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質権
質物の返還と質権の消滅 大判大正5年12月25日
概要
質権者が345条に違反して質権設定者に質物を返還した場合でも、質権は消滅しない。
判例
事案:質権者が345条に違反して質権設定者に質物を返還した場合において、質権が消滅するが問題となった。
判旨:「民法第345条ニハ単ニ質権者ハ質権設定者ヲシテ自己ニ代ハリテ質物ヲ占有セシムルコトヲ得サル旨ノ規定アルニ過キサルヲ以テ質権者カ一旦有効ニ質権ヲ設定シタル後右規定ニ違背シ質権設定者ヲシテ質物ヲ占有セシメタリトスルモ其占有カ法律上代理占有ノ効力ヲ生セサルニ止マリ之カ為メ質権カ消滅ニ帰スヘキモノニアラスト解スルヲ相当トス而シテ質権者カ有効ニ質権ヲ設定シタル後占有ヲ失ヒタル場合ニ於テハ動産質ニアリテハ其質権ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得サル結果ヲ生スヘキモ本件ノ如キ不動産質ニアリテハ質物ノ占有ハ第三者ニ対スル対抗条件ニモアラサルヲ以テ原院カ質権者タルAニ於テ一旦質物ノ現実引渡ヲ受ケタル後之ヲ質権設定者タルBニ引渡シタル事実ヲ認メタルニ拘ハラス該事実ハ本件質権ノ効力ニ何等ノ影響ナシ。」
判旨:「民法第345条ニハ単ニ質権者ハ質権設定者ヲシテ自己ニ代ハリテ質物ヲ占有セシムルコトヲ得サル旨ノ規定アルニ過キサルヲ以テ質権者カ一旦有効ニ質権ヲ設定シタル後右規定ニ違背シ質権設定者ヲシテ質物ヲ占有セシメタリトスルモ其占有カ法律上代理占有ノ効力ヲ生セサルニ止マリ之カ為メ質権カ消滅ニ帰スヘキモノニアラスト解スルヲ相当トス而シテ質権者カ有効ニ質権ヲ設定シタル後占有ヲ失ヒタル場合ニ於テハ動産質ニアリテハ其質権ヲ以テ第三者ニ対抗スルコトヲ得サル結果ヲ生スヘキモ本件ノ如キ不動産質ニアリテハ質物ノ占有ハ第三者ニ対スル対抗条件ニモアラサルヲ以テ原院カ質権者タルAニ於テ一旦質物ノ現実引渡ヲ受ケタル後之ヲ質権設定者タルBニ引渡シタル事実ヲ認メタルニ拘ハラス該事実ハ本件質権ノ効力ニ何等ノ影響ナシ。」
過去問・解説
(H28 司法 第12問 イ)
質権者が任意に質権設定者に質物を返還した場合、質権は消滅する。
質権者が任意に質権設定者に質物を返還した場合、質権は消滅する。
(正答)✕
(解説)
判例(大判大5.12.25)は、質権者が345条に違反して質権設定者に質物を返還した場合でも、質権は消滅しない旨判示している。
判例(大判大5.12.25)は、質権者が345条に違反して質権設定者に質物を返還した場合でも、質権は消滅しない旨判示している。
(R1 司法 第11問 ウ)
不動産質権の設定後に質権者が質権設定者に目的不動産を占有させたとしても、質権の効力は影響を受けない。
不動産質権の設定後に質権者が質権設定者に目的不動産を占有させたとしても、質権の効力は影響を受けない。
(正答)〇
(解説)
判例(大判大5.12.25)は、不動産質権の設定後に質権者が質権設定者に目的不動産を占有させた事案において、「不動産質ニアリテハ質物ノ占有ハ第三者ニ対スル対抗条件ニモアラサルヲ以テ原院カ質権者タルAニ於テ一旦質物ノ現実引渡ヲ受ケタル後之ヲ質権設定者タルBニ引渡シタル事実ヲ認メタルニ拘ハラス該事実ハ本件質権ノ効力ニ何等ノ影響ナシ。」と判示している。したがって、不動産質権の設定後に質権者が質権設定者に目的不動産を占有させたとしても、質権の効力は影響を受けない。
