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留置権
有益費償還請求と留置権 大判昭和10年5月13日
概要
家屋の賃借人が、その賃借中に支出した必要費又は有益費の償還請求権を被担保債権として留置権を行使し、その償還を受けるまで従前と同様の態様で当該家屋に居住することは、特段の事情のない限り、298条2項ただし書の「その物の保存に必要な使用」に当たる。
判例
事案:家屋の賃借人が、その賃借中に支出した必要費又は有益費の償還請求権を被担保債権として留置権を行使し、その償還を受けるまで従前と同様の態様で当該家屋に居住することが、298条2項ただし書の「その物の保存に必要な使用」に当たるかが問題となった。
判旨:「家屋ノ賃借人カ其ノ賃借中支出シタル必要費若ハ有益費ノ為メ留置権ヲ行使シ其ノ償還ヲ受クル迄従前ノ如ク当該家屋ニ居住スルハ他ニ特殊ノ事情ナキ限リ民法第298条第2項但書ノ所謂留置物ノ保存ニ必要ナルモノト解スルヲ妥当トス。」
判旨:「家屋ノ賃借人カ其ノ賃借中支出シタル必要費若ハ有益費ノ為メ留置権ヲ行使シ其ノ償還ヲ受クル迄従前ノ如ク当該家屋ニ居住スルハ他ニ特殊ノ事情ナキ限リ民法第298条第2項但書ノ所謂留置物ノ保存ニ必要ナルモノト解スルヲ妥当トス。」
過去問・解説
(H29 共通 第11問 オ)
甲建物の賃貸人Aが、賃借人Bに対して賃貸借契約の終了に基づき甲建物の明渡しを請求したのに対し、Bが賃貸借の期間中に支出した有益費の償還請求権に基づいて留置権を行使し、従前と同様の態様で甲建物に居住した場合、Bは、Aに対し、その居住による利得を返還する義務を負う。
甲建物の賃貸人Aが、賃借人Bに対して賃貸借契約の終了に基づき甲建物の明渡しを請求したのに対し、Bが賃貸借の期間中に支出した有益費の償還請求権に基づいて留置権を行使し、従前と同様の態様で甲建物に居住した場合、Bは、Aに対し、その居住による利得を返還する義務を負う。
(正答)〇
(解説)
判例(大判昭10.5.13)は、家屋の賃借人が、その賃借中に支出した必要費又は有益費の償還請求権を被担保債権として留置権を行使し、その償還を受けるまで従前と同様の態様で当該家屋に居住することは、特段の事情のない限り、298条2項ただし書の「その物の保存に必要な使用」に当たる旨判示している。しかし、留置権者が「その物の保存に必要な使用」をした場合においても、その利用により生じた利得まで保持する権限を有するものではなく、当該利得は留置物の所有者に対して返還しなければならない。
したがって、Bが賃貸借の期間中に支出した有益費の償還請求権に基づいて留置権を行使し、従前と同様の態様で甲建物に居住した場合、Bは、Aに対し、その居住による利得を返還する義務を負う。
判例(大判昭10.5.13)は、家屋の賃借人が、その賃借中に支出した必要費又は有益費の償還請求権を被担保債権として留置権を行使し、その償還を受けるまで従前と同様の態様で当該家屋に居住することは、特段の事情のない限り、298条2項ただし書の「その物の保存に必要な使用」に当たる旨判示している。しかし、留置権者が「その物の保存に必要な使用」をした場合においても、その利用により生じた利得まで保持する権限を有するものではなく、当該利得は留置物の所有者に対して返還しなければならない。
したがって、Bが賃貸借の期間中に支出した有益費の償還請求権に基づいて留置権を行使し、従前と同様の態様で甲建物に居住した場合、Bは、Aに対し、その居住による利得を返還する義務を負う。
(R6 予備 第6問 イ)
甲建物の賃借人でありその引渡しを受けたAが、その所有者であり賃貸人であるBに対する有益費償還請求権を被担保債権として甲建物につき留置権を行使するときは、Bに対し、留置権を行使している間の建物の使用の対価を支払うことを要しない。
甲建物の賃借人でありその引渡しを受けたAが、その所有者であり賃貸人であるBに対する有益費償還請求権を被担保債権として甲建物につき留置権を行使するときは、Bに対し、留置権を行使している間の建物の使用の対価を支払うことを要しない。
(正答)✕
(解説)
判例(大判昭10.5.13)は、家屋の賃借人が、その賃借中に支出した必要費又は有益費の償還請求権を被担保債権として留置権を行使し、その償還を受けるまで従前と同様の態様で当該家屋に居住することは、特段の事情のない限り、298条2項ただし書の「その物の保存に必要な使用」に当たる旨判示している。しかし、留置権者が「その物の保存に必要な使用」をした場合においても、その利用により生じた利得まで保持する権限を有するものではなく、当該利得は留置物の所有者に対して返還しなければならない。
したがって、Aは、Bに対し、留置権を行使している間の建物の使用の対価を支払わなければならない。
判例(大判昭10.5.13)は、家屋の賃借人が、その賃借中に支出した必要費又は有益費の償還請求権を被担保債権として留置権を行使し、その償還を受けるまで従前と同様の態様で当該家屋に居住することは、特段の事情のない限り、298条2項ただし書の「その物の保存に必要な使用」に当たる旨判示している。しかし、留置権者が「その物の保存に必要な使用」をした場合においても、その利用により生じた利得まで保持する権限を有するものではなく、当該利得は留置物の所有者に対して返還しなければならない。
したがって、Aは、Bに対し、留置権を行使している間の建物の使用の対価を支払わなければならない。
総合メモ
造作買取請求権と建物の留置権 最一小判昭和29年1月14日
過去問・解説
(R3 司法 第10問 エ)
建物の賃借人は、造作買取請求権の行使によって生じた賃貸人に対する代金債権を被担保債権として、建物について留置権を行使することができる。
建物の賃借人は、造作買取請求権の行使によって生じた賃貸人に対する代金債権を被担保債権として、建物について留置権を行使することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭29.1.14)は、「造作買取代金債権は造作に関して生じた債権で、建物に関して生じた債権ではないと解するを相当とする。」と判示している。したがって、造作買取請求権の行使によって生じた賃貸人に対する代金債権は、「その物に関して生じた債権」(295条1項)に当たらないため、当該代金債権を被担保債権とした留置権は成立しない。よって、建物の賃借人は、当該代金債権を被担保債権として、建物について留置権を行使することができない。
判例(最判昭29.1.14)は、「造作買取代金債権は造作に関して生じた債権で、建物に関して生じた債権ではないと解するを相当とする。」と判示している。したがって、造作買取請求権の行使によって生じた賃貸人に対する代金債権は、「その物に関して生じた債権」(295条1項)に当たらないため、当該代金債権を被担保債権とした留置権は成立しない。よって、建物の賃借人は、当該代金債権を被担保債権として、建物について留置権を行使することができない。
総合メモ
