から第三者に譲渡されたときは、譲渡担保権の設定者は、登記がなければ、その所有権をその不動産を譲り受けた第三者に対抗することができない。
不動産が譲渡担保の目的とされ、譲渡担保権の設定者から譲渡担保権者への所有権移転登記がされた場合において、その譲渡担保権に係る債務の弁済により譲渡担保権が消滅した後にその不動産が譲渡担保権者から第三者に譲渡されたときは、譲渡担保権の設定者は、登記がなければ、その所有権をその不動産を譲り受けた第三者に対抗することができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭62.11.12)は、「不動産が譲渡担保の目的とされ、設定者から譲渡担保権者への所有権移転登記が経由された場合において、被担保債務の弁済等により譲渡担保権が消滅した後に目的不動産が譲渡担保権者から第三者に譲渡されたときは、右第三者がいわゆる背信的悪意者に当たる場合は格別、そうでない限り、譲渡担保設定者は、登記がなければ、その所有権を右第三者に対抗することができないものと解するのが相当である。」と判示している。
判例(最判昭62.11.12)は、「不動産が譲渡担保の目的とされ、設定者から譲渡担保権者への所有権移転登記が経由された場合において、被担保債務の弁済等により譲渡担保権が消滅した後に目的不動産が譲渡担保権者から第三者に譲渡されたときは、右第三者がいわゆる背信的悪意者に当たる場合は格別、そうでない限り、譲渡担保設定者は、登記がなければ、その所有権を右第三者に対抗することができないものと解するのが相当である。」と判示している。
総合メモ
譲渡担保の目的不動産の譲渡と受戻し 最三小判平成6年2月22日
概要
譲渡担保権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を譲渡した場合には、譲渡担保契約が処分清算型であるか帰属清算型であるかを問わず、譲渡担保を設定した債務者は、目的不動産の譲受人がいわゆる背信的悪意者であるか否かにかかわらず、債務を弁済して目的不動産を受け戻すことができない。
判例
事案:譲渡担保権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を第三者に譲渡した場合において、なお譲渡担保権設定者が債務を弁済して目的不動産を受戻すことができるかが問題となった。
判旨:「不動産を目的とする譲渡担保契約において、債務者が弁済期に債務の弁済をしない場合には、債権者は、右譲渡担保契約がいわゆる帰属清算型であると処分清算型であるとを問わず、目的物を処分する権能を取得するから、債権者がこの権能に基づいて目的物を第三者に譲渡したときは、原則として、譲受人は目的物の所有権を確定的に取得し、債務者は、清算金がある場合に債権者に対してその支払を求めることができるにとどまり、残債務を弁済して目的物を受け戻すことはできなくなるものと解するのが相当である(最高裁昭和46年(オ)第503号同49年10月23日大法廷判決・民集28巻7号1473頁、最高裁昭和60年(オ)568号同62年2月12日第一小法廷判決・民集41巻1号67頁参照)。この理は、譲渡を受けた第三者がいわゆる背信的悪意者に当たる場合であっても異なるところはない。けだし、そのように解さないと、権利関係の確定しない状態が続くばかりでなく、譲受人が背信的悪意者に当たるかどうかを確知し得る立場にあるとは限らない債権者に、不測の損害を被らせるおそれを生ずるからである。」
判旨:「不動産を目的とする譲渡担保契約において、債務者が弁済期に債務の弁済をしない場合には、債権者は、右譲渡担保契約がいわゆる帰属清算型であると処分清算型であるとを問わず、目的物を処分する権能を取得するから、債権者がこの権能に基づいて目的物を第三者に譲渡したときは、原則として、譲受人は目的物の所有権を確定的に取得し、債務者は、清算金がある場合に債権者に対してその支払を求めることができるにとどまり、残債務を弁済して目的物を受け戻すことはできなくなるものと解するのが相当である(最高裁昭和46年(オ)第503号同49年10月23日大法廷判決・民集28巻7号1473頁、最高裁昭和60年(オ)568号同62年2月12日第一小法廷判決・民集41巻1号67頁参照)。この理は、譲渡を受けた第三者がいわゆる背信的悪意者に当たる場合であっても異なるところはない。けだし、そのように解さないと、権利関係の確定しない状態が続くばかりでなく、譲受人が背信的悪意者に当たるかどうかを確知し得る立場にあるとは限らない債権者に、不測の損害を被らせるおそれを生ずるからである。」
過去問・解説
(H21 司法 第16問 ア)
Aは、その所有する不動産を目的として、Aの債権者であるBのために譲渡担保権を設定し、所有権移転登記をした。Aが弁済期に債務を弁済しないため、Bが目的不動産を第三者に譲渡し所有権移転登記がされた場合、譲受人がいわゆる背信的悪意者であるときは、Aは残債務を弁済して目的不動産を受け戻し、譲受人に対し、所有権の回復を主張することができる。
Aは、その所有する不動産を目的として、Aの債権者であるBのために譲渡担保権を設定し、所有権移転登記をした。Aが弁済期に債務を弁済しないため、Bが目的不動産を第三者に譲渡し所有権移転登記がされた場合、譲受人がいわゆる背信的悪意者であるときは、Aは残債務を弁済して目的不動産を受け戻し、譲受人に対し、所有権の回復を主張することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平6.2.22)は、譲渡担保権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を譲渡した場合には、譲渡担保契約が処分清算型であるか帰属清算型であるかを問わず、譲渡担保を設定した債務者は、目的不動産の譲受人がいわゆる背信的悪意者であるか否かにかかわらず、債務を弁済して目的不動産を受け戻すことができない旨判示している。したがって、Aが弁済期に債務を弁済しないため、Bが目的不動産を第三者に譲渡し所有権移転登記がされた場合、譲受人がいわゆる背信的悪意者であったとしても、Aは残債務を弁済して目的不動産を受け戻し、譲受人に対し、所有権の回復を主張することができない。
判例(最判平6.2.22)は、譲渡担保権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を譲渡した場合には、譲渡担保契約が処分清算型であるか帰属清算型であるかを問わず、譲渡担保を設定した債務者は、目的不動産の譲受人がいわゆる背信的悪意者であるか否かにかかわらず、債務を弁済して目的不動産を受け戻すことができない旨判示している。したがって、Aが弁済期に債務を弁済しないため、Bが目的不動産を第三者に譲渡し所有権移転登記がされた場合、譲受人がいわゆる背信的悪意者であったとしても、Aは残債務を弁済して目的不動産を受け戻し、譲受人に対し、所有権の回復を主張することができない。
(H23 司法 第16問 エ)
債務者が債務の履行を遅滞したときは、帰属清算型の譲渡担保であっても、譲渡担保権者は、目的不動産を処分する権限を取得する。
債務者が債務の履行を遅滞したときは、帰属清算型の譲渡担保であっても、譲渡担保権者は、目的不動産を処分する権限を取得する。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平6.2.22)は、「不動産を目的とする譲渡担保契約において、債務者が弁済期に債務の弁済をしない場合には、債権者は、右譲渡担保契約がいわゆる帰属清算型であると処分清算型であるとを問わず、目的物を処分する権能を取得する…。」と判示している。
判例(最判平6.2.22)は、「不動産を目的とする譲渡担保契約において、債務者が弁済期に債務の弁済をしない場合には、債権者は、右譲渡担保契約がいわゆる帰属清算型であると処分清算型であるとを問わず、目的物を処分する権能を取得する…。」と判示している。
(H27 司法 第14問 ウ)
不動産の譲渡担保において、債務者が弁済期にその譲渡担保権に係る債務を弁済しない場合、譲渡担保権者がその不動産を譲渡したときは、譲受人は確定的にその不動産の所有権を取得し、債務者は債務を弁済してその不動産を受け戻すことができない。
不動産の譲渡担保において、債務者が弁済期にその譲渡担保権に係る債務を弁済しない場合、譲渡担保権者がその不動産を譲渡したときは、譲受人は確定的にその不動産の所有権を取得し、債務者は債務を弁済してその不動産を受け戻すことができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平6.2.22)は、譲渡担保権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を譲渡した場合には、譲渡担保契約が処分清算型であるか帰属清算型であるかを問わず、譲渡担保を設定した債務者は、目的不動産の譲受人がいわゆる背信的悪意者であるか否かにかかわらず、債務を弁済して目的不動産を受け戻すことができない旨判示している。
判例(最判平6.2.22)は、譲渡担保権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を譲渡した場合には、譲渡担保契約が処分清算型であるか帰属清算型であるかを問わず、譲渡担保を設定した債務者は、目的不動産の譲受人がいわゆる背信的悪意者であるか否かにかかわらず、債務を弁済して目的不動産を受け戻すことができない旨判示している。
(R1 司法 第16問 ア)
債務者が弁済期に債務の弁済をしなかった場合において、不動産の譲渡担保権者が目的不動産を譲渡したときは、譲受人がいわゆる背信的悪意者に当たるときであっても、債務者は、残債務を弁済して目的不動産を受け戻すことができない。
債務者が弁済期に債務の弁済をしなかった場合において、不動産の譲渡担保権者が目的不動産を譲渡したときは、譲受人がいわゆる背信的悪意者に当たるときであっても、債務者は、残債務を弁済して目的不動産を受け戻すことができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平6.2.22)は、譲渡担保権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を譲渡した場合には、譲渡担保契約が処分清算型であるか帰属清算型であるかを問わず、譲渡担保を設定した債務者は、目的不動産の譲受人がいわゆる背信的悪意者であるか否かにかかわらず、債務を弁済して目的不動産を受け戻すことができない旨判示している。
判例(最判平6.2.22)は、譲渡担保権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を譲渡した場合には、譲渡担保契約が処分清算型であるか帰属清算型であるかを問わず、譲渡担保を設定した債務者は、目的不動産の譲受人がいわゆる背信的悪意者であるか否かにかかわらず、債務を弁済して目的不動産を受け戻すことができない旨判示している。
(R2 共通 第14問 ア)
所有する土地に譲渡担保権を設定した債務者は、債務の弁済期が経過した後は、債権者が担保権の実行を完了する前であっても、債務の全額を弁済して目的物を受け戻すことはできない。
所有する土地に譲渡担保権を設定した債務者は、債務の弁済期が経過した後は、債権者が担保権の実行を完了する前であっても、債務の全額を弁済して目的物を受け戻すことはできない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平6.2.22)は、譲渡担保権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を譲渡した場合には、譲渡担保契約が処分清算型であるか帰属清算型であるかを問わず、譲渡担保を設定した債務者は、目的不動産の譲受人がいわゆる背信的悪意者であるか否かにかかわらず、債務を弁済して目的不動産を受け戻すことができない旨判示している。この判例に基づけば、弁済期後であっても目的不動産が譲渡されていなければ、譲渡担保を設定した債務者は、債務を弁済して目的不動産を受け戻すことができるといえる。本肢においては、債務の弁済期が経過しているものの、債権者が担保権の実行を完了する前であり、目的土地を第三者に譲渡していないため、債務者は、債務の全額を弁済して目的物を受け戻すことができる。
判例(最判平6.2.22)は、譲渡担保権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を譲渡した場合には、譲渡担保契約が処分清算型であるか帰属清算型であるかを問わず、譲渡担保を設定した債務者は、目的不動産の譲受人がいわゆる背信的悪意者であるか否かにかかわらず、債務を弁済して目的不動産を受け戻すことができない旨判示している。この判例に基づけば、弁済期後であっても目的不動産が譲渡されていなければ、譲渡担保を設定した債務者は、債務を弁済して目的不動産を受け戻すことができるといえる。本肢においては、債務の弁済期が経過しているものの、債権者が担保権の実行を完了する前であり、目的土地を第三者に譲渡していないため、債務者は、債務の全額を弁済して目的物を受け戻すことができる。
(R5 共通 第16問 オ)
譲渡担保権者は、被担保債権について不履行があったときは、設定者との間で帰属清算の合意がされていたとしても、目的物を処分する権限を取得する。
譲渡担保権者は、被担保債権について不履行があったときは、設定者との間で帰属清算の合意がされていたとしても、目的物を処分する権限を取得する。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平6.2.22)は、「不動産を目的とする譲渡担保契約において、債務者が弁済期に債務の弁済をしない場合には、債権者は、右譲渡担保契約がいわゆる帰属清算型であると処分清算型であるとを問わず、目的物を処分する権能を取得する…。」と判示している。
判例(最判平6.2.22)は、「不動産を目的とする譲渡担保契約において、債務者が弁済期に債務の弁済をしない場合には、債権者は、右譲渡担保契約がいわゆる帰属清算型であると処分清算型であるとを問わず、目的物を処分する権能を取得する…。」と判示している。
総合メモ
譲渡担保権者と抵当権消滅請求 最二小判平成7年11月10日
概要
譲渡担保権者は、担保権を実行して確定的に抵当不動産の所有権を取得しない限り、旧378条の「第三取得者」には該当せず、抵当権を滌除することができない。
判例
事案:譲渡担保権実行前の譲渡担保権者が、抵当権を滌除できるかが問題となった。
判旨:「譲渡担保権者は、担保権を実行して確定的に抵当不動産の所有権を取得しない限り、民法378条所定の滌除権者たる第三取得者には該当せず、抵当権を滌除することができないものと解するのが相当である。けだし、滌除は、抵当不動産を適宜に評価した金額を抵当権者に弁済することにより抵当権の消滅を要求する権限を抵当不動産の第三取得者に対して与え、抵当権者の把握する価値権と第三取得者の有する用益権との調整を図ることなどを目的とする制度であるが、抵当権者にとっては、抵当権実行時期の選択権を奪われ、増価による買受け及び保証の提供などの負担を伴うものであるところから、民法378条が滌除権者の範囲を「抵当不動産ニ付キ所有権、地上権又ハ永小作権ヲ取得シタル第三者」に限定していることにかんがみれば、右規定にいう滌除権者としての「所有権ヲ取得シタル第三者」とは、確定的に抵当不動産の所有権を取得した第三取得者に限られるものと解すべきである。そして、不動産について譲渡担保が設定された場合には、債権担保の目的を達するのに必要な範囲内においてのみ目的不動産の所有権移転の効力が生じるにすぎず、譲渡担保権者が目的不動産を確定的に自己の所有とするには、自己の債権額と目的不動産の価額との清算手続をすることを要し、他方、譲渡担保設定者は、譲渡担保権者が右の換価処分を完結するまでは、被担保債務を弁済して目的不動産を受け戻し、その完全な所有権を回復することができるのであるから(最高裁昭和55年(オ)第153号同57年1月22日第二小法廷判決・民集36巻1号92頁、最高裁昭和56年(オ)第1209号同57年9月28日第三小法廷判決・裁判集民事137号255頁、最高裁平成元年(オ)第1351号同5年2月26日第二小法廷判決・民集47巻2号1653頁)、このような譲渡担保の趣旨及び効力にかんがみると、担保権を実行して右の清算手続を完了するに至らない譲渡担保権者は、いまだ確定的に目的不動産の所有権を取得した者ではなく、民法378条所定の滌除権者たる第三取得者ということができないからである。」
判旨:「譲渡担保権者は、担保権を実行して確定的に抵当不動産の所有権を取得しない限り、民法378条所定の滌除権者たる第三取得者には該当せず、抵当権を滌除することができないものと解するのが相当である。けだし、滌除は、抵当不動産を適宜に評価した金額を抵当権者に弁済することにより抵当権の消滅を要求する権限を抵当不動産の第三取得者に対して与え、抵当権者の把握する価値権と第三取得者の有する用益権との調整を図ることなどを目的とする制度であるが、抵当権者にとっては、抵当権実行時期の選択権を奪われ、増価による買受け及び保証の提供などの負担を伴うものであるところから、民法378条が滌除権者の範囲を「抵当不動産ニ付キ所有権、地上権又ハ永小作権ヲ取得シタル第三者」に限定していることにかんがみれば、右規定にいう滌除権者としての「所有権ヲ取得シタル第三者」とは、確定的に抵当不動産の所有権を取得した第三取得者に限られるものと解すべきである。そして、不動産について譲渡担保が設定された場合には、債権担保の目的を達するのに必要な範囲内においてのみ目的不動産の所有権移転の効力が生じるにすぎず、譲渡担保権者が目的不動産を確定的に自己の所有とするには、自己の債権額と目的不動産の価額との清算手続をすることを要し、他方、譲渡担保設定者は、譲渡担保権者が右の換価処分を完結するまでは、被担保債務を弁済して目的不動産を受け戻し、その完全な所有権を回復することができるのであるから(最高裁昭和55年(オ)第153号同57年1月22日第二小法廷判決・民集36巻1号92頁、最高裁昭和56年(オ)第1209号同57年9月28日第三小法廷判決・裁判集民事137号255頁、最高裁平成元年(オ)第1351号同5年2月26日第二小法廷判決・民集47巻2号1653頁)、このような譲渡担保の趣旨及び効力にかんがみると、担保権を実行して右の清算手続を完了するに至らない譲渡担保権者は、いまだ確定的に目的不動産の所有権を取得した者ではなく、民法378条所定の滌除権者たる第三取得者ということができないからである。」
過去問・解説
(R2 共通 第12問 エ)
債務者Aは債権者BのためにAの所有する不動産甲に抵当権を設定し、その旨の登記がされた。甲について、その後、Aから譲渡担保権の設定を受けたDは、譲渡担保権の実行前であっても、抵当権消滅請求をすることにより、Bの抵当権を消滅させることができる。
債務者Aは債権者BのためにAの所有する不動産甲に抵当権を設定し、その旨の登記がされた。甲について、その後、Aから譲渡担保権の設定を受けたDは、譲渡担保権の実行前であっても、抵当権消滅請求をすることにより、Bの抵当権を消滅させることができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平7.11.10)は、抵当権の滌除について、「担保権を実行して…清算手続を完了するに至らない譲渡担保権者は、いまだ確定的に目的不動産の所有権を取得した者ではなく、民法378条所定の滌除権者たる第三取得者ということができない…。」と判示しており、改正民法下における抵当権消滅請求(379条)の「第三取得者」についても同様に解されている。したがって、Aから譲渡担保権の設定を受けたDは、譲渡担保権の実行前は、379条の「第三取得者」に当たらないため、抵当権消滅請求をすることができず、Bの抵当権を消滅させることができない。
判例(最判平7.11.10)は、抵当権の滌除について、「担保権を実行して…清算手続を完了するに至らない譲渡担保権者は、いまだ確定的に目的不動産の所有権を取得した者ではなく、民法378条所定の滌除権者たる第三取得者ということができない…。」と判示しており、改正民法下における抵当権消滅請求(379条)の「第三取得者」についても同様に解されている。したがって、Aから譲渡担保権の設定を受けたDは、譲渡担保権の実行前は、379条の「第三取得者」に当たらないため、抵当権消滅請求をすることができず、Bの抵当権を消滅させることができない。
総合メモ
清算金支払請求権と受戻権 最二小判平成8年11月22日
概要
譲渡担保権設定者は、譲渡担保権者が清算金の支払又は提供をせず、清算金がない旨の通知もしない間に譲渡担保の目的物の受戻権を放棄しても、譲渡担保権者に対して清算金の支払を請求することはできない。
判例
事案:譲渡担保権設定者が受戻権を放棄して清算金の支払請求ができるか問題となった。
判旨:「譲渡担保権設定者は、譲渡担保権者が清算金の支払又は提供をせず、清算金がない旨の通知もしない間に譲渡担保の目的物の受戻権を放棄しても、譲渡担保権者に対して清算金の支払を請求することはできないものと解すべきである。けだし、譲渡担保権設定者の清算金支払請求権は、譲渡担保権者が譲渡担保権の実行として目的物を自己に帰属させ又は換価処分する場合において、その価額から被担保債権額を控除した残額の支払を請求する権利であり、他方、譲渡担保権設定者の受戻権は、譲渡担保権者において譲渡担保権の実行を完結するまでの間に、弁済等によって被担保債務を消滅させることにより譲渡担保の目的物の所有権等を回復する権利であって、両者はその発生原因を異にする別個の権利であるから、 譲渡担保権設定者において受戻権を放棄したとしても、その効果は受戻権が放棄されたという状況を現出するにとどまり、右受戻権の放棄により譲渡担保権設定者が 清算金支払請求権を取得することとなると解することはできないからである。また、このように解さないと、譲渡担保権設定者が、受戻権を放棄することにより、本来譲渡担保権者が有している譲渡担保権の実行の時期を自ら決定する自由を制約し得ることとなり、相当でないことは明らかである。」
判旨:「譲渡担保権設定者は、譲渡担保権者が清算金の支払又は提供をせず、清算金がない旨の通知もしない間に譲渡担保の目的物の受戻権を放棄しても、譲渡担保権者に対して清算金の支払を請求することはできないものと解すべきである。けだし、譲渡担保権設定者の清算金支払請求権は、譲渡担保権者が譲渡担保権の実行として目的物を自己に帰属させ又は換価処分する場合において、その価額から被担保債権額を控除した残額の支払を請求する権利であり、他方、譲渡担保権設定者の受戻権は、譲渡担保権者において譲渡担保権の実行を完結するまでの間に、弁済等によって被担保債務を消滅させることにより譲渡担保の目的物の所有権等を回復する権利であって、両者はその発生原因を異にする別個の権利であるから、 譲渡担保権設定者において受戻権を放棄したとしても、その効果は受戻権が放棄されたという状況を現出するにとどまり、右受戻権の放棄により譲渡担保権設定者が 清算金支払請求権を取得することとなると解することはできないからである。また、このように解さないと、譲渡担保権設定者が、受戻権を放棄することにより、本来譲渡担保権者が有している譲渡担保権の実行の時期を自ら決定する自由を制約し得ることとなり、相当でないことは明らかである。」
過去問・解説
(H23 司法 第16問 イ)
譲渡担保権の設定者は、被担保債権が弁済期を経過した後においては、譲渡担保の目的物についての受戻権を放棄し、譲渡担保権者に対し、譲渡担保の目的物の評価額から被担保債権の額を控除した金額の清算金を請求することができる。
譲渡担保権の設定者は、被担保債権が弁済期を経過した後においては、譲渡担保の目的物についての受戻権を放棄し、譲渡担保権者に対し、譲渡担保の目的物の評価額から被担保債権の額を控除した金額の清算金を請求することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平8.11.22)は、譲渡担保権者が清算金の支払又は提供をせず、清算金がない旨の通知もしない間に譲渡担保設定者が譲渡担保の目的物の受戻権を放棄しても、譲渡担保権者に対して清算金の支払を請求することはできない旨判示している。
判例(最判平8.11.22)は、譲渡担保権者が清算金の支払又は提供をせず、清算金がない旨の通知もしない間に譲渡担保設定者が譲渡担保の目的物の受戻権を放棄しても、譲渡担保権者に対して清算金の支払を請求することはできない旨判示している。
(R1 司法 第16問 イ)
債務者は、被担保債権の弁済期後は、譲渡担保の目的物の受戻権を放棄することにより、譲渡担保権者に対し清算金の支払を請求することができる。
債務者は、被担保債権の弁済期後は、譲渡担保の目的物の受戻権を放棄することにより、譲渡担保権者に対し清算金の支払を請求することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平8.11.22)は、譲渡担保権者が清算金の支払又は提供をせず、清算金がない旨の通知もしない間に譲渡担保設定者が譲渡担保の目的物の受戻権を放棄しても、譲渡担保権者に対して清算金の支払を請求することはできない旨判示している。
判例(最判平8.11.22)は、譲渡担保権者が清算金の支払又は提供をせず、清算金がない旨の通知もしない間に譲渡担保設定者が譲渡担保の目的物の受戻権を放棄しても、譲渡担保権者に対して清算金の支払を請求することはできない旨判示している。
(R5 共通 第16問 ア)
設定者は、被担保債権について不履行があった後は、譲渡担保権者に対し、受戻権を放棄することにより、清算金の支払を請求することができる。
設定者は、被担保債権について不履行があった後は、譲渡担保権者に対し、受戻権を放棄することにより、清算金の支払を請求することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平8.11.22)は、譲渡担保権者が清算金の支払又は提供をせず、清算金がない旨の通知もしない間に譲渡担保設定者が譲渡担保の目的物の受戻権を放棄しても、譲渡担保権者に対して清算金の支払を請求することはできない旨判示している。
判例(最判平8.11.22)は、譲渡担保権者が清算金の支払又は提供をせず、清算金がない旨の通知もしない間に譲渡担保設定者が譲渡担保の目的物の受戻権を放棄しても、譲渡担保権者に対して清算金の支払を請求することはできない旨判示している。
総合メモ
無権代理行為による抵当権設定登記と追認後の無効主張 最二小判昭和42年10月27日
概要
無権代理人の偽造文書による申請に基づいて登記がされた場合においても、本人がその登記の原因たる法律行為を追認したことによりその登記の記載が実体的法律関係に符合するようになったときには、本人は、当該登記の無効を主張することはできない。
判例
事案:無権代理人が本人のために抵当権設定契約を締結し、その旨の登記がされた場合において、本人が当該抵当権設定契約を追認した後に、当該抵当権設定登記の無効を主張してその抹消登記手続を請求することができるかが問題となった。
判旨:「本人名義の偽造文書によつて無権代理人が抵当権設定登記手続をし、その旨の登記がされたとしても、本人たる登記義務者において、その抵当権設定行為を追認したことにより、右抵当権の設定登記の記載が実体上の権利関係と符合するようになつたときには、その結果、右登記義務者は、その登記をすることを拒みうるような事情がなくなつたものというべきであつて、その抵当権の設定登記の無効を主張することができないと解するのが相当である。」
判旨:「本人名義の偽造文書によつて無権代理人が抵当権設定登記手続をし、その旨の登記がされたとしても、本人たる登記義務者において、その抵当権設定行為を追認したことにより、右抵当権の設定登記の記載が実体上の権利関係と符合するようになつたときには、その結果、右登記義務者は、その登記をすることを拒みうるような事情がなくなつたものというべきであつて、その抵当権の設定登記の無効を主張することができないと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H29 司法 第7問 ウ)
Aは、Bから代理権を与えられていないのに、Bの代理人として、Cとの間で、B所有の甲土地にCの債権を担保するための抵当権設定契約を締結し、その旨の登記がされた。判例の趣旨に照らすと、この場合において、Bがその抵当権設定契約を追認したときは、Bは、Cに対し、その抵当権設定の登記の無効を主張することはできない。
Aは、Bから代理権を与えられていないのに、Bの代理人として、Cとの間で、B所有の甲土地にCの債権を担保するための抵当権設定契約を締結し、その旨の登記がされた。判例の趣旨に照らすと、この場合において、Bがその抵当権設定契約を追認したときは、Bは、Cに対し、その抵当権設定の登記の無効を主張することはできない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭42.10.27)は、「本人名義の偽造文書によつて無権代理人が抵当権設定登記手続をし、その旨の登記がされたとしても、本人たる登記義務者において、その抵当権設定行為を追認したことにより、右抵当権の設定登記の記載が実体上の権利関係と符合するようになつたときには、その結果、右登記義務者は、その登記をすることを拒みうるような事情がなくなつたものというべきであつて、その抵当権の設定登記の無効を主張することができないと解するのが相当である。」と判示している。したがって、Bが、無権代理人Aがした甲土地にCの債権を担保するための抵当権設定契約を追認したときは、Bは、Cに対し、その抵当権設定の登記の無効を主張することはできない。
判例(最判昭42.10.27)は、「本人名義の偽造文書によつて無権代理人が抵当権設定登記手続をし、その旨の登記がされたとしても、本人たる登記義務者において、その抵当権設定行為を追認したことにより、右抵当権の設定登記の記載が実体上の権利関係と符合するようになつたときには、その結果、右登記義務者は、その登記をすることを拒みうるような事情がなくなつたものというべきであつて、その抵当権の設定登記の無効を主張することができないと解するのが相当である。」と判示している。したがって、Bが、無権代理人Aがした甲土地にCの債権を担保するための抵当権設定契約を追認したときは、Bは、Cに対し、その抵当権設定の登記の無効を主張することはできない。
