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担保物権(譲渡担保権) - 解答モード
構成部分の変動する集合動産と譲渡担保の目的 最一小判昭和54年2月15日
概要
判例
判旨:「構成部分の変動する集合動産についても、その種類、所在場所及び量的範囲を指定するなどなんらかの方法で目的物の範囲が特定される場合には、1個の集合物として譲渡担保の目的となりうるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(R1 司法 第16問 オ)
構成部分の変動する集合動産であっても、その種類、所在場所及び量的範囲を指定するなどの方法によって目的物の範囲が特定される場合には、1個の集合物として譲渡担保の目的とすることができる。
譲渡担保権の設定と不法占拠者に対する動産の返還請求 最三小判昭和57年9月28日
概要
判例
判旨:「譲渡担保は、債権担保のために目的物件の所有権を移転するものであるが、右所有権移転の効力は債権担保の目的を達するのに必要な範囲内においてのみ認められるのであつて、担保権者は、債務者が被担保債務の履行を遅滞したときに目的物件を処分する権能を取得し、この権能に基づいて目的物件を適正に評価された価額で 確定的に自己の所有に帰せしめ又は第三者に売却等することによって換価処分し、 優先的に被担保債務の弁済に充てることができるにとどまり、他方、設定者は、担保権者が右の換価処分を完結するまでは、被担保債務を弁済して目的物件についての完全な所有権を回復することができるのであるから(最高裁昭和39年(オ)第440号同41年4月28日第一小法廷判決・民集20巻4号900頁、同昭和42年(オ)第1279号同46年3月26日第一小法廷判決・民集25巻2号208頁、同昭和55年(オ)第153号同57年1月22日第二小法廷判決・民集36巻1号92頁参照)、正当な権原なく目的物件を占有する者がある場合には、特段の事情のない限り、設定者は、前記のような譲渡担保の趣旨及び効力に鑑み、右占有者に対してその返還を請求することができるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H29 司法 第14問 オ)
動産を目的とする譲渡担保権が設定されている場合、その設定者は、正当な権原なくその動産を占有する者に対し、その動産の返還を請求することができない。
(R5 共通 第16問 ウ)
設定者は、被担保債権が弁済されない限り、正当な権原なく目的物を占有する者に対し、その明渡しを請求することができない。
譲渡担保権により担保される債権の範囲 最三小判昭和61年7月15日
概要
判例
判旨:「譲渡担保権によって担保されるべき債権の範囲については、強行法規又は公序良俗に反しない限り、その設定契約の当事者間において自由にこれを定めることができ、第三者に対する関係においても、抵当権に関する民法374条又は根抵当権に関する同法398条の3の規定に準ずる制約を受けないものと解すべきである…。」
過去問・解説
(H23 司法 第16問 ウ)
譲渡担保権によって担保されるべき債権の範囲は、強行法規や公序良俗に反しない限り、設定契約の当事者間において元本、利息及び遅延損害金について自由に定めることができ、抵当権の場合におけるような制限はない。
帰属清算型の譲渡担保における清算金の有無及び額の確定時期 最一小判昭和62年2月12日
概要
判例
判旨:「帰属清算型の譲渡担保においては、債務者が債務の履行を遅滞し、債権者が債務者に対し目的不動産を確定的に自己の所有に帰せしめる旨の意思表示をしても、債権者が債務者に対して清算金の支払若しくはその提供又は目的不動産の適正評価額が債務の額を上回らない旨の通知をしない限り、債務者は受戻権を有し、債務の全額を弁済して譲渡担保権を消滅させることができるのであるから、債権者が単に右の意思表示をしただけでは、未だ債務消滅の効果を生ぜず、したがって清算金の有無及びその額が確定しないため、債権者の清算義務は具体的に確定しないものというべきである。もっとも、債権者が清算金の支払若しくはその提供又は目的不動産の適正評価額が債務の額を上回らない旨の通知をせず、かつ、債務者も債務の弁済をしないうちに、債権者が目的不動産を第三者に売却等をしたときは、債務者はその時点で受戻権ひいては目的不動産の所有権を終局的に失い、同時に被担保債権消滅の効果が発生するとともに、右時点を基準時として清算金の有無及びその額が確定されるものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H21 司法 第16問 ウ)