留置権の抗弁と引換給付判決 最一小判昭和33年3月13日
概要
物の引渡を求める訴訟において、被告の留置権の抗弁を認容する場合には、引換給付判決がされる。
判例
事案:物の引渡を求める訴訟において、被告の留置権の抗弁を認容する場合、請求棄却判決をするべきか、引換給付判決をするべきかが問題となった。
判旨:「留置権は、物の占有者がその物に関して生じた債権の弁済を受けるまでその物を留置することを得るに過ぎないものであつて、物に関して生じた債権を他の債権に優先して弁済を受けしめることを趣旨とするものではない。従つて、裁判所は、物の引渡請求に対する留置権の抗弁を理由ありと認めるときは、その引渡請求を棄却することなく、その物に関して生じた債権の弁済と引換に物の引渡を命ずべきものと解するを相当とする。」
判旨:「留置権は、物の占有者がその物に関して生じた債権の弁済を受けるまでその物を留置することを得るに過ぎないものであつて、物に関して生じた債権を他の債権に優先して弁済を受けしめることを趣旨とするものではない。従つて、裁判所は、物の引渡請求に対する留置権の抗弁を理由ありと認めるときは、その引渡請求を棄却することなく、その物に関して生じた債権の弁済と引換に物の引渡を命ずべきものと解するを相当とする。」
過去問・解説
(H28 司法 第12問 オ)
質権の目的物を所有する債務者が、質権者に対して被担保債権を消滅させずに目的物の返還を求める訴訟を提起した場合に質権の主張が認められるときは、債務者の請求は棄却されるが、留置権の目的物を所有する債務者が、留置権者に対して被担保債権を消滅させずに目的物の返還を求める訴訟を提起した場合に留置権の主張が認められるときは、引換給付判決がされる。
質権の目的物を所有する債務者が、質権者に対して被担保債権を消滅させずに目的物の返還を求める訴訟を提起した場合に質権の主張が認められるときは、債務者の請求は棄却されるが、留置権の目的物を所有する債務者が、留置権者に対して被担保債権を消滅させずに目的物の返還を求める訴訟を提起した場合に留置権の主張が認められるときは、引換給付判決がされる。
(正答)〇
(解説)
判例(大判大9.3.29)は、質権の目的物を所有する債務者が、質権者に対して被担保債権を消滅させずに目的物の返還を求める訴訟を提起した場合に質権の主張が認められるときは、引換給付判決ではなく請求棄却判決が下される旨判示している。したがって、本肢前段は正しい。
また、判例(最判昭33.3.13)は、「裁判所は、物の引渡請求に対する留置権の抗弁を理由ありと認めるときは、その引渡請求を棄却することなく、その物に関して生じた債権の弁済と引換に物の引渡を命ずべきものと解するを相当とする。」と判示している。したがって、本肢後段も正しい。
判例(大判大9.3.29)は、質権の目的物を所有する債務者が、質権者に対して被担保債権を消滅させずに目的物の返還を求める訴訟を提起した場合に質権の主張が認められるときは、引換給付判決ではなく請求棄却判決が下される旨判示している。したがって、本肢前段は正しい。
また、判例(最判昭33.3.13)は、「裁判所は、物の引渡請求に対する留置権の抗弁を理由ありと認めるときは、その引渡請求を棄却することなく、その物に関して生じた債権の弁済と引換に物の引渡を命ずべきものと解するを相当とする。」と判示している。したがって、本肢後段も正しい。
(H29 共通 第11問 イ)
AからB、BからCに建設機械が順次売却され、BがAに対して代金を支払っていない場合に、Cが提起した所有権に基づく建設機械の引渡請求訴訟においてAの留置権が認められるときは、Cの請求は棄却される。
AからB、BからCに建設機械が順次売却され、BがAに対して代金を支払っていない場合に、Cが提起した所有権に基づく建設機械の引渡請求訴訟においてAの留置権が認められるときは、Cの請求は棄却される。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭33.3.13)は、「裁判所は、物の引渡請求に対する留置権の抗弁を理由ありと認めるときは、その引渡請求を棄却することなく、その物に関して生じた債権の弁済と引換に物の引渡を命ずべきものと解するを相当とする。」と判示している。したがって、Cが提起した所有権に基づく建設機械の引渡請求訴訟においてAの留置権が認められるときは、Cの請求は棄却されるのではなく、引換給付判決がされる。
判例(最判昭33.3.13)は、「裁判所は、物の引渡請求に対する留置権の抗弁を理由ありと認めるときは、その引渡請求を棄却することなく、その物に関して生じた債権の弁済と引換に物の引渡を命ずべきものと解するを相当とする。」と判示している。したがって、Cが提起した所有権に基づく建設機械の引渡請求訴訟においてAの留置権が認められるときは、Cの請求は棄却されるのではなく、引換給付判決がされる。
総合メモ
留置権の成否 最一小判昭和43年11月21日
概要
不動産の二重売買において、第2の買主のため所有権移転登記がされた場合、第1の買主は、第2の買主の当該不動産の所有権に基づく明渡請求に対し、売主に対して有する売買契約不履行に基づく損害賠償債権を被担保債権として、留置権を主張することは許されない。
判例
事案:不動産の二重売買において、第2の買主のために所有権移転登記がされた場合に、第1の買主が、第2の買主の当該不動産の所有権に基づく明渡請求に対し、売主に対して有する売買契約不履行に基づく損害賠償債権を被担保債権として、留置権を主張することができるかが問題となった。
判旨:「上告人ら主張の債権はいずれもその物自体を目的とする債権がその態様を変じたものであり、このような債権はその物に関し生じた債権とはいえない…。」
判旨:「上告人ら主張の債権はいずれもその物自体を目的とする債権がその態様を変じたものであり、このような債権はその物に関し生じた債権とはいえない…。」
過去問・解説
(R1 共通 第12問 オ)
Aがその所有する甲建物をBに売却して引き渡した後、Aが甲建物をCに売却してその旨の登記をした場合において、CがBに対して甲建物の明渡請求をしたときは、Bは、Aの債務不履行に基づく損害賠償請求権を被担保債権として、甲建物を留置することができる。
Aがその所有する甲建物をBに売却して引き渡した後、Aが甲建物をCに売却してその旨の登記をした場合において、CがBに対して甲建物の明渡請求をしたときは、Bは、Aの債務不履行に基づく損害賠償請求権を被担保債権として、甲建物を留置することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭43.11.21)は、本肢と同種の事案において、二重売買における第1買主が売主に対して有する損害賠償請求権について、「上告人ら主張の債権はいずれもその物自体を目的とする債権がその態様を変じたものであり、このような債権はその物に関し生じた債権とはいえない…。」と判示している。したがって、Aの債務不履行に基づく損害賠償請求権は、「その物に関して生じた債権」(295条)に当たらず、当該請求権を被担保債権とした甲建物に対する留置権は生じない。よって、CがBに対して甲建物の明渡請求をしたときは、Bは、Aの債務不履行に基づく損害賠償請求権を被担保債権として、甲建物を留置することはできない。
