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売買、交換
手付契約の解釈 最三小判昭和24年10月4日
過去問・解説
(H20 司法 第21問 ア)
売主Xと買主Yとの間の売買契約において手付が交付された。XY間の売買契約書に、違約をした場合には手付の没収又は倍返しをするという約定があったとしても、それだけでは手付による解除を排除する意思表示があったとはいえない。
売主Xと買主Yとの間の売買契約において手付が交付された。XY間の売買契約書に、違約をした場合には手付の没収又は倍返しをするという約定があったとしても、それだけでは手付による解除を排除する意思表示があったとはいえない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭24.10.4)は、本肢と同種の事案において、違約をした場合には手付の没収又は倍返しをするという約束があったとしても、それだけでは手付による解除の留保を規定する557条1項の適用は排除されない旨判示している。したがって、XY間の売買契約書に、違約をした場合には手付の没収又は倍返しをするという約定があったとしても、それだけでは手付による解除を排除する意思表示があったとはいえない。
判例(最判昭24.10.4)は、本肢と同種の事案において、違約をした場合には手付の没収又は倍返しをするという約束があったとしても、それだけでは手付による解除の留保を規定する557条1項の適用は排除されない旨判示している。したがって、XY間の売買契約書に、違約をした場合には手付の没収又は倍返しをするという約定があったとしても、それだけでは手付による解除を排除する意思表示があったとはいえない。
総合メモ
解約手付と主張立証責任 最一小判昭和29年1月21日
概要
売買の手付は、特別の意思表示がない限り、いわゆる解約手付(557条1項)と推定され、これと異なる効力を有する手付であることを主張しようとするものは、当該特別の意思表示が存在することを主張立証しなければならない。
判例
事案:売買の手付が、いわゆる解約手付(557条1項)と推定されるのかが問題となった。
判旨:「売買の当事者間に手附が授受された場合において、特別の意思表示がない限り、民法557条に定めている効力、すなわちいわゆる解約手附としての効力を有するものと認むべきである。これと異る効力を有する手附であることを主張せんとする者は、前記特別の意思表示の存することを主張・立証すべき責任があると解するのが相当である。」
判旨:「売買の当事者間に手附が授受された場合において、特別の意思表示がない限り、民法557条に定めている効力、すなわちいわゆる解約手附としての効力を有するものと認むべきである。これと異る効力を有する手附であることを主張せんとする者は、前記特別の意思表示の存することを主張・立証すべき責任があると解するのが相当である。」
過去問・解説
(H20 司法 第21問 イ)
売主Xと買主Yとの間の売買契約において手付が交付された。Yが手付を放棄して売買契約を解除したと訴訟において主張するためには、YがXとの間で売買契約に付随して解約手付の趣旨で手付金を交付する合意をしたことを主張する必要がある。
売主Xと買主Yとの間の売買契約において手付が交付された。Yが手付を放棄して売買契約を解除したと訴訟において主張するためには、YがXとの間で売買契約に付随して解約手付の趣旨で手付金を交付する合意をしたことを主張する必要がある。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭29.1.21)は、「売買の当事者間に手附が授受された場合において、特別の意思表示がない限り、民法557条に定めている効力、すなわちいわゆる解約手附としての効力を有するものと認むべきである。これと異る効力を有する手附であることを主張せんとする者は、前記特別の意思表示の存することを主張・立証すべき責任があると解するのが相当である。」と判示している。したがって、売主Xと買主Yとの間の売買契約において手付が交付されれば、当該手付はいわゆる解約手付(557条1項)と推定されるから、Yが手付を放棄して売買契約を解除したと訴訟において主張するためには、YがXとの間で売買契約に付随して解約手付の趣旨で手付金を交付する合意をしたことを主張する必要はない。
判例(最判昭29.1.21)は、「売買の当事者間に手附が授受された場合において、特別の意思表示がない限り、民法557条に定めている効力、すなわちいわゆる解約手附としての効力を有するものと認むべきである。これと異る効力を有する手附であることを主張せんとする者は、前記特別の意思表示の存することを主張・立証すべき責任があると解するのが相当である。」と判示している。したがって、売主Xと買主Yとの間の売買契約において手付が交付されれば、当該手付はいわゆる解約手付(557条1項)と推定されるから、Yが手付を放棄して売買契約を解除したと訴訟において主張するためには、YがXとの間で売買契約に付随して解約手付の趣旨で手付金を交付する合意をしたことを主張する必要はない。
(H20 司法 第21問 エ)
売主Xと買主Yとの間の売買契約において手付が交付された。Xが手付による解除の抗弁を訴訟において主張する場合、Yは、XとYが解除権の留保をしない旨の合意をしたこと、又は、X若しくはYがXの解除の意思表示に先立ち履行に着手したことを再抗弁とすることができる。