Aは、その所有する不動産を目的として、Aの債権者であるBのために譲渡担保権を設定し、所有権移転登記をした。譲渡担保が帰属清算型の場合は、清算金の有無及びその額は、BがAに対し、清算金の支払若しくはその提供をした時、又は目的不動産の適正評価額が債務額を上回らない旨を通知した時を基準として確定される。
譲渡担保の目的不動産の譲渡と受戻し 最三小判平成6年2月22日
概要
判例
判旨:「不動産を目的とする譲渡担保契約において、債務者が弁済期に債務の弁済をしない場合には、債権者は、右譲渡担保契約がいわゆる帰属清算型であると処分清算型であるとを問わず、目的物を処分する権能を取得するから、債権者がこの権能に基づいて目的物を第三者に譲渡したときは、原則として、譲受人は目的物の所有権を確定的に取得し、債務者は、清算金がある場合に債権者に対してその支払を求めることができるにとどまり、残債務を弁済して目的物を受け戻すことはできなくなるものと解するのが相当である(最高裁昭和46年(オ)第503号同49年10月23日大法廷判決・民集28巻7号1473頁、最高裁昭和60年(オ)568号同62年2月12日第一小法廷判決・民集41巻1号67頁参照)。この理は、譲渡を受けた第三者がいわゆる背信的悪意者に当たる場合であっても異なるところはない。けだし、そのように解さないと、権利関係の確定しない状態が続くばかりでなく、譲受人が背信的悪意者に当たるかどうかを確知し得る立場にあるとは限らない債権者に、不測の損害を被らせるおそれを生ずるからである。」
過去問・解説
(H21 司法 第16問 ア)
Aは、その所有する不動産を目的として、Aの債権者であるBのために譲渡担保権を設定し、所有権移転登記をした。Aが弁済期に債務を弁済しないため、Bが目的不動産を第三者に譲渡し所有権移転登記がされた場合、譲受人がいわゆる背信的悪意者であるときは、Aは残債務を弁済して目的不動産を受け戻し、譲受人に対し、所有権の回復を主張することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平6.2.22)は、譲渡担保権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を譲渡した場合には、譲渡担保契約が処分清算型であるか帰属清算型であるかを問わず、譲渡担保を設定した債務者は、目的不動産の譲受人がいわゆる背信的悪意者であるか否かにかかわらず、債務を弁済して目的不動産を受け戻すことができない旨判示している。したがって、Aが弁済期に債務を弁済しないため、Bが目的不動産を第三者に譲渡し所有権移転登記がされた場合、譲受人がいわゆる背信的悪意者であったとしても、Aは残債務を弁済して目的不動産を受け戻し、譲受人に対し、所有権の回復を主張することができない。
(H23 司法 第16問 エ)
債務者が債務の履行を遅滞したときは、帰属清算型の譲渡担保であっても、譲渡担保権者は、目的不動産を処分する権限を取得する。
(H27 司法 第14問 ウ)
不動産の譲渡担保において、債務者が弁済期にその譲渡担保権に係る債務を弁済しない場合、譲渡担保権者がその不動産を譲渡したときは、譲受人は確定的にその不動産の所有権を取得し、債務者は債務を弁済してその不動産を受け戻すことができない。
(R1 司法 第16問 ア)
債務者が弁済期に債務の弁済をしなかった場合において、不動産の譲渡担保権者が目的不動産を譲渡したときは、譲受人がいわゆる背信的悪意者に当たるときであっても、債務者は、残債務を弁済して目的不動産を受け戻すことができない。
(R2 共通 第14問 ア)