判例(最判昭43.11.21)は、本肢と同種の事案において、二重売買における第1買主が売主に対して有する損害賠償請求権について、「上告人ら主張の債権はいずれもその物自体を目的とする債権がその態様を変じたものであり、このような債権はその物に関し生じた債権とはいえない…。」と判示している。したがって、Aの債務不履行に基づく損害賠償請求権は、「その物に関して生じた債権」(295条)に当たらず、当該請求権を被担保債権とした甲建物に対する留置権は生じない。よって、CがBに対して甲建物の明渡請求をしたときは、Bは、Aの債務不履行に基づく損害賠償請求権を被担保債権として、甲建物を留置することはできない。
(R6 予備 第6問 ア)
AがA所有の甲土地をBに売却し引き渡した後、Aが甲土地をCに売却してAからCへの所有権移転登記がされたときは、Bは、Cからの所有権に基づく明渡請求に対し、売買契約に基づく所有権移転義務の履行不能を理由とするAに対する損害賠償請求権を被担保債権として、留置権を行使することができる。
AがA所有の甲土地をBに売却し引き渡した後、Aが甲土地をCに売却してAからCへの所有権移転登記がされたときは、Bは、Cからの所有権に基づく明渡請求に対し、売買契約に基づく所有権移転義務の履行不能を理由とするAに対する損害賠償請求権を被担保債権として、留置権を行使することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭43.11.21)は、本肢と同種の事案において、二重売買における第1買主が売主に対して有する損害賠償請求権について、「上告人ら主張の債権はいずれもその物自体を目的とする債権がその態様を変じたものであり、このような債権はその物に関し生じた債権とはいえない…。」と判示している。したがって、売買契約に基づく所有権移転義務の履行不能を理由とするAに対する損害賠償請求権は、「その物に関して生じた債権」(295条)に当たらず、当該請求権を被担保債権とした甲土地に対する留置権は生じない。よって、Bは、Cからの所有権に基づく明渡請求に対し、当該請求権を被担保債権として、留置権を行使することはできない。
判例(最判昭43.11.21)は、本肢と同種の事案において、二重売買における第1買主が売主に対して有する損害賠償請求権について、「上告人ら主張の債権はいずれもその物自体を目的とする債権がその態様を変じたものであり、このような債権はその物に関し生じた債権とはいえない…。」と判示している。したがって、売買契約に基づく所有権移転義務の履行不能を理由とするAに対する損害賠償請求権は、「その物に関して生じた債権」(295条)に当たらず、当該請求権を被担保債権とした甲土地に対する留置権は生じない。よって、Bは、Cからの所有権に基づく明渡請求に対し、当該請求権を被担保債権として、留置権を行使することはできない。
総合メモ
不法占拠と有益費償還請求権 最二小判昭和46年7月16日
概要
建物の賃借人が、債務不履行により賃貸借契約を解除された後、当該建物を占有する権原のないことを知りながら当該建物を不法に占有する間に、当該建物について有益費を支出しても、その者は、295条2項の類推適用により、同費用の償還請求権に基づいて当該建物に留置権を行使することはできない。
判例
事案:建物賃貸借契約解除後の不法占有中に支出した有益費について、295条2項が類推適用されるかどうかが問題となった。
判旨:「亡Aが、本件建物の賃貸借契約が解除された後は右建物を占有すべき権原のないことを知りながら不法にこれを占有していた旨の原判決の認定・判断は、挙示の証拠関係に徴し首肯することができる。そして、亡Aが右のような状況のもとに本件建物につき支出した有益費の償還請求権については、民法295条2項の類推適用により、Bらは本件建物につき、右請求権に基づく留置権を主張することができないと解すべきである(最高裁判所昭和39年(オ)第654号同41年3月3日第一小法廷判決、民集20巻3号386頁参照)。」
判旨:「亡Aが、本件建物の賃貸借契約が解除された後は右建物を占有すべき権原のないことを知りながら不法にこれを占有していた旨の原判決の認定・判断は、挙示の証拠関係に徴し首肯することができる。そして、亡Aが右のような状況のもとに本件建物につき支出した有益費の償還請求権については、民法295条2項の類推適用により、Bらは本件建物につき、右請求権に基づく留置権を主張することができないと解すべきである(最高裁判所昭和39年(オ)第654号同41年3月3日第一小法廷判決、民集20巻3号386頁参照)。」
過去問・解説
(H29 共通 第11問 ウ)
AがBから甲建物を賃借していたが、Aの賃料不払によりその賃貸借契約が解除された後、明渡しの準備をしている間にAが甲建物について有益費を支出した場合、Aは、Bに対し、その費用の償還請求権を被担保債権とする留置権を行使して甲建物の明渡しを拒むことはできない。
AがBから甲建物を賃借していたが、Aの賃料不払によりその賃貸借契約が解除された後、明渡しの準備をしている間にAが甲建物について有益費を支出した場合、Aは、Bに対し、その費用の償還請求権を被担保債権とする留置権を行使して甲建物の明渡しを拒むことはできない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭46.7.16)は、建物の賃借人が、債務不履行により賃貸借契約を解除された後、当該建物を占有する権原のないことを知りながら当該建物を不法に占有する間に、当該建物について有益費を支出しても、その者は、295条2項の類推適用により、同費用の償還請求権に基づいて当該建物に留置権を行使することはできない旨判示している。したがって、AがBから甲建物を賃借していたが、Aの賃料不払によりその賃貸借契約が解除された後、明渡しの準備をしている間にAが甲建物について有益費を支出した場合においても、当該有益費の支出はAの不法占有中に支出されたものである以上、295条2項が類推適用されるため、Aは、Bに対し、その費用の償還請求権を被担保債権とする留置権を行使して甲建物の明渡しを拒むことはできない。
判例(最判昭46.7.16)は、建物の賃借人が、債務不履行により賃貸借契約を解除された後、当該建物を占有する権原のないことを知りながら当該建物を不法に占有する間に、当該建物について有益費を支出しても、その者は、295条2項の類推適用により、同費用の償還請求権に基づいて当該建物に留置権を行使することはできない旨判示している。したがって、AがBから甲建物を賃借していたが、Aの賃料不払によりその賃貸借契約が解除された後、明渡しの準備をしている間にAが甲建物について有益費を支出した場合においても、当該有益費の支出はAの不法占有中に支出されたものである以上、295条2項が類推適用されるため、Aは、Bに対し、その費用の償還請求権を被担保債権とする留置権を行使して甲建物の明渡しを拒むことはできない。