売主Xと買主Yとの間の売買契約において手付が交付された。Xが手付による解除の抗弁を訴訟において主張する場合、Yは、XとYが解除権の留保をしない旨の合意をしたこと、又は、X若しくはYがXの解除の意思表示に先立ち履行に着手したことを再抗弁とすることができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭29.1.21)は、「売買の当事者間に手附が授受された場合において、特別の意思表示がない限り、民法557条に定めている効力、すなわちいわゆる解約手附としての効力を有するものと認むべきである。これと異る効力を有する手附であることを主張せんとする者は、前記特別の意思表示の存することを主張・立証すべき責任があると解するのが相当である。」と判示している。したがって、Xが手付による解除の抗弁を訴訟において主張する場合、Yは、XとYが解除権の留保をしない旨の合意をしたことを再抗弁とすることができる。よって、本肢前段は正しい。
一方、557条1項は、「買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。」と規定している。したがって、Yが再抗弁とすることができるのは、Y自身が解除の意思表示に先立ち履行に着手したことに限られ、Xが解除の意思表示に先立ち履行に着手したことを再抗弁とすることはできない。よって、本肢後段は誤っている。
判例(最判昭29.1.21)は、「売買の当事者間に手附が授受された場合において、特別の意思表示がない限り、民法557条に定めている効力、すなわちいわゆる解約手附としての効力を有するものと認むべきである。これと異る効力を有する手附であることを主張せんとする者は、前記特別の意思表示の存することを主張・立証すべき責任があると解するのが相当である。」と判示している。したがって、Xが手付による解除の抗弁を訴訟において主張する場合、Yは、XとYが解除権の留保をしない旨の合意をしたことを再抗弁とすることができる。よって、本肢前段は正しい。
一方、557条1項は、「買主が売主に手付を交付したときは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を現実に提供して、契約の解除をすることができる。ただし、その相手方が契約の履行に着手した後は、この限りでない。」と規定している。したがって、Yが再抗弁とすることができるのは、Y自身が解除の意思表示に先立ち履行に着手したことに限られ、Xが解除の意思表示に先立ち履行に着手したことを再抗弁とすることはできない。よって、本肢後段は誤っている。
(R4 司法 第24問 ア)
売買契約において交付された手付は、解約手付と推定される。
売買契約において交付された手付は、解約手付と推定される。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭29.1.21)は、「売買の当事者間に手附が授受された場合において、特別の意思表示がない限り、民法557条に定めている効力、すなわちいわゆる解約手附としての効力を有するものと認むべきである。」と判示している。
判例(最判昭29.1.21)は、「売買の当事者間に手附が授受された場合において、特別の意思表示がない限り、民法557条に定めている効力、すなわちいわゆる解約手附としての効力を有するものと認むべきである。」と判示している。
総合メモ
解約手付と解除権 最大判昭和40年11月24日
過去問・解説
(H19 司法 第24問 2)
Aは、その所有する甲土地をBに売却する契約(以下「本契約」という。)を結び、BはAに手付を交付した。甲土地は乙土地の一部であったが、Aが乙土地から甲土地を分筆する登記手続をしたときは、Bは、本契約を手付により解除することはできない。
Aは、その所有する甲土地をBに売却する契約(以下「本契約」という。)を結び、BはAに手付を交付した。甲土地は乙土地の一部であったが、Aが乙土地から甲土地を分筆する登記手続をしたときは、Bは、本契約を手付により解除することはできない。
(正答)〇
(解説)
判例(最大判昭40.11.24)は、「民法557条1項にいう履行の着手とは、債務の内容たる給付の実行に着手すること、すなわち、客観的に外部から認識し得るような形で履行行為の一部をなし又は履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合を指す…。」と判示している。Aが乙土地から甲土地を分筆する登記手続をしたときは、当該行為は履行の提供をするために書くことのできない前提行為であるといえるから、「履行に着手した」(557条1項ただし書)といえる。したがって、Bは、本契約を手付により解除することはできない。
判例(最大判昭40.11.24)は、「民法557条1項にいう履行の着手とは、債務の内容たる給付の実行に着手すること、すなわち、客観的に外部から認識し得るような形で履行行為の一部をなし又は履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合を指す…。」と判示している。Aが乙土地から甲土地を分筆する登記手続をしたときは、当該行為は履行の提供をするために書くことのできない前提行為であるといえるから、「履行に着手した」(557条1項ただし書)といえる。したがって、Bは、本契約を手付により解除することはできない。
(H19 司法 第24問 4)
Aは、その所有する甲土地をBに売却する契約(以下「本契約」という。)を結び、BはAに手付を交付した。Aが本契約を結んだ翌日、甲土地の売却代金を購入代金に充てる資金計画の下で、Cの所有する土地をCから購入する契約を結んだ場合、Bは、本契約を手付により解除することはできない。