所有する土地に譲渡担保権を設定した債務者は、債務の弁済期が経過した後は、債権者が担保権の実行を完了する前であっても、債務の全額を弁済して目的物を受け戻すことはできない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平6.2.22)は、譲渡担保権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を譲渡した場合には、譲渡担保契約が処分清算型であるか帰属清算型であるかを問わず、譲渡担保を設定した債務者は、目的不動産の譲受人がいわゆる背信的悪意者であるか否かにかかわらず、債務を弁済して目的不動産を受け戻すことができない旨判示している。この判例に基づけば、弁済期後であっても目的不動産が譲渡されていなければ、譲渡担保を設定した債務者は、債務を弁済して目的不動産を受け戻すことができるといえる。本肢においては、債務の弁済期が経過しているものの、債権者が担保権の実行を完了する前であり、目的土地を第三者に譲渡していないため、債務者は、債務の全額を弁済して目的物を受け戻すことができる。
譲渡担保権者と抵当権消滅請求 最二小判平成7年11月10日
概要
判例
判旨:「譲渡担保権者は、担保権を実行して確定的に抵当不動産の所有権を取得しない限り、民法378条所定の滌除権者たる第三取得者には該当せず、抵当権を滌除することができないものと解するのが相当である。けだし、滌除は、抵当不動産を適宜に評価した金額を抵当権者に弁済することにより抵当権の消滅を要求する権限を抵当不動産の第三取得者に対して与え、抵当権者の把握する価値権と第三取得者の有する用益権との調整を図ることなどを目的とする制度であるが、抵当権者にとっては、抵当権実行時期の選択権を奪われ、増価による買受け及び保証の提供などの負担を伴うものであるところから、民法378条が滌除権者の範囲を「抵当不動産ニ付キ所有権、地上権又ハ永小作権ヲ取得シタル第三者」に限定していることにかんがみれば、右規定にいう滌除権者としての「所有権ヲ取得シタル第三者」とは、確定的に抵当不動産の所有権を取得した第三取得者に限られるものと解すべきである。そして、不動産について譲渡担保が設定された場合には、債権担保の目的を達するのに必要な範囲内においてのみ目的不動産の所有権移転の効力が生じるにすぎず、譲渡担保権者が目的不動産を確定的に自己の所有とするには、自己の債権額と目的不動産の価額との清算手続をすることを要し、他方、譲渡担保設定者は、譲渡担保権者が右の換価処分を完結するまでは、被担保債務を弁済して目的不動産を受け戻し、その完全な所有権を回復することができるのであるから(最高裁昭和55年(オ)第153号同57年1月22日第二小法廷判決・民集36巻1号92頁、最高裁昭和56年(オ)第1209号同57年9月28日第三小法廷判決・裁判集民事137号255頁、最高裁平成元年(オ)第1351号同5年2月26日第二小法廷判決・民集47巻2号1653頁)、このような譲渡担保の趣旨及び効力にかんがみると、担保権を実行して右の清算手続を完了するに至らない譲渡担保権者は、いまだ確定的に目的不動産の所有権を取得した者ではなく、民法378条所定の滌除権者たる第三取得者ということができないからである。」
過去問・解説
(R2 共通 第12問 エ)
債務者Aは債権者BのためにAの所有する不動産甲に抵当権を設定し、その旨の登記がされた。甲について、その後、Aから譲渡担保権の設定を受けたDは、譲渡担保権の実行前であっても、抵当権消滅請求をすることにより、Bの抵当権を消滅させることができる。
清算金支払請求権と受戻権 最二小判平成8年11月22日
概要
判例
判旨:「譲渡担保権設定者は、譲渡担保権者が清算金の支払又は提供をせず、清算金がない旨の通知もしない間に譲渡担保の目的物の受戻権を放棄しても、譲渡担保権者に対して清算金の支払を請求することはできないものと解すべきである。けだし、譲渡担保権設定者の清算金支払請求権は、譲渡担保権者が譲渡担保権の実行として目的物を自己に帰属させ又は換価処分する場合において、その価額から被担保債権額を控除した残額の支払を請求する権利であり、他方、譲渡担保権設定者の受戻権は、譲渡担保権者において譲渡担保権の実行を完結するまでの間に、弁済等によって被担保債務を消滅させることにより譲渡担保の目的物の所有権等を回復する権利であって、両者はその発生原因を異にする別個の権利であるから、 譲渡担保権設定者において受戻権を放棄したとしても、その効果は受戻権が放棄されたという状況を現出するにとどまり、右受戻権の放棄により譲渡担保権設定者が 清算金支払請求権を取得することとなると解することはできないからである。また、このように解さないと、譲渡担保権設定者が、受戻権を放棄することにより、本来譲渡担保権者が有している譲渡担保権の実行の時期を自ら決定する自由を制約し得ることとなり、相当でないことは明らかである。」
過去問・解説
