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分割債権及び分割債務、不可分債権及び不可分債務、連帯債権、連帯債務

賃金債権の相続 最一小判昭和29年4月8日

概要
複数の相続人がいる場合において、相続財産中に金銭その他の可分債権があるときは、その債権は法律上当然に分割され、各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継する。
判例
事案:複数の相続人がいる場合において、相続財産中に金銭その他の可分債権があるとき、その債権は法律上当然に分割されるのかが問題となった。

判旨:「相続人数人ある場合において、その相続財産中に金銭その他の可分債権あるときは、その債権は法律上当然分割され各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継するものと解するを相当とする…。」
過去問・解説
(H19 司法 第34問 1)
遺産である貸金債権は相続人全員が共同してのみ行使することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭29.4.8)は、「相続人数人ある場合において、その相続財産中に金銭その他の可分債権あるときは、その債権は法律上当然分割され各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継するものと解するを相当とする…。」と判示している。貸金債権は可分債権であるから、遺産である貸金債権は法律上当然に分割され、各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継する。したがって、各相続人は単独で、自己が承継した範囲で当該貸金債権を行使することができる。

(H23 共通 第19問 3)
期限の定めのない貸金債権を共同相続した相続人の1人が、債務者に対して全額の弁済請求をした場合には、債務者は、共同相続人全員に対して履行遅滞の責任を負う。

(正答)

(解説)
判例(最判昭 29.4.8)は、「相続人数人ある場合において、その相続財産中に金銭その他の可分債権あるときは、その債権は法律上当然分割され各共同相続人がその相続分に応じて権利を承継するものと解するを相当とする…。」と判示している。本肢においても、期限の定めのない貸金債権は可分債権であるから、当該債権は法律上当然に分割され、各共同相続人がその相続分に応じて分割された権利を承継する。
ここで、分割債権が成立した場合、分割されたそれぞれの債権は相互に全く独立した債権となるから、1人の債権者について生じた事由が他の債権者に影響を及ぼすことはない。したがって、期限の定めのない貸金債権を共同相続した相続人の1人が、債務者に対して全額の弁済請求をした場合には、債務者は、当該相続人に対して履行遅滞の責任を負うことにはなる(412条3項)が、分割債権を取得した他の相続人との関係では、弁済請求がされたことにはならず、履行遅滞の責任を負わない。よって、債務者は、共同相続人全員に対して履行遅滞の責任を負うわけではない。
総合メモ

共同不法行為者の1人と被害者との間で成立した訴訟上の和解における債務の免除の効力が他の共同不法行為者に対しても及ぶ場合 最一小判平成10年9月10日

概要
共同不法行為の被害者が共同不法行為者の1人に対してした損害賠償義務の免除の意思表示が、他の共同不法行為者の損害賠償義務をも免除する意思を含んでいると認められるときには、当該他の共同不法行為者に対しても残債務の免除の効力が及ぶ。
判例
事案:共同不法行為者の1人と被害者との間で成立した訴訟上の和解における債務の免除の効力が、他の共同不法行為者に対しても及ぶ場合があるかが問題となった。

判旨:「1 AとBが共同の不法行為により他人に損害を加えた場合において、AがBとの責任割合に従って定められるべき自己の負担部分を超えて被害者に損害を賠償したときは、Aは、Bの負担部分について求償することができる(最高裁昭和60年(オ)第1145号同63年7月1日第二小法廷判決・民集42巻6号451頁、最高裁昭和63年(オ)第1383号、平成3年(オ)第1377号同年10月25日第二小法廷判決・民集45巻7号1173頁参照)。
 2 この場合、AとBが負担する損害賠償債務は、いわゆる不真正連帯債務であるから、AとCとの間で訴訟上の和解が成立し、請求額の一部につき和解金が支払われるとともに、和解調書中に「Cはその余の請求を放棄する」旨の条項が設けられ、CがAに対し残債務を免除したと解し得るときでも、連帯債務における免除の絶対的効力を定めた民法437条の規定は適用されず、Bに対して当然に免除の効力が及ぶものではない(最高裁昭和43年(オ)第431号同48年2月16日第二小法廷判決・民集27巻1号99頁、最高裁平成4年(オ)第1814号同6年11月24日第一小法廷判決・裁判集民事173号431頁参照)。
 しかし、Cが、右訴訟上の和解に際し、Bの残債務をも免除する意思を有していると認められるときは、Bに対しても残債務の免除の効力が及ぶものというべきである。」
過去問・解説
(H21 司法 第30問 エ)
Aが所有し運転するタクシーに、Bが所有し運転する自家用車が衝突する交通事故が発生し、AB所有の各車両が損傷するとともに歩行者Cが負傷した。当該交通事故により、Aには50万円の損害が、Bには80万円の損害が、Cには100万円の損害が、それぞれ生じ、当該交通事故及びCの負傷についての過失割合はAが2割で、Bが8割であり、また、Cの負傷にはCの過失がないものとする。CがAに対して損害賠償債務全額を免除したときでも、Cは、Bの債務を免除する意思を有していなければ、Bに対し100万円全額を請求することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平10.9.10)は、共同不法行為の被害者が共同不法行為者の1人に対してした損害賠償義務の免除の意思表示が、他の共同不法行為者の損害賠償義務をも免除する意思を含んでいると認められるときには、当該他の共同不法行為者に対しても残債務の免除の効力が及ぶ旨判示している。本肢においては、CがAに対して損害賠償債務全額を免除したが、Cは、Bの債務を免除する意思を有していない。したがって、原則通り、当該免除の効力はBに及ばない(441条)。よって、Cは、Bに対し100万円全額を請求することができる。