判例(大判大5.12.25)は、不動産質権の設定後に質権者が質権設定者に目的不動産を占有させた事案において、「不動産質ニアリテハ質物ノ占有ハ第三者ニ対スル対抗条件ニモアラサルヲ以テ原院カ質権者タルAニ於テ一旦質物ノ現実引渡ヲ受ケタル後之ヲ質権設定者タルBニ引渡シタル事実ヲ認メタルニ拘ハラス該事実ハ本件質権ノ効力ニ何等ノ影響ナシ。」と判示している。したがって、不動産質権の設定後に質権者が質権設定者に目的不動産を占有させたとしても、質権の効力は影響を受けない。
総合メモ
責任転質の可否 大連決大正14年7月14日
概要
質権者は、質物の所有者の承諾がなくても、質物をさらに質入れすることができる。
判例
事案:質権者は、質物の所有者の承諾がなくても、質物をさらに質入れすることができるかどうかが問題となった。
判旨:「質權者ハ其ノ權利ノ範圍内ニ於テ自巳ノ責任ヲ以テ質物ヲ轉質ト爲シ得ルコトハ民法第348條ノ規定ニ徴シテ明ナリ故ニ質權者ハ質權設定者ノ承諾ナシト雖自己ノ債務ニ付其ノ質物ノ上ニ其ノ權利ノ範圍ヲ超越セサル質權ヲ設定スル行爲ハ民法上許容セラレタル權利ノ行使ニ外ナラサレハ之ヲ自己ノ占有スル他人ノ物ニ對スル不法領得ノ意思實行ナリトシテ横領罪ヲ以テ論スヘキニアラス或ハ民法第350條ニ依リ質權ニ付テハ留置權ニ關スル同法第298條第2項ノ準用アリ質權設定者ノ承諾ナクシテ質物ヲ債務ノ擔保ニ供スル行爲ハ法ノ認容セサル所ナリトノ反對説ナキニ非サルモ民法第350條ハ單タ同條所定ノ留置權ニ關スル法條ハ質權ニ付特別ノ規定ナキ限リ之ヲ質權ニ準用ストノ趣旨ヲ示シタルニ過キス而シテ質權ニ關シテハ特ニ第348條ニ於テ轉質ニ關スル規定ヲ設ケ質權者ヲシテ其ノ權利ノ範圍内ニ於テ質物ヲ自己ノ債務ノ擔保ニ供スルコトヲ許容セル所ナルヲ以テ前段ニ説示シタル民法第298條第二項ノ規定ハ轉質ニ關シテハ其ノ準用ナキモノト解セサルヘカラス。」
判旨:「質權者ハ其ノ權利ノ範圍内ニ於テ自巳ノ責任ヲ以テ質物ヲ轉質ト爲シ得ルコトハ民法第348條ノ規定ニ徴シテ明ナリ故ニ質權者ハ質權設定者ノ承諾ナシト雖自己ノ債務ニ付其ノ質物ノ上ニ其ノ權利ノ範圍ヲ超越セサル質權ヲ設定スル行爲ハ民法上許容セラレタル權利ノ行使ニ外ナラサレハ之ヲ自己ノ占有スル他人ノ物ニ對スル不法領得ノ意思實行ナリトシテ横領罪ヲ以テ論スヘキニアラス或ハ民法第350條ニ依リ質權ニ付テハ留置權ニ關スル同法第298條第2項ノ準用アリ質權設定者ノ承諾ナクシテ質物ヲ債務ノ擔保ニ供スル行爲ハ法ノ認容セサル所ナリトノ反對説ナキニ非サルモ民法第350條ハ單タ同條所定ノ留置權ニ關スル法條ハ質權ニ付特別ノ規定ナキ限リ之ヲ質權ニ準用ストノ趣旨ヲ示シタルニ過キス而シテ質權ニ關シテハ特ニ第348條ニ於テ轉質ニ關スル規定ヲ設ケ質權者ヲシテ其ノ權利ノ範圍内ニ於テ質物ヲ自己ノ債務ノ擔保ニ供スルコトヲ許容セル所ナルヲ以テ前段ニ説示シタル民法第298條第二項ノ規定ハ轉質ニ關シテハ其ノ準用ナキモノト解セサルヘカラス。」
総合メモ
債権譲渡と質権の両立 大判大正8年8月25日
概要
債権者の有する債権に質権が設定された場合においても、当該債権者は、質権の目的債権を第三者に譲渡することができる。
判例