(H23 司法 第16問 イ)
譲渡担保権の設定者は、被担保債権が弁済期を経過した後においては、譲渡担保の目的物についての受戻権を放棄し、譲渡担保権者に対し、譲渡担保の目的物の評価額から被担保債権の額を控除した金額の清算金を請求することができる。
(R1 司法 第16問 イ)
債務者は、被担保債権の弁済期後は、譲渡担保の目的物の受戻権を放棄することにより、譲渡担保権者に対し清算金の支払を請求することができる。
譲渡担保権者の清算義務 最一小判昭和46年3月25日
概要
判例
判旨:「貸金債権担保のため債務者所有の不動産につき譲渡担保形式の契約を締結し、債務者が弁済期に債務を弁済すれば不動産は債務者に返還するが、弁済をしないときは右不動産を債務の弁済の代わりに確定的に自己の所有に帰せしめるとの合意のもとに、自己のため所有権移転登記を経由した債権者は、債務者が弁済期に債務の弁済をしない場合においては、目的不動産を換価処分し、またはこれを適正に評価することによって具体化する右物件の価額から、自己の債権額を差し引き、なお残額があるときは、これに相当する金銭を清算金として債務者に支払うことを要するのである。そして、この担保目的実現の手段として、債務者に対し右不動産の引渡ないし明渡を求める訴を提起した場合に、債務者が右清算金の支払と引換えにその履行をなすべき旨を主張したときは、特段の事情のある場合を除き、債権者の右請求は、債務者への清算金の支払と引換えにのみ認容されるべきものと解するのが相当である(最高裁判所昭和43年(オ)第371号、同45年9月24日第一小法廷判決)。」
過去問・解説
(H21 司法 第16問 エ)
Aは、その所有する不動産を目的として、Aの債権者であるBのために譲渡担保権を設定し、所有権移転登記をした。Bが、譲渡担保権の実行として、Aに対し目的不動産の引渡しを求める訴えを提起したのに対し、Aが清算金の支払と引換えにその履行をすべき旨を主張したときは、特段の事情のある場合を除き、Bの請求は、Aへの清算金の支払と引換えにのみ認容される。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭46.3.25)は、 貸金債権担保のため債務者所有の不動産につき譲渡担保契約を締結し、債務者が弁済期に債務を弁済すれば、同不動産を債務者に返還するが、弁済をしないときは債務の弁済に代えて確定的に債権者に同不動産の所有権を移転させるとの合意の基に、債権者に所有権移転登記が経由されている場合において、債務者が弁済期に弁済をしないときの譲渡担保権者の清算義務と設定者の目的物引渡義務は、特段の事情がある場合を除き、同時履行の関係となる旨判示している。本肢においても、Aの債権者であるBのために譲渡担保権が設定され、所有権移転登記が経由されている。そうすると、譲渡担保権者Bの清算義務と設定者Aの目的物引渡義務は、特段の事情がある場合を除き、同時履行の関係になる。
ここで、同時履行の関係にある2つの債務について、片方の債務の履行の請求を求める訴えが提起された場合において、相手方から同時履行の抗弁が主張されたときには、引換給付判決がなされる。したがって、Bが、譲渡担保権の実行として、Aに対し目的不動産の引渡しを求める訴えを提起したのに対し、Aが清算金の支払と引換えにその履行をすべき旨を主張し同時履行の抗弁を主張したときは、特段の事情のある場合を除き、Bの請求は、Aへの清算金の支払と引換えにのみ認容される。
借地上の建物に譲渡担保権が設定された場合の効力と、清算金額算定に際しての建物の適正評価額 最三小判昭和51年9月21日
概要
判例
判旨:「債務者である土地の貸借人がその貸借地上に所有する建物を譲渡担保とした場合には、その建物のみを担保の目的に供したことが明らかであるなど特別の事情がない限り、右譲渡担保権の効力は、原則として土地の賃借権に及び、債権者が担保権の実行としての換価処分により建物の所有権をみずから確定的に取得し又は第三者にこれを取得させたときは、これに随伴して土地の賃借権もまた債権者又は第三者に譲渡されると解すべきである。」
過去問・解説
(H23 司法 第16問 ア)
債務者である土地の賃借人が、借地上に所有している建物を譲渡担保の目的物とした場合において、譲渡担保権の効力は、土地の賃借権に及ぶので、譲渡担保権者が担保権を実行し、これにより第三者がその建物の所有権を取得したときは、これに伴い土地の賃借権も第三者に譲渡される。