Aは、その所有する甲土地をBに売却する契約(以下「本契約」という。)を結び、BはAに手付を交付した。Aが本契約を結んだ翌日、甲土地の売却代金を購入代金に充てる資金計画の下で、Cの所有する土地をCから購入する契約を結んだ場合、Bは、本契約を手付により解除することはできない。
(正答)✕
(解説)
判例(最大判昭40.11.24)は、「民法557条1項にいう履行の着手とは、債務の内容たる給付の実行に着手すること、すなわち、客観的に外部から認識し得るような形で履行行為の一部をなし又は履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合を指す…。」と判示している。本肢においては、Aが本契約を結んだ翌日、甲土地の売却代金を購入代金に充てる資金計画の下で、Cの所有する土地をCから購入する契約を結んているところ、当該行為は、履行行為の一部を成す行為でも、履行の提供をするために書くことのできない前提行為でもない。したがって、Aの当該行為をもって、「履行に着手した」(557条1項ただし書)とはいえず、Bは、本契約を手付により解除することができる。
判例(最大判昭40.11.24)は、「民法557条1項にいう履行の着手とは、債務の内容たる給付の実行に着手すること、すなわち、客観的に外部から認識し得るような形で履行行為の一部をなし又は履行の提供をするために欠くことのできない前提行為をした場合を指す…。」と判示している。本肢においては、Aが本契約を結んだ翌日、甲土地の売却代金を購入代金に充てる資金計画の下で、Cの所有する土地をCから購入する契約を結んているところ、当該行為は、履行行為の一部を成す行為でも、履行の提供をするために書くことのできない前提行為でもない。したがって、Aの当該行為をもって、「履行に着手した」(557条1項ただし書)とはいえず、Bは、本契約を手付により解除することができる。
総合メモ
特定物の他人物売買契約の所有物の移転時期 大判大正8年7月5日
概要
売買の目的物が他人所有の特定物である場合、売主が後日その物の所有権を取得したときには、当事者の何らの意思表示を要せず、その物は当然に直ちに買主の所有に帰する。
判例
事案:売買の目的物が他人所有の特定物である場合において、売主が後日その物の所有権を取得したとき、その物の所有権は当然に買主に帰属することとなるかが問題となった。
判旨:「他人ノ物ヲ自己ノ所有ニ属スルモノト誤信シ之ヲ第三者ニ売却シタル場合ハ民法第562条ニ規定セル売主カ契約ノ当時其売却シタル権利ノ自己ニ属セサルコトヲ知ラサリシ場合ニ該当スルカ故ニ同法第560条ニ従ヒ売主ハ其権利ヲ取得シテ之ヲ買主ニ移転スルノ義務ヲ有スルモノニシテ而テ其売買ノ目的タル物カ他人所有ノ特定物ナル場合ニ売主カ後日其物ノ所有権ヲ取得スルニ至リタルトキハ当事者ニ於テ更ニ何等ノ意思表示ヲ為スコトヲ要セス其物ハ当然直ニ買主ノ所有ニ帰スルモノトス蓋シ売買ニ因リテ所有権ヲ移転スルニハ売買契約ノ外尚所有権ノ移轂ヲ目的トスル物権契約ヲ締結スルコトヲ必要トスル法制ニ在リテハ叙上ノ場合ニ売主ハ更ニ買主ニ対シ所有権ヲ移轂スヘキ意思表示ヲ為スコトヲ要スルハ当然ナレトモ我民法ノ如ク特定物ニ関スル所有権ハ売買ノ意思表示ニ依リテ直ニ買主ニ移転スヘキ法制ノ下ニ在リテハ上記売買ノ目的タル第三者所有ノ特定物ノ所有権カ売主ニ帰属スルニ至リタルトキハ売買ノ効力ハ直ニ実現シ其物ノ所有権ハ何等ノ意思表示ヲ為スコトナク当然直ニ買主ニ移轂スル。」
判旨:「他人ノ物ヲ自己ノ所有ニ属スルモノト誤信シ之ヲ第三者ニ売却シタル場合ハ民法第562条ニ規定セル売主カ契約ノ当時其売却シタル権利ノ自己ニ属セサルコトヲ知ラサリシ場合ニ該当スルカ故ニ同法第560条ニ従ヒ売主ハ其権利ヲ取得シテ之ヲ買主ニ移転スルノ義務ヲ有スルモノニシテ而テ其売買ノ目的タル物カ他人所有ノ特定物ナル場合ニ売主カ後日其物ノ所有権ヲ取得スルニ至リタルトキハ当事者ニ於テ更ニ何等ノ意思表示ヲ為スコトヲ要セス其物ハ当然直ニ買主ノ所有ニ帰スルモノトス蓋シ売買ニ因リテ所有権ヲ移転スルニハ売買契約ノ外尚所有権ノ移轂ヲ目的トスル物権契約ヲ締結スルコトヲ必要トスル法制ニ在リテハ叙上ノ場合ニ売主ハ更ニ買主ニ対シ所有権ヲ移轂スヘキ意思表示ヲ為スコトヲ要スルハ当然ナレトモ我民法ノ如ク特定物ニ関スル所有権ハ売買ノ意思表示ニ依リテ直ニ買主ニ移転スヘキ法制ノ下ニ在リテハ上記売買ノ目的タル第三者所有ノ特定物ノ所有権カ売主ニ帰属スルニ至リタルトキハ売買ノ効力ハ直ニ実現シ其物ノ所有権ハ何等ノ意思表示ヲ為スコトナク当然直ニ買主ニ移轂スル。」
過去問・解説
(H21 司法 第27問 エ)
Aが所有する甲不動産について、Bを売主とし、Cを買主とする売買契約が成立した。甲不動産の所有権は売買契約成立時にBからCに移転するが、BがAから所有権を取得することができないため売買契約が解除された場合は、甲不動産の所有権はCからAに直接復帰する。
Aが所有する甲不動産について、Bを売主とし、Cを買主とする売買契約が成立した。甲不動産の所有権は売買契約成立時にBからCに移転するが、BがAから所有権を取得することができないため売買契約が解除された場合は、甲不動産の所有権はCからAに直接復帰する。
(正答)✕
(解説)
判例(大判大8.7.5)は、売買の目的物が他人所有の特定物である場合、売主が後日その物の所有権を取得したときには、当事者の何らの意思表示を要せず、その物は当然に直ちに買主の所有に帰する旨判示している。したがって、Aが所有する甲不動産について、Bを売主とし、Cを買主とする売買契約が成立した場合には、甲不動産の所有権は、当該売買契約成立時ではなく、BがAから甲不動産の所有権を取得したときに初めてBからCに移転する。
