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民法 二重譲渡と債権譲渡の通知 大連判大正8年3月28日
概要
債権の二重譲渡が行われた場合において、467条1項の債務者対抗要件を具備したにとどまる譲受人と、同条2項の第三者対抗要件を具備した譲受人とでは、同条2項の第三者対抗要件を具備した譲受人が優先することとなり、唯一の債権者となる。
判例
事案:債権の二重譲渡が行われた場合において、一方の譲受人のみが467条2項の第三者対抗要件を具備し、他方の譲受人が467条1項の債務者対抗要件を具備したにとどまるときの譲受人同士の優劣が問題となった。
判旨:「指名債権ニ付キテ譲渡契約アリタルトキハ契約当事者間ニ於テハ譲受人ハ特約ナキ限リ契約ト同時ニ其債権ヲ取得スト雖モ之ヲ以テ債務者其他ノ第三者ニ対抗スルニハ民法第467条所定ノ手続ヲ履践セサルヘカラス而シテ同条ハ譲受人カ其債権ヲ債務者ニ対抗スルニハ譲渡人ヨリ債務者ニ対シ債権譲渡ノ事実ヲ通知シ又ハ債務者カ之ヲ承諾シタルコトヲ要シ更ニ其債権ヲ債務者以外ノ第三者ニ対抗スルニハ叙上ノ通知又ハ承諾カ確定日附アル証書ニ依テ行ハルルコトヲ要スル旨規定シタルノミニシテ指名債権者カ其債権ヲ第三者ニ譲渡シ債務者ニ対スル債権譲渡ノ通知又ハ其承諾カ確定日附アル証書ニ依ラスシテ行ハレタル後更ニ同一債権ヲ他ノ第三者ニ譲渡シ確定日附アル証書ヲ以テ債権譲渡ノ事実ヲ通知シタル場合ニ於テ真正ノ債権者ハ第1ノ譲受人ナリヤ将タ第2ノ譲受人ナリヤニ付キテハ直接ニ之ヲ明定セスト雖モ同条ノ法意ヲ審究スルニ第1ノ譲受人ハ同条第1項ノ規定ニ依レハ其債権ヲ債務者ニ対抗スルコトヲ得ルモノノ如シト雖モ同条第2項ノ規定ニ依リ第2ノ譲受人ニ対抗スルコトヲ得サル結果トシテ債務者ニモ其債権ヲ対抗スルコトヲ得サルニ至ル詳言スレハ第2ノ譲受人ハ確定日附アル証書ヲ以テ債権譲渡ノ事実ヲ債務者ニ通知シタルカ故ニ同条第2項ノ規定ニ依リ爾後其債権ヲ以テ第1ノ譲受人ニ対抗スルコトヲ得ヘク其結果トシテ第1ノ譲受人ハ其債権ヲ債務者ニ対抗スルヲ得スシテ其一旦取得シタル債権モ取得セサルコトト為リ第二ノ譲受人ハ唯一ノ債権者ト為ルニ至ルモノト解スルヲ相当トス。」
判旨:「指名債権ニ付キテ譲渡契約アリタルトキハ契約当事者間ニ於テハ譲受人ハ特約ナキ限リ契約ト同時ニ其債権ヲ取得スト雖モ之ヲ以テ債務者其他ノ第三者ニ対抗スルニハ民法第467条所定ノ手続ヲ履践セサルヘカラス而シテ同条ハ譲受人カ其債権ヲ債務者ニ対抗スルニハ譲渡人ヨリ債務者ニ対シ債権譲渡ノ事実ヲ通知シ又ハ債務者カ之ヲ承諾シタルコトヲ要シ更ニ其債権ヲ債務者以外ノ第三者ニ対抗スルニハ叙上ノ通知又ハ承諾カ確定日附アル証書ニ依テ行ハルルコトヲ要スル旨規定シタルノミニシテ指名債権者カ其債権ヲ第三者ニ譲渡シ債務者ニ対スル債権譲渡ノ通知又ハ其承諾カ確定日附アル証書ニ依ラスシテ行ハレタル後更ニ同一債権ヲ他ノ第三者ニ譲渡シ確定日附アル証書ヲ以テ債権譲渡ノ事実ヲ通知シタル場合ニ於テ真正ノ債権者ハ第1ノ譲受人ナリヤ将タ第2ノ譲受人ナリヤニ付キテハ直接ニ之ヲ明定セスト雖モ同条ノ法意ヲ審究スルニ第1ノ譲受人ハ同条第1項ノ規定ニ依レハ其債権ヲ債務者ニ対抗スルコトヲ得ルモノノ如シト雖モ同条第2項ノ規定ニ依リ第2ノ譲受人ニ対抗スルコトヲ得サル結果トシテ債務者ニモ其債権ヲ対抗スルコトヲ得サルニ至ル詳言スレハ第2ノ譲受人ハ確定日附アル証書ヲ以テ債権譲渡ノ事実ヲ債務者ニ通知シタルカ故ニ同条第2項ノ規定ニ依リ爾後其債権ヲ以テ第1ノ譲受人ニ対抗スルコトヲ得ヘク其結果トシテ第1ノ譲受人ハ其債権ヲ債務者ニ対抗スルヲ得スシテ其一旦取得シタル債権モ取得セサルコトト為リ第二ノ譲受人ハ唯一ノ債権者ト為ルニ至ルモノト解スルヲ相当トス。」
過去問・解説
(H25 共通 第19問 ウ)
債権者Aは債務者Bに対して有する甲債権をCとDに二重譲渡した。Cに対する債権譲渡を「第1譲渡」といい、Dに対する債権譲渡を「第2譲渡」という。Aが第1譲渡については確定日付のある証書によって通知をしてこれがBに到達し、第2譲渡については確定日付のある証書によらずに通知をしてこれがBに到達した場合には、これらの通知の到達後に、BがDに対して弁済をすれば、甲債権はこれによって消滅する。
