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民法 無権代理の責任と表見代理の責任 最三小判昭和62年7月7日

概要
無権代理人の責任の要件と表見代理の要件とがともに存在する場合においても、無権代理人は、表見代理が成立することを抗弁として主張して、117条所定の無権代理人の責任を免れることはできない。
判例
事案:無権代理人の責任の要件と表見代理の要件とがともに存在する場合において、相手方が117条所定の無権代理人の責任を主張してきたことに対して、無権代理人が表見代理の成立を抗弁として主張し、117条所定の無権代理人の責任を免れることができるかが問題となった。

判旨:「表見代理の成立が認められ、代理行為の法律効果が本人に及ぶことが裁判上確定された場合には、無権代理人の責任を認める余地がないことは明らかであるが、無権代理人の責任をもつて表見代理が成立しない場合における補充的な責任すなわち表見代理によつては保護を受けることのできない相手方を救済するための制度であると解すべき根拠はなく、右両者は、互いに独立した制度であると解するのが相当である。したがつて、無権代理人の責任の要件と表見代理の要件がともに存在する場合においても、表見代理の主張をすると否とは相手方の自由であると解すべきであるから、相手方は、表見代理の主張をしないで、直ちに無権代理人に対し同法117条の責任を問うことができるものと解するのが相当である(最高裁昭和31年(オ)第629号同33年6月17日第三小法廷判決・民集12巻10号1532頁参照)。そして、表見代理は本来相手方保護のための制度であるから、無権代理人が表見代理の成立要件を主張立証して自己の責任を免れることは、制度本来の趣旨に反するというべきであり、したがつて、右の場合、無権代理人は、表見代理が成立することを抗弁として主張することはできないものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H23 共通 第3問 ウ)
無権代理行為の相手方は、表見代理の主張をしないで、無権代理人に対し履行又は損害賠償の請求をすることができるが、これに対し無権代理人は、表見代理の成立を主張してその責任を免れることができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭62.7.7)は、「無権代理人の責任の要件と表見代理の要件がともに存在する場合においても、表見代理の主張をすると否とは相手方の自由であると解すべきであるから、相手方は、表見代理の主張をしないで、直ちに無権代理人に対し同法117条の責任を問うことができるものと解するのが相当である…。」と判示している。したがって、本肢前段は正しい。
もっとも、同判例は、「無権代理人が表見代理の成立要件を主張立証して自己の責任を免れることは、制度本来の趣旨に反するというべきであり、したがつて、…無権代理人は、表見代理が成立することを抗弁として主張することはできないものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、本肢後段は誤っている。

(H29 司法 第5問 オ)
相手方から履行の請求を受けた無権代理人は、表見代理が成立することを理由として無権代理人の責任を免れることはできない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭62.7.7)は、本肢と同種の事案において、「無権代理人が表見代理の成立要件を主張立証して自己の責任を免れることは、制度本来の趣旨に反するというべきであり、したがつて、…無権代理人は、表見代理が成立することを抗弁として主張することはできないものと解するのが相当である。」と判示している。

(R6 司法 第4問 エ)
無権代理人の責任の要件と表見代理の要件が共に存在する場合において、相手方が無権代理人に対し履行又は損害賠償を求めたときは、無権代理人は、表見代理が成立することを主張して無権代理人の責任を免れることができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭62.7.7)は、本肢と同種の事案において、「無権代理人が表見代理の成立要件を主張立証して自己の責任を免れることは、制度本来の趣旨に反するというべきであり、したがつて、…無権代理人は、表見代理が成立することを抗弁として主張することはできないものと解するのが相当である。」と判示している。
総合メモ
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