判例(大判大8.7.5)は、売買の目的物が他人所有の特定物である場合、売主が後日その物の所有権を取得したときには、当事者の何らの意思表示を要せず、その物は当然に直ちに買主の所有に帰する旨判示している。したがって、Aが所有する甲不動産について、Bを売主とし、Cを買主とする売買契約が成立した場合には、甲不動産の所有権は、当該売買契約成立時ではなく、BがAから甲不動産の所有権を取得したときに初めてBからCに移転する。
総合メモ
特定物の他人物売買契約の所有物の移転時期 最二小判昭和40年11月19日
概要
他人物売買(561条)の売主が目的物の所有権を後日他人から取得した時は、特段の約定がない限り、同目的物の所有権は、なんらの意思表示がなくても、売主の所有権取得と同時に買主に移転する。
判例
事案:他人物売買(561条)の売主が目的物の所有権を後日他人から取得した場合において、当該目的物の所有権が、当然に買主に移転するかが問題となった。
判旨:「AよりCへの本件物件の所有権…移転の時期、方法につき特段の約定ないし意思表示がない限り…、Bが昭和36年7月8日Aより本件物件の所有権を取得すると同時にCがBより本件物件の所有権を取得…するに至つたものと解すべきである(被控訴人の所有権取得につき、大審院大正8年(オ)第114号大正8年7月5日判決、民録25輯1258頁参照)。」
判旨:「AよりCへの本件物件の所有権…移転の時期、方法につき特段の約定ないし意思表示がない限り…、Bが昭和36年7月8日Aより本件物件の所有権を取得すると同時にCがBより本件物件の所有権を取得…するに至つたものと解すべきである(被控訴人の所有権取得につき、大審院大正8年(オ)第114号大正8年7月5日判決、民録25輯1258頁参照)。」
総合メモ
他人の権利の売主をその権利者が相続した場合と売主としての履行義務 最大判昭和49年9月4日
概要
他人の権利の売主が死亡し、その権利者において当該売主を相続した場合には、当該権利者は相続により売主の売買契約上の義務ないし地位を承継するが、相続前と同様その権利の移転につき諾否の自由を保有するから、信義則に反すると認められるような特別の事情のないかぎり、履行義務を拒否することができる。
判例
事案:他人の権利の売主をその権利者が相続した場合において、当該権利者が、相続により承継した売主としての履行義務を拒否することができるかが問題となった。
判旨:「他人の権利の売主が死亡し、その権利者において売主を相続した場合には、権利者は相続により売主の売買契約上の義務ないし地位を承継するが、そのために権利者自身が売買契約を締結したことになるものでないことはもちろん、これによつて売買の目的とされた権利が当然に買主に移転するものと解すべき根拠もない。また、権利者は、その権利により、相続人として承継した売主の履行義務を直ちに履行することができるが、他面において、権利者としてその権利の移転につき諾否の自由を保有しているのであつて、それが相続による売主の義務の承継という偶然の事由によつて左右されるべき理由はなく、また権利者がその権利の移転を拒否したからといつて買主が不測の不利益を受けるというわけでもない。それゆえ、権利者は、相続によつて売主の義務ないし地位を承継しても、相続前と同様その権利の移転につき諾否の自由を保有し、信義則に反すると認められるような特別の事情のないかぎり、右売買契約上の売主としての履行義務を拒否することができるものと解するのが、相当である。」
判旨:「他人の権利の売主が死亡し、その権利者において売主を相続した場合には、権利者は相続により売主の売買契約上の義務ないし地位を承継するが、そのために権利者自身が売買契約を締結したことになるものでないことはもちろん、これによつて売買の目的とされた権利が当然に買主に移転するものと解すべき根拠もない。また、権利者は、その権利により、相続人として承継した売主の履行義務を直ちに履行することができるが、他面において、権利者としてその権利の移転につき諾否の自由を保有しているのであつて、それが相続による売主の義務の承継という偶然の事由によつて左右されるべき理由はなく、また権利者がその権利の移転を拒否したからといつて買主が不測の不利益を受けるというわけでもない。それゆえ、権利者は、相続によつて売主の義務ないし地位を承継しても、相続前と同様その権利の移転につき諾否の自由を保有し、信義則に反すると認められるような特別の事情のないかぎり、右売買契約上の売主としての履行義務を拒否することができるものと解するのが、相当である。」
過去問・解説
(H29 司法 第27問 イ)
A所有の甲土地をBがCに対して売り渡す旨の契約が締結された場合において、Bが死亡し、AがBを単独で相続したときは、Aは、Cに対し、甲土地の売主としての履行を拒むことはできない。
A所有の甲土地をBがCに対して売り渡す旨の契約が締結された場合において、Bが死亡し、AがBを単独で相続したときは、Aは、Cに対し、甲土地の売主としての履行を拒むことはできない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭49.9.4)は、 他人の権利の売主が死亡し、その権利者において当該売主を相続した場合には、当該権利者は相続により売主の売買契約上の義務ないし地位を承継するが、相続前と同様その権利の移転につき諾否の自由を保有するから、信義則に反すると認められるような特別の事情のないかぎり、履行義務を拒否することができる旨判示している。したがって、A所有の甲土地をBがCに対して売り渡す旨の契約が締結された場合において、Bが死亡し、AがBを単独で相続したときであっても、信義則に反すると認められるような特段の事情が見受けられない本肢においては、Aは、Cに対し、甲土地の売主としての履行を拒むことができる。