総合メモ
仮装譲渡と177条における「第三者」 最三小判昭和42年10月31日
概要
AがBに不動産を仮装譲渡し、Cが善意でBからこれを譲りうけた場合であっても、Cが所有権取得登記をする前に、Aからの譲受人DがBを債務者として当該不動産について処分禁止の仮処分登記を経ていたときは、Cはその所有権取得をDに対抗することができない。
判例
事案:94条2項の「善意の第三者」が不動産の所有権取得登記をする前に、仮装譲渡における譲渡人を債務者として処分禁止の仮処分登記がされた場合において、同項の「善意の第三者」と処分禁止の仮処分登記をした譲渡人の債権者との間の、当該不動産についての優劣が問題となった。
判旨:「不動産の譲受人がいまだその取得登記をしない間に、その不動産について譲渡人を債務者として処分禁止の仮処分登記が経由された場合には、譲受人がその後に所有権取得登記をしても、譲受人は所有権取得そのものを仮処分債権者に主張することができないものと解すべきである(昭和26年得第137号同30年10月25日最高裁判所第三小法廷判決・民集9巻11号1678頁、昭和28年(オ)第1340号同30年12月26日同第二小法廷判決・民集9巻14号2114頁)。」
判旨:「不動産の譲受人がいまだその取得登記をしない間に、その不動産について譲渡人を債務者として処分禁止の仮処分登記が経由された場合には、譲受人がその後に所有権取得登記をしても、譲受人は所有権取得そのものを仮処分債権者に主張することができないものと解すべきである(昭和26年得第137号同30年10月25日最高裁判所第三小法廷判決・民集9巻11号1678頁、昭和28年(オ)第1340号同30年12月26日同第二小法廷判決・民集9巻14号2114頁)。」
過去問・解説
(H23 共通 第8問 4)
Aは、Bと通じて、Aの不動産について有効な売買契約が存在しないにもかかわらず売買を原因とする所有権移転登記をBに対して行い、その後、この事情について善意無過失であるCに対してBが同一不動産を譲渡したが、BC間の所有権移転登記はされていない。この場合において、さらにその後、AがDに同一不動産を譲渡したときは、Cは、所有権の取得をDに対抗することができる。
Aは、Bと通じて、Aの不動産について有効な売買契約が存在しないにもかかわらず売買を原因とする所有権移転登記をBに対して行い、その後、この事情について善意無過失であるCに対してBが同一不動産を譲渡したが、BC間の所有権移転登記はされていない。この場合において、さらにその後、AがDに同一不動産を譲渡したときは、Cは、所有権の取得をDに対抗することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭42.10.31)は、94条2項の「善意の第三者」が、不動産の所有権取得登記をする前に、仮装譲渡における譲渡人を債務者として、当該不動産について処分禁止の仮処分登記がされたという事案において、「不動産の譲受人がいまだその取得登記をしない間に、その不動産について譲渡人を債務者として処分禁止の仮処分登記が経由された場合には、譲受人がその後に所有権取得登記をしても、譲受人は所有権取得そのものを仮処分債権者に主張することができないものと解すべきである…。」と判示している。この判例の理解は、94条2項の「善意の第三者」と、仮装譲渡における譲渡人からその後さらに譲渡を受けた者との間の関係にも妥当すると解されている。
本肢において、Cは、Aの不動産に関するAB間の仮装譲渡について善意無過失でBから当該不動産の譲渡を受けているため、94条2項の「善意の第三者」に当たるところ、Aから同不動産の譲渡を受けたDとは、対抗関係(177条)に立つといえる。そうすると、BC間の所有権移転登記がされていない本肢においては、Cは、所有権の取得をDに対抗することができない。
判例(最判昭42.10.31)は、94条2項の「善意の第三者」が、不動産の所有権取得登記をする前に、仮装譲渡における譲渡人を債務者として、当該不動産について処分禁止の仮処分登記がされたという事案において、「不動産の譲受人がいまだその取得登記をしない間に、その不動産について譲渡人を債務者として処分禁止の仮処分登記が経由された場合には、譲受人がその後に所有権取得登記をしても、譲受人は所有権取得そのものを仮処分債権者に主張することができないものと解すべきである…。」と判示している。この判例の理解は、94条2項の「善意の第三者」と、仮装譲渡における譲渡人からその後さらに譲渡を受けた者との間の関係にも妥当すると解されている。
本肢において、Cは、Aの不動産に関するAB間の仮装譲渡について善意無過失でBから当該不動産の譲渡を受けているため、94条2項の「善意の第三者」に当たるところ、Aから同不動産の譲渡を受けたDとは、対抗関係(177条)に立つといえる。そうすると、BC間の所有権移転登記がされていない本肢においては、Cは、所有権の取得をDに対抗することができない。
総合メモ
177条の「第三者」と背信的悪意者 最二小判昭和43年11月15日
概要
AがBに贈与した山林に関し、AB間に、その山林がBの所有に属することを確認し、AはすみやかにBに対しその所有権移転登記手続をする旨の和解が成立した場合において、Cが立会人としてその示談交渉に関与し、かつ、当該和解条項を記載した書面に立会人として署各捺印した等判示の事情があるときには、同山林を差し押さえたCは、いわゆる背信的悪意者として、Bの当該所有権取得登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者に当たらないというべきである。
判例
事案:AがBに贈与した山林に関し、AB間に、その山林がBの所有に属することを確認し、AはすみやかにBに対しその所有権移転登記手続をする旨の和解が成立した場合において、Cが立会人としてその示談交渉に関与し、かつ、当該和解条項を記載した書面に立会人として署各捺印した等判示の事情があるとき、同山林を差し押さえたCがいわゆる背信的悪意者に当たるかが問題となった。
判旨:「実体上物権変動があつた事実を知る者において、右物権変動についての登記の欠缺を主張することが信義に反するものと認められる事情がある場合には、かかる背信的悪意者は、登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有しないものであつて、民法177条にいう第三者に当たらないものと解すべきところ(最高裁判所昭和31年4月24日第三小法廷判決民集10巻4号417頁、同40年12月21日第三小法廷判決民集19巻9号2221頁、同42年(オ)第564号同43年8月2日第二小法廷判決参照)、原審認定の前示事実によれば、Cは、単に本件山林がAからBに対して贈与された事実を知悉していたというに止まらず、後に生じた右両名間の紛争について自ら立会人としてその解決に努めたうえ、右贈与の事実を確認し、すみやかにその旨の所有権移転登記手続をすべきことを内容とする和解を成立させ、自ら立会人として和解条項を記した書面に署名捺印したというのであり、他方、その後に至つて、自己の債権の満足を得るために、右和解の趣旨に反し、本件山林をAの所有物件として差し押えたというのであるから、Cとしては、Bの本件山林の所有権取得についてその登記の欠缺を主張することは著しく信義に反するものというべきであり、同人は右登記の欠缺を主張するについて正当の利益を有する第三者には当たらないものと解するのが相当である。和解の立会人は、必ずしも和解当事者の当該和解上の義務の履行について、積極的に協力すべき法律上の義務を負うものとはいえないけれども、和解条項を記した書面に立会人として署名捺印することは、そのような和解の成立したことを確認することによつて、その内容となつている法律関係が終局的に確定することを是認するとともに、仮りに後に至つて右和解について紛争が生じるような事態に立ち至つた場合には、自らその内容を証明すること等によつて、紛争を解決すべき立場に立つことを表明したに外ならず、これによつて何らかの利益を受ける等の特段の事情が存在しなくとも、その後に至つて、自らその内容を否認するが如きは、著しく信義に反し、許されないものといわなければならない。」
判旨:「実体上物権変動があつた事実を知る者において、右物権変動についての登記の欠缺を主張することが信義に反するものと認められる事情がある場合には、かかる背信的悪意者は、登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有しないものであつて、民法177条にいう第三者に当たらないものと解すべきところ(最高裁判所昭和31年4月24日第三小法廷判決民集10巻4号417頁、同40年12月21日第三小法廷判決民集19巻9号2221頁、同42年(オ)第564号同43年8月2日第二小法廷判決参照)、原審認定の前示事実によれば、Cは、単に本件山林がAからBに対して贈与された事実を知悉していたというに止まらず、後に生じた右両名間の紛争について自ら立会人としてその解決に努めたうえ、右贈与の事実を確認し、すみやかにその旨の所有権移転登記手続をすべきことを内容とする和解を成立させ、自ら立会人として和解条項を記した書面に署名捺印したというのであり、他方、その後に至つて、自己の債権の満足を得るために、右和解の趣旨に反し、本件山林をAの所有物件として差し押えたというのであるから、Cとしては、Bの本件山林の所有権取得についてその登記の欠缺を主張することは著しく信義に反するものというべきであり、同人は右登記の欠缺を主張するについて正当の利益を有する第三者には当たらないものと解するのが相当である。和解の立会人は、必ずしも和解当事者の当該和解上の義務の履行について、積極的に協力すべき法律上の義務を負うものとはいえないけれども、和解条項を記した書面に立会人として署名捺印することは、そのような和解の成立したことを確認することによつて、その内容となつている法律関係が終局的に確定することを是認するとともに、仮りに後に至つて右和解について紛争が生じるような事態に立ち至つた場合には、自らその内容を証明すること等によつて、紛争を解決すべき立場に立つことを表明したに外ならず、これによつて何らかの利益を受ける等の特段の事情が存在しなくとも、その後に至つて、自らその内容を否認するが如きは、著しく信義に反し、許されないものといわなければならない。」
過去問・解説
(H30 司法 第10問 ウ)
AがA所有の甲土地をBに売却したが、代金の支払をめぐってAB間で争いを生じ、その後、Bが甲土地の所有権を有することを確認する旨の示談が成立した場合において、当該示談に立会人として関与し、示談書に立会人として署名捺印していたCが、AからBに所有権移転登記がされる前に、Aに対する債権に基づいて、A名義の甲土地を差し押さえ、その旨の差押えの登記がされたときは、Bは、Cに対し、甲土地の所有権の取得を主張することができない。
AがA所有の甲土地をBに売却したが、代金の支払をめぐってAB間で争いを生じ、その後、Bが甲土地の所有権を有することを確認する旨の示談が成立した場合において、当該示談に立会人として関与し、示談書に立会人として署名捺印していたCが、AからBに所有権移転登記がされる前に、Aに対する債権に基づいて、A名義の甲土地を差し押さえ、その旨の差押えの登記がされたときは、Bは、Cに対し、甲土地の所有権の取得を主張することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭43.11.15)は、本肢と同種の事案において、「Cは、単に本件山林がAからBに対して贈与された事実を知悉していたというに止まらず、後に生じた右両名間の紛争について自ら立会人としてその解決に努めたうえ、右贈与の事実を確認し、すみやかにその旨の所有権移転登記手続をすべきことを内容とする和解を成立させ、自ら立会人として和解条項を記した書面に署名捺印したというのであり、他方、その後に至つて、自己の債権の満足を得るために、右和解の趣旨に反し、本件山林をAの所有物件として差し押えたというのであるから、Cとしては、Bの本件山林の所有権取得についてその登記の欠缺を主張することは著しく信義に反するものというべきであり、同人は右登記の欠缺を主張するについて正当の利益を有する第三者には当たらないものと解するのが相当である。」と判示している。本肢においても、Aに対する債権に基づいて、A名義の甲土地を差し押さえ、その旨の差押えの登記をしたCは、AB間の示談に立会人として関与し、示談書に立会人として署名捺印していたことから、背信的悪意者に当たり、177条の「第三者」に当たらない。したがって、AからBに所有権移転登記がされる前においても、Bは、Cに対し、甲土地の所有権の取得を主張することができる。
判例(最判昭43.11.15)は、本肢と同種の事案において、「Cは、単に本件山林がAからBに対して贈与された事実を知悉していたというに止まらず、後に生じた右両名間の紛争について自ら立会人としてその解決に努めたうえ、右贈与の事実を確認し、すみやかにその旨の所有権移転登記手続をすべきことを内容とする和解を成立させ、自ら立会人として和解条項を記した書面に署名捺印したというのであり、他方、その後に至つて、自己の債権の満足を得るために、右和解の趣旨に反し、本件山林をAの所有物件として差し押えたというのであるから、Cとしては、Bの本件山林の所有権取得についてその登記の欠缺を主張することは著しく信義に反するものというべきであり、同人は右登記の欠缺を主張するについて正当の利益を有する第三者には当たらないものと解するのが相当である。」と判示している。本肢においても、Aに対する債権に基づいて、A名義の甲土地を差し押さえ、その旨の差押えの登記をしたCは、AB間の示談に立会人として関与し、示談書に立会人として署名捺印していたことから、背信的悪意者に当たり、177条の「第三者」に当たらない。したがって、AからBに所有権移転登記がされる前においても、Bは、Cに対し、甲土地の所有権の取得を主張することができる。
総合メモ
遺産分割協議と第三者 最三小判昭和46年1月26日
概要
相続財産中の不動産につき、遺産分割により法定相続分を超える権利を取得した相続人については、177条の適用があり、登記を経なければ、分割後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、法定相続分をこえる権利の取得を対抗することができない。
判例
事案:遺産分割において法定相続分を超える権利取得をした場合において、当該相続人は、登記を備えることなく、法定相続分を超える部分についての権利取得を遺産分割後の第三者に対抗することができるかが問題となった。
判旨:「遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼつてその効力を生ずるものではあるが、第三者に対する関係においては、相続人が相続によりいつたん取得した権利につき分割時に新たな変更を生ずるのと実質上異ならないものであるから、不動産に対する相続人の共有持分の遺産分割による得喪変更については、民法177条の適用があり、分割により相続分と異なる権利を取得した相続人は、その旨の登記を経なければ、分割後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、自己の権利の取得を対抗することができないものと解するのが相当である。」
判旨:「遺産の分割は、相続開始の時にさかのぼつてその効力を生ずるものではあるが、第三者に対する関係においては、相続人が相続によりいつたん取得した権利につき分割時に新たな変更を生ずるのと実質上異ならないものであるから、不動産に対する相続人の共有持分の遺産分割による得喪変更については、民法177条の適用があり、分割により相続分と異なる権利を取得した相続人は、その旨の登記を経なければ、分割後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、自己の権利の取得を対抗することができないものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H25 予備 第5問 オ)
被相続人AからBCが共同相続した不動産について、遺産分割の協議により所有権を取得した相続人Bは、遺産分割後にCの法定相続分に応じた上記不動産の持分をCから買い受けたDに対し、登記をしなくても法定相続分を超える所有権の取得を対抗することができる。
被相続人AからBCが共同相続した不動産について、遺産分割の協議により所有権を取得した相続人Bは、遺産分割後にCの法定相続分に応じた上記不動産の持分をCから買い受けたDに対し、登記をしなくても法定相続分を超える所有権の取得を対抗することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭46.1.26)は、「不動産に対する相続人の共有持分の遺産分割による得喪変更については、民法177条の適用があり、分割により相続分と異なる権利を取得した相続人は、その旨の登記を経なければ、分割後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、自己の権利の取得を対抗することができないものと解するのが相当である。」と判示している。本肢におけるDは、遺産分割後の第三者に当たるため、遺産分割の協議により不動産の所有権を取得したBは、Dに対し、登記をしなければ法定相続分を超える所有権の取得を対抗することができない。
判例(最判昭46.1.26)は、「不動産に対する相続人の共有持分の遺産分割による得喪変更については、民法177条の適用があり、分割により相続分と異なる権利を取得した相続人は、その旨の登記を経なければ、分割後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、自己の権利の取得を対抗することができないものと解するのが相当である。」と判示している。本肢におけるDは、遺産分割後の第三者に当たるため、遺産分割の協議により不動産の所有権を取得したBは、Dに対し、登記をしなければ法定相続分を超える所有権の取得を対抗することができない。
(H28 司法 第8問 ウ)
甲土地を所有するAには、その妻Bとの間に子C及びDがいる。この場合において、Aが死亡したとする。B、C及びDの遺産分割協議により、甲土地はBが取得することとされた場合であっても、その後、Dが、甲土地について法定相続分に応じた持分の割合により相続登記をした上で、甲土地の4分の1の持分をEに売却し、DからEへの持分移転登記を経由したときには、Eは、Bに対し、甲土地について4分の1の持分の取得を主張することができる。
甲土地を所有するAには、その妻Bとの間に子C及びDがいる。この場合において、Aが死亡したとする。B、C及びDの遺産分割協議により、甲土地はBが取得することとされた場合であっても、その後、Dが、甲土地について法定相続分に応じた持分の割合により相続登記をした上で、甲土地の4分の1の持分をEに売却し、DからEへの持分移転登記を経由したときには、Eは、Bに対し、甲土地について4分の1の持分の取得を主張することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭46.1.26)は、「不動産に対する相続人の共有持分の遺産分割による得喪変更については、民法177条の適用があり、分割により相続分と異なる権利を取得した相続人は、その旨の登記を経なければ、分割後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、自己の権利の取得を対抗することができないものと解するのが相当である。」と判示している。Eは、遺産分割協議の後に、甲土地についてのDの法定相続分に当たる4分の1の持分を同人から買い受けているため、遺産分割後の第三者に当たる。そうすると、遺産分割協議により、甲土地を取得することとされたBと、Eとは、同持分について対抗関係(177条)に立つといえる。よって、同持分につきDからEへの持分移転登記を経由したときには、Eは、Bに対し、甲土地について4分の1の持分の取得を主張することができる。
判例(最判昭46.1.26)は、「不動産に対する相続人の共有持分の遺産分割による得喪変更については、民法177条の適用があり、分割により相続分と異なる権利を取得した相続人は、その旨の登記を経なければ、分割後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、自己の権利の取得を対抗することができないものと解するのが相当である。」と判示している。Eは、遺産分割協議の後に、甲土地についてのDの法定相続分に当たる4分の1の持分を同人から買い受けているため、遺産分割後の第三者に当たる。そうすると、遺産分割協議により、甲土地を取得することとされたBと、Eとは、同持分について対抗関係(177条)に立つといえる。よって、同持分につきDからEへの持分移転登記を経由したときには、Eは、Bに対し、甲土地について4分の1の持分の取得を主張することができる。
総合メモ
不動産の共有者と第三者 最二小判昭和46年6月18日
概要
不動産の共有者の1人が自己の持分を他者に譲渡した場合において、当該譲受人がその旨の登記を備えていないときは、当該不動産の他の共有者に対して、同持分の取得を対抗することができない。
判例
事案:不動産の共有者の1人が自己の持分を他者に譲渡した場合において、当該譲受人は、当該不動産の他の共有者に対して、登記なくして、同持分の取得を対抗することができるかが問題となった。
判旨:「不動産の共有者の一員が自己の持分を譲渡した場合における譲受人以外の他の共有者は民法177条にいう「第三者」に該当するから、右譲渡につき登記が存しないときには、譲受人は、右持分の取得をもつて他の共有者に対抗することができない。」
判旨:「不動産の共有者の一員が自己の持分を譲渡した場合における譲受人以外の他の共有者は民法177条にいう「第三者」に該当するから、右譲渡につき登記が存しないときには、譲受人は、右持分の取得をもつて他の共有者に対抗することができない。」
過去問・解説
(H19 司法 第11問 5)
A、B及びCが土地を共有している場合、Aからその持分を譲り受けたDは、その持分の取得につき登記を経由しないでB及びCに対抗することができる。
A、B及びCが土地を共有している場合、Aからその持分を譲り受けたDは、その持分の取得につき登記を経由しないでB及びCに対抗することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭46.6.18)は、「不動産の共有者の一員が自己の持分を譲渡した場合における譲受人以外の他の共有者は民法177条にいう「第三者」に該当するから、右譲渡につき登記が存しないときには、譲受人は、右持分の取得をもつて他の共有者に対抗することができない。」と判示している。本肢においても、土地の共有者の一員であるAがDに対して持分を譲渡していることから、A以外の共有者であるB及びCは、177条の「第三者」に該当する。したがって、Dは、同持分の取得につき登記を経由しなければ、当該取得をB及びCに対抗することができない。
判例(最判昭46.6.18)は、「不動産の共有者の一員が自己の持分を譲渡した場合における譲受人以外の他の共有者は民法177条にいう「第三者」に該当するから、右譲渡につき登記が存しないときには、譲受人は、右持分の取得をもつて他の共有者に対抗することができない。」と判示している。本肢においても、土地の共有者の一員であるAがDに対して持分を譲渡していることから、A以外の共有者であるB及びCは、177条の「第三者」に該当する。したがって、Dは、同持分の取得につき登記を経由しなければ、当該取得をB及びCに対抗することができない。
総合メモ
贈与と遺贈が競合した場合 最三小判昭和46年11月16日
概要
被相続人が生前、不動産をある相続人に贈与するとともに、他の相続人にもこれを遺贈した後、相続の開始があった場合、当該贈与及び遺贈による物権変動の優劣は、対抗要件たる登記の具備の有無をもって決する。
判例
事案:被相続人が生前行った、同人が所有する不動産の贈与と遺贈が競合した場合において、当該物権変動の優劣の判断基準が問題となった。
判旨:「思うに、被相続人が、生前、その所有にかかる不動産を推定相続人の一人に贈与したが、その登記未了の間に、他の推定相続人に右不動産の特定遺贈をし、その後相続の開始があつた場合、右贈与および遺贈による物権変動の優劣は、対抗要件たる登記の具備の有無をもつて決すると解するのが相当であり、この場合、受贈者および受遺者が、相続人として、被相続人の権利義務を包括的に承継し、受贈者が遺贈の履行義務を、受遺者が贈与契約上の履行義務を承継することがあつても、このことは右の理を左右するに足りない。」
判旨:「思うに、被相続人が、生前、その所有にかかる不動産を推定相続人の一人に贈与したが、その登記未了の間に、他の推定相続人に右不動産の特定遺贈をし、その後相続の開始があつた場合、右贈与および遺贈による物権変動の優劣は、対抗要件たる登記の具備の有無をもつて決すると解するのが相当であり、この場合、受贈者および受遺者が、相続人として、被相続人の権利義務を包括的に承継し、受贈者が遺贈の履行義務を、受遺者が贈与契約上の履行義務を承継することがあつても、このことは右の理を左右するに足りない。」
過去問・解説
(H25 予備 第5問 イ)
被相続人Aが、子BCのうち、Bに対してはA所有の不動産を贈与し、Cに対してはこれを遺贈する旨の遺言をし、その後に相続が開始した場合、Bは、Cに対し、登記をしなければ贈与による所有権の取得を対抗することができない。
被相続人Aが、子BCのうち、Bに対してはA所有の不動産を贈与し、Cに対してはこれを遺贈する旨の遺言をし、その後に相続が開始した場合、Bは、Cに対し、登記をしなければ贈与による所有権の取得を対抗することができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭46.11.16)は、「被相続人が、生前、その所有にかかる不動産を推定相続人の一人に贈与したが、その登記未了の間に、他の推定相続人に右不動産の特定遺贈をし、その後相続の開始があつた場合、右贈与および遺贈による物権変動の優劣は、対抗要件たる登記の具備の有無をもつて決すると解するのが相当であり、この場合、受贈者および受遺者が、相続人として、被相続人の権利義務を包括的に承継し、受贈者が遺贈の履行義務を、受遺者が贈与契約上の履行義務を承継することがあつても、このことは右の理を左右するに足りない。」と判示している。したがって、被相続人Aから、同人の生前に同人所有の不動産の贈与を受けたBと、同不動産を遺贈する旨の遺言をされたCとの優劣は、対抗要件たる登記の具備をもって決することとなる。よって、Bは、Cに対し、登記をしなければ贈与による所有権の取得を対抗することができない。
判例(最判昭46.11.16)は、「被相続人が、生前、その所有にかかる不動産を推定相続人の一人に贈与したが、その登記未了の間に、他の推定相続人に右不動産の特定遺贈をし、その後相続の開始があつた場合、右贈与および遺贈による物権変動の優劣は、対抗要件たる登記の具備の有無をもつて決すると解するのが相当であり、この場合、受贈者および受遺者が、相続人として、被相続人の権利義務を包括的に承継し、受贈者が遺贈の履行義務を、受遺者が贈与契約上の履行義務を承継することがあつても、このことは右の理を左右するに足りない。」と判示している。したがって、被相続人Aから、同人の生前に同人所有の不動産の贈与を受けたBと、同不動産を遺贈する旨の遺言をされたCとの優劣は、対抗要件たる登記の具備をもって決することとなる。よって、Bは、Cに対し、登記をしなければ贈与による所有権の取得を対抗することができない。
(R2 司法 第33問 エ)
Aが所有する甲不動産をBに生前贈与したが、所有権移転登記未了のうちにCに遺贈する旨の遺言をし、Aの死亡後にAからCへの遺贈を原因とする所有権移転登記がされた場合、CがAの相続人であっても、Bは、Cに対し、甲不動産の所有権の取得を対抗することができない。
Aが所有する甲不動産をBに生前贈与したが、所有権移転登記未了のうちにCに遺贈する旨の遺言をし、Aの死亡後にAからCへの遺贈を原因とする所有権移転登記がされた場合、CがAの相続人であっても、Bは、Cに対し、甲不動産の所有権の取得を対抗することができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭46.11.16)は、「被相続人が、生前、その所有にかかる不動産を推定相続人の一人に贈与したが、その登記未了の間に、他の推定相続人に右不動産の特定遺贈をし、その後相続の開始があつた場合、右贈与および遺贈による物権変動の優劣は、対抗要件たる登記の具備の有無をもつて決すると解するのが相当であり、この場合、受贈者および受遺者が、相続人として、被相続人の権利義務を包括的に承継し、受贈者が遺贈の履行義務を、受遺者が贈与契約上の履行義務を承継することがあつても、このことは右の理を左右するに足りない。」と判示している。この判例の理解は、被相続人が生前その所有にかかる不動産を贈与した相手が、推定相続人ではない第三者であった場合にも妥当すると解される。そうすると、甲不動産をAの生前に贈与されたBと、甲不動産を遺贈する旨の遺言をされたCとの優劣は、対抗関係たる登記の具備をもって決することとなる。したがって、Aの死亡後にAからCへの遺贈を原因とする所有権移転登記がされた場合、CがAの相続人であっても、Bは、Cに対し、甲不動産の所有権の取得を対抗することができない。
