現在お使いのブラウザのバージョンでは、本サービスの機能をご利用いただけない可能性があります
バージョンアップを試すか、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの最新ブラウザをお試しください
親族(親権 818条~837条) - 解答モード
利益相反行為の追認 大判昭和11年8月7日
概要
判例
判旨:「民法第886条及第888条ハ共ニ親権者ノ法定代理権ヲ制限シタル規定ニ外ナラス唯各場合ニ於ケル未成年者ノ保護ニ稽フルトコロアリ此ハ則チ全然親権者ノ代理ヲ禁シタルニ反シ彼ハ則チ親族会ノ同意ヲ得サル限リ代理行為ヲ以テ取消シ得ヘキモノトシタル差異コソアレ畢竟孰レノ場合モ当該規定違背ノ行為ハ則チ代理権限ニ欠缺アルモノタル点ニ於テ彼此選フトコロ無シ則チ爾ルカ故ニ子カ成年ニ達シタル後ニ至リ斯ル行為ヲ追認スル以上無権代理人ノ一般ノ場合ト同様当該代理行為ノ完全ナル効力ヲ生スルヤ又疑ヲ容ルヘカラス。」
親権者の一方に利益相反関係のある場合における代理の方法 最一小判昭和35年2月25日
概要
判例
判旨:「利益相反の関係にある親権者は特別代理人の選任を求め、特別代理人と利益相反の関係にない親権者と共同して代理行為をなすべきものとする…。」
過去問・解説
(H19 司法 第2問 4)
未成年の子と親権者である父母の一方に利益相反関係があるときは、利益相反関係のない親権者と家庭裁判所で選任された特別代理人とが共同して子のための代理行為をなすべきである。
(H21 司法 第33問 イ)
父母が共同で親権を行う子の所有する不動産を、父の債務の担保に供するためには、特別代理人を選任して、その特別代理人と母が共同で子の代理をする。
親権者と子の利益相反行為の判断基準 最三小判昭和37年10月2日
概要
判例
判旨:「親権者が子の法定代理人として、子の名において金員を借受け、その債務につき子の所有不動産の上に抵当権を設定することは、仮に借受金を親権者自身の用途に充当する意図であつても、かかる意図のあることのみでは、民法826条所定の利益相反する行為とはいえないから、子に対して有効であり、これに反し、親権者自身が金員を借受けるに当り、右債務につき子の所有不動産の上に抵当権を設定することは、仮に右借受金を子の養育費に充当する意図であつたとしても、同法条所定の利益相反する行為に当るから、子に対しては無効であると解すべきである。」
過去問・解説
(H19 司法 第2問 3)
親権者が未成年の子を代理して子の所有する不動産を第三者の債務の担保に供する行為は、親権者による利益相反行為に当たる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭37.10.2)は、親権者が子を代理してした法律行為が利益相反行為(826条)に当たるかを判断する場合においては、親権者が子を代理してした行為自体を外形的客観的に考察して判断するべきであり、代理行為を行うについての親権者の動機や意図をもって判断するべきではない旨判示している。
本肢においては、親権者が未成年の子を代理して子の所有する不動産を第三者の債務の担保に供する行為を外形的客観的に見ると、当該行為により不利益を受けるのが子であるのに対して、当該行為により利益を得るのが債務者たる第三者であるから、親権者と子の利益が相反する行為には当たらない。したがって、親権者による利益相反行為に当たらない。
(H24 司法 第5問 2)
判例によれば、Aの親権者Bは、Cから金銭を借り入れるに当たり、Aを代理してA所有の不動産にCのBに対する債権を担保するために抵当権を設定することはできないし、その設定行為を追認することもできない。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭37.10.2)は、本肢と同種の事案において、「親権者自身が金員を借受けるに当り、右債務につき子の所有不動産の上に抵当権を設定することは、仮に右借受金を子の養育費に充当する意図であつたとしても、同法条所定の利益相反する行為に当るから、子に対しては無効であると解すべきである。」と判示している。したがって、本肢前段は正しい。
また、判例(最判昭46.4.20)は、「親権者が民法826条に違反して、親権者と子の利益相反行為につき法定代理人としてなした行為は民法113条所定の無権代理行為にあたる…。」と判示している。そして、113条1項は、「代理権を有しない者が他人の代理人としてした契約は、本人がその追認をしなければ、本人に対してその効力を生じない。」と規定しており、無権代理行為を、無権代理人自身が追認をすることは認められないと解される。したがって、Aの親権者Bが、Cから金銭を借り入れるに当たり、Aを代理してA所有の不動産にCのBに対する債権を担保するために抵当権を設定した場合、当該設定行為は利益相反行為として無権代理行為に当たり、B自らその設定行為を追認することはできない。よって、本肢後段も正しい。