総合メモ
他人物売買と留置権 最一小判昭和51年6月17日
概要
他人の物の売買における買主は、その所有権を移転すべき売主の債務の履行不能による損害賠償債権をもって、所有者の目的物返還請求に対し、留置権を主張することは許されない。
判例
事案:他人の物の売買における買主が、その所有権を移転すべき売主の債務の履行不能による損害賠償債権をもって、所有者の目的物返還請求に対し、留置権を主張することができるかが問題となった。
判旨:「他人の物の売買における買主は、その所有権を移転すべき売主の債務の履行不能による損害賠償債権をもつて、所有者の目的物返還請求に対し、留置権を主張することは許されないものと解するのが相当である。蓋し、他人の物の売主は、その所有権移転債務が履行不能となつても、目的物の返還を買主に請求しうる関係になく、したがつて、買主が目的物の返還を拒絶することによつて損害賠償債務の履行を間接に強制するという関係は生じないため、右損害賠償債権について目的物の留置権を成立させるために必要な物と債権との牽連関係が当事者間に存在するとはいえないからである。」
判旨:「他人の物の売買における買主は、その所有権を移転すべき売主の債務の履行不能による損害賠償債権をもつて、所有者の目的物返還請求に対し、留置権を主張することは許されないものと解するのが相当である。蓋し、他人の物の売主は、その所有権移転債務が履行不能となつても、目的物の返還を買主に請求しうる関係になく、したがつて、買主が目的物の返還を拒絶することによつて損害賠償債務の履行を間接に強制するという関係は生じないため、右損害賠償債権について目的物の留置権を成立させるために必要な物と債権との牽連関係が当事者間に存在するとはいえないからである。」
過去問・解説
(H21 司法 第27問 イ)
Aが所有する甲不動産について、Bを売主とし、Cを買主とする売買契約が成立した場合において、甲不動産の引渡しと引換えに代金をBに支払ったCが、BがAから甲不動産の所有権を取得することができないことから売買契約を解除した場合において、Cは、Aからの不動産引渡請求に対し留置権を主張し、Bから代金相当額の返還を受けるまで甲不動産を留置することができる。
Aが所有する甲不動産について、Bを売主とし、Cを買主とする売買契約が成立した場合において、甲不動産の引渡しと引換えに代金をBに支払ったCが、BがAから甲不動産の所有権を取得することができないことから売買契約を解除した場合において、Cは、Aからの不動産引渡請求に対し留置権を主張し、Bから代金相当額の返還を受けるまで甲不動産を留置することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭51.6.17)は、本肢と同種の事案において、「他人の物の売買における買主は、その所有権を移転すべき売主の債務の履行不能による損害賠償債権をもつて、所有者の目的物返還請求に対し、留置権を主張することは許されないものと解するのが相当である。蓋し、他人の物の売主は、その所有権移転債務が履行不能となつても、目的物の返還を買主に請求しうる関係になく、したがつて、買主が目的物の返還を拒絶することによつて損害賠償債務の履行を間接に強制するという関係は生じないため、右損害賠償債権について目的物の留置権を成立させるために必要な物と債権との牽連関係が当事者間に存在するとはいえないからである。」と判示している。この判例の理解は、被担保債権が、他人物に関する売買契約の解除に基づく原状回復請求権としての代金返還請求権であっても妥当する。したがって、Cは、Aからの不動産引渡請求に対し留置権を主張し、Bから代金相当額の返還を受けるまで甲不動産を留置することができない。
判例(最判昭51.6.17)は、本肢と同種の事案において、「他人の物の売買における買主は、その所有権を移転すべき売主の債務の履行不能による損害賠償債権をもつて、所有者の目的物返還請求に対し、留置権を主張することは許されないものと解するのが相当である。蓋し、他人の物の売主は、その所有権移転債務が履行不能となつても、目的物の返還を買主に請求しうる関係になく、したがつて、買主が目的物の返還を拒絶することによつて損害賠償債務の履行を間接に強制するという関係は生じないため、右損害賠償債権について目的物の留置権を成立させるために必要な物と債権との牽連関係が当事者間に存在するとはいえないからである。」と判示している。この判例の理解は、被担保債権が、他人物に関する売買契約の解除に基づく原状回復請求権としての代金返還請求権であっても妥当する。したがって、Cは、Aからの不動産引渡請求に対し留置権を主張し、Bから代金相当額の返還を受けるまで甲不動産を留置することができない。
(H29 司法 第27問 ウ)
A所有の甲土地をBがCに対して売り渡す旨の契約が締結された。Cが甲土地の引渡しをBから受けるのと同時にBに対して甲土地の代金を支払ったが、Bが甲土地の所有権を取得することができなかったことから、Cは、本件売買契約を解除した。その後、CがAから甲土地の引渡しを請求されたときは、Cは、Bから甲土地の代金の返還を受けるまで、甲土地を留置することができる。
A所有の甲土地をBがCに対して売り渡す旨の契約が締結された。Cが甲土地の引渡しをBから受けるのと同時にBに対して甲土地の代金を支払ったが、Bが甲土地の所有権を取得することができなかったことから、Cは、本件売買契約を解除した。その後、CがAから甲土地の引渡しを請求されたときは、Cは、Bから甲土地の代金の返還を受けるまで、甲土地を留置することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭51.6.17)は、本肢と同種の事案において、「他人の物の売買における買主は、その所有権を移転すべき売主の債務の履行不能による損害賠償債権をもつて、所有者の目的物返還請求に対し、留置権を主張することは許されないものと解するのが相当である。蓋し、他人の物の売主は、その所有権移転債務が履行不能となつても、目的物の返還を買主に請求しうる関係になく、したがつて、買主が目的物の返還を拒絶することによつて損害賠償債務の履行を間接に強制するという関係は生じないため、右損害賠償債権について目的物の留置権を成立させるために必要な物と債権との牽連関係が当事者間に存在するとはいえないからである。」と判示している。この判例の理解は、被担保債権が、他人物に関する売買契約の解除に基づく原状回復請求権としての代金返還請求権であっても妥当する。したがって、CがAから甲土地の引渡しを請求されたときは、Cは、Bから甲土地の代金の返還を受けるまで、甲土地を留置することができない。