判例(最判昭49.9.4)は、 他人の権利の売主が死亡し、その権利者において当該売主を相続した場合には、当該権利者は相続により売主の売買契約上の義務ないし地位を承継するが、相続前と同様その権利の移転につき諾否の自由を保有するから、信義則に反すると認められるような特別の事情のないかぎり、履行義務を拒否することができる旨判示している。したがって、A所有の甲土地をBがCに対して売り渡す旨の契約が締結された場合において、Bが死亡し、AがBを単独で相続したときであっても、信義則に反すると認められるような特段の事情が見受けられない本肢においては、Aは、Cに対し、甲土地の売主としての履行を拒むことができる。
総合メモ
借地権付建物売買における土地の瑕疵担保責任は売主にあるか 最三小判平成3年4月2日
概要
建物とその敷地の賃借権とが売買の目的とされた場合において、土地賃貸人が修繕義務を負担すべき敷地の欠陥は、当該売買契約の目的物である建物の隠れた瑕疵には当たらない。
判例
事案:敷地賃借権付き建物の売買における敷地の欠陥が、当該売買契約の目的物である建物の隠れた瑕疵に当たるかが問題となった。
判旨:「建物とその敷地の賃借権とが売買の目的とされた場合において、右敷地についてその賃貸人において修繕義務を負担すべき欠陥が右売買契約当時に存したことがその後に判明したとしても、右売買の目的物に隠れた瑕疵があるということはできない。けだし、右の場合において、建物と共に売買の目的とされたものは、建物の敷地そのものではなく、その賃借権であるところ、敷地の面積の不足、敷地に関する法的規制又は賃貸借契約における使用方法の制限等の客観的事由によって賃借権が制約を受けて売買の目的を達することができないときは、建物と共に売買の目的とされた賃借権に瑕疵があると解する余地があるとしても、賃貸人の修繕義務の履行により補完されるべき敷地の欠陥については、賃貸人に対してその修繕を請求すべきものであって、右敷地の欠陥をもって賃貸人に対する債権としての賃借権の欠陥ということはできないから、買主が、売買によって取得した賃借人たる地位に基づいて、賃貸人に対して、右修繕義務の履行を請求し、あるいは賃貸借の目的物に隠れた瑕疵があるとして瑕疵担保責任を追求することは格別、売買の目的物に瑕疵があるということはできないのである。なお、右の理は、債権の売買において、債務の履行を最終的に担保する債務者の資力の欠如が債権の瑕疵に当たらず、売主が当然に債務の履行について担保責任を負担するものではないこと(民法569条参照)との対比からしても、明らかである。」
判旨:「建物とその敷地の賃借権とが売買の目的とされた場合において、右敷地についてその賃貸人において修繕義務を負担すべき欠陥が右売買契約当時に存したことがその後に判明したとしても、右売買の目的物に隠れた瑕疵があるということはできない。けだし、右の場合において、建物と共に売買の目的とされたものは、建物の敷地そのものではなく、その賃借権であるところ、敷地の面積の不足、敷地に関する法的規制又は賃貸借契約における使用方法の制限等の客観的事由によって賃借権が制約を受けて売買の目的を達することができないときは、建物と共に売買の目的とされた賃借権に瑕疵があると解する余地があるとしても、賃貸人の修繕義務の履行により補完されるべき敷地の欠陥については、賃貸人に対してその修繕を請求すべきものであって、右敷地の欠陥をもって賃貸人に対する債権としての賃借権の欠陥ということはできないから、買主が、売買によって取得した賃借人たる地位に基づいて、賃貸人に対して、右修繕義務の履行を請求し、あるいは賃貸借の目的物に隠れた瑕疵があるとして瑕疵担保責任を追求することは格別、売買の目的物に瑕疵があるということはできないのである。なお、右の理は、債権の売買において、債務の履行を最終的に担保する債務者の資力の欠如が債権の瑕疵に当たらず、売主が当然に債務の履行について担保責任を負担するものではないこと(民法569条参照)との対比からしても、明らかである。」
過去問・解説
(H28 司法 第24問 ウ)
建物とその敷地の賃借権とが売買契約の目的とされた場合には、敷地に欠陥があり、賃貸人がその欠陥について修繕義務を負担するときであっても、買主は、売主に対し、その欠陥が売買の目的物の隠れた瑕疵に該当することを理由として瑕疵担保責任を追及することができる。
建物とその敷地の賃借権とが売買契約の目的とされた場合には、敷地に欠陥があり、賃貸人がその欠陥について修繕義務を負担するときであっても、買主は、売主に対し、その欠陥が売買の目的物の隠れた瑕疵に該当することを理由として瑕疵担保責任を追及することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平3.4.2)は、「建物とその敷地の賃借権とが売買の目的とされた場合において、右敷地についてその賃貸人において修繕義務を負担すべき欠陥が右売買契約当時に存したことがその後に判明したとしても、右売買の目的物に隠れた瑕疵があるということはできない。」と判示している。したがって、建物とその敷地の賃借権とが売買契約の目的とされた場合において、敷地に欠陥があり、賃貸人がその欠陥について修繕義務を負担するときは、買主は、売主に対し、その欠陥が売買の目的物の隠れた瑕疵に該当することを理由として瑕疵担保責任を追及することはできない。