事案:債権者の有する債権に質権が設定された場合においても、当該債権者が、質権の目的債権を第三者に譲渡することができるかが問題となった。
判旨:「仍テ按スルニ指名債権ヲ目的トスル質権ノ設定ヲ以テ第三債務者以外ノ第三者ニ対抗スルニハ第三債務者ニ対スル質権設定ノ通知又ハ其設定ニ関スル第三債務者ノ承諾カ確定日附アル証書ヲ以テ為サレタルコトヲ要スルハ原判示ノ如シト雖モ債権ノ譲渡ヲ以テ債務者以外ノ第三者ニ対抗スルニモ亦譲渡ノ通知又ハ其承諾カ確定日附アル証書ヲ以テ為サレタルコトヲ要スルハ多言ヲ竢タス故ニ指名債権者カ其債権ヲ目的トシテ質権ヲ設定シタル後更ニ同債権ヲ他人ニ譲渡シタル場合ニ於テ若シ質権設定ノ通知又ハ承諾カ確定日附アル証書ヲ以テ為サレスシテ債権譲渡ノ通知又ハ承諾ノミ確定日附アル証書ヲ以テ為サレタルトキハ質権者ハ其質権ヲ以テ債権譲受人ニ対抗スルコトヲ得サルニ反シ譲受人ハ債権譲渡ヲ以テ質権者ニ対抗スルコトヲ得ルノ結果トシテ第三債務者(債権譲渡ニ付テハ債務者)ハ譲受人ノ権利ヲ尊重シ質権ノ行使ヲ拒ムコトヲ得ヘシ(大正7年(オ)第632号同8年3月28日言渡判例参照)ト雖モ債権譲渡ノ通知又ハ承諾モ同シク確定日附アル証書ヲ以テ為サレサリシトキハ譲受人モ其譲渡ヲ以テ質権者ニ対抗スルコトヲ得サレハ第三債務者ニ於テ質権ノ行使ヲ拒ミ得ヘキ理由ナキヲ以テ斯カル場合ニ於テハ第三債務者ハ前ニ通知アリ又ハ承諾ヲ為シタル質権ノ設定ヲ尊重スヘキコト当然ナルニ由リ之レカ行使ヲ拒ムコトヲ得サルモノト為スヲ至当トス。」
判旨:「仍テ按スルニ指名債権ヲ目的トスル質権ノ設定ヲ以テ第三債務者以外ノ第三者ニ対抗スルニハ第三債務者ニ対スル質権設定ノ通知又ハ其設定ニ関スル第三債務者ノ承諾カ確定日附アル証書ヲ以テ為サレタルコトヲ要スルハ原判示ノ如シト雖モ債権ノ譲渡ヲ以テ債務者以外ノ第三者ニ対抗スルニモ亦譲渡ノ通知又ハ其承諾カ確定日附アル証書ヲ以テ為サレタルコトヲ要スルハ多言ヲ竢タス故ニ指名債権者カ其債権ヲ目的トシテ質権ヲ設定シタル後更ニ同債権ヲ他人ニ譲渡シタル場合ニ於テ若シ質権設定ノ通知又ハ承諾カ確定日附アル証書ヲ以テ為サレスシテ債権譲渡ノ通知又ハ承諾ノミ確定日附アル証書ヲ以テ為サレタルトキハ質権者ハ其質権ヲ以テ債権譲受人ニ対抗スルコトヲ得サルニ反シ譲受人ハ債権譲渡ヲ以テ質権者ニ対抗スルコトヲ得ルノ結果トシテ第三債務者(債権譲渡ニ付テハ債務者)ハ譲受人ノ権利ヲ尊重シ質権ノ行使ヲ拒ムコトヲ得ヘシ(大正7年(オ)第632号同8年3月28日言渡判例参照)ト雖モ債権譲渡ノ通知又ハ承諾モ同シク確定日附アル証書ヲ以テ為サレサリシトキハ譲受人モ其譲渡ヲ以テ質権者ニ対抗スルコトヲ得サレハ第三債務者ニ於テ質権ノ行使ヲ拒ミ得ヘキ理由ナキヲ以テ斯カル場合ニ於テハ第三債務者ハ前ニ通知アリ又ハ承諾ヲ為シタル質権ノ設定ヲ尊重スヘキコト当然ナルニ由リ之レカ行使ヲ拒ムコトヲ得サルモノト為スヲ至当トス。」
総合メモ
債務者が債権者に対する自己の債権に対して質権を設定することの可否 大判昭和11年2月25日
概要
債務者の債務を担保するため、当該債務者が債権者に対して有する債権を目的とした質権を設定することができる。
判例
事案:債務者の債務を担保するため、当該債務者が債権者に対して有する債権を目的とした質権を設定することができるかが問題となった。