判例(最判昭46.11.16)は、「被相続人が、生前、その所有にかかる不動産を推定相続人の一人に贈与したが、その登記未了の間に、他の推定相続人に右不動産の特定遺贈をし、その後相続の開始があつた場合、右贈与および遺贈による物権変動の優劣は、対抗要件たる登記の具備の有無をもつて決すると解するのが相当であり、この場合、受贈者および受遺者が、相続人として、被相続人の権利義務を包括的に承継し、受贈者が遺贈の履行義務を、受遺者が贈与契約上の履行義務を承継することがあつても、このことは右の理を左右するに足りない。」と判示している。この判例の理解は、被相続人が生前その所有にかかる不動産を贈与した相手が、推定相続人ではない第三者であった場合にも妥当すると解される。そうすると、甲不動産をAの生前に贈与されたBと、甲不動産を遺贈する旨の遺言をされたCとの優劣は、対抗関係たる登記の具備をもって決することとなる。したがって、Aの死亡後にAからCへの遺贈を原因とする所有権移転登記がされた場合、CがAの相続人であっても、Bは、Cに対し、甲不動産の所有権の取得を対抗することができない。
総合メモ
建物収去土地明渡請求権の相手方 最一小判昭和47年12月7日
概要
建物の登記簿上の所有名義人にすぎない者は、たとえ、所有者との合意により名義人となった場合でも、建物の敷地所有者に対して建物収去義務を負わないと解すべきである。
判例
事案:建物の所有権を有しないものが、所有者との合意により、建物につき自己のための所有権保存登記をしていた場合、建物の敷地所有者の所有権に基づく請求に対し、当該登記名義人が建物収去義務を負うかが問題となった。
判旨:「建物の所有権を有しない者は、たとえ、所有者との合意により、建物につき自己のための所有権保存登記をしていたとしても、建物を収去する権能を有しないから、建物の敷地所有者の所有権に基づく請求に対し、建物収去義務を負うものではないと解すべきである。」
判旨:「建物の所有権を有しない者は、たとえ、所有者との合意により、建物につき自己のための所有権保存登記をしていたとしても、建物を収去する権能を有しないから、建物の敷地所有者の所有権に基づく請求に対し、建物収去義務を負うものではないと解すべきである。」
過去問・解説
(H29 司法 第7問 エ)
Aは、B所有の土地上に権原なく建物を建築して居住しているが、Cと通謀してその建物についてAからCへの所有権移転登記をした。Cが実際にはその建物を所有したことがない場合でも、Cは、Bに対し、建物収去土地明渡の義務を負う。
Aは、B所有の土地上に権原なく建物を建築して居住しているが、Cと通謀してその建物についてAからCへの所有権移転登記をした。Cが実際にはその建物を所有したことがない場合でも、Cは、Bに対し、建物収去土地明渡の義務を負う。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭47.12.7)は、「建物の所有権を有しない者は、たとえ、所有者との合意により、建物につき自己のための所有権保存登記をしていたとしても、建物を収去する権能を有しないから、建物の敷地所有者の所有権に基づく請求に対し、建物収去義務を負うものではないと解すべきである。」としている。本肢においても、B所有の土地上にAが権限なく建築した建物について、AがCと通謀してその建物についてAからCへの所有権移転登記がされているものの、Cは実際には当該建物を所有したことがない。したがって、Cは、Bに対し、建物収去土地明渡の義務を負わない。
判例(最判昭47.12.7)は、「建物の所有権を有しない者は、たとえ、所有者との合意により、建物につき自己のための所有権保存登記をしていたとしても、建物を収去する権能を有しないから、建物の敷地所有者の所有権に基づく請求に対し、建物収去義務を負うものではないと解すべきである。」としている。本肢においても、B所有の土地上にAが権限なく建築した建物について、AがCと通謀してその建物についてAからCへの所有権移転登記がされているものの、Cは実際には当該建物を所有したことがない。したがって、Cは、Bに対し、建物収去土地明渡の義務を負わない。
総合メモ
177条における「第三者」の意義 最三小判昭和49年3月19日
概要
賃貸中の宅地が譲渡された場合、当該宅地上に登記ある建物を所有する当該宅地の賃借人は177条の「第三者」に当たるため、宅地の譲受人は、登記を経由しなければ、賃借人に対して宅地の所有権の移転及び賃貸人たる地位を主張することができない。
判例
事案:賃貸中の宅地が譲渡された場合、当該宅地上に登記ある建物を所有する当該宅地の賃借人が、177条の「第三者」に当たるかが問題となった。
要旨:「本件宅地の賃借人としてその賃借地上に登記ある建物を所有するAは本件宅地の所有権の得喪につき利害関係を有する第三者であるから、民法177条の規定上、BとしてはAに対し本件宅地の所有権の移転につきその登記を経由しなければこれをAに対抗することができず、したがつてまた、賃貸人たる地位を主張することができないものと解するのが、相当である(大審院 昭和8年(オ)第60号同年5月9日判決・民集12巻1123頁参照)。」
要旨:「本件宅地の賃借人としてその賃借地上に登記ある建物を所有するAは本件宅地の所有権の得喪につき利害関係を有する第三者であるから、民法177条の規定上、BとしてはAに対し本件宅地の所有権の移転につきその登記を経由しなければこれをAに対抗することができず、したがつてまた、賃貸人たる地位を主張することができないものと解するのが、相当である(大審院 昭和8年(オ)第60号同年5月9日判決・民集12巻1123頁参照)。」
過去問・解説
(H28 司法 第36問 ウ)
Dは、建物所有を目的としてAから甲土地を賃借し、甲土地上に乙建物を建築してD名義で乙建物の所有権保存登記を有している。Aは、BからBの取引上の信用のために、甲土地の所有権を仮装譲渡するように依頼を受け、Bへの所有権移転登記を了した。この場合において、Bから甲土地を仮装譲渡であることについて善意で譲り受けて登記を備えたCは、仮装譲渡であることをDが知っていたときは、甲土地の賃借権を否定することができる。
Dは、建物所有を目的としてAから甲土地を賃借し、甲土地上に乙建物を建築してD名義で乙建物の所有権保存登記を有している。Aは、BからBの取引上の信用のために、甲土地の所有権を仮装譲渡するように依頼を受け、Bへの所有権移転登記を了した。この場合において、Bから甲土地を仮装譲渡であることについて善意で譲り受けて登記を備えたCは、仮装譲渡であることをDが知っていたときは、甲土地の賃借権を否定することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭49.3.19)は、賃貸中の宅地が譲渡された場合、当該宅地上に登記ある建物を所有する当該宅地の賃借人は177条の「第三者」に当たる旨判示している。本肢においては、まず、Dは、建物所有を目的としてAから甲土地を賃借し、甲土地上に乙建物を建築してD名義で乙建物の所有権保存登記を有している。これに対して、Cは、Bから甲土地を仮装譲渡であることについて善意で譲り受けているため、94条2項の「善意の第三者」に当たり、甲土地の所有権を取得する。そうすると、DはCとの関係において177条の「第三者」に当たるところ、Dは、Cが甲土地を譲り受けて登記を備える前に、甲土地上に乙建物を建築してD名義で乙建物の所有権保存登記を有しているから、借地借家法10条1項による対抗要件を具備しており、甲土地の賃借権をCに対抗することができるといえる。この結論は、仮装譲渡であることをDが知っていたかによって左右されない。したがって、Cは、Dの甲土地の賃借権を否定することができない。
判例(最判昭49.3.19)は、賃貸中の宅地が譲渡された場合、当該宅地上に登記ある建物を所有する当該宅地の賃借人は177条の「第三者」に当たる旨判示している。本肢においては、まず、Dは、建物所有を目的としてAから甲土地を賃借し、甲土地上に乙建物を建築してD名義で乙建物の所有権保存登記を有している。これに対して、Cは、Bから甲土地を仮装譲渡であることについて善意で譲り受けているため、94条2項の「善意の第三者」に当たり、甲土地の所有権を取得する。そうすると、DはCとの関係において177条の「第三者」に当たるところ、Dは、Cが甲土地を譲り受けて登記を備える前に、甲土地上に乙建物を建築してD名義で乙建物の所有権保存登記を有しているから、借地借家法10条1項による対抗要件を具備しており、甲土地の賃借権をCに対抗することができるといえる。この結論は、仮装譲渡であることをDが知っていたかによって左右されない。したがって、Cは、Dの甲土地の賃借権を否定することができない。
総合メモ
未登記不動産についての民法177条の適用 最一小判昭和57年2月18日
概要
未登記不動産の取得についても、177条の規定の適用があるため、未登記不動産を取得した者は、その旨の登記を備えなければ、取得後に当該不動産について権利を取得した第三者に対し、自己の権利の取得を対抗することができない。
判例
事案:未登記不動産を取得した者がある場合において、その旨の登記を備えなくても、取得後に当該不動産について権利を取得した第三者に対し、自己の権利の取得を対抗することができるかが問題となった。
判旨:「私権の目的となりうる不動産の取得については、右不動産が未登記であつても、民法177条の適用があり、取得者は、その旨の登記を経なければ、取得後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、自己の権利の取得を対抗することができないものと解される…。」
判旨:「私権の目的となりうる不動産の取得については、右不動産が未登記であつても、民法177条の適用があり、取得者は、その旨の登記を経なければ、取得後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、自己の権利の取得を対抗することができないものと解される…。」
過去問・解説
(R4 司法 第6問 ア)
Aがその所有する甲建物をBに売却した場合において、甲建物の保存登記が未了であったときは、Bは、自己名義の登記がなくても、所有権の取得を第三者に対抗することができる。
Aがその所有する甲建物をBに売却した場合において、甲建物の保存登記が未了であったときは、Bは、自己名義の登記がなくても、所有権の取得を第三者に対抗することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭57.2.18)は、「私権の目的となりうる不動産の取得については、右不動産が未登記であつても、民法177条の適用があり、取得者は、その旨の登記を経なければ、取得後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、自己の権利の取得を対抗することができないものと解される…。」と判示している。したがって、Bは、自己名義の登記がなければ、甲建物の所有権の取得を第三者に対抗することができない。
判例(最判昭57.2.18)は、「私権の目的となりうる不動産の取得については、右不動産が未登記であつても、民法177条の適用があり、取得者は、その旨の登記を経なければ、取得後に当該不動産につき権利を取得した第三者に対し、自己の権利の取得を対抗することができないものと解される…。」と判示している。したがって、Bは、自己名義の登記がなければ、甲建物の所有権の取得を第三者に対抗することができない。
総合メモ
177条の「第三者」と背信的悪意者 最三小判平成8年10月29日
概要
所有者AからBが不動産を買い受け、その登記が未了の間に、AからCが当該不動産を二重に買い受け、更にCから転得者Dが買い受けて登記を完了した場合に、Cが背信的悪意者に当たるとしても、Dは、Bに対する関係でD自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、当該不動産の所有権取得をもってBに対抗することができる。
判例
事案:不動産について二重譲渡が生じた場合に、背信的悪意者である譲受人からさらに当該不動産を譲り受けた転得者が、当該不動産の所有権取得をもって他の譲受人に対抗することができるかが問題となった。
判旨:「所有者AからBが不動産を買い受け、その登記が未了の間に、Cが当該不動産をAから二重に買い受け、更にCから転得者Dが買い受けて登記を完了した場合に、たといCが背信的悪意者に当たるとしても、Dは、Bに対する関係でD自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、当該不動産の所有権取得をもってBに対抗することができるものと解するのが相当である。けだし、(1)Cが背信的悪意者であるがゆえに登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者に当たらないとされる場合であっても、Bは、Cが登記を経由した権利をBに対抗することができないことの反面として、登記なくして所有権取得をCに対抗することができるというにとどまり、AC間の売買自体の無効を来すものではなく、したがって、Dは無権利者から当該不動産を買い受けたことにはならないのであって、また、(2)背信的悪意者が正当な利益を有する第三者に当たらないとして民法177条の「第三者」から排除される所以は、第1譲受人の売買等に遅れて不動産を取得し登記を経由した者が登記を経ていない第1譲受人に対してその登記の欠缺を主張することがその取得の経緯等に照らし信義則に反して許されないということにあるのであって、登記を経由した者がこの法理によって「第三者」から排除されるかどうかは、その者と第1譲受人との間で相対的に判断されるべき事柄であるからである。」
判旨:「所有者AからBが不動産を買い受け、その登記が未了の間に、Cが当該不動産をAから二重に買い受け、更にCから転得者Dが買い受けて登記を完了した場合に、たといCが背信的悪意者に当たるとしても、Dは、Bに対する関係でD自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、当該不動産の所有権取得をもってBに対抗することができるものと解するのが相当である。けだし、(1)Cが背信的悪意者であるがゆえに登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者に当たらないとされる場合であっても、Bは、Cが登記を経由した権利をBに対抗することができないことの反面として、登記なくして所有権取得をCに対抗することができるというにとどまり、AC間の売買自体の無効を来すものではなく、したがって、Dは無権利者から当該不動産を買い受けたことにはならないのであって、また、(2)背信的悪意者が正当な利益を有する第三者に当たらないとして民法177条の「第三者」から排除される所以は、第1譲受人の売買等に遅れて不動産を取得し登記を経由した者が登記を経ていない第1譲受人に対してその登記の欠缺を主張することがその取得の経緯等に照らし信義則に反して許されないということにあるのであって、登記を経由した者がこの法理によって「第三者」から排除されるかどうかは、その者と第1譲受人との間で相対的に判断されるべき事柄であるからである。」
過去問・解説
(H18 司法 第13問 2)
Aは、その所有する甲土地をBに売却したが、その直後に重ねて甲土地をCに売却し、さらにCは直ちにDに転売した。甲土地の登記名義は、A・C・Dの合意に基づき、Aから直接にDに移転された。背信的悪意者Cにも甲土地の所有権が帰属するという考え方を採れば、AからBとCに二重譲渡があったことをDが知っていても、それだけでは、登記をしていないBは甲土地の所有権取得をDに対抗することができない。
Aは、その所有する甲土地をBに売却したが、その直後に重ねて甲土地をCに売却し、さらにCは直ちにDに転売した。甲土地の登記名義は、A・C・Dの合意に基づき、Aから直接にDに移転された。背信的悪意者Cにも甲土地の所有権が帰属するという考え方を採れば、AからBとCに二重譲渡があったことをDが知っていても、それだけでは、登記をしていないBは甲土地の所有権取得をDに対抗することができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平8.10.29)は、本肢と同種の事案において、「所有者AからBが不動産を買い受け、その登記が未了の間に、Cが当該不動産をAから二重に買い受け、更にCから転得者Dが買い受けて登記を完了した場合に、たといCが背信的悪意者に当たるとしても、Dは、Bに対する関係でD自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、当該不動産の所有権取得をもってBに対抗することができるものと解するのが相当である。」と判示している。その理由として、同判例は、「Cが背信的悪意者であるがゆえに登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者に当たらないとされる場合であっても、Bは、Cが登記を経由した権利をBに対抗することができないことの反面として、登記なくして所有権取得をCに対抗することができるというにとどまり、AC間の売買自体の無効を来すものではなく、したがって、Dは無権利者から当該不動産を買い受けたことにはならない」と判示している。
本肢においても、背信的悪意者Cにも甲土地の所有権が帰属するという考え方を採れば、Cが背信的悪意者であるとしても、Dが背信的悪意者と評価されない限り、Dは177条の「第三者」に含まれる。したがって、AからBとCに二重譲渡があったことをDが知っていても、それだけでは、登記をしていないBは甲土地の所有権取得をDに対抗することができない。
判例(最判平8.10.29)は、本肢と同種の事案において、「所有者AからBが不動産を買い受け、その登記が未了の間に、Cが当該不動産をAから二重に買い受け、更にCから転得者Dが買い受けて登記を完了した場合に、たといCが背信的悪意者に当たるとしても、Dは、Bに対する関係でD自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、当該不動産の所有権取得をもってBに対抗することができるものと解するのが相当である。」と判示している。その理由として、同判例は、「Cが背信的悪意者であるがゆえに登記の欠缺を主張する正当な利益を有する第三者に当たらないとされる場合であっても、Bは、Cが登記を経由した権利をBに対抗することができないことの反面として、登記なくして所有権取得をCに対抗することができるというにとどまり、AC間の売買自体の無効を来すものではなく、したがって、Dは無権利者から当該不動産を買い受けたことにはならない」と判示している。
本肢においても、背信的悪意者Cにも甲土地の所有権が帰属するという考え方を採れば、Cが背信的悪意者であるとしても、Dが背信的悪意者と評価されない限り、Dは177条の「第三者」に含まれる。したがって、AからBとCに二重譲渡があったことをDが知っていても、それだけでは、登記をしていないBは甲土地の所有権取得をDに対抗することができない。
(H23 共通 第8問 5)
Aがその不動産をBに譲渡し、その後AがCに同一不動産を譲渡し、さらにCが同一不動産を転得者Dに譲渡し、AC間及びCD間の所有権移転登記が行われた場合において、CがBとの関係で背信的悪意者に当たるが、D自身がBとの関係で背信的悪意者と評価されないときは、Dは、所有権の取得をBに対抗することができる。
Aがその不動産をBに譲渡し、その後AがCに同一不動産を譲渡し、さらにCが同一不動産を転得者Dに譲渡し、AC間及びCD間の所有権移転登記が行われた場合において、CがBとの関係で背信的悪意者に当たるが、D自身がBとの関係で背信的悪意者と評価されないときは、Dは、所有権の取得をBに対抗することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平8.10.29)は、本肢と同種の事案において、「所有者AからBが不動産を買い受け、その登記が未了の間に、Cが当該不動産をAから二重に買い受け、更にCから転得者Dが買い受けて登記を完了した場合に、たといCが背信的悪意者に当たるとしても、Dは、Bに対する関係でD自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、当該不動産の所有権取得をもってBに対抗することができるものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、本肢においても、CがBとの関係で背信的悪意者に当たるが、D自身がBとの関係で背信的悪意者と評価されないときは、Dは、所有権の取得をBに対抗することができる。
判例(最判平8.10.29)は、本肢と同種の事案において、「所有者AからBが不動産を買い受け、その登記が未了の間に、Cが当該不動産をAから二重に買い受け、更にCから転得者Dが買い受けて登記を完了した場合に、たといCが背信的悪意者に当たるとしても、Dは、Bに対する関係でD自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、当該不動産の所有権取得をもってBに対抗することができるものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、本肢においても、CがBとの関係で背信的悪意者に当たるが、D自身がBとの関係で背信的悪意者と評価されないときは、Dは、所有権の取得をBに対抗することができる。
(H26 司法 第9問 イ)
AがA所有の甲土地をBに譲渡した後、これをCにも譲渡した場合、Cが背信的悪意者とされる場合であっても、Bは、Cからの譲受人Dが背信的悪意者でない限り、Dに対して自己の所有権を主張するためには登記が必要である。
AがA所有の甲土地をBに譲渡した後、これをCにも譲渡した場合、Cが背信的悪意者とされる場合であっても、Bは、Cからの譲受人Dが背信的悪意者でない限り、Dに対して自己の所有権を主張するためには登記が必要である。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平8.10.29)は、本肢と同種の事案において、「所有者AからBが不動産を買い受け、その登記が未了の間に、Cが当該不動産をAから二重に買い受け、更にCから転得者Dが買い受けて登記を完了した場合に、たといCが背信的悪意者に当たるとしても、Dは、Bに対する関係でD自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、当該不動産の所有権取得をもってBに対抗することができるものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、本肢においても、Bは、Cからの譲受人Dが背信的悪意者でない限り、Dに対して自己の所有権を主張するためには登記が必要である。
判例(最判平8.10.29)は、本肢と同種の事案において、「所有者AからBが不動産を買い受け、その登記が未了の間に、Cが当該不動産をAから二重に買い受け、更にCから転得者Dが買い受けて登記を完了した場合に、たといCが背信的悪意者に当たるとしても、Dは、Bに対する関係でD自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、当該不動産の所有権取得をもってBに対抗することができるものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、本肢においても、Bは、Cからの譲受人Dが背信的悪意者でない限り、Dに対して自己の所有権を主張するためには登記が必要である。
(H26 予備 第4問 エ)
Aは、Bの代理人として、C所有の甲土地をCから買い受けたが、CからBへの所有権移転登記がされる前に、自ら甲土地をCから買い受け、CからAへの所有権移転登記をし、さらに、Dに対して甲土地を売却し、AからDへの所有権移転登記をした場合、Bは、Dに対し、登記をしなくても甲土地の所有権の取得を主張することができる。
Aは、Bの代理人として、C所有の甲土地をCから買い受けたが、CからBへの所有権移転登記がされる前に、自ら甲土地をCから買い受け、CからAへの所有権移転登記をし、さらに、Dに対して甲土地を売却し、AからDへの所有権移転登記をした場合、Bは、Dに対し、登記をしなくても甲土地の所有権の取得を主張することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平8.10.29)は、「所有者AからBが不動産を買い受け、その登記が未了の間に、Cが当該不動産をAから二重に買い受け、更にCから転得者Dが買い受けて登記を完了した場合に、たといCが背信的悪意者に当たるとしても、Dは、Bに対する関係でD自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、当該不動産の所有権取得をもってBに対抗することができるものと解するのが相当である。」と判示している。
本肢においては、Aは、Bの代理人として、C所有の甲土地をCから買い受けておきながら、CからBへの所有権移転登記がされる前に、自ら甲土地をCから買い受けているため、不動産登記法5条2項の趣旨に照らすと、背信的悪意者に当たるといえる。しかし、Aからの譲受人であるD自身が背信的悪意者であると評価されなければ、Dはなお177条の「第三者」に当たるといえ、Bが、Dに対して甲土地の所有権の取得を主張するためには、登記を経由することを要するといえる。本肢においては、Dが背信的悪者に当たる事実はないため、Dは同条の「第三者」に当たり、Bは、Dに対し、登記をしなければ甲土地の所有権の取得を主張することができない。
判例(最判平8.10.29)は、「所有者AからBが不動産を買い受け、その登記が未了の間に、Cが当該不動産をAから二重に買い受け、更にCから転得者Dが買い受けて登記を完了した場合に、たといCが背信的悪意者に当たるとしても、Dは、Bに対する関係でD自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、当該不動産の所有権取得をもってBに対抗することができるものと解するのが相当である。」と判示している。
本肢においては、Aは、Bの代理人として、C所有の甲土地をCから買い受けておきながら、CからBへの所有権移転登記がされる前に、自ら甲土地をCから買い受けているため、不動産登記法5条2項の趣旨に照らすと、背信的悪意者に当たるといえる。しかし、Aからの譲受人であるD自身が背信的悪意者であると評価されなければ、Dはなお177条の「第三者」に当たるといえ、Bが、Dに対して甲土地の所有権の取得を主張するためには、登記を経由することを要するといえる。本肢においては、Dが背信的悪者に当たる事実はないため、Dは同条の「第三者」に当たり、Bは、Dに対し、登記をしなければ甲土地の所有権の取得を主張することができない。
(H30 司法 第10問 エ)
AがA所有の甲土地をBに売却した後、CがBを害する目的で甲土地をAから買い受け、その旨の所有権移転登記がされた場合において、Cが事情を知らないDに対して甲土地を売却し、その旨の所有権移転登記がされたときは、Bは、Dに対し、甲土地の所有権の取得を主張することができる。
AがA所有の甲土地をBに売却した後、CがBを害する目的で甲土地をAから買い受け、その旨の所有権移転登記がされた場合において、Cが事情を知らないDに対して甲土地を売却し、その旨の所有権移転登記がされたときは、Bは、Dに対し、甲土地の所有権の取得を主張することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平8.10.29)は、本肢と同種の事案において、「所有者AからBが不動産を買い受け、その登記が未了の間に、Cが当該不動産をAから二重に買い受け、更にCから転得者Dが買い受けて登記を完了した場合に、たといCが背信的悪意者に当たるとしても、Dは、Bに対する関係でD自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、当該不動産の所有権取得をもってBに対抗することができるものと解するのが相当である。」と判示している。本肢において、CはBを害する目的で甲土地をAから買い受けているため、背信的悪意者に当たるものの、Cからの譲受人Dは当該事情を知らないため、なお177条の「第三者」に当たる。したがって、Bが、Dに対して甲土地の所有権の取得を主張するためには、登記を経由することを要するといえる。よって、登記を経由していないBは、Dに対し、甲土地の所有権の取得を主張することができない。
判例(最判平8.10.29)は、本肢と同種の事案において、「所有者AからBが不動産を買い受け、その登記が未了の間に、Cが当該不動産をAから二重に買い受け、更にCから転得者Dが買い受けて登記を完了した場合に、たといCが背信的悪意者に当たるとしても、Dは、Bに対する関係でD自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、当該不動産の所有権取得をもってBに対抗することができるものと解するのが相当である。」と判示している。本肢において、CはBを害する目的で甲土地をAから買い受けているため、背信的悪意者に当たるものの、Cからの譲受人Dは当該事情を知らないため、なお177条の「第三者」に当たる。したがって、Bが、Dに対して甲土地の所有権の取得を主張するためには、登記を経由することを要するといえる。よって、登記を経由していないBは、Dに対し、甲土地の所有権の取得を主張することができない。
(R2 司法 第7問 ア)
A所有の甲土地をAがBに売却し、その後Aが甲土地をCに対し売却してその旨の登記がされ、更にCが甲土地をDに対し売却してその旨の登記がされた場合において、CがBに対する関係で背信的悪意者に当たるときは、Bは、Dに対し、甲土地の所有権を登記がなくても主張することができる。