判例(最判昭51.6.17)は、本肢と同種の事案において、「他人の物の売買における買主は、その所有権を移転すべき売主の債務の履行不能による損害賠償債権をもつて、所有者の目的物返還請求に対し、留置権を主張することは許されないものと解するのが相当である。蓋し、他人の物の売主は、その所有権移転債務が履行不能となつても、目的物の返還を買主に請求しうる関係になく、したがつて、買主が目的物の返還を拒絶することによつて損害賠償債務の履行を間接に強制するという関係は生じないため、右損害賠償債権について目的物の留置権を成立させるために必要な物と債権との牽連関係が当事者間に存在するとはいえないからである。」と判示している。この判例の理解は、被担保債権が、他人物に関する売買契約の解除に基づく原状回復請求権としての代金返還請求権であっても妥当する。したがって、CがAから甲土地の引渡しを請求されたときは、Cは、Bから甲土地の代金の返還を受けるまで、甲土地を留置することができない。
(R6 予備 第6問 ウ)
AがB所有の時計をCに売り、引き渡したものの、Cに即時取得が成立しないときは、Cは、Bからの所有権に基づく返還請求に対し、売買契約に基づく所有権移転義務の履行不能を理由とするAに対する損害賠償請求権を被担保債権として、留置権を行使することができない。
AがB所有の時計をCに売り、引き渡したものの、Cに即時取得が成立しないときは、Cは、Bからの所有権に基づく返還請求に対し、売買契約に基づく所有権移転義務の履行不能を理由とするAに対する損害賠償請求権を被担保債権として、留置権を行使することができない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭51.6.17)は、「他人の物の売買における買主は、その所有権を移転すべき売主の債務の履行不能による損害賠償債権をもつて、所有者の目的物返還請求に対し、留置権を主張することは許されないものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、Cは、Bからの所有権に基づく返還請求に対し、売買契約に基づく所有権移転義務の履行不能を理由とするAに対する損害賠償請求権を被担保債権として、留置権を行使することができない。
判例(最判昭51.6.17)は、「他人の物の売買における買主は、その所有権を移転すべき売主の債務の履行不能による損害賠償債権をもつて、所有者の目的物返還請求に対し、留置権を主張することは許されないものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、Cは、Bからの所有権に基づく返還請求に対し、売買契約に基づく所有権移転義務の履行不能を理由とするAに対する損害賠償請求権を被担保債権として、留置権を行使することができない。
総合メモ
清算金支払請求権を被担保債権とする留置権の行使 最一小判昭和58年3月31日
概要
清算金の支払のないまま仮登記担保権者から第三者が目的不動産の所有権を取得した場合には、債務者は、当該第三者からの当該不動産の明渡請求に対し、仮登記担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権の抗弁権を主張することができる。
判例
事案:清算金の支払のないまま仮登記担保権者から第三者が目的不動産の所有権を取得した場合において、債務者が、当該第三者からの当該不動産の明渡請求に対し、仮登記担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権の抗弁権を主張することができるかどうかが問題となった。
判旨:「AのBらに対する本件土地建物の明渡請求は、所有権に基づく物権的請求権によるものであるところ、BらのCに対する清算金支払請求権は、Cによる本件土地建物の所有権の取得とともに同一の物である右土地建物に関する本件代物弁済予約から生じた債権であるから、民法295条の規定により、Bらは、Cに対してはもとより、同人から本件土地建物を譲り受けたAに対しても、Cから清算金の支払を受けるまで、本件土地建物につき留置権を行使してその明渡しを拒絶することができる関係にあるといわなければならない(最高裁昭和34年(オ)第1227号同38年2月19日第三小法廷判決・裁判集民事64号473頁、同昭和45年(オ)1055号同47年11月16日第一小法廷判決・民集26巻9号1619頁参照)。」
判旨:「AのBらに対する本件土地建物の明渡請求は、所有権に基づく物権的請求権によるものであるところ、BらのCに対する清算金支払請求権は、Cによる本件土地建物の所有権の取得とともに同一の物である右土地建物に関する本件代物弁済予約から生じた債権であるから、民法295条の規定により、Bらは、Cに対してはもとより、同人から本件土地建物を譲り受けたAに対しても、Cから清算金の支払を受けるまで、本件土地建物につき留置権を行使してその明渡しを拒絶することができる関係にあるといわなければならない(最高裁昭和34年(オ)第1227号同38年2月19日第三小法廷判決・裁判集民事64号473頁、同昭和45年(オ)1055号同47年11月16日第一小法廷判決・民集26巻9号1619頁参照)。」
過去問・解説
(H28 司法 第12問 エ)
仮登記担保権の実行により不動産の所有権を取得した仮登記担保権者が、債務者に清算金を支払わないでその不動産を第三者に譲渡した場合、債務者は、清算金支払請求権を被担保債権として、譲受人たる第三者に対し、その不動産につき留置権を行使することができる。
仮登記担保権の実行により不動産の所有権を取得した仮登記担保権者が、債務者に清算金を支払わないでその不動産を第三者に譲渡した場合、債務者は、清算金支払請求権を被担保債権として、譲受人たる第三者に対し、その不動産につき留置権を行使することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭58.3.31)は、清算金の支払のないまま仮登記担保権者から第三者が目的不動産の所有権を取得した場合には、債務者は、当該第三者からの当該不動産の明渡請求に対し、仮登記担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権の抗弁権を主張することができる旨判示している。
判例(最判昭58.3.31)は、清算金の支払のないまま仮登記担保権者から第三者が目的不動産の所有権を取得した場合には、債務者は、当該第三者からの当該不動産の明渡請求に対し、仮登記担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権の抗弁権を主張することができる旨判示している。
総合メモ
留置権と目的物の一部の引き渡し 最三小判平成3年7月16日
概要
留置権者は、留置物の一部を債務者に引き渡した場合においても、特段の事情のない限り、債権の全部の弁済を受けるまで、留置物の残部につき留置権を行使することができる。
判例
事案:留置権者は、留置物の一部を債務者に引き渡した場合においても、債権の全部の弁済を受けるまでの間、留置物の残部につき留置権を行使することができるかが問題となった。