(R2 司法 第31問 エ)
親権者がその子の名義で金銭を借り受け、その子が所有する不動産に抵当権を設定する場合であっても、親権者がその金銭を自らの用途に供する意図を有していたときには、利益相反行為に当たる。
親権者の無権代理行為 最三小判昭和42年4月18日
概要
判例
判旨:「民法826条にいう利益相反行為に該当するかどうかは、親権者が子を代理してなした行為自体を外形的客観的に考察して判定すべきであつて、当該代理行為をなすについての親権者の動機、意図をもつて判定すべきでない…(昭和36年(オ)第1013号同37年2月27日第三小法廷判決、最高裁判所裁判集民事58号1023頁参照)。」
過去問・解説
(H23 司法 第4問 エ)
判例によれば、親権者が子の財産を第三者に売却する行為を代理するに当たって、親権者がその子に損害を及ぼし、第三者の利益を図る目的を有していたときは、その子の利益に反する行為であるから、無権代理となる。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭42.4.18)は、「民法826条にいう利益相反行為に該当するかどうかは、親権者が子を代理してなした行為自体を外形的客観的に考察して判定すべきであつて、当該代理行為をなすについての親権者の動機、意図をもつて判定すべきでない…。」と判示している。本肢においては、親権者が子の財産を第三者に売却する行為を代理する行為を外形的客観的に考察すると、親権者は当該売却により何らの利益を受けないから、利益相反行為に該当しない。親権者がその子に損害を及ぼし、第三者の利益を図る目的を有していたか否かは、利益相反行為に該当するかの判断に影響を及ぼさない。したがって、当該行為は、その子の利益に反する行為とはいえず、無権代理とならない。
利益相反行為の意義 最一小判昭和49年7月22日
概要
判例
判旨:「民法826条2項所定の利益相反行為とは、行為の客観的性質上数人の子ら相互間に利害の対立を生ずるおそれのあるものを指称するのであつて、その行為の結果現実にその子らの間に利害の対立を生ずるか否かは問わないものと解すべきであるところ、遺産分割の協議は、その行為の客観的性質上相続人相互間に利害の対立を生ずるおそれのある行為と認められるから、前記条項の適用上は、利益相反行為に該当するものといわなければならない。」
過去問・解説
(H19 司法 第2問 5)
親権者が共同相続人である数人の子を代理して遺産分割の協議をすることは、仮に親権者において数人の子のいずれに対しても衡平を欠く意図がなく、親権者の代理行為の結果、数人の子の間に利害対立が現実化されていなかったとしても、利益相反行為に当たる。
(H21 司法 第33問 エ)
父の相続に当たり、母が数人の子の親権者として遺産分割の協議をした場合、母が取得する財産はないとする遺産分割であれば、利益相反行為にならない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭49.7.22)は、「民法826条2項所定の利益相反行為とは、行為の客観的性質上数人の子ら相互間に利害の対立を生ずるおそれのあるものを指称するのであつて、その行為の結果現実にその子らの間に利害の対立を生ずるか否かは問わないものと解すべきであるところ、遺産分割の協議は、その行為の客観的性質上相続人相互間に利害の対立を生ずるおそれのある行為と認められるから、前記条項の適用上は、利益相反行為に該当するものといわなければならない。」と判示している。したがって、父の相続に当たり、母が数人の子の親権者として遺産分割の協議をした場合には、当該遺産分割は利益相反行為になる。母が取得する財産はないとされたか否かは、結論に影響を及ぼさない。
(R2 司法 第31問 イ)
親権者が共同相続人である数人の子を代理して遺産分割の協議をすることは、利益相反行為に当たる。
相続放棄と後見人の利益相反行為 最二小判昭和53年2月24日
概要
判例