譲渡担保権者の債権者が被担保債権の弁済期後に目的不動産を差し押さえた場合において設定者が第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることの可否 最二小判平成18年10月20日
概要
判例
判旨:「不動産を目的とする譲渡担保において、被担保債権の弁済期後に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、設定者は、差押登記後に債務の全額を弁済しても、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることはできないと解するのが相当である。なぜなら、設定者が債務の履行を遅滞したときは、譲渡担保権者は目的不動産を処分する権能を取得するから(最高裁昭和55年(オ)第153号同57年1月22日第二小法廷判決・民集36巻1号92頁参照)、被担保債権の弁済期後は、設定者としては、目的不動産が換価処分されることを受忍すべき立場にあるというべきところ、譲渡担保権者の債権者による目的不動産の強制競売による換価も、譲渡担保権者による換価処分と同様に受忍すべきものということができるのであって、目的不動産を差し押さえた譲渡担保権者の債権者との関係では、差押え後の受戻権行使による目的不動産の所有権の回復を主張することができなくてもやむを得ないというべきだからである。上記と異なり、被担保債権の弁済期前に譲渡担保権者の債権者が目的不動産を差し押さえた場合は、少なくとも、設定者が弁済期までに債務の全額を弁済して目的不動産を受け戻したときは、設定者は、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることができると解するのが相当である。なぜなら、弁済期前においては、譲渡担保権者は、債権担保の目的を達するのに必要な範囲内で目的不動産の所有権を有するにすぎず、目的不動産を処分する権能を有しないから、このような差押えによって設定者による受戻権の行使が制限されると解すべき理由はないからである。」
過去問・解説
(R1 司法 第16問 エ)
譲渡担保の被担保債権の弁済期後に目的不動産が譲渡担保権者の債権者によって差し押さえられ、その旨の登記がされた場合、債務者は、その後に被担保債権に係る債務の全額を弁済しても、差押債権者に対し、目的不動産の所有権を主張することができない。
(R5 共通 第16問 イ)
被担保債権について不履行があった後、譲渡担保権者の債権者が目的物を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、設定者は、その後に被担保債権を弁済しても、第三者異議の訴えにより強制執行の不許を求めることができない。
集合動産を目的とする集合物譲渡担保権の効力と目的動産の滅失 最一小判平成22年12月2日
概要
判例
判旨:「構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権は、譲渡担保権者において譲渡担保の目的である集合動産を構成するに至った動産(以下「目的動産」という。)の価値を担保として把握するものであるから、その効力は、目的動産が滅失した場合にその損害をてん補するために譲渡担保権設定者に対して支払われる損害保険金に係る請求権に及ぶと解するのが相当である。もっとも、構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保契約は、譲渡担保権設定者が目的動産を販売して営業を継続することを前提とするものであるから、譲渡担保権設定者が通常の営業を継続している場合には、目的動産の滅失により上記請求権が発生したとしても、これに対して直ちに物上代位権を行使することができる旨が合意されているなどの特段の事情がない限り、譲渡担保権者が当該請求権に対して物上代位権を行使することは許されないというべきである。」
過去問・解説
(H27 司法 第14問 オ)
