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民法 詐害行為取消による受益者の取消債権者に対する受領済み金員相当額の支払債務が履行遅滞に陥る時期 最二小判平成30年12月14日
概要
詐害行為取消による受益者の取消債権者に対する受領済みの金員相当額の支払債務は、期限の定めのない債務であり、412条により債権者から履行の請求を受けた時に遅滞に陥る。
判例
事案:詐害行為取消による受益者の取消債権者に対する受領済みの金員相当額の支払債務が履行遅滞となる時期が問題となった。
判旨:「詐害行為取消しの効果は詐害行為取消判決の確定により生ずるものであるが(最高裁昭和34年(オ)第99号同40年3月26日第二小法廷判決・民集19巻2号508頁参照)、その効果が将来に向かってのみ生ずるのか、それとも過去に遡って生ずるのかは、詐害行為取消制度の趣旨や、いずれに解するかにより生ずる影響等を考慮して判断されるべきものである。詐害行為取消権は、詐害行為を取り消した上、逸出した財産を回復して債務者の一般財産を保全することを目的とするものであり、受益者又は転得者が詐害行為によって債務者の財産を逸出させた責任を原因として、その財産の回復義務を生じさせるものである (最高裁昭和32年(オ)第362号同35年4月26日第三小法廷判決・民集14巻6号1046頁、最高裁昭和45年(オ)第498号同46年11月19日第二小法廷判決・民集25巻8号1321頁等参照)。そうすると、詐害行為取消しの効果は過去に遡って生ずるものと解するのが上記の趣旨に沿うものといえる。また、詐害行為取消しによる受益者の取消債権者に対する受領金支払債務が、詐害行為取消判決の確定より前に遡って生じないとすれば、受益者は、受領済みの金員に係るそれまでの運用利益の全部を得ることができることとなり、相当ではない。したがって、上記受領金支払債務は、詐害行為取消判決の確定により受領時に遡って生ずるものと解すべきである。そして、上記受領金支払債務は期限の定めのない債務であるところ、これが発生と同時に遅滞に陥ると解すべき理由はなく、また、詐害行為取消判決の確定より前にされたその履行の請求も民法412条3項の「履行の請求」に当たるということができる。
以上によれば、上記受領金支払債務は、履行の請求を受けた時に遅滞に陥るものと解するのが相当である。」
判旨:「詐害行為取消しの効果は詐害行為取消判決の確定により生ずるものであるが(最高裁昭和34年(オ)第99号同40年3月26日第二小法廷判決・民集19巻2号508頁参照)、その効果が将来に向かってのみ生ずるのか、それとも過去に遡って生ずるのかは、詐害行為取消制度の趣旨や、いずれに解するかにより生ずる影響等を考慮して判断されるべきものである。詐害行為取消権は、詐害行為を取り消した上、逸出した財産を回復して債務者の一般財産を保全することを目的とするものであり、受益者又は転得者が詐害行為によって債務者の財産を逸出させた責任を原因として、その財産の回復義務を生じさせるものである (最高裁昭和32年(オ)第362号同35年4月26日第三小法廷判決・民集14巻6号1046頁、最高裁昭和45年(オ)第498号同46年11月19日第二小法廷判決・民集25巻8号1321頁等参照)。そうすると、詐害行為取消しの効果は過去に遡って生ずるものと解するのが上記の趣旨に沿うものといえる。また、詐害行為取消しによる受益者の取消債権者に対する受領金支払債務が、詐害行為取消判決の確定より前に遡って生じないとすれば、受益者は、受領済みの金員に係るそれまでの運用利益の全部を得ることができることとなり、相当ではない。したがって、上記受領金支払債務は、詐害行為取消判決の確定により受領時に遡って生ずるものと解すべきである。そして、上記受領金支払債務は期限の定めのない債務であるところ、これが発生と同時に遅滞に陥ると解すべき理由はなく、また、詐害行為取消判決の確定より前にされたその履行の請求も民法412条3項の「履行の請求」に当たるということができる。
以上によれば、上記受領金支払債務は、履行の請求を受けた時に遅滞に陥るものと解するのが相当である。」
過去問・解説
(R5 共通 第17問 エ)
債権者が受益者に対する詐害行為取消請求に係る訴えにおいて受領金の返還を請求したときは、その受領金の返還債務は、その請求を認容する判決の確定時に遅滞に陥る。
