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民法 持参債務と目的物の特定 大判大正8年12月25日

概要
履行の場所につき別段の定めのない種類債権にかかる債務が持参債務の場合には、債務者が債権者の住所で現実の提供をしない限り、「物の給付をするのに必要な行為」(402条2項)に当たらず、特定は生じない。
判例
事案:履行の場所につき別段の定めのない種類債権にかかる債務が持参債務である場合について、目的物が特定する時期が問題となった。

判旨:「民法第四百八十四条ニ依レハ不特定物ノ引渡ヲ目的トスル債務ノ履行ヲ為スヘキ場所ハ別段ノ意思表示ナキ限リハ債権者ノ現時ノ住所ナルヲ以テ原判決説示ノ如ク本件売買契約ノ目的タル鱈カ不特定ナルコト当事者間ニ争ナキ以上ハ特約ナキ限リ債務者タル被上告人ハ之ヲ債権者タル上告人ノ住所ニ持参シテ其権利移転並ニ引渡ヲ為スヘキ義務アルモノトス故ニ被上告人ノ本件鱈ヲ給付スヘキ義務ハ所謂持参債務ニシテ送付債務ニアラサルモノト謂フヘク且本件ノ如キ不特定物給付ノ債務ニ在リテハ通常持参債務ナリト謂ヒ得ヘキヲ以テ原裁判所カ本件ノ場合ニ普通生スヘキ債務ハ所謂持参債務ナレハ上告人ニ於テ所謂送付債務ナルコトヲ立証スル責任アリト判断シタルハ不法ニアラス然リ而シテ不特定物ヲ売買スルニ当リ其所有権カ買主ニ移転スルハ其物カ特定物トナリタル後タルコトヲ要スヘク不特定物カ特定物トナルノ時期ハ債務者カ物ノ給付ヲ為スニ必要ナル行為ヲ完了スルカ又ハ債権者ノ同意ヲ以テ其給付スヘキ物ヲ指定シタル時ナルコトハ民法第四百一条第二項ニ依リテ明カナリ仍テ債務者ハ物ヲ特定セシムル為メ如何ナル行為ヲ為スヲ必要トスルヤヲ按スルニ債務者ハ給付ノ目的物ヲ債権者ノ受領スルコトヲ得ヘキ地位ニ置キタル時ニアラサレハ給付ニ必要ナル行為ヲ為シタルモノト謂フコトヲ得ス給付ノ目的物ヲ債権者ノ受領スルコトヲ得ヘキ地位ニ置クニハ債務者カ現実ニ履行ノ提供ヲ為シタルコトヲ要スルモノニシテ所謂持参債務ノ場合ニ於テハ債務者ハ債権者ノ住所ニ到リ債務ヲ履行セサルヘカラサルモノナルヲ以テ債権者ノ住所ニ於テ履行ノ提供ヲ為スニアラサレハ給付ニ必要ナル行為ヲ為シタルモノト謂フヲ得サルナリ蓋シ持参債務ノ場合ニ於テ若シ其他ノ債務ノ場合ニ於ケル如ク債務者カ債権者ニ目的物ヲ発送シタルノミヲ以テ給付ニ必要ナル行為ヲ完了シタルモノト為ストキハ民法第四百八十四条ノ規定ニ反シ債権者ノ不利益トナルヘケレハナリ従テ債務者ハ物ヲ取分ケ債権者ニ送付スル為メ運送人ニ送付シタルノミニテハ未タ給付ニ必要ナル行為ヲ完了シ目的物カ特定セラレタルモノト為スコトヲ得サルナリ故ニ原裁判所カ本件鱈ハ注文者タル上告人(原告)ニ到達シタルトキニアラサレハ上告人ノ所有物トナラサルヲ以テ訴外小池辰次郎カ上告人ニ宛テ発送シ之ヲ運送人タル被上告人(被告)ニ交付シタルノミニヨリテハ未タ其所有権上告人ニ帰属セサル旨判示シタルハ相当ニシテ上告論旨ハ理由ナシ」
過去問・解説
(H28 共通 第17問 2)
判例によれば、履行の場所につき別段の定めのない種類債権の目的物は、債務者が債権者の住所に目的物を発送した時に特定する。

(正答)

(解説)
判例(大判大8.12.25)は、種類債権にかかる債務が持参債務の場合には、債務者が債権者の住所で現実の提供をしない限り、「物の給付をするのに必要な行為」(402条2項)に当たらない旨判示している。したがって、履行の場所につき別段の定めのない種類債権の目的物について、債務者が債権者の住所に目的物を発送した時点では、「物の給付をするのに必要な行為」をしたとはいえず、特定は生じない。
総合メモ
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