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民法 第三者所有の不動産に設定された抵当権が不存在であるにもかかわらず当該抵当権の実行により債権者に対してされた弁済金の交付と不当利得の成否 最二小判昭和63年7月1日
概要
債権者が第三者所有の不動産の上に設定を受けた抵当権が不存在であるにもかかわらず、抵当権の実行により第三者が不動産の所有権を喪失したときは、当該第三者は、売却代金から弁済金の交付を受けた債権者に対し、703条の規定に基づいて不当利得返還請求権を有する。
判例
事案:第三者所有の不動産に設定された抵当権が不存在であるにもかかわらず、抵当権の実行により弁済金の交付を受けた債権者がある場合において、当該第三者が当該債権者に対して不当利得返還請求をすることができるかが問題となった。
判旨:「債権者が第三者所有の不動産のうえに設定を受けた根抵当権が不存在であるにもかかわらず、その根抵当権の実行による競売の結果、買受人の代金納付により右第三者が不動産の所有権を喪失したときは、その第三者は、売却代金から弁済金の交付を受けた債権者に対し民法703条の規定に基づく不当利得返還請求権を有するものと解するのが相当である。けだし、右債権者は、競売の基礎である根抵当権が存在せず、根抵当権の実行による売却代金からの弁済金の交付を受けうる実体上の権利がないにもかかわらず、その交付を受けたことになり、すなわち、その者は、法律上の原因なくして第三者に属する財産から利益を受け、そのために第三者に損失を及ぼしたものというべきだからである。」
判旨:「債権者が第三者所有の不動産のうえに設定を受けた根抵当権が不存在であるにもかかわらず、その根抵当権の実行による競売の結果、買受人の代金納付により右第三者が不動産の所有権を喪失したときは、その第三者は、売却代金から弁済金の交付を受けた債権者に対し民法703条の規定に基づく不当利得返還請求権を有するものと解するのが相当である。けだし、右債権者は、競売の基礎である根抵当権が存在せず、根抵当権の実行による売却代金からの弁済金の交付を受けうる実体上の権利がないにもかかわらず、その交付を受けたことになり、すなわち、その者は、法律上の原因なくして第三者に属する財産から利益を受け、そのために第三者に損失を及ぼしたものというべきだからである。」
過去問・解説
(H26 司法 第28問 ウ)
債権者Aが債務者Bに対する債権を被担保債権としてC所有の不動産の上に抵当権の設定を受けたが、当該抵当権は、Bが権限なくCを代理して設定したものであった場合、その抵当権の実行により不動産の所有権を喪失したCは、抵当権の実行手続において配当を受けたAに対し、不当利得の返還を請求することはできない。
債権者Aが債務者Bに対する債権を被担保債権としてC所有の不動産の上に抵当権の設定を受けたが、当該抵当権は、Bが権限なくCを代理して設定したものであった場合、その抵当権の実行により不動産の所有権を喪失したCは、抵当権の実行手続において配当を受けたAに対し、不当利得の返還を請求することはできない。
(正答)✕
(解説)
判例(最判昭63.7.1)は、「債権者が第三者所有の不動産のうえに設定を受けた根抵当権が不存在であるにもかかわらず、その根抵当権の実行による競売の結果、買受人の代金納付により右第三者が不動産の所有権を喪失したときは、その第三者は、売却代金から弁済金の交付を受けた債権者に対し民法703条の規定に基づく不当利得返還請求権を有するものと解するのが相当である。」と判示している。本肢においては、債権者Aが債務者Bに対する債権を被担保債権としてC所有の不動産の上に抵当権の設定を受けたが、当該抵当権は、Bが権限なくCを代理して設定したものであるから、当該抵当権は無権代理行為により設定されたものといえ、Cに効果帰属せず(113条1項)、当該抵当権は不存在であるといえる。したがって、その抵当権の実行により不動産の所有権を喪失したCは、抵当権の実行手続において配当を受けたAに対し、不当利得の返還を請求することができる。
判例(最判昭63.7.1)は、「債権者が第三者所有の不動産のうえに設定を受けた根抵当権が不存在であるにもかかわらず、その根抵当権の実行による競売の結果、買受人の代金納付により右第三者が不動産の所有権を喪失したときは、その第三者は、売却代金から弁済金の交付を受けた債権者に対し民法703条の規定に基づく不当利得返還請求権を有するものと解するのが相当である。」と判示している。本肢においては、債権者Aが債務者Bに対する債権を被担保債権としてC所有の不動産の上に抵当権の設定を受けたが、当該抵当権は、Bが権限なくCを代理して設定したものであるから、当該抵当権は無権代理行為により設定されたものといえ、Cに効果帰属せず(113条1項)、当該抵当権は不存在であるといえる。したがって、その抵当権の実行により不動産の所有権を喪失したCは、抵当権の実行手続において配当を受けたAに対し、不当利得の返還を請求することができる。