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民法 他主占有と占有権限の立証責任の所在 最三小判昭和35年3月1日

概要
他人の所有物を占有する権原があるとの主張をする場合には、当該占有権原の存在につき、その主張をする者に立証責任があると解すべきであり、占有者の権利推定を定めた188条を援用して自己の占有権原を所有者に対抗することはできない。
判例
事案:他人の土地上に存する建物を賃借して当該土地を占有する者が、当該土地所有者に対して土地を占有する権原があることを主張する場合において、当該占有権原の存在につき、占有者が立証責任を負うのかが問題となった。

判旨:「Aが本件土地を所有しかつその登記を経由していること、右土地上にBの所有する建物が存在し、Cがこれに居住してその敷地を占有していることは、いずれも原判決の確定するところであり、Cは、BがAから本件土地を使用貸借により借り受けてその地上に前記建物を建築し、Cがこれを賃借したと主張し、Aはこれを争つているのである。この場合、Cの前記正権原の主張については、Cに立証責任の存することは明らかであり、Cは占有者の権利推定を定めた民法188条の規定を援用して自己の正権原をAに対抗することはできないと解するのが相当である。」
過去問・解説
(H18 司法 第10問 1)
所有者が占有者に対して占有物の返還を求める場合、原告は、被告の占有が権原に基づかないことを立証する必要はなく、被告が自己に正当な占有権原のあることを立証しなければならない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭35.3.1)は、他人の所有物を占有する正権原があるとの主張がされた場合には、当該占有権原の存在につき、その主張をする者に立証責任があると解すべきであり、占有者の権利推定を定めた188条を援用して自己の占有権原を所有者に対抗することはできない旨判示している。したがって、原告は、被告の占有が権原に基づかないことを立証する必要はなく、被告が自己に正当な占有権原のあることを立証しなければならない。

(H21 司法 第8問 ウ)
占有者が占有物について行使する権利は適法に有するものと推定されるが、土地の所有者から占有者に対する土地明渡請求訴訟において、占有者が当該土地に賃借権を有すると主張しても、占有者が賃借権を有し、その賃借権に基づき土地を占有する事実は推定されず、占有者は、賃借権を取得し、その賃借権に基づき土地を占有する事実を立証する必要がある。

(正答)

(解説)
188条は、「占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するものと推定する」と規定している。したがって、本肢前段は正しい。
これに対して、判例(最判昭35.3.1)は、他人の所有物を占有する正権原があるとの主張がされた場合には、当該占有権原の存在につき、その主張をする者に立証責任があると解すべきであり、占有者の権利推定を定めた188条を援用して自己の占有権原を所有者に対抗することはできない旨判示している。したがって、土地の所有者から占有者に対する土地明渡請求訴訟において、占有者が当該土地に賃借権を有すると主張しても、占有者が賃借権を有し、その賃借権に基づき土地を占有する事実は188条により推定されず、占有者は、賃借権を取得し、その賃借権に基づき土地を占有する事実を立証する必要がある。よって、本肢後段も正しい。

(H22 司法 第7問 エ)
他人の所有地上の建物に居住している者がその敷地を占有する権原については、その者がその権原の主張立証責任を負う。

(正答)

(解説)
判例(最判昭35.3.1)は、本肢と同種の事案において、他人の所有物を占有する権原があるとの主張をする場合には、当該占有権原の存在につき、その主張をする者に立証責任があると解すべきであり、占有者の権利推定を定めた188条を援用して自己の占有権原を所有者に対抗することはできない旨判示している。
総合メモ
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