現在お使いのブラウザのバージョンでは、本サービスの機能をご利用いただけない可能性があります
バージョンアップを試すか、Google ChromeやMozilla Firefoxなどの最新ブラウザをお試しください
民法 抵当権の放棄と異時配当 大判昭和11年7月14日
概要
甲不動産と乙不動産に共同抵当権を有している共同抵当権者が乙不動産の抵当権を放棄した場合、当該共同抵当権者は、もし当該放棄がなければ甲不動産の後順位抵当権者が乙不動産について392条2項により代位できた金額分、甲不動産について優先弁済を受けられなくなる。
判例
事案:共同抵当権者が、後順位抵当権の存在する1つの抵当権を放棄した場合、抵当権を放棄していない不動産から全額の配当を受けることができるか問題となった。
判旨:「抵当権ノ一部(即チ同一債権ノ担保タル数個ノ抵当不動産中ノ或モノニ対スル抵当権)ヲ抛棄シタリトテ其ノ残部ノ抵当権(即チ爾余ノ不動産ニ対スル抵当権)ハ勿論存在スルカ故ニ其ノ行使ヲ為シ得サルノ道理無シ唯本件ノ如キ場合ニ於テハ抵当権ヲ実行シ競売代金ノ配当ヲ為スニ当リ先順位抵当権者ハ其ノ抛棄ノ目的タル抵当物件ノ価額ニ準シ次順位抵当権者ニ対シ優先弁済ヲ受クルヲ得サルハ必シモ多言ヲ俟タス這ハ民法第392条及第504条ノ法意ヲ類推スルニ依リテ知ルヲ得ヘシ例ヘハAハ其ノ債権ノ為メ甲及乙不動産ニ対シ一番抵当権ヲ有シBハ其ノ債権ノ為メ甲不動産ニ対シ二番抵当権ヲ有ストセムニAカ乙不動産ニ対スル抵当権ヲ抛棄シタルトキハ他日甲不動産ニ対スル抵当権ヲ実行シ其ノ競売代金ヲ配当スル場合ニ若シ右ノ抛棄無カリシナラハBカ民法第392条第2項ニ依リ乙不動産ニ付キ代位ヲ為スヲ得ヘカリシ限度ニ於テAハBニ対シ優先弁済ヲ受クルヲ得サルモノトス。」
判旨:「抵当権ノ一部(即チ同一債権ノ担保タル数個ノ抵当不動産中ノ或モノニ対スル抵当権)ヲ抛棄シタリトテ其ノ残部ノ抵当権(即チ爾余ノ不動産ニ対スル抵当権)ハ勿論存在スルカ故ニ其ノ行使ヲ為シ得サルノ道理無シ唯本件ノ如キ場合ニ於テハ抵当権ヲ実行シ競売代金ノ配当ヲ為スニ当リ先順位抵当権者ハ其ノ抛棄ノ目的タル抵当物件ノ価額ニ準シ次順位抵当権者ニ対シ優先弁済ヲ受クルヲ得サルハ必シモ多言ヲ俟タス這ハ民法第392条及第504条ノ法意ヲ類推スルニ依リテ知ルヲ得ヘシ例ヘハAハ其ノ債権ノ為メ甲及乙不動産ニ対シ一番抵当権ヲ有シBハ其ノ債権ノ為メ甲不動産ニ対シ二番抵当権ヲ有ストセムニAカ乙不動産ニ対スル抵当権ヲ抛棄シタルトキハ他日甲不動産ニ対スル抵当権ヲ実行シ其ノ競売代金ヲ配当スル場合ニ若シ右ノ抛棄無カリシナラハBカ民法第392条第2項ニ依リ乙不動産ニ付キ代位ヲ為スヲ得ヘカリシ限度ニ於テAハBニ対シ優先弁済ヲ受クルヲ得サルモノトス。」
過去問・解説
(H28 司法 第15問 4)
Aは、Bに対する600万円の債権を担保するため、B所有の甲土地及び乙土地に、第1順位の共同抵当権を有している。Cは、Bに対する400万円の債権を担保するため、甲土地に、第2順位の抵当権を有している。競売の結果として債権者に配当することが可能な金額は、甲土地につき500万円、乙土地につき1000万円であり、また、各債権者が有する債権の利息及び損害金は考慮しないものとする。Aが乙土地に設定された抵当権を放棄した後に、甲土地に設定された抵当権が実行された場合、Aは200万円の配当を受け、Cは300万円の配当を受けることができる。
Aは、Bに対する600万円の債権を担保するため、B所有の甲土地及び乙土地に、第1順位の共同抵当権を有している。Cは、Bに対する400万円の債権を担保するため、甲土地に、第2順位の抵当権を有している。競売の結果として債権者に配当することが可能な金額は、甲土地につき500万円、乙土地につき1000万円であり、また、各債権者が有する債権の利息及び損害金は考慮しないものとする。Aが乙土地に設定された抵当権を放棄した後に、甲土地に設定された抵当権が実行された場合、Aは200万円の配当を受け、Cは300万円の配当を受けることができる。
(正答)〇
(解説)
判例(大判昭11.7.14)は、本肢と同様の事案において、甲不動産と乙不動産に共同抵当権を有している共同抵当権者が乙不動産の抵当権を放棄した場合、当該共同抵当権者は、もし当該放棄がなければ甲不動産の後順位抵当権者が乙不動産について392条2項により代位できた金額分、甲不動産について優先弁済を受けられなくなる旨判示している。
本肢において、Aが乙土地について抵当権を放棄していない場合において、まず甲土地につき抵当権が実行され、次いで乙土地について抵当権が実行されたときには、392条2項が適用される結果、まず、同項前段により、Aが甲土地から500万円の配当を受けることになり、次に、Bは同項後段により、同時配当であればAが乙土地から配当を受けた400万円から、Aの抵当権の残りである100万円を差し引いた300万円についてAに代位して配当を受けることができるといえる。
そうすると、Aが乙土地に設定された抵当権を放棄した後に、甲土地に設定された抵当権が実行された場合は、Aは甲土地について300万円分優先配当を受けられなくなるといえる。したがって、同抵当権の実行により、Aは200万円の配当を受け、Cは300万円の配当を受けることができるといえる。
判例(大判昭11.7.14)は、本肢と同様の事案において、甲不動産と乙不動産に共同抵当権を有している共同抵当権者が乙不動産の抵当権を放棄した場合、当該共同抵当権者は、もし当該放棄がなければ甲不動産の後順位抵当権者が乙不動産について392条2項により代位できた金額分、甲不動産について優先弁済を受けられなくなる旨判示している。
本肢において、Aが乙土地について抵当権を放棄していない場合において、まず甲土地につき抵当権が実行され、次いで乙土地について抵当権が実行されたときには、392条2項が適用される結果、まず、同項前段により、Aが甲土地から500万円の配当を受けることになり、次に、Bは同項後段により、同時配当であればAが乙土地から配当を受けた400万円から、Aの抵当権の残りである100万円を差し引いた300万円についてAに代位して配当を受けることができるといえる。
そうすると、Aが乙土地に設定された抵当権を放棄した後に、甲土地に設定された抵当権が実行された場合は、Aは甲土地について300万円分優先配当を受けられなくなるといえる。したがって、同抵当権の実行により、Aは200万円の配当を受け、Cは300万円の配当を受けることができるといえる。