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民法 共同相続人の一部から遺産を構成する特定不動産の共有持分権を譲り受けた第三者が共有関係解消のためにとるべき裁判手続 最二小判昭和50年11月7日

概要
遺産分割前において、共同相続人の1人から遺産を構成する特定不動産について同人の有する共有持分権を譲り受けた第三者が、当該共同所有関係の解消を求める方法として裁判上とるべき手続は、遺産分割審判ではなく、共有物分割訴訟である。
判例
事案:遺産分割前において、共同相続人の1人から遺産を構成する特定不動産について同人の有する共有持分権を譲り受けた第三者が、当該共同所有関係の解消を求める場合において、その方法として裁判上とるべき手続は、遺産分割審判と共有物分割訴訟のいずれであるかが問題となった。

判旨:「共同相続人が分割前の遺産を共同所有する法律関係は、基本的には民法249条以下に規定する共有としての性質を有すると解するのが相当であつて(最高裁昭和28年(オ)第163号同30年5月31日第三小法廷判決・民集9巻6号793頁参照)、共同相続人の1人から遺産を構成する特定不動産について同人の有する共有持分権を譲り受けた第三者は、適法にその権利を取得することができ (最高裁昭和35年(オ)第1197号同38年2月22日第二小法廷判決・民集17巻1号235頁参照)、他の共同相続人とともに右不動産を共同所有する関係にたつが、右共同所有関係が民法249条以下の共有としての性質を有するものであることはいうまでもない。そして、第三者が右共同所有関係の解消を求める方法として裁判上とるべき手続は、民法907条に基づく遺産分割審判ではなく、民法258条に基づく共有物分割訴訟であると解するのが相当である。けだし、共同相続人の1人が特定不動産について有する共有持分権を第三者に譲渡した場合、当該譲渡部分は遺産分割の対象から逸出するものと解すべきであるから、第三者がその譲り受けた持分権に基づいてする分割手続を遺産分割審判としなければならないものではない。のみならず、遺産分割審判は、遺産全体の価値を総合的に把握し、これを共同相続人の具体的相続分に応じ民法906条所定の基準に従つて分割することを目的とするものであるから、本来共同相続人という身分関係にある者または包括受遺者等相続人と同視しうる関係にある者の申立に基づき、これらの者を当事者とし、原則として遺産の全部について進められるべきものであるところ、第三者が共同所有関係の解消を求める手続を遺産分割審判とした場合には、第三者の権利保護のためには第三者にも遺産分割の申立権を与え、かつ、同人を当事者として手続に関与させることが必要となるが、共同相続人に対して全遺産を対象とし前叙の基準に従いつつこれを全体として合目的的に分割すべきであつて、その方法も多様であるのに対し、第三者に対しては当該不動産の物理的一部分を分与することを原則とすべきものである等、それぞれ分割の対象、基準及び方法を異にするから、これらはかならずしも同一手続によつて処理されることを必要とするものでも、またこれを適当とするものでもなく、さらに、第三者に対し右のような遺産分割審判手続上の地位を与えることは前叙遺産分割の本旨にそわず、同審判手続を複雑にし、共同相続人側に手続上の負担をかけることになるうえ、第三者に対しても、その取得した権利とはなんら関係のない他の遺産を含めた分割手続の全てに関与したうえでなければ分割を受けることができないという著しい負担をかけることがありうる。これに対して、共有物分割訴訟は対象物を当該不動産に限定するものであるから、第三者の分割目的を達成するために適切であるということができるうえ、当該不動産のうち共同相続人の1人が第三者に譲渡した持分部分を除いた残余持分部分は、なお遺産分割の対象とされるべきものであり、第三者が右持分権に基づいて当該不動産につき提起した共有物分割訴訟は、ひつきよう、当該不動産を第三者に対する分与部分と持分譲渡人を除いた他の共同相続人に対する分与部分とに分割することを目的とするものであつて、右分割判決によつて共同相続人に分与された部分は、なお共同相続人間の遺産分割の対象になるものと解すべきであるから、右分割判決が共同相続人の有する遺産分割上の権利を害することはないということができる。このような両手続の目的、性質等を対比し、かつ、第三者と共同相続人の利益の調和をはかるとの見地からすれば、本件分割手続としては共有物分割訴訟をもつて相当とすべきである。」
過去問・解説
(H24 共通 第35問 4)
甲建物を所有していたAが死亡した。Aには子B、C及びDがいるが、遺産分割は未了である。第三者EがBから甲建物の共有持分権を譲り受けた場合、EがC及びDとの共有関係の解消のためにとるべき裁判手続は、共有物分割訴訟である。

(正答)

(解説)
判例(最判昭50.11.7)は、遺産分割前において、共同相続人の1人から遺産を構成する特定不動産について同人の有する共有持分権を譲り受けた第三者が、当該共同所有関係の解消を求める方法として裁判上とるべき手続は、遺産分割審判ではなく、共有物分割訴訟である旨判示している。したがって、第三者Eが、甲建物を所有していたAの共同相続人の1人であるBから甲建物の共有持分を譲り受けた場合、EがC及びDとの共有関係の解消のためにとるべき裁判手続は、共有物分割訴訟であるといえる。

(H27 司法 第10問 ア)
遺産分割前において共同相続人の1人から遺産を構成する不動産の共有持分権を譲り受けた第三者が、その不動産の共同所有関係の解消を求めるためには、共有物分割訴訟によらなければならない。

(正答)

(解説)
判例(最判昭50.11.7)は、遺産分割前において、共同相続人の1人から遺産を構成する特定不動産について同人の有する共有持分権を譲り受けた第三者が、当該共同所有関係の解消を求める方法として裁判上とるべき手続は、遺産分割審判ではなく、共有物分割訴訟である旨判示している。

(H28 共通 第33問 オ)
A及びBがCに対して400万円の連帯債務を負担していたところ、Aが死亡し、その妻D及び子Eが相続した。A、B及びCが共同相続した甲土地の共有持分権をCから譲り受けたDが、A及びBとの共有関係の解消のためにとるべき裁判手続は、遺産分割審判である。

(正答)

(解説)
判例(最判昭50.11.7)は、遺産分割前において、共同相続人の1人から遺産を構成する特定不動産について同人の有する共有持分権を譲り受けた第三者が、当該共同所有関係の解消を求める方法として裁判上とるべき手続は、遺産分割審判ではなく、共有物分割訴訟である旨判示している。したがって、A、B及びCが共同相続した甲土地の共有持分権をCから譲り受けたDが、A及びBとの共有関係の解消のためにとるべき裁判手続は、遺産分割審判ではなく、共有物分割訴訟である。
総合メモ
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