現在お使いのブラウザのバージョンでは、本サービスの機能をご利用いただけない可能性があります
バージョンアップを試すか、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの最新ブラウザをお試しください

引き続き問題が発生する場合は、 お問い合わせ までご連絡ください。

民法 盗品又は遺失物の回復とその間の所有者 大判大正10年7月8日

概要
①盗品・遺失物について、192条の規定の要件を満たす占有を始めた者は、盗難又は遺失の時から2年以内に被害者又は遺失者より回復の請求を受けないときに限って初めてその物の上に行使する権利を取得することができる。
②193条にいう「回復」とは、占有者が一旦その盗品・遺失物について即時取得した所有権その他の本権を回復するということではなく、単に占有物の返還をすることを意味する。
判例
事案:①盗品・遺失物について192条の規定の要件を満たす占有を始めた者がある場合において、被害者又は遺失者が2年以内に盗品等回復請求をするまでの間においても、当該占有者は、当該盗品・遺失物の上に行使する権利を取得することができるのかが問題となった。
 ②193条にいう「回復」の意義が問題となった。

判旨:「民法第193条ハ平穏公然善意無過失ニ動産ノ占有ヲ始メタル場合(即法文ニ所謂前条ノ場合)ト雖モ若シ其物カ盗品又ハ遺失物ナルトキハ占有者ハ盗難又ハ遺失ノ時ヨリ2年内ニ被害者又ハ遺失主ヨリ回復ノ請求ヲ受ケサルトキニ限リ始メテ其物ノ上ニ行使スル権利ヲ取得スト云ウ旨趣ニシテ従テ又回復ト云ウハ占有者カ一旦其物ニ付キ即時ニ取得シタル所有権其他ノ本権ヲ回復スルノ謂ニ非ス単ニ占有物ノ返還ト云ウコトヲ意味スルモノニ外ナラス欺カル解釈ヲ採ラサル可カラサルコトハ占有ノ不任意喪失ト云ウ点ニ於テ畢竟同一ニ帰著スル場合ノ規定タル同法第195条ノ行文トノ対照上明白ナルノミナラス法文ニ依レハ所謂回復請求権ヲ有スル者ハ即被害者又ハ遺失主ナルコトニ徴スルモ亦明白ナリ何者被害者又ハ遺失主トハ単ニ盗難又ハ遺失ニ依リ不任意ニ其占有ヲ喪失シタル者ヲ意味スルニ止マリ決シテ何等カ其物ニ付キ本権ヲ有スル者タルヲ必要トセサルコトハ言ヲ竢タサル所ナルヲ以テ今若シ回復ト云ウコトハ本権ノ回復ヲ指スモノトセムカ其帰スルトコロ自己カ始メヨリ之ヲ有セサル権利ヲ回復スト云ウカ如キ極メテ奇異ナル結果ヲ観ルニ至ル可ケレハナリ。」
過去問・解説
(H18 司法 第14問 オ)
Aがその所有するギター(以下「甲」という。)をBに貸していたところ、無職のCが金に困ってBから甲を盗み、自分の物だと称して友人のDに売却した。Dは、甲がCの所有物だと過失なく信じて、その引渡しを受けた。この場合、Bが盗まれた時から2年間は、Dは、甲の所有権を取得することができない。

(正答)

(解説)
判例(大判大10.7.8)は、盗品・遺失物について、192条の規定の要件を満たす占有を始めた者は、盗難又は遺失の時から2年以内に被害者又は遺失者より回復の請求を受けないときに限って初めてその物の上に行使する権利を取得することができる旨判示している。甲は盗品であるため、Bが甲を盗まれた時から2年間は、Dが甲について即時取得(192条)の要件を満たしていても、Dは、甲の所有権を取得することができない。

(R2 共通 第8問 オ)
Aは、BがCから賃借していた宝石を盗み、Dに贈与した。Dが宝石をAの所有物であると過失なく信じて現実の引渡しを受けた場合、Bは、宝石の盗難時から2年間は、Dに宝石の回復を請求することができる。

(正答)

(解説)
判例(大判大10.7.8)は、193条にいう「回復」とは、占有者が一旦その盗品・遺失物について即時取得した所有権その他の本権を回復するということではなく、単に占有物の返還を受けることを意味する旨判示している。この判例の理解によれば、193条の「被害者」は、所有者その他の本権者に限られず、賃借人や受寄者などの、所有権その他の本権を有しない占有者を含むと解される。
本肢においては、Aが、BがCから賃借していた宝石を盗み、Dに贈与し、Dが宝石をAの所有物であると過失なく信じて現実の引渡しを受けた場合、Dは当該宝石について、192条の要件を満たす占有を始めた者であるといえる。そして、当該宝石は「盗品」に当たり、Bは当該宝石の賃借人であるから「被害者」に当たる。したがって、Bは、193条の要件を満たすから、宝石の盗難時から2年間は、Dに宝石の回復を請求することができる。
総合メモ
前の判例 次の判例