債権者が受益者に対する詐害行為取消請求に係る訴えにおいて受領金の返還を請求したときは、その受領金の返還債務は、その請求を認容する判決の確定時に遅滞に陥る。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平30.12.14)は、詐害行為取消による受益者の取消債権者に対する受領済みの金員相当額の支払債務について、「上記受領金支払債務は期限の定めのない債務であるところ、これが発生と同時に遅滞に陥ると解すべき理由はなく、また、詐害行為取消判決の確定より前にされたその履行の請求も民法412条3項の「履行の請求」に当たるということができる。」と判示した上で、「以上によれば、上記受領金支払債務は、履行の請求を受けた時に遅滞に陥るものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、受領金の返還債務については412条3項が適用されるから、その請求を認容する判決の確定時ではなく、履行の請求を受けた時に遅滞に陥る。
判例(最判平30.12.14)は、詐害行為取消による受益者の取消債権者に対する受領済みの金員相当額の支払債務について、「上記受領金支払債務は期限の定めのない債務であるところ、これが発生と同時に遅滞に陥ると解すべき理由はなく、また、詐害行為取消判決の確定より前にされたその履行の請求も民法412条3項の「履行の請求」に当たるということができる。」と判示した上で、「以上によれば、上記受領金支払債務は、履行の請求を受けた時に遅滞に陥るものと解するのが相当である。」と判示している。したがって、受領金の返還債務については412条3項が適用されるから、その請求を認容する判決の確定時ではなく、履行の請求を受けた時に遅滞に陥る。
(R6 司法 第19問 イ)
AがBとの売買契約に基づきBに対して1000万円の代金債権を有している。BがDに対する500万円の貸金債務を弁済した。この場合において、AがDを被告として、弁済の取消しとAへの500万円の支払を求める訴えを提起し、この請求が認容されたときは、Aへの500万円の支払を内容とするDの債務は、判決が確定した時から、履行遅滞に陥る。
AがBとの売買契約に基づきBに対して1000万円の代金債権を有している。BがDに対する500万円の貸金債務を弁済した。この場合において、AがDを被告として、弁済の取消しとAへの500万円の支払を求める訴えを提起し、この請求が認容されたときは、Aへの500万円の支払を内容とするDの債務は、判決が確定した時から、履行遅滞に陥る。
(正答)✕
(解説)
判例(最判平30.12.14)は、詐害行為取消による受益者の取消債権者に対する受領済みの金員相当額の支払債務について、「上記受領金支払債務は期限の定めのない債務であるところ、これが発生と同時に遅滞に陥ると解すべき理由はなく、また、詐害行為取消判決の確定より前にされたその履行の請求も民法412条3項の「履行の請求」に当たるということができる。」と判示した上で、「以上によれば、上記受領金支払債務は、履行の請求を受けた時に遅滞に陥るものと解するのが相当である。」と判示している。本肢においても、Aへの500万円の支払いを内容とするDの債務は、詐害行為取消による受益者の取消債権者に対する受領済みの金員相当額の支払債務に当たるから、当該債務は、判決が確定した時からではなく、債権者から履行の請求を受けた時に遅滞に陥る。
判例(最判平30.12.14)は、詐害行為取消による受益者の取消債権者に対する受領済みの金員相当額の支払債務について、「上記受領金支払債務は期限の定めのない債務であるところ、これが発生と同時に遅滞に陥ると解すべき理由はなく、また、詐害行為取消判決の確定より前にされたその履行の請求も民法412条3項の「履行の請求」に当たるということができる。」と判示した上で、「以上によれば、上記受領金支払債務は、履行の請求を受けた時に遅滞に陥るものと解するのが相当である。」と判示している。本肢においても、Aへの500万円の支払いを内容とするDの債務は、詐害行為取消による受益者の取消債権者に対する受領済みの金員相当額の支払債務に当たるから、当該債務は、判決が確定した時からではなく、債権者から履行の請求を受けた時に遅滞に陥る。