A所有の甲土地をAがBに売却し、その後Aが甲土地をCに対し売却してその旨の登記がされ、更にCが甲土地をDに対し売却してその旨の登記がされた場合において、CがBに対する関係で背信的悪意者に当たるときは、Bは、Dに対し、甲土地の所有権を登記がなくても主張することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平8.10.29)は、本肢と同種の事案において、「所有者AからBが不動産を買い受け、その登記が未了の間に、Cが当該不動産をAから二重に買い受け、更にCから転得者Dが買い受けて登記を完了した場合に、たといCが背信的悪意者に当たるとしても、Dは、Bに対する関係でD自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、当該不動産の所有権取得をもってBに対抗することができるものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、本肢においても、CがBに対する関係で背信的悪意者に当たるとしても、Dが背信的悪意者と評価されない限り、Dはなお177条の「第三者」に当たり、Bが、Dに対して甲土地の所有権取得を対抗するためには、その旨の登記を要するといえる。よって、Bは、Dに対し、甲土地の所有権を登記なくして主張することはできない。
判例(最判平8.10.29)は、本肢と同種の事案において、「所有者AからBが不動産を買い受け、その登記が未了の間に、Cが当該不動産をAから二重に買い受け、更にCから転得者Dが買い受けて登記を完了した場合に、たといCが背信的悪意者に当たるとしても、Dは、Bに対する関係でD自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、当該不動産の所有権取得をもってBに対抗することができるものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、本肢においても、CがBに対する関係で背信的悪意者に当たるとしても、Dが背信的悪意者と評価されない限り、Dはなお177条の「第三者」に当たり、Bが、Dに対して甲土地の所有権取得を対抗するためには、その旨の登記を要するといえる。よって、Bは、Dに対し、甲土地の所有権を登記なくして主張することはできない。
総合メモ
承役地の譲受人と177条の「第三者」 最二小判平成10年2月13日
概要
通行地役権の承役地が譲渡された場合において、譲渡の時に、当該承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることがその位置、形状、構造等の物理的状況から客観的に明らかであり、かつ、譲受人がそのことを認識していたか又は認識することが可能であったときは、承役地の譲受人が通路としての使用は無権原でされているものと認識しており、かつ、そのように認識するについては地役権者の言動がその原因の一半を成しているといった特段の事情がない限り、譲受人は、通行地役権が設定されていることを知らなかったとしても、地役権設定登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者に当たらない。
判例
事案:未登記の通行地役権を承役地の譲受人に対抗することができるかが問題となった。
判旨:「通行地役権(通行を目的とする地役権)の承役地が譲渡された場合において、譲渡の時に、右承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることがその位置、形状、構造等の物理的状況から客観的に明らかであり、かつ、譲受人がそのことを認識していたか又は認識することが可能であったときは、譲受人は、通行地役権が設定されていることを知らなかったとしても、特段の事情がない限り、地役権設定登記の欠映を主張するについて正当な利益を有する第三者に当たらないと解するのが相当である。その理由は、次のとおりである。
(1)登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有しない者は、民法177条にいう第三者(登記をしなければ物権の得喪又は変更を対抗することのできない第三者)に当たるものではなく、当該第三者に、不動産登記法4条又は5条に規定する事由のある場合のほか、登記の欠缺を主張することが信義に反すると認められる事由がある場合には、当該第三者は、登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者に当たらない。
(2)通行地役権の承役地が譲渡された時に、右承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることがその位置、形状、構造等の物理的状況から客観的に明らかであり、かつ、譲受人がそのことを認識していたか又は認識することが可能であったときは、譲受人は、要役地の所有者が承役地について通行地役権その他の何らかの通行権を有していることを容易に推認することができ、また、要役地の所有者に照会するなどして通行権の有無、内容を容易に調査することができる。したがって、右の譲受人は、通行地役権が設定されていることを知らないで承役地を譲り受けた場合であっても、何らかの通行権の負担のあるものとしてこれを譲り受けたものというべきであって、右の譲受人が地役権者に対して地役権設定登記の欠缺を主張することは、通常は信義に反するものというべきである。ただし、例えば、承役地の譲受人が通路としての使用は無権原でされているものと認識しており、かつ、そのように認識するについては地役権者の言動がその原因の一半を成しているといった特段の事情がある場合には、地役権設定登記の欠缺を主張することが信義に反するものということはできない。
(3)したがって、右の譲受人は、特段の事情がない限り、地役権設定登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者に当たらないものというべきである。なお、このように解するのは、右の譲受人がいわゆる背信的悪意者であることを理由とするものではないから、右の譲受人が承役地を譲り受けた時に地役権の設定されていることを知っていたことを要するものではない。」
判旨:「通行地役権(通行を目的とする地役権)の承役地が譲渡された場合において、譲渡の時に、右承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることがその位置、形状、構造等の物理的状況から客観的に明らかであり、かつ、譲受人がそのことを認識していたか又は認識することが可能であったときは、譲受人は、通行地役権が設定されていることを知らなかったとしても、特段の事情がない限り、地役権設定登記の欠映を主張するについて正当な利益を有する第三者に当たらないと解するのが相当である。その理由は、次のとおりである。
(1)登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有しない者は、民法177条にいう第三者(登記をしなければ物権の得喪又は変更を対抗することのできない第三者)に当たるものではなく、当該第三者に、不動産登記法4条又は5条に規定する事由のある場合のほか、登記の欠缺を主張することが信義に反すると認められる事由がある場合には、当該第三者は、登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者に当たらない。
(2)通行地役権の承役地が譲渡された時に、右承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることがその位置、形状、構造等の物理的状況から客観的に明らかであり、かつ、譲受人がそのことを認識していたか又は認識することが可能であったときは、譲受人は、要役地の所有者が承役地について通行地役権その他の何らかの通行権を有していることを容易に推認することができ、また、要役地の所有者に照会するなどして通行権の有無、内容を容易に調査することができる。したがって、右の譲受人は、通行地役権が設定されていることを知らないで承役地を譲り受けた場合であっても、何らかの通行権の負担のあるものとしてこれを譲り受けたものというべきであって、右の譲受人が地役権者に対して地役権設定登記の欠缺を主張することは、通常は信義に反するものというべきである。ただし、例えば、承役地の譲受人が通路としての使用は無権原でされているものと認識しており、かつ、そのように認識するについては地役権者の言動がその原因の一半を成しているといった特段の事情がある場合には、地役権設定登記の欠缺を主張することが信義に反するものということはできない。
(3)したがって、右の譲受人は、特段の事情がない限り、地役権設定登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者に当たらないものというべきである。なお、このように解するのは、右の譲受人がいわゆる背信的悪意者であることを理由とするものではないから、右の譲受人が承役地を譲り受けた時に地役権の設定されていることを知っていたことを要するものではない。」
過去問・解説
(H24 司法 第13問 5)
通行地役権の承役地がAに譲渡された場合において、譲渡の時に要役地の所有者Bによって承役地が継続的に通路として使用されていることがその位置、形状、構造等の物理的状況からして客観的に明らかであったとしても、Aが通行地役権の存在を認識していなかったときは、Aは、通行地役権につき、地役権設定登記の不存在を主張する正当な利益を有する第三者に当たる。
通行地役権の承役地がAに譲渡された場合において、譲渡の時に要役地の所有者Bによって承役地が継続的に通路として使用されていることがその位置、形状、構造等の物理的状況からして客観的に明らかであったとしても、Aが通行地役権の存在を認識していなかったときは、Aは、通行地役権につき、地役権設定登記の不存在を主張する正当な利益を有する第三者に当たる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平10.2.13)は、本肢と同種の事案において、「通行地役権(通行を目的とする地役権)の承役地が譲渡された場合において、譲渡の時に、右承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることがその位置、形状、構造等の物理的状況から客観的に明らかであり、かつ、譲受人がそのことを認識していたか又は認識することが可能であったときは、譲受人は、通行地役権が設定されていることを知らなかったとしても、特段の事情がない限り、地役権設定登記の欠缺主張するについて正当な利益を有する第三者に当たらないと解するのが相当である。」と判示している。本肢においても、通行地役権の承役地がAに譲渡された場合において、譲渡の時に要役地の所有者Bによって承役地が継続的に通路として使用されていることがその位置、形状、構造等の物理的状況からして客観的に明らかであったのであるから、Aがそのことを認識していたか又は認識することが可能であったときは、Aが通行地役権の存在を認識していなかったとしても、Aは、通行地役権につき、地役権設定登記の不存在を主張する正当な利益を有する第三者に当たらない。
判例(最判平10.2.13)は、本肢と同種の事案において、「通行地役権(通行を目的とする地役権)の承役地が譲渡された場合において、譲渡の時に、右承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることがその位置、形状、構造等の物理的状況から客観的に明らかであり、かつ、譲受人がそのことを認識していたか又は認識することが可能であったときは、譲受人は、通行地役権が設定されていることを知らなかったとしても、特段の事情がない限り、地役権設定登記の欠缺主張するについて正当な利益を有する第三者に当たらないと解するのが相当である。」と判示している。本肢においても、通行地役権の承役地がAに譲渡された場合において、譲渡の時に要役地の所有者Bによって承役地が継続的に通路として使用されていることがその位置、形状、構造等の物理的状況からして客観的に明らかであったのであるから、Aがそのことを認識していたか又は認識することが可能であったときは、Aが通行地役権の存在を認識していなかったとしても、Aは、通行地役権につき、地役権設定登記の不存在を主張する正当な利益を有する第三者に当たらない。
(R3 予備 第4問 ア)
Aは、自己の所有する甲土地を利用するため、B所有の乙土地の一部に通路を開設し、その通路を通行していた。Aは、Bから通行地役権の設定を受けていたが、未登記であった。Aによる通路の利用を認識していたものの通行地役権の存在は知らなかったCがBから乙土地を譲り受けた場合、Aは、Cに通行地役権を対抗することができる。
Aは、自己の所有する甲土地を利用するため、B所有の乙土地の一部に通路を開設し、その通路を通行していた。Aは、Bから通行地役権の設定を受けていたが、未登記であった。Aによる通路の利用を認識していたものの通行地役権の存在は知らなかったCがBから乙土地を譲り受けた場合、Aは、Cに通行地役権を対抗することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平10.2.13)は、本肢と同種の事案において、「通行地役権(通行を目的とする地役権)の承役地が譲渡された場合において、譲渡の時に、右承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることがその位置、形状、構造等の物理的状況から客観的に明らかであり、かつ、譲受人がそのことを認識していたか又は認識することが可能であったときは、譲受人は、通行地役権が設定されていることを知らなかったとしても、特段の事情がない限り、地役権設定登記の欠缺主張するについて正当な利益を有する第三者に当たらないと解するのが相当である。」と判示している。本肢においても、Aは、自己の所有する甲土地を利用するため、B所有の乙土地の一部に通路を開設し、その通路を通行していたのであるから、CがBから乙土地を譲り受けた時点において、乙土地が甲土地の所有者であるAによって継続的に通路として使用されていることが客観的に明らかであったといえる。そして、Cは、Aによる通路の利用を認識していたのであるから、通行地役権の存在を知らなかったとしても、特段の事情のない本肢においては、Aの地役権設定登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者には当たらない。したがって、Aは、通行地役権の設定について未登記であったとしても、Cに通行地役権を対抗することができる。
判例(最判平10.2.13)は、本肢と同種の事案において、「通行地役権(通行を目的とする地役権)の承役地が譲渡された場合において、譲渡の時に、右承役地が要役地の所有者によって継続的に通路として使用されていることがその位置、形状、構造等の物理的状況から客観的に明らかであり、かつ、譲受人がそのことを認識していたか又は認識することが可能であったときは、譲受人は、通行地役権が設定されていることを知らなかったとしても、特段の事情がない限り、地役権設定登記の欠缺主張するについて正当な利益を有する第三者に当たらないと解するのが相当である。」と判示している。本肢においても、Aは、自己の所有する甲土地を利用するため、B所有の乙土地の一部に通路を開設し、その通路を通行していたのであるから、CがBから乙土地を譲り受けた時点において、乙土地が甲土地の所有者であるAによって継続的に通路として使用されていることが客観的に明らかであったといえる。そして、Cは、Aによる通路の利用を認識していたのであるから、通行地役権の存在を知らなかったとしても、特段の事情のない本肢においては、Aの地役権設定登記の欠缺を主張するについて正当な利益を有する第三者には当たらない。したがって、Aは、通行地役権の設定について未登記であったとしても、Cに通行地役権を対抗することができる。
総合メモ
再度の取得時効の完成と第三者 最二小判平成24年3月16日
概要
不動産の取得時効の完成後、所有権移転登記がされることのないまま、第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を了した場合において、当該不動産の時効取得者である占有者が、その後引き続き時効取得に必要な期間占有を継続し、その期間の経過後に取得時効を授用したときは、当該占有者が当該抵当権の存在を容認していたなど抵当権の消滅を妨げる特段の事情がない限り、当該占有者が、当該不動産を時効取得する結果、当該抵当権は消滅する。
判例
事案:不動産所有権の取得時効完成後に、当該不動産に抵当権が設定され、その旨の登記がなされた場合において、再度取得時効のために必要な期間が経過し、取得時効を援用したときは、当該抵当権が消滅するかが問題となった。
判旨:「不動産の取得時効の完成後、所有権移転登記がされることのないまま、第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を了した場合において、上記不動産の時効取得者である占有者が、その後引き続き時効取得に必要な期間占有を継続したときは、上記占有者が上記抵当権の存在を容認していたなど抵当権の消滅を妨げる特段の事情がない限り、上記占有者は、上記不動産を時効取得し、その結果、上記抵当権は消滅すると解するのが相当である。その理由は、以下のとおりである。
ア 取得時効の完成後、所有権移転登記がされないうちに、第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を了したならば、占有者がその後にいかに長期間占有を継続しても抵当権の負担のない所有権を取得することができないと解することは、長期間にわたる継続的な占有を占有の態様に応じて保護すべきものとする時効制度の趣旨に鑑みれば、是認し難いというべきである。
イ 不動産の取得時効の完成後所有権移転登記を了する前に、第三者に上記不動産が譲渡され、その旨の登記がされた場合において、占有者が、上記登記後に、なお引き続き時効取得に要する期間占有を継続したときは、占有者は、上記第三者に対し、登記なくして時効取得を対抗し得るものと解されるところ(最高裁昭和34年(オ)第779号同36年7月20日第1小法廷判決・民集15巻7号1903頁)、不動産の取得時効の完成後所有権移転登記を了する前に、第三者が上記不動産につき抵当権の設定を受け、その登記がされた場合には、占有者は、自らが時効取得した不動産につき抵当権による制限を受け、これが実行されると自らの所有権の取得自体を買受人に対抗することができない地位に立たされるのであって、上記登記がされた時から占有者と抵当権者との間に上記のような権利の対立関係が生ずるものと解され、かかる事態は、上記不動産が第三者に譲渡され、その旨の登記がされた場合に比肩するということができる。また、上記判例によれば、取得時効の完成後に所有権を得た第三者は、占有者が引き続き占有を継続した場合に、所有権を失うことがあり、それと比べて、取得時効の完成後に抵当権の設定を受けた第三者が上記の場合に保護されることとなるのは、不均衡である。」
判旨:「不動産の取得時効の完成後、所有権移転登記がされることのないまま、第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を了した場合において、上記不動産の時効取得者である占有者が、その後引き続き時効取得に必要な期間占有を継続したときは、上記占有者が上記抵当権の存在を容認していたなど抵当権の消滅を妨げる特段の事情がない限り、上記占有者は、上記不動産を時効取得し、その結果、上記抵当権は消滅すると解するのが相当である。その理由は、以下のとおりである。
ア 取得時効の完成後、所有権移転登記がされないうちに、第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を了したならば、占有者がその後にいかに長期間占有を継続しても抵当権の負担のない所有権を取得することができないと解することは、長期間にわたる継続的な占有を占有の態様に応じて保護すべきものとする時効制度の趣旨に鑑みれば、是認し難いというべきである。
イ 不動産の取得時効の完成後所有権移転登記を了する前に、第三者に上記不動産が譲渡され、その旨の登記がされた場合において、占有者が、上記登記後に、なお引き続き時効取得に要する期間占有を継続したときは、占有者は、上記第三者に対し、登記なくして時効取得を対抗し得るものと解されるところ(最高裁昭和34年(オ)第779号同36年7月20日第1小法廷判決・民集15巻7号1903頁)、不動産の取得時効の完成後所有権移転登記を了する前に、第三者が上記不動産につき抵当権の設定を受け、その登記がされた場合には、占有者は、自らが時効取得した不動産につき抵当権による制限を受け、これが実行されると自らの所有権の取得自体を買受人に対抗することができない地位に立たされるのであって、上記登記がされた時から占有者と抵当権者との間に上記のような権利の対立関係が生ずるものと解され、かかる事態は、上記不動産が第三者に譲渡され、その旨の登記がされた場合に比肩するということができる。また、上記判例によれば、取得時効の完成後に所有権を得た第三者は、占有者が引き続き占有を継続した場合に、所有権を失うことがあり、それと比べて、取得時効の完成後に抵当権の設定を受けた第三者が上記の場合に保護されることとなるのは、不均衡である。」
過去問・解説
(H30 司法 第10問 オ)
BがA所有のA名義の甲土地を占有し、取得時効が完成した後、CがAから甲土地について抵当権の設定を受けて抵当権設定登記がされた場合において、Bがその抵当権の設定の事実を知らずにその後引き続き時効取得に必要な期間甲土地を占有し、その期間経過後に取得時効を援用したときは、Bは、Cに対し、抵当権の消滅を主張することができる。
BがA所有のA名義の甲土地を占有し、取得時効が完成した後、CがAから甲土地について抵当権の設定を受けて抵当権設定登記がされた場合において、Bがその抵当権の設定の事実を知らずにその後引き続き時効取得に必要な期間甲土地を占有し、その期間経過後に取得時効を援用したときは、Bは、Cに対し、抵当権の消滅を主張することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平24.3.16)は、本肢と同種の事案において、「不動産の取得時効の完成後、所有権移転登記がされることのないまま、第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を了した場合において、上記不動産の時効取得者である占有者が、その後引き続き時効取得に必要な期間占有を継続したときは、上記占有者が上記抵当権の存在を容認していたなど抵当権の消滅を妨げる特段の事情がない限り、上記占有者は、上記不動産を時効取得し、その結果、上記抵当権は消滅すると解するのが相当である。」と判示している。したがって、Bは、Cに対し、抵当権の消滅を主張することができる。
判例(最判平24.3.16)は、本肢と同種の事案において、「不動産の取得時効の完成後、所有権移転登記がされることのないまま、第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を了した場合において、上記不動産の時効取得者である占有者が、その後引き続き時効取得に必要な期間占有を継続したときは、上記占有者が上記抵当権の存在を容認していたなど抵当権の消滅を妨げる特段の事情がない限り、上記占有者は、上記不動産を時効取得し、その結果、上記抵当権は消滅すると解するのが相当である。」と判示している。したがって、Bは、Cに対し、抵当権の消滅を主張することができる。
(R3 共通 第13問 エ)
AがB所有の甲土地を占有して取得時効が完成した後、所有権移転登記がされることのないまま、甲土地にCのための抵当権が設定されてその登記がされた。Aがその後引き続き時効取得に必要とされる期間、甲土地の占有を継続し、その期間の経過後に取得時効を援用した場合は、AがCの抵当権の存在を容認していたときであっても、Cの抵当権は消滅する。
AがB所有の甲土地を占有して取得時効が完成した後、所有権移転登記がされることのないまま、甲土地にCのための抵当権が設定されてその登記がされた。Aがその後引き続き時効取得に必要とされる期間、甲土地の占有を継続し、その期間の経過後に取得時効を援用した場合は、AがCの抵当権の存在を容認していたときであっても、Cの抵当権は消滅する。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平24.3.16)は、「不動産の取得時効の完成後、所有権移転登記がされることのないまま、第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を了した場合において、上記不動産の時効取得者である占有者が、その後引き続き時効取得に必要な期間占有を継続したときは、上記占有者が上記抵当権の存在を容認していたなど抵当権の消滅を妨げる特段の事情がない限り、上記占有者は、上記不動産を時効取得し、その結果、上記抵当権は消滅すると解するのが相当である。」と判示している。本肢においては、AがCの抵当権の存在を容認していたという事情が存するところ、当該事情は、同判例にいう「占有者が…抵当権の存在を容認していたなど抵当権の消滅を妨げる特段の事情」に当たる。したがって、Aが、土地にCのための抵当権が設定されてその登記がされた後引き続き時効取得に必要とされる期間、甲土地の占有を継続し、その期間の経過後に取得時効を援用した場合においても、Cの抵当権は消滅しない。
判例(最判平24.3.16)は、「不動産の取得時効の完成後、所有権移転登記がされることのないまま、第三者が原所有者から抵当権の設定を受けて抵当権設定登記を了した場合において、上記不動産の時効取得者である占有者が、その後引き続き時効取得に必要な期間占有を継続したときは、上記占有者が上記抵当権の存在を容認していたなど抵当権の消滅を妨げる特段の事情がない限り、上記占有者は、上記不動産を時効取得し、その結果、上記抵当権は消滅すると解するのが相当である。」と判示している。本肢においては、AがCの抵当権の存在を容認していたという事情が存するところ、当該事情は、同判例にいう「占有者が…抵当権の存在を容認していたなど抵当権の消滅を妨げる特段の事情」に当たる。したがって、Aが、土地にCのための抵当権が設定されてその登記がされた後引き続き時効取得に必要とされる期間、甲土地の占有を継続し、その期間の経過後に取得時効を援用した場合においても、Cの抵当権は消滅しない。
総合メモ
遺贈と登記 最二小判昭和39年3月6日
概要
不動産における遺贈が効力を生じた場合における権利変動についても、177条の適用があり、受遺者は、当該遺贈による権利変動を第三者に対抗するためには、登記を要する。
判例
事案:不動産における遺贈が効力を生じた場合において、当該遺贈による権利変動を第三者に対抗するためには、登記を要するかが問題となった。
判旨:「不動産の所有者が右不動産を他人に贈与しても、その旨の登記手続をしない間は完全に排他性ある権利変動を生ぜず、所有者は全くの無権利者とはならないと解すべきところ(当裁判所昭和31年(オ)1022号、同33年10月14日第三小法廷判決、集12巻14号3111頁参照)、遺贈は遺言によつて受遺者に財産権を与える遺言者の意思表示にほかならず、遺言者の死亡を不確定期限とするものではあるが、意思表示によつて物権変動の効果を生ずる点においては贈与と異なるところはないのであるから、遺贈が効力を生じた場合においても、遺贈を原因とする所有権移転登記のなされない間は、完全に排他的な権利変動を生じないものと解すべきである。そして、民法177条が広く物権の得喪変更について登記をもつて対抗要件としているところから見れば、遺贈をもつてその例外とする理由はないから、遺贈の場合においても不動産の二重譲渡等における場合と同様、登記をもつて物権変動の対抗要件とするものと解すべきである。」
判旨:「不動産の所有者が右不動産を他人に贈与しても、その旨の登記手続をしない間は完全に排他性ある権利変動を生ぜず、所有者は全くの無権利者とはならないと解すべきところ(当裁判所昭和31年(オ)1022号、同33年10月14日第三小法廷判決、集12巻14号3111頁参照)、遺贈は遺言によつて受遺者に財産権を与える遺言者の意思表示にほかならず、遺言者の死亡を不確定期限とするものではあるが、意思表示によつて物権変動の効果を生ずる点においては贈与と異なるところはないのであるから、遺贈が効力を生じた場合においても、遺贈を原因とする所有権移転登記のなされない間は、完全に排他的な権利変動を生じないものと解すべきである。そして、民法177条が広く物権の得喪変更について登記をもつて対抗要件としているところから見れば、遺贈をもつてその例外とする理由はないから、遺贈の場合においても不動産の二重譲渡等における場合と同様、登記をもつて物権変動の対抗要件とするものと解すべきである。」
過去問・解説
(H19 司法 第8問 ウ)
被相続人Aから遺贈によって甲不動産の所有権を取得したXは、Aの唯一の相続人Bが甲をYに売却し、Yが所有権移転登記を備えた場合、遺贈があった事実を知らず所有権取得登記を備える機会がなかったとしても、Yに対し、甲の所有権取得を対抗することができない。
被相続人Aから遺贈によって甲不動産の所有権を取得したXは、Aの唯一の相続人Bが甲をYに売却し、Yが所有権移転登記を備えた場合、遺贈があった事実を知らず所有権取得登記を備える機会がなかったとしても、Yに対し、甲の所有権取得を対抗することができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭39.3.6)は、「民法177条が広く物権の得喪変更について登記をもつて対抗要件としているところから見れば、遺贈をもつてその例外とする理由はないから、遺贈の場合においても不動産の二重譲渡等における場合と同様、登記をもつて物権変動の対抗要件とするものと解すべきである。」と判示している。したがって、被相続人Aから遺贈によって甲不動産の所有権を取得したXと、Aの唯一の相続人Bか甲を買い受けたYとは、対抗関係に立ち、甲不動産の所有権取得を対抗できるかは、177条により登記の有無で決せられる。よって、Xは、遺贈があった事実を知らず所有権取得登記を備える機会がなかったとしても、Yに対し、甲の所有権取得を対抗することができない。