判旨:「民法296条は、留置権者は債権の全部の弁済を受けるまで留置物の全部につきその権利を行使し得る旨を規定しているが、留置権者が留置物の一部の占有を喪失した場合にもなお右規定の適用があるのであって、この場合、留置権者は、占有喪失部分につき留置権を失うのは格別として、その債権の全部の弁済を受けるまで留置物の残部につき留置権を行使し得るものと解するのが相当である。」
判旨:「民法296条は、留置権者は債権の全部の弁済を受けるまで留置物の全部につきその権利を行使し得る旨を規定しているが、留置権者が留置物の一部の占有を喪失した場合にもなお右規定の適用があるのであって、この場合、留置権者は、占有喪失部分につき留置権を失うのは格別として、その債権の全部の弁済を受けるまで留置物の残部につき留置権を行使し得るものと解するのが相当である。」
総合メモ
留置権の抗弁と引き換え給付判決 最一小判昭和47年11月16日
概要
A所有の物を買い受けたBが、売買代金を支払わないままこれをCに譲渡した場合には、Aは、Cからの物の引渡請求に対して、未払代金債権を被担保債権とする留置権の抗弁権を主張することができる。
判例
事案:A所有の物を買い受けたBが、売買代金を支払わないままこれをCに譲渡した場合に、Aが、Cからの物の引渡請求に対して、未払代金債権を被担保債権とする留置権の抗弁権を主張することができるかが問題となった。
判旨:「残代金債権は本件土地建物の明渡請求権と同一の売買契約によつて生じた債権であるから、民法295条の規定により、AはBに対し、残代金の弁済を受けるまで、本件土地建物につき留置権を行使してその明渡を拒絶することができたものといわなければならない。ところで、留置権が成立したのち債務者からその目的物を譲り受けた者に対しても、債権者がその留置権を主張しうることは、留置権が物権であることに照らして明らかである…。」
判旨:「残代金債権は本件土地建物の明渡請求権と同一の売買契約によつて生じた債権であるから、民法295条の規定により、AはBに対し、残代金の弁済を受けるまで、本件土地建物につき留置権を行使してその明渡を拒絶することができたものといわなければならない。ところで、留置権が成立したのち債務者からその目的物を譲り受けた者に対しても、債権者がその留置権を主張しうることは、留置権が物権であることに照らして明らかである…。」
過去問・解説
(H20 司法 第8問 2)
Xは所有権に基づき占有者Yに対し土地の引渡しを請求した。土地を所有し占有するYからAへ、AからXへと同土地が順次売買され、それぞれ代金の支払も了した。この場合、Yは同土地の引渡しを拒絶することができる。
Xは所有権に基づき占有者Yに対し土地の引渡しを請求した。土地を所有し占有するYからAへ、AからXへと同土地が順次売買され、それぞれ代金の支払も了した。この場合、Yは同土地の引渡しを拒絶することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭47.11.16)は、「留置権が成立したのち債務者からその目的物を譲り受けた者に対しても、債権者がその留置権を主張しうることは、留置権が物権であることに照らして明らかである…。」と判示している。もっとも、本肢においては、YからAへ、AからXへと土地が順次売買され、それぞれ代金の支払いも完了しているため、Yに同土地についての留置権は生じない。したがって、Yは、同土地について、Xに対し留置権を主張することができず、Yは同土地の引き渡しを拒絶することができない。
判例(最判昭47.11.16)は、「留置権が成立したのち債務者からその目的物を譲り受けた者に対しても、債権者がその留置権を主張しうることは、留置権が物権であることに照らして明らかである…。」と判示している。もっとも、本肢においては、YからAへ、AからXへと土地が順次売買され、それぞれ代金の支払いも完了しているため、Yに同土地についての留置権は生じない。したがって、Yは、同土地について、Xに対し留置権を主張することができず、Yは同土地の引き渡しを拒絶することができない。
(H21 司法 第12問 4)
留置権者は、留置権の目的物が第三者に譲渡された場合でも、目的物に関して生じた債権の全部の弁済を受けるまでは、当該第三者に対して留置権を主張することができる。
留置権者は、留置権の目的物が第三者に譲渡された場合でも、目的物に関して生じた債権の全部の弁済を受けるまでは、当該第三者に対して留置権を主張することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭47.11.16)は、「留置権が成立したのち債務者からその目的物を譲り受けた者に対しても、債権者がその留置権を主張しうることは、留置権が物権であることに照らして明らかである…。」と判示している。したがって、留置権者は、留置権の目的物が第三者に譲渡された場合でも、目的物に関して生じた債権の全部の弁済を受けるまでは、当該第三者に対して留置権を主張することができる。
判例(最判昭47.11.16)は、「留置権が成立したのち債務者からその目的物を譲り受けた者に対しても、債権者がその留置権を主張しうることは、留置権が物権であることに照らして明らかである…。」と判示している。したがって、留置権者は、留置権の目的物が第三者に譲渡された場合でも、目的物に関して生じた債権の全部の弁済を受けるまでは、当該第三者に対して留置権を主張することができる。
(R4 共通 第11問 イ)
Aは、その所有する動産甲をBに売り、Bは甲をCに転売したが、Aが甲の占有を続けている。この場合において、Aは、Cからの引渡請求に対し、Bから代金が支払われるまで、甲について留置権を行使することができる。
Aは、その所有する動産甲をBに売り、Bは甲をCに転売したが、Aが甲の占有を続けている。この場合において、Aは、Cからの引渡請求に対し、Bから代金が支払われるまで、甲について留置権を行使することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭47.11.16)は、「留置権が成立したのち債務者からその目的物を譲り受けた者に対しても、債権者がその留置権を主張しうることは、留置権が物権であることに照らして明らかである…。」と判示している。したがって、Aがその所有する動産甲をBに売り、Bが甲をCに転売したが、Aが甲の占有を続けている場合において、Aは、Cからの引渡請求に対し、Bから代金が支払われるまで、甲について留置権を行使することができる。
判例(最判昭47.11.16)は、「留置権が成立したのち債務者からその目的物を譲り受けた者に対しても、債権者がその留置権を主張しうることは、留置権が物権であることに照らして明らかである…。」と判示している。したがって、Aがその所有する動産甲をBに売り、Bが甲をCに転売したが、Aが甲の占有を続けている場合において、Aは、Cからの引渡請求に対し、Bから代金が支払われるまで、甲について留置権を行使することができる。