判旨:「債務者カ債権者ニ対スル自己ノ債権ニ対シ質権ヲ設定スルコト固ヨリ之ヲ妨ケス夫ノ銀行ノ定期預金者カ其ノ預金ヲ担保トシテ銀行ヨリ借入ヲ為ス場合ノ如キハ最適例ナリト為ス尤モ民法第三百六十四条及第三百六十七条ノ如キ質権者ト第三債務者トカ別人ナルコトヲ予想シタル規定ナキニ非スト雖是レ畢竟其ノ普通ナル場合ヲ標準トシテノ規定タルニ過キス之カ為質権者ト第三債務者トカ同一人ナルコトヲ禁止シタルモノニ非サルヤ論無シ。」
判旨:「債務者カ債権者ニ対スル自己ノ債権ニ対シ質権ヲ設定スルコト固ヨリ之ヲ妨ケス夫ノ銀行ノ定期預金者カ其ノ預金ヲ担保トシテ銀行ヨリ借入ヲ為ス場合ノ如キハ最適例ナリト為ス尤モ民法第三百六十四条及第三百六十七条ノ如キ質権者ト第三債務者トカ別人ナルコトヲ予想シタル規定ナキニ非スト雖是レ畢竟其ノ普通ナル場合ヲ標準トシテノ規定タルニ過キス之カ為質権者ト第三債務者トカ同一人ナルコトヲ禁止シタルモノニ非サルヤ論無シ。」
総合メモ
債権質が設定されている場合の相殺の可否 大判大正5年9月5日
概要
債権を目的とした質権が対抗要件を備えた場合、その後第三債務者が質権設定者に対して債権を取得し、当該質権の目的債権と相殺することは、質権者に対抗することができない。
判例
事案:債権を目的とした質権が対抗要件を備えた場合において、その後第三債務者が質権設定者に対して債権を取得し、当該質権の目的債権と相殺することを、質権者に対抗することができるかが問題となった。
判旨:「債権ヲ目的ト為シタル質権ノ効力トシテ質権者ハ目的タル債権ヲ直接ニ取立ツルコトヲ得ルコト民法第367条ニ依リ明カナリ故ニ質権設定者ハ勿論第三債務者モ亦之ニ対スル対抗条件ノ具備シタル上ハ質権者ノ取立権能ヲ害スルノ行為ヲ為スコトヲ得サルモノト謂ハサルヘカラス而シテ指名債権ヲ以テ質権ノ目的ト為シタル質権者ハ第三債務者ニ質権ノ設定ヲ通知シ又ハ第三債務者カ之ヲ承諾シタル時ヨリ其質権ヲ以テ第三債務者其他ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ルヲ以テ第三債務者ハ此時ヨリ質権者ノ取立権能ヲ害スルノ行為ヲ為スコトヲ得サルモノト謂フ可シ此時以後ニ於テ第三債務者カ質権設定者ニ対スル債権ヲ取得シ之ヲ以テ質権者ニ相殺ヲ対抗スルハ質権者ノ取立権能ヲ害スルモノトス故ニ第三債務者ハ質権設定ノ通知ヲ受ケ又ハ之ヲ承諾シタル時ヨリ以後ニ取得シタル質権設定者ニ対スル債権ヲ以テ質権者ニ相殺ヲ対抗スルコトヲ得サルモノト解スルヲ相当トス。」
判旨:「債権ヲ目的ト為シタル質権ノ効力トシテ質権者ハ目的タル債権ヲ直接ニ取立ツルコトヲ得ルコト民法第367条ニ依リ明カナリ故ニ質権設定者ハ勿論第三債務者モ亦之ニ対スル対抗条件ノ具備シタル上ハ質権者ノ取立権能ヲ害スルノ行為ヲ為スコトヲ得サルモノト謂ハサルヘカラス而シテ指名債権ヲ以テ質権ノ目的ト為シタル質権者ハ第三債務者ニ質権ノ設定ヲ通知シ又ハ第三債務者カ之ヲ承諾シタル時ヨリ其質権ヲ以テ第三債務者其他ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ルヲ以テ第三債務者ハ此時ヨリ質権者ノ取立権能ヲ害スルノ行為ヲ為スコトヲ得サルモノト謂フ可シ此時以後ニ於テ第三債務者カ質権設定者ニ対スル債権ヲ取得シ之ヲ以テ質権者ニ相殺ヲ対抗スルハ質権者ノ取立権能ヲ害スルモノトス故ニ第三債務者ハ質権設定ノ通知ヲ受ケ又ハ之ヲ承諾シタル時ヨリ以後ニ取得シタル質権設定者ニ対スル債権ヲ以テ質権者ニ相殺ヲ対抗スルコトヲ得サルモノト解スルヲ相当トス。」