判例(最判昭39.3.6)は、「民法177条が広く物権の得喪変更について登記をもつて対抗要件としているところから見れば、遺贈をもつてその例外とする理由はないから、遺贈の場合においても不動産の二重譲渡等における場合と同様、登記をもつて物権変動の対抗要件とするものと解すべきである。」と判示している。したがって、被相続人Aから遺贈によって甲不動産の所有権を取得したXと、Aの唯一の相続人Bか甲を買い受けたYとは、対抗関係に立ち、甲不動産の所有権取得を対抗できるかは、177条により登記の有無で決せられる。よって、Xは、遺贈があった事実を知らず所有権取得登記を備える機会がなかったとしても、Yに対し、甲の所有権取得を対抗することができない。
(H20 司法 第9問 エ)
Aが、その所有する甲土地をFに遺贈する旨の遺言をして死亡した場合において、Aの唯一の相続人である配偶者から甲土地を贈与されたGに対し、Fは、所有権移転登記をしなくても、甲土地の所有権取得を対抗することができる。
Aが、その所有する甲土地をFに遺贈する旨の遺言をして死亡した場合において、Aの唯一の相続人である配偶者から甲土地を贈与されたGに対し、Fは、所有権移転登記をしなくても、甲土地の所有権取得を対抗することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭39.3.6)は、「民法177条が広く物権の得喪変更について登記をもつて対抗要件としているところから見れば、遺贈をもつてその例外とする理由はないから、遺贈の場合においても不動産の二重譲渡等における場合と同様、登記をもつて物権変動の対抗要件とするものと解すべきである。」と判示している。したがって、Aから甲土地の遺贈を受けたFと、Aの唯一の相続人である配偶者から甲土地を贈与されたGとは、対抗関係に立ち、甲土地の所有権取得を対抗できるかは、177条により登記の有無で決せられる。よって、Fは、Gに対し、所有権移転登記をしなければ、甲土地の所有権取得を対抗することができない。
判例(最判昭39.3.6)は、「民法177条が広く物権の得喪変更について登記をもつて対抗要件としているところから見れば、遺贈をもつてその例外とする理由はないから、遺贈の場合においても不動産の二重譲渡等における場合と同様、登記をもつて物権変動の対抗要件とするものと解すべきである。」と判示している。したがって、Aから甲土地の遺贈を受けたFと、Aの唯一の相続人である配偶者から甲土地を贈与されたGとは、対抗関係に立ち、甲土地の所有権取得を対抗できるかは、177条により登記の有無で決せられる。よって、Fは、Gに対し、所有権移転登記をしなければ、甲土地の所有権取得を対抗することができない。
(H26 司法 第8問 オ)
Aはその所有する土地をBに遺贈する旨の遺言をしていたが、Aが死亡した後、Bがその土地の所有権移転登記をしない間に、Aの唯一の相続人であるCが、AからCへの相続を原因とする所有権移転登記をした上で、その土地をDに売却してCからDへの所有権移転登記をした場合、Bは、Dに対し、CからDへの所有権移転登記の抹消登記手続を請求することができない。
Aはその所有する土地をBに遺贈する旨の遺言をしていたが、Aが死亡した後、Bがその土地の所有権移転登記をしない間に、Aの唯一の相続人であるCが、AからCへの相続を原因とする所有権移転登記をした上で、その土地をDに売却してCからDへの所有権移転登記をした場合、Bは、Dに対し、CからDへの所有権移転登記の抹消登記手続を請求することができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭39.3.6)は、「民法177条が広く物権の得喪変更について登記をもつて対抗要件としているところから見れば、遺贈をもつてその例外とする理由はないから、遺贈の場合においても不動産の二重譲渡等における場合と同様、登記をもつて物権変動の対抗要件とするものと解すべきである。」と判示している。したがって、Aから、生前その所有していた土地の遺贈を受けたBと、Aの唯一の相続人であるCから甲土地を買い受けたDとは、対抗関係に立ち、当該土地所有権の取得の優劣は、177条により登記の有無で決せられる。Bが当該土地の所有権移転登記をしない間に、Dは、所有権移転登記を経ているため、当該土地所有権は、Dが取得する。よって、Bは、Dに対し、CからDへの所有権移転登記の抹消登記手続を請求することができない。
判例(最判昭39.3.6)は、「民法177条が広く物権の得喪変更について登記をもつて対抗要件としているところから見れば、遺贈をもつてその例外とする理由はないから、遺贈の場合においても不動産の二重譲渡等における場合と同様、登記をもつて物権変動の対抗要件とするものと解すべきである。」と判示している。したがって、Aから、生前その所有していた土地の遺贈を受けたBと、Aの唯一の相続人であるCから甲土地を買い受けたDとは、対抗関係に立ち、当該土地所有権の取得の優劣は、177条により登記の有無で決せられる。Bが当該土地の所有権移転登記をしない間に、Dは、所有権移転登記を経ているため、当該土地所有権は、Dが取得する。よって、Bは、Dに対し、CからDへの所有権移転登記の抹消登記手続を請求することができない。
(H27 共通 第7問 ウ)
Aは亡Bから亡Bの所有していた乙土地の遺贈を受けたが、その旨の所有権移転登記をしていなかった。その後、亡Bの共同相続人の1人であるCの債権者Dが乙土地についてCの相続分に相当する持分を差し押さえ、その旨の登記がされた。この場合、Aは、Dに対し、乙土地の所有権を亡Bから取得したことを主張することができる。
Aは亡Bから亡Bの所有していた乙土地の遺贈を受けたが、その旨の所有権移転登記をしていなかった。その後、亡Bの共同相続人の1人であるCの債権者Dが乙土地についてCの相続分に相当する持分を差し押さえ、その旨の登記がされた。この場合、Aは、Dに対し、乙土地の所有権を亡Bから取得したことを主張することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭39.3.6)は、「民法177条が広く物権の得喪変更について登記をもつて対抗要件としているところから見れば、遺贈をもつてその例外とする理由はないから、遺贈の場合においても不動産の二重譲渡等における場合と同様、登記をもつて物権変動の対抗要件とするものと解すべきである。」と判示している。そうすると、乙土地についてCの相続分に相当する持分を差し押さえたCの債権者Dは、亡Bから同人の所有していた乙土地の遺贈を受けたAとの関係で、177条の「第三者」に当たる。したがって、AがDに対し乙土地の所有権を亡Bから取得したことを主張するためには、その旨の登記を要するといえる。よって、所有権移転登記をしていないAは、Dに対し、乙土地の所有権を亡Bから取得したことを主張することができない。
判例(最判昭39.3.6)は、「民法177条が広く物権の得喪変更について登記をもつて対抗要件としているところから見れば、遺贈をもつてその例外とする理由はないから、遺贈の場合においても不動産の二重譲渡等における場合と同様、登記をもつて物権変動の対抗要件とするものと解すべきである。」と判示している。そうすると、乙土地についてCの相続分に相当する持分を差し押さえたCの債権者Dは、亡Bから同人の所有していた乙土地の遺贈を受けたAとの関係で、177条の「第三者」に当たる。したがって、AがDに対し乙土地の所有権を亡Bから取得したことを主張するためには、その旨の登記を要するといえる。よって、所有権移転登記をしていないAは、Dに対し、乙土地の所有権を亡Bから取得したことを主張することができない。
(R1 司法 第6問 イ)
A所有の甲土地についてBがAから遺贈を受けた場合において、Aの共同相続人の1人であるCの債権者Dが甲土地についてCが共同相続したものとしてCのその持分を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、Bは、Dに対し、登記をしなくても遺贈による甲土地の単独所有権の取得を対抗することができる。
A所有の甲土地についてBがAから遺贈を受けた場合において、Aの共同相続人の1人であるCの債権者Dが甲土地についてCが共同相続したものとしてCのその持分を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、Bは、Dに対し、登記をしなくても遺贈による甲土地の単独所有権の取得を対抗することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭39.3.6)は、「民法177条が広く物権の得喪変更について登記をもつて対抗要件としているところから見れば、遺贈をもつてその例外とする理由はないから、遺贈の場合においても不動産の二重譲渡等における場合と同様、登記をもつて物権変動の対抗要件とするものと解すべきである。」と判示している。そうすると、甲土地についてCが共同相続したものとしてCのその持分を差し押さえたCの債権者Dは、A所有の甲土地についてAから遺贈を受けたBとの関係で、177条の「第三者」に当たる。したがって、Bが、Dに対し、甲土地の単独所有権をAから取得したことを主張するためには、その旨の登記を要するといえる。よって、Bは、Dに対し、登記をしなければ遺贈による甲土地の単独所有権の取得を対抗することができない。
判例(最判昭39.3.6)は、「民法177条が広く物権の得喪変更について登記をもつて対抗要件としているところから見れば、遺贈をもつてその例外とする理由はないから、遺贈の場合においても不動産の二重譲渡等における場合と同様、登記をもつて物権変動の対抗要件とするものと解すべきである。」と判示している。そうすると、甲土地についてCが共同相続したものとしてCのその持分を差し押さえたCの債権者Dは、A所有の甲土地についてAから遺贈を受けたBとの関係で、177条の「第三者」に当たる。したがって、Bが、Dに対し、甲土地の単独所有権をAから取得したことを主張するためには、その旨の登記を要するといえる。よって、Bは、Dに対し、登記をしなければ遺贈による甲土地の単独所有権の取得を対抗することができない。
総合メモ
中間省略登記 大判大正5年9月12日
概要
不動産がAからB、BからCと順次譲渡されたものの、登記名義がいまだAにある場合において、ABC3者間の特約によって、AからCに直接所有権移転登記がされたとき、当該中間省略登記は有効である。
判例
事案:不動産がAからB、BからCと順次譲渡されたものの、登記名義がいまだAにある場合において、ABC3者間の特約によって、AからCに直接所有権移転登記がされたとき、当該中間省略登記は無効となるかが問題となった。
判旨:「按スルニ所有者BヨリCニ不動産ヲ譲渡シタルモ其登記名義者ハ旧所有者Aナル場合ニ於テ当事者間ノ特約ニ基キAヨリ直接ニCニ不動産ヲ譲渡シタル旨ノ所有権移転ノ登記ヲ為スモ其登記ハ真実ノ事実ニ適合セサル登記ナリトシテ之ヲ無効ナリト云フコトヲ得ス蓋シ斯ル登記ト雖モ不動産ニ関スル現在ノ真実ナル権利状態ヲ公示シ登記ノ立法上ノ目的ヲ達スルニ足ルヲ以テ法律ノ許ス所ナルコト明瞭ナレハナリ。」
判旨:「按スルニ所有者BヨリCニ不動産ヲ譲渡シタルモ其登記名義者ハ旧所有者Aナル場合ニ於テ当事者間ノ特約ニ基キAヨリ直接ニCニ不動産ヲ譲渡シタル旨ノ所有権移転ノ登記ヲ為スモ其登記ハ真実ノ事実ニ適合セサル登記ナリトシテ之ヲ無効ナリト云フコトヲ得ス蓋シ斯ル登記ト雖モ不動産ニ関スル現在ノ真実ナル権利状態ヲ公示シ登記ノ立法上ノ目的ヲ達スルニ足ルヲ以テ法律ノ許ス所ナルコト明瞭ナレハナリ。」
過去問・解説
(H18 司法 第13問 4)
Aは、その所有する甲土地をBに売却したが、その直後に重ねて甲土地をCに売却し、さらにCは直ちにDに転売した。甲土地の登記名義は、A・C・Dの合意に基づき、Aから直接にDに移転された。Bは、本来、Cと対抗関係に立つから、登記の効力については重大な利害関係を有するところ、Cは対抗要件を備えていないし、AからDへの中間省略登記は無効であるから、Bは、CにもDにも対抗することができる。
Aは、その所有する甲土地をBに売却したが、その直後に重ねて甲土地をCに売却し、さらにCは直ちにDに転売した。甲土地の登記名義は、A・C・Dの合意に基づき、Aから直接にDに移転された。Bは、本来、Cと対抗関係に立つから、登記の効力については重大な利害関係を有するところ、Cは対抗要件を備えていないし、AからDへの中間省略登記は無効であるから、Bは、CにもDにも対抗することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(大判大5.9.12)は、「所有者BヨリCニ不動産ヲ譲渡シタルモ其登記名義者ハ旧所有者Aナル場合ニ於テ当事者間ノ特約ニ基キAヨリ直接ニCニ不動産ヲ譲渡シタル旨ノ所有権移転ノ登記ヲ為スモ其登記ハ真実ノ事実ニ適合セサル登記ナリトシテ之ヲ無効ナリト云フコトヲ得ス。」と判示し、不動産が3者間で順次売買された場合における中間省略登記について、3者間の特約があれば有効であるとしている。
本肢において、まず、Bは、Cと対抗関係に立つところ、Bは登記を備えていないため、甲土地所有権の取得をCに対して対抗することができない(177条)。したがって、Bは、Cに対抗することができるとしている部分は誤っている。
次に、甲土地の登記名義が、A・C・Dの合意に基づき、Aから直接にDに移転されているところ、当該Dへの中間省略登記は、上記判例に基づけば有効である。したがって、AからDへの中間省略登記は無効であるとしている部分も誤っている。そして、仮にAからDへの中間省略登記が無効であるとしても、Bは、Dとも対抗関係に立つところ、Bは登記を備えていないため、甲土地所有権の取得をDに対して対抗することができない。したがって、Bは、Dに対抗することができるとしている部分も誤っている。
判例(大判大5.9.12)は、「所有者BヨリCニ不動産ヲ譲渡シタルモ其登記名義者ハ旧所有者Aナル場合ニ於テ当事者間ノ特約ニ基キAヨリ直接ニCニ不動産ヲ譲渡シタル旨ノ所有権移転ノ登記ヲ為スモ其登記ハ真実ノ事実ニ適合セサル登記ナリトシテ之ヲ無効ナリト云フコトヲ得ス。」と判示し、不動産が3者間で順次売買された場合における中間省略登記について、3者間の特約があれば有効であるとしている。
本肢において、まず、Bは、Cと対抗関係に立つところ、Bは登記を備えていないため、甲土地所有権の取得をCに対して対抗することができない(177条)。したがって、Bは、Cに対抗することができるとしている部分は誤っている。
次に、甲土地の登記名義が、A・C・Dの合意に基づき、Aから直接にDに移転されているところ、当該Dへの中間省略登記は、上記判例に基づけば有効である。したがって、AからDへの中間省略登記は無効であるとしている部分も誤っている。そして、仮にAからDへの中間省略登記が無効であるとしても、Bは、Dとも対抗関係に立つところ、Bは登記を備えていないため、甲土地所有権の取得をDに対して対抗することができない。したがって、Bは、Dに対抗することができるとしている部分も誤っている。
総合メモ
不動産の二重譲渡と登記・中間省略登記の抹消請求 最一小判昭和35年4月21日
概要
不動産が、元所有者から中間者、中間者から現所有者と順次売却された後、中間者の同意なしに現所有者のためその家屋について中間省略登記がなされたときであっても、中間者が、その中間省略登記の抹消登記を求める法律上の利益を欠くときは、中間者は、同登記の抹消登記手続を請求することは許されない。
判例
事案:中間者の同意なし中間省略登記がされた場合において、中間者が、当該中間省略登記の抹消登記手続請求を行うことができるかが問題となった。
判旨:「原審は、本件登記につきいわゆる中間者であるBの本件家屋の譲渡前後の事情、経過を詳述し、BはA組合より本件家屋を未登記のまま承継取得して自ら所有する期間これを登記しようとしたことなく、登記方を他人に依頼することもなく、未登記のまま何ら不満を感ぜず経過し、これをCに譲渡するに当つても、単に所有権を与えてその対価を収得することをもつて満足し、不動産を何人の名をもつて保有登記をなすや等既登記不動産とする点に関しては毫も関心なく、話題となすこともなかつたこと及びBは自己名義を登記に登載することを要するがごとき利益もまた何らなかつたことを認めるに十分であつた旨を認定し、更にBの本訴を提起した動機についても、何ら自己自身の利益を守る目的に非らずして、ただCが二重譲渡したことを聞知し、その譲受人の一人であるDをもつて正当の権利者と解し、これに責任ありと感じてD名義の登記を実現するためE名義の登記を抹消しようとするにあることは、B本人の供述により明らかである旨を認定している。そして右原審の認定は、挙示の証拠に照らしこれを是認することができる。かかる事実関係の下においては、原審が、EとDといずれが法律上の保護に値するかどうかは同人らの訴訟の結果によるべきであり、Bには本件登記の抹消を訴求するについての法律上の利益を認めがたく、本訴請求は失当であると判示したことは正当である。」
判旨:「原審は、本件登記につきいわゆる中間者であるBの本件家屋の譲渡前後の事情、経過を詳述し、BはA組合より本件家屋を未登記のまま承継取得して自ら所有する期間これを登記しようとしたことなく、登記方を他人に依頼することもなく、未登記のまま何ら不満を感ぜず経過し、これをCに譲渡するに当つても、単に所有権を与えてその対価を収得することをもつて満足し、不動産を何人の名をもつて保有登記をなすや等既登記不動産とする点に関しては毫も関心なく、話題となすこともなかつたこと及びBは自己名義を登記に登載することを要するがごとき利益もまた何らなかつたことを認めるに十分であつた旨を認定し、更にBの本訴を提起した動機についても、何ら自己自身の利益を守る目的に非らずして、ただCが二重譲渡したことを聞知し、その譲受人の一人であるDをもつて正当の権利者と解し、これに責任ありと感じてD名義の登記を実現するためE名義の登記を抹消しようとするにあることは、B本人の供述により明らかである旨を認定している。そして右原審の認定は、挙示の証拠に照らしこれを是認することができる。かかる事実関係の下においては、原審が、EとDといずれが法律上の保護に値するかどうかは同人らの訴訟の結果によるべきであり、Bには本件登記の抹消を訴求するについての法律上の利益を認めがたく、本訴請求は失当であると判示したことは正当である。」
過去問・解説
(H26 司法 第8問 イ)
AからB、BからCへ土地が順次売却された後、Bの同意なくAからCへの所有権移転登記がされた場合、現在の権利関係と登記の内容が一致する限り、Bはその所有権移転登記の抹消登記手続を請求することはできない。
AからB、BからCへ土地が順次売却された後、Bの同意なくAからCへの所有権移転登記がされた場合、現在の権利関係と登記の内容が一致する限り、Bはその所有権移転登記の抹消登記手続を請求することはできない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭35.4.21)は、不動産が、元所有者から中間者、中間者から現所有者と順次売却された後、中間者の同意なしに現所有者のためその家屋について中間省略登記がなされたときであっても、中間者が、その中間省略登記の抹消登記を求める法律上の利益を欠くときは、中間者は、同登記の抹消登記手続を請求することは許されない旨判示している。そうすると、中間者の同意なしに中間省略登記がされた場合において、中間者に、その中間省略登記の抹消登記手続を請求する法律上の利益がある場合には、中間者は、同登記の抹消登記手続を請求することができるといえる。したがって、現在の権利関係と登記の内容が一致する場合においても、Bに、AからCへの中間省略登記の抹消登記手続を請求する法律上の利益があれば、Bはその所有権移転登記の抹消登記手続を請求することができる。
判例(最判昭35.4.21)は、不動産が、元所有者から中間者、中間者から現所有者と順次売却された後、中間者の同意なしに現所有者のためその家屋について中間省略登記がなされたときであっても、中間者が、その中間省略登記の抹消登記を求める法律上の利益を欠くときは、中間者は、同登記の抹消登記手続を請求することは許されない旨判示している。そうすると、中間者の同意なしに中間省略登記がされた場合において、中間者に、その中間省略登記の抹消登記手続を請求する法律上の利益がある場合には、中間者は、同登記の抹消登記手続を請求することができるといえる。したがって、現在の権利関係と登記の内容が一致する場合においても、Bに、AからCへの中間省略登記の抹消登記手続を請求する法律上の利益があれば、Bはその所有権移転登記の抹消登記手続を請求することができる。
総合メモ
真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続請求 最一小判平成22年12月16日
概要
不動産の所有権が、AからB、BからCと順次移転したにもかかわらず、登記名義がなおAの下に残っている場合において、CがAに対し、AからCに対する真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を請求することは許されない。
判例
事案:不動産所有権が、元所有者から中間者、中間者から現所有者へと順次移転した場合において、現所有者から元所有者に対する、真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を請求することが許されるかが問題となった。
判旨:「不動産の所有権が、元の所有者から中間者に、次いで中間者から現在の所有者に、順次移転したにもかかわらず、登記名義がなお元の所有者の下に残っている場合において、現在の所有者が元の所有者に対し、元の所有者から現在の所有者に対する真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を請求することは、物権変動の過程を忠実に登記記録に反映させようとする不動産登記法の原則に照らし、許されないものというべきである。」
判旨:「不動産の所有権が、元の所有者から中間者に、次いで中間者から現在の所有者に、順次移転したにもかかわらず、登記名義がなお元の所有者の下に残っている場合において、現在の所有者が元の所有者に対し、元の所有者から現在の所有者に対する真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を請求することは、物権変動の過程を忠実に登記記録に反映させようとする不動産登記法の原則に照らし、許されないものというべきである。」
過去問・解説
(H27 司法 第8問 イ)
Aの所有する甲土地がAからB、BからCに順次譲渡されたにもかかわらず、登記名義がなおAに残っている場合、Cは、Aに対し、AからCに対する真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を請求することはできない。
Aの所有する甲土地がAからB、BからCに順次譲渡されたにもかかわらず、登記名義がなおAに残っている場合、Cは、Aに対し、AからCに対する真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を請求することはできない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平22.12.16)は、「不動産の所有権が、元の所有者から中間者に、次いで中間者から現在の所有者に、順次移転したにもかかわらず、登記名義がなお元の所有者の下に残っている場合において、現在の所有者が元の所有者に対し、元の所有者から現在の所有者に対する真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を請求することは、物権変動の過程を忠実に登記記録に反映させようとする不動産登記法の原則に照らし、許されないものというべきである。」と判示している。したがって、Cは、Aに対し、AからCに対する真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を請求することはできない。
判例(最判平22.12.16)は、「不動産の所有権が、元の所有者から中間者に、次いで中間者から現在の所有者に、順次移転したにもかかわらず、登記名義がなお元の所有者の下に残っている場合において、現在の所有者が元の所有者に対し、元の所有者から現在の所有者に対する真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を請求することは、物権変動の過程を忠実に登記記録に反映させようとする不動産登記法の原則に照らし、許されないものというべきである。」と判示している。したがって、Cは、Aに対し、AからCに対する真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を請求することはできない。
(R5 司法 第8問 ア)
Aの所有する甲土地がAからB、BからCに順次売却された場合において、所有権の登記名義人がAのままであるときは、Cは、Aに対し、AからCへの真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を請求することができる。
Aの所有する甲土地がAからB、BからCに順次売却された場合において、所有権の登記名義人がAのままであるときは、Cは、Aに対し、AからCへの真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を請求することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平22.12.16)は、「不動産の所有権が、元の所有者から中間者に、次いで中間者から現在の所有者に、順次移転したにもかかわらず、登記名義がなお元の所有者の下に残っている場合において、現在の所有者が元の所有者に対し、元の所有者から現在の所有者に対する真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を請求することは、物権変動の過程を忠実に登記記録に反映させようとする不動産登記法の原則に照らし、許されないものというべきである。」と判示している。したがって、Cは、Aに対し、AからCへの真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を請求することができない。
判例(最判平22.12.16)は、「不動産の所有権が、元の所有者から中間者に、次いで中間者から現在の所有者に、順次移転したにもかかわらず、登記名義がなお元の所有者の下に残っている場合において、現在の所有者が元の所有者に対し、元の所有者から現在の所有者に対する真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を請求することは、物権変動の過程を忠実に登記記録に反映させようとする不動産登記法の原則に照らし、許されないものというべきである。」と判示している。したがって、Cは、Aに対し、AからCへの真正な登記名義の回復を原因とする所有権移転登記手続を請求することができない。
総合メモ
立木所有権の優劣 大判大正10年4月14日
概要
立木のみの譲受人は、その権利取得について明認方法を備えることによって、その後、前所有者から立木及びその存する土地を譲り受けて明認方法若しくは登記を備えた第三者に対して、立木所有権の取得を対抗することができる。
判例
事案:立木のみの譲受人と、立木及びその存する土地の譲受人との間の、立木所有権についての優劣の判断方法が問題となった。
判旨:「立木ニ関スル法律ノ適用ヲ受ケサル立木ト雖モ土地ト分離シ独立シテ譲渡ノ目的ト為ルコトヲ得ルモノニシテ其所有権ノ譲渡ヲ第三者ニ対抗スルニハ第三者ヲシテ権利ノ譲渡ヲ明認セシムルニ足ルヘキ行為ヲ為スコトヲ必要トス従テ立木ノ譲受人ハ其権利ノ取得ニ付キ明認行為ナル公示方法ヲ施シタルトキハ第三者ニ対シ絶対ニ其所有権ヲ対抗スルコトヲ得ルモノニシテ土地及ヒ立木ノ前所有者ヨリ更ニ土地及ヒ立木ヲ買受ケタル者カ土地ニ付キ所有権取得ノ登記ヲ為シ若クハ立木ニ付キ明認行為ヲ為シタル場合ト雖モ此等ノ公示方法カ叙上ノ如ク既ニ他ノ権利取得者ノ為メニ明認行為ヲ為シタル後ニ施サレタルモノナルトキハ土地及ヒ立木ノ買受人ハ其ノ立木ノ所有権ヲ以テ既ニ明認行為ヲ為シタル権利取得者ニ対抗スルコトヲ得ス換言スレハ斯ノ如ク立木ノ所有権ニ付キ同一所有者カ数回ノ譲渡ヲ為シタルトキハ立木ノ所有権ハ権利取得ニ付キ最先ニ公示方法ヲ施シタル者ニ帰属シ何人モ其権利取得ヲ争ウコトヲ得サルモノトス。」
判旨:「立木ニ関スル法律ノ適用ヲ受ケサル立木ト雖モ土地ト分離シ独立シテ譲渡ノ目的ト為ルコトヲ得ルモノニシテ其所有権ノ譲渡ヲ第三者ニ対抗スルニハ第三者ヲシテ権利ノ譲渡ヲ明認セシムルニ足ルヘキ行為ヲ為スコトヲ必要トス従テ立木ノ譲受人ハ其権利ノ取得ニ付キ明認行為ナル公示方法ヲ施シタルトキハ第三者ニ対シ絶対ニ其所有権ヲ対抗スルコトヲ得ルモノニシテ土地及ヒ立木ノ前所有者ヨリ更ニ土地及ヒ立木ヲ買受ケタル者カ土地ニ付キ所有権取得ノ登記ヲ為シ若クハ立木ニ付キ明認行為ヲ為シタル場合ト雖モ此等ノ公示方法カ叙上ノ如ク既ニ他ノ権利取得者ノ為メニ明認行為ヲ為シタル後ニ施サレタルモノナルトキハ土地及ヒ立木ノ買受人ハ其ノ立木ノ所有権ヲ以テ既ニ明認行為ヲ為シタル権利取得者ニ対抗スルコトヲ得ス換言スレハ斯ノ如ク立木ノ所有権ニ付キ同一所有者カ数回ノ譲渡ヲ為シタルトキハ立木ノ所有権ハ権利取得ニ付キ最先ニ公示方法ヲ施シタル者ニ帰属シ何人モ其権利取得ヲ争ウコトヲ得サルモノトス。」
過去問・解説
(H30 共通 第11問 ア)
AがA所有の甲土地をBに譲渡し、Bが甲土地上に立木を植栽して明認方法を施した場合において、その後、AがCに甲土地を譲渡して、Cに対する所有権移転登記をしたときは、明認方法が存続していたとしても、BはCに対して、立木の所有権を対抗することができない。
AがA所有の甲土地をBに譲渡し、Bが甲土地上に立木を植栽して明認方法を施した場合において、その後、AがCに甲土地を譲渡して、Cに対する所有権移転登記をしたときは、明認方法が存続していたとしても、BはCに対して、立木の所有権を対抗することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭35.3.1)は、本肢と同種の事案において、「立木所有権の地盤所有権からの分離は、立木が地盤に附合したまま移転する本来の物権変動の効果を立木について制限することになるのであるから、その物権的効果を第三者に対抗するためには、少なくとも立木所有権を公示する対抗要件を必要とする」と判示している。