総合メモ
留置権の消滅請求 最二小判昭和38年5月31日
概要
留置権者が298条1項及び2項の規定に違反したときは、当該留置物の所有者は、当該違反行為が終了したかどうか、又はこれによって損害を受けたかどうかを問わず、当該留置権の消滅を請求することができる。
判例
事案:留置権者が298条1項及び2項の規定に違反したときは、その後当該違反行為が終了し、又は当該違反行為によって損害を受けなった場合でも、当該留置権の消滅を請求することができるかが問題となった。
判旨:「民法298条3項の法意に照せば、留置権者が同条1項および2項の規定に違反したときは、当該留置物の所有者は、当該違反行為が終了したかどうか、またこれによつて損害を受けたかどうかを問わず、当該留置権の消滅を請求することができるものと解するのが相当である。」
判旨:「民法298条3項の法意に照せば、留置権者が同条1項および2項の規定に違反したときは、当該留置物の所有者は、当該違反行為が終了したかどうか、またこれによつて損害を受けたかどうかを問わず、当該留置権の消滅を請求することができるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(R4 共通 第11問 エ)
留置権者が債務者の承諾を得ずに留置物を賃貸した場合であっても、その賃貸が終了して留置権者が留置物の返還を受けていたときは、債務者は、留置権の消滅を請求することができない。
留置権者が債務者の承諾を得ずに留置物を賃貸した場合であっても、その賃貸が終了して留置権者が留置物の返還を受けていたときは、債務者は、留置権の消滅を請求することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭38.5.31)は、留置権の消滅請求(298条3項)について、「留置権者が298条1項及び2項の規定に違反したときは、当該留置物の所有者は、当該違反行為が終了したかどうか…を問わず、当該留置権の消滅を請求することができる。」と判示している。本肢においては、留置権者が債務者の承諾を得ずに留置物を賃貸しており、この時点で、「留置権者は、債務者の承諾を得なければ、留置物を…賃貸…することができない。」と定める298条2項本文に違反したといえる。そうすると、その賃貸が終了して留置権者が留置物の返還を受けていたとしても、債務者は、留置権の消滅を請求することができる。
判例(最判昭38.5.31)は、留置権の消滅請求(298条3項)について、「留置権者が298条1項及び2項の規定に違反したときは、当該留置物の所有者は、当該違反行為が終了したかどうか…を問わず、当該留置権の消滅を請求することができる。」と判示している。本肢においては、留置権者が債務者の承諾を得ずに留置物を賃貸しており、この時点で、「留置権者は、債務者の承諾を得なければ、留置物を…賃貸…することができない。」と定める298条2項本文に違反したといえる。そうすると、その賃貸が終了して留置権者が留置物の返還を受けていたとしても、債務者は、留置権の消滅を請求することができる。
総合メモ
清算金支払請求権と留置権 最二小判平成9年4月11日
概要
不動産を目的とする譲渡担保権が設定されている場合において、譲渡担保権者が譲渡担保権の実行として目的不動産を第三者に譲渡したときは、譲渡担保権設定者は、当該第三者又は同人から更に当該不動産の譲渡を受けた者からの明渡請求に対し、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権を主張することができる。
判例
事案:譲渡担保権の実行として譲渡された不動産を取得した者からの明渡請求に対して、譲渡担保権設定者が、清算金支払請求権に基づく留置権を行使することができるかが問題となった。
判旨:「不動産を目的とする譲渡担保権が設定されている場合において、譲渡担保権者が譲渡担保権の実行として目的不動産を第三者に譲渡したときは、譲渡担保権設定者は、右第三者又は同人から更に右不動産の譲渡を受けた者からの明渡請求に対し、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権を主張することができるものと解するのが相当である。」
判旨:「不動産を目的とする譲渡担保権が設定されている場合において、譲渡担保権者が譲渡担保権の実行として目的不動産を第三者に譲渡したときは、譲渡担保権設定者は、右第三者又は同人から更に右不動産の譲渡を受けた者からの明渡請求に対し、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権を主張することができるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(R1 司法 第16問 ウ)
債務者が弁済期に債務の弁済をしなかった場合において、不動産の譲渡担保権者が目的不動産を譲渡したときは、債務者は、譲受人からの明渡請求に対し、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権を主張することができない。
債務者が弁済期に債務の弁済をしなかった場合において、不動産の譲渡担保権者が目的不動産を譲渡したときは、債務者は、譲受人からの明渡請求に対し、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権を主張することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平9.4.11)は、「不動産を目的とする譲渡担保権が設定されている場合において、譲渡担保権者が譲渡担保権の実行として目的不動産を第三者に譲渡したときは、譲渡担保権設定者は、右第三者…からの明渡請求に対し、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権を主張することができるものと解するのが相当である。」と判示している。
判例(最判平9.4.11)は、「不動産を目的とする譲渡担保権が設定されている場合において、譲渡担保権者が譲渡担保権の実行として目的不動産を第三者に譲渡したときは、譲渡担保権設定者は、右第三者…からの明渡請求に対し、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権を主張することができるものと解するのが相当である。」と判示している。
(R5 共通 第16問 エ)
被担保債権について不履行があった後、譲渡担保権者が譲渡担保権の実行として目的物を譲渡したときは、設定者は、譲受人からの明渡請求に対し、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権を主張することができない。