集合動産の譲渡担保権者は、その譲渡担保権の設定者が通常の営業を継続している場合であっても、その目的とされた動産が滅失したときは、その損害をてん補するために設定者に支払われる損害保険金の請求権に対して物上代位権を行使することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平22.12.2)は、「構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権は、譲渡担保権者において譲渡担保の目的である集合動産を構成するに至った動産(以下「目的動産」という。)の価値を担保として把握するものであるから、その効力は、目的動産が滅失した場合にその損害をてん補するために譲渡担保権設定者に対して支払われる損害保険金に係る請求権に及ぶと解するのが相当である。もっとも、構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保契約は、譲渡担保権設定者が目的動産を販売して営業を継続することを前提とするものであるから、譲渡担保権設定者が通常の営業を継続している場合には、目的動産の滅失により上記請求権が発生したとしても、これに対して直ちに物上代位権を行使することができる旨が合意されているなどの特段の事情がない限り、譲渡担保権者が当該請求権に対して物上代位権を行使することは許されないというべきである。」と判示している。
(R2 共通 第14問 ウ)
債務者Aが所有する構成部分の変動する在庫商品に債権者Bのために譲渡担保権が設定された後、商品が滅失し、その損害をてん補するための損害保険金請求権をAが取得したときは、Aが営業を継続しているか否かにかかわらず、Bは、当該保険金請求権に対して物上代位権を行使することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平22.12.2)は、「構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保権は、譲渡担保権者において譲渡担保の目的である集合動産を構成するに至った動産(以下「目的動産」という。)の価値を担保として把握するものであるから、その効力は、目的動産が滅失した場合にその損害をてん補するために譲渡担保権設定者に対して支払われる損害保険金に係る請求権に及ぶと解するのが相当である。もっとも、構成部分の変動する集合動産を目的とする集合物譲渡担保契約は、譲渡担保権設定者が目的動産を販売して営業を継続することを前提とするものであるから、譲渡担保権設定者が通常の営業を継続している場合には、目的動産の滅失により上記請求権が発生したとしても、これに対して直ちに物上代位権を行使することができる旨が合意されているなどの特段の事情がない限り、譲渡担保権者が当該請求権に対して物上代位権を行使することは許されないというべきである。」と判示している。
債務者Aが所有する構成部分の変動する在庫商品に債権者Bのために譲渡担保権が設定された後、商品が滅失し、その損害をてん補するための損害保険金請求権をAが取得したとき、Aが営業を継続している場合には、当該保険金請求権に対して直ちに物上代位権を行使することができる旨が合意されているなどの特段の事情がない本肢においては、Bは、当該保険金請求権に対して物上代位権を行使することができない。したがって、Aが営業を継続しているか否かにかかわらず、Bは、当該保険金請求権に対して物上代位権を行使することができるとはいえない。
売買代金の支払いと譲渡担保権の設定 最二小判平成30年12月7日
概要
判例
判旨:「本件売買契約は、金属スクラップ等を反復継続して売却するものであり、本件条項は、その売買代金の支払を確保するために、目的物の所有権がその完済をもってAからBに移転し、その完済まではAに留保される旨を定めたものである。
本件売買契約では、毎月21日から翌月20日までを1つの期間として、期間ごとに納品された金属スクラップ等の売買代金の額が算定され、1つの期間に納品された金属スクラップ等の所有権は、上記の方法で額が算定された当該期間の売買代金の完済までAに留保されることが定められ、これと異なる期間の売買代金の支払を確保するためにAに留保されるものではない。上記のような定めは、売買代金の額が期間ごとに算定される継続的な動産の売買契約において、目的物の引渡しからその完済までの間、その支払を確保する手段を売主に与えるものであって、その限度で目的物の所有権を留保するものである。
また、Aは、Bに対して金属スクラップ等の転売を包括的に承諾していたが、これは、AがBに本件売買契約の売買代金を支払うための資金を確保させる趣旨であると解され、このことをもって上記金属スクラップ等の所有権がBに移転したとみることはできない。