また、判例(最判昭36.5.4)は、「明認方法は、立木に関する法律の適用を受けない立木の物権変動の公示方法として是認されているものであるから、それは、…第三者が利害関係を取得する当時にもそれだけの効果をもつて存在するものでなければなら」ないと判示している。
本肢においては、AがCに甲土地を譲渡して、Cに対する所有権移転登記をするのに先立ち、Bが立木に明認方法を施していた上、CがAから甲土地を譲り受けた当時においても、当該明認方法が存続していた。したがって、BはCに対して、立木の所有権を対抗することができる。
判例(最判昭35.3.1)は、本肢と同種の事案において、「立木所有権の地盤所有権からの分離は、立木が地盤に附合したまま移転する本来の物権変動の効果を立木について制限することになるのであるから、その物権的効果を第三者に対抗するためには、少なくとも立木所有権を公示する対抗要件を必要とする」と判示している。
また、判例(最判昭36.5.4)は、「明認方法は、立木に関する法律の適用を受けない立木の物権変動の公示方法として是認されているものであるから、それは、…第三者が利害関係を取得する当時にもそれだけの効果をもつて存在するものでなければなら」ないと判示している。
本肢においては、AがCに甲土地を譲渡して、Cに対する所有権移転登記をするのに先立ち、Bが立木に明認方法を施していた上、CがAから甲土地を譲り受けた当時においても、当該明認方法が存続していた。したがって、BはCに対して、立木の所有権を対抗することができる。
(R1 司法 第8問 エ)
甲土地とその上の立木を所有するAがBに甲土地を立木とともに譲渡し、甲土地についてAからBへの所有権移転登記がされた後、CがAから立木のみを譲り受け、立木について明認方法を備えた場合、Cは立木の所有権をBに主張することができる。
甲土地とその上の立木を所有するAがBに甲土地を立木とともに譲渡し、甲土地についてAからBへの所有権移転登記がされた後、CがAから立木のみを譲り受け、立木について明認方法を備えた場合、Cは立木の所有権をBに主張することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(大判大10.4.14)は、立木のみの譲受人は、その権利取得について明認方法を備えることによって、その後、前所有者から立木及びその存する土地を譲り受けて明認方法若しくは登記を備えた第三者に対して、立木所有権の取得を対抗することができる旨判示している。そうすると、立木のみの譲受人と、立木及びその存する土地の譲受人との間の、立木所有権取得についての優劣は、立木に対する明認方法と、土地についての登記の先後によって決せられる。
本肢においては、甲土地とその上の立木を所有するAがBに甲土地を立木とともに譲渡し、甲土地についてAからBへの所有権移転登記がされた後、CがAから立木のみを譲り受け、立木について明認方法を備えているから、Cが立木に対して備えた明認方法は、甲土地についてBが備えた登記に劣後する。したがって、Cは立木の所有権をBに主張することができない。
判例(大判大10.4.14)は、立木のみの譲受人は、その権利取得について明認方法を備えることによって、その後、前所有者から立木及びその存する土地を譲り受けて明認方法若しくは登記を備えた第三者に対して、立木所有権の取得を対抗することができる旨判示している。そうすると、立木のみの譲受人と、立木及びその存する土地の譲受人との間の、立木所有権取得についての優劣は、立木に対する明認方法と、土地についての登記の先後によって決せられる。
本肢においては、甲土地とその上の立木を所有するAがBに甲土地を立木とともに譲渡し、甲土地についてAからBへの所有権移転登記がされた後、CがAから立木のみを譲り受け、立木について明認方法を備えているから、Cが立木に対して備えた明認方法は、甲土地についてBが備えた登記に劣後する。したがって、Cは立木の所有権をBに主張することができない。
総合メモ
譲渡担保権者の清算義務 最一小判昭和46年3月25日
概要
貸金債権担保のため債務者所有の不動産につき譲渡担保契約を締結し、債務者が弁済期に債務を弁済すれば、同不動産を債務者に返還するが、弁済をしないときは債務の弁済に代えて確定的に債権者に同不動産の所有権を移転させるとの合意の基に、債権者に所有権移転登記が経由されている場合において、債務者が弁済期に弁済をしないときの譲渡担保権者の清算義務と設定者の目的物引渡義務は、特段の事情がある場合を除き、同時履行の関係となる。
判例
事案:譲渡担保契約が締結され、債務者が弁済期に債務を弁済すれば同不動産を債務者に返還するが、弁済をしないときは債務の弁済に代えて確定的に債権者に同不動産の所有権を移転させるとの合意の基に、債権者に同不動産の所有権移転登記が経由されている場合において、債務者が弁済期に弁済をしないときは、譲渡担保権者の清算義務と設定者の目的物引渡義務とは、同時履行の関係となるのかが問題となった。
判旨:「貸金債権担保のため債務者所有の不動産につき譲渡担保形式の契約を締結し、債務者が弁済期に債務を弁済すれば不動産は債務者に返還するが、弁済をしないときは右不動産を債務の弁済の代わりに確定的に自己の所有に帰せしめるとの合意のもとに、自己のため所有権移転登記を経由した債権者は、債務者が弁済期に債務の弁済をしない場合においては、目的不動産を換価処分し、またはこれを適正に評価することによって具体化する右物件の価額から、自己の債権額を差し引き、なお残額があるときは、これに相当する金銭を清算金として債務者に支払うことを要するのである。そして、この担保目的実現の手段として、債務者に対し右不動産の引渡ないし明渡を求める訴を提起した場合に、債務者が右清算金の支払と引換えにその履行をなすべき旨を主張したときは、特段の事情のある場合を除き、債権者の右請求は、債務者への清算金の支払と引換えにのみ認容されるべきものと解するのが相当である(最高裁判所昭和43年(オ)第371号、同45年9月24日第一小法廷判決)。」
判旨:「貸金債権担保のため債務者所有の不動産につき譲渡担保形式の契約を締結し、債務者が弁済期に債務を弁済すれば不動産は債務者に返還するが、弁済をしないときは右不動産を債務の弁済の代わりに確定的に自己の所有に帰せしめるとの合意のもとに、自己のため所有権移転登記を経由した債権者は、債務者が弁済期に債務の弁済をしない場合においては、目的不動産を換価処分し、またはこれを適正に評価することによって具体化する右物件の価額から、自己の債権額を差し引き、なお残額があるときは、これに相当する金銭を清算金として債務者に支払うことを要するのである。そして、この担保目的実現の手段として、債務者に対し右不動産の引渡ないし明渡を求める訴を提起した場合に、債務者が右清算金の支払と引換えにその履行をなすべき旨を主張したときは、特段の事情のある場合を除き、債権者の右請求は、債務者への清算金の支払と引換えにのみ認容されるべきものと解するのが相当である(最高裁判所昭和43年(オ)第371号、同45年9月24日第一小法廷判決)。」
過去問・解説
(H21 司法 第16問 エ)
Aは、その所有する不動産を目的として、Aの債権者であるBのために譲渡担保権を設定し、所有権移転登記をした。Bが、譲渡担保権の実行として、Aに対し目的不動産の引渡しを求める訴えを提起したのに対し、Aが清算金の支払と引換えにその履行をすべき旨を主張したときは、特段の事情のある場合を除き、Bの請求は、Aへの清算金の支払と引換えにのみ認容される。
Aは、その所有する不動産を目的として、Aの債権者であるBのために譲渡担保権を設定し、所有権移転登記をした。Bが、譲渡担保権の実行として、Aに対し目的不動産の引渡しを求める訴えを提起したのに対し、Aが清算金の支払と引換えにその履行をすべき旨を主張したときは、特段の事情のある場合を除き、Bの請求は、Aへの清算金の支払と引換えにのみ認容される。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭46.3.25)は、 貸金債権担保のため債務者所有の不動産につき譲渡担保契約を締結し、債務者が弁済期に債務を弁済すれば、同不動産を債務者に返還するが、弁済をしないときは債務の弁済に代えて確定的に債権者に同不動産の所有権を移転させるとの合意の基に、債権者に所有権移転登記が経由されている場合において、債務者が弁済期に弁済をしないときの譲渡担保権者の清算義務と設定者の目的物引渡義務は、特段の事情がある場合を除き、同時履行の関係となる旨判示している。本肢においても、Aの債権者であるBのために譲渡担保権が設定され、所有権移転登記が経由されている。そうすると、譲渡担保権者Bの清算義務と設定者Aの目的物引渡義務は、特段の事情がある場合を除き、同時履行の関係になる。
ここで、同時履行の関係にある2つの債務について、片方の債務の履行の請求を求める訴えが提起された場合において、相手方から同時履行の抗弁が主張されたときには、引換給付判決がなされる。したがって、Bが、譲渡担保権の実行として、Aに対し目的不動産の引渡しを求める訴えを提起したのに対し、Aが清算金の支払と引換えにその履行をすべき旨を主張し同時履行の抗弁を主張したときは、特段の事情のある場合を除き、Bの請求は、Aへの清算金の支払と引換えにのみ認容される。
判例(最判昭46.3.25)は、 貸金債権担保のため債務者所有の不動産につき譲渡担保契約を締結し、債務者が弁済期に債務を弁済すれば、同不動産を債務者に返還するが、弁済をしないときは債務の弁済に代えて確定的に債権者に同不動産の所有権を移転させるとの合意の基に、債権者に所有権移転登記が経由されている場合において、債務者が弁済期に弁済をしないときの譲渡担保権者の清算義務と設定者の目的物引渡義務は、特段の事情がある場合を除き、同時履行の関係となる旨判示している。本肢においても、Aの債権者であるBのために譲渡担保権が設定され、所有権移転登記が経由されている。そうすると、譲渡担保権者Bの清算義務と設定者Aの目的物引渡義務は、特段の事情がある場合を除き、同時履行の関係になる。
ここで、同時履行の関係にある2つの債務について、片方の債務の履行の請求を求める訴えが提起された場合において、相手方から同時履行の抗弁が主張されたときには、引換給付判決がなされる。したがって、Bが、譲渡担保権の実行として、Aに対し目的不動産の引渡しを求める訴えを提起したのに対し、Aが清算金の支払と引換えにその履行をすべき旨を主張し同時履行の抗弁を主張したときは、特段の事情のある場合を除き、Bの請求は、Aへの清算金の支払と引換えにのみ認容される。
総合メモ
借地上の建物に譲渡担保権が設定された場合の効力と、清算金額算定に際しての建物の適正評価額 最三小判昭和51年9月21日
概要
債務者である土地の貸借人がその貸借地上に所有する建物を譲渡担保とした場合には、特段の事情がない限り、譲渡担保権の効力は土地の賃借権にも及び、担保権の実行により債権者又は第三者が建物を取得した場合には、これに随伴して土地の賃借権も債権者又は第三者に譲渡される。
判例
事案:債務者がその借地上に建物を所有しており、当該建物に同債務者が譲渡担保権を設定している場合において、当該譲渡担保権の効力が、当該建物の存する土地の賃借権にも及ぶかが問題となった。
判旨:「債務者である土地の貸借人がその貸借地上に所有する建物を譲渡担保とした場合には、その建物のみを担保の目的に供したことが明らかであるなど特別の事情がない限り、右譲渡担保権の効力は、原則として土地の賃借権に及び、債権者が担保権の実行としての換価処分により建物の所有権をみずから確定的に取得し又は第三者にこれを取得させたときは、これに随伴して土地の賃借権もまた債権者又は第三者に譲渡されると解すべきである。」
判旨:「債務者である土地の貸借人がその貸借地上に所有する建物を譲渡担保とした場合には、その建物のみを担保の目的に供したことが明らかであるなど特別の事情がない限り、右譲渡担保権の効力は、原則として土地の賃借権に及び、債権者が担保権の実行としての換価処分により建物の所有権をみずから確定的に取得し又は第三者にこれを取得させたときは、これに随伴して土地の賃借権もまた債権者又は第三者に譲渡されると解すべきである。」
過去問・解説
(H23 司法 第16問 ア)
債務者である土地の賃借人が、借地上に所有している建物を譲渡担保の目的物とした場合において、譲渡担保権の効力は、土地の賃借権に及ぶので、譲渡担保権者が担保権を実行し、これにより第三者がその建物の所有権を取得したときは、これに伴い土地の賃借権も第三者に譲渡される。
債務者である土地の賃借人が、借地上に所有している建物を譲渡担保の目的物とした場合において、譲渡担保権の効力は、土地の賃借権に及ぶので、譲渡担保権者が担保権を実行し、これにより第三者がその建物の所有権を取得したときは、これに伴い土地の賃借権も第三者に譲渡される。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭51.9.21)は、「債務者である土地の貸借人がその貸借地上に所有する建物を譲渡担保とした場合には、その建物のみを担保の目的に供したことが明らかであるなど特別の事情がない限り、右譲渡担保権の効力は、原則として土地の賃借権に及び、債権者が担保権の実行としての換価処分により建物の所有権をみずから確定的に取得し又は第三者にこれを取得させたときは、これに随伴して土地の賃借権もまた債権者又は第三者に譲渡されると解すべきである。」と判示している。
判例(最判昭51.9.21)は、「債務者である土地の貸借人がその貸借地上に所有する建物を譲渡担保とした場合には、その建物のみを担保の目的に供したことが明らかであるなど特別の事情がない限り、右譲渡担保権の効力は、原則として土地の賃借権に及び、債権者が担保権の実行としての換価処分により建物の所有権をみずから確定的に取得し又は第三者にこれを取得させたときは、これに随伴して土地の賃借権もまた債権者又は第三者に譲渡されると解すべきである。」と判示している。
(R2 共通 第14問 エ)
土地の賃借人が借地上に所有する建物に譲渡担保権を設定した場合、その効力が土地の賃借権に及ぶことはない。
土地の賃借人が借地上に所有する建物に譲渡担保権を設定した場合、その効力が土地の賃借権に及ぶことはない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭51.9.21)は、「債務者である土地の貸借人がその貸借地上に所有する建物を譲渡担保とした場合には、その建物のみを担保の目的に供したことが明らかであるなど特別の事情がない限り、右譲渡担保権の効力は、原則として土地の賃借権に及」ぶと判示している。
判例(最判昭51.9.21)は、「債務者である土地の貸借人がその貸借地上に所有する建物を譲渡担保とした場合には、その建物のみを担保の目的に供したことが明らかであるなど特別の事情がない限り、右譲渡担保権の効力は、原則として土地の賃借権に及」ぶと判示している。
総合メモ
立木の明認方法 大判大正9年2月19日
概要
立木の所有権に関する明認方法は、誰が現在の所有者であるかを明らかにする方法を講ずれば足り、登記簿の記載のように前所有者や権利取得原因を明示することを要しない。
判例
事案:立木の所有権に関する明認方法として認められるためには、どのような事項を明らかにすれば足りるのかが問題となった。
判旨:「立木ハ土地ト分離セサル限リ不動産タルコトヲ失ハサルヲ以テ立木ノミヲ譲受ケタル者ハ其所有権取得ニ付キ土地建物立木法ニ依ル立木ノ場合ニ於ケル登記ト等シク第三者ヲシテ所有権取得ヲ知ラシムル公示方法ヲ施スニアラサレハ其所有権ヲ第三者ニ対抗スルヲ得サルモノニシテ其公示方法タルヤ他人ヲシテ其所有権取得ヲ明認セシムヘキ行為タルヲ以テ足ルコトハ当院判例ノ認ムル所ナリ(明治38年(オ)第12号同年2月13日言渡大正8年(オ)第56号同年5月26日言渡当院判決参照)故ニ何人カ其立木ノ現在所有者ナルカヲ明カナラシムルヲ以テ足リ必スシモ登記簿ノ記載ニ於ケルカ如ク権利移付者及ヒ権利取得ノ原因ヲ明示スルコトヲ要セサルナリ。」
判旨:「立木ハ土地ト分離セサル限リ不動産タルコトヲ失ハサルヲ以テ立木ノミヲ譲受ケタル者ハ其所有権取得ニ付キ土地建物立木法ニ依ル立木ノ場合ニ於ケル登記ト等シク第三者ヲシテ所有権取得ヲ知ラシムル公示方法ヲ施スニアラサレハ其所有権ヲ第三者ニ対抗スルヲ得サルモノニシテ其公示方法タルヤ他人ヲシテ其所有権取得ヲ明認セシムヘキ行為タルヲ以テ足ルコトハ当院判例ノ認ムル所ナリ(明治38年(オ)第12号同年2月13日言渡大正8年(オ)第56号同年5月26日言渡当院判決参照)故ニ何人カ其立木ノ現在所有者ナルカヲ明カナラシムルヲ以テ足リ必スシモ登記簿ノ記載ニ於ケルカ如ク権利移付者及ヒ権利取得ノ原因ヲ明示スルコトヲ要セサルナリ。」
総合メモ
立木所有権と明認方法 最二小判昭和34年8月7日
概要
土地の所有権を移転するにあたり、当事者間の合意によって当該土地上の立木の所有権を土地譲渡人が留保したときは、当該留保を公示するに足る明認方法を講じなければ、当該留保をもってその地盤である土地の権利を取得した第三者に対抗できない。
判例
事案:土地上の立木の所有権を留保して当該土地のみを移転した場合において、当該土地の権利を新たに取得した第三者に対して、当該立木の所有権留保を対抗するためには、明認方法を備えることが必要かが問題となった。
判旨:「立木は本来土地の一部として一個の土地所有権の内容をなすものであるが、土地の所有権を移転するに当り、特に当事者間の合意によつて立木の所有権を留保した場合は、立木は土地と独立して所有権の目的となるものであるが、留保もまた物権変動の一場合と解すべきであるから、この場合には立木につき立木法による登記をするかまたは該留保を公示するに足る明認方法を講じない以上、第三者は全然立木についての所有権留保の事実を知るに由ないものであるから、右登記または明認方法を施さない限り、立木所有権の留保をもつてその地盤である土地の権利を取得した第三者に対抗し得ないものと解するを相当とする。」
判旨:「立木は本来土地の一部として一個の土地所有権の内容をなすものであるが、土地の所有権を移転するに当り、特に当事者間の合意によつて立木の所有権を留保した場合は、立木は土地と独立して所有権の目的となるものであるが、留保もまた物権変動の一場合と解すべきであるから、この場合には立木につき立木法による登記をするかまたは該留保を公示するに足る明認方法を講じない以上、第三者は全然立木についての所有権留保の事実を知るに由ないものであるから、右登記または明認方法を施さない限り、立木所有権の留保をもつてその地盤である土地の権利を取得した第三者に対抗し得ないものと解するを相当とする。」
過去問・解説
(H26 司法 第11問 イ)
土地を所有する者が売主となる売買において、当事者間で合意をすれば土地上の立木についての所有権を当該売主に留保することができるが、それを第三者に対抗するためには、当該売主が立木の所有者である旨を公示する対抗要件を具備しなければならない。
土地を所有する者が売主となる売買において、当事者間で合意をすれば土地上の立木についての所有権を当該売主に留保することができるが、それを第三者に対抗するためには、当該売主が立木の所有者である旨を公示する対抗要件を具備しなければならない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭34.8.7)は、「立木は本来土地の一部として一個の土地所有権の内容をなすものであるが、土地の所有権を移転するに当り、特に当事者間の合意によつて立木の所有権を留保した場合は、立木は土地と独立して所有権の目的となるものであるが、留保もまた物権変動の一場合と解すべきであるから、この場合には立木につき立木法による登記をするかまたは該留保を公示するに足る明認方法を講じない以上、第三者は全然立木についての所有権留保の事実を知るに由ないものであるから、右登記または明認方法を施さない限り、立木所有権の留保をもつてその地盤である土地の権利を取得した第三者に対抗し得ないものと解するを相当とする。」と判示している。
判例(最判昭34.8.7)は、「立木は本来土地の一部として一個の土地所有権の内容をなすものであるが、土地の所有権を移転するに当り、特に当事者間の合意によつて立木の所有権を留保した場合は、立木は土地と独立して所有権の目的となるものであるが、留保もまた物権変動の一場合と解すべきであるから、この場合には立木につき立木法による登記をするかまたは該留保を公示するに足る明認方法を講じない以上、第三者は全然立木についての所有権留保の事実を知るに由ないものであるから、右登記または明認方法を施さない限り、立木所有権の留保をもつてその地盤である土地の権利を取得した第三者に対抗し得ないものと解するを相当とする。」と判示している。
(R1 司法 第8問 ウ)
甲土地とその上の立木を所有するAが立木の所有権を留保して甲土地をBに譲渡した後、BがCに甲土地を立木とともに譲渡した場合、Aは、立木の所有権の留保について登記や明認方法を備えなくても、立木の所有権をCに主張することができる。
甲土地とその上の立木を所有するAが立木の所有権を留保して甲土地をBに譲渡した後、BがCに甲土地を立木とともに譲渡した場合、Aは、立木の所有権の留保について登記や明認方法を備えなくても、立木の所有権をCに主張することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭34.8.7)は、「立木は本来土地の一部として一個の土地所有権の内容をなすものであるが、土地の所有権を移転するに当り、特に当事者間の合意によつて立木の所有権を留保した場合は、立木は土地と独立して所有権の目的となるものであるが、留保もまた物権変動の一場合と解すべきであるから、この場合には立木につき立木法による登記をするかまたは該留保を公示するに足る明認方法を講じない以上、第三者は全然立木についての所有権留保の事実を知るに由ないものであるから、右登記または明認方法を施さない限り、立木所有権の留保をもつてその地盤である土地の権利を取得した第三者に対抗し得ないものと解するを相当とする。」と判示している。したがって、甲土地とその上の立木を所有するAが立木の所有権を留保して甲土地をBに譲渡した後、BがCに甲土地を立木とともに譲渡した場合、Aは、立木の所有権の留保について登記や明認方法を備えなければ、立木の所有権をCに主張することができない。
判例(最判昭34.8.7)は、「立木は本来土地の一部として一個の土地所有権の内容をなすものであるが、土地の所有権を移転するに当り、特に当事者間の合意によつて立木の所有権を留保した場合は、立木は土地と独立して所有権の目的となるものであるが、留保もまた物権変動の一場合と解すべきであるから、この場合には立木につき立木法による登記をするかまたは該留保を公示するに足る明認方法を講じない以上、第三者は全然立木についての所有権留保の事実を知るに由ないものであるから、右登記または明認方法を施さない限り、立木所有権の留保をもつてその地盤である土地の権利を取得した第三者に対抗し得ないものと解するを相当とする。」と判示している。したがって、甲土地とその上の立木を所有するAが立木の所有権を留保して甲土地をBに譲渡した後、BがCに甲土地を立木とともに譲渡した場合、Aは、立木の所有権の留保について登記や明認方法を備えなければ、立木の所有権をCに主張することができない。
(R6 司法 第8問 エ)
Aが所有する甲土地の上にAが植栽した乙立木がある。乙立木について立木ニ関スル法律による所有権保存登記はされていない。
AがFに甲土地及び乙立木を売却し、甲土地についてFが所有権移転登記を備えた場合には、その後にAがGに乙立木のみを売却し、乙立木についてGが明認方法を施したときであっても、Fは、乙立木の所有権の取得を第三者Gに対抗することができる。
Aが所有する甲土地の上にAが植栽した乙立木がある。乙立木について立木ニ関スル法律による所有権保存登記はされていない。
AがFに甲土地及び乙立木を売却し、甲土地についてFが所有権移転登記を備えた場合には、その後にAがGに乙立木のみを売却し、乙立木についてGが明認方法を施したときであっても、Fは、乙立木の所有権の取得を第三者Gに対抗することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭30.9.23)は、「立木とその地盤とが同一人の所有に属するときは、立木の所有権は地盤の所有権に包含せられて、立木と地盤とは一箇の土地所有権の目的となるものであるから、立木と地盤との所有権を同時に移転する場合は、土地所有権の移転登記をなせば、これにより地盤ばかりでなく、立木についても所有権の移転を第三者に対抗できるのである…。」と判示している。
そうすると、AがFに甲土地及び乙立木を売却し、甲土地についてFが所有権移転登記を備えた場合には、Fは、甲土地だけでなく、乙立木についても所有権の移転を第三者に対抗できる。したがって、その後にAがGに乙立木のみを売却し、乙立木についてGが明認方法を施したときであっても、Fは、乙立木の所有権の取得を第三者Gに対抗することができる。
判例(最判昭30.9.23)は、「立木とその地盤とが同一人の所有に属するときは、立木の所有権は地盤の所有権に包含せられて、立木と地盤とは一箇の土地所有権の目的となるものであるから、立木と地盤との所有権を同時に移転する場合は、土地所有権の移転登記をなせば、これにより地盤ばかりでなく、立木についても所有権の移転を第三者に対抗できるのである…。」と判示している。
そうすると、AがFに甲土地及び乙立木を売却し、甲土地についてFが所有権移転登記を備えた場合には、Fは、甲土地だけでなく、乙立木についても所有権の移転を第三者に対抗できる。したがって、その後にAがGに乙立木のみを売却し、乙立木についてGが明認方法を施したときであっても、Fは、乙立木の所有権の取得を第三者Gに対抗することができる。
(R6 司法 第8問 オ)
Aが所有する甲土地の上にAが植栽した乙立木がある。乙立木について立木ニ関スル法律による所有権保存登記はされていない。
AがHに乙立木の所有権を留保して甲土地を売却した後、HがIに甲土地及び乙立木を売却したときは、Aは、乙立木について明認方法を施さなければ、乙立木の所有権の留保を第三者Iに対抗することができない。
Aが所有する甲土地の上にAが植栽した乙立木がある。乙立木について立木ニ関スル法律による所有権保存登記はされていない。
AがHに乙立木の所有権を留保して甲土地を売却した後、HがIに甲土地及び乙立木を売却したときは、Aは、乙立木について明認方法を施さなければ、乙立木の所有権の留保を第三者Iに対抗することができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭34.8.7)は、「立木は本来土地の一部として一個の土地所有権の内容をなすものであるが、土地の所有権を移転するに当り、特に当事者間の合意によつて立木の所有権を留保した場合は、立木は土地と独立して所有権の目的となるものであるが、留保もまた物権変動の一場合と解すべきであるから、この場合には立木につき立木法による登記をするかまたは該留保を公示するに足る明認方法を講じない以上、第三者は全然立木についての所有権留保の事実を知るに由ないものであるから、右登記または明認方法を施さない限り、立木所有権の留保をもつてその地盤である土地の権利を取得した第三者に対抗し得ないものと解するを相当とする。」と判示している。したがって、Aは、乙立木について明認方法を施さなければ、乙立木の所有権の留保を第三者Iに対抗することができない。
判例(最判昭34.8.7)は、「立木は本来土地の一部として一個の土地所有権の内容をなすものであるが、土地の所有権を移転するに当り、特に当事者間の合意によつて立木の所有権を留保した場合は、立木は土地と独立して所有権の目的となるものであるが、留保もまた物権変動の一場合と解すべきであるから、この場合には立木につき立木法による登記をするかまたは該留保を公示するに足る明認方法を講じない以上、第三者は全然立木についての所有権留保の事実を知るに由ないものであるから、右登記または明認方法を施さない限り、立木所有権の留保をもつてその地盤である土地の権利を取得した第三者に対抗し得ないものと解するを相当とする。」と判示している。したがって、Aは、乙立木について明認方法を施さなければ、乙立木の所有権の留保を第三者Iに対抗することができない。
(R6 司法 第32問 オ)
夫婦が、離婚意思に基づいて離婚届を作成し、夫婦の一方がいったん保管した後にこれを提出したものの、他方が届出時までに翻意していたことが明確であったときは、離婚は、無効である。
夫婦が、離婚意思に基づいて離婚届を作成し、夫婦の一方がいったん保管した後にこれを提出したものの、他方が届出時までに翻意していたことが明確であったときは、離婚は、無効である。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭34.8.7) は、「上告人から届出がなされた当時には被上告人に離婚の意思がなかつたものであるところ、協議離婚の届出は協議離婚意思の表示とみるべきであるから、本件の如くその届出の当時離婚の意思を有せざることが明確になつた以上、右届出による協議離婚は無効であるといわなければならない。」と判示している。したがって、夫婦が、離婚意思に基づいて離婚届を作成し、夫婦の一方がいったん保管した後にこれを提出したものの、他方が届出時までに翻意していたことが明確であったときは、離婚は、無効である。
判例(最判昭34.8.7) は、「上告人から届出がなされた当時には被上告人に離婚の意思がなかつたものであるところ、協議離婚の届出は協議離婚意思の表示とみるべきであるから、本件の如くその届出の当時離婚の意思を有せざることが明確になつた以上、右届出による協議離婚は無効であるといわなければならない。」と判示している。したがって、夫婦が、離婚意思に基づいて離婚届を作成し、夫婦の一方がいったん保管した後にこれを提出したものの、他方が届出時までに翻意していたことが明確であったときは、離婚は、無効である。
総合メモ
所有権の登記と権利の推定 最三小判昭和38年10月15日
概要
現在の登記簿上の所有名義人は、前所有名義人から不動産所有権を取得したと主張する場合には、前所有名義人に対し、登記の推定力を援用し得ない。