債権者Aは債務者Bに対して有する甲債権をCとDに二重譲渡した。Cに対する債権譲渡を「第1譲渡」といい、Dに対する債権譲渡を「第2譲渡」という。Aが第1譲渡については確定日付のある証書によって通知をしてこれがBに到達し、第2譲渡については確定日付のある証書によらずに通知をしてこれがBに到達した場合には、これらの通知の到達後に、BがDに対して弁済をすれば、甲債権はこれによって消滅する。
(正答)✕
(解説)
判例(大連判大8.3.28)は、債権の二重譲渡が行われた場合において、467条1項の債務者対抗要件を具備したとにとどまる譲受人と、同条2項の第三者対抗要件を具備した譲受人とでは、同条2項の第三者対抗要件を具備した譲受人が優先することとなり、唯一の債権者となる旨判示している。本肢においては、Aが第1譲渡については確定日付のある証書によって通知をしてこれがBに到達し、第2譲渡については確定日付のある証書によらずに通知をしてこれがBに到達したのであるから、467条2項の第三者対抗要件を具備しているCが優先し、Cが甲債権の債権者となる。そうすると、第1譲渡、第2譲渡についての通知の到達後に、BがDに対して弁済をしたとしても、債権者に対する有効な弁済ではないため、甲債権はこれによって消滅しない。
判例(大連判大8.3.28)は、債権の二重譲渡が行われた場合において、467条1項の債務者対抗要件を具備したとにとどまる譲受人と、同条2項の第三者対抗要件を具備した譲受人とでは、同条2項の第三者対抗要件を具備した譲受人が優先することとなり、唯一の債権者となる旨判示している。本肢においては、Aが第1譲渡については確定日付のある証書によって通知をしてこれがBに到達し、第2譲渡については確定日付のある証書によらずに通知をしてこれがBに到達したのであるから、467条2項の第三者対抗要件を具備しているCが優先し、Cが甲債権の債権者となる。そうすると、第1譲渡、第2譲渡についての通知の到達後に、BがDに対して弁済をしたとしても、債権者に対する有効な弁済ではないため、甲債権はこれによって消滅しない。
(H29 共通 第19問 エ)
債権が二重に譲渡され、第1の債権譲渡について譲渡人が債務者に対して確定日付のある証書によらずに通知をした後に、第2の債権譲渡について譲渡人が債務者に対して確定日付のある証書による通知をした場合、第1の譲受人は債権の取得を債務者にも対抗することができない。
債権が二重に譲渡され、第1の債権譲渡について譲渡人が債務者に対して確定日付のある証書によらずに通知をした後に、第2の債権譲渡について譲渡人が債務者に対して確定日付のある証書による通知をした場合、第1の譲受人は債権の取得を債務者にも対抗することができない。
(正答)〇
(解説)
判例(大連判大8.3.28)は、債権の二重譲渡が行われた場合において、467条1項の債務者対抗要件を具備したとにとどまる譲受人と、同条2項の第三者対抗要件を具備した譲受人とでは、同条2項の第三者対抗要件を具備した譲受人が優先することとなり、唯一の債権者となる旨判示している。したがって、債権が二重に譲渡され、第1の債権譲渡について譲渡人が債務者に対して確定日付のある証書によらずに通知をした後に、第2の債権譲渡について譲渡人が債務者に対して確定日付のある証書による通知をした場合、第1の譲受人は債権の取得を債務者にも対抗することができない。
判例(大連判大8.3.28)は、債権の二重譲渡が行われた場合において、467条1項の債務者対抗要件を具備したとにとどまる譲受人と、同条2項の第三者対抗要件を具備した譲受人とでは、同条2項の第三者対抗要件を具備した譲受人が優先することとなり、唯一の債権者となる旨判示している。したがって、債権が二重に譲渡され、第1の債権譲渡について譲渡人が債務者に対して確定日付のある証書によらずに通知をした後に、第2の債権譲渡について譲渡人が債務者に対して確定日付のある証書による通知をした場合、第1の譲受人は債権の取得を債務者にも対抗することができない。