過去問・解説
(R6 司法 第15問 エ)
AはBに対して貸金債権甲を有する。FがAから甲を目的とする質権の設定を受け、AからBに対しその質権の設定の通知がされた場合には、Bは、その後にAとの間で売買契約を締結してAに対して代金債権丙を取得したときであっても、丙を自働債権とし、甲を受働債権とする相殺をもってFに対抗することができない。
AはBに対して貸金債権甲を有する。FがAから甲を目的とする質権の設定を受け、AからBに対しその質権の設定の通知がされた場合には、Bは、その後にAとの間で売買契約を締結してAに対して代金債権丙を取得したときであっても、丙を自働債権とし、甲を受働債権とする相殺をもってFに対抗することができない。
(正答)〇
(解説)
判例(大判大5.9.5)は、債権を目的とした質権が対抗要件を備えた場合、その後第三債務者が質権設定者に対して債権を取得し、当該質権の目的債権と相殺することは、質権者に対抗することができない旨判示している。したがって、FがAから甲を目的とする質権の設定を受け、AからBに対しその質権の設定の通知がされた場合には、Bは、その後にAとの間で売買契約を締結してAに対して代金債権丙を取得したときであっても、丙を自働債権とし、甲を受働債権とする相殺をもってFに対抗することができない。
判例(大判大5.9.5)は、債権を目的とした質権が対抗要件を備えた場合、その後第三債務者が質権設定者に対して債権を取得し、当該質権の目的債権と相殺することは、質権者に対抗することができない旨判示している。したがって、FがAから甲を目的とする質権の設定を受け、AからBに対しその質権の設定の通知がされた場合には、Bは、その後にAとの間で売買契約を締結してAに対して代金債権丙を取得したときであっても、丙を自働債権とし、甲を受働債権とする相殺をもってFに対抗することができない。
総合メモ
破産管財人による質権設定者の質権者に対する目的債権の担保価値を維持すべき義務の違反 最一小判平成18年12月21日
概要
債権が質権の目的とされた場合において、質権設定者は、質権者に対し、当該債権の担保価値を維持すべき義務を負い、債権の放棄、免除、相殺、更改等当該債権を消滅、変更させる一切の行為その他当該債権の担保価値を害するような行為を行うことは、同義務に違反するものとして許されない。
判例
事案:債権を目的とする質権が設定されている場合において、当該質権設定者が、債権の放棄、免除、相殺、更改等当該債権を消滅、変更させる一切の行為その他当該債権の担保価値を害するような行為を行うことができるかが問題となった。
判旨:「債権が質権の目的とされた場合において、質権設定者は、質権者に対し、当該債権の担保価値を維持すべき義務を負い、債権の放棄、免除、相殺、更改等当該債権を消滅、変更させる一切の行為その他当該債権の担保価値を害するような行為を行うことは、同義務に違反するものとして許されないと解すべきである。」
判旨:「債権が質権の目的とされた場合において、質権設定者は、質権者に対し、当該債権の担保価値を維持すべき義務を負い、債権の放棄、免除、相殺、更改等当該債権を消滅、変更させる一切の行為その他当該債権の担保価値を害するような行為を行うことは、同義務に違反するものとして許されないと解すべきである。」