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民法 有益費償還請求と留置権 大判昭和10年5月13日

概要
家屋の賃借人が、その賃借中に支出した必要費又は有益費の償還請求権を被担保債権として留置権を行使し、その償還を受けるまで従前と同様の態様で当該家屋に居住することは、特段の事情のない限り、298条2項ただし書の「その物の保存に必要な使用」に当たる。
判例
事案:家屋の賃借人が、その賃借中に支出した必要費又は有益費の償還請求権を被担保債権として留置権を行使し、その償還を受けるまで従前と同様の態様で当該家屋に居住することが、298条2項ただし書の「その物の保存に必要な使用」に当たるかが問題となった。

判旨:「家屋ノ賃借人カ其ノ賃借中支出シタル必要費若ハ有益費ノ為メ留置権ヲ行使シ其ノ償還ヲ受クル迄従前ノ如ク当該家屋ニ居住スルハ他ニ特殊ノ事情ナキ限リ民法第298条第2項但書ノ所謂留置物ノ保存ニ必要ナルモノト解スルヲ妥当トス。」
過去問・解説
(H29 共通 第11問 オ)
甲建物の賃貸人Aが、賃借人Bに対して賃貸借契約の終了に基づき甲建物の明渡しを請求したのに対し、Bが賃貸借の期間中に支出した有益費の償還請求権に基づいて留置権を行使し、従前と同様の態様で甲建物に居住した場合、Bは、Aに対し、その居住による利得を返還する義務を負う。

(正答)

(解説)
判例(大判昭10.5.13)は、家屋の賃借人が、その賃借中に支出した必要費又は有益費の償還請求権を被担保債権として留置権を行使し、その償還を受けるまで従前と同様の態様で当該家屋に居住することは、特段の事情のない限り、298条2項ただし書の「その物の保存に必要な使用」に当たる旨判示している。しかし、留置権者が「その物の保存に必要な使用」をした場合においても、その利用により生じた利得まで保持する権限を有するものではなく、当該利得は留置物の所有者に対して返還しなければならない。
したがって、Bが賃貸借の期間中に支出した有益費の償還請求権に基づいて留置権を行使し、従前と同様の態様で甲建物に居住した場合、Bは、Aに対し、その居住による利得を返還する義務を負う。

(R6 予備 第6問 イ)
甲建物の賃借人でありその引渡しを受けたAが、その所有者であり賃貸人であるBに対する有益費償還請求権を被担保債権として甲建物につき留置権を行使するときは、Bに対し、留置権を行使している間の建物の使用の対価を支払うことを要しない。

(正答)

(解説)
判例(大判昭10.5.13)は、家屋の賃借人が、その賃借中に支出した必要費又は有益費の償還請求権を被担保債権として留置権を行使し、その償還を受けるまで従前と同様の態様で当該家屋に居住することは、特段の事情のない限り、298条2項ただし書の「その物の保存に必要な使用」に当たる旨判示している。しかし、留置権者が「その物の保存に必要な使用」をした場合においても、その利用により生じた利得まで保持する権限を有するものではなく、当該利得は留置物の所有者に対して返還しなければならない。
したがって、Aは、Bに対し、留置権を行使している間の建物の使用の対価を支払わなければならない。
総合メモ
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