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時効(時効の援用 145条) - 解答モード
保証人の消滅時効の援用 大判大正8年6月24日
概要
判例
判旨:「民法第145条ニ所謂当事者トハ時効ノ完成ニ依リ直接ニ利益ヲ受クヘキ者ヲ指称スルコトハ夙ニ当院ノ判例トシテ示ス所ニシテ当事者ノ数人アル場合ニ於テ其一人若クハ数人カ各自独立シテ時効ヲ援用スルコトヲ得ヘキヤ否ヤニ関シ一般ニ規定スル所ナシト雖モ其援用ノ方法ニ付キ何等之ヲ制限スル規定ノ存セサルト又我民法カ当事者ノ援用ヲ竢ツテ始メテ時効ニ依リ裁判ヲ為シ得ヘキ制度ヲ採用シタル精神ニ鑑ミルトキハ如上ノ場合ニ於テ各当事者ハ各自独立シテ時効ヲ援用スルコトヲ得ルト同時ニ裁判所ハ其援用シタル当事者ノ直接ニ受クヘキ利益ノ存スル部分ニ限リ時効ニ因リ裁判スルコトヲ得ヘク援用ナキ他ノ当事者ニ関スル部分ニ及ホスコトヲ得サルモノナリト解スルヲ妥当トス。」
過去問・解説
(R3 予備 第8問 イ)
AのBに対する1000万円の貸金債権(以下「甲債権」という。)につき、Cが保証した。Cが甲債権につき消滅時効を援用した場合でも、Bが消滅時効を援用しない限り、AはBに対して1000万円の支払を請求することができる。
時効完成後の時効の援用の可否 最大判昭和41年4月20日
概要
判例
判旨:「債務者が、自己の負担する債務について時効が完成したのちに、債権者に対し債務の承認をした以上、時効完成の事実を知らなかつたときでも、爾後その債務についてその完成した消滅時効の援用をすることは許されないものと解するのが相当である。けだし、時効の完成後、債務者が債務の承認をすることは、時効による債務消滅の主張と相容れない行為であり、相手方においても債務者はもはや時効の援用をしない趣旨であると考えるであろうから、その後においては債務者に時効の援用を認めないものと解するのが、信義則に照らし、相当であるからである。また、かく解しても、永続した社会秩序の維持を目的とする時効制度の存在理由に反するものでもない。」
過去問・解説
(H18 司法 第21問 1)
AのBに対する売買代金債権について時効期間が経過した後、Bが当該代金債務を承認した場合であっても、その債務を被担保債権とする抵当権を設定した物上保証人Cは、その債務について消滅時効を援用することができる。
(正答)〇
(解説)
判例(最大判昭41.4.20)は、「債務者が、自己の負担する債務について時効が完成したのちに、債権者に対し債務の承認をした以上、時効完成の事実を知らなかつたときでも、爾後その債務についてその完成した消滅時効の援用をすることは許されないものと解するのが相当である。」と判示している。
もっとも、時効完成後の債務承認による時効援用権の喪失は相対効であると解されており、時効期間が経過した後、Bが自己の債務を承認したとしても、これにより生じた時効援用権の喪失の効果は、Bの債務を被担保債権とする抵当権を設定した物上保証人Cに対して、影響を及ぼさない。したがって、Cは、Bの債務について消滅時効を援用することができる。
(H18 司法 第21問 4)
時効の完成後に、そのことに気付かないで債務を弁済した債務者は、債権者に対して、弁済金を不当利得として返還請求することができる。
(H20 司法 第7問 イ)
債務につき消滅時効が完成した後に、債務者が債務の承認をした以上、時効完成の事実を知らなかったときでも、以後その完成した消滅時効を援用することは許されない。
(H22 司法 第15問 エ)
ある債務の消滅時効の完成後に、債務者がそのことを知らずにその債務を弁済したときは、債務者は、不当利得として弁済金相当額の返還を請求することができる。
(H29 共通 第6問 オ)
債務者が、消滅時効完成後に債権者に対して債務を分割して支払う旨の申出をした場合には、時効完成の事実を知らなかったときでも、その後その時効を援用することは許されない。
債権者代位権と消滅時効の援用 最一小判昭和43年9月26日
概要
判例
判旨:「金銭債権の債権者は、その債務者が、他の債権者に対して負担する債務、または前記のように他人の債務のために物上保証人となつている場合にその被担保債権について、その消滅時効を援用しうる地位にあるのにこれを援用しないときは、債務者の資力が自己の債権の弁済を受けるについて十分でない事情にあるかぎり、その債権を保全するに必要な限度で、民法423条1項本文の規定により、債務者に代位して他の債権者に対する債務の消滅時効を援用することが許されるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H23 司法 第6問 5)
金銭債権の債権者は、債務者が無資力のときは、他の債権者が当該債務者に対して有する債権について、その消滅時効を、債権者代位権に基づいて援用することができる。
(H27 司法 第16問 4)
債権者は、債務者が第三者に対して負う債務について、債務者に代わってその消滅時効を援用することができない。
(R3 共通 第17問 エ)