判例(最判平3.4.2)は、「建物とその敷地の賃借権とが売買の目的とされた場合において、右敷地についてその賃貸人において修繕義務を負担すべき欠陥が右売買契約当時に存したことがその後に判明したとしても、右売買の目的物に隠れた瑕疵があるということはできない。」と判示している。したがって、建物とその敷地の賃借権とが売買契約の目的とされた場合において、敷地に欠陥があり、賃貸人がその欠陥について修繕義務を負担するときは、買主は、売主に対し、その欠陥が売買の目的物の隠れた瑕疵に該当することを理由として瑕疵担保責任を追及することはできない。
総合メモ
数量指示売買において数量が多すぎた場合における代金増額請求の可否 最三小判平成13年11月27日
概要
いわゆる数量指示売買において数量が超過する場合、売主は565条の類推適用を根拠として代金の増額を請求することはできない。
判例
事案:いわゆる数量指示売買において数量が超過する場合において、565条を類推適用して売主が代金の増額を請求することができるかどうかが問題となった。
判旨:「民法565条にいういわゆる数量指示売買において数量が超過する場合、買主において超過部分の代金を追加して支払うとの趣旨の合意を認め得るときに売主が追加代金を請求し得ることはいうまでもない。しかしながら、同条は数量指示売買において数量が不足する場合又は物の一部が滅失していた場合における売主の担保責任を定めた規定にすぎないから、数量指示売買において数量が超過する場合に、同条の類推適用を根拠として売主が代金の増額を請求することはできないと解するのが相当である。」
判旨:「民法565条にいういわゆる数量指示売買において数量が超過する場合、買主において超過部分の代金を追加して支払うとの趣旨の合意を認め得るときに売主が追加代金を請求し得ることはいうまでもない。しかしながら、同条は数量指示売買において数量が不足する場合又は物の一部が滅失していた場合における売主の担保責任を定めた規定にすぎないから、数量指示売買において数量が超過する場合に、同条の類推適用を根拠として売主が代金の増額を請求することはできないと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H18 司法 第1問 4)
数量指示売買において数量が多すぎた場合、売主は、民法の担保責任の規定の類推適用を根拠として代金増額を請求することはできない。
数量指示売買において数量が多すぎた場合、売主は、民法の担保責任の規定の類推適用を根拠として代金増額を請求することはできない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判平13.11.27)は、「民法565条にいういわゆる数量指示売買において数量が超過する場合、買主において超過部分の代金を追加して支払うとの趣旨の合意を認め得るときに売主が追加代金を請求し得ることはいうまでもない。しかしながら、同条は数量指示売買において数量が不足する場合又は物の一部が滅失していた場合における売主の担保責任を定めた規定にすぎないから、数量指示売買において数量が超過する場合に、同条の類推適用を根拠として売主が代金の増額を請求することはできないと解するのが相当である。」と判示している。
判例(最判平13.11.27)は、「民法565条にいういわゆる数量指示売買において数量が超過する場合、買主において超過部分の代金を追加して支払うとの趣旨の合意を認め得るときに売主が追加代金を請求し得ることはいうまでもない。しかしながら、同条は数量指示売買において数量が不足する場合又は物の一部が滅失していた場合における売主の担保責任を定めた規定にすぎないから、数量指示売買において数量が超過する場合に、同条の類推適用を根拠として売主が代金の増額を請求することはできないと解するのが相当である。」と判示している。
(H23 司法 第26問 4)
売買の目的物である土地の実際に有する数量を確保するため、売主が一定の面積を契約において表示し、かつ、この面積を基礎として代金が定められた売買において、実際の面積が超過する場合、売主は、契約締結時にその超過の事実を知らなかったときは、買主に対する意思表示により、超過した部分の割合に応じて代金の増額を請求することができる。
売買の目的物である土地の実際に有する数量を確保するため、売主が一定の面積を契約において表示し、かつ、この面積を基礎として代金が定められた売買において、実際の面積が超過する場合、売主は、契約締結時にその超過の事実を知らなかったときは、買主に対する意思表示により、超過した部分の割合に応じて代金の増額を請求することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平13.11.27)は、「民法565条にいういわゆる数量指示売買において数量が超過する場合、買主において超過部分の代金を追加して支払うとの趣旨の合意を認め得るときに売主が追加代金を請求し得ることはいうまでもない。しかしながら、同条は数量指示売買において数量が不足する場合又は物の一部が滅失していた場合における売主の担保責任を定めた規定にすぎないから、数量指示売買において数量が超過する場合に、同条の類推適用を根拠として売主が代金の増額を請求することはできないと解するのが相当である。」と判示している。