被担保債権について不履行があった後、譲渡担保権者が譲渡担保権の実行として目的物を譲渡したときは、設定者は、譲受人からの明渡請求に対し、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権を主張することができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平9.4.11)は、「不動産を目的とする譲渡担保権が設定されている場合において、譲渡担保権者が譲渡担保権の実行として目的不動産を第三者に譲渡したときは、譲渡担保権設定者は、右第三者…からの明渡請求に対し、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権を主張することができるものと解するのが相当である。」と判示している。
判例(最判平9.4.11)は、「不動産を目的とする譲渡担保権が設定されている場合において、譲渡担保権者が譲渡担保権の実行として目的不動産を第三者に譲渡したときは、譲渡担保権設定者は、右第三者…からの明渡請求に対し、譲渡担保権者に対する清算金支払請求権を被担保債権とする留置権を主張することができるものと解するのが相当である。」と判示している。
総合メモ
必要費償還請求権を被担保債権とする留置権の行使 最二小判昭和33年1月17日
概要
建物について費用償還請求権を有し、当該請求権を被担保債権として当該建物を留置している場合において、当該留置権者が、留置物に対してさらに必要費、有益費を支出したときは、従前の費用償還請求権と共に、その弁済を受けるまで、当該留置物を留置して、明渡しを拒むことができる。
判例
事案:建物について費用償還請求権を有し、当該請求権を被担保債権として当該建物を留置している場合において、当該留置権者が、留置物に対してさらに必要費、有益費を支出したときは、従前の費用償還請求権と共に、その弁済を受けるまで、当該留置物を留置することができるのかが問題となった。
判旨:「被上告人は管理契約終了前本件浴場建物に関し必要費の償還請求権を有し、契約終了後も右建物に対し留置権を有することは、原判決の確定するところである。そして、原判決は被上告人は右契約終了後その留置物について必要費、有益費を支出し、その有益費については、価格の増加が現存するものとなし、上告人に対しその償還請求権を有することを判示しているのであるから、この償還請求権もまた民法295条の所謂その物に関し生じた債権に外ならないものである。従つて契約終了前既に生じた費用償還請求権と共に、その弁済を受くるまでは、該浴場建物を留置し明渡を拒み得るものというべきである。」
判旨:「被上告人は管理契約終了前本件浴場建物に関し必要費の償還請求権を有し、契約終了後も右建物に対し留置権を有することは、原判決の確定するところである。そして、原判決は被上告人は右契約終了後その留置物について必要費、有益費を支出し、その有益費については、価格の増加が現存するものとなし、上告人に対しその償還請求権を有することを判示しているのであるから、この償還請求権もまた民法295条の所謂その物に関し生じた債権に外ならないものである。従つて契約終了前既に生じた費用償還請求権と共に、その弁済を受くるまでは、該浴場建物を留置し明渡を拒み得るものというべきである。」
過去問・解説
(H28 司法 第12問 ウ)
必要費償還請求権を被担保債権として建物を留置している留置権者は、その建物のための必要費を更に支出した場合、後者の必要費償還請求権を被担保債権として留置権を行使することはできない。
必要費償還請求権を被担保債権として建物を留置している留置権者は、その建物のための必要費を更に支出した場合、後者の必要費償還請求権を被担保債権として留置権を行使することはできない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭33.1.17)は、建物について費用償還請求権を有し、当該請求権を被担保債権として当該建物を留置している場合において、当該留置権者が、留置物に対してさらに必要費、有益費を支出したときは、従前の費用償還請求権と共に、その弁済を受けるまで、当該留置物を留置することができる旨判示している。したがって、必要費償還請求権を被担保債権として建物を留置している留置権者は、その建物のための必要費を更に支出した場合、後者の必要費償還請求権を被担保債権として留置権を行使することができる。
判例(最判昭33.1.17)は、建物について費用償還請求権を有し、当該請求権を被担保債権として当該建物を留置している場合において、当該留置権者が、留置物に対してさらに必要費、有益費を支出したときは、従前の費用償還請求権と共に、その弁済を受けるまで、当該留置物を留置することができる旨判示している。したがって、必要費償還請求権を被担保債権として建物を留置している留置権者は、その建物のための必要費を更に支出した場合、後者の必要費償還請求権を被担保債権として留置権を行使することができる。
(R3 司法 第10問 イ)
賃借物について賃貸人Aの負担に属する必要費を支出した賃借人Bは、賃貸借終了後、その償還請求権を被担保債権として留置権を行使している間に、更にAの負担に属する必要費を支出した場合には、更に支出したものを含めた必要費全額の弁済を受けるまで、留置権を行使することができる。
賃借物について賃貸人Aの負担に属する必要費を支出した賃借人Bは、賃貸借終了後、その償還請求権を被担保債権として留置権を行使している間に、更にAの負担に属する必要費を支出した場合には、更に支出したものを含めた必要費全額の弁済を受けるまで、留置権を行使することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭33.1.17)は、建物について費用償還請求権を有し、当該請求権を被担保債権として当該建物を留置している場合において、当該留置権者が、留置物に対してさらに必要費、有益費を支出したときは、従前の費用償還請求権と共に、その弁済を受けるまで、当該留置物を留置することができる旨判示している。したがって、賃借物について賃貸人Aの負担に属する必要費を支出した賃借人Bは、賃貸借終了後、その償還請求権を被担保債権として留置権を行使している間に、更にAの負担に属する必要費を支出した場合には、更に支出したものを含めた必要費全額の弁済を受けるまで、留置権を行使することができる。
判例(最判昭33.1.17)は、建物について費用償還請求権を有し、当該請求権を被担保債権として当該建物を留置している場合において、当該留置権者が、留置物に対してさらに必要費、有益費を支出したときは、従前の費用償還請求権と共に、その弁済を受けるまで、当該留置物を留置することができる旨判示している。したがって、賃借物について賃貸人Aの負担に属する必要費を支出した賃借人Bは、賃貸借終了後、その償還請求権を被担保債権として留置権を行使している間に、更にAの負担に属する必要費を支出した場合には、更に支出したものを含めた必要費全額の弁済を受けるまで、留置権を行使することができる。