債権者は、債務者が第三者に対して負う債務に係る消滅時効の援用権を代位行使することができない。
賃借人の消滅自己時効の援用 最三小判昭和44年7月15日
概要
判例
判旨:「民法145条は、時効の援用権者は当事者である旨を規定している。しかるに、本件についてみるに、上告人らの主張によれば、上告人らは、本件係争土地の所有権を時効取得すべき者またはその承継人から、右土地上に同人らが所有する本件建物を賃借しているにすぎない、というのである。されば、上告人らは、右土地の取得時効の完成によつて直接利益を受ける者ではないから、右土地の所有権の取得時効を援用することはできない。」
過去問・解説
(H28 共通 第5問 オ)
建物の敷地所有権の帰属につき争いがある場合において、その敷地上の建物の賃借人は、建物の賃貸人が敷地所有権を時効取得しなければ建物賃借権を失うときは、建物の賃貸人による敷地所有権の取得時効を援用することができる。
詐害行為の受益者と消滅時効の援用 最二小判平成10年6月22日
概要
判例
判旨:「民法145条所定の当事者として消滅時効を援用し得る者は、権利の消滅により直接利益を受ける者に限定されるところ(最高裁平成2年(オ)第742号同4年3月19日第一小法廷判決・民集46巻3号222頁参照)、詐害行為の受益者は、詐害行為取消権行使の直接の相手方とされている上、これが行使されると債権者との間で詐害行為が取り消され、同行為によって得ていた利益を失う関係にあり、その反面、詐害行為取消権を行使する債権者の債権が消滅すれば右の利益喪失を免れることができる地位にあるから、右債権者の債権の消滅によって直接利益を受ける者に当たり、右債権について消滅時効を援用することができるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H23 司法 第6問 3)
詐害行為の受益者は、詐害行為取消権を行使する債権者の債権について、その消滅時効を援用することができない。
(H28 共通 第5問 ウ)
詐害行為の受益者は、詐害行為取消権を行使している債権者の被保全債権について、その消滅時効を援用することができない。
清算金支払請求権の消滅時効の援用 最二小判平成11年2月26日
概要
判例
判旨:「譲渡担保権者から被担保債権の弁済期後に譲渡担保権の目的物を譲り受けた第三者は、譲渡担保権設定者が譲渡担保権者に対して有する清算金支払請求権につき、消滅時効を援用することができるものと解するのが相当である。」
後順位抵当権者と消滅時効の援用 最一小判平成11年10月21日
概要
判例
判旨:「民法145条所定の当事者として消滅時効を援用し得る者は、権利の消滅により直接利益を受ける者に限定されると解すべきである(最高裁昭和45年(オ)第719号同48年12月14日第二小法廷判決・民集27巻11号1586頁参照)。後順位抵当権者は、目的不動産の価格から先順位抵当権によって担保される債権額を控除した価額についてのみ優先して弁済を受ける地位を有するものである。もっとも、先順位抵当権の被担保債権が消滅すると、後順位抵当権者の抵当権の順位が上昇し、これによって被担保債権に対する配当額が増加することがあり得るが、この配当額の増加に対する期待は、抵当権の順位の上昇によってもたらされる反射的な利益にすぎないというべきである。そうすると、後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅により直接利益を受ける者に該当するものではなく、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができないものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H23 司法 第6問 4)
後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権について、その消滅時効を援用することができる。
(H28 共通 第5問 イ)
先順位抵当権の被担保債権の消滅により後順位抵当権者に対する配当額が増加する場合、当該後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平11.10.21)は、「先順位抵当権の被担保債権が消滅すると、後順位抵当権者の抵当権の順位が上昇し、これによって被担保債権に対する配当額が増加することがあり得るが、この配当額の増加に対する期待は、抵当権の順位の上昇によってもたらされる反射的な利益にすぎないというべきである。」と判示した上で、「後順位抵当権者は…、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができないものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、先順位抵当権の被担保債権の消滅により後順位抵当権者に対する配当額が増加する場合でも、当該後順位抵当権者は、先順位抵当権の被担保債権の消滅時効を援用することができない。