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民法 715条による損害賠償義務者と相殺の許否 最三小判昭和32年4月30日 - 解答モード
概要
自働債権及び受働債権のいずれもが不法行為による損害賠償債権である場合においても、509条が適用される。
判例
事案:自働債権及び受働債権のいずれもが不法行為による損害賠償債権である場合において、509条が適用されるかが問題となった。
判旨:「論旨は、先ず、Aの負担する債務がA自身の不法行為によるものでないとの理由により、Bの自動車破損による損害賠償請求権をもつてする相殺は許容すべきものであるとして、民法509条の擬律錯誤を主張する。しかし民法715条の使用者責任が使用者自身の過失責任を理由とするか、純然たる結果責任であるかの問題は別とし、仮りに後者であつたとしても不法行為による債務であることに変りなく、民法509条の条文も彼此区別していないのみならず、同条の趣旨が不法行為の被害者に現実の弁償済によつて損害の填補を受けしめようとするにある以上、これを除外すべき何等の理由がなく、所論のように自己の不法行為でないとの理由により同条の適用を免れ得ないと解すべきであるから、これと同趣旨の原判決の判断は正当である。
論旨はさらに自働債権が不法行為による損害賠償請求権であること等の理由をあげて、本件に同条を適用すべきでないと主張するが、右に述べた同条の立法趣旨に照らせば、所論はいずれも採用に値しないこと明かである。」
判旨:「論旨は、先ず、Aの負担する債務がA自身の不法行為によるものでないとの理由により、Bの自動車破損による損害賠償請求権をもつてする相殺は許容すべきものであるとして、民法509条の擬律錯誤を主張する。しかし民法715条の使用者責任が使用者自身の過失責任を理由とするか、純然たる結果責任であるかの問題は別とし、仮りに後者であつたとしても不法行為による債務であることに変りなく、民法509条の条文も彼此区別していないのみならず、同条の趣旨が不法行為の被害者に現実の弁償済によつて損害の填補を受けしめようとするにある以上、これを除外すべき何等の理由がなく、所論のように自己の不法行為でないとの理由により同条の適用を免れ得ないと解すべきであるから、これと同趣旨の原判決の判断は正当である。
論旨はさらに自働債権が不法行為による損害賠償請求権であること等の理由をあげて、本件に同条を適用すべきでないと主張するが、右に述べた同条の立法趣旨に照らせば、所論はいずれも採用に値しないこと明かである。」
過去問・解説
全体の正答率 : 50.0%
(H20 司法 第20問 ア)
自働債権及び受働債権がともに不法行為による損害賠償債権の場合、いずれの当事者からも相殺をすることができない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭32.4.30)は、自働債権及び受働債権のいずれもが不法行為による損害賠償債権である場合においても、509条が適用される旨判示している。この判例の理解は、改正民法下における509条の解釈においても妥当すると解されている。もっとも、同条は、その柱書本文において「次に掲げる債務の債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。」と規定し、1号において「悪意による不法行為に基づく損害賠償の債務」を挙げ、2号において「人の生命又は身体の侵害による損害賠償の債務(前号に掲げるものを除く。)」を挙げる。
したがって、自働債権及び受働債権がともに不法行為による損害賠償債権である場合において、いずれの当事者からも相殺をすることができないのは、両債権がともに、悪意による不法行為に基づく損害賠償債権又は人の生命または身体の侵害による損害賠償債権である場合に限定される。本肢においては、このような限定が付されていないため、本肢は誤っている。