判例(最判平13.11.27)は、「民法565条にいういわゆる数量指示売買において数量が超過する場合、買主において超過部分の代金を追加して支払うとの趣旨の合意を認め得るときに売主が追加代金を請求し得ることはいうまでもない。しかしながら、同条は数量指示売買において数量が不足する場合又は物の一部が滅失していた場合における売主の担保責任を定めた規定にすぎないから、数量指示売買において数量が超過する場合に、同条の類推適用を根拠として売主が代金の増額を請求することはできないと解するのが相当である。」と判示している。
(H25 共通 第24問 ウ)
判例によれば、数量を指示してした土地の売買において数量が超過する場合には、売主は、数量が不足する場合の代金の減額に関する民法の規定の類推適用により、代金の増額を請求することができる。
判例によれば、数量を指示してした土地の売買において数量が超過する場合には、売主は、数量が不足する場合の代金の減額に関する民法の規定の類推適用により、代金の増額を請求することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平13.11.27)は、「民法565条にいういわゆる数量指示売買において数量が超過する場合、買主において超過部分の代金を追加して支払うとの趣旨の合意を認め得るときに売主が追加代金を請求し得ることはいうまでもない。しかしながら、同条は数量指示売買において数量が不足する場合又は物の一部が滅失していた場合における売主の担保責任を定めた規定にすぎないから、数量指示売買において数量が超過する場合に、同条の類推適用を根拠として売主が代金の増額を請求することはできないと解するのが相当である。」と判示している。
判例(最判平13.11.27)は、「民法565条にいういわゆる数量指示売買において数量が超過する場合、買主において超過部分の代金を追加して支払うとの趣旨の合意を認め得るときに売主が追加代金を請求し得ることはいうまでもない。しかしながら、同条は数量指示売買において数量が不足する場合又は物の一部が滅失していた場合における売主の担保責任を定めた規定にすぎないから、数量指示売買において数量が超過する場合に、同条の類推適用を根拠として売主が代金の増額を請求することはできないと解するのが相当である。」と判示している。
総合メモ
譲渡する意思のない売買契約 最一小判昭和25年10月26日
概要
他人物売買において、その目的物の所有者が、売買成立当時からその物を他に譲渡する意思がなく、したがって売主が目的物を取得し買主に移転することができないような場合であっても、当該他人物売買契約は有効に成立する。
判例
事案:他人物売買において、その目的物の所有者が、売買成立当時から当該目的物を他に譲渡する意思がなく、したがって売主においてこれを取得し買主に移転することができないような場合でも、当該他人物売買契約は有効に成立するかが問題となった。
判旨:「他人の物の売買にあっては、その目的物の所有者が売買成立当時からその物を他に譲渡する意思がなく、従って売主においてこれを取得し買主に移転することができないような場合であってもなおその売買契約は有効に成立するものといわなければならない。」
判旨:「他人の物の売買にあっては、その目的物の所有者が売買成立当時からその物を他に譲渡する意思がなく、従って売主においてこれを取得し買主に移転することができないような場合であってもなおその売買契約は有効に成立するものといわなければならない。」
過去問・解説
(H21 司法 第27問 ア)
Aが所有する甲不動産について、Bを売主とし、Cを買主とする売買契約が成立した場合において、BC間の売買契約が成立した当時からAに甲不動産を他に譲渡する意思がなく、したがってBにおいて甲不動産を取得しCに移転することができないような場合であっても、なおその売買契約は有効に成立する。
Aが所有する甲不動産について、Bを売主とし、Cを買主とする売買契約が成立した場合において、BC間の売買契約が成立した当時からAに甲不動産を他に譲渡する意思がなく、したがってBにおいて甲不動産を取得しCに移転することができないような場合であっても、なおその売買契約は有効に成立する。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭25.10.26)は、本肢と同種の事案において、「他人の物の売買にあっては、その目的物の所有者が売買成立当時からその物を他に譲渡する意思がなく、従って売主においてこれを取得し買主に移転することができないような場合であってもなおその売買契約は有効に成立するものといわなければならない。」と判示している。
判例(最判昭25.10.26)は、本肢と同種の事案において、「他人の物の売買にあっては、その目的物の所有者が売買成立当時からその物を他に譲渡する意思がなく、従って売主においてこれを取得し買主に移転することができないような場合であってもなおその売買契約は有効に成立するものといわなければならない。」と判示している。
総合メモ
目的物を引き渡した後の574条の適用 大判昭和2年12月27日
過去問・解説
(H26 共通 第23問 ア)
買主は、目的物の引渡しを先に受けた場合でも、目的物の引渡しを受けた場所において代金を支払わなければならない。
買主は、目的物の引渡しを先に受けた場合でも、目的物の引渡しを受けた場所において代金を支払わなければならない。
(正答)✕
(解説)
判例(大判昭2.12.27)は、574条は、代金支払の場所につき別段の定めがなく、かつ、目的物の引渡しと同時に代金を支払うべき関係が存在する場合に限って適用されるから、買主が目的物の引渡しを受けた後においては、同条は適用されない旨判示している。そうすると、買主が目的物の引渡しを先に受けた場合における買主の代金支払の場所については、一般原則である484条1項が適用されることになる。
