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民法 不動産の二重譲渡において劣後する買主の所有権の取得時効の起算点 最二小判昭和46年11月5日

概要
不動産が二重に売買された場合において、買主がその引渡を受けたが、登記欠缺のため、その所有権の取得をもって、のちに所有権取得登記を経由した転得者に対抗することができないときは、買主の所有権の取得時効は、その占有を取得した時から起算すべきである。
判例
事案:Aが不動産をXとYに二重譲渡し、Xがその引渡しを受けたが、Yが登記を受け、XがYに対抗できなかった事案において、Xが主張する取得時効の起算点がいつになるかが問題となった。

判旨:「不動産の売買がなされた場合、特段の意思表示がないかぎり、不動産の所有権は当事者間においてはただちに買主に移転するが、その登記がなされない間は、登記の欠缺を主張するにつき正当の利益を有する第三者に対する関係においては、売主は所有権を失うものではなく、反面、買主も所有権を取得するものではない。当該不動産が売主から第2の買主に二重に売却され、第2の買主に対し所有権移転登記がなされたときは、第2の買主は登記の欠缺を主張するにつき正当の利益を有する第三者であることはいうまでもないことであるから、登記の時に第2の買主において完全に所有権を取得するわけであるが、その所有権は、売主から第2の買主に直接移転するのであり、売主から一旦第1の買主に移転し、第1の買主から第2の買主に移転するものではなく、第1の買主は当初から全く所有権を取得しなかったことになるのである。したがって、第1の買主がその買受後不動産の占有を取得し、その時から民法162条に定める時効期間を経過したときは、同法条により当該不動産を時効によって取得しうるものと解するのが相当である(最高裁判所昭和40年(オ)第1265号、昭和42年7月21日第二小法廷判決、民集21巻6号1643頁参照)。
 してみれば、上告人の本件各土地に対する取得時効については、上告人がこれを買受けその占有を取得した時から起算すべきものというべきであり、二重売買の問題のまだ起きていなかった当時に取得した上告人の本件各土地に対する占有は、特段の事情の認められない以上、所有の意思をもって、善意で始められたものと推定すべく、無過失であるかぎり、時効中断の事由がなければ、前記説示に照らし、上告人は、その占有を始めた昭和27年2月6日から10年の経過をもって本件各土地の所有権を時効によって取得したものといわなければならない(なお、時効完成当時の本件不動産の所有者である被上告人は物権変動の当事者であるから、上告人は被上告人に対しその登記なくして本件不動産の時効取得を対抗することができるこというまでもない。)。」
過去問・解説
(R7 司法 第8問 ア)
AがA所有の甲土地をBに売却し、Bがその引渡しを受けた時から1年を経過した後、Aが甲土地をCに売却し、Cが所有権移転登記を備えたときは、Bが主張する所有権の取得時効の期間は、Cが所有権移転登記を備えた時から起算する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭46.11.5)は、本肢と同種の事案において、「本件各土地に対する取得時効については、上告人がこれを買い受けその占有を取得した時から起算すべきものというべき…。」と判示している。
したがって、Bが主張する所有権の取得時効の期間は、Bが甲土地を買い受けその引渡しを受けた時から起算する。
総合メモ
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