以上によれば、本件動産の所有権は、本件条項の定めどおり、その売買代金が完済されるまでAからBに移転しないものと解するのが相当である。したがって、本件動産につき、Cは、Aに対して本件譲渡担保権を主張することができない。」
過去問・解説
(R4 司法 第12問 エ)
Aは、Bに対し、自己が所有する工作機械甲を売り、甲を引き渡した。AB間の売買契約に所有権留保特約(代金債権を担保する目的でされた、甲の所有権は代金完済時に移転する旨の特約)が付されていた場合、Bが代金完済前にCから金銭を借り入れて甲に譲渡担保権を設定し、占有改定により甲の占有をCに移転したときは、その後Bが代金の支払を怠ったとしても、Aは、甲を処分して残代金の回収をすることはできない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平30.12.7)は、所有権留保特約付きの売買契約の目的物に、当該売買契約の買主が譲渡担保権を設定した場合において、所有権留保特約付きの売買契約の買主が売買代金を完済しない間は、未だ売主のもとに目的物の所有権があるため、譲渡担保権者は当該売主に対して譲渡担保権を主張できない旨判示している。Bが代金完済前にCから金銭を借り入れて甲に譲渡担保権を設定し、占有改定により甲の占有をCに移転したときであっても、その後Bが甲の代金の支払いを怠ったのであれば、甲の所有権は未だ所有権留保権者たるAのもとにあるから、Aは、甲を処分して残代金の回収をすることができる。
集合動産譲渡担保の設定者による目的物である動産の処分 最一小判平成18年7月20日
概要
判例
判旨:「構成部分の変動する集合動産を目的とする譲渡担保においては、集合物の内容が譲渡担保設定者の営業活動を通じて当然に変動することが予定されているのであるから、譲渡担保設定者には、その通常の営業の範囲内で、譲渡担保の目的を構成する動産を処分する権限が付与されており、この権限内でされた処分の相手方は、当該動産について、譲渡担保の拘束を受けることなく確定的に所有権を取得することができると解するのが相当である。…他方、対抗要件を備えた集合動産譲渡担保の設定者がその目的物である動産につき通常の営業の範囲を超える売却処分をした場合、当該処分は上記権限に基づかないものである以上、譲渡担保契約に定められた保管場所から搬出されるなどして当該譲渡担保の目的である集合物から離脱したと認められる場合でない限り、当該処分の相手方は目的物の所有権を承継取得することはできないというべきである。」
過去問・解説
(H27 司法 第14問 イ)
対抗要件を備えた集合動産譲渡担保権の設定者が、その目的とされた動産につき通常の営業の範囲を超える売却処分をし、その動産を占有改定の方法により買主に引き渡した場合、買主はその動産の所有権を取得することができる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平18.7.20)は、「対抗要件を備えた集合動産譲渡担保の設定者がその目的物である動産につき通常の営業の範囲を超える売却処分をした場合、当該処分は上記権限に基づかないものである以上、譲渡担保契約に定められた保管場所から搬出されるなどして当該譲渡担保の目的である集合物から離脱したと認められる場合でない限り、当該処分の相手方は目的物の所有権を承継取得することはできないというべきである。」としている。したがって、対抗要件を備えた集合動産譲渡担保権の設定者が、その目的とされた動産につき通常の営業の範囲を超える売却処分をした本肢においても、買主がその動産を占有改定の方法により引渡しを受けたにとどまり、いまだ当該譲渡担保の目的である集合物から離脱したと認められる場合ではない以上、買主はその動産の所有権を承継取得することができない。
また、判例(最判昭35.2.11)は、「無権利者から動産の譲渡を受けた場合において、譲受人が民法192条によりその所有権を取得しうるためには、一般外観上従来の占有状態に変更を生ずるがごとき占有を取得することを要し、かかる状態に一般外観上変更を来たさないいわゆる占有改定の方法による取得をもつては足らないものといわなければならない…。」と判示している。したがって、本肢においても、買主は占有改定の方法により占有を取得しているに過ぎないため、即時取得(192条)は成立せず、買主はその動産の所有権を即時取得により取得することもできない。