判旨:「共同相続人の一部の者が相続の放棄をすると、その相続に関しては、その者は初めから相続人とならなかつたものとみなされ、その結果として相続分の増加する相続人が生ずることになるのであつて、相続の放棄をする者とこれによつて相続分が増加する者とは利益が相反する関係にあることが明らかであり、また、民法860条によつて準用される同法826条は、同法108条とは異なり、適用の対象となる行為を相手方のある行為のみに限定する趣旨であるとは解されないから、相続の放棄が相手方のない単独行為であるということから直ちに民法826条にいう利益相反行為にあたる余地がないと解するのは相当でない。…しかしながら、共同相続人の1人が他の共同相続人の全部又は一部の者を後見している場合において、後見人が被後見人を代理してする相続の放棄は、必ずしも常に利益相反行為にあたるとはいえず、後見人がまずみずからの相続の放棄をしたのちに被後見人全員を代理してその相続の放棄をしたときはもとより、後見人みずからの相続の放棄と被後見人全員を代理してするその相続の放棄が同時にされたと認められるときもまた、その行為の客観的性質からみて、後見人と被後見人との間においても、被後見人相互間においても、利益相反行為になるとはいえないものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H19 司法 第2問 2)
共同相続人の1人が他の共同相続人の全部又は一部の者の後見をしている場合、後見人が被後見人全員を代理してする相続の放棄は、後見人自らが相続の放棄をした後にされたときは、後見人と被後見人との間において利益相反行為に当たらない。
(H28 共通 第30問 オ)
夫婦であるAとBの間に未成年の子Cがいる。判例によれば、Aが死亡し、その相続人がBとCの2人であり、BがCの親権者である場合において、BがAを被相続人とする相続につき自ら相続放棄をするのと同時にCを代理してCについて相続放棄をしたときは、B及びCの相続放棄はいずれも有効となる。
(正答)〇
(解説)
判例(最判昭53.2.24)は、本肢と同種の事案において、「共同相続人の1人が他の共同相続人の全部又は一部の者を後見している場合において、後見人が被後見人を代理してする相続の放棄は、必ずしも常に利益相反行為にあたるとはいえず、…後見人みずからの相続の放棄と被後見人全員を代理してするその相続の放棄が同時にされたと認められるときもまた、その行為の客観的性質からみて、後見人と被後見人との間においても、被後見人相互間においても、利益相反行為になるとはいえないものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、本肢においても、BがAを被相続人とする相続につき自ら相続放棄をするのと同時にCを代理してCについて相続放棄をしたときは、B及びCの相続放棄はいずれも有効となる。
(R2 司法 第31問 ウ)
親権者とその数人の子が共同相続人である場合に、親権者が自ら相続の放棄をすると同時にその子全員を代理して相続の放棄をすることは、利益相反行為に当たらない。
親権者死亡後の親権者変更 名古屋高金沢支決昭和52年3月23日
概要
判例
判旨:「離婚の際未成年の子の単独親権者と定められた親が死亡した場合、家庭裁判所は子の親族の請求により親権者を離婚の際親権者とならなかった他方の親とすることができるものであり、そのことは単独親権者の死亡によつて開始した後見について既に後見人が選任されている場合であっても同様である(死亡した単独親権者の遺言によって後見人が指定されている場合についてはしばらくおくこととする)と解するのが相当である。
すなわち、親権も未成年後見もともに未成年の子のための監護、養育および財産管理の面における保護を目的とする制度であるが、未成年後見の開始事由、終了事由等についての民法の規定に照らせば、民法の基本的な態度は、親子の自然的社会的関係に基盤を置く、親による子の保護を原則とし、後見は親権者たる親がない場合あるいは親の親権行使が制限される場合に補充的にその機能を果すことを予定しているものとみることができる。
従って後見が開始し、さらに後見人が選任された後であっても、そのことを理由に親権が機能する余地がないと解するのは相当でない。
そして、離婚の際一方の親を未成年の子の親権者と定めることを要するのは、離婚した両親にとって親権を共同行使することが事実上困難であることによるものであるから、親権者と定められた一方の親が死亡して親権を行なう者が欠けた場合に、他方の親が共存し、それを望み、それが当該未成年者の福祉にそうときは、民法第819条第6項の親権者変更の規定を準用し、生存する他方の親に親権を行使する可能性を認めることは、民法の明文に反するものでないばかりか、むしろそう解してこそ民法の基本的態度にも、国民一般の感情にも合致するものである。」
過去問・解説
(R6 司法 第33問 エ)
父母が離婚した場合において、親権者と定められた父が死亡したときは、生存している母が、直ちに親権者となる。