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短答判例

相続回復請求権と取得時効 最三小判令和6年3月19日

概要
相続回復請求の相手方である表見相続人は、真正相続人の有する相続回復請求権の消滅時効(884条)が完成する前であっても、162条所定の取得時効の要件を満たせば、真正相続人が相続した財産の所有権を時効により取得することができる。
判例
事案:相続回復請求の相手方である表見相続人が取得時効(162条)の要件を満たしている場合に、真正相続人の相続回復請求権の消滅時効(884条)が完成する前であっても、表見相続人が相続財産の所有権を時効により取得することができるかが問題となった。

判旨:「民法884条所定の相続回復請求権の消滅時効と同法162条所定の所有権の取得時効とは要件及び効果を異にする別個の制度であって、特別法と一般法の関係にあるとは解されない。また、民法その他の法令において、相続回復請求の相手方である表見相続人が、上記消滅時効が完成する前に、相続回復請求権を有する真正相続人の相続した財産の所有権を時効により取得することが妨げられる旨を定めた規定は存しない。 そして、民法884条が相続回復請求権について消滅時効を定めた趣旨は、相続権の帰属及びこれに伴う法律関係を早期かつ終局的に確定させることにある(最高裁昭和48年(オ)第854号同53年12月20日大法廷判決・民集32巻9号1674頁参照)ところ、上記表見相続人が同法162条所定の時効取得の要件を満たしたにもかかわらず、真正相続人の有する相続回復請求権の消滅時効が完成していないことにより、当該真正相続人の相続した財産の所有権を時効により取得することが妨げられると解することは、上記の趣旨に整合しないものというべきである。 以上によれば、上記表見相続人は、真正相続人の有する相続回復請求権の消滅時効が完成する前であっても、当該真正相続人が相続した財産の所有権を時効により取得することができるものと解するのが相当である。このことは、包括受遺者が相続回復請求権を有する場合であっても異なるものではない。したがって、被上告人は、本件不動産に係る上告人Y1及びAの各共有持分権を時効により取得することができる。」
過去問・解説

(R8 司法 第5問 ア)
相続回復請求の相手方となるべき者が相続財産の占有を継続し、取得時効の要件を満たしても、真正な相続人の相続回復請求権の消滅時効が完成するまでは、当該相続財産の所有権を時効により取得することはできない。

(正答)✕

(解説)
判例(最判令6.3.19)は、「民法884条所定の相続回復請求権の消滅時効と同法162条所定の所有権の取得時効とは要件及び効果を異にする別個の制度であって、特別法と一般法の関係にあるとは解されない。」とした上で、相続回復請求権の相手方である「表見相続人は、真正相続人の有する相続回復請求権の消滅時効が完成する前であっても、当該真正相続人が相続した財産の所有権を時効により取得することができるものと解するのが相当である。」としている。
したがって、相続回復請求の相手方となるべき者が相続財産の占有を継続し、取得時効の要件を満たした場合には、真正な相続人の相続回復請求権の消滅時効が完成する前であっても、当該相続財産の所有権を時効により取得することができる。

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