(H29 共通 第30問 ウ)
Aが運転するタクシーとBが運転するタクシーが衝突する交通事故(以下「本件事故」という。)が発生し、Aが運転するタクシーの乗客Cが負傷し、Cに300万円の損害が生じた。本件事故についての過失割合は、Aが4割で、Bが6割であり、Cに過失はなかった。Bが、Cとの間で、BがCに対して200万円を支払うとともに、CがAの損害賠償債務及びBのその余の損害賠償債務を免除する旨の和解契約を締結した場合であっても、Cは、Aに対し、100万円の支払を求めることができる。

(正答)

(解説)
判例(最判平10.9.10)は、共同不法行為の被害者が共同不法行為者の1人に対してした損害賠償義務の免除の意思表示が、他の共同不法行為者の損害賠償義務をも免除する意思を含んでいると認められるときには、当該他の共同不法行為者に対しても残債務の免除の効力が及ぶ旨判示している。本肢においては、Bが、Cとの間で、BがCに対して200万円を支払うとともに、CがAの損害賠償債務及びBのその余の損害賠償債務を免除する旨の和解契約を締結しており、当該和解契約は、Aの損害賠償義務をも免除する意思を含んでいると認められる。したがって、当該和解契約中の免除の効力はAにも及ぶから、Cは、Aに対し、100万円の支払を求めることができない。
総合メモ

443条1項の事前の通知を怠った連帯債務者が同条2項の規定により自己の免責行為を有効であるとみなすことの可否 最二小判昭和57年12月17日

概要
連帯債務者の1人が弁済その他の免責の行為をするのに先立って、他の連帯債務者に対し443条1項の通知をすることを怠った場合は、既に弁済その他により共同の免責を得ていた他の連帯債務者に対し、同条2項の規定により自己の免責行為を有効であるとみなすことはできない。
判例
事案:443条1項の事前の通知を怠った連帯債務者が、同条2項の規定により自己の免責行為を有効であるとみなすことができるかが問題となった。

判旨:「連帯債務者の1人が弁済その他の免責の行為をするに先立ち、他の連帯債務者に通知することを怠つた場合は、既に弁済しその他共同の免責を得ていた他の連帯債務者に対し、民法443条2項の規定により自己の免責行為を有効であるとみなすことはできないものと解するのが相当である。けだし、同項の規定は、同条1項の規定を前提とするものであつて、同条1項の事前の通知につき過失のある連帯債務者までを保護する趣旨ではないと解すべきであるからである(大審院昭和6年(オ)第3137号同7年9月30日判決・民集11巻20号2008頁参照)。」
過去問・解説
(H29 司法 第18問 ウ)
AとBがCに対して連帯債務を負っている場合において、Aが債務全額の弁済をしたが、Bに対する通知を怠ったため、Bは、Aの弁済を知らなかった。この場合において、その後CがBに対し債務の履行を請求し、これに応じてBが債務全額の弁済をしたときは、BがAに対して事前にCから履行の請求を受けた旨の通知をしなかったとしても、Bは、Aに対し、自己の弁済が有効である旨主張することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭57.12.17)は、「連帯債務者の1人が弁済その他の免責の行為をするに先立ち、他の連帯債務者に通知することを怠つた場合は、既に弁済しその他共同の免責を得ていた他の連帯債務者に対し、民法443条2項の規定により自己の免責行為を有効であるとみなすことはできないものと解するのが相当である。」と判示している。本肢においては、AとBがCに対して連帯債務を負っている場合において、Aが債務全額の弁済をしたが、Bに対する通知を怠ったため、Bは、Aの弁済を知らなかったのであるから、433条2項に規定する場合に当たる。しかし、その後CがBに対し債務の履行を請求し、これに応じてBが債務全額の弁済をしたときにおいて、BがAに対して事前にCから履行の請求を受けた旨の通知をしなかったのであれば、Bは、Aに対し、自己の弁済が有効である旨主張することができない。
総合メモ

連帯債務の相続 最二小判昭和34年6月19日

概要
連帯債務者の1人が死亡し、相続人が数人ある場合、当該相続人らは、被相続人の債務の分割されたものを承継し、各自その承継した範囲において、本来の債務者とともに連帯債務者となる。
判例
事案:連帯債務者の一人が死亡し、相続人が数人ある場合において、当該相続人らが、いかなる範囲で連帯債務者の債務を承継するかが問題となった。