判例
事案:登記簿上の不動産の直接の前所有名義人が現所有名義人に対し当該所有権の移転を争う場合において、現在の登記簿上の所有名義人は、前所有名義人から不動産所有権を取得したと主張するとき、登記の推定力を援用しうるかが問題となった。
判旨:「一般の場合には、登記簿上の不動産所有名義人は反証のない限りその不動産を所有するものと推定すべきである(昭和33年(オ)第214号同34年1月18日第一小法廷判決、民集13巻1頁)けれども、登記簿上の不動産の直接の前所有名義人が現所有名義人に対し当該所有権の移転を争う場合においては右の推定をなすべき限りでなく、現所有名義人が前所有名義人から所有権を取得したことを立証すべき責任を有するものと解するのが相当である。」
判旨:「一般の場合には、登記簿上の不動産所有名義人は反証のない限りその不動産を所有するものと推定すべきである(昭和33年(オ)第214号同34年1月18日第一小法廷判決、民集13巻1頁)けれども、登記簿上の不動産の直接の前所有名義人が現所有名義人に対し当該所有権の移転を争う場合においては右の推定をなすべき限りでなく、現所有名義人が前所有名義人から所有権を取得したことを立証すべき責任を有するものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H20 司法 第10問 エ)
甲土地を所有するAが甲土地を占有するBに対し所有権に基づき甲土地の明渡しを請求する訴訟において、Bは、甲土地について地上権設定登記を受けた事実を主張立証した場合においても、それにより適法に地上権の設定があったことは推定されず、請求棄却の判決を得ることができない。
甲土地を所有するAが甲土地を占有するBに対し所有権に基づき甲土地の明渡しを請求する訴訟において、Bは、甲土地について地上権設定登記を受けた事実を主張立証した場合においても、それにより適法に地上権の設定があったことは推定されず、請求棄却の判決を得ることができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭38.10.15)は、「一般の場合には、登記簿上の不動産所有名義人は反証のない限りその不動産を所有するものと推定すべきである…けれども、登記簿上の不動産の直接の前所有名義人が現所有名義人に対し当該所有権の移転を争う場合においては右推定をなすべき限りでなく、現所有名義人が前所有名義人から所有権を取得したことを立証すべき責任を有する者と解するのが相当である。」と判示している。この判例の理解は、土地所有者から地上権の設定を受けてその旨の登記を受けた地上権者にも妥当すると解される。したがって、Bは、甲土地について地上権設定登記を受けた事実を主張立証した場合においても、それにより適法に地上権の設定があったことは推定されず、請求棄却の判決を得ることができない。
判例(最判昭38.10.15)は、「一般の場合には、登記簿上の不動産所有名義人は反証のない限りその不動産を所有するものと推定すべきである…けれども、登記簿上の不動産の直接の前所有名義人が現所有名義人に対し当該所有権の移転を争う場合においては右推定をなすべき限りでなく、現所有名義人が前所有名義人から所有権を取得したことを立証すべき責任を有する者と解するのが相当である。」と判示している。この判例の理解は、土地所有者から地上権の設定を受けてその旨の登記を受けた地上権者にも妥当すると解される。したがって、Bは、甲土地について地上権設定登記を受けた事実を主張立証した場合においても、それにより適法に地上権の設定があったことは推定されず、請求棄却の判決を得ることができない。
総合メモ
物権変動の対抗要件としての明認方法 最一小判昭和36年5月4日
概要
立木に関する物権変動につき明認方法を備えた場合においても、その後第三者が当該立木について利害関係を取得した際に、当該明認方法が消失その他の事情で公示としての働きをなさなくなっているとすれば、当該立木に関する物権変動につき当該第三者に対抗することができない。
判例
事案:立木に関する物権変動につき明認方法を備えた場合において、その後第三者が当該立木について利害関係を取得した際に、当該明認方法が消失その他の事情で公示としての働きをなさなくなっている事情があっても、当該立木に関する物権変動につき当該第三者に対抗することができるかが問題となった。
判旨:「明認方法は、立木に関する法律の適用を受けない立木の物権変動の公示方法として是認されているものであるから、それは、登記に代るものとして第三者が容易に所有権を認識することができる手段で、しかも、第三者が利害関係を取得する当時にもそれだけの効果をもつて存在するものでなければならず、従つて、たとい権利の変動の際一旦明認方法が行われたとしても問題の生じた当時消失その他の事由で右にいう公示として働きをなさなくなつているとすれば明認方法ありとして当該第三者に対抗できないものといわなければならない…。」
判旨:「明認方法は、立木に関する法律の適用を受けない立木の物権変動の公示方法として是認されているものであるから、それは、登記に代るものとして第三者が容易に所有権を認識することができる手段で、しかも、第三者が利害関係を取得する当時にもそれだけの効果をもつて存在するものでなければならず、従つて、たとい権利の変動の際一旦明認方法が行われたとしても問題の生じた当時消失その他の事由で右にいう公示として働きをなさなくなつているとすれば明認方法ありとして当該第三者に対抗できないものといわなければならない…。」
過去問・解説
(H18 司法 第9問 4)
物権法定主義の要請により、法律に規定された登記や引渡し以外には、物権変動の対抗要件は認められない。
物権法定主義の要請により、法律に規定された登記や引渡し以外には、物権変動の対抗要件は認められない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭36.5.4)は、「明認方法は、立木に関する法律の適用を受けない立木の物権変動の公示方法として是認されているものである」と判示し、法律に規定されていない明認方法についても物権変動の対抗要件を認めている。
判例(最判昭36.5.4)は、「明認方法は、立木に関する法律の適用を受けない立木の物権変動の公示方法として是認されているものである」と判示し、法律に規定されていない明認方法についても物権変動の対抗要件を認めている。
(R6 司法 第8問 ウ)
Aが所有する甲土地の上にAが植栽した乙立木がある。乙立木について立木ニ関スル法律による所有権保存登記はされていない。
AがDに乙立木のみを売却し、乙立木についてDが明認方法を施したときは、Dは、その明認方法が消失した後にAから乙立木を買い受けた第三者Eに対しても、乙立木の所有権の取得を対抗することができる。
Aが所有する甲土地の上にAが植栽した乙立木がある。乙立木について立木ニ関スル法律による所有権保存登記はされていない。
AがDに乙立木のみを売却し、乙立木についてDが明認方法を施したときは、Dは、その明認方法が消失した後にAから乙立木を買い受けた第三者Eに対しても、乙立木の所有権の取得を対抗することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭36.5.4)は、「たとい権利の変動の際一旦明認方法が行われたとしても問題の生じた当時消失その他の事由で右にいう公示として働きをなさなくなつているとすれば明認方法ありとして当該第三者に対抗できないものといわなければならない…。」と判示している。したがって、AがDに乙立木のみを売却し、乙立木についてDが明認方法を施したとしても、Dは、その明認方法が消失した後にAから乙立木を買い受けた第三者Eに対しては、乙立木の所有権の取得を対抗することができない。
判例(最判昭36.5.4)は、「たとい権利の変動の際一旦明認方法が行われたとしても問題の生じた当時消失その他の事由で右にいう公示として働きをなさなくなつているとすれば明認方法ありとして当該第三者に対抗できないものといわなければならない…。」と判示している。したがって、AがDに乙立木のみを売却し、乙立木についてDが明認方法を施したとしても、Dは、その明認方法が消失した後にAから乙立木を買い受けた第三者Eに対しては、乙立木の所有権の取得を対抗することができない。
総合メモ
178条「引渡し」に指図による占有移転は含まれるか 大判昭和9年6月2日
概要
指図による占有移転(184条)は、178条の「引渡し」に含まれる。
判例
事案:178条の「引き渡し」には、指図による占有移転(184条)が含まれるかが問題となった。
判旨:「不動産質権者ハ設定行為ニ別段ノ定ナキ限リ質権ノ目的タル不動産ヲ其ノ用方ニ従ヒ使用及収益ヲ為スノ権能ヲ有スルモノナルカ故ニ他人ニ賃貸シテ其ノ賃金ヲ収ムルコトモ亦之ヲ為シ得ルモノト謂ハサルヘカラス然リ而シテ質権ノ目的タル不動産カ質権設定以前既ニ他人ニ賃貸シアル場合ニ於テハ質権設定者タル賃貸人カ賃借人ニ対シテ爾後質権者ノ為ニ該不動産ヲ占有スヘキ旨ヲ命シ賃借人之ヲ承諾スルコトニ依リ並ニ質権ハ適法ニ設定セラルヘク且反対ノ事情ナキ限リ爾後賃貸借ハ質権者ノ間ニ其ノ効力ヲ生シ質権者ニ於テ其ノ賃金ヲ収取スル権利ヲ取得スルモノト解スヘキモノトス。」
判旨:「不動産質権者ハ設定行為ニ別段ノ定ナキ限リ質権ノ目的タル不動産ヲ其ノ用方ニ従ヒ使用及収益ヲ為スノ権能ヲ有スルモノナルカ故ニ他人ニ賃貸シテ其ノ賃金ヲ収ムルコトモ亦之ヲ為シ得ルモノト謂ハサルヘカラス然リ而シテ質権ノ目的タル不動産カ質権設定以前既ニ他人ニ賃貸シアル場合ニ於テハ質権設定者タル賃貸人カ賃借人ニ対シテ爾後質権者ノ為ニ該不動産ヲ占有スヘキ旨ヲ命シ賃借人之ヲ承諾スルコトニ依リ並ニ質権ハ適法ニ設定セラルヘク且反対ノ事情ナキ限リ爾後賃貸借ハ質権者ノ間ニ其ノ効力ヲ生シ質権者ニ於テ其ノ賃金ヲ収取スル権利ヲ取得スルモノト解スヘキモノトス。」
過去問・解説
(H19 司法 第9問 2)
動産の寄託者がこれを譲渡した場合において、寄託者が受寄者に対し以後譲受人のためにその動産を占有することを命じ、譲受人がこれを承諾したときは、譲受人は、その所有権の取得を第三者に対抗することができる。
動産の寄託者がこれを譲渡した場合において、寄託者が受寄者に対し以後譲受人のためにその動産を占有することを命じ、譲受人がこれを承諾したときは、譲受人は、その所有権の取得を第三者に対抗することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(大判昭9.6.2)は、指図による占有移転(184条)は、178条の「引渡し」に含まれる旨判示している。動産の寄託者がこれを譲渡した場合において、寄託者が受寄者に対し以後譲受人のためにその動産を占有することを命じ、譲受人がこれを承諾することは、指図による占有移転に当たる。したがって、当該譲受人は178条の「引渡し」を受けているといえ、その所有権の取得を第三者に対抗することができる。
判例(大判昭9.6.2)は、指図による占有移転(184条)は、178条の「引渡し」に含まれる旨判示している。動産の寄託者がこれを譲渡した場合において、寄託者が受寄者に対し以後譲受人のためにその動産を占有することを命じ、譲受人がこれを承諾することは、指図による占有移転に当たる。したがって、当該譲受人は178条の「引渡し」を受けているといえ、その所有権の取得を第三者に対抗することができる。
総合メモ
譲渡担保権と占有改定 最一小判昭和30年6月2日
概要
動産を目的とする譲渡担保契約において、占有改定の方法により当該動産の引渡がされた場合、譲渡担保権者は当該動産に対する占有権を取得し、当該動産の引渡しを受けたことにより、その所有権の取得をもって第三者に対抗することができる。
判例
事案:動産を目的とする譲渡担保契約において、占有改定の方法によりその動産の引渡しがされた場合において、譲渡担保権者は当該動産に対する占有権を取得し、当該動産の引渡しを受けたことにより、その所有権の取得をもって第三者に対抗することができるかが問題となった。
判旨:「売渡担保契約がなされ債務者が引き続き担保物件を占有している場合には、債務者は占有の改定により爾後債権者のために占有するものであり、従つて債権者はこれによつて占有権を取得するものである…。果して然らば、…Aは…売渡担保契約により本件物件につき所有権と共に間接占有権を取得しその引渡を受けたことによりその所有権の取得を以て第三者であるBに対抗することができるようになつたものといわなければならない。」
判旨:「売渡担保契約がなされ債務者が引き続き担保物件を占有している場合には、債務者は占有の改定により爾後債権者のために占有するものであり、従つて債権者はこれによつて占有権を取得するものである…。果して然らば、…Aは…売渡担保契約により本件物件につき所有権と共に間接占有権を取得しその引渡を受けたことによりその所有権の取得を以て第三者であるBに対抗することができるようになつたものといわなければならない。」
過去問・解説
(H29 司法 第14問 イ)
動産を目的とする質権は占有改定の方法によるその動産の引渡しによっては効力を生じないが、動産を目的とする譲渡担保権はその設定契約によって設定され、占有改定の方法によるその動産の引渡しがあれば、譲渡担保権者は第三者に譲渡担保権を対抗することができる。
動産を目的とする質権は占有改定の方法によるその動産の引渡しによっては効力を生じないが、動産を目的とする譲渡担保権はその設定契約によって設定され、占有改定の方法によるその動産の引渡しがあれば、譲渡担保権者は第三者に譲渡担保権を対抗することができる。
(正答)〇
(解説)
345条は、動産を目的とする質権について、「質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物の占有をさせることができない」と規定しており、代理占有を認めていない。そのため、占有改定は344条のいう「引き渡」しに当たらず、動産を目的とする質権は占有改定の方法によるその動産の引渡しによっては効力を生じない。したがって、本肢前段は正しい。
また、判例(最判昭30.6.2)は、「売渡担保契約がなされ債務者が引き続き担保物件を占有している場合には、債務者は占有の改定により爾後債権者のために占有するものであり、従つて債権者はこれによつて占有権を取得するものである…。果して然らば、…Aは…売渡担保契約により本件物件につき所有権と共に間接占有権を取得しその引渡を受けたことによりその所有権の取得を以て第三者であるBに対抗することができるようになつたものといわなければならない。」と判示している。したがって、動産を目的とする譲渡担保権はその設定契約によって設定され、占有改定の方法によるその動産の引渡しがあれば、譲渡担保権者は第三者に譲渡担保権を対抗することができる。よって、本肢後段も正しい。
345条は、動産を目的とする質権について、「質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物の占有をさせることができない」と規定しており、代理占有を認めていない。そのため、占有改定は344条のいう「引き渡」しに当たらず、動産を目的とする質権は占有改定の方法によるその動産の引渡しによっては効力を生じない。したがって、本肢前段は正しい。
また、判例(最判昭30.6.2)は、「売渡担保契約がなされ債務者が引き続き担保物件を占有している場合には、債務者は占有の改定により爾後債権者のために占有するものであり、従つて債権者はこれによつて占有権を取得するものである…。果して然らば、…Aは…売渡担保契約により本件物件につき所有権と共に間接占有権を取得しその引渡を受けたことによりその所有権の取得を以て第三者であるBに対抗することができるようになつたものといわなければならない。」と判示している。したがって、動産を目的とする譲渡担保権はその設定契約によって設定され、占有改定の方法によるその動産の引渡しがあれば、譲渡担保権者は第三者に譲渡担保権を対抗することができる。よって、本肢後段も正しい。
総合メモ
譲渡担保権者の債権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を差し押さえた場合において設定者が第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることの可否 最二小判平成18年10月20日
概要
不動産を目的とする譲渡担保において、被担保債権の弁済期前に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえた場合は、少なくとも、設定者が弁済期までに債務の全額を弁済して目的不動産を受け戻したときは、設定者は、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることができるが、被担保債権の弁済期後に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、設定者は、差押登記後に債務の全額を弁済しても、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることはできない。
判例
事案:譲渡担保権者の債権者が、被担保債権の弁済期後に目的不動産を差し押さえた場合において、設定者が、差し押さえ登記後に債務の全額を弁済して、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることができるか問題となった。
判旨:「不動産を目的とする譲渡担保において、被担保債権の弁済期後に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、設定者は、差押登記後に債務の全額を弁済しても、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることはできないと解するのが相当である。なぜなら、設定者が債務の履行を遅滞したときは、譲渡担保権者は目的不動産を処分する権能を取得するから(最高裁昭和55年(オ)第153号同57年1月22日第二小法廷判決・民集36巻1号92頁参照)、被担保債権の弁済期後は、設定者としては、目的不動産が換価処分されることを受忍すべき立場にあるというべきところ、譲渡担保権者の債権者による目的不動産の強制競売による換価も、譲渡担保権者による換価処分と同様に受忍すべきものということができるのであって、目的不動産を差し押さえた譲渡担保権者の債権者との関係では、差押え後の受戻権行使による目的不動産の所有権の回復を主張することができなくてもやむを得ないというべきだからである。上記と異なり、被担保債権の弁済期前に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえた場合は、少なくとも、設定者が弁済期までに債務の全額を弁済して目的不動産を受け戻したときは、設定者は、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることができると解するのが相当である。なぜなら、弁済期前においては、譲渡担保権者は、債権担保の目的を達するのに必要な範囲内で目的不動産の所有権を有するにすぎず、目的不動産を処分する権能を有しないから、このような差押えによって設定者による受戻権の行使が制限されると解すべき理由はないからである。」
判旨:「不動産を目的とする譲渡担保において、被担保債権の弁済期後に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、設定者は、差押登記後に債務の全額を弁済しても、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることはできないと解するのが相当である。なぜなら、設定者が債務の履行を遅滞したときは、譲渡担保権者は目的不動産を処分する権能を取得するから(最高裁昭和55年(オ)第153号同57年1月22日第二小法廷判決・民集36巻1号92頁参照)、被担保債権の弁済期後は、設定者としては、目的不動産が換価処分されることを受忍すべき立場にあるというべきところ、譲渡担保権者の債権者による目的不動産の強制競売による換価も、譲渡担保権者による換価処分と同様に受忍すべきものということができるのであって、目的不動産を差し押さえた譲渡担保権者の債権者との関係では、差押え後の受戻権行使による目的不動産の所有権の回復を主張することができなくてもやむを得ないというべきだからである。上記と異なり、被担保債権の弁済期前に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえた場合は、少なくとも、設定者が弁済期までに債務の全額を弁済して目的不動産を受け戻したときは、設定者は、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることができると解するのが相当である。なぜなら、弁済期前においては、譲渡担保権者は、債権担保の目的を達するのに必要な範囲内で目的不動産の所有権を有するにすぎず、目的不動産を処分する権能を有しないから、このような差押えによって設定者による受戻権の行使が制限されると解すべき理由はないからである。」
過去問・解説
(R1 司法 第16問 エ)
譲渡担保の被担保債権の弁済期後に目的不動産が譲渡担保権者の債権者によって差し押さえられ、その旨の登記がされた場合、債務者は、その後に被担保債権に係る債務の全額を弁済しても、差押債権者に対し、目的不動産の所有権を主張することができない。
譲渡担保の被担保債権の弁済期後に目的不動産が譲渡担保権者の債権者によって差し押さえられ、その旨の登記がされた場合、債務者は、その後に被担保債権に係る債務の全額を弁済しても、差押債権者に対し、目的不動産の所有権を主張することができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平18.10.20)は、「不動産を目的とする譲渡担保において、被担保債権の弁済期後に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、設定者は、差押登記後に債務の全額を弁済しても、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることはできないと解するのが相当である。」と判示している。
判例(最判平18.10.20)は、「不動産を目的とする譲渡担保において、被担保債権の弁済期後に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、設定者は、差押登記後に債務の全額を弁済しても、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることはできないと解するのが相当である。」と判示している。
(R5 共通 第16問 イ)
被担保債権について不履行があった後、譲渡担保権者の債権者が目的物を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、設定者は、その後に被担保債権を弁済しても、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることができない。
被担保債権について不履行があった後、譲渡担保権者の債権者が目的物を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、設定者は、その後に被担保債権を弁済しても、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平18.10.20)は、「不動産を目的とする譲渡担保において、被担保債権の弁済期後に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、設定者は、差押登記後に債務の全額を弁済しても、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることはできないと解するのが相当である。」と判示している。
判例(最判平18.10.20)は、「不動産を目的とする譲渡担保において、被担保債権の弁済期後に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、設定者は、差押登記後に債務の全額を弁済しても、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることはできないと解するのが相当である。」と判示している。
総合メモ
動産の購入代金の立替払いと所有権留保 最三小判平成21年3月10日
概要
動産の購入代金を立替払した者が、立替金債務の担保として当該動産の所有権を留保する場合において、買主との契約上、期限の利益喪失による残債務全額の弁済期の到来前は当該動産を占有、使用する権原を有さず、その経過後は買主から当該動産の引渡しを受け、これを売却してその代金を残債務の弁済に充当することができるとされているときは、所有権を留保した者は、第三者の土地上に存在してその土地所有権の行使を妨害している当該動産について、上記弁済期が到来するまでは、特段の事情がない限り、撤去義務や不法行為責任を負うことはないが、留保された所有権が担保権の性質を有するからといって、上記弁済期が経過した後は、撤去義務や不法行為責任を免れない。
判例
事案:動産の購入代金を立替払し立替金債務の担保として当該動産の所有権を留保している者がある場合において、当該留保所有権者が、第三者の土地上にあり、土地の所有権の行使を妨害している当該動産について、撤去義務や不法行為責任を負うかが問題となった。
判旨:「本件立替払契約によれば、Xが本件車両の代金を立替払することによって 取得する本件車両の所有権は、本件立替金債務が完済されるまで同債務の担保としてXに留保されているところ、Xは、Yが本件立替金債務について期限の利益を喪失しない限り、本件車両を占有、使用する権原を有しないが、Yが期限の利益を喪失して残債務全額の弁済期が経過したときは、Yから本件車両の引渡しを受け、これを売却してその代金を残債務の弁済に充当することができることになる。
動産の購入代金を立替払する者が立替金債務が完済されるまで同債務の担保として当該動産の所有権を留保する場合において、所有権を留保した者(以下、「留保所有権者」といい、留保所有権者の有する所有権を「留保所有権」という。)の有する権原が、期限の利益喪失による残債務全額の弁済期(以下「残債務弁済期」という。)の到来の前後で上記のように異なるときは、留保所有権者は、残債務弁済期が到来するまでは、当該動産が第三者の土地上に存在して第三者の土地所有権の行使を妨害しているとしても、特段の事情がない限り、当該動産の撤去義務や不法行為責任を負うことはないが、残債務弁済期が経過した後は、留保所有権が担保権の性質を有するからといって上記撤去義務や不法行為責任を免れることはないと解するのが相当である。なぜなら、上記のような留保所有権者が有する留保所有権は、原則として、残債務弁済期が到来するまでは、当該動産の交換価値を把握するにとどまるが、残債務弁済期の経過後は、当該動産を占有し、処分することができる権能を有するものと解されるからである。もっとも、残債務弁済期の経過後であっても、留保所有権者は、原則として、当該動産が第三者の土地所有権の行使を妨害している事実を知らなければ不法行為責任を問われることはなく、上記妨害の事実を告げられるなどしてこれを知ったときに不法行為責任を負うと解するのが相当である。」
判旨:「本件立替払契約によれば、Xが本件車両の代金を立替払することによって 取得する本件車両の所有権は、本件立替金債務が完済されるまで同債務の担保としてXに留保されているところ、Xは、Yが本件立替金債務について期限の利益を喪失しない限り、本件車両を占有、使用する権原を有しないが、Yが期限の利益を喪失して残債務全額の弁済期が経過したときは、Yから本件車両の引渡しを受け、これを売却してその代金を残債務の弁済に充当することができることになる。
動産の購入代金を立替払する者が立替金債務が完済されるまで同債務の担保として当該動産の所有権を留保する場合において、所有権を留保した者(以下、「留保所有権者」といい、留保所有権者の有する所有権を「留保所有権」という。)の有する権原が、期限の利益喪失による残債務全額の弁済期(以下「残債務弁済期」という。)の到来の前後で上記のように異なるときは、留保所有権者は、残債務弁済期が到来するまでは、当該動産が第三者の土地上に存在して第三者の土地所有権の行使を妨害しているとしても、特段の事情がない限り、当該動産の撤去義務や不法行為責任を負うことはないが、残債務弁済期が経過した後は、留保所有権が担保権の性質を有するからといって上記撤去義務や不法行為責任を免れることはないと解するのが相当である。なぜなら、上記のような留保所有権者が有する留保所有権は、原則として、残債務弁済期が到来するまでは、当該動産の交換価値を把握するにとどまるが、残債務弁済期の経過後は、当該動産を占有し、処分することができる権能を有するものと解されるからである。もっとも、残債務弁済期の経過後であっても、留保所有権者は、原則として、当該動産が第三者の土地所有権の行使を妨害している事実を知らなければ不法行為責任を問われることはなく、上記妨害の事実を告げられるなどしてこれを知ったときに不法行為責任を負うと解するのが相当である。」
過去問・解説
(R4 司法 第12問 オ)
Aは、Bに対し、自己が所有する工作機械甲を売り、甲を引き渡した。この場合において、AB間の売買契約に所有権留保特約(代金債権を担保する目的でされた、甲の所有権は代金完済時に移転する旨の特約)が付されていた場合、Bが代金の支払を遅滞し、期限の利益を喪失した状態で、甲をC所有の土地に無断で放置したとしても、Cは、Aに対して甲の撤去を請求することができない。