そして、同項は、「弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、特定物の引渡しは債権発生の時にその物が存在した場所において、その他の弁済は債権者の現在の住所において、それぞれしなければならない。」と規定しており、売買代金の支払は、同項における「その他の弁済」に当たる。したがって、買主が、目的物の引渡しを先に受けた場合には、目的物の引渡しを受けた場所ではなく、売主の現在の住所において、代金を支払わなければならない。
判例(大判昭2.12.27)は、574条は、代金支払の場所につき別段の定めがなく、かつ、目的物の引渡しと同時に代金を支払うべき関係が存在する場合に限って適用されるから、買主が目的物の引渡しを受けた後においては、同条は適用されない旨判示している。そうすると、買主が目的物の引渡しを先に受けた場合における買主の代金支払の場所については、一般原則である484条1項が適用されることになる。
そして、同項は、「弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは、特定物の引渡しは債権発生の時にその物が存在した場所において、その他の弁済は債権者の現在の住所において、それぞれしなければならない。」と規定しており、売買代金の支払は、同項における「その他の弁済」に当たる。したがって、買主が、目的物の引渡しを先に受けた場合には、目的物の引渡しを受けた場所ではなく、売主の現在の住所において、代金を支払わなければならない。
総合メモ
代金支払後の売主の果実収受権 大判昭和7年3月3日
過去問・解説
(H26 共通 第23問 イ)
売主は、目的物の引渡しを遅滞している場合でも、引渡しまでは、これを使用し果実を取得することができるが、買主が代金を支払った後は、果実を取得することはできない。
売主は、目的物の引渡しを遅滞している場合でも、引渡しまでは、これを使用し果実を取得することができるが、買主が代金を支払った後は、果実を取得することはできない。
(正答)〇
(解説)
判例(大連判大13.9.24)は、売主は、目的物の引渡しを遅滞している場合でも、その引渡しをするまで当該目的物を使用し、その果実を収取することができる旨判示している。したがって、本肢前段は正しい。
そして、判例(大判昭7.3.3)は、既に買主から代金の支払いを受けておきながら、引き渡すべき目的物を買主に引き渡さず占有している売主は、当該目的物から生じる果実を取得することはできない旨判示している。したがって、本肢後段も正しい。
判例(大連判大13.9.24)は、売主は、目的物の引渡しを遅滞している場合でも、その引渡しをするまで当該目的物を使用し、その果実を収取することができる旨判示している。したがって、本肢前段は正しい。
そして、判例(大判昭7.3.3)は、既に買主から代金の支払いを受けておきながら、引き渡すべき目的物を買主に引き渡さず占有している売主は、当該目的物から生じる果実を取得することはできない旨判示している。したがって、本肢後段も正しい。
総合メモ
目的物の引渡しを遅滞している場合における果実収取権 大連判大正13年9月24日
概要
売主は、目的物の引渡しを遅滞している場合でも、その引渡しをするまで当該目的物を使用し、その果実を収取することができる。
判例
事案:売主が目的物の引渡しを遅滞している場合において、当該売主が当該目的物から生じる果実を収受することが認められるかどうかが問題となった。
判旨:「民法第575条第1項ニハ未タ引渡ササル売買ノ目的物カ果実ヲ生シタルトキハ其ノ果実ハ売主ニ属ストアリテ引渡ヲ為ササル事由ニ付何等ノ区別ヲ設ケサルノミナラス元来同条ハ売買ノ目的物ニ付其ノ引渡前ニ果実ヲ生シ若ハ売主カ目的物ヲ使用シタル場合ニ買主ヨリ売主ニ対シテ其ノ果実若ハ使用ノ対価ヲ請求スルコトヲ得セシムルトキハ売主ヨリ買主ニ対シテ目的物ノ管理及保存ニ要シタル費用ノ償還並代金ノ利息ヲ請求シ得ルコトトナリ相互間ニ錯雑ナル関係ヲ生スルニヨリ之ヲ避ケントスルノ趣旨ニ外ナラサルヲ以テ此ノ趣旨ヨリ推考スルモ同条ハ売買ノ目的物ノ引渡ニ付期限ノ定アリテ売主カ其ノ引渡ヲ遅滞シタルトキト雖其ノ引渡ヲ為ス迄ハ之ヲ使用シ且果実ヲ収得スルコトヲ得ヘキト同時ニ代金ノ支払ニ付期限ノ定アリテ買主カ其ノ支払ヲ遅滞シタルトキハ勿論同時履行ノ場合ニ於テ買主カ目的物ノ受領ヲ拒ミ遅滞ニ付セラレタルトキト雖目的物ノ引渡ヲ受クル迄ハ代金ノ利息ヲ支払フコトヲ要セサルモノト謂ハサルヘカラス。」
判旨:「民法第575条第1項ニハ未タ引渡ササル売買ノ目的物カ果実ヲ生シタルトキハ其ノ果実ハ売主ニ属ストアリテ引渡ヲ為ササル事由ニ付何等ノ区別ヲ設ケサルノミナラス元来同条ハ売買ノ目的物ニ付其ノ引渡前ニ果実ヲ生シ若ハ売主カ目的物ヲ使用シタル場合ニ買主ヨリ売主ニ対シテ其ノ果実若ハ使用ノ対価ヲ請求スルコトヲ得セシムルトキハ売主ヨリ買主ニ対シテ目的物ノ管理及保存ニ要シタル費用ノ償還並代金ノ利息ヲ請求シ得ルコトトナリ相互間ニ錯雑ナル関係ヲ生スルニヨリ之ヲ避ケントスルノ趣旨ニ外ナラサルヲ以テ此ノ趣旨ヨリ推考スルモ同条ハ売買ノ目的物ノ引渡ニ付期限ノ定アリテ売主カ其ノ引渡ヲ遅滞シタルトキト雖其ノ引渡ヲ為ス迄ハ之ヲ使用シ且果実ヲ収得スルコトヲ得ヘキト同時ニ代金ノ支払ニ付期限ノ定アリテ買主カ其ノ支払ヲ遅滞シタルトキハ勿論同時履行ノ場合ニ於テ買主カ目的物ノ受領ヲ拒ミ遅滞ニ付セラレタルトキト雖目的物ノ引渡ヲ受クル迄ハ代金ノ利息ヲ支払フコトヲ要セサルモノト謂ハサルヘカラス。」