判旨:「連帯債務は、数人の債務者が同一内容の給付につき各独立に全部の給付をなすべき債務を負担しているのであり、各債務は債権の確保及び満足という共同の目的を達する手段として相互に関連結合しているが、なお、可分なること通常の金銭債務と同様である。ところで、債務者が死亡し、相続人が数人ある場合に、被相続人の金銭債務その他の可分債務は、法律上当然分割され、各共同相続人がその相続分に応じてこれを承継するものと解すべきであるから(大審院昭和5年(ク)第1236号、同年12月4日決定、民集9巻1118頁、最高裁昭和27年(オ)第1119号、同29年4月8日第一小法廷判決、民集8巻819頁参照)、連帯債務者の1人が死亡した場合においても、その相続人らは、被相続人の債務の分割されたものを承継し、各自その承継した範囲において、本来の債務者とともに連帯債務者となると解するのが相当である。」
過去問・解説
(H19 司法 第34問 5)
AとBが連帯して債務を負っており、Aが死亡した場合、Aの連帯債務はAの相続人間で当然に分割され、各相続人はその相続分に応じて承継し、その承継した範囲においてBとともに連帯債務者となる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭34.6.19)は、本肢と同種の事案において、連帯債務者の1人が死亡し、相続人が数人ある場合、当該相続人らは、被相続人の債務の分割されたものを承継し、各自その承継した範囲において、本来の債務者とともに連帯債務者となる旨判示している。したがって、本肢においても、Aの連帯債務はAの相続人間で当然に分割され、各相続人はその相続分に応じて承継し、その承継した範囲においてBとともに連帯債務者となる。

(H28 共通 第33問 エ)
A及びBがCに対して400万円の連帯債務を負担していたところ、Aが死亡し、その妻D及び子Eが相続した場合、Cは、Eに対して、Aの負担していた400万円の債務全額の支払を請求することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭34.6.19)は、本肢と同種の事案において、連帯債務者の1人が死亡し、相続人が数人ある場合、当該相続人らは、被相続人の債務の分割されたものを承継し、各自その承継した範囲において、本来の債務者とともに連帯債務者となる旨判示している。本肢においても、Aが死亡し、その妻D及び子Eが相続した場合、AがCに対して負担していた400万円の債務の分割されたものを承継し、各自その承継した範囲において、Bとともに連帯債務者となる。したがって、D及びEは、各自その相続分(900条1号)に基づき、当該400万円の債務の内200万円の範囲において、Bと共に連帯債務者となるにとどまるから、Cは、Eに対して、Aの負担していた400万円の債務全額の支払を請求することはできない。

(R1 司法 第34問 ウ)
複数の相続人が被相続人から賃借人の地位を承継したときは、被相続人が延滞していたその賃貸借に係る賃料債務は不可分債務となる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭34.6.19)は、「債務者が死亡し、相続人が数人ある場合に、被相続人の金銭債務その他の可分債務は、法律上当然分割され、各共同相続人がその相続分に応じてこれを承継するものと解すべきである」と判示している。被相続人が延滞していたその賃貸借にかかる賃料債務は、既に発生している単なる金銭債務であるから、複数の相続人が被相続人から賃借人の地位を承継したときは、当該債務は法律上当然に分割され、分割債務として各共同相続人がその相続分に応じて承継する。したがって、被相続人が延滞していたその賃貸借に係る賃料債務は不可分債務とならない。
総合メモ

遺産分割前に第三者に売却した財産の取り扱い 最二小判昭和52年9月19日

概要
共同相続人が全員の合意によって遺産を構成する特定不動産を第三者に売却した場合における代金債権は、各相続人の持分に応じて分割され、当該各相続人は、それぞれの持ち分に応じた代金債権を取得し、これを個々に請求することができる。
判例
事案:共同相続人がその全員の合意によって遺産を構成する特定不動産を第三者に売却した場合において、これにより生じた売買代金債権について、各相続人は相続分に応じて分割された権利を取得し、これを個々に請求することができるかが問題となった。

判旨:「共同相続人が全員の合意によつて遺産分割前に遺産を構成する特定不動産を第三者に売却したときは、その不動産は遺産分割の対象から逸出し、各相続人は第三者に対し持分に応じた代金債権を取得し、これを個々に請求することができる…。」
過去問・解説
(H26 共通 第34問 2)
共同相続人が全員の合意によって遺産分割前に遺産である土地を第三者に売却した場合において、その売買に係る代金債権は、不可分債権である。

(正答)

(解説)
判例(最判昭52.9.19)は、「共同相続人が全員の合意によつて遺産分割前に遺産を構成する特定不動産を第三者に売却したときは、その不動産は遺産分割の対象から逸出し、各相続人は第三者に対し持分に応じた代金債権を取得し、これを個々に請求することができる…。」と判示している。したがって、当該代金債権は、不可分債権ではなく、分割債権である。
総合メモ