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民法 94条2項の類推適用と同項における「第三者」の意義 最一小判昭和48年6月28日

概要
虚偽の意思表示により譲り受けた目的物を差し押さえた仮装譲受人の一般債権者は、「第三者」(94条2項)に当たるところ、未登記建物の所有者は、その建物が固定資産課税台帳上他人の所有名義で登録されていることを知りながら、これを明示又は黙示に承認していた場合には、94条2項の類推適用により、当該名義人が所有権を有しないことを、善意で当該建物を差し押さえた第三者に対抗することができない。
判例
事案:未登記建物の所有者においてその建物が固定資産課税台帳上他人の所有名義で登録されていることを承認していた場合において、当該建物を善意で差し押さえた、登記名義人に対して債権を有する債権者が、94条2項の類推適用により保護されるかが問題となった。

判旨:「未登記建物の所有者が旧家屋台帳法(昭和22年法律第31号)による家屋台帳にその建物が他人の所有名義で登録されていることを知りながら、これを明示または黙示に承認していた場合には、民法94条2項の類推適用により、所有者は、右台帳上の名義人から権利の設定を受けた善意の第三者に対し、右名義人が所有権を有しないことをもつて対抗することができないと解すべきことは、当裁判所の判例とするところである(最高裁昭和42年(オ)第1209、1210号同45年4月16日第1小法廷判決・民集24巻4号266頁)。そして固定資産課税台帳は、本来課税のために作成されるものではあるが、未登記建物についての同台帳上の所有名義は、建物の所有権帰属の外形を表示するものとなつているのであるから、この外形を信頼した善意の第三者は右と同様の法理によつて保護されるべきものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H21 司法 第4問 エ)
虚偽の意思表示により譲り受けた目的物を差し押さえた仮装譲受人の一般債権者は、「相手方と通じてした虚偽の意思表示の無効を対抗することができない第三者」に該当する。

(正答)

(解説)
判例(最判昭48.6.28)は、虚偽の意思表示により譲り受けた目的物を差し押さえた仮装譲受人の一般債権者は、「第三者」(94条2項)に当たる旨判示している。

(H27 共通 第2問 2)
Aは、その所有する甲土地についてBと仮装の売買契約を締結し、その旨の所有権移転登記をした。その後、Bがこの事情を知らないCから500万円を借り入れたが、その返済を怠ったことから、Cが甲土地を差し押さえた場合、甲土地の差押えの前にCがこの事情を知ったとしても、Aは、Cに対し、AB間の売買契約の無効を主張することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭48.6.28)は、虚偽の意思表示により譲り受けた目的物を差し押さえた仮装譲受人の一般債権者は、「第三者」(94条2項)に当たる旨判示している。Cは仮装譲渡の譲受人であるBの一般債権者であり、甲土地を差し押さえているため、「第三者」に当たる。
もっとも、判例(最判昭.55.9.11)は、94条2項所定の第三者の善意の存否は、同条項の適用の対象となるべき法律関係ごとに当該法律関係につき第三者が利害関係を有するに至った時期を基準として決すべきである旨判示している。Cは甲土地の差押えの前に仮装譲渡の事情を知っているため、「善意」といえない。したがって、Aは、Cに対し、AB間の売買契約の無効を主張することができる。

(H29 司法 第4問 ア)
甲土地を所有するAがBと通謀して甲土地をBに仮装譲渡し、AからBへの所有権移転登記がされた後、Bの債権者Cが甲土地を差し押さえた場合において、その差押えの時にCが仮装譲渡について善意であったときは、Aは、Cに対し、Bへの譲渡が無効であることを主張することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭48.6.28)は、虚偽の意思表示により譲り受けた目的物を差し押さえた仮装譲受人の一般債権者は、「第三者」(94条2項)に当たる旨判示している。また、判例(最判昭55.9.11)は、94条2項所定の第三者の善意の存否は、同条項の適用の対象となるべき法律関係ごとに当該法律関係につき第三者が利害関係を有するに至った時期を基準として決すべきである旨判示している。したがって、Bの債権者Cが甲土地を差し押さえた場合において、その差押えの時にCが仮装譲渡について善意であったときは、Cは「善意の第三者」に当たるため、Aは、Cに対して、Bへの譲渡が無効であることを主張することができない。
総合メモ
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