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民法 遺贈と登記 最二小判昭和39年3月6日

概要
不動産における遺贈が効力を生じた場合における権利変動についても、177条の適用があり、受遺者は、当該遺贈による権利変動を第三者に対抗するためには、登記を要する。
判例
事案:不動産における遺贈が効力を生じた場合において、当該遺贈による権利変動を第三者に対抗するためには、登記を要するかが問題となった。

判旨:「不動産の所有者が右不動産を他人に贈与しても、その旨の登記手続をしない間は完全に排他性ある権利変動を生ぜず、所有者は全くの無権利者とはならないと解すべきところ(当裁判所昭和31年(オ)1022号、同33年10月14日第三小法廷判決、集12巻14号3111頁参照)、遺贈は遺言によつて受遺者に財産権を与える遺言者の意思表示にほかならず、遺言者の死亡を不確定期限とするものではあるが、意思表示によつて物権変動の効果を生ずる点においては贈与と異なるところはないのであるから、遺贈が効力を生じた場合においても、遺贈を原因とする所有権移転登記のなされない間は、完全に排他的な権利変動を生じないものと解すべきである。そして、民法177条が広く物権の得喪変更について登記をもつて対抗要件としているところから見れば、遺贈をもつてその例外とする理由はないから、遺贈の場合においても不動産の二重譲渡等における場合と同様、登記をもつて物権変動の対抗要件とするものと解すべきである。」
過去問・解説
(H19 司法 第8問 ウ)
被相続人Aから遺贈によって甲不動産の所有権を取得したXは、Aの唯一の相続人Bが甲をYに売却し、Yが所有権移転登記を備えた場合、遺贈があった事実を知らず所有権取得登記を備える機会がなかったとしても、Yに対し、甲の所有権取得を対抗することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭39.3.6)は、「民法177条が広く物権の得喪変更について登記をもつて対抗要件としているところから見れば、遺贈をもつてその例外とする理由はないから、遺贈の場合においても不動産の二重譲渡等における場合と同様、登記をもつて物権変動の対抗要件とするものと解すべきである。」と判示している。したがって、被相続人Aから遺贈によって甲不動産の所有権を取得したXと、Aの唯一の相続人Bか甲を買い受けたYとは、対抗関係に立ち、甲不動産の所有権取得を対抗できるかは、177条により登記の有無で決せられる。よって、Xは、遺贈があった事実を知らず所有権取得登記を備える機会がなかったとしても、Yに対し、甲の所有権取得を対抗することができない。

(H20 司法 第9問 エ)
Aが、その所有する甲土地をFに遺贈する旨の遺言をして死亡した場合において、Aの唯一の相続人である配偶者から甲土地を贈与されたGに対し、Fは、所有権移転登記をしなくても、甲土地の所有権取得を対抗することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭39.3.6)は、「民法177条が広く物権の得喪変更について登記をもつて対抗要件としているところから見れば、遺贈をもつてその例外とする理由はないから、遺贈の場合においても不動産の二重譲渡等における場合と同様、登記をもつて物権変動の対抗要件とするものと解すべきである。」と判示している。したがって、Aから甲土地の遺贈を受けたFと、Aの唯一の相続人である配偶者から甲土地を贈与されたGとは、対抗関係に立ち、甲土地の所有権取得を対抗できるかは、177条により登記の有無で決せられる。よって、Fは、Gに対し、所有権移転登記をしなければ、甲土地の所有権取得を対抗することができない。

(H26 司法 第8問 オ)
Aはその所有する土地をBに遺贈する旨の遺言をしていたが、Aが死亡した後、Bがその土地の所有権移転登記をしない間に、Aの唯一の相続人であるCが、AからCへの相続を原因とする所有権移転登記をした上で、その土地をDに売却してCからDへの所有権移転登記をした場合、Bは、Dに対し、CからDへの所有権移転登記の抹消登記手続を請求することができない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭39.3.6)は、「民法177条が広く物権の得喪変更について登記をもつて対抗要件としているところから見れば、遺贈をもつてその例外とする理由はないから、遺贈の場合においても不動産の二重譲渡等における場合と同様、登記をもつて物権変動の対抗要件とするものと解すべきである。」と判示している。したがって、Aから、生前その所有していた土地の遺贈を受けたBと、Aの唯一の相続人であるCから甲土地を買い受けたDとは、対抗関係に立ち、当該土地所有権の取得の優劣は、177条により登記の有無で決せられる。Bが当該土地の所有権移転登記をしない間に、Dは、所有権移転登記を経ているため、当該土地所有権は、Dが取得する。よって、Bは、Dに対し、CからDへの所有権移転登記の抹消登記手続を請求することができない。

(H27 共通 第7問 ウ)
Aは亡Bから亡Bの所有していた乙土地の遺贈を受けたが、その旨の所有権移転登記をしていなかった。その後、亡Bの共同相続人の1人であるCの債権者Dが乙土地についてCの相続分に相当する持分を差し押さえ、その旨の登記がされた。この場合、Aは、Dに対し、乙土地の所有権を亡Bから取得したことを主張することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭39.3.6)は、「民法177条が広く物権の得喪変更について登記をもつて対抗要件としているところから見れば、遺贈をもつてその例外とする理由はないから、遺贈の場合においても不動産の二重譲渡等における場合と同様、登記をもつて物権変動の対抗要件とするものと解すべきである。」と判示している。そうすると、乙土地についてCの相続分に相当する持分を差し押さえたCの債権者Dは、亡Bから同人の所有していた乙土地の遺贈を受けたAとの関係で、177条の「第三者」に当たる。したがって、AがDに対し乙土地の所有権を亡Bから取得したことを主張するためには、その旨の登記を要するといえる。よって、所有権移転登記をしていないAは、Dに対し、乙土地の所有権を亡Bから取得したことを主張することができない。

(R1 司法 第6問 イ)
A所有の甲土地についてBがAから遺贈を受けた場合において、Aの共同相続人の1人であるCの債権者Dが甲土地についてCが共同相続したものとしてCのその持分を差し押さえ、その旨の登記がされたときは、Bは、Dに対し、登記をしなくても遺贈による甲土地の単独所有権の取得を対抗することができる。

(正答)

(解説)
判例(最判昭39.3.6)は、「民法177条が広く物権の得喪変更について登記をもつて対抗要件としているところから見れば、遺贈をもつてその例外とする理由はないから、遺贈の場合においても不動産の二重譲渡等における場合と同様、登記をもつて物権変動の対抗要件とするものと解すべきである。」と判示している。そうすると、甲土地についてCが共同相続したものとしてCのその持分を差し押さえたCの債権者Dは、A所有の甲土地についてAから遺贈を受けたBとの関係で、177条の「第三者」に当たる。したがって、Bが、Dに対し、甲土地の単独所有権をAから取得したことを主張するためには、その旨の登記を要するといえる。よって、Bは、Dに対し、登記をしなければ遺贈による甲土地の単独所有権の取得を対抗することができない。
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