Aは、Bに対し、自己が所有する工作機械甲を売り、甲を引き渡した。この場合において、AB間の売買契約に所有権留保特約(代金債権を担保する目的でされた、甲の所有権は代金完済時に移転する旨の特約)が付されていた場合、Bが代金の支払を遅滞し、期限の利益を喪失した状態で、甲をC所有の土地に無断で放置したとしても、Cは、Aに対して甲の撤去を請求することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平21.3.10)は、動産の購入代金を立替払した者が、立替金債務の担保として当該動産の所有権を留保する場合において、買主との契約上、期限の利益喪失による残債務全額の弁済期の到来前は当該動産を占有、使用する権原を有さず、その経過後は買主から当該動産の引渡しを受け、これを売却してその代金を残債務の弁済に充当することができるとされているときは、所有権を留保した者は、第三者の土地上に存在してその土地所有権の行使を妨害している当該動産について、上記弁済期が到来するまでは、特段の事情がない限り、撤去義務や不法行為責任を負うことはないが、留保された所有権が担保権の性質を有するからといって、上記弁済期が経過した後は、撤去義務や不法行為責任を免れない旨判示している。したがって、Bが代金の支払を遅滞し、期限の利益を喪失した状態で、甲をC所有の土地に無断で放置した場合には、Cは、甲の所有権を留保したAに対して甲の撤去を請求することができる。
判例(最判平21.3.10)は、動産の購入代金を立替払した者が、立替金債務の担保として当該動産の所有権を留保する場合において、買主との契約上、期限の利益喪失による残債務全額の弁済期の到来前は当該動産を占有、使用する権原を有さず、その経過後は買主から当該動産の引渡しを受け、これを売却してその代金を残債務の弁済に充当することができるとされているときは、所有権を留保した者は、第三者の土地上に存在してその土地所有権の行使を妨害している当該動産について、上記弁済期が到来するまでは、特段の事情がない限り、撤去義務や不法行為責任を負うことはないが、留保された所有権が担保権の性質を有するからといって、上記弁済期が経過した後は、撤去義務や不法行為責任を免れない旨判示している。したがって、Bが代金の支払を遅滞し、期限の利益を喪失した状態で、甲をC所有の土地に無断で放置した場合には、Cは、甲の所有権を留保したAに対して甲の撤去を請求することができる。
総合メモ
集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の効力と目的動産の滅失 最一小判平成22年12月2日
概要
集合物譲渡担保権は目的動産の価値を担保するためのものであるから、その効力は、譲渡担保の目的である集合動産を構成するに至った動産が滅失した場合にその損害をてん補するために譲渡担保権設定者に対して支払われる損害保険金に係る請求権にも及ぶが、集合物譲渡担保は営業の継続を前提とするから、譲渡担保権設定者が通常の営業を継続している場合には、当該請求権に対して直ちに物上代位権を行使することができる旨が合意されているなどの特段の事情がない限り、譲渡担保権者が当該請求権に対して物上代位権を行使することは許されない。
判例
事案:集合物譲渡担保権が設定されている場合において、その目的物が滅失したとき、当該譲渡担保権の効力が損害填補のための損害保険金請求権にも及ぶか問題となった。
判旨:「構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権は、譲渡担保権者において譲渡担保の目的である集合動産を構成するに至った動産(以下「目的動産」という。)の価値を担保として把握するものであるから、その効力は、目的動産が滅失した場合にその損害をてん補するために譲渡担保権設定者に対して支払われる損害保険金に係る請求権に及ぶと解するのが相当である。もっとも、構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保契約は、譲渡担保権設定者が目的動産を販売して営業を継続することを前提とするものであるから、譲渡担保権設定者が通常の営業を継続している場合には、目的動産の滅失により上記請求権が発生したとしても、これに対して直ちに物上代位権を行使することができる旨が合意されているなどの特段の事情がない限り、譲渡担保権者が当該請求権に対して物上代位権を行使することは許されないというべきである。」
判旨:「構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権は、譲渡担保権者において譲渡担保の目的である集合動産を構成するに至った動産(以下「目的動産」という。)の価値を担保として把握するものであるから、その効力は、目的動産が滅失した場合にその損害をてん補するために譲渡担保権設定者に対して支払われる損害保険金に係る請求権に及ぶと解するのが相当である。もっとも、構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保契約は、譲渡担保権設定者が目的動産を販売して営業を継続することを前提とするものであるから、譲渡担保権設定者が通常の営業を継続している場合には、目的動産の滅失により上記請求権が発生したとしても、これに対して直ちに物上代位権を行使することができる旨が合意されているなどの特段の事情がない限り、譲渡担保権者が当該請求権に対して物上代位権を行使することは許されないというべきである。」
過去問・解説
(H27 司法 第14問 オ)
集合動産の譲渡担保権者は、その譲渡担保権の設定者が通常の営業を継続している場合であっても、その目的とされた動産が滅失したときは、その損害をてん補するために設定者に支払われる損害保険金の請求権に対して物上代位権を行使することができる。
集合動産の譲渡担保権者は、その譲渡担保権の設定者が通常の営業を継続している場合であっても、その目的とされた動産が滅失したときは、その損害をてん補するために設定者に支払われる損害保険金の請求権に対して物上代位権を行使することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平22.12.2)は、「構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権は、譲渡担保権者において譲渡担保の目的である集合動産を構成するに至った動産(以下「目的動産」という。)の価値を担保として把握するものであるから、その効力は、目的動産が滅失した場合にその損害をてん補するために譲渡担保権設定者に対して支払われる損害保険金に係る請求権に及ぶと解するのが相当である。もっとも、構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保契約は、譲渡担保権設定者が目的動産を販売して営業を継続することを前提とするものであるから、譲渡担保権設定者が通常の営業を継続している場合には、目的動産の滅失により上記請求権が発生したとしても、これに対して直ちに物上代位権を行使することができる旨が合意されているなどの特段の事情がない限り、譲渡担保権者が当該請求権に対して物上代位権を行使することは許されないというべきである。」と判示している。
判例(最判平22.12.2)は、「構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権は、譲渡担保権者において譲渡担保の目的である集合動産を構成するに至った動産(以下「目的動産」という。)の価値を担保として把握するものであるから、その効力は、目的動産が滅失した場合にその損害をてん補するために譲渡担保権設定者に対して支払われる損害保険金に係る請求権に及ぶと解するのが相当である。もっとも、構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保契約は、譲渡担保権設定者が目的動産を販売して営業を継続することを前提とするものであるから、譲渡担保権設定者が通常の営業を継続している場合には、目的動産の滅失により上記請求権が発生したとしても、これに対して直ちに物上代位権を行使することができる旨が合意されているなどの特段の事情がない限り、譲渡担保権者が当該請求権に対して物上代位権を行使することは許されないというべきである。」と判示している。
(R2 共通 第14問 ウ)
債務者Aが所有する構成部分の変動する在庫商品に債権者Bのために譲渡担保権が設定された後、商品が滅失し、その損害をてん補するための損害保険金請求権をAが取得したときは、Aが営業を継続しているか否かにかかわらず、Bは、当該保険金請求権に対して物上代位権を行使することができる。
債務者Aが所有する構成部分の変動する在庫商品に債権者Bのために譲渡担保権が設定された後、商品が滅失し、その損害をてん補するための損害保険金請求権をAが取得したときは、Aが営業を継続しているか否かにかかわらず、Bは、当該保険金請求権に対して物上代位権を行使することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平22.12.2)は、「構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権は、譲渡担保権者において譲渡担保の目的である集合動産を構成するに至った動産(以下「目的動産」という。)の価値を担保として把握するものであるから、その効力は、目的動産が滅失した場合にその損害をてん補するために譲渡担保権設定者に対して支払われる損害保険金に係る請求権に及ぶと解するのが相当である。もっとも、構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保契約は、譲渡担保権設定者が目的動産を販売して営業を継続することを前提とするものであるから、譲渡担保権設定者が通常の営業を継続している場合には、目的動産の滅失により上記請求権が発生したとしても、これに対して直ちに物上代位権を行使することができる旨が合意されているなどの特段の事情がない限り、譲渡担保権者が当該請求権に対して物上代位権を行使することは許されないというべきである。」と判示している。
債務者Aが所有する構成部分の変動する在庫商品に債権者Bのために譲渡担保権が設定された後、商品が滅失し、その損害をてん補するための損害保険金請求権をAが取得したとき、Aが営業を継続している場合には、当該保険金請求権に対して直ちに物上代位権を行使することができる旨が合意されているなどの特段の事情がない本肢においては、Bは、当該保険金請求権に対して物上代位権を行使することができない。したがって、Aが営業を継続しているか否かにかかわらず、Bは、当該保険金請求権に対して物上代位権を行使することができるとはいえない。
判例(最判平22.12.2)は、「構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権は、譲渡担保権者において譲渡担保の目的である集合動産を構成するに至った動産(以下「目的動産」という。)の価値を担保として把握するものであるから、その効力は、目的動産が滅失した場合にその損害をてん補するために譲渡担保権設定者に対して支払われる損害保険金に係る請求権に及ぶと解するのが相当である。もっとも、構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保契約は、譲渡担保権設定者が目的動産を販売して営業を継続することを前提とするものであるから、譲渡担保権設定者が通常の営業を継続している場合には、目的動産の滅失により上記請求権が発生したとしても、これに対して直ちに物上代位権を行使することができる旨が合意されているなどの特段の事情がない限り、譲渡担保権者が当該請求権に対して物上代位権を行使することは許されないというべきである。」と判示している。
債務者Aが所有する構成部分の変動する在庫商品に債権者Bのために譲渡担保権が設定された後、商品が滅失し、その損害をてん補するための損害保険金請求権をAが取得したとき、Aが営業を継続している場合には、当該保険金請求権に対して直ちに物上代位権を行使することができる旨が合意されているなどの特段の事情がない本肢においては、Bは、当該保険金請求権に対して物上代位権を行使することができない。したがって、Aが営業を継続しているか否かにかかわらず、Bは、当該保険金請求権に対して物上代位権を行使することができるとはいえない。
総合メモ
売買代金の支払いと譲渡担保権の設定 最二小判平成30年12月7日
概要
所有権留保特約付きの売買契約の目的物に、当該売買契約の買主が譲渡担保権を設定した場合において、所有権留保特約付きの売買契約の買主が売買代金を完済しない間は、未だ売主のもとに目的物の所有権があるため、譲渡担保権者は当該売主に対して譲渡担保権を主張できない旨判示している。
判例
事案:継続的な売買契約において目的物の所有権が売買代金の完済まで売主に留保される旨が定められた場合において、買主が保管する目的物を含む在庫製品等につき集合動産譲渡担保権の設定を受けた者が、売買代金が完済されていない目的物について、上記売主に対して上記譲渡担保権を主張できるかが問題となった。
判旨:「本件売買契約は、金属スクラップ等を反復継続して売却するものであり、本件条項は、その売買代金の支払を確保するために、目的物の所有権がその完済をもってAからBに移転し、その完済まではAに留保される旨を定めたものである。
本件売買契約では、毎月21日から翌月20日までを1つの期間として、期間ごとに納品された金属スクラップ等の売買代金の額が算定され、1つの期間に納品された金属スクラップ等の所有権は、上記の方法で額が算定された当該期間の売買代金の完済までAに留保されることが定められ、これと異なる期間の売買代金の支払を確保するためにAに留保されるものではない。上記のような定めは、売買代金の額が期間ごとに算定される継続的な動産の売買契約において、目的物の引渡しからその完済までの間、その支払を確保する手段を売主に与えるものであって、その限度で目的物の所有権を留保するものである。
また、Aは、Bに対して金属スクラップ等の転売を包括的に承諾していたが、これは、AがBに本件売買契約の売買代金を支払うための資金を確保させる趣旨であると解され、このことをもって上記金属スクラップ等の所有権がBに移転したとみることはできない。
以上によれば、本件動産の所有権は、本件条項の定めどおり、その売買代金が完済されるまでAからBに移転しないものと解するのが相当である。したがって、本件動産につき、Cは、Aに対して本件譲渡担保権を主張することができない。」
判旨:「本件売買契約は、金属スクラップ等を反復継続して売却するものであり、本件条項は、その売買代金の支払を確保するために、目的物の所有権がその完済をもってAからBに移転し、その完済まではAに留保される旨を定めたものである。
本件売買契約では、毎月21日から翌月20日までを1つの期間として、期間ごとに納品された金属スクラップ等の売買代金の額が算定され、1つの期間に納品された金属スクラップ等の所有権は、上記の方法で額が算定された当該期間の売買代金の完済までAに留保されることが定められ、これと異なる期間の売買代金の支払を確保するためにAに留保されるものではない。上記のような定めは、売買代金の額が期間ごとに算定される継続的な動産の売買契約において、目的物の引渡しからその完済までの間、その支払を確保する手段を売主に与えるものであって、その限度で目的物の所有権を留保するものである。
また、Aは、Bに対して金属スクラップ等の転売を包括的に承諾していたが、これは、AがBに本件売買契約の売買代金を支払うための資金を確保させる趣旨であると解され、このことをもって上記金属スクラップ等の所有権がBに移転したとみることはできない。
以上によれば、本件動産の所有権は、本件条項の定めどおり、その売買代金が完済されるまでAからBに移転しないものと解するのが相当である。したがって、本件動産につき、Cは、Aに対して本件譲渡担保権を主張することができない。」
過去問・解説
(R4 司法 第12問 エ)
Aは、Bに対し、自己が所有する工作機械甲を売り、甲を引き渡した。AB間の売買契約に所有権留保特約(代金債権を担保する目的でされた、甲の所有権は代金完済時に移転する旨の特約)が付されていた場合、Bが代金完済前にCから金銭を借り入れて甲に譲渡担保権を設定し、占有改定により甲の占有をCに移転したときは、その後Bが代金の支払を怠ったとしても、Aは、甲を処分して残代金の回収をすることはできない。
Aは、Bに対し、自己が所有する工作機械甲を売り、甲を引き渡した。AB間の売買契約に所有権留保特約(代金債権を担保する目的でされた、甲の所有権は代金完済時に移転する旨の特約)が付されていた場合、Bが代金完済前にCから金銭を借り入れて甲に譲渡担保権を設定し、占有改定により甲の占有をCに移転したときは、その後Bが代金の支払を怠ったとしても、Aは、甲を処分して残代金の回収をすることはできない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平30.12.7)は、所有権留保特約付きの売買契約の目的物に、当該売買契約の買主が譲渡担保権を設定した場合において、所有権留保特約付きの売買契約の買主が売買代金を完済しない間は、未だ売主のもとに目的物の所有権があるため、譲渡担保権者は当該売主に対して譲渡担保権を主張できない旨判示している。Bが代金完済前にCから金銭を借り入れて甲に譲渡担保権を設定し、占有改定により甲の占有をCに移転したときであっても、その後Bが甲の代金の支払いを怠ったのであれば、甲の所有権は未だ所有権留保権者たるAのもとにあるから、Aは、甲を処分して残代金の回収をすることができる。
判例(最判平30.12.7)は、所有権留保特約付きの売買契約の目的物に、当該売買契約の買主が譲渡担保権を設定した場合において、所有権留保特約付きの売買契約の買主が売買代金を完済しない間は、未だ売主のもとに目的物の所有権があるため、譲渡担保権者は当該売主に対して譲渡担保権を主張できない旨判示している。Bが代金完済前にCから金銭を借り入れて甲に譲渡担保権を設定し、占有改定により甲の占有をCに移転したときであっても、その後Bが甲の代金の支払いを怠ったのであれば、甲の所有権は未だ所有権留保権者たるAのもとにあるから、Aは、甲を処分して残代金の回収をすることができる。
総合メモ
所有権留保特約と権利の濫用 最二小判昭和50年2月28日
概要
自動車の販売につき、サブディーラーが、まずディーラー所有の自動車をユーザーに売却し、その後当該売買を完成するためディーラーからその自動車を買い受けるという方法がとられていた場合において、ディーラーが、サブディーラーとユーザーとの自動車売買契約の履行に協力しておきながら、その後当該サブディーラーにその自動車を売却するにあたって所有権留保特約を付し、サブディーラーの代金不払を理由に同人との売買契約を解除したうえ、留保された所有権に基づき、既にサブディーラーに代金を完済して自動車の引渡を受けているユーザーにその返還を請求することは、権利の濫用として許されない。
判例
事案:ディーラーが、サブディーラーとユーザーの間の自動車売買契約について協力しておきながら、当該サブディーラーから自動車を買い受けた当該ユーザーに対し、当該ディーラーが当該サブディーラーとの間の自動車売買契約に付した所有権留保特約に基づきその自動車の引渡を請求した場合、当該請求が権利の濫用になるかどうかが問題となった。
判旨:「Aは、ディーラーとして、サブディーラーであるBが本件自動車をユーザーであるCに販売するについては、前述のとおりその売買契約の履行に協力しておきながら、その後Bとの間で締結した本件自動車の所有権留保特約付売買について代金の完済を受けないからといつて、すでに代金を完済して自動車の引渡しを受けたCに対し、留保された所有権に基づいてその引渡しを求めるものであり、右引渡請求は、本来AにおいてサブデイーラーであるBに対してみずから負担すべき代金回収不能の危険をユーザーであるCに転嫁しようとするものであり、自己の利益のために代金を完済したCに不測の損害を蒙らせるものであつて、権利の濫用として許されないものと解するを相当とする。」
判旨:「Aは、ディーラーとして、サブディーラーであるBが本件自動車をユーザーであるCに販売するについては、前述のとおりその売買契約の履行に協力しておきながら、その後Bとの間で締結した本件自動車の所有権留保特約付売買について代金の完済を受けないからといつて、すでに代金を完済して自動車の引渡しを受けたCに対し、留保された所有権に基づいてその引渡しを求めるものであり、右引渡請求は、本来AにおいてサブデイーラーであるBに対してみずから負担すべき代金回収不能の危険をユーザーであるCに転嫁しようとするものであり、自己の利益のために代金を完済したCに不測の損害を蒙らせるものであつて、権利の濫用として許されないものと解するを相当とする。」
過去問・解説
(H18 司法 第16問 エ)
甲動産を所有するAが、これをBに売り、さらにBがCに譲渡したが、AはBから代金の支払を受けていない。A・B間の売買契約において、甲動産の所有権はBがAに代金を完済した時にBへ移転する旨が定められていた場合、Aは、甲動産をBがCに転売することに協力していたときであっても、Bに代金を支払って甲動産の引渡しを受けたCに対し、所有権に基づき甲動産の返還を請求することができる。
甲動産を所有するAが、これをBに売り、さらにBがCに譲渡したが、AはBから代金の支払を受けていない。A・B間の売買契約において、甲動産の所有権はBがAに代金を完済した時にBへ移転する旨が定められていた場合、Aは、甲動産をBがCに転売することに協力していたときであっても、Bに代金を支払って甲動産の引渡しを受けたCに対し、所有権に基づき甲動産の返還を請求することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭50.2.28)は、「Aは、ディーラーとして、サブディーラーであるBが本件自動車をユーザーであるCに販売するについては、前述のとおりその売買契約の履行に協力しておきながら、その後Bとの間で締結した本件自動車の所有権留保特約付売買について代金の完済を受けないからといつて、すでに代金を完済して自動車の引渡しを受けたCに対し、留保された所有権に基づいてその引渡しを求めるものであり、右引渡請求は、本来AにおいてサブデイーラーであるBに対してみずから負担すべき代金回収不能の危険をユーザーであるCに転嫁しようとするものであり、自己の利益のために代金を完済したCに不測の損害を蒙らせるものであつて、権利の濫用として許されないものと解するを相当とする。」と判示している。したがって、Aが、甲動産をBがCに転売することに協力していたという事情の存する本肢においては、Aは、A・B間の売買契約において、甲動産の所有権はBがAに代金を完済した時にBへ移転する旨が定められていた場合であっても、Bに代金を支払って甲動産の引渡しを受けたCに対し、所有権に基づき甲動産の返還を請求することは、権利の濫用として許されない。
判例(最判昭50.2.28)は、「Aは、ディーラーとして、サブディーラーであるBが本件自動車をユーザーであるCに販売するについては、前述のとおりその売買契約の履行に協力しておきながら、その後Bとの間で締結した本件自動車の所有権留保特約付売買について代金の完済を受けないからといつて、すでに代金を完済して自動車の引渡しを受けたCに対し、留保された所有権に基づいてその引渡しを求めるものであり、右引渡請求は、本来AにおいてサブデイーラーであるBに対してみずから負担すべき代金回収不能の危険をユーザーであるCに転嫁しようとするものであり、自己の利益のために代金を完済したCに不測の損害を蒙らせるものであつて、権利の濫用として許されないものと解するを相当とする。」と判示している。したがって、Aが、甲動産をBがCに転売することに協力していたという事情の存する本肢においては、Aは、A・B間の売買契約において、甲動産の所有権はBがAに代金を完済した時にBへ移転する旨が定められていた場合であっても、Bに代金を支払って甲動産の引渡しを受けたCに対し、所有権に基づき甲動産の返還を請求することは、権利の濫用として許されない。
総合メモ
土地の所有権と賃借権の混同と賃借権 最一小判昭和46年10月14日
概要
特定の土地につき所有権と賃借権とが同一人に帰属した場合でも、賃借権が対抗要件を具備したものであり、かつ、その対抗要件を具備した後に土地に抵当権が設定されていたときは、179条ただし書が準用され、賃借権は消滅しない。
判例
事案:特定の土地につき賃借権が設定され、対抗要件を具備していた場合において、当該対抗要件具備後に当該土地に抵当権が設定され、その後当該土地の所有権と賃借権が同一人に帰属したとき、賃借権が消滅するかどうかが問題となった。
判旨:「特定の土地につき所有権と賃借権とが同一人に帰属するに至つた場合であつても、その賃借権が対抗要件を具備したものであり、かつ、その対抗要件を具備した後に土地に抵当権が設定されていたときは、民法179条1項但書の準用により、賃借権は消滅しないものと解すべきである。」
判旨:「特定の土地につき所有権と賃借権とが同一人に帰属するに至つた場合であつても、その賃借権が対抗要件を具備したものであり、かつ、その対抗要件を具備した後に土地に抵当権が設定されていたときは、民法179条1項但書の準用により、賃借権は消滅しないものと解すべきである。」
総合メモ
地上権の準共有と179条1項但書 東京地判平成20年10月9日
概要
建物所有を目的とする借地権が準共有されている場合において、準共有者の1人が借地権の目的である土地の所有権を取得したときには、179条1項但書が類推適用され、混同の例外として、当該借地権は消滅しない。
判例
事案:建物所有を目的とする借地権が準共有されている場合において、準共有者の一人が借地権の目的である土地の所有権を取得したとき、当該借地権が消滅するかが問題となった。
判旨:「借地借家法によって効力の強化されている建物所有を目的とする賃借権(借地権)については、民法179条1項の「他の物権」に準じて、同項を類推適用し、その混同消滅の是非を検討するのが相当である。
本件借地権は、Cらと脱退前Aとの準共有となっていた。そうすると、賃借人脱退前Aの本件借地権は、賃貸人Bと賃借人脱退前A以外の「第三者」であるCらの準共有権の対象とされていたのであるから、民法179条1項ただし書の「当該の物権が第三者の権利の目的あるとき」に該当し、脱退前Aが本件建物及び本件借地権を取得した後、本件建物の底地(本件土地)を取得したからといって、本件借地権は、混同の例外として、消滅しないと解すべきである(東京高判S30・12・24高民集8巻10号739頁結論同旨)。」
判旨:「借地借家法によって効力の強化されている建物所有を目的とする賃借権(借地権)については、民法179条1項の「他の物権」に準じて、同項を類推適用し、その混同消滅の是非を検討するのが相当である。
本件借地権は、Cらと脱退前Aとの準共有となっていた。そうすると、賃借人脱退前Aの本件借地権は、賃貸人Bと賃借人脱退前A以外の「第三者」であるCらの準共有権の対象とされていたのであるから、民法179条1項ただし書の「当該の物権が第三者の権利の目的あるとき」に該当し、脱退前Aが本件建物及び本件借地権を取得した後、本件建物の底地(本件土地)を取得したからといって、本件借地権は、混同の例外として、消滅しないと解すべきである(東京高判S30・12・24高民集8巻10号739頁結論同旨)。」
過去問・解説
(H24 司法 第12問 2)
甲土地を所有するAがB及びCのために甲土地を目的とする地上権を設定してその旨の登記がされ、その地上権をB及びCが準共有している場合でも、その後、BがAから甲土地の所有権を取得したときは、地上権は消滅する。
甲土地を所有するAがB及びCのために甲土地を目的とする地上権を設定してその旨の登記がされ、その地上権をB及びCが準共有している場合でも、その後、BがAから甲土地の所有権を取得したときは、地上権は消滅する。
(正答)✕
(解説)
裁判例(東京地判平20.10.9)は、建物所有を目的とする借地権が準共有されている事案において、「借地借家法によって効力の強化されている建物所有を目的とする賃借権(借地権)については、民法179条1項の「他の物権」に準じて、同項を類推適用し、その混同消滅の是非を検討するのが相当である。」と判示した上で、「本件借地権は、Cらと脱退前Aとの準共有となっていた。そうすると、賃借人脱退前Aの本件借地権は、賃貸人Bと賃借人脱退前A以外の「第三者」であるCらの準共有権の対象とされていたのであるから、民法179条1項ただし書の「当該の物権が第三者の権利の目的あるとき」に該当し、脱退前原告が本件建物及び本件借地権を取得した後、本件建物の底地(本件土地)を取得したからといって、本件借地権は、混同の例外として、消滅しないと解すべきである…。」と判示している。この判例の理解は、地上権が準共有されている場合にも妥当すると解される。
したがって、甲土地を目的とする地上権をB及びCが準共有している場合、その後、BがAから甲土地の所有権を取得したときは、Cは、179条1項但書の「第三者」に当たり、当該地上権は、同但書の「当該他の物権が第三者の権利の目的であるとき」に当たるといえる。よって、同但書が適用され、地上権は消滅しない。
裁判例(東京地判平20.10.9)は、建物所有を目的とする借地権が準共有されている事案において、「借地借家法によって効力の強化されている建物所有を目的とする賃借権(借地権)については、民法179条1項の「他の物権」に準じて、同項を類推適用し、その混同消滅の是非を検討するのが相当である。」と判示した上で、「本件借地権は、Cらと脱退前Aとの準共有となっていた。そうすると、賃借人脱退前Aの本件借地権は、賃貸人Bと賃借人脱退前A以外の「第三者」であるCらの準共有権の対象とされていたのであるから、民法179条1項ただし書の「当該の物権が第三者の権利の目的あるとき」に該当し、脱退前原告が本件建物及び本件借地権を取得した後、本件建物の底地(本件土地)を取得したからといって、本件借地権は、混同の例外として、消滅しないと解すべきである…。」と判示している。この判例の理解は、地上権が準共有されている場合にも妥当すると解される。
したがって、甲土地を目的とする地上権をB及びCが準共有している場合、その後、BがAから甲土地の所有権を取得したときは、Cは、179条1項但書の「第三者」に当たり、当該地上権は、同但書の「当該他の物権が第三者の権利の目的であるとき」に当たるといえる。よって、同但書が適用され